JPH02136586A - ベーン型圧縮機 - Google Patents

ベーン型圧縮機

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Publication number
JPH02136586A
JPH02136586A JP28850888A JP28850888A JPH02136586A JP H02136586 A JPH02136586 A JP H02136586A JP 28850888 A JP28850888 A JP 28850888A JP 28850888 A JP28850888 A JP 28850888A JP H02136586 A JPH02136586 A JP H02136586A
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JP
Japan
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rotor
vane
cylinder block
iron
aluminum alloy
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Application number
JP28850888A
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English (en)
Inventor
Fumio Kiyota
清田 文夫
Shuji Yokozeki
横関 修史
Yasushi Watanabe
靖 渡辺
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Riken Corp
Original Assignee
Riken Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C21/00Component parts, details or accessories not provided for in groups F01C1/00 - F01C20/00
    • F01C21/08Rotary pistons
    • F01C21/0809Construction of vanes or vane holders

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、冷媒ガス等の気体を圧縮するベーン型圧縮機
に係り、特に車両積載空調用として摺動部品の材料と表
面処理の改善により著しく軽量化し且つローターとシャ
フトとの結合を強固としたベーン型圧縮機に関するもの
である。
(従来技術) ベーン型圧縮機は、通常円筒型又は楕円型の内円筒形状
を有するシリンダブロックの両側にサイドプレートが固
定されて圧縮機本体が構成されており、この圧縮機本体
内にローターを配置し、このローターには放射方面に向
けて複数個のベーン溝を設け、ベーンを出没自在に挿入
し、このベーンを前記シリンダブロックの内周面に押し
つけながら前記ローターを回転させることによりベーン
で仕切られた圧縮室の気体を圧縮するようになっている
このベーン型圧縮機は、車両に積載されて空調を行なう
目的で多用されている。近年前輪即動の乗用車が多くな
り、ボンネット内部にはエンジンや変速機とともに多く
の機器が集合し、重量が車体前部に集中するためエンジ
ンや変速機と共にボンネット内部に設置される圧縮機も
燃費向上の見地から軽量化が強く求められている。
ベーン型圧縮機は、すでにケーシングやベーンはアルミ
ニウム合金が使用されており、更に軽量化を進めるため
には、摺動部分を持つ部品(シリンダブロック、ロータ
ー、サイドプレート)についてまでもプラスチックやア
ルミニウムのような軽量材質で部品を構成しなければな
らない。これらの部品は使用温度が高く摺動条件も苛酷
なためプラスチック材よりもアルミニウム合金が適する
と考えられる。
先ず、従来のベーン型圧縮機の主要部品の構成について
説明する。
シリンダブロックは、摺動特性や機械加工性が良好なこ
とがら片状黒鉛鋳鉄が一般的に用いられている。
ローターは、軸と一体の鋼材や、鉄系の焼結合金のロー
ターを鋼製軸に圧入したものが多く用いられている。
サイドプレートは、ローターやベーンと摺動する面の耐
焼付性が求められることから、保油性の良好な材料であ
る片状黒鉛鋳鉄や鉄系の焼結合金が多く用いられている
以上のように、摺動上からの材料組合せや、ローターと
シャフトの結合については配慮されたものとなっている
。しかし、次のような問題点を有している。
(発明が解決しようとする課題) ベーンは、シリンダブロックの内周面に押しつける力と
して潤滑油の圧力の他に遠心力が作用するため軽量であ
ることが必要で、しかもローター溝の加工方法の制約で
溝の寸法を小さくできないことから、どうしても材質を
軽量なものとせざるを得ない。このため、耐摩耗性に優
れている高Siアルミニウム合金が現在一般的に用いら
れている。然し、前述の鉄系材料からなるシリンダブロ
ックやローター材に比べて高Siアルミニウム合金の熱
膨張係数は5〜9X10  /”Cも大きいためにベー
にとサイドプレートの間のクリアランスと、ベーンとロ
ーター溝lJのクリアランスを大きく設定する必要があ
り、このため運転初期の温度が低い状態では圧縮機の性
能が低くなっている。
しかもクリアランスを確保するため各部品は厳しい寸法
精度で製造管理することが必要で、さらに寸法毎にラン
ク分けして各部品を選択嵌合して圧縮機を組み立ててい
るのが実情である。
ベーン型圧縮機における上記の課題の改良や、軽量化を
目的としてベーン以外の摺動面を持つ部品(シリンダブ
ロックやローター、サイドプレート)をアルミニウム合
金とした構造とすることは容易に考えられるところであ
る。しかし、摺動上の問題とローターと鋼製シャフトと
の結合が困難であり、結合強度も不十分であったため、
これらの部品のアルミニウム合金化は軽量化効果が太き
いにもかかわらず実現されていなかった。
これらの主要部品のアルミニウム合金化に伴う摺動上の
問題について説明する。
シリンダブロックとベーンの間では、焼付やベーンの摩
耗が問題となっている。特に、低速高負荷のような温度
が上昇する使用条件下では、摺動面間の油膜が薄く切れ
易くなるために、ベーン及びシリンダブロック内周面に
著しい摩耗を発生する。シリンダブロックやベーンを耐
摩耗性に優れたA390合金のような高Siアルミニウ
ム合金としても摩耗の問題点は解決されない。
ローターとベーン間では、ローターの溝面とこれに1.
