JP2580556Y2 - チェーンソーの給油ポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はチェーンソーの給油ポン
プに関する。

【０００２】

【従来の技術】チェーンソーは、ガイドバーに案内支持
されたソーチェーンをそれの外周に沿って駆動させると
同時に給油ポンプによって潤滑油をガイドバーのソーチ
ェーン案内溝内へ供給して樹木等の切断作業を円滑に行
なえるように配慮されているが、従来の給油ポンプは、
例えば、実公平５−１８０８８号公報や実公平５−１８
０８９号公報に記載の如くそのポンプ部とそれを駆動す
るための駆動部とを一体的に形成しており、このためポ
ンプ部及び駆動部の各部材の組付け位置に対する許容公
差が狭く、ポンプの製作コストが高く、ポンプ故障時に
ポンプ部及び駆動部の両方を交換しなければならないの
で不経済であり、また駆動部へ過負荷が直接伝達される
ので駆動部の故障頻度が高く、耐久性及び信頼性が低い
等の欠点を有していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】そこで、本考案は、こ
のような従来の技術の欠点を取除くためになされたもの
であり、ポンプ部と駆動部とを分離した構造にして加工
・組立を容易とするとともに故障を減らし、且つ耐久性
及び信頼性を高めたチェーンソーの給油ポンプを提供す
ることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】即ち、本考案によれば、
チェーンソーの給油ポンプは、チェーンソーの機体に取
付けられウォームに噛合って回転する歯車付部材を案内
する受穴を有する駆動部と、チェーンソーのソーチェー
ンを案内支持するガイドバーの取付面部の内部にポンプ
作用をなすプランジャを有するポンプ部と、を別体に備
え、前記プランジャに大径部分を形成してその軸方向一
側を戻しばねの受けとし他側を端面カムとして制御ピン
との協働により前記プランジャの回転でプランジャを軸
線方向に往復動すると共に、前記歯車付部材と前記プラ
ンジャとを弾性継手部材で連結し、該弾性継手部材をゴ
ム等の所定負荷以上で破断する強度の弾性部材とし、そ
の一端に回り止めの軸線方向穴、他端に回り止めの軸線
方向延長部を形成して、前記プランジャに形成した回り
止めの外方端と前記歯車付部材の外方端に形成した穴と
にそれぞれ回り止め係合せしめ、前記歯車付部材の回転
を前記プランジャに伝達することを特