JP2586335B2 - セルラー電話システムのハンドオフ方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はセルラー電話システムに
関し、特に移動機の各セル間の移動に伴い通話チャネル
の切り替えを行うセルラー電話システムのハンドオフ方
式に関する。

【０００２】

【従来の技術】移動機，無線基地局及び制御局からなる
この種のセルラー電話システムでは、制御局は、通話中
の移動機が例えば基地局Ａが配設されるセルエリアから
基地局Ｂのセルエリアへ移動するような場合は、基地局
Ａの無線チャネルから基地局Ｂの無線チャネルへのチャ
ネル切り替え、即ちハンドオフが必要である。従来は、
このようなハンドオフを行う場合、該当移動機の存在す
るセルエリアの無線基地局に隣接する全ての無線基地局
の無線チャネルをハンドオフ候補としている。そしてこ
れらの各候補の中からハンドオフ先の基地局を決定する
ために制御局は、隣接の全ての基地局に対し該当移動機
の電界測定要求を行うと共に、この要求に応じて測定さ
れた電界測定結果のデータを各基地局から受信しこの受
信データに基づきハンドオフ先の基地局を決定するよう
にしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようなセルラー電
話システムでは、移動機の移動方向からみてハンドオフ
先とならない無線基地局に対しても電界測定要求の送信
及びその測定結果の受信を行っており、その分制御局に
おいて電界測定要求処理、測定結果の受信待ち及び受信
結果判定処理等のハンドオフ処理に時間がかかり、制御
局の負荷が増大するという欠点がある。

【０００４】なお、移動機の中には現在自身が存在する
位置を検出できるものもあるが、検出された位置情報
は、移動機内で表示されるだけの移動機内でのみの利用
に留まっており、従ってこの位置情報を利用して制御局
が移動機の移動する必要なセルエリアのみに対して電界
測定を行うことにより制御局の負荷を軽減するような試
みはなされていない。

【０００５】したがって本発明は、制御局におけるハン
ドオフ処理時間を短縮し、制御局の負荷を軽減すること
を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は、各々が固有のセルエリアを有する複
数の無線基地局と、無線基地局と無線接続され各セルエ
リア間を移動する移動機と、各無線基地局と有線回線に
より接続される制御局とからなるセルラー電話システム
において、移動機の移動方向を検出する検出手段と、こ
の検出手段の検出出力に応じた各セルエリアに対し電界
測定要求を行う電界測定要求手段と、電界測定要求に基
づいて測定された電界の強度の強いセルエリアの無線チ
ャネルへチャネル切り替えするハンドオフ実行手段とを
設けたものである。また、上記検出手段として、移動機
の現在位置及び進行方向を検知する位置検知機を移動機
に設けると共に、上記セルラー電話システムの全セルエ
リアをカバーする地図データを格納する地図データ記憶
部と、位置検知機により検知された位置情報及び進行方
向情報を格納する移動機位置情報記憶部と、移動機進行
方向判定部とを制御局に設け、移動機方向判定部は移動
機の実在するセルエリアの無線基地局から移動機の移動
に伴う電界強度の劣化を通知されたときに位置情報及び
進行方向情報をもとに地図データを参照して移動機の移
動するセルエリアを検出するようにしたものである。

【０００７】

【作用】移動機の移動方向に応じた各セルエリアに対し
電界測定を行い、測定された電界の強度に応じたセルエ
リアに対しハンドオフを実行する。この結果、ハンドオ
フ先のセルエリアの候補の数を少なくできることから、
制御局におけるハンドオフ処理時間が短縮され、制御局
の負荷が軽減される。また、検出手段として制御局に設
けられた移動機進行方向判定部は、移動機の実在するセ
ルエリアの無線基地局から移動機の移動に伴う電界強度
の劣化を通知されたときに、移動機の位置検知機により
検出された位置情報及び進行方向情報をもとに地図デー
タを参照して移動機の移動するセルエリアを検出する。
この結果、移動機の移動先となるセルエリアを的確に検
出できる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例を示すブロック図であり、
セルラー電話システムの一例を示している。同図におい
て、１は移動機、２は制御局、３〜９は制御局２と有線
回線で接続されると共に移動機１とは無線回線により接
続される無線基地局、１０〜１６は各無線基地局３〜９
の無線ゾーンを示すセルエリアである。

【０００９】このように構成されたセルラー電話システ
ムでは、通話中の移動機１が或セルエリアから他のセル
エリアへ移動する場合は、制御局２はハンドオフと呼称
される通話チャネルの切り替えを行う必要がある。この
ような場合、制御局２が隣接する全てのセルエリアの無
線基地局に対し移動機１の電界強度を測定させ、この測
定結果に基づきハンドオフを実行すると、ハンドオフ処
理の時間がかかり制御局２の負荷が増大する。このた
め、移動局１及び制御局２を後述の図２に示すように構
成して必要なセルエリアのみ移動局１の電界強度要求を
送信し、制御局２の負荷を軽減する。

【００１０】図２（ａ）は移動機１の構成を示すブロッ
ク図である。移動機１は、移動機本体１７と移動機１の
位置を検知する位置検知機１８とからなり、移動機本体
１７及び位置検知機１８には各々アンテナＡＴ１及びＡ
Ｔ２が接続されている。ここで位置検知機１８により移
動機１の位置及び進行方向が検知されると、これらの各
情報は移動機本体１７へ送られる。移動機本体１７は、
この位置情報及び進行方向情報をアンテナＡＴ１を介し
無線回線により最寄りの無線基地局へ送信すると共に、
最寄りの基地局では有線回線を介し制御局２へこれらの
情報を伝達する。