’?動するベーンの側面との間の焼付が問題となってい
る。ベーンはローターの溝の中を往復動するが、この部
分は潤滑効果が不十分なため摩耗と焼付が生ずる。ロー
ターめ材質を高Siアルミニウム合金とすることで、焼
付の傾向は緩和されるが、始動時には潤滑油の皮膜が摺
動面に存在しないことが多く、始動の繰り返しをすると
摺動面に発生する傷が大きくなり、やがて焼付を発生し
てしまう。
サイドプレートとローターの間、及びサイドプレートと
ベーンの間では、何れも焼付が問題であり、特にサイド
プレートとローターとの間では、大きなスラスト方向の
力が負荷されるため、焼付が発生し易い。
次に、もう一つのアルミニウム合金化を妨げていたアル
ミニウム合金製ローターと鋼製シャフトの結合構造上の
問題について説明する。
ローターをアルミニウム合金とすると、鋼製シャフトと
の結合も大きな問題であった。従来は、このような円筒
形状の部材をシャフトに結合する方法としては、焼きば
め、冷しばめ、圧入が一般的に実施されている。これら
の結合方法では、結合工程の問題と使用時の問題がある
先ず、結合工程での問題は次のようである。
焼きばめでは、締め代は一般的には1/1000〜3/
1000である。アルミニウム合金の熱膨張係数はA3
90合金のような場合では約18X10−”/’Cであ
るから、計算上の焼きばめ温度は60〜170℃となる
。しかし実際の作業ではこれより100〜150℃高い
温度とするのが通常である。このような温度で加熱保持
されることにより、アルミニウム合金は硬度や強度の低
下をきたすほか、シャフトの挿入時にシャフトとロータ
ーの軸方向接触距離が長いため、接触により焼付を生じ
易いという問題点がある。
冷しばめは、シャフトを冷却して収縮させてローターに
挿入する方法であるが、上記の締め代を確保するために
は一200℃以下の温度に保持する必要がある。シャフ
トは質量が小さいため容易に温度が上昇し挿入時のクリ
アランスを確保しにくく焼付を生じやすい。
圧入では、シャフトとローターの軸方向接触距離が長く
、クリアランスも無いために容易に焼付を生じてしまう
一度焼付を生じたローターの内周面は損傷がひどく再生
不能である。
次に、アルミニウム合金製ローターと鋼製シャフト結合
体の使用時の問題点について述べる6ローターとシャフ
トの雰囲気温度範囲は、−40〜150℃程度であり、
場合によっては200℃に近い温度に達することもある
。従って前述の焼きばめや、圧入の締め代では、シャフ
トに比ベアルミニウム合金製ローターの熱膨張係数が大
きいため、大きな負荷トルクに耐えきれない。この対策
として締め代を増加することが考えられるが、締め代の
増加はローターに発生する周方向の引張応力を増大させ
、はめ合い時や、使用時にローターの薄肉部や端部に応
力が集中しクラックを生じてしまうために対策としては
採用できない。
スプラインやセレーション締結では、大きなトルクの伝
達が可能であるがローターの外部の軸までスプラインや
セレーションが設けられているとその溝底に曲げとねじ
りの応力が集中し軸の疲労強度が低下する。ローターの
両側面にスプラインやセレーションが設けられていると
ローターも応力集中によりその箇所から破壊しやすくな
る。またローターと軸との間にクリアランスがどうして
も存在するために、そこに切り粉が入り込みやすく使用
時に切り粉が摺動面に出てきて摩耗傷をつけ、焼付を発
生させたり、シール性を阻害する等の問題を生じる。ま
た、圧入時に焼付のトラブルを生じやすい問題もある。
(発明の目的) 本発明は、上記のようなベーン型圧縮機の摺動面を有す
る部品をアルミニウム合金化するに当り発生する問題点
を解消し、軽量なベーン型圧縮機を提供する目的でなさ
れたものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明はベーン型圧縮機の摺動面を有する部品をアルミ
ニウム合金化するに当り発生する問題点を解消するため
次のような構成とした。
先ず第1の発明として、摺動上の問題を解決するために
次のような材料と表面処理の組合せを主要部品について
行なった。
シリンダブロックを耐摩耗性に優れた過共晶Siアルミ
ニウム合金とした。特に好ましくはSi:14−25重
@で、Cu:3−8重tg、Mg : 0゜1〜2.0
重量%のような成分とし、残部が実質的にAQによりな
る化学組成を有し、T6もしくはT7処理をして使用す
る。
ローターは、サイドプレート及びベーン側面との摺動特
性と、軸との結合強度、及びベーンを収容する溝底の強
度並びに製造面(熱間押出性、セレーション部の結合性
)の要求特性を満足するためSiを多く含有するアルミ
ニウム合金とした。
特に好ましくは、Si:10−18重量%、Cu:2〜
8重量%、Mg:O,1〜2.0重量%のような成分と
し、残部が実質的にAQによりなる化学組成を有し且つ
基地中のSi粒子の大きさが平均粒径で3μm以上であ
る組織を有しT6もしくはT7処理をしシリンダブロッ
ク及びベーンとの熱膨張係数の差が3X10−’/”C
以下のものを使用する。
サイドプレートはアルミニウム合金からなり、且つ少な
くともローターとベーンとが摺動接触する内側面が鉄系
材料となるよう鋳ぐるみまたは圧入で一体化する。
ベーンは、本体をシリンダブロック及びローターと熱膨
張係数の差が3 X 10””/’C以下のアルミニウ
ム合金とし、更にシリンダブロックと摺動する頂面、ロ
