JP2703236B2 - 低熱膨脹鋳鉄および同鋳鉄を用いた研磨定盤 - Google Patents
低熱膨脹鋳鉄および同鋳鉄を用いた研磨定盤Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔発明の目的〕
(産業上の利用分野)
本発明はオーステナイト系の低熱膨張鋳鉄、特に熱膨
張が極めて低く、かつ鋳造性、被削性、振動吸収能等が
十分に高い低熱膨張鋳鉄、およびこの低熱膨張鋳鉄を用
いて構成した研磨定盤に関する。 (従来の技術) 周知のように、鋳鉄は工業の基礎材料として広く使用
されている。その理由はこの材料の鋳造性が良く、多種
多様な複雑形状でも成形できること、切削加工が容易で
あること、材料や溶解に要する費用が比較的安価で小規
模な工場でも容易に製造できること等の長所を有してい
るためである。 ところで、最近では新素材を始めとして、金属以外の
有機、無機の様々な材料が開発され、それぞれの特性を
活かした機能材料が急速に普及しつつある。特にエレク
トロニクス産業の発達に伴い、それに関連する工作機械
や測定機器、成型金型、その他の製造機械類には、より
高精度が要求されるようになった。鋳鉄においても、上
記要求に応えるため従来の材料や特質に加えて、熱膨張
係数の低減化、振動吸収能の増大化、および耐熱性、耐
食性を付加されたものが開発されてきている。その代表
的なものがインバー(36.5%Ni-Fe合金)、またはその
改良材のニレジストD5として知られるASTEM A439タイプ
D−5のオーステナイト鋳鉄である。これらの鋳鉄の化
学成分を下記の第1表に示す。 ニレジストD5の成分における特徴は一般鋳鉄に比べて
ニッケル含有量が34.00〜36.00と高いことである。そし
て、その特性として常温〜200℃の温度範囲の熱膨張係
数が低いことが挙げられる。通常の鋳鉄の熱膨張係数が
10〜15×10-6/℃であるのに対しニレジストD5のそれは
約5×10-6/℃である。ニレジストD5の熱膨張係数が低
い理由としては、ニッケル含有量が36%近くになると、
上記温度範囲の温度変化に対し、大きな正の体積磁歪を
生じ、通常の格子振動による熱膨張を打消す性質を有す
るためである。ニレジストD5は鋳鉄の良好な鋳造性、被
削性を有し、さらに耐熱、耐食性を兼ね備えた材料とし
て機能性に富んだ材料である。但し、最近の精密機器や
FRP用金型材等には、4×10-6/℃以下のさらに低い熱
膨張係数の材料が必要となっている。 これに対し、インバーの熱膨張係数は1.2×10-6/℃
と非常に低い値を示しているが、一方、鋳造性や被削性
が悪いため、その用途に制約があった。 (発明が解決しようとする問題点) 従来知られているニレジストD5は、良好な鋳造性、被
削性を有し、さらに耐熱性、耐食性等を備えているが、
熱膨張係数が約5×10-6/℃であり、近年の一層の熱膨
張係数低下の要望には十分応えることができない。これ
に対して、インバーの熱膨張係数は1.2×10-6/℃と低
いが、鋳造性や被削性が悪く、用途に制約がある。 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、一
般の鋳鉄と同様の良好な鋳造性、被削性、振動吸収能等
を有し、かつ4×10-6/℃以下の低い熱膨張係数を合せ
持ち、高精度の精密機械やFRP用金型、計測機器等に有
効に利用できる低熱膨張鋳鉄、およびその低熱膨張鋳鉄
を用いた研磨定盤を提供することを目的とする。 〔発明の構成〕 (問題点を解決するための手段および作用) 前記インバーなどのFe-Ni合金には、ニッケル含有量
により体積磁歪が大きくなる領域があり、常温〜200℃
の温度範囲で熱膨張係数が非常に低下する傾向にある。
但し、この合金に一般鋳鉄のような鋳造性、被削性、振
動吸収能を付与するには他の合金元素の添加が必要であ
る。 本発明は、上記鋳鉄の特性を与える元素として炭素
(C)、シリコン(Si)、体積磁歪の温度範囲に影響す
るコバルト(Co)等の各元素の影響を試験データの解析
により把握し、上記問題を解決しようとするものであ
る。 すなわち、本件第1の発明に係る低熱膨張鋳鉄は、オ
ーステナイト基地鉄を有する鋳鉄において、成分組成と
して少なくとも炭素1.0%以上3.5%以下、シリコン0%
を超え1.5%以下、マグネシウム0.035%を超え0.1%以
下、ニッケル32%以上39.5%以下、コバルト1.0%以上
4%未満を含み、上記ニッケルとコバルトとの合計含有
量を41%以下にしたことを特徴とする。 また、本件第2の発明に係る低熱膨張鋳鉄は、オース
テナイト基地鉄を有する鋳鉄において、成分組成として
少なくとも炭素1.0%以上3.5%以下、シリコン0%を超
え1.5%以下、マグネシウム0.015%未満、ニッケル32%
以上39.5%以下、コバルト1.0%以上4%未満を含み、
上記ニッケルとコバルトとの合計含有量を41%以下にし
たことを特徴とする。 これらの発明においては、シリコンの含有量を1.0%
未満にすることが望ましい。また、0%を越え1.5%以
下のマンガンを含むことが望ましい。 本件第3の発明に係る研磨定盤は、請求項1から4ま
でのいずれかに記載の低熱膨張鋳鉄を用いて構成したこ
とを特徴とする。 Fe-Ni合金に鋳造性、被削性、および振動吸収能を付
与するには、その金属組織中黒鉛をできるだけ多量に晶
出させることが必要である。一般鋳鉄では黒鉛晶出を促
進する元素としてCとSiを含んでいる。しかし、これら
の元素をFe-36%Ni合金に添加すると、その熱膨張係数
が大幅に増大する。Co以外のMnや他の不純物元素につい
ても同様のことがいえる。 以下、含有成分の範囲について考察する。 まず、C量について考察する。Fe-Ni合金の熱膨張係
数に影響を与えるのは、含有C量全体ではなく、固溶し
ているC量だけである。それ以外のCは黒鉛あるいは炭
化物として存在する。そのうち、黒鉛晶出量が大である
程、鋳造時の収縮巣が少なく、切削加工性、つまり被削
性を良好とし、また振動吸収能が大となる。一方、炭化
物が析出した場合は、逆にミクロ巣発生の要因となり、
被削性も悪くなる。したがって、できるだけ固溶C量と
炭化物の析出量を低くし、黒鉛晶出量を高くすることが
重要となる。 第1図は、Ni量30〜42%、Si量0.5〜2.6%、Mn量0.4
〜1.0%の鋳鉄における全C量と固溶C量との関係につ
いての測定結果を示す。試料としての鋳鉄は、肉厚1イ
ンチの引張試験用砂鋳型で鋳造したものである。同図か
ら明らかな如く、固溶C量は全C量が高い程低い値を示
している。この傾向は一般鋳鉄においても同様であり、
全C量が高いと凝固初期に晶出する黒鉛量が増し、その
近辺の固溶Cが安定な黒鉛になるサイトを提供する役目
を果すため、凝固終了時の固溶C量が低減し、同時に炭
化物となるCが少なくなるものと考えられる。この第1
図における固溶C量と全C量との関係式を(1)式に示
す。 [固溶C量](%) =0.65-0.20[全C量](%) ……(1) なお、この(1)式について、さらに詳しく説明する
と、以下の通りである。すなわち、従来Fe-Ni合金にお
ける炭素含有量が熱膨張係数に与える影響については、
炭素全体量が大きく影響すると考えられていたが、本発
明者らは実験により、影響を与えているのは含有炭素量
全体ではなく、固溶している炭素量(固溶C量)のみで
あるという知見を得たのである。 そこで、この固溶C量と全炭素量との関係について検
討した結果、鋳鉄中の固溶C量と全炭素量とは、他の構
成成分とその含有量に依存していることが分った。この
関係を明らかにするために種々検討を行い各成分影響下
における、全炭素量と固溶炭素量の関係として下記A式
を見い出した。 固溶炭素量(%) =0.82-0.2(炭素当量) =0.82-0.2(全炭素量+0.32Si+0.026Mn+0.25Ni+0.0
1Co+……) ……(A式) ここで、炭素当量とは鋳鉄における黒鉛化(固溶して
いない炭素)に影響する各成分の影響を定量表現したも
のである。 上記(A式)より明らかなように、固溶炭素量は各成
分の含有量が少ない場合には、誤差範囲になってしまう
ので全ての成分を考慮する必要はない。 したがって、Si含有量が少ない本発明においては、前
記(1)式 固溶炭素量(%)=0.65-0.20全炭素量 で表現したものである。 次に、鋳鉄の熱膨張係数を低減するには固溶C量が低
い方(全C量が高い方)が好ましいが、固溶C量を低減
させると引張強さや硬さが低下する。第2図に上記Ni、
Si、Mnの含有量を有する鋳鉄の全C量と引張強さ、耐
力、ヤング率および硬さとの関係を示す。それぞれの関
係式は(2)式ないし(5)式となる。 引張強さ(kgf/mm2)=80.0-18.6[全C量](%) ……(2) 耐力(kgf/mm2)=83.3-27.1[全C量](%) ……(3) ヤング率(kgf/mm2)=198200-39500[全C量](%) ……(4) 硬さ(HB)=215-26.6[全C量](%) ……(5) 構造材料としては、ある程度の機械的性質を確保する
必要があり、例えば引張強さ30kgf/mm2以上、硬さHB145
以上とするためには全C量を2.5%以下とする必要があ
る。その場合の固溶C量は0.15%以上となるわけであ
る。このように、熱膨張係数の低減化と機械的性質の確
保との両方を満足するように全C量が決定される。 次に、Ni量がFe-Ni合金の熱膨張係数に及ぼす影響に
ついて考察する。 第3図はFe-Ni合金の熱膨張係数とNi量との関係を示
したグラフである。Ni量が約36%付近で熱膨張係数が極
小となる。この極小点AとなるNi含有量(横軸方向の位
置)は他の合金元素の含有量によって変動する。その変
動量(Ni量)と合金元素との関係は(6)式で表現され
る。 極小点の変動量(%) =−5.7C(%)−0.29Co(%)+0.57Mn(%)+0.45Si
(%) ……(6) したがって、C,Co,Mn,Si等の合金元素含有量が定めら
れた場合、それにより変動した極小点のNi量が熱膨張係
数を低減させるための最低値となる。 次に、Coの影響について第4図を参照して考察する。 第4図はNi+Co量を変化させた場合の温度と熱膨張係
数との関係を示したものである。 Coが少量添加されるとFe-Ni合金2元素の場合よりも
熱膨張係数が低減する。これは、Co添加により体積磁歪
を生じる温度範囲が常温付近となるためである。しか
し、Co量が高すぎると、その温度範囲が高温側に移行し
てしまい、常温〜200℃といった実用温度範囲では高い
熱膨張係数となる。熱膨張計数の温度依存が0から急に
立ち上がる屈曲点Bの温度で上記傾向を知ることができ
る。つまり、常温〜200℃の温度範囲で低熱膨張係数と
したい場合は屈曲点の温度を200℃〜250℃とすることが
好ましい。この屈曲点の温度はNi量+Co量やMn量によっ
て変化する。これを(7)式に示す。 屈曲温度(℃) =22.5×[Ni(%)+Co(%)]‐22×Mn(%)‐600.
3 ……(7) したがって、Mn量を約0.5%とする場合、屈曲点が325
℃までとするには、Ni量とCo量の合計を41%以下とする
必要がある。 本発明においては、Co量を約2.0%とし、熱膨張係数
の極小点の移動と屈曲点温度を示す(6)式と(7)式
を考慮して最適Ni量を決定した。 (8)式はNi量が熱膨張係数の極小点より低い側での
各合金元素の熱膨張係数に対する重回帰分析の結果を示
したものである。 熱膨張係数(×10-6/℃) =14.97-0.02×[全C量](%) +1.49×[Si量](%) −0.32×[Ni量](%) −0.70×[Co量](%) +1.35×[Mn量](%) ……(8) ただし、Ni量+Co量≦41%とする。 一方、Ni量が極小点より高い側での各元素の熱膨張係
数への重回帰式を(9)式に示す。 熱膨張係数(×10-6/℃) =−1.00-0.35×[全C量](%) +2.11×[Si量](%) +0.14×[Ni量](%) +0.28×[Co量](%) +0.25×[Mn量](%) ……(9) (8)式および(9)式の熱膨張係数に対する各元素
の回帰係数によると、全C量は高い程、Si量は低い程低
膨張となる。特に、Si量1%に対する影響が大である。
CoはNi量が極小点以下の場合は膨張率を低下させるが、
極小点より高Ni側では逆に膨張率を高める。これは、屈
曲点温度の上昇によるものである。Mnはできるだけ低い
方が低膨張に望ましいことがわかる。ただし、Si量は黒
鉛晶出促進のために接着剤として添加される分は必要で
ある。 最後に、Mgは晶出する黒鉛の形態を制御するために添
加される。一般に、0.02%以下のMg量であれば、黒鉛は
片状黒鉛となり、0.03〜0.1%で球状黒鉛となる。これ
以上のMg量は炭化物を形勢するために一般には許容され
ない。片状黒鉛とする利点は球状黒鉛の場合と比較し
て、被削性の改善、振動吸収能の増大を得ることにあ
る。一方、球状黒鉛とする利点は、引張強さ、耐力、剛
性、伸び、靱性等機械的性質の向上にある。また、溶接
性も改善される。 以上のデータ解析により本発明の鋳鉄の組成は極小点
を与えるNi量が33〜34.5の範囲にあり、それを基準に全
C量が2.0〜2.5%(固溶C量が0.25〜0.15%)、Si量が
0.3〜0.6%、Mn量は0.4%以下、Co量は1.5〜3.0%(Ni
+Coが36%となる範囲)を、低膨張性を重視するものに
対して最適範囲と考える。 なお、振動吸収能や機械的性質等の要求される各特性
に応じて上記各関係式からその組成を選択することがで
きる。例えば強度を重視する場合は、前記のうち全C量
を1.1〜1.5%の範囲とすることが望ましい。 〈実施例1〉 第5図および第6図に示すように、リング状の研磨定
盤を鋳造した。この研磨定盤は肉厚が30mm、外径と内径
が1000mmと400mmである。溶解は300kgの高周波電気炉を
用い、下記の第2表に示す材料を溶解した。 成分組成は下記の第3表に示すように、炭素2.32%、
シリコン0.57%、マンガン0.24%、ニッケル35.2%、コ
バルト2.6%、マグネシウム0.046%、残りが不純物を含
む球状黒鉛組織を有するオーステナイト系鋳鉄である。 また、1インチのキールブロック用砂鋳型にて試験片
を採取し、各特性値と測定した結果を第4表に示す。第
4表において熱膨張係数は2.0×10-6/℃、引張強さ41k
gf/mm2、伸び、20%が得られた。研磨定盤はその平坦度
が20μm以下という非常に高精度を要求されるが、一般
鋳鉄では旋盤による切削加工時に発生する加工熱によ
り、定盤の表裏で40〜70℃の温度差を生じ、加工時はほ
ぼ平坦であっても冷却後に平坦度が0.1〜0.2mm悪化して
いた。しかし、本発明の鋳鉄は、熱伝導度が低いため切
削層の熱が定盤に伝達されにくく、また黒鉛による快削
効果のために、定盤の表裏の温度差は1〜3℃以内であ
った。また、その温度が低下しても低熱膨張のため平坦
度は20μm以下を確保できた。この定盤を高精度な半導
体基板の研磨に用いることにより、一般に研磨熱により
40〜50℃に上昇する定盤寸法精度を高く維持することが
できる。 以上のように、本実施例の成分組成による鋳鉄によれ
ば、ほぼ一般鋳鉄並の鋳造性、被削性、機械的性質を保
有し、かつインバー合金に近い低膨張係数を得ることが
できる。 また、本実例の研磨定盤によれば、球状黒鉛が晶出さ
れ、機械的性質が優れたものであるため、研磨面を含め
た全体を一体として構成することができる。 〈実施例2〉 第3表に示すように、全C量を2.8%、Si量を1.0%と
した。この組成の鋳鉄はMgを添加せず、片状組織として
振動吸収能を追究した場合のものである。即ち、全C量
を2.8%と高めることにより減衰能(Specific Damping
Capacity)は17%が得られ一般鋳鉄の4〜5倍の振動吸
収能を示す。また、硬さがHB125〜135程度となり、アル
ミニウム合金並の軟かさを示す。これは、黒鉛による潤
滑効果と併せて、相手材を傷付けることなく接合や捕捉
する治具部材として有用であり、超高精度を要求される
半導体、電子製造装置材料として使用できる。 以上のように、一般鋳鉄(FC30材)の4〜5倍の反動
吸収能が得られ、かつアルミニウム合金並の軟かさを得
ることができる。 なお、本実施形態では片状黒鉛が晶出されるので、こ
れを研磨定盤として適用した場合には、研磨面としての
硬さが許容される場合にはそのまま一体で、また研磨面
として片状黒鉛鋳鉄以上の硬さを必要とする場合には表
面に他の硬質素材を添装する等の手段を併用した構成と
することができる。その場合、加工性が良好であるため
製作の容易性が得られ、また振動吸収能等に優れたもの
となるので安定的な使用が可能になる等の利点が得られ
る。 〈実施例3〉 第3表に示すように、炭素含有量を1.20%と低く設定
した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合には微小ながら黒鉛晶出がみられ、第4表に
示すように、加工性は許容できる範囲であった。 〈実施例4〉 第3表に示すように、シリコン含有量を1.4%と高く
設定した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合は第4表に示すように、熱膨張率がやや高く
なるが許容範囲内であった。 〈実施例5〉 第3表に示すように、マンガン含有量を1.2%に設定
した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合には第4表に示すように、熱膨張率がやや高
くなるが許容範囲内であった。 〈実施例6〉 第3表に示すように、マンガン含有量を0.8%に設定
した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合にも、熱膨張率が許容範囲内となった。 〈実施例7〉 第3表に示すように、炭素含有量を1.05%と低くし
て、高い引張り強さを得るとともに、Siを0.2%,Mnを0.
2%,Niを32.5%,Coを3.5%に配合して低炭素量による熱
膨張係数の増大を他の成分の配合で抑えたものである。
この場合、黒鉛の晶出は比較的少なく加工性は許容でき
る範囲であった。 なお、上記各実施例以外にも、本発明の範囲内で種々
実施したところ、上記同様に良好な特性が認められた。 〈比較例1〉 第3表に示すように、炭素含有量を0.71%と極めて低
く設定した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、加工性、鋳造性
および振動吸収能が悪い。 〈比較例2〉 第3表に示すように、炭素含有量を3.6%と高く設定
した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には第4表に示すように、伸び、強度が低下
し、また鋳造欠陥が多い。 〈比較例3〉 第3表に示すように、シリコン含有量を1.7%と高く
設定した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には第4表に示すように、熱膨張率が高過ぎ
る。 〈比較例4〉 第3表に示すように、ニッケル含有量を31.5%と低く
設定した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には第4表に示すように、熱膨張率が高くな
る。 〈比較例5〉 第3表に示すように、ニッケルの含有量を40.0%と高
くした。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〈比較例6〉 第3表に示すように、コバルトの含有量を0.8%と低
くした。他の含有量は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〈比較例7〉 第3表に示すように、コバルト含有量を6.3%と高く
設定し、またニッケルとコバルトとの合計含有量を42.4
%と高くした。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〈比較例8〉 第3表に示すように、ニッケルとコバルトとの合計含
有量を42.5%と高くした。他の成分は上記実施例と近似
させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〔発明の効果〕 以上のように、第1の発明に係る成分の鋳鉄によれ
ば、2〜4×10-6/℃の低熱膨張を得ることができ、か
つ球状黒鉛組織となることによって引張強さ、耐力、硬
さ等が高く優れた機械的特性が得られるとともに、一般
鋳鉄なみの鋳造性、被削性を得ることができる。また、
第2の発明によれば、必要に応じて振動吸収能を一般鋳
鉄の4〜5倍にまで高めることができ、アルミニウム合
金なみの軟かさを得ることが可能である。さらに第3の
発明に係る研磨定盤によれば、第1の発明系統の鋳鉄を
使用するものは、Mg含有量が0.03超で球状黒鉛が晶出さ
れ、機械的性質が優れたものであるため、研磨面を含め
た全体を一体として構成することができる。一方、第2
の発明系統のものは、Mg含有量が0.15%未満で片状黒鉛
が晶出されるので、研磨面としての硬さが許容される場
合にはそのまま一体で、また研磨面として片状黒鉛鋳鉄
以上の硬さを必要とする場合には表面に他の硬質素材を
添装する等の手段を併用して、研磨定盤として適用する
ことができ、その場合、加工性が良好であるため製作の
容易性が得られ、また振動吸収能等に優れたものとなる
ので安定的な使用が可能になる等の利点が得られる。
張が極めて低く、かつ鋳造性、被削性、振動吸収能等が
十分に高い低熱膨張鋳鉄、およびこの低熱膨張鋳鉄を用
いて構成した研磨定盤に関する。 (従来の技術) 周知のように、鋳鉄は工業の基礎材料として広く使用
されている。その理由はこの材料の鋳造性が良く、多種
多様な複雑形状でも成形できること、切削加工が容易で
あること、材料や溶解に要する費用が比較的安価で小規
模な工場でも容易に製造できること等の長所を有してい
るためである。 ところで、最近では新素材を始めとして、金属以外の
有機、無機の様々な材料が開発され、それぞれの特性を
活かした機能材料が急速に普及しつつある。特にエレク
トロニクス産業の発達に伴い、それに関連する工作機械
や測定機器、成型金型、その他の製造機械類には、より
高精度が要求されるようになった。鋳鉄においても、上
記要求に応えるため従来の材料や特質に加えて、熱膨張
係数の低減化、振動吸収能の増大化、および耐熱性、耐
食性を付加されたものが開発されてきている。その代表
的なものがインバー(36.5%Ni-Fe合金)、またはその
改良材のニレジストD5として知られるASTEM A439タイプ
D−5のオーステナイト鋳鉄である。これらの鋳鉄の化
学成分を下記の第1表に示す。 ニレジストD5の成分における特徴は一般鋳鉄に比べて
ニッケル含有量が34.00〜36.00と高いことである。そし
て、その特性として常温〜200℃の温度範囲の熱膨張係
数が低いことが挙げられる。通常の鋳鉄の熱膨張係数が
10〜15×10-6/℃であるのに対しニレジストD5のそれは
約5×10-6/℃である。ニレジストD5の熱膨張係数が低
い理由としては、ニッケル含有量が36%近くになると、
上記温度範囲の温度変化に対し、大きな正の体積磁歪を
生じ、通常の格子振動による熱膨張を打消す性質を有す
るためである。ニレジストD5は鋳鉄の良好な鋳造性、被
削性を有し、さらに耐熱、耐食性を兼ね備えた材料とし
て機能性に富んだ材料である。但し、最近の精密機器や
FRP用金型材等には、4×10-6/℃以下のさらに低い熱
膨張係数の材料が必要となっている。 これに対し、インバーの熱膨張係数は1.2×10-6/℃
と非常に低い値を示しているが、一方、鋳造性や被削性
が悪いため、その用途に制約があった。 (発明が解決しようとする問題点) 従来知られているニレジストD5は、良好な鋳造性、被
削性を有し、さらに耐熱性、耐食性等を備えているが、
熱膨張係数が約5×10-6/℃であり、近年の一層の熱膨
張係数低下の要望には十分応えることができない。これ
に対して、インバーの熱膨張係数は1.2×10-6/℃と低
いが、鋳造性や被削性が悪く、用途に制約がある。 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、一
般の鋳鉄と同様の良好な鋳造性、被削性、振動吸収能等
を有し、かつ4×10-6/℃以下の低い熱膨張係数を合せ
持ち、高精度の精密機械やFRP用金型、計測機器等に有
効に利用できる低熱膨張鋳鉄、およびその低熱膨張鋳鉄
を用いた研磨定盤を提供することを目的とする。 〔発明の構成〕 (問題点を解決するための手段および作用) 前記インバーなどのFe-Ni合金には、ニッケル含有量
により体積磁歪が大きくなる領域があり、常温〜200℃
の温度範囲で熱膨張係数が非常に低下する傾向にある。
但し、この合金に一般鋳鉄のような鋳造性、被削性、振
動吸収能を付与するには他の合金元素の添加が必要であ
る。 本発明は、上記鋳鉄の特性を与える元素として炭素
(C)、シリコン(Si)、体積磁歪の温度範囲に影響す
るコバルト(Co)等の各元素の影響を試験データの解析
により把握し、上記問題を解決しようとするものであ
る。 すなわち、本件第1の発明に係る低熱膨張鋳鉄は、オ
ーステナイト基地鉄を有する鋳鉄において、成分組成と
して少なくとも炭素1.0%以上3.5%以下、シリコン0%
を超え1.5%以下、マグネシウム0.035%を超え0.1%以
下、ニッケル32%以上39.5%以下、コバルト1.0%以上
4%未満を含み、上記ニッケルとコバルトとの合計含有
量を41%以下にしたことを特徴とする。 また、本件第2の発明に係る低熱膨張鋳鉄は、オース
テナイト基地鉄を有する鋳鉄において、成分組成として
少なくとも炭素1.0%以上3.5%以下、シリコン0%を超
え1.5%以下、マグネシウム0.015%未満、ニッケル32%
以上39.5%以下、コバルト1.0%以上4%未満を含み、
上記ニッケルとコバルトとの合計含有量を41%以下にし
たことを特徴とする。 これらの発明においては、シリコンの含有量を1.0%
未満にすることが望ましい。また、0%を越え1.5%以
下のマンガンを含むことが望ましい。 本件第3の発明に係る研磨定盤は、請求項1から4ま
でのいずれかに記載の低熱膨張鋳鉄を用いて構成したこ
とを特徴とする。 Fe-Ni合金に鋳造性、被削性、および振動吸収能を付
与するには、その金属組織中黒鉛をできるだけ多量に晶
出させることが必要である。一般鋳鉄では黒鉛晶出を促
進する元素としてCとSiを含んでいる。しかし、これら
の元素をFe-36%Ni合金に添加すると、その熱膨張係数
が大幅に増大する。Co以外のMnや他の不純物元素につい
ても同様のことがいえる。 以下、含有成分の範囲について考察する。 まず、C量について考察する。Fe-Ni合金の熱膨張係
数に影響を与えるのは、含有C量全体ではなく、固溶し
ているC量だけである。それ以外のCは黒鉛あるいは炭
化物として存在する。そのうち、黒鉛晶出量が大である
程、鋳造時の収縮巣が少なく、切削加工性、つまり被削
性を良好とし、また振動吸収能が大となる。一方、炭化
物が析出した場合は、逆にミクロ巣発生の要因となり、
被削性も悪くなる。したがって、できるだけ固溶C量と
炭化物の析出量を低くし、黒鉛晶出量を高くすることが
重要となる。 第1図は、Ni量30〜42%、Si量0.5〜2.6%、Mn量0.4
〜1.0%の鋳鉄における全C量と固溶C量との関係につ
いての測定結果を示す。試料としての鋳鉄は、肉厚1イ
ンチの引張試験用砂鋳型で鋳造したものである。同図か
ら明らかな如く、固溶C量は全C量が高い程低い値を示
している。この傾向は一般鋳鉄においても同様であり、
全C量が高いと凝固初期に晶出する黒鉛量が増し、その
近辺の固溶Cが安定な黒鉛になるサイトを提供する役目
を果すため、凝固終了時の固溶C量が低減し、同時に炭
化物となるCが少なくなるものと考えられる。この第1
図における固溶C量と全C量との関係式を(1)式に示
す。 [固溶C量](%) =0.65-0.20[全C量](%) ……(1) なお、この(1)式について、さらに詳しく説明する
と、以下の通りである。すなわち、従来Fe-Ni合金にお
ける炭素含有量が熱膨張係数に与える影響については、
炭素全体量が大きく影響すると考えられていたが、本発
明者らは実験により、影響を与えているのは含有炭素量
全体ではなく、固溶している炭素量(固溶C量)のみで
あるという知見を得たのである。 そこで、この固溶C量と全炭素量との関係について検
討した結果、鋳鉄中の固溶C量と全炭素量とは、他の構
成成分とその含有量に依存していることが分った。この
関係を明らかにするために種々検討を行い各成分影響下
における、全炭素量と固溶炭素量の関係として下記A式
を見い出した。 固溶炭素量(%) =0.82-0.2(炭素当量) =0.82-0.2(全炭素量+0.32Si+0.026Mn+0.25Ni+0.0
1Co+……) ……(A式) ここで、炭素当量とは鋳鉄における黒鉛化(固溶して
いない炭素)に影響する各成分の影響を定量表現したも
のである。 上記(A式)より明らかなように、固溶炭素量は各成
分の含有量が少ない場合には、誤差範囲になってしまう
ので全ての成分を考慮する必要はない。 したがって、Si含有量が少ない本発明においては、前
記(1)式 固溶炭素量(%)=0.65-0.20全炭素量 で表現したものである。 次に、鋳鉄の熱膨張係数を低減するには固溶C量が低
い方(全C量が高い方)が好ましいが、固溶C量を低減
させると引張強さや硬さが低下する。第2図に上記Ni、
Si、Mnの含有量を有する鋳鉄の全C量と引張強さ、耐
力、ヤング率および硬さとの関係を示す。それぞれの関
係式は(2)式ないし(5)式となる。 引張強さ(kgf/mm2)=80.0-18.6[全C量](%) ……(2) 耐力(kgf/mm2)=83.3-27.1[全C量](%) ……(3) ヤング率(kgf/mm2)=198200-39500[全C量](%) ……(4) 硬さ(HB)=215-26.6[全C量](%) ……(5) 構造材料としては、ある程度の機械的性質を確保する
必要があり、例えば引張強さ30kgf/mm2以上、硬さHB145
以上とするためには全C量を2.5%以下とする必要があ
る。その場合の固溶C量は0.15%以上となるわけであ
る。このように、熱膨張係数の低減化と機械的性質の確
保との両方を満足するように全C量が決定される。 次に、Ni量がFe-Ni合金の熱膨張係数に及ぼす影響に
ついて考察する。 第3図はFe-Ni合金の熱膨張係数とNi量との関係を示
したグラフである。Ni量が約36%付近で熱膨張係数が極
小となる。この極小点AとなるNi含有量(横軸方向の位
置)は他の合金元素の含有量によって変動する。その変
動量(Ni量)と合金元素との関係は(6)式で表現され
る。 極小点の変動量(%) =−5.7C(%)−0.29Co(%)+0.57Mn(%)+0.45Si
(%) ……(6) したがって、C,Co,Mn,Si等の合金元素含有量が定めら
れた場合、それにより変動した極小点のNi量が熱膨張係
数を低減させるための最低値となる。 次に、Coの影響について第4図を参照して考察する。 第4図はNi+Co量を変化させた場合の温度と熱膨張係
数との関係を示したものである。 Coが少量添加されるとFe-Ni合金2元素の場合よりも
熱膨張係数が低減する。これは、Co添加により体積磁歪
を生じる温度範囲が常温付近となるためである。しか
し、Co量が高すぎると、その温度範囲が高温側に移行し
てしまい、常温〜200℃といった実用温度範囲では高い
熱膨張係数となる。熱膨張計数の温度依存が0から急に
立ち上がる屈曲点Bの温度で上記傾向を知ることができ
る。つまり、常温〜200℃の温度範囲で低熱膨張係数と
したい場合は屈曲点の温度を200℃〜250℃とすることが
好ましい。この屈曲点の温度はNi量+Co量やMn量によっ
て変化する。これを(7)式に示す。 屈曲温度(℃) =22.5×[Ni(%)+Co(%)]‐22×Mn(%)‐600.
3 ……(7) したがって、Mn量を約0.5%とする場合、屈曲点が325
℃までとするには、Ni量とCo量の合計を41%以下とする
必要がある。 本発明においては、Co量を約2.0%とし、熱膨張係数
の極小点の移動と屈曲点温度を示す(6)式と(7)式
を考慮して最適Ni量を決定した。 (8)式はNi量が熱膨張係数の極小点より低い側での
各合金元素の熱膨張係数に対する重回帰分析の結果を示
したものである。 熱膨張係数(×10-6/℃) =14.97-0.02×[全C量](%) +1.49×[Si量](%) −0.32×[Ni量](%) −0.70×[Co量](%) +1.35×[Mn量](%) ……(8) ただし、Ni量+Co量≦41%とする。 一方、Ni量が極小点より高い側での各元素の熱膨張係
数への重回帰式を(9)式に示す。 熱膨張係数(×10-6/℃) =−1.00-0.35×[全C量](%) +2.11×[Si量](%) +0.14×[Ni量](%) +0.28×[Co量](%) +0.25×[Mn量](%) ……(9) (8)式および(9)式の熱膨張係数に対する各元素
の回帰係数によると、全C量は高い程、Si量は低い程低
膨張となる。特に、Si量1%に対する影響が大である。
CoはNi量が極小点以下の場合は膨張率を低下させるが、
極小点より高Ni側では逆に膨張率を高める。これは、屈
曲点温度の上昇によるものである。Mnはできるだけ低い
方が低膨張に望ましいことがわかる。ただし、Si量は黒
鉛晶出促進のために接着剤として添加される分は必要で
ある。 最後に、Mgは晶出する黒鉛の形態を制御するために添
加される。一般に、0.02%以下のMg量であれば、黒鉛は
片状黒鉛となり、0.03〜0.1%で球状黒鉛となる。これ
以上のMg量は炭化物を形勢するために一般には許容され
ない。片状黒鉛とする利点は球状黒鉛の場合と比較し
て、被削性の改善、振動吸収能の増大を得ることにあ
る。一方、球状黒鉛とする利点は、引張強さ、耐力、剛
性、伸び、靱性等機械的性質の向上にある。また、溶接
性も改善される。 以上のデータ解析により本発明の鋳鉄の組成は極小点
を与えるNi量が33〜34.5の範囲にあり、それを基準に全
C量が2.0〜2.5%(固溶C量が0.25〜0.15%)、Si量が
0.3〜0.6%、Mn量は0.4%以下、Co量は1.5〜3.0%(Ni
+Coが36%となる範囲)を、低膨張性を重視するものに
対して最適範囲と考える。 なお、振動吸収能や機械的性質等の要求される各特性
に応じて上記各関係式からその組成を選択することがで
きる。例えば強度を重視する場合は、前記のうち全C量
を1.1〜1.5%の範囲とすることが望ましい。 〈実施例1〉 第5図および第6図に示すように、リング状の研磨定
盤を鋳造した。この研磨定盤は肉厚が30mm、外径と内径
が1000mmと400mmである。溶解は300kgの高周波電気炉を
用い、下記の第2表に示す材料を溶解した。 成分組成は下記の第3表に示すように、炭素2.32%、
シリコン0.57%、マンガン0.24%、ニッケル35.2%、コ
バルト2.6%、マグネシウム0.046%、残りが不純物を含
む球状黒鉛組織を有するオーステナイト系鋳鉄である。 また、1インチのキールブロック用砂鋳型にて試験片
を採取し、各特性値と測定した結果を第4表に示す。第
4表において熱膨張係数は2.0×10-6/℃、引張強さ41k
gf/mm2、伸び、20%が得られた。研磨定盤はその平坦度
が20μm以下という非常に高精度を要求されるが、一般
鋳鉄では旋盤による切削加工時に発生する加工熱によ
り、定盤の表裏で40〜70℃の温度差を生じ、加工時はほ
ぼ平坦であっても冷却後に平坦度が0.1〜0.2mm悪化して
いた。しかし、本発明の鋳鉄は、熱伝導度が低いため切
削層の熱が定盤に伝達されにくく、また黒鉛による快削
効果のために、定盤の表裏の温度差は1〜3℃以内であ
った。また、その温度が低下しても低熱膨張のため平坦
度は20μm以下を確保できた。この定盤を高精度な半導
体基板の研磨に用いることにより、一般に研磨熱により
40〜50℃に上昇する定盤寸法精度を高く維持することが
できる。 以上のように、本実施例の成分組成による鋳鉄によれ
ば、ほぼ一般鋳鉄並の鋳造性、被削性、機械的性質を保
有し、かつインバー合金に近い低膨張係数を得ることが
できる。 また、本実例の研磨定盤によれば、球状黒鉛が晶出さ
れ、機械的性質が優れたものであるため、研磨面を含め
た全体を一体として構成することができる。 〈実施例2〉 第3表に示すように、全C量を2.8%、Si量を1.0%と
した。この組成の鋳鉄はMgを添加せず、片状組織として
振動吸収能を追究した場合のものである。即ち、全C量
を2.8%と高めることにより減衰能(Specific Damping
Capacity)は17%が得られ一般鋳鉄の4〜5倍の振動吸
収能を示す。また、硬さがHB125〜135程度となり、アル
ミニウム合金並の軟かさを示す。これは、黒鉛による潤
滑効果と併せて、相手材を傷付けることなく接合や捕捉
する治具部材として有用であり、超高精度を要求される
半導体、電子製造装置材料として使用できる。 以上のように、一般鋳鉄(FC30材)の4〜5倍の反動
吸収能が得られ、かつアルミニウム合金並の軟かさを得
ることができる。 なお、本実施形態では片状黒鉛が晶出されるので、こ
れを研磨定盤として適用した場合には、研磨面としての
硬さが許容される場合にはそのまま一体で、また研磨面
として片状黒鉛鋳鉄以上の硬さを必要とする場合には表
面に他の硬質素材を添装する等の手段を併用した構成と
することができる。その場合、加工性が良好であるため
製作の容易性が得られ、また振動吸収能等に優れたもの
となるので安定的な使用が可能になる等の利点が得られ
る。 〈実施例3〉 第3表に示すように、炭素含有量を1.20%と低く設定
した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合には微小ながら黒鉛晶出がみられ、第4表に
示すように、加工性は許容できる範囲であった。 〈実施例4〉 第3表に示すように、シリコン含有量を1.4%と高く
設定した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合は第4表に示すように、熱膨張率がやや高く
なるが許容範囲内であった。 〈実施例5〉 第3表に示すように、マンガン含有量を1.2%に設定
した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合には第4表に示すように、熱膨張率がやや高
くなるが許容範囲内であった。 〈実施例6〉 第3表に示すように、マンガン含有量を0.8%に設定
した。他の成分は上記実施例1と近似させた。 この場合にも、熱膨張率が許容範囲内となった。 〈実施例7〉 第3表に示すように、炭素含有量を1.05%と低くし
て、高い引張り強さを得るとともに、Siを0.2%,Mnを0.
2%,Niを32.5%,Coを3.5%に配合して低炭素量による熱
膨張係数の増大を他の成分の配合で抑えたものである。
この場合、黒鉛の晶出は比較的少なく加工性は許容でき
る範囲であった。 なお、上記各実施例以外にも、本発明の範囲内で種々
実施したところ、上記同様に良好な特性が認められた。 〈比較例1〉 第3表に示すように、炭素含有量を0.71%と極めて低
く設定した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、加工性、鋳造性
および振動吸収能が悪い。 〈比較例2〉 第3表に示すように、炭素含有量を3.6%と高く設定
した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には第4表に示すように、伸び、強度が低下
し、また鋳造欠陥が多い。 〈比較例3〉 第3表に示すように、シリコン含有量を1.7%と高く
設定した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には第4表に示すように、熱膨張率が高過ぎ
る。 〈比較例4〉 第3表に示すように、ニッケル含有量を31.5%と低く
設定した。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には第4表に示すように、熱膨張率が高くな
る。 〈比較例5〉 第3表に示すように、ニッケルの含有量を40.0%と高
くした。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〈比較例6〉 第3表に示すように、コバルトの含有量を0.8%と低
くした。他の含有量は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〈比較例7〉 第3表に示すように、コバルト含有量を6.3%と高く
設定し、またニッケルとコバルトとの合計含有量を42.4
%と高くした。他の成分は上記実施例と近似させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〈比較例8〉 第3表に示すように、ニッケルとコバルトとの合計含
有量を42.5%と高くした。他の成分は上記実施例と近似
させた。 この場合には、第4表に示すように、熱膨張率が高く
なる。 〔発明の効果〕 以上のように、第1の発明に係る成分の鋳鉄によれ
ば、2〜4×10-6/℃の低熱膨張を得ることができ、か
つ球状黒鉛組織となることによって引張強さ、耐力、硬
さ等が高く優れた機械的特性が得られるとともに、一般
鋳鉄なみの鋳造性、被削性を得ることができる。また、
第2の発明によれば、必要に応じて振動吸収能を一般鋳
鉄の4〜5倍にまで高めることができ、アルミニウム合
金なみの軟かさを得ることが可能である。さらに第3の
発明に係る研磨定盤によれば、第1の発明系統の鋳鉄を
使用するものは、Mg含有量が0.03超で球状黒鉛が晶出さ
れ、機械的性質が優れたものであるため、研磨面を含め
た全体を一体として構成することができる。一方、第2
の発明系統のものは、Mg含有量が0.15%未満で片状黒鉛
が晶出されるので、研磨面としての硬さが許容される場
合にはそのまま一体で、また研磨面として片状黒鉛鋳鉄
以上の硬さを必要とする場合には表面に他の硬質素材を
添装する等の手段を併用して、研磨定盤として適用する
ことができ、その場合、加工性が良好であるため製作の
容易性が得られ、また振動吸収能等に優れたものとなる
ので安定的な使用が可能になる等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を説明するためのもので、Ni33〜40%鋳
鉄における全炭素量と固溶炭素量の関係を示すグラフ、
第2図は同鋳鉄における全炭素量と機械的特性の関係を
示すグラフ、第3図はFe-Ni合金における熱膨張係数の
極小点とNi量の関係を示すグラフ、第4図は上記Ni鋳鉄
のNi+Co量と熱膨張曲線の屈曲点の関係を示すグラフ、
第5図は本発明の実施例を説明するためのもので、研磨
定盤の形状を示す平面図、第6図は第5図のVI-VI線断
面図である。
鉄における全炭素量と固溶炭素量の関係を示すグラフ、
第2図は同鋳鉄における全炭素量と機械的特性の関係を
示すグラフ、第3図はFe-Ni合金における熱膨張係数の
極小点とNi量の関係を示すグラフ、第4図は上記Ni鋳鉄
のNi+Co量と熱膨張曲線の屈曲点の関係を示すグラフ、
第5図は本発明の実施例を説明するためのもので、研磨
定盤の形状を示す平面図、第6図は第5図のVI-VI線断
面図である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.オーステナイト基地鉄を有する鋳鉄において、成分
組成として少なくとも炭素1.0%以上3.5%以下、シリコ
ン0%を超え1.5%以下、マグネシウム0.035%を超え0.
1%以下、ニッケル32%以上39.5%以下、コバルト1.0%
以上4%未満を含み、上記ニッケルとコバルトとの合計
含有量を41%以下にしたことを特徴とする低熱膨張鋳
鉄。 2.オーステナイト基地鉄を有する鋳鉄において、成分
組成として少なくとも炭素1.0%以上3.5%以下、シリコ
ン0%を超え1.5%以下、マグネシウム0.015%未満、ニ
ッケル32%以上39.5%以下、コバルト1.0%以上4%未
満を含み、上記ニッケルとコバルトとの合計含有量を41
%以下にしたことを特徴とする低熱膨張鋳鉄。 3.請求項1または2記載の低熱膨張鋳鉄において、シ
リコンの含有量を1.0%未満にしたことを特徴とする低
熱膨張鋳鉄。 4.請求項1から3までのいずれかに記載の低熱膨張鋳
鉄において、0%を越え1.5%以下のマンガンを含むこ
とを特徴とする低熱膨張鋳鉄。 5.請求項1から4までのいずれかに記載の低熱膨張鋳
鉄を用いて構成したことを特徴とする研磨定盤。
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- 1988-10-25 DE DE3836671A patent/DE3836671C2/de not_active Expired - Fee Related
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1990
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