JP2590079B2 - 被削性の優れた低膨張鋳鉄 - Google Patents
被削性の優れた低膨張鋳鉄Info
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- JP2590079B2 JP2590079B2 JP1128187A JP1128187A JP2590079B2 JP 2590079 B2 JP2590079 B2 JP 2590079B2 JP 1128187 A JP1128187 A JP 1128187A JP 1128187 A JP1128187 A JP 1128187A JP 2590079 B2 JP2590079 B2 JP 2590079B2
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- Japan
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- cast iron
- thermal expansion
- machinability
- low expansion
- excellent machinability
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- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の使用分野) 本発明は低熱膨張性を要求され、かつ高い被削性を必
要とする機械部品に適した共晶黒鉛鋳鉄に関するもので
ある。
要とする機械部品に適した共晶黒鉛鋳鉄に関するもので
ある。
(従来の技術) ニッケルを34.0〜36.0%含有させてオーステナイト基
地とした片状黒鉛あるいは球状黒鉛鋳鉄は耐熱、耐食耐
摩耗性に優れているうえ低熱膨張であることから化学工
業及び、科学機器、部材ガラス成形型などに使用されて
いる。
地とした片状黒鉛あるいは球状黒鉛鋳鉄は耐熱、耐食耐
摩耗性に優れているうえ低熱膨張であることから化学工
業及び、科学機器、部材ガラス成形型などに使用されて
いる。
しかし、この鋳鉄はオーステナイト基地であることか
ら、切削性が悪く要求寸法精度に合致した平滑な平面を
得難いことや、切削工具の工具寿命を縮めることなどに
より、精密機械部品への適用が困難であると言う問題点
があった。
ら、切削性が悪く要求寸法精度に合致した平滑な平面を
得難いことや、切削工具の工具寿命を縮めることなどに
より、精密機械部品への適用が困難であると言う問題点
があった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、上記問題点を解消するためになされたもの
で低熱膨張性、機械的特性、特に引張強さは従来品と同
程度であり、引削性を著しく改善したオーステナイト共
晶性黒鉛鋳鉄を提供することを目的としたものである。
で低熱膨張性、機械的特性、特に引張強さは従来品と同
程度であり、引削性を著しく改善したオーステナイト共
晶性黒鉛鋳鉄を提供することを目的としたものである。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段と作用) すなわち本発明は、炭素1.0〜2.4%、シリコン1.0〜
2.4%、マンガン0.1〜1.0%、ニッケル30.0〜34.0%、
コバルト2.0〜6.0%、リン0.2%以下を少なくとも含み
残部鉄からなる組成を有するオーステナイト鋳鉄に微細
な共晶型黒鉛を晶出させてなることを特徴とする。
2.4%、マンガン0.1〜1.0%、ニッケル30.0〜34.0%、
コバルト2.0〜6.0%、リン0.2%以下を少なくとも含み
残部鉄からなる組成を有するオーステナイト鋳鉄に微細
な共晶型黒鉛を晶出させてなることを特徴とする。
これより、従来のオーステナイト鋳鉄と比較して工具
寿命、仕上面あらさが飛躍的に向上し被削性の著しく向
上した低膨張鋳鉄を得ることができる。
寿命、仕上面あらさが飛躍的に向上し被削性の著しく向
上した低膨張鋳鉄を得ることができる。
この発明の快削性低膨張鋳鉄の成分組成範囲を上記の
ように限定した理由について以下に説明する。
ように限定した理由について以下に説明する。