ーターの溝部と摺動する側面にそれぞれ鉄またはニッケ
ルを主体とするめっき層を2〜100μm設けたものと
する。
前記めっき層中に粒径0.2〜1.5μmの微細なセラ
ミック粒子(SiCやSi、N、の粒子等)を分散させ
ても好ましい結果が得られた。
次に第2の発明として、アルミニウム合金製ローターと
シャフトの結合構造上の問題を解決するため、次の構成
とした。前記組成と熱膨張係数を有するアルミニウム合
金製ローターは、該ローターのボアの内周面に3段以上
の順次内径の異なる複数個のはめ合い部が設けられてい
て、少なくとも両端部に位置するはめあい部が鋼製シャ
フトと圧入により締まりばめの状態で結合され、中間に
位置する残るはめあい部は、鋼製シャフトの外周面に形
成されたセレーションの凹部に喰いこみ且つ締まりばめ
の状態で該鋼製シャフトに結合されている構造とした。
(作用) 先ず、摺動上の対策として、 ■シリンダブロックとベーン間; シリンダブロックは耐摩耗性に優れた過共晶Siアルミ
ニウム合金とする。特に好ましくはSi:14〜25重
量%、Cu:3〜8重址%、Mg:0.1〜2.0重量
%を必須の成分とし、残部が実質的にAQによりなる化
学組成を有し、T6又はT7処理をして使用することで
、ベーン頂面に設けられた鉄又はニッケネルを主体とす
るめっき層と優れた摺動上の相性が得られる他にシリン
ダブロックの剛性、強度が確保される。 過共晶Siア
ルミニウム合金はアルミニウム合金の基地中に硬い初晶
シリコン粒子が分散することにより優れた耐摩耗性や耐
焼付性を発揮するが、Siが14重量%未満ではアルミ
ニウム合金基地中に分散する硬質の初品Si粒子が少な
く耐摩耗性や耐焼付性が不充分である。他方、Siが2
5重量%を超える場合は、初晶Si粒子が粗大な形状と
なり強度や靭性を低下させる。又シリンダブロックは金
型鋳造で製造し、機械加工により仕上げられるがSiが
25重量%を超える場合は鋳造時の溶湯温度を高くする
必要があり、金型の寿命が短くなるほか内部の巣等の欠
陥を生じ易くなる。又機械加工性や工具寿命が著しく低
下する。このようなことから、Siは14〜25重lt
%の範囲とした。
CuとMgは熱処理(溶体化機時効硬化処理)によりア
ルミニウム合金の基地の硬さと強度を確保する目的で不
可欠の元素である。
Cuは3重1%未満では熱処理による時効硬化でも満足
すべき強度が得られず、他方8重量%を超えると材料の
脆化と耐蝕性が悪くなる。従って3〜8重量%とじた。
Mgは0.1重量%未満では熱処理による時効硬化でも
満足すべき強度が得られず、他方2.0重量%を超える
と材料が脆化する他、鋳造性も低下する。従って0.2
〜2.0重量%とじた。上記組成のアルミニウム合金を
T6又はT7の熱処理を行って用いる。硬度は、HRB
75以上が必要で特に好ましくは80〜90の範囲であ
る。尚、潤滑油が不足する際の摺動特性の向上及び機械
加工性を目的としてpbを0.5〜3.0重量%の範囲
で含有させても良い。
このシリンダブロックの内周面と摺動接触するベーンの
頂面およびローターの溝部と摺接するベーンの側面には
厚さ2〜1100pの鉄又はニッケルを主体とするめっ
き層を設けることで両部材間の摩耗と焼付は実用上問題
ないレベルとなった。
めっき層の厚さが2μm未満では長期間での摩耗に耐え
ず、又下地のアルミニウム合金の硬度が低い場合には負
荷される荷重によって陥没が起こる。
他方100μmを超える場合は密着性が悪くなり、下地
から剥離し易くなる。ベーンに設けるめっきにおいて鉄
を主体とするめっきでは電解めっきのみであるが、ニッ
ケルを主体とする場合では無電解めっきと電解めっきの
どちらの手段によっても良いが、電解めっきの方が無電
解めっきに比べ密着性の優れたものとすることができ、
めっき浴の管理も容易である。めっき層として鉄又はニ
ッケルを主体とする理由は高Siアルミニウム合金と組
合せての摺動特性が硬質クロムめっきのような他の表面
処理との組合せの場合よりも優れていることによる。即
ち、潤滑油の皮膜が存在しにくい摺動条件下で、上記内
容のアルミニウム合金製ローターやベーンとの耐焼付性
が硬質クロムめっきの場合よりも相手のアルミニウム合
金を摩耗させないことによる。この他に熱膨張係数がク
ロムめっきよりも大きくてベーンの下地のアルミニウム
合金との熱膨張係数の差が小さいことから、密着性が硬
質クロムめっきに比べて良好である。又、毒性の少ない
めっき液を用いることができるので作業環境や排水処理
の面でもクロムめっきに比べて優れている。めっき層の
成分として、鉄やニッケルの他に、他の金属元素を含有
させても良い。
ニッケルめっきの場合はコバルトを含有させることで密
着性が良好となる。また、燐を含む組成としても良く、
めっき後の硬化熱処理により高硬度のめつき層が得られ
るが密着性が低下する傾向にある。また、硬化熱処理時
の熱M歴によって下地のアルミニウム合金の強度や硬度
が低下するので下地のアルミニウム合金は耐熱性の優れ
た材質とすることが必要である。下地のアルミニウム合
金の硬度が低い場合には負荷される荷重によって陥没が
起こる。めっき層の厚さは2μmより薄いと長期間での
摩耗に耐えず、他方]−〇〇μmを超えると密着性がが
悪くなり、下地から剥離しやすくなる。鉄めっきの硬度
はHm V 450−550の範囲であり、ニッケルめ
っきの硬度はHmV350〜500である。ニッケルー
燐のめっきで硬化熱処理をしたものの硬度はHmV70