【００１１】図２（ｂ）は、移動機１から送信される位
置情報及び進行方向情報を受信する制御局２の機能ブロ
ックを示す図であり、受信された移動機１の位置及び進
行方向の各情報は移動機位置情報記憶部２１に格納され
る。また、制御局２にはこのセルラー電話システムがカ
バーする全セルエリアの地図データを格納する地図デー
タ記憶部２２が設けられている。

【００１２】ここで、制御局２は移動機１の位置及び進
行方向情報を受信すると、移動機位置情報記憶部２１に
記憶すると共に、受信したこれらの各情報をもとに地図
データ記憶部２２の地図データを参照して移動機１がど
のセルエリアに移動しつつあるかを検出する。そして検
出されたセルエリアの無線基地局に対して移動機１の電
界測定要求を行う。その後、制御局２はこの電界測定要
求を行った無線基地局からの電界測定結果に基づき、ハ
ンドオフを実行する。この結果、制御局２におけるハン
ドオフ処理時間が短縮され、制御局２の負荷を軽減でき
る。

【００１３】次に図１，図２を用い、本発明の要部動作
をさらに詳細に説明する。図１において、セルエリア１
０に存在する移動機１がセルエリア１４またはセルエリ
ア１５の方向へ移動しようとしているものとする。この
とき、セルエリア１０に配設される無線基地局３は、移
動機１からの電波の強さの劣化を検出してその旨を制御
局２へ報告する。

【００１４】この無線基地局３からの劣化報告に基づき
制御局２は、隣接するセルエリアに配設される無線基地
局に対し移動機１の電界測定要求を行うことになるが、
この場合、制御局２の移動機進行方向判定部２３は、移
動機１から既に受信し移動機位置情報記憶部２１に記憶
されている移動機位置情報及び進行方向情報をもとに地
図データ記憶部２２のデータを参照して移動機１がセル
エリア１４またはセルエリア１５の方向へ移動しつつあ
ることを判定し検知する。この移動機進行方向判定部２
３の検知結果に基づき、制御局２は、セルエリア１４に
配設される無線基地局７及びセルエリア１５に配設され
る無線基地局８に対してのみ移動機１の電界測定要求を
行う。

【００１５】その後、制御局２は、無線基地局７及び無
線基地局８から上述の電界測定要求に基づくその測定結
果のデータを受信する。そしてこれらの電界測定結果に
基づき、電界の強い方の無線基地局に対しハンドオフを
実行する。このように、ハンドオフ実行に際し移動機１
の進行方向セルエリアのみを対象に電界測定要求を行
い、その測定結果に基づきハンドオフを実行するので、
隣接セルエリアが全て電界測定対象とはならないことか
ら、制御局２のハンドオフ処理時間及びその負荷を軽減
できる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、移
動機の移動方向を検出し、この検出出力に応じた各セル
エリアに対し電界測定要求を行うと共に、電界測定要求
に基づいて測定された電界の強度に応じたセルエリアの
無線チャネルへチャネル切り替えするハンドオフを実行
するようにしたので、ハンドオフ先のセルエリアの候補
の数を少なくでき、従って制御局におけるハンドオフ処
理時間が短縮され、制御局の負荷を軽減できるという効
果がある。また、検出手段として制御局に設けられた移
動機進行方向判定部は、移動機の実在するセルエリアの
無線基地局から移動機の移動に伴う電界強度の劣化を通
知されたときに、移動機の位置検知機により検出された
位置情報及び進行方向情報をもとに地図データを参照し
移動機の移動方向を検出するようにしたので、移動機の
移動先となるセルエリアを的確に検出できるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 セルラー電話システムの構成を示すブロック
図である。

【図２】 上記システムを構成する移動機のブロック図
（図２（ａ））及び制御局の機能ブロック図（図２
（ｂ））である。

【符号の説明】

１…移動機、２…制御局、３〜９…無線基地局、１０〜
１６…セルエリア、１７…移動機本体、１８…位置検知
機、２１…移動機位置情報記憶部、２２…地図データ記
憶部、２３…移動機進行方向判定部。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 それぞれが固有のセルエリアを有する複
   数の無線基地局と、前記無線基地局と無線接続され各セ
   ルエリア間を移動する移動機と、前記各無線基地局と有
   線回線により接続される制御局とからなるセルラー電話
   システムにおいて、 前記移動機の移動方向を検出する検出手段と、この検出
   手段の検出出力に応じた各セルエリアに対し電界測定要
   求を行う電界測定要求手段と、前記電界測定要求に基づ
   いて測定された電界の強度の強いセルエリアの無線チャ
   ネルへチャネル切り替えするハンドオフ実行手段とを備
   えたことを特徴とするセルラー電話システムのハンドオ
   フ方式。
2. 【請求項２】 請求項１記載のセルラー電話システムの
   ハンドオフ方式において、 前記検出手段として、移動機の現在位置及び進行方向を
   検知する位置検知機を移動機に備えると共に、前記セル
   ラー電話システムの全セルエリアをカバーする地図デー
   タを格納する地図データ記憶部と、位置検知機により検
   知された位置情報及び進行方向情報を格納する移動機位
   置情報記憶部と、移動機進行方向判定部とを制御局に備
   え、前記移動機方向判定部は移動機の実在するセルエリ
   アの無線基地局から移動機の移動に伴う電界強度の劣化
   を通知されたときに前記位置情報及び進行方向情報をも
   とに前記地図データを参照して移動機の移動するセルエ
   リアを検出することを特徴とするセルラー電話システム
   のハンドオフ方式。