JP2593709B2 - 回転式圧縮機用ベーン - Google Patents

回転式圧縮機用ベーン

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、冷媒ガス等の気体や油圧作動油等の液体を
圧縮する回転式圧縮機用ベーンに関し、特にカムリング
やロータをアルミニウム合金化しても、摺動特性が良好
な回転式圧縮機用ベーンに関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ベーン型回転式圧縮機は、ピストン型のものと異な
り、モータの回転だけで流体の吸入、圧縮及び排出を行
うことができるので、非常に効率が良い。そのため、エ
アコンディショナー等の各種のロータリコンプレッサー
として広く利用されている。
このベーン型回転式圧縮機は、通常円筒状又は楕円状
のシリンダ内にロータが設置され、ロータの複数の半径
方向溝内にベーンが摺動自在に収容されている構造を有
する。このようなベーン型回転式圧縮機の一例を第1図
及び第2図に示す。
圧縮機は、ケーシング1と、ケーシング1内に収容さ
れた楕円形の内周面を有するカムリング3と、その両側
端部を密封する一対のサイドブロック2a、2bと、カムリ
ング3内を延在する軸4と、軸4に固定されてカムリン
グ3内を回転するロータ5とから構成されている。この
ロータ5には、放射方向に複数のベーン溝6が設けられ
ており、それぞれのベーン溝6にはベーン7が摺動自在
に挿入されている。またケーシング1には流体吸入口11
と排出口12が設けられており、吸入口11はサイドブロッ
ク2a,2bの吸入口21,21′に、また排出口12はサイドブロ
ック2a,2bに設けられた排出弁22,22′にそれぞれ連通し
ている。またケーシング1内には潤滑油14が入ってお
り、サイドブロック2a,2b内の通路24a,24bを通って各サ
イドブロックの扇状溝25,25′に入り、各ベーン溝6内
のベーン7を内側から押圧している。
このような構造のベーン型回転式圧縮機において、ロ
ータ5が矢印の方向に回転すると、吸入口21,21′から
入った流体は圧縮されて排出弁22,22′より排出され、
この吸入・排出がロータ5の回転により連続的に行われ
る。
このようなベーン型回転式圧縮機は、車両に搭載され
て空調を行なう目的で多用されている。しかし、近年前
輪駆動車が多くなり、ボンネット内部にはエンジンや変
速機とともに多くの機器が集合し、車体前部に重量が集
中している。そのため、車体の重量バランス及び燃費向
上の見地からボンネット内部に設置される圧縮機につい
ても、軽量小型化が強く求められている。
従来から、ベーン型回転式圧縮機のケーシングやベー
ンにはアルミニウム合金が使用されているが、更に軽量
化を進めるためには、摺動部を持つ部品(カムリング、
ロータ、サイドブロック等)についても、プラスチック
やアルミニウム合金等の軽量材質で部品を構成する必要
がある。これらの部品は使用温度が高く苛酷な摺動条件
下で使用されるため、材質としてはプラスチックよりも
アルミニウム合金が適すると考えられるが、まだ実用化
されていない。
そこで実際は、カムリングには、摺動特性や機械加工
性が良好なことから片状黒鉛鋳鉄が一般的に用いられて
おり、ロータには、鋼材や、鉄系の焼結合金が用いられ
ている。そして、ロータとシャフトの結合についての配
慮から鋼材を用いた場合、ロータとシャフトとを一体と
しており、また鉄系の焼結合金を用いた場合、ロータを
鋼製のシャフトに圧入している。またサイドブロックに
も、ロータやベーンと摺動する面に耐焼付け性が求めら
れることから、保油性の良好な材料である片状黒鉛鋳鉄
や鉄系の焼結合金が多く用いられている。
一方、ベーンには、カムリングの内周面に押しつけら
れる力として、潤滑油による押圧力の他に遠心力が作用
する。そのため、カムリング内周面と摩擦力が小さくな
るように、ベーンは軽量であることが要求される。しか
もカムリング内周面と常時摺接するために、良好な耐摩
耗性を有することが要求される。このため軽量でかつ耐
摩耗性に優れている高Siアルミニウム合金が現在一般的
に用いられている。
しかし、前述のカムリングやロータの材料である鉄系
材料に比べ、高Siアルミニウム合金の熱膨張係数は5〜