0〜1000の範囲である。尚、鉄を主体とするめつき
では空気中での放置で錆を発生しやすいことから、鉄め
っきの上に錫を1〜5μmの厚さで施すことは防錯の効
果と摺動時の初期なじみ性を良くし耐摩耗性や耐焼付性
を向上させる効果がある。
■ローターとサイドプレートの間: ローター材は、シリンダブロック及びベーンとの熱膨張
係数の差をおさえたものとすることが必要である。ロー
ター材の熱膨張係数が大きいと運転中の温度上昇により
ローターは膨張してサイドプレートに強く接触し焼付を
生じるためサイドプレートとのクリアランスを大きく設
定しなければならず、コンプレッサーとしての圧縮効率
が低下する。ローター材の熱膨張係数が小さいと運転中
の温度」1昇によりサイドプレートとクリアランスが広
がるため圧縮効率が低下する。これらのことからロータ
ー材とシリンダブロック材及びベーン材の熱膨張係数の
差は3 X 10−”/’C以下とした。
更にローター材は、繰り返し受ける応力や液圧縮状態で
の衝撃的な応力に対し安全なものでなければならない。
このため高強度と靭性が必要であるため、鋳造組織を破
壊するような材料の流れを与える製造方法が好ましい。
このためには、熱間押出が最適である。熱間押出による
製造では、ベーンの出入りする溝部形状を熱間押出時に
、ダイスでこれに近い形状とすることが出来るため、後
の加工が楽となる経済的な利点もある。
ローターに使用する合金は以上の要求と摺動上の要求か
らSi:10〜18重量%、Cu:2−8重量%、Mg
:0.1〜2.0重量%の成分とし、残部が実質的にA
Qによりなる化学組成を有し、且つ基地中のSi粒子の
大きさが3μm以上である組織を有しT6又はT7処理
をして、サイドプレート内側面に一体化する鉄系材料と
の組合せで優れた耐摩耗性や耐焼付性を発揮する。
Siが10%未満では、熱膨張係数が大きくなる他、ア
ルミニウム合金基地中に分散する硬質Si粒子が少なく
耐摩耗性や耐焼付性が不充分である。
他方、Siが18%より多くなると、初晶Si粒子が粗
大となり強度や靭性を低下させる。又ローターは熱間押
出後、機械加工して製造されるが、Siが多くなると、
押出加工時に高い押出圧力が必要となり又押出速度も遅
くすることが必要であり、従って生産性も悪く、又金型
の寿命が短くなるほか、機械加工性も低下する。又シャ
フトの外周面に設けられたセレーションに喰い込ませる
ことが困難となる。
CuとMgは熱処理(溶体化機時効硬化処理)によりア
ルミニウム合金の基地の硬さと強度を確保する目的で不
可欠の元素である。Cuは3%未満では熱処理による時
効硬化でも満足すべき強度が得られず、他方8%を超え
ると材料の脆化と耐食性が悪くなる。従って3〜8重量
%とした。
Mgは0.1重量%未満では熱処理による時効硬化でも
満足すべき強度が得られず、他方2重量%を超えると材
料が脆化するほか熱間での押出性を低下させる。従って
0.1〜2重量%とした。
尚、熱間押出した上記組成のアルミニウム合金をT6又
はT7の熱処理を行なってローターとして使用するが、
硬度はHRT375以上、特に好ましくは80〜100
の範囲として使用するのが良い。
合金基地中の共晶Siや初晶Sjの粒子の大きさが3μ
m以上でないと、ベーンに施されためっき層によってロ
ーターの溝部が摩耗したり焼付を発生する。このため共
晶Siのみしか合金基地中に存在する化学組成域では、
いわゆるDC1J造により大きなビレットを製造しこれ
を熱間押出したものとする必要がある。冷却速度の速い
ホットトップ式の連続鋳造での小さな径の棒材では共晶
Siは2μm以下と小さくローターの摩耗や焼付を引き
起し易い、この他pbを機械加工性の向上や、潤滑油が
不足する使用条件下での摺動特性を向上させる目的で0
.5〜380重量%の範囲で含有させても良い。
サイドプレートはAC8AやADC12のような低廉な
鋳造合金で構成し、且つ少なくともローターとベーンと
が摺動接触する面が鉄系材料となるように鋳ぐるみ、圧
入等でサイドプレートと一体化することで焼付や摩耗の
問題を解決した。
サイドプレートと一体化する鉄系材料は機械加工により
所定の形状寸法に製作する。材質は耐摩耗性や耐焼付性
の見地から、炭素を0.4%以上含有する材質が望まし
い。
尚、鉄系材料の表面にめっきやテフロン系樹脂のコーテ
ィング、ポリアミドイミド樹脂をバインダーとする固体
潤滑剤や硬質粉末のコーティングを行うと摺動時の初期
なじみ性を良くし耐摩耗性や耐焼付性を向上させる効果
がある。
■ローター溝部とベーン側面間: ローターを上記の組成及び基地組織とし、且つローター
の溝部壁面と摺動するベーンの側面に鉄又はニッケルを
主体とするめっき層を2〜100μm設けることにより
従来の摺動上の問題を解決した。めっき層の厚さは2μ
mより薄いと長期間での摩耗に耐えず、又下地のアルミ
ニウム合金の硬度が低い場合には負荷される荷重によっ
て陥没が起こる。他方100μmを超えると密着性が悪
くなり、下地から剥離しやすくなる。それぞれのめっき
層の内容、硬度は前述の通りである。
■サイドプレートとベーン端面: サイドプレートのローターとベーンとが摺動接触する面
が鉄系材料となるように、サイドプレートの内側面に鉄
系材料を鋳ぐるみ又は圧入等で一体化することとベーン
の本体をシリンダブロック及びローターと熱膨張係数の
差が3X10−’/℃以下のアルミニウム合金とするこ
とにより、ベーンの端面との間の摺動上の問題は解決し
た。ベーンをシリンダブロック及びローターと熱膨張係
