JP2585631B2 - 光学活性エピハロヒドリンの製造方法 - Google Patents

光学活性エピハロヒドリンの製造方法

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JP2585631B2 JP62251876A JP25187687A JP2585631B2 JP 2585631 B2 JP2585631 B2 JP 2585631B2 JP 62251876 A JP62251876 A JP 62251876A JP 25187687 A JP25187687 A JP 25187687A JP 2585631 B2 JP2585631 B2 JP 2585631B2
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、生理活性を有する光学活性物質の合成に際
し、その合成経路を短縮化させる光学活性合成中間体、
いわゆるキラル・シントンとしての光学活性エピハロヒ
ドリンを酵素的に製造する方法に関するものである。
〔従来技術〕
従来、光学活性な医薬品は、微生物を用いた発酵法、
純粋な有機合成法、もしくは上記二法の併用法によって
製造されてきた。その中で、非天燃型の医薬品を製造す
る場合、上記三法の内、有機合成法と併用法によって製
造されている。有機合成法により、天然型と全く構造の
異なった光学活性医薬品が製造され、又、併用法におい
ては、天然型と類似した構造を有する光学活性医薬品が
製造されている。
この中で、有機合成法は全く新しい構造を持った新型
医薬品を製造することができるという有利性を持ってい
る反面、合成出発原料を天然の糖やアミノ酸等の比較的
高価な光学活性物質に求め、更に合成段階が一般的に長
いという問題点がある。
これに対して近年、有機合成法の合成段階の短縮化を
目的として光学活性合成中間体(キラルシントン)の効
率的合成がさかんになってきた。これらのキラルシント
ンの中で既に販売されているものとしては、β‐ブロッ
カー合成中間体である(R)‐ソルケタールや光学活性
エポキサイド等がある。
しかし、これらは糖やアミノ酸等の光学活性な天然物
より誘導しているだけで、これらキラルシントンの新し
い合成法の開発はほとんどされていなかった。
また、光学活性エピハロヒドリンの合成法としては次
のような方法が報告されている。
D−マンニトールからの合成法 (J.J.Baldwin,J.Org.Chem.,43,4876(1978)) D-マンニトールから(S)‐及び(R)‐エピクロル
ヒドリンを合成しているが、合成経路が長く、四酢酸鉛
等の重金属化合物を使用するために安全性に問題があ
る。
光学活性2,3-ジクロロ‐1-プロパノールからの合成法
(特開昭62-6697) 固定化微生物を使用して、2,3-ジクロロ‐1-プロパノ
ール(ラセミ体)のうち(R)‐体を資化させて除去
し、残った(S)‐体をエーテル/NaOH水溶液の二層系
溶液で処理し、閉環反応により(R)‐エピクロルヒド
リンを得ている。
しかし、この方法は煩雑な微生物の固定化処理、反応
装置の無菌化等を必要とし、また(S)‐エピクロルヒ
ドリンの合成が不可能である等の欠点を有している。
本発明と同様の原料、酵素を使用する方法 (浜口茂樹、第22回生物化学工学講習会テキスト,p41
(1987)) この方法は本発明と同様の原料、酵素を使用している
が、水系反応である為に酵素の回収、再使用、反応の連
続化が不可能であり、又、抽出等の煩雑な処理が必要で
ある。
更に、加水分解反応に際して、遊離の酸が生成し、こ
れが副反応である非酵素的(非立体選択的)加水分解反
応の原因となり、生成物である(S)‐アルコール、
(R)‐エステルの光学純度が低下するため、NaOH水溶
液で生成する酸を中和しながら、反応を行なわなければ
ならない。又、原料であるラセミエステルは、水に対す
る溶解性が低い為に、加水分解反応を向上させるために
は反応温度を高めたり、有機溶媒等の添加が必要となる
が、これらの操作は酵素を失活させる危険性を有する。
更に、酵素反応(加水分解)後、(R)‐エステルと
(S)‐アルコールは抽出により得られるが、水系反応
であるため使用した酵素の回収、再使用が極めて困難で
ある。
また、この方法は反応後、得られる(R)‐エステル
と(S)‐アルコールの混合物は、分離することなしに
pH(12)以上のNaOH水溶液で処理することにより、
(S)‐アルコールのみ環化させて(S)‐エピクロル
ヒドリンを誘導し、一方(R)‐エステルはそのまま回
収を行なうものであるが、この際、(R)‐エステルと
(S)‐エピクロルヒドリンを回収するためには抽出を
行なう必要がある。
〔目的〕
本発明は操作が簡単でしかも酵素の回収性や再利用性
に優れた光学活性エピハロヒドリンの工業的に有利な製
造方法を提供することを目的とする。
〔構成〕
本発明によれば、3-ハロ‐2-アシロキシ‐1-アルキル
(又はアリール)スルホニルオキシプロパンのラセミ体
(I)を酵素懸濁有機溶媒中で酵素的加アルコール分解
して対応する(S)‐アルコール(II)と対応する
(R)‐エステル(III)とを含む反応生成混合物を