9×10-6/℃と大きいことから、ベーンとサイドブロッ
クの間のクリアランスと、ベーンとベーン溝のクリアラ
ンスを大きく設定する必要があった。このため運転初期
の温度が低い状態では、圧縮機の圧縮効率が低くなると
いう問題があった。
しかも、クリアランスを確保するためには、各部品を
厳しい寸法精度で製造管理することが必要とされ、さら
に寸法ごとにランク分けした各部品を嵌合して圧縮機を
組み立てなければならなかった。そのため、作業効率の
点からも問題があった。
そこで、ベーン型回転式圧縮機の軽量化や、上記問題
点の解消を目的として、ベーン以外の摺動部品(カムリ
ング、ロータ及びサイドブロック等)もアルミニウム合
金とすることが考えられる。
しかし、カムリングをアルミニウム合金とすると、カ
ムリングとベーンの間で摩耗や焼付けが生じるという問
題があり、特に低速高負荷のようにベーンの押しつけ圧
力が高く、摺動面間に油膜の形成が不十分な使用条件下
では、ベーン及びカムリング内周面に著しい摩耗が起こ
る。この問題は、カムリングやベーンを耐摩耗性に優れ
たA390合金のような高Siアルミニウム合金で作成して
も、解決されない。
また、ロータをアルミニウム合金とした場合には、摺
接面に摩耗や焼付けが生じるという問題がある。この問
題は、ロータ用のアルミニウム合金として、耐摩耗性の
優れた高Siアルミニウム合金を用いると、幾分緩和され
るが、始動時には摺動面に潤滑油膜が存在しないことが
多いので、始動の繰返しにより摺動面に発生する傷が大
きくなり、やがて焼付けが生じてしまう。また冷媒ガス
が減少し、それに伴って摺動面への潤滑油の供給量が減
少するガス不足運転のような使用条件下では、短時間で
焼付けが発生する。
以上に示したように、従来のアルミニウム合金製ベー
ンでは、ベーン型回転式圧縮機の主要部品(特にロータ
及びカムリング)のアルミニウム合金化は、その軽量効
果が大きいにもかかわらず、摩耗や焼付けの問題によ
り、実現されなかった。
従って本発明の目的は、ベーン型回転式圧縮機におい
て、軽量化を目的として主要部品(特にロタ及びカムリ
ング)をアルミニウム合金化しても、摩耗や焼付けなど
の問題が生じない摺動特性の良好なアルミニウム合金製
ベーンを提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、ベーン
母材を特定の組成の高硬度アルミニウム合金とし、その
ベーン母材に特定の厚さと硬度を有し、高硬度粒子ある
いは自己潤滑機能を有する粒子が分散しているニッケル
系めっき層を設けることで、ベーン型回転式圧縮機のベ
ーン以外の各部品をアルミニウム合金化しても、ベーン
と各部品との摺動による摩耗や焼付けの問題が生じない
ことを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の回転式圧縮機用ベーンは、Fe、M
n、Ni、Cr、Co、V及びMoの遷移元素のうち少なくとも
1種を合わせて5〜10重量%含有しており、ロックウェ
ル硬度B(HRB)が85以上のアルミニウム合金からな
り、その表面部の少なくともカムリングとの摺接面及び
ロータとの摺接面に、厚さが3〜30μmでマイクロビッ
カース硬度(HMV)が400〜1000で、高硬度粒子又は自己
潤滑機能を有する粒子が分散したニッケルを主体とする
めっき層を設けたことを特徴とする。
特に本発明の回転式圧縮機用ベーンは、めっき層に粒
径が0.1〜5.0μmの高硬度もしくは自己潤滑機能を有す
る粒子を面積率で5〜40%分散させることにより、より
高い摺動特性を有することができる。
さらに、本発明の回転式圧縮機用ベーンのめっき層
に、必要に応じて、リンを1〜10重量%含有させること
で、さらにめっき層の硬度を高めることができる。
本発明を以下詳細に説明する。
本発明の回転式圧縮機用ベーンの母材は、Fe、Mn、N
i、Cr、Co、V及びMoの遷移元素のうち少なくとも1種
を合わせて5〜10重量%含有する、HRB85以上のアルミ
ニウム合金からなる。
硬度がHRBで85より小さいと、摺動時に負荷される荷
重によって、めっき層の陥没が起こり、めっき皮膜の剥
離が発生しやすくなる。さらに熱負荷が加わった状態で
もほぼ同等の硬度を維持することが必要であるが、この