まず炭素は、その含有率が2.4%をこえると熱膨張係
数が増大し、1.0%未満ではひけ巣やチル等が発生しや
すく、その結果鋳造性が悪化するので好ましくない。よ
って炭素は1.0〜2.4%の範囲に限定される。またシリコ
ンが2.4%をこえると熱膨張係数が増大し、1.0%未満で
は黒鉛化作用が不十分になりチルが生成しやすく鋳造性
が悪化する。よってシリコンは1.0〜2.4%の範囲に限定
される。そしてマンガンの含有量が1.0%をこえるとマ
ンガンの偏析が生じ、熱膨張係数も大きくなる。また、
0.1%未満でも熱膨張係数は大きくなる。よってマンガ
ンは0.1〜1.0%の範囲に限定される。さらにニッケルの
含有量が34.0%をこえるか、あるいは30.0%未満では熱
膨張係数が増大するため、ニッケルの含有量は30.0%〜
34.0%に限定される。次いでコバルトの含有量が6.0%
をこえるか、あるいは2.0%未満では、やはり熱膨張係
数が増大するため、コバルトの含有量は2.0〜6.0%に限
定される。また、リンの含有量が0.2%をこえると高硬
度のステダイトが結晶粒界に析出し、被削性を害する。
このためリンの含有量は0.2%以下に限定される。そし
て、以上のような組成を有するオーステナイト鋳鉄に微
細な共晶型黒鉛を晶出させるとこれが切削時に潤滑剤、
ミクロクラック発生源として作用し、オーステナイト基
地を見かけ上脆化させる。このため従来からオーステナ
イト切削の問題とされていた工具への溶着、高延性によ
る仕上面あらさの劣化を解決することができ、工具寿
命、仕上面あらさからみた被削性を著しく改善すること
ができる。
数が増大し、1.0%未満ではひけ巣やチル等が発生しや
すく、その結果鋳造性が悪化するので好ましくない。よ
って炭素は1.0〜2.4%の範囲に限定される。またシリコ
ンが2.4%をこえると熱膨張係数が増大し、1.0%未満で
は黒鉛化作用が不十分になりチルが生成しやすく鋳造性
が悪化する。よってシリコンは1.0〜2.4%の範囲に限定
される。そしてマンガンの含有量が1.0%をこえるとマ
ンガンの偏析が生じ、熱膨張係数も大きくなる。また、
0.1%未満でも熱膨張係数は大きくなる。よってマンガ
ンは0.1〜1.0%の範囲に限定される。さらにニッケルの
含有量が34.0%をこえるか、あるいは30.0%未満では熱
膨張係数が増大するため、ニッケルの含有量は30.0%〜
34.0%に限定される。次いでコバルトの含有量が6.0%
をこえるか、あるいは2.0%未満では、やはり熱膨張係
数が増大するため、コバルトの含有量は2.0〜6.0%に限
定される。また、リンの含有量が0.2%をこえると高硬
度のステダイトが結晶粒界に析出し、被削性を害する。
このためリンの含有量は0.2%以下に限定される。そし
て、以上のような組成を有するオーステナイト鋳鉄に微
細な共晶型黒鉛を晶出させるとこれが切削時に潤滑剤、
ミクロクラック発生源として作用し、オーステナイト基
地を見かけ上脆化させる。このため従来からオーステナ
イト切削の問題とされていた工具への溶着、高延性によ
る仕上面あらさの劣化を解決することができ、工具寿
命、仕上面あらさからみた被削性を著しく改善すること
ができる。
この共晶型黒鉛を晶出させる方法としては金型に鋳造
する方法、砂型に冷し金を埋め込んで鋳造する方法、ま
たはイオウ、チタン、テルル、ビスマスから選ばれる少
なくとも1種の特殊元素を添加する方法を用いることが
できる。
する方法、砂型に冷し金を埋め込んで鋳造する方法、ま
たはイオウ、チタン、テルル、ビスマスから選ばれる少
なくとも1種の特殊元素を添加する方法を用いることが
できる。
(実施例) 以下のような組成の鋳造棒A〜G(φ100×l400)を
鋳造し、0〜50℃、0〜100℃の熱膨張係数を測定した
結果を第1表に示す。
鋳造し、0〜50℃、0〜100℃の熱膨張係数を測定した
結果を第1表に示す。
第1表から炭素1.0%未満、シリコン1.0%未満、およ
び炭素2.4%以上をこえた場合、シリコン2.4%をこえた
場合ではいずれも熱膨張係数が増大することがわかる。
び炭素2.4%以上をこえた場合、シリコン2.4%をこえた
場合ではいずれも熱膨張係数が増大することがわかる。
次にいずれも炭素2.2%、シリコン2.0%、マンガン0.