得、次いで該反応生成混合物から酵素を濾去し、有機溶
媒‐アルカリ水溶液二層系で処理して(S)‐エピハロ
ヒドリン(IV)を得、更に有機層よりこの(S)‐エピ
ハロヒドリン(IV)を留去した後、残渣に含まれる
(R)‐エステル(III)をアルカリで処理することに
より(R)‐エピハロヒドリン(V)を得ることを特徴
とする光学活性エピハロヒドリンの製造方法が提供され
る。
すなわち、本発明の光学活性エピハロヒドリンの製造
方法は3-ハロ‐2-アシロキシ‐1-アルキル(又はアリー
ル)スルホニルオキシプロパンのラセミ体(I)を原料
とし、下記反応式で示される酵素懸濁有機溶媒中に於け
る酵素的加アルコール分解に供し、(S)‐アルコール
(II)と(R)‐エステル(III)とを含む反応生成混
合物を得る工程(工程1)、次いで反応生成混合物から
酵素を濾去し、有機溶媒‐アルカリ水溶液二層系で処理
し(S)‐エピハロヒドリン(IV)を得る工程(工程
2)、更に有機層より(S)‐エピハロヒドリン(IV)
を留分として得た後、残渣に含まれる(R)‐エステル
(III)をアルカリで処理することにより、(R)‐エ
ピハロヒドリン(V)を得る工程(工程3)の3工程を
経由することを特徴とする。
したがって、本発明は、酵素の回収性、再利用性を向
上させるために、反応溶媒として、酵素が溶解しない非
水系有機溶媒を選択し、又、光学分割を効率良く行なう
反応として、エステル交換反応に於いて、原料として3-
ハロ‐2-アシロキシ‐1-アルキル(又はアリール)スル
ホニルオキシプロパンのラセミ体を用い、このものの加
アルコール分解反応を選定したことを特徴とする。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
(工程1) 本発明において用いられる原料ラセミエステルは、下
記式(I) で示される基本骨格を持つ化合物であり、好ましいもの
としては、例えば、3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トル
エンスルホニルオキシプロパン等の二級アルコールのエ
ステルが挙げられる。
本発明で用いるアルコール(Z-OH)は不斉炭素を有し
ないアルコール、又は不斉炭素を有しているラセミアル
コール、又は、光学活性アルコールを示す。
より具体的には、不斉炭素を有しないアルコールとし
ては、炭素数1〜10の直鎖、もしくは、分枝鎖脂肪族ア
ルコールであり、その中で、特に、炭素数3〜8の直鎖
もしくは分枝鎖脂肪族アルコールが望ましい。又、不斉
炭素を有しているラセミアルコールとしては、炭素数1
〜10の直鎖、もしくは、分枝鎖脂肪族アルコールや芳香
環を有するアルコールである。更に、光学活性アルコー
ルとしては炭素数1〜10の直鎖、もしくは、分枝鎖脂肪
族アルコールや芳香環を有するアルコールを示す。
本発明における有機溶媒としては、先に示したアルコ
ール、もしくは他の非水系有機溶媒である。非水系有機
溶媒を具体的に例示すると、n-ペンタン、n-ヘキサン、
n-ヘプタン等の直鎖型炭化水素、イソブタン、イソペン
タン、2-メチルペンタン等の分枝鎖型炭化水素、シクロ
ペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、二塩化
メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン等の含ハロゲン炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クメン、シメン、メシチレ
ン、ジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジエ
チルエーテル、n-ジブチルエーテル等の脂肪族エーテ
ル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の脂環
式エーテル等を示し、その中でn-ヘキサン、トルエン、
ジイソプロピルベンゼン、ジエチルエーテル、n-ジブチ
ルエーテルがより適当である。
本発明における酵素は加水分解酵素を示し、より具体
的に例示すると、豚すい臓リパーゼ、キャンディダ属由
来の酵母リパーゼ、アスペルギルス属、ムコール属、シ
ュードモナス属由来の菌体リパーゼ等のリパーゼ類、又
は豚肝臓由来のエステラーゼ、又は、トリプシン、キモ
トリプシン、サブチリシン等のタンパク分解酵素が挙げ
られる。
本発明におけるエステル交換反応とは、先に示したラ
セミエステル(I)を先に示したアルコールで先に示し
た酵素を用して分解する反応、即ち、加アルコール分解
反応を示す。
本発明において、反応系の水分含量は極めて低い。具
体的には、ラセミエステル、アルコール、有機溶媒中に
含まれる全水分含量は2%(W/V)以下であり、更に、
0.5%(W/V)以下が望ましい。
(工程2) 酵素反応後、酵素を濾去回収して得られる反応混合物
は、カラム等の分離操作により、光学純度の高い(R)
‐エステル(III)、(S)‐アルコール(II)として
単離することが可能ではあるが、更に、これらを立体配
置の異なる各々のエピハロヒドリンに誘導する為には、
反応混合物をそのままアルカリ処理し、(S)‐エピハ
ロヒドリン(IV)を得る。この際、反応の選択性、ラセ
ミ化の防止、生成物の分離容易性の為、有機溶媒/アル
カリ水溶液の二層系で(S)‐アルコール(II)の閉環
反応を行う。この場合、アルカリ水溶液の濃度は1N前
後、反応温度は50℃以下を使用することが望ましい。
有機溶媒としては、例えば工程1で使用した溶媒がそ
のまま使用できるが好適にはエピハロヒドリンと沸点差
の大きな溶媒の使用が望ましい。
また、アルカリ水溶液として、例えば、NaOH、KOH、N
aHCO3、Na2CO3等の水溶液が用いられるが、通常はNaOH
水溶液が使用される。
有機溶媒とアルカリ水溶液の使用割合は重量比で0.1
〜10:1、好ましくは0.5〜2:1である。
(工程3) (S)‐エピハロヒドリン(IV)を留去回収後、残渣
として得られる(R)‐エステル(III)を、アルカリ
処理することにより、(R)‐エピハロヒドリン(V)
に導く。この場合、アルカリとしてNaOMe、NaOEt、KOM
e、t-BuOK、KOH、NaOH等が好ましく用いられる。
本発明の工程1におけるラセミアルコールのエステル
の酵素的エステル交換反応による光学活性物質の分離に
おける作用機構は以下のように考える。まず、本反応系
に酵素を加えない場合、ラセミエステルはアルコールと
エステル交換反応を起こさず、実施例に示す反応時間内
では反応は高速液体クロマトグラフィーで確認する限り
進行しない。この事から、酵素が反応を進行させる触媒
となっている事は明らかである。更に、p-ニトロフェニ
ルジエチルフォスフェートによって酵素活性を完全に失
なったリパーゼを用いた場合、エステル交換反応が全く
進行しなかったというクリバノフの報告から、酵素タン
パクの求核性で反応が進行しいてるのではないことが推
定できる。この事から、反応は酵素の活性化部位で進行
していることが推定できる。
〔効果〕
本発明は、前記構成により、光学活性エピハロヒドリ
ンの製法上、次に挙げるような極めて有利な技術的効果
を奏するものである。
本発明は、前記反応式に示す様に、従来水に於ける加
水分解反応に使用していたと同様の基質、酵素を使用し
て有機溶媒中に於ける加アルコール分解反応により、立
体選択的な酵素反応を実施するものであり、この際使用
する酵素は、有機溶媒に不溶である為、濾過操作によ
り、酵素と生成物との分離、回収が容易であり、回収さ
れる酵素は再使用することが可能である。
更に本発明では、遊離の酸の生成が見られない為、反
応中にアルカリ水溶液を加えて、酸を中和する必要がな
い。
又、酵素反応終了後、酵素を濾去回収することにより
得られる(R)‐エステル(III)と(S)‐アルコー
ル(II)の混合物溶液は、水洗又は蒸留操作により、求
核試剤であるZ-OHを除去するのみで、次工程の原料とす
ることが出来、抽出操作を行う必要がない。
上記(R)‐エステル(III)及び(S)‐アルコー
ル(II)の混合物溶液(有機溶媒の沸点が低く、アルコ
ール除去の際に溶媒も共に留去される場合には、新たに
溶媒を加えて溶液とする)にアルカリ水溶液を加え、二
層系で反応を行うことにより、原料の溶解性を高め、反
応性を向上させることが可能である。この様に、短時間
で(S)‐アルコール(II)のみを環化させ、(S)‐
エピハロヒドリン(IV)を得ることが可能であり、この
様な短い時間では(R)‐エステル(III)は全く変化
を受けない為、反応の選択性が極めて向上する。更に、
反応終了後も分液操作のみで、生成物を分離することが
可能であり、目的物の回収が容易である。
反応溶液からは、蒸留操作により、(S)‐エピハロ
ヒドリン(IV)が単離され、残渣には(R)‐エステル
(III)のみが残存する。したがってこの(R)‐エス
テル(III)をアルカリ処理により、(R)‐エピクロ
ルヒドリン(V)に誘導することができる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンス
ルホニルオキシプロパン3.07g(10mmol)を、予めモレ
キュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたn-ヘキ
サン(80ml)と2-プロパノール(40ml)の溶液に溶解せ
しめた。続いて、リパーゼ(アマノP 天野製薬社製)
10gをこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。2時
間後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液より減
圧下で溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと1N-NaOH
水溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水相を
取り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃でエ
ーテルを減圧留去し、残査を25℃で減圧蒸留してS-エピ
クロロヒドリンを理論量の70%の収率で得た。更に、残
渣を1モルNaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリンを理