ようにアルミニウム合金の高硬度化及び熱負荷の加わっ
た状態での硬度の低下の防止のためには、上記遷移元素
が必要である。
遷移元素の添加量の総量が5重量%未満では、耐熱性
が不十分であって、熱負荷が加わった状態での硬度の低
下を防止できず、摺動時に負荷される荷重により、めっ
き層の陥没が起こりめっき皮膜を剥離が発生しやすくな
る。また10重量%を超えると耐熱性は十分であるが、熱
間押出しが困難となり、生産性が低下するので、その範
囲は5〜10重量%とする必要がある。好ましくは合計で
5〜8重量%である。
上記遷移元素の中で、特にFeが好ましい。
本発明のベーンの母材のアルミニウム合金は、さらに
Si、Cu、及びMgを含有する。Siは、アルミニウム合金の
高硬度化に有効であり、Cu及びMgはともに時効硬化性を
付与して硬度を上昇させ、機械的強度を高めるととも
に、耐摩耗性の向上に寄与する。本発明の目的にはSiを
14〜22重量%、Cuを3〜5重量%、Mgを0.5〜1.5重量%
とするのが好ましい。
さらに本発明の回転式圧縮機用ベーンは、少なくとも
カムリングとの摺接面及びロータとの摺接面に高硬度粒
子あるいは自己潤滑機能を有する粒子が分散し、耐摩耗
性の優れたNiを主体とするめっき層を有する。めっき層
の厚さは3〜30μmである。3μmより薄いと長期間の
摩耗に耐えられず、また30μmを超えると母材との密着
性が悪くなり、剥離しやすくなる。
めっき層の硬度はHMVで400〜1000である。硬度が400
未満の場合は耐摩耗性が十分でなく、また1000を超える
とめっき層が脆くなり、母材から剥離しやくなる。特に
好ましい硬度の範囲はHMVで550〜900である。
さらに本発明ではめっき層の耐焼付け性及び耐摩耗性
をより向上させるために、めっき層中に必須のものとし
て高硬度粒子を分散させる。
高硬度粒子として、Al2O3、SiC、Si3N4、TiN及びダイ
アモンド等の耐硬度セラミック粒子等を用いることがで
きる。
高硬度粒子を含有する場合、粒径が小さく含有量が多
いほどめっき層の硬度は上昇し、耐摩耗性が発揮される
が、粒径が小さすぎると、めっき層に分散しにくくな
る。従って、粒子の粒径は0.1〜5μmとする。また、
めっき層中の粒子の含有量は、面積率で5%以下では耐
摩耗性が不十分であり、40%を超えると、めっき層は脆
くなり母材と剥離し易くなるため、5〜40%とする。
また本発明では、めっき層に自己潤滑機能をもたせる
ために、高硬度粒子の代わりにめっき層中に自己潤滑機
能を有する粒子を分散させても良い。このような粒子と
して、黒鉛、MoS2、及びBN等の粒子を用いることができ
る。
自己潤滑機能を有する粒子を含有させる場合は粒径が
小さすぎても大きすぎても粒子が分散しにくいので、粒
径は高硬度粒子の場合と同様、0.1〜5μmとする。ま
た、めっき層中の含有量は面積率で5%以下では耐摩耗
性が不十分であり、40%を超えるとめっき層の強度が低
下するため、前記高硬度粒子と同様、5〜40%が好まし
い。
高荷重の摺動条件下では、高硬度セラミック粒子を分
散させたほうが自己潤滑機能を有する粒子に比べ、耐摩
耗性に優れる傾向にある。
さらに、本発明では、めっき層の強靭性、母材との密
着性及び耐摩耗性を高めるために、めっき層の成分とし
てP、Coなどの他の元素を添加してもよい。
Pの含有量は1〜10重量%が好ましい。Pを添加する
ことにより、熱硬化処理によってめっき層の硬度は上昇
し、耐摩耗性が向上する。含有量が1重量%未満では所
望の耐摩耗性向上効果が得られず、10重量%を超えると
硬度は上昇するが、めっき層が脆くなり母材から剥離し
やすくなる。
Coの含有量は10〜40重量%が好ましい。Coを添加する
とめっき層の強靭性、及び母材との密着性が良好とな
る。含有量が10重量%未満では上記特性が十分に得られ
ず、40重量%を超えても、その効果が著しい変化はな
く、経済的ではない。
以上のようなめっき層の形成方法は、電解めっき法、
あるいは無電解めっき法のどちらでもかまわない。しか
し、無電解めっき法はめっき浴の劣化が速く、浴組成の
管理が煩雑でコスト高となるので、電解めっき法の方が
好ましい。
〔作 用〕
アルミニウム合金にFe、Mn、Ni等の遷移元素を添加す
ることにより、熱負荷が加わった条件下での硬度の低下
を防止できる。このようなアルミニウム合金製ベーン母
材に、母材との密着性がよく高硬度のニッケルを主体と
するめっき層を設けているので、ベーンがアルミニウム
合金製のカムリングやロータ等の部品と摺動した際の耐
摩耗性及び耐焼付け性が一層向上している。
〔実施例〕
本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳細に説明
する。
実施例1〜4、比較例1〜5 第3図に示す試験装置により摩耗試験を行うために、
次に示すピン及びドラムを作成した。なお第3図におい
て、31はピン、32はドラム、33は重り、34は滴下ノズル
を示す。
ドラムの作成 下記第1表に示す組成のアルミニウム合金をホットト
ップ式連続鋳造法により作成し、T6処理を施した後、ド
ラムI、IIとした。
ピンの作成 上記第1表に示す組成のアルミニウム合金を、エアア
トマイズ法による急冷凝固粉末を冷間静水圧プレスで圧
縮成形し、これを熱間押出しすることにより得た。この
アルミニウム合金にT6処理を施した後、5mm×5mm×20mm
で先端が6Rの曲面を有するピン材とした。
このピン材に第2表に示すような各めっきを施し、ピ
ン〜とした。
なお、上記各めっき層は以下の通り作成した。
(a):Niめっき層 硫酸ニッケルを主成分とするワット浴で、浴温55℃で
処理を行った。
(b):Ni−SiCめっき層 (a)のめっき浴中に、粒径0.2〜1.5μmのSiC微粒
子を懸濁させ、浴温55℃で処理を行った。
(c):Ni−Pめっき層 硫酸ニッケルと、塩化ニッケルと、次亜リン酸ソーダ
とを主成分とするめっき液で、浴温60℃で処理を行い、
200℃で1時間の硬化処理を行った。
(d):Ni−P−Si3N4めっき層 (c)のめっき浴中に粒径0.3〜1.6μmのSi3N4微粒
子を懸濁させ、浴温60℃で処理を行い、同じく200℃で
1時間の硬化処理を行った。
(e):Ni−P−BNめっき層 (d)のめっき層で粒径0.3〜1.6μmのSi3N4微粒子
のかわりに粒径1〜5μmのBN微粒子を用いた以外、同
じ方法でめっき及び硬化処理を行った。
また、それぞれのめっき層は、ピンのR面に膜厚40〜
60μmに施し、めっき後に砥石ラップを行い、最終的な
めっき層の厚さを10〜17μmとした。
なお、微粒子を添加するめっき(b)、(d)及び
(e)において、めっき皮膜中の各添加物の含有率は、
めっき液の種類や添加する粒子の種類によらず、面積率
で12〜17%であった。なお面積率の測定は画像解析装置
により行った。
摩耗試験 下記第3表に示すピンとドラムの組合せで、第3図に
示すピン−ドラム型摩耗試験機を用いて、摩耗試験を各
3回行った。
第3図において、ドラム32の外周面に、重り33による
一定の接触荷重下で、ピン31が接触しており、接触面に
は滴下ノズル34より潤滑油としてパラフィン系冷凍機油
が毎分500cc滴下されるようになっている。ドラム32が
駆動装置(図示せず)によって矢印方向に回転すると、
ドラム32の外周面と、5mm×5mm×20mmで6Rの曲面を有す
るピン31の先端面との摩擦によって、ピン31の先端面及
びドラム32の外周面が摩耗する。そこで、一定の摩擦距
離において摩耗した量をもってピンの耐摩耗性とした。
試験条件は次に示す通りであった。
摺動速度:5m/sec 摺動距離:150km 荷 重:15kg 結果を第3表にあわせて示す。
第3表から明らかなように、実施例1〜4は、表面処
理を全く施さない比較例4、5に比べてピンの摩耗量が
少ない。比較例3は、ピンのめっき層のHMVが400未満で
あるので、やはりピンの摩耗量は多い。また、比較例
1、2は、ピンのめっき層のHMVは400以上であるが高硬
度粒子又は自己潤滑機能を有する粒子が分散していない
ので、ピンの摩耗量は多い。
実施例5〜11 本発明のベーンとの摺動による耐久試験を行うため
に、第4表に示す2種類のアルミニウム合金をカムリン
グ材とし、また第5表に示す4種類のアルミニウム合金
をロータ材とし、それぞれにT6処理を施した。なおカム
リングは、カムリング材を機械加工により所定の形状と
することにより作製した。
第5表に示すロータ材用アルミニウム合金において、
Pはアルミニウム合金をDC鋳造により直径φ320mmのビ
レットとし、これを熱間押出し成形し、ロータ材とした
ものであり、Q、R、Sはホットトップ式連続鋳造材で
ある。(Rは熱間押出しせずにφ70mmのビレットをその
ままロータ材とし、Q、SはPと同様に熱間押出し成形
した。)これらのロータ材P〜Sを切断後、T6処理を行
ない、5つのベーン溝を機械加工により設け、所定形状
にした後、鋳造シャフトを結合させ、ロータ外径、溝
部、ロータ端面の仕上加工を行い、ロータとした。
ロータ材の硬度及び基地中の共晶または初晶のSiの平
均粒径はT6処理後に測定した。その結果を第5表にあわ
せて示す。なお、平均粒径は画像解析装置を用いて円相
当径として求めたものである。
第6表に示す6種類の組成のアルミニウム合金をそれ
ぞれ熱間押出し成形し、得られた成形品を切断し、T6処
理を施し、機械加工及び表面処理を行い、ベーンとし
た。各ベーンの硬度も第6表に合わせて示す。
なお、ベーン材A、B、C、D、Eのアルミニウム合
金はエアアトマイズにより得た急冷凝固粉末を冷間水圧
ブレスで圧縮成形し、これを熱間押出ししたものであ
り、ベーン材Fのアルミニウム合金はホットトップ式連
続鋳造法により直径φ90mmのビレットとし、これを熱間
押出し成形したものである。
第6表に示したベーン母材を切断し、T6処理を行なっ
た後、所定形状に機械加工したものにめっき処理を行
い、本発明の回転式圧縮機用ベーンとした。なおめっき
処理では、アルカリによる脱脂処理後にジンケート処理
を施し、ニッケル(Ni)系複合めっき、ニッケル−リン
(Ni−P)系複合めっきをそれぞれ行なった。
実施例5〜11では、ニッケル(Ni)系複合めっきとし
て、Ni−SiCめっき及びNi−Si3N4めっきを用い、ニッケ
ル−リン(Ni−P)系複合めっきとしてNi−P−SiCめ
っき、Ni−P−Si3N4めっき及びNi−P−BNめっきを用
いた。
Ni−SiCめっきは、上記ピンの作成の欄におけるNi−S
iCめっきと同じ方法で処理を行った。
Ni−Si3N4めっきは、上記Ni−SiCめっきにおいてSiC
微粒子を粒径0.2〜1.5μmのSi3N4微粒子とした以外、
同じものである。
Ni−P−Si3N4めっきは、上記ピンの作成の欄におけ
るNi−P−Si3N4めっきにおいて粒径0.3〜1.6μmのSi3
N4微粒子を粒径0.2〜1.5μmのSi3N4微粒子とした以
外、同じ方法で処理を行い、Ni−P−SiCめっきは、Si3
N4微粒子を粒径0.2〜1.5μmのSiC微粒子とした以外、N
i−P−Si3N4めっきと同じ方法で処理を行い、Ni−P−
BNめっきは、上記ピンの作成の欄におけるNi−P−BNめ
っきと同じ方法で処理を行った。
それぞれのめっき皮膜を、カムリング内周面と摺接す
るベーン頂面と、ベーン−溝面と摺接するベーン側面に
50〜80μmの厚さとなるように施した。その後、砥石ラ
ップを行ない所定寸法とし、最終的なめっき皮膜の厚さ
を5〜12μmとした。
めっき皮膜の硬度は、ニッケル(Ni)系複合めっきで
HMV450〜500であり、ニッケル−リン(Ni−P)系複合
めっきでHMV700〜750であった。また、それぞれの複合
めっきにおいて粒子の含有率は、めっき液の種類及び添
加する粒子の種類によらず、面積率で15〜25%の間であ
った。なお、面積率の測定は画像解析装置により行なっ
た。
第7表に示した材料及びめっき皮膜の組合せにより、
コンプレッサー各部品を作成し、実機において耐久試験
を行なった。耐久試験の条件は、回転数550rpmで連続運
転し、吐出圧力を28kg/cm2G、吸入圧力4kg/cm2Gの過負
荷状態として、トルク及びオイルの汚れを監視し、異常
時に止めて、コンプレッサーを分解し、各部品の摺動面
に目視評価を行なった。
なお、トルク及びオイルの汚れに異常のないものにつ
いては750時間運転後停止し、同様の分解調査を行なっ
た。結果を第8表に示す。
比較例6、7 実施例5において、Ni−SiCめっきをNiめっき(ピン
合成例のNiめっきと同一)にし、実施例8のNi−P−Si
3N4めっきをNi−Pめっき(ピン合成例のNi−Pめっき
と同一)にした以外、同じ条件でコンプレッサーを構成
し、実施例5〜11と同様の耐久試験を行った。結果を第
8表に示す。
比較例8〜10 母材をD、Fとした以外それぞれ第7表に示す組合せ
で、コンプレッサーを構成し、同様の耐久試験を行っ
た。結果を第8表に示す。
比較例11 実施例5において、めっきを施さないベーンを用いた
以外同じコンプレッサーを用いて、同様の耐久試験を行
った。結果を第8表に示す。
比較例12 カムリング材料Y、ロータ材料S、及びベーン母材F
を用い、ベーンにめっきを施さずにコンプレッサーを構
成し、同様の耐久試験を行った。結果を第8表に示す。
第8表の結果からわかるように、実施例5〜11は750
時間運転できた。その後の分解調査結果においては、僅
かに摩耗が進行しているものの、従来の鉄系材料で各部
品を構成したコンプレッサーでの摩耗の状態と比較して
ほぼ同等であった。
比較例6〜12は、オイルの汚れにより2〜400時間の
運転で停止している。しかも、分解調査の結果、カムリ
ング内周面、ベーン、及びロータの摩耗や傷も多く発生
している。特にベーンにめっきを施していない比較例1
1、12においては、停止時間が極端に短かった。
また、Fe、Ni等の遷移元素の含有率が5重量%以下の
ベーン母材を用いた比較例8〜10においては、摩耗や傷
以外に、皮膜の一部に剥離がみられた。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明の回転式圧縮
機用ベーンは、アルミニウム合金との間で優れた摺動特
性を有しているので、カムリング及びロータをアルミニ
ウム合金化しても摩耗の進行は僅かであり、その度合は
ほぼ従来の鉄系材料で各部品を構成したコンプレッサー
での摩耗と比較して同等であった。
このベーンを用いることで、軽量の耐久性のよいベー
ン型回転式圧縮機を実現できる。
また、ベーン型回転式圧縮機の各部品がアルミニウム
合金であるため、ベーンとロータ及びサイドブロックの
クリアランスを大きく設定する必要もなくなり、ベーン
型回転式圧縮機の圧縮効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のベーンを使用したベーン型回転式圧縮
機を概略的に示す縦断面図であり、 第2図は第1図のA−A断面図であり、 第3図は摩耗試験に用いる試験装置の概要を示す側面図
である。 1……ケーシング 2a、2b……サイドブロック 3……カムリング 4……軸 5……ロータ 6……ベーン溝 7……ベーン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−16988(JP,A) 特開 昭64−32087(JP,A) 特開 昭63−154883(JP,A) 実開 昭62−170757(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe、Mn、Ni、Cr、Co、V及びMoの遷移元素
    のうち少なくとも1種を合わせて5〜10重量%含有して
    おり、ロックウェル硬度B(HRB)が85以上のアルミニ
    ウム合金からなり、その表面部の少なくともカムリング
    との摺接面及びロータとの摺接面に、厚さが3〜30μm
    でマイクロビッカース硬度(HMV)が400〜1000であり、
    かつ高硬度粒子又は自己潤滑機能を有する粒子を含有す
    るニッケルを主体とするめっき層を設けたことを特徴と
    する回転式圧縮機用ベーン。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の回転式圧縮機用ベーンに
    おいて、前記めっき層に粒径が0.1〜5.0μmの高硬度粒
    子が面積率で5〜40%分散していることを特徴とする回
    転式圧縮機用ベーン。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の回転式圧縮機用ベーンに
    おいて、前記めっき層に粒径が0.1〜5.0μmの自己潤滑
    機能を有する粒子が面積率で5〜40%分散していること
    を特徴とする回転式圧縮機用ベーン。
  4. 【請求項4】請求項2又は3に記載の回転式圧縮機用ベ
    ーンにおいて、前記めっき層がリンを1〜10重量%含有
    することを特徴とする回転式圧縮機用ベーン。
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