数の差が3xlO−″/’C以下のアルミニウム合金と
することで、ベーンが熱膨張によりサイドプレートとの
間に設けたクリアランスを保持できることから、熱膨張
による変形でベーンが高い面圧でサイドプレートと接触
することを無くした。又アルミニウム合金とすることで
ベーンの重量を軽減しベーンが慣性でサイドプレートと
接触しても、大きな面圧がベーンとサイドプレートの間
に発生することはなく、更にサイドプレートの摺動面に
設けた鉄系材料により焼付や摩耗を発生することはない
。ベーン用のアルミニウム合金としては、強度、熱膨張
係数及び熱間押出性や表面処理を考慮して選定されるが
、ローター材とほぼ同一の組成の材質とすることが望ま
しい。
次に構造上の対策の作用について説明する。
アルミニウム合金製ローターは、内周面に3段以上の順
次内径の異なるはめ合い部が設けられていて、はめ合い
部の両端部側では圧入によるしまりばめの状態で結合さ
れているため、端部に応力集中を引き起す切り欠きかな
いことからローターの破壊にたいする信頼性を高いもの
とすることができた。又シャフトの外周面も切り火きを
付けないですむことから疲労強度にたいする安全率も高
いものとなった。又シャフトとローターの間にクリアラ
ンスが無いため切り粉を介在することがなく、従来この
間に存在した切り粉が使用時に飛出して摩耗や焼付、シ
ール性のトラブルを引き起していたがその問題も解決さ
れた。残る内側のはめ合い部では鋼製シャフトの外周面
にセレーションが設けられており、シャフトの外周面の
セレーションの凹部に前記ローターが喰い込み且つしま
りばめの状態で結合されている構造とすることで広い温
度範囲にての使用に際しても充分な結合力を持たせるこ
とが出来る。
尚、セレーションのモジュールは0.1〜O025が好
ましい、0.1より小さいと大きなトルクに耐えられな
い、又、0.25を超えると圧入する時に大きな荷重を
必要とし、ローターの変形や場合によっては割れを生じ
る。シャフトのセレーション部は、ローターの軸方向の
寸法により、1個所から2箇所とするが、2箇所の方が
圧入が容易である。セレーションは、インボリュウトセ
レーションよりも三角刃セレーションの方が、シャフト
へのダイスによるセレーション形成が容易であり、又圧
入によってローターの内面に喰込ませることが容易であ
る。シャフトへのセレーション加工は内周面にセレーシ
ョン形状をつけたダイスにシャフトを貫通させることで
行なわれるが、転造によってセレーションをシャフト外
周面に付けてもよい。
(発明の実施例) 実施例−1 先ず、ベーン型圧縮機の構造について第1図、第2図を
用いて説明する0図中にて、楕円形の内周面を有するシ
リンダブロックlの前後開部に一対のサイドプレート2
a、2bが鉄製の板2c、2dと一体となって固定され
て圧縮機本体が構成されている。
この圧縮機本体3内には1円筒状のローター4が配置さ
れており、このローター4の鋼製シャフト5が結合され
ている。この鋼製シャフト5は前記のサイドプレート2
a、2bの軸受部6a、6bに支持され、且つ端部から
駆動力を受は入れるようになっている。前記ローター4
には放射方向に向けて5箇所にベーンを収納するベーン
溝7が設けられ、それぞれのベーン溝にはベーン8が出
没自在に挿入されている。圧縮機本体3内には、シリン
ダブロックl、鉄製の板2c、2dとが一体となってい
るサイドプレート2a、2b、ローター4及びベーン8
で囲まれて成る圧縮室9が設けられている。
圧縮機本体3の周囲は、一方のサイドプレート2aに密
着固定されたヘッドブロックlOと、ヘッドブロック1
0に密着固定されたケース11とに囲まれている。この
ケース11には吐出口12と吸入口13とが形成され、
吐出口12は圧縮機本体3とケース11に囲まれてなる
高圧室14に通じ、吸入口13はカバー15により高圧
室14から区切られた低圧室16に通じている。上記高
圧室14はシリンダブロック1に設けられた吐出弁17
が開くと、吐出孔18を介して圧縮室9からの気体が流
入し、一方、低圧室16はサイドプレート2a、2bに
形成された吸入孔19を介して圧縮室9へ気体を送り込
むようになっている。
又、高圧室14の下部はオイル溜まりとなっており、こ
のオイル溜まりに溜められた潤滑油は、高圧室14の圧
力により、サイドプレート2a。
2bの縦方向に形成された供給孔20a、20b、軸受
部6a、6b及びサイドプレート2a、2bの内面に形
成された供給溝21を介してベーン8をシリンダブロッ
クlの内周面に押しつけるとともに、ベーン溝7とベー
ン8との間の潤滑、サイドプレート2a、2bと該サイ
ドプレートと対向するローター4の端面の間の潤滑、軸
受部の潤滑を行なう。
ローター4が回転して1つのベーン8が吸入孔19を通
過する間に、該1つのベーン8と先行するベーン8との
間に構成された圧縮室9内に低圧室16から気体が吸入
され、この気体は1つのベーン8が吸入孔19を通過す
ると、該圧縮室9内に閉じ込められ、該圧縮室9の容積
が小さくなるに従って圧縮され、先行するベーン8が吐
出孔18を通過する時には吐出弁17が開いて高圧室1
4に吐出される。尚ベーン8が吐出孔18を通過する時
にはベーン8のチャタリングを防止するため背圧室22
は供給溝21より隔離されて独立した空間となる。
シリンダブロックとして、T6処理を行なった金型鋳造
アルミニウム合金材を2種類用意し1機械加工して所定
