JP2588867B2 - ツーバイフォー工法家屋に於ける壁面構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はツーバイフォー工法によ
って構築される家屋の壁面構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ツーバイフォー工法は枠組壁工法と称せ
られ最初に床枠組を作り、次に壁枠組を組み立てて建て
起こし、更に壁枠組の上部に上階の床枠組を作っていく
と云うように水平構面と垂直構面で箱構造とし、順次下
方から構築していくものである。

【０００３】壁枠組の実際構造の詳細について説明する
と、構造用合板に柱状の枠材を釘結して壁枠組を形成
し、構造用合板が外側に位置するように前記壁枠組を建
て起こし、枠材間にグラスウール等の断熱材を充填し、
建物内面側に石膏ボードを貼り付け、壁枠組の外方は適
当間隔毎に釘着した胴縁を介して外壁材を張設して家屋
の壁面を形成するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ツーバイフォー工法に
よる壁枠組による壁面には前述した構造用合板、枠材及
び石膏ボードで形成された扁平密室が多数形成されるこ
とになる。この密室内部の湿気が外気温の変化によって
結露すると構造用合板、断熱材、枠材等を腐らせること
になる。勿論建築時に断熱材その他を充分乾燥させてお
くと、建築当初に於いては結露の可能性は少ないが、経
年変化により湿気が侵入し、結露が生じ腐食を促進せし
める虞は充分にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を鑑
み、ツーバイフォー工法家屋に於ける壁枠組の構造に改
良を施したものである。即ち本発明に係る壁面構造は、
従前のツーバイフォー工法家屋の壁面構造に於いて、壁
枠組を構成する構造用合板の適当箇所に通気孔を穿設
し、前記通気孔に密嵌合する筒状通気部と、前記筒状通
気部の外側開口部分の上方全部を覆い、且つ下向きに所
定の突出長さに突設した庇状部とを有する通気部品を、
前記通気孔に庇状部を外側にして装着してなることを特
徴とするものである。

【０００６】

【作用】通気孔によって構造用合板、枠材及び石膏ボー
ドで仕切られている壁面の密室の密閉が解かれ、密室内
の空気は前記通気孔を通って対流する。特に胴縁の介装
によって生ずる構造用合板と外壁材との空間（胴縁空
間）では、昼間地面で暖められた空気が上昇気流となっ
て侵入するので、上昇気流は下向きとした庇状部によっ
て構造用合板内の密室に導入され、外気温度が低下する
と、密室内の空気と外気温との差で密室内空気が胴縁空
間に流れ出ることで、密室内の空気は外気の出入りが頻
繁が行われることになり、密室内の湿気排出作用が促進
され、密室内に湿気による結露を生じさせずそれに伴う
腐食も防止される。更に筒状通気部の外側の上方全部を
覆うように庇状部を設けているものであるから、湿気排
除の為の通気孔が、合板の外面を流下する結露や胴縁空
間に浸入した雨水等の水滴の侵入口とならない。

【０００７】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１はツーバイフォー工法に於ける壁枠組の断面
図、図２及び図３は水滴侵入阻止用の通気孔金具（通気
部品）で、図４及び図５は通気孔金具の別例を示すもの
である。

【０００８】ツーバイフォー工法には壁枠組は、縁枠材
１（下枠材及び上枠材）間に複数の縦枠材２を架設連結
して枠組を形成し、前記枠組に構造用合板３を張設した
もので、この壁枠組を合板３が外側となるように床枠組
４に建て込み、各枠材１間にグラスウール等の断熱材５
を充填し、内面に石膏ボード６を張設し、壁枠組の外方
には胴縁７を介して外壁材８を張設してツーバイフォー
工法家屋の外壁面が形成されるもので、本発明は前述構
造用合板３に予め通気孔を穿設し、該通気孔に適宜な通
気金具を装着しておくものである。通気孔金具Ａは穿設
した通気孔に密嵌される通気孔部ａの基端側に鍔部ｂを
形成し、通気孔部ａの先端部分は庇状部ｃとし、庇状部
ｃの下方の通気穴に防虫ネットｄを張設したもので、前
記構造用合板３の通気孔に予め装着しておくものであ
る。

【０００９】而して構造用合板３に庇状部ｃが外壁側と
なるように通気孔金具を装着して、従来通りの建て込み
を行うと合板３の内外が連通することになり、合板３と
外壁材８との間の空隙Ｂを流れる空気が庇状部ｃによっ
て通気孔部ａを通って合板３の内方に導かれ、他の通気
孔金具個所（通気孔を上下に設けておく）より抜け出た
り、或は構造用合板３の内側の温度差により、内側の空
気が空隙Ｂへ流出したりするものである。

【００１０】従って構造用合板３の内側の湿気は空気の
動きによって外部へ放出され、湿気による腐食が未然に
防止されるものである。而も通気孔金具自体が充分な強
度を有していれば、合板に通気孔を穿設したことによっ
て低下する構造上の強度を充分補完できるものである。

【００１１】尚構造用合板３に設ける通気孔は枠材１、
２に囲繞される空間に少なくとも一個設けておけば良い
が、複数個設けておくと前記空間の空気の流れが良くな
り、効果は倍増する。

【００１２】また通気孔金具も前記実施例に特定される
ものでなく、図４及び図５に示すように庇状部ｃ１の周
囲に鍔部ｂ１を設けると共に通気孔部ａ１の外周面にネ
ジを刻設し、ネジに内側鍔部ｂ２を螺合して構造用合板
３に装着したり、更に防虫ネットｄも内側に形成しても
良い等任意の構造を選択できるものである。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上のように壁枠組を構成する
構造合板と外壁材との間に空隙を有するツーバイフォー
工法による家屋の壁面に於いて、前記壁面を形成するに
際して、予め構造用合板に通気孔を形成する共に、通気
孔部と庇状部を備えた通気部品を前記通気孔に装着する
という簡単な手段を付加したもので、従来密閉されてい
た構造用合板内側空間の密閉を解除し、密閉空間内と外
気との効果的な通気を実現して、前記空間に於ける湿気
のための腐食を防止したものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の壁面の内部構造の説明図であ
る。

【図２】水侵入防止機構となる金具を装着した壁面の断
面図である。

【図３】同金具の斜視図である。

【図４】同金具の別の実施例のものを装着した壁面の断
面図である。

【図５】図４の金具の斜視図である。

【符号の説明】

１ 縁枠材 ２ 縦枠材 ３ 構造用合板 ４ 床枠組 ５ 断熱材 ６ 石膏ボード ７ 胴縁 ８ 外壁材 Ａ，Ａ１ 通気孔金具 ａ，ａ１ 通気孔部 ｂ，ｂ１，ｂ２ 鍔部 ｃ，ｃ１ 庇状部 ｄ，ｄ１ 防虫ネット

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 縁枠材間に複数の縦枠材を架設連結した
   枠組に、構造用合板を釘結張設して形成した壁枠組を、
   構造合板が外側となるように建て起こし、構造用合板の
   外側に胴縁を介装して外壁材を張設した家屋の壁面構造
   に於いて、壁枠組を構成する構造用合板の適当箇所に通
   気孔を穿設し、前記通気孔に密嵌合する筒状通気部と、
   前記筒状通気部の外側開口部分の上方全部を覆い、且つ
   下向きに前記胴縁の介装によって生ずる構造用合板と外
   壁材との空間に収納できる突出長さに突設した庇状部と
   を有する通気部品を、前記通気孔に庇状部を外側にして
   装着してなることを特徴とするツーバイフォー工法家屋
   に於ける壁面構造。