論量の60%の収率で得た。これらS及びR-エピクロロヒ
ドリンの光学純度は、旋光度測定の結果、99%以上であ
った。
実施例2 (R,S)‐3-クロロ‐2-アトセトシ‐1-ベンゼンスル
ホニルオキシプロパン2.92g(10mmol)を、予めモレキ
ュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたn-ヘキサ
ン(80ml)と2-プロパノール(40ml)の溶液に溶解せし
めた。続いて、リパーゼ(アマノP天野製薬社製)10g
をこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。2時間
後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液より減圧
下で溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと1N-NaOH水
溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水相を取
り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃でエー
テルを減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-エピクロロヒド
リンを理論量の62%の収率で得た。更に、残渣を1モル
NaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリンを理論量の58%
の収率で得た。これらS及びR-エピクロロヒドリンの光
学純度は、旋光度測定の結果、99%以上であった。
実施例3 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-トリフルオロ
メタンスルホニルオキシプロパン2.85g(10mmol)を、
予めモレキュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておい
たn-ヘキサン(80ml)と2-プロパノール(40ml)の溶液
に溶解せしめた。続いて、リパーゼ(アマノP天野製薬
社製)10gをこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌し
た。2時間後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾
液より減圧下で溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと
1N-NaOH水溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分
後、水相を取り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濾過
後、0℃でエーテルを減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-
エピクロロヒドリンを理論量の62%の収率で得た。更
に、残渣を1モルNaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリ
ンを理論量の60%の収率で得た。これらS及びR-エピク
ロロヒドリンの光学純度は、旋光度測定の結果、90%以
上であった。
実施例4 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-メタンスルホ
ニルオキシプロパン2.31g(10mmol)を、予めモレキュ
ラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたn-ヘキサン
(80ml)と2-プロパノール(40ml)の溶液に溶解せしめ
た。続いて、リパーゼ(アマノP天野製薬社製)10gを
この溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。2時間後、
濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液より減圧下で
溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと1N-NaOH水溶液5
0mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水相を取り除
き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃でエーテル
を減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-エピクロロヒドリン
を理論量の63%の収率で得た。更に、残渣を1モルNaOM
eで処理し、R-エピクロロヒドリンを理論量の61%の収
率で得た。これらS及びR-エピクロロヒドリンの光学純
度は、旋光度測定の結果、S体、R体、各々60%、50%
以上であった。
実施例5 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンス
ルホニルオキシプロパン3.07g(10mmol)を、予めモレ
キュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたベンゼ
ン(80ml)と2-プロパノール(20ml)の溶液に溶解せし
めた。続いて、リパーゼ(アマノP天野製薬社製)10g
をこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。24時間
後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液より減圧
下で溶媒を留去した。残渣にジクロロメタン50mlと1N-N
aOH水溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水
相を取り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃
でジクロロメタンを減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-エ
ピクロロヒドリンを理論量の58%の収率で得た。更に、
残渣を1モルNaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリンを
理論量の60%の収率で得た。これらS及びR-エピクロロ
ヒドリンの光学純度は旋光度測定の結果99%であった。
実施例6 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンス
ルホニルオキシプロパン3.07g(10mmol)を、予めモレ
キュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたジクロ
ロメタン(80ml)と2-プロパノール(20ml)の溶液に溶
解せしめた。続いて、リパーゼ(アマノP天野製薬社
製)10gをこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。1
20時間後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液よ
り減圧下で溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと1N-N
aOH水溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水
相を取り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃
でエーテルを減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-エピクロ
ロヒドリンを理論量の55%の収率で得た。更に、残渣を
1モルNaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリンを理論量
の58%の収率で得た。これらS及びR-エピクロロヒドリ
ンの光学純度は旋光度測定の結果99%以上であった。
実施例7 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンス
ルホニルオキシプロパン3.07g(10mmol)を、予めモレ
キュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたジクロ
ロメタン(80ml)と2-プロパノール(20ml)の溶液に溶
解せしめた。続いて、リパーゼ(CESP天野製薬社製)10
gをこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。120時間
後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液より減圧
下で溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと1N-NaOH水
溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水相を取
り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃でエー
テルを減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-エピクロロヒド
リンを理論量の65%の収率で得た。更に、残渣を1モル
NaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリンを理論量の59%
の収率で得た。これらS及びR-エピクロロヒドリンの光
学純度は旋光度測定の結果99%以上であった。
実施例8 (R,S)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンス
ルホニルオキシプロパン3.07g(10mmol)を、予めモレ
キュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいたジクロ
ロメタン(80ml)と2-プロパノール(20ml)の溶液に
溶解せしめた。続いて、リパーゼ(豚脾臓シグマ社製)
10gをこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。120時
間後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液より減
圧下で溶媒を留去した。残渣にエーテル50mlと1N-NaOH
水溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分後、水相を
取り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄後、無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。この溶液を濾過後、0℃でエ
ーテルを減圧留去し、25℃で減圧蒸留しS-エピクロロヒ
ドリンを理論量の58%の収率で得た。更に、残渣を1モ
ルNaOMeで処理し、R-エピクロロヒドリンを理論量の62
%の収率で得た。これらS及びR-エピクロロヒドリンの
光学純度は、旋光度測定の結果、S体、R体、各々90
%、85%であった。
実施例9 (R,S)‐3-クロロ‐2-ブタノイルオキシ‐1-p-トル
エンスルホニルオキシプロパン3.35g(10mmol)を、予
めモレキュラーシーブ4Aで一昼夜以上乾燥させておいた
n-ヘキサン(80ml)と2-プロパノール(40ml)の溶液に
溶解せしめた。続いて、リパーゼ(アマノP天野製薬社
製)10gをこの溶液に加え、25℃、150rpmで撹拌した。
2時間後、濾過操作により、酵素粉を取り除き、濾液よ
り減圧下で溶媒を留去した。残渣にジクロロメタン50ml
と1N-NaOH水溶液50mlを加え、氷冷下、撹拌した。5分
後、水相を取り除き、有機相を飽和食塩水で2回洗浄
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を濾過
後、0℃でジクロロメタンを減圧留去し、25℃で減圧蒸
留しS-エピクロロヒドリンを理論量の61%の収率で得
た。更に、残渣を1モルNaOMeで処理し、R-エピクロロ
ヒドリンを理論量の62%の収率で得た。これらS及びR-
エピクロロヒドリンの光学純度は、旋光度測定の結果99
%以上であった。
実施例10 酵素の再利用の可能性を検討するため(実施例1)で
使用した酵素粉を繰り返し使用した。繰り返し実験の内
容は(実施例1)と全く同じ条件で行い、酵素粉は反応
終了後、n-ヘキサンで洗浄し再利用した。2回目の酵素
反応後、アルカリ処理により得られたS-エピクロロヒド
リン及びR-エピクロロヒドリンの光学純度は、旋光度測
定の結果、99%以上であった。
更に、同じ酵素粉を用いて、3回目の酵素反応を行
い、生成物のアルカリ処理を行ったところ、S-エピクロ
ロヒドリン及びR-エピクロロヒドリンの光学純度は、99
%以上であった。
比較例1 100mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に、基質(R,S)
‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンスルホニノト
キシプロパン20g及びリポプロティンリパーゼ(アマノ
3)0.2gを添加し、2.5N NaOHでpHを7.0に調整しなが
ら、撹拌下、30℃で24時間不斉加水分解反応を行った。
この反応液200mlを塩化メチレンで抽出し、乾燥減圧濃
縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、
(R)‐3-クロロ‐2-アセトキシ‐1-p-トルエンスルホ
ニルオキシプロパン8.5g、(S)‐3-クロロ‐1-p-トル
エンスルホニルオキシ‐2-プロパノール7.4gを得た。各
々の比旋光度を測定したところ〔α〕D 20‐9.2°(C=
5.0、MeOH)、〔α〕D 20‐2.2°(C=5.0、MeOH)であ
った。又、HPLCで光学純度を測定したところ、いずれも
99%ee以上の値を示した。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3-ハロ‐2-アシロキシ‐1-アルキル(又は
    アリール)スルホニルオキシプロパンのラセミ体(I)
    を酵素懸濁有機溶媒中で酵素的加アルコール分解して対
    応する(S)‐アルコール(II)と対応する(R)‐エ
    ステル(III)とを含む反応生成混合物を得、次いで該
    反応生成混合物から酵素を濾去し、有機溶媒‐アルカリ
    水溶液二層系で処理して(S)‐エピハロヒドリン(I
    V)を得、更に有機層よりこの(S)‐エピハロヒドリ
    ン(IV)を留去した後、残渣に含まれる(R)‐エステ
    ル(III)をアルカリで処理することにより(R)‐エ
    ピハロヒドリン(V)を得ることを特徴とする光学活性
    エピハロヒドリンの製造方法。
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