の形状とした。その分析値と硬度測定結果及び熱膨張係
数(RT〜300℃)の測定結果を第1表に示す。
第1表 尚、平均粒径は画像解析装置を用いて円相5径として求
めたものである。
第2表 ローター材として、ベーン溝部を押出ダイスで設けた熱
間押出材の3種類を準備した。尚、第2表に示すように
供試材C,DはDC鋳造により直径320mmのビレッ
トとしこれを熱間押出した。
供試材Eはホットトップ式連続鋳造材で同様に熱間押出
してローターとした。これら押出素材を切断後T6の熱
処理を行ない所定形状にした後鋼製シャフトと結合させ
ローター外径、溝部、ロータ一端面の仕上げ加工を行な
った。さらにサイドプレートと摺接するロータ一端面の
外周側に第3図に示すような面取りを設けた。ここで長
さQを1m m 、角度0を0.45度とした。これら
の材質の成分、熱膨張係数、及び基地中の共晶Siの平
均粒径を分析した結果を第2表に示す。
ベーン材として、熱間押出して次の2材質の矩形断面積
を有する素材を準備した。これらの素材を切断後熱処理
(T6処理)し、機械加工及び表面処理を行なった。そ
れぞれの分析値、硬度測定結果、熱膨張係数(RT〜3
00℃) al’l定結果を第3表に示す。
第3表 供試材Gは、エアアトマイズにより得た急冷凝固された
粉末を冷間静水圧プレスで圧縮成形しこれを熱間押出し
たものである。供試材Hはホットトップ式連続鋳造材を
は熱間押出したものである。
ベーンは押出し素材を切断しT6の熱処理後所定形状に
加工したものをめっき工程に向けた。めっき工程では脱
脂処理後にジンケート処理した後それぞれのめっき浴で
電解めっきを行った。鉄(Fe)めっきでは硫酸第一鉄
を主成分とするめつき浴中で浴温度60℃で行った。ニ
ッケル(Ni)めっきは硫酸ニッケルを主成分とするワ
ット浴中で浴温度55℃で行った。ニッケルー燐(Ni
 −P)めっきは硫酸ニッケルと塩化ニッケルを主成分
とするナイホロイ浴中で浴温度60℃で行いベーキング
処理後375℃で1時間の硬化処理を行った。それぞれ
のめっき層はシリンダブロックと摺接する頂面およびロ
ーターと摺接する側面について行い、それぞれ60〜8
0μmの厚さにつけた。めっき後砥石によるラップ加工
を行い所定寸法とした。最終的なめっき層の厚さはそれ
ぞれ30〜40μmとした。硬度は鉄めっき層ではHm
V480〜510で、ニッケルめっき層ではHmV37
0〜400、ニッケルー燐めっき層ではHm V 80
0〜850であった。
サイドプレートはローターおよびベーンとの摺接面が鉄
系材料となるように、鉄製の板を鋳ぐるみで一体化した
ものと圧入で一体化したものを製作した。鋳ぐるみで一
体化したものは、鉄製の板を所定寸法に機械加工した後
AC:8A材で鋳ぐるみ鋳造しT6処理後、仕上げ加工
した。圧入で一体化したものは鋳造、T6処理したサイ
ドプレート本体に鉄製の板をそれぞれ機械加工した後圧
入した。尚、試験に供した鉄系材料はSUPSM材とS
K2M材である。
上記のようにして製造されたシリンダブロック。
サイドプレート、ローターと鋼製シャフトとの結合体及
びベーンにて、前記ベーン型圧縮機を組み立てた。尚、
比較のために、表面処理を施さない組合せを含めて第4
表に示す組合せにてコンプレッサーを構成し耐久テスト
を行なった。耐久テストの条件は回転数55Or、p、
mで連続運転し、吐出圧力を28kg/cm”G、吸入
圧力を4kg/cab”Gの過負荷状態として、トルク
変化及びオイルの汚れを監視し、異常時に止めて、コン
プレッサーを分解し各部品の摺動面の目視評価を行なっ
た。
尚、トルク及びオイルの汚れに異常の無いものについて
は、250時間運転後停止し、同様の分解調査を行なっ
た。第5表に、各組合せで耐久テストした結果を示す。
比較例では、オイルの汚れににより1〜14時間の運転
で停止している。これに対し1本発明の実施の組合せで
は250時間運転後間放しての調査結果では、摩耗は進
行しているものの、はぼ従来の鉄系材料で各部品を構成
したコンプレッサーでの摩耗と比較して同等であった。
第4表 第5表 実施例−2 実施例−1で用いたD材にて、第4図、第5図に示すよ
うな外径がφ62i+mで、ベーンを収容する3、6■
の溝部中と溝底がφ6m+*となった5箇所のスリット
を持つ形状に熱間押出を行なってローターの押出素材を
得た。この素材を長さ55mmに切断してT7の熱処理
後第5図に示すような内周に4段の順次内径の異なるは
め合い部23゜24.25.26及び逃げ部27.28
.29を機械加工で設けた。はめ合い部23.24.2
5.26は、内径がそれぞれ18mm、17.5mm、
16.8mm、16.3mmでフラット部の長さはそれ
ぞれ13.5mm、7.5mm、7.5mm、13.5
mmとした。
シャフト5はS 0M420材を機械加工してスプライ
ン部30とモレ−232部31.32はダイスを用いて
塑性加工により形成した。その後焼き入れ焼き戻しの熱
処理を行ない、セレーション部以外の外周面には研磨仕
上げを施した。尚、第6図に示すように、はめ合い部は
動力伝達側(スプライン側)の径寸法を大きくし、ロー
ターの両端部側のはめ合い部23.26は該当するシャ
フトのはめ合い部33.34に対して1/1000〜2
.5/ 1000のしめ代とした。
又、塑性加工で形成されたセレーション部31は歯数9
0でモジュール約0.2とした。セレーション部32で
は歯数86でモジュール約0.2とした。
シャフト5とアルミニウム合金製ローター4の結合は室
温での圧入により行なった。圧入試験は50個について
実施したが、かじりや焼付等の圧入時のトラブルは皆無
であった0次に結合により一体化した状態でローター4
の両端面、外周、スリット部等の仕上げ加工を実施した
セレーション部分の結合状況は、シャフト5に設けられ
たセレーションの歯の間の凹部にローター材4が喰いこ
んだ状態となっている。この部分にも、しまりばめの状
態で周方向の応力がかかっている。完成品のトルクを測
定した結果30kg−m以上のトルクに耐えることが確
認できた。次に完成品を150℃で200時間保持しそ
の後コンプッサーに組み込み液圧縮状態での試験を60
回繰り返した後分解してローター4とシャフト5との結
合状況に異常は無かった。またローター4の応力集中す
るスリット底の部分にも割れは発生していなかった。
(実施例−3) ピン−ディスク型の摩耗試験機を用いて鉄めっき層とニ
ッケルめっき層に対するアルミニウム合金の摩耗試験を
行った。ドラム材はAC8A材としT6処理後実施例−
1にて行ったと同様の方法で各めっき層を外周側に設け
た。ピン材は実施例−1のローター材のC,D、E材の
他にホットトップ式の連続鋳造法でビレットを製造し熱
間押出したI−I −C材、H−D材も比較のため試験
に供した。ピン材はいずれもT6処理を行った。H−C
材とH−D材についての成分分析値と硬度および画像解
析装置によるSi粒径の測定結果を第6表に示す。
摩耗試験条件は周速5 m / s 6 Cで荷重は5
0kg/a#とし、90℃のコンプレッサーオイル(ス
ニソ5GS)を300 c c / m i nの定量
を摺動面にかけながら500kmを走行させた。試験数
はいずれもn=5である。試験後のピンの摩耗量を測定
した結果を第7表に示す。又基地中のSi粒子の平均粒
径(円相光径)とピンの摩耗量の関係として第6図と第
7図に示した。Si粒径の小さいホットトップ式の連続
鋳造材から得たH−C材およびH−D材の摩耗量はいず
れのめっき層を相手としても摩耗量が多い傾向にある。
これに対してほぼ同一組成であるC材、D材の摩耗量は
いずれも少ない。また、比較的大きなSi粒子を基地中
に分散した組織を有するE材の摩耗量は最も少なくまた
バラツキも少ない。
(以下余白、次頁へ続く) 第6表 第7表 (実施例−4) ベーンへのめっきにおいて、鉄又はニッケルを主体とす
るめっき層にセラミック粉末を分散させた実施例につい
て説明する。実施例−1と同様に押出素材を切断しT6
の熱処理後所定の形状に加工したものをめっき工程に向
けた。
ベーンへのめっきは脱脂後ジンケート処理を行った後、
それぞれのめっき浴で電解めっきを行った。鉄(F e
)系複合めっきは、硫酸第一鉄を主成分とするめっき液
に粒径0.1〜1.5μmの微細なセラミック粒子(S
iC又はS iz N4)を均一に懸濁させた浴中で浴
温60℃で処理を行った。
ニッケル(Ni)系複合めっきは硫酸ニッケルを主成分
とするワット浴に前述のセラミック微粒子を均一に懸濁
させた浴中で浴温55℃で処理を行った。ニッケルー燐
(Ni−P)系の複合めっきは硫酸ニッケルと塩化ニッ
ケルを主成分とする液にセラミック微粒子を均一に懸濁
させた浴中で浴温60℃で処理を行い、ベーキング後3
75℃で1時間の硬化処理を行った。それぞれのめっき
層はシリンダブロックと摺接するベーン側面について行
い、それぞれ50〜80μmの厚さに処理した。めっき
後砥石によるラップ加工を行い所定寸法とした。最終的
なめっき/Nの厚さはそれぞれ20〜30μmとした。
硬度は鉄系複合めっき層でHm V 490〜510、
ニッケルー燐系複合めっき層でHm V 800〜85
0であった。又、それぞれの複合めっきにおいてセラミ
ック微粒子の含有率はめっき液の種類、セラミック粒子
の種類によらず面積率で10〜20%の間であった6尚
、面積率の測定は画像解析装置により行った。
実施例−1のようにして製造されたシリンダブロック、
サイドプレート、ローターと鋼製シャフトとの結合体お
よびベーンの内のサイドプレートとベーンに施すめっき
の種類を替えて前記ベーン型圧縮機を組立てた。
比較のために表面処理を施さない組合せも含めて第8表
に示す組合せでコンプレッサーを構成し耐久テストを行
った。耐久テスト条件は実施例−1と同様に回転数55
Orpmで連続運転し、吐出圧力を28kg/cdG、
吸入圧力を4kg/cdGの過負荷状態で行った。尚、
トルクおよびオイルの汚れに以上の無いものについては
250時間運転後停止し、実施例−1と同様250時間
運転後でも摩耗は僅かに進行しているものの、従来の鉄
系材料で各部品を構成したコンプレッサーでの摩耗と比
較してほぼ同等であった。
(以下余白、次頁へ続く) 筑9表 (発明の効果) 以上のように、シリンダブロック、ベーン及びローター
がそれぞれの間の熱膨張係数の差が3×10−’/’C
以下のアルミニウム合金からなることによりベーンとサ
イドプレートの間のクリアランス又ベーンとローター溝
巾のクリアランスを大きくする必要がなくなり圧縮性能
が改善される。サイドプレートがその本体をアルミニウ
ム合金とし、ローターやベーンと摺動接触する内側面に
鉄系材料となるように鋳ぐるみ又は圧入等で一体化する
ことによりサイドプレートとローター間及びサイドプレ
ートとベーン間の焼付が解消される。シリンダブロック
がその材質を過共晶Siアルミニウム合金とすることと
、ベーンが前記シリンダブロックの内円筒部内周面と摺
接する頂面に鉄又はニッケルを主体とするめっき層を設
けることにより互いに相性が良く始動時の潤滑油の皮膜
が摺動面に存在しない場合でも焼付や摩耗が解消される
又、ベーンの側面に鉄又はニッケルを主体とするめっき
層を設けることによりローターm壁面との摩耗が解消さ
れる。よって軽量で耐久性の優れたベーン型圧縮機とす
ることができる。鉄又はニッケルを主体とするめっき層
にセラミック粉末を分散させることによっても従来の鉄
系材料で各部品を構成したコンプレッサーでの摩耗と比
較してほぼ同等である。
又、ローターの内周面に3段以上の順次内径の異なるは
め合い部を設け、はめ合い部の両端部側を圧入によるし
まりばめの状態で結合し、残るはめ合い部では鋼製シャ
フトの外周面に設けたセレーションの凹部にローターが
喰いこみ、且つしまりばめの状態で結合されている構造
とすることでシャフトとローター間に焼付の発生がなく
なり、又、ローターの薄肉部や端部にクラックの発生が
なくなることにより圧入作業が容易になり又広い温度範
囲でのコンプレッサーの使用に耐えることができる。本
実施例では、圧入作業を容易とするため4段のものにつ
いて行ったが3段でも行える。
尚、シリンダブロックの内周部の形状が楕円形のものに
ついて説明してきたが、第9図に示すようにシリンダブ
ロックの内周部が円筒型のコンプレッサーについても同
じ結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例のベーン型圧縮機の断面図、
第2図は第1図の矢視A−Aより見た断面図、第3図は
吸入孔付近のサイドプレートとローターの接触部分の拡
大図、第4図はローターの側面図、第5図はローターの
横断面図、第6図はシャフトの正面図、第7図及び第8
図は摩耗試験の結果を示すグラフ、第9図は別の実施例
のベーン型圧縮機の断面図である。 図中:1・・・シリンダブロック、2a、2b・・・サ
イドプレート、2c、2d・・・鉄板、4・・・ロータ
ー5・・・シャフト、7・・・ベーン溝、8・・・ベー
ン。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 回転自在なシャフトに固定されたローター、ロータ
    ーに設けた複数個の溝に夫々出没自在に収容されたベー
    ン、ローターの両側面及びベーンの両端面と摺接するサ
    イドプレート、ベーンの頂面が内円筒部内周面と摺接し
    且つローターの外周面の一部と内円筒部内周面とを近接
    するようにその内円筒部内にローターを配したシリンダ
    ブロックとを有し、サイドプレートをシリンダブロック
    に固定し内円筒部内にベーンで仕切られた圧縮室を作る
    ベーン型圧縮機において、下記(1)〜(4)の要件を
    備えたことを特徴とするベーン型圧縮機。 (1) 前記ベーン、前記シリンダブロック及び前記ロ
    ーターとの夫々の間の熱膨張係数の差が3×10^−^
    6/℃以下のアルミニウム合金で成ること、 (2) 前記サイドプレートが、その本体をアルミニウ
    ム合金とし、ローター両側面及びベーン両端面に摺接す
    る内側面が鉄系材料となるように鋳ぐるみまたは圧入で
    一体化されていること、 (3) 前記シリンダブロックの内円筒部内周面に摺接
    する前記ベーンの頂面および前記ローターの溝部壁面と
    摺接する前記ベーンの側面に鉄又はニッケルを主体とす
    るめっき層が形成されていること。 2 回転自在なシャフトに固定されたローター、ロータ
    ーに設けた複数個の溝に夫々出没自在に収容されたベー
    ン、ローターの両側面及びベーンの両端面と摺接するサ
    イドプレート、ベーンの頂面が内円筒部内周面と摺接し
    且つローターの外周面の一部と内円筒部内周面とを近接
    するようにその内円筒部内にローターを配したシリンダ
    ブロックとを有し、サイドプレートをシリンダブロック
    に固定し内円筒部内にベーンで仕切られた圧縮室を作る
    ベーン型圧縮機において、前記ローターのボアの内周面
    には3段以上に順次内径の異なる複数個のはめあい部が
    形成されていて、少なくとも両端部に位置するはめあい
    部が鋼製シャフトと圧入により締まりばめの状態で結合
    され、中間に位置する残るはめあい部は鋼製シャフトの
    外周面に形成されたセレーションの凹部に喰い込み且つ
    締まりばめの状態で該鋼製シャフトに結合されている構
    造とされていることを特徴とするベーン型圧縮機。 3 前記シリンダブロックが過共晶Siアルミニウム合
    金からなり、前記ローターがSiを10〜18重量%含
    有するアルミニウム合金からなり、前記サイドプレート
    および前記ベーンをアルミニウム合金とすることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項又は第2項記載のベーン型
    圧縮機。 4 前記めっき層がニッケル又は鉄をベースとし微細な
    セラミック粉末を該ベース中に分散させためっき層であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項記
    載のベーン型圧縮機。
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