5%、リン0.07%を含み、ニッケルとコバルトと鉄の3
成分の含量を変化させた鋳鉄棒(φ100×l400)H〜R
をつくり常温〜100℃における熱膨張係数を測定した結
果を第2表に示す。
5%、リン0.07%を含み、ニッケルとコバルトと鉄の3
成分の含量を変化させた鋳鉄棒(φ100×l400)H〜R
をつくり常温〜100℃における熱膨張係数を測定した結
果を第2表に示す。
第2表からニッケル30.0%未満、または34.0%をこえ
た場合、コバルト2.0%未満、または6.0%をこえた場合
になると熱膨張係数が増大することがわかる。
た場合、コバルト2.0%未満、または6.0%をこえた場合
になると熱膨張係数が増大することがわかる。
先の結果にもとづいて、熱膨張係数がもっと小さくな
る組成E(炭素2.2%、シリコン2.1%、マンガン1.0
%、ニッケル32.0%、コバルト4.2%、リン0.07%)を
用いて、片状黒鉛(a)、球状黒鉛(b)、共晶型黒鉛
(c,d)の計4本の鋳鉄棒(φ100×l400)をつくり、そ
れぞれについて常温〜100℃の熱膨張係数、引張強さを
測定した結果を第3表に示す。
る組成E(炭素2.2%、シリコン2.1%、マンガン1.0
%、ニッケル32.0%、コバルト4.2%、リン0.07%)を
用いて、片状黒鉛(a)、球状黒鉛(b)、共晶型黒鉛
(c,d)の計4本の鋳鉄棒(φ100×l400)をつくり、そ
れぞれについて常温〜100℃の熱膨張係数、引張強さを
測定した結果を第3表に示す。
第3表から本発明鋳鉄(c,d)は従来品(a,b)に比べ
て熱膨張係数、引張強さはほとんど変わらないことがわ
かる。
て熱膨張係数、引張強さはほとんど変わらないことがわ
かる。
次に、第1図に示すNo.1〜No.8の各鋳鉄棒について下
記条件で切削試験を行なった。その結果として、切削時
間と工具摩擦量の関係を第1図に示す。尚、第1図にお
けるNo.1の球状黒鉛は第3表の(b)に、No.2の片状黒
鉛は第3表の(a)に、No.6の冷し金による共晶状黒鉛
は第3表の(c)にそれぞれ相当する。また、第3表a
〜dの各鋳鉄棒について同様の条件で切削試験を行なっ
た結果として、一定切削面積の工具摩耗量を第2図に、
表面あらさ曲線を第3図にそれぞれ示す。
記条件で切削試験を行なった。その結果として、切削時
間と工具摩擦量の関係を第1図に示す。尚、第1図にお
けるNo.1の球状黒鉛は第3表の(b)に、No.2の片状黒
鉛は第3表の(a)に、No.6の冷し金による共晶状黒鉛
は第3表の(c)にそれぞれ相当する。また、第3表a
〜dの各鋳鉄棒について同様の条件で切削試験を行なっ
た結果として、一定切削面積の工具摩耗量を第2図に、
表面あらさ曲線を第3図にそれぞれ示す。
切削条件 工 具 K20(WC−CO系超硬材) 切削速度 200m/min 送 り 0.4mm/rev 切込み 2.0mm この第3図においては、が本発明に係る鋳鉄棒
(c),が従来の鋳鉄棒(b)の場合をそれぞれ示し
ている。
(c),が従来の鋳鉄棒(b)の場合をそれぞれ示し
ている。
これらの図より本発明鋳鉄が従来品と比べて被削性が
著しく向上していることは明らかである。
著しく向上していることは明らかである。
[発明の効果] 実施例からも明らかなようにオーステナイト低膨張鋳
鉄に共晶型黒鉛を晶出させることにより引張強さ、低熱
膨張性を低下せずに被削性を著しく向上させることがで
きる。
鉄に共晶型黒鉛を晶出させることにより引張強さ、低熱
膨張性を低下せずに被削性を著しく向上させることがで
きる。
第1図は本発明及び従来例の切削時間と工具摩耗量の関
係を表わした特性図、第2図は一定切削面積(650cm2)
削ったときの各鋳鉄棒における工具摩耗量を示した図、
第3図は本発明及び従来例の表面あらさ曲線を示した図
である。
係を表わした特性図、第2図は一定切削面積(650cm2)
削ったときの各鋳鉄棒における工具摩耗量を示した図、
第3図は本発明及び従来例の表面あらさ曲線を示した図
である。
Claims (1)
- 【請求項1】炭素1.0〜2.4%、シリコン1.0〜2.4%、マ
ンガン0.1〜1.0%、ニッケル30.0〜34.0%、コバルト2.
0〜6.0%、リン0.2%以下を少なくとも含み残部鉄から
なる組成を有し、共晶型黒鉛組織をもつことを特徴とす
る被削性の優れた低膨張鋳鉄。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1128187A JP2590079B2 (ja) | 1987-01-22 | 1987-01-22 | 被削性の優れた低膨張鋳鉄 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1128187A JP2590079B2 (ja) | 1987-01-22 | 1987-01-22 | 被削性の優れた低膨張鋳鉄 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63183151A JPS63183151A (ja) | 1988-07-28 |
JP2590079B2 true JP2590079B2 (ja) | 1997-03-12 |
Family
ID=11773610
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1128187A Expired - Lifetime JP2590079B2 (ja) | 1987-01-22 | 1987-01-22 | 被削性の優れた低膨張鋳鉄 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2590079B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2703236B2 (ja) * | 1987-10-26 | 1998-01-26 | 株式会社東芝 | 低熱膨脹鋳鉄および同鋳鉄を用いた研磨定盤 |
US5173253A (en) * | 1987-10-26 | 1992-12-22 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Low expansion cast iron |
JPH0699777B2 (ja) * | 1988-11-02 | 1994-12-07 | 株式会社東芝 | 低熱膨張鋳鉄の製造方法 |
-
1987
- 1987-01-22 JP JP1128187A patent/JP2590079B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63183151A (ja) | 1988-07-28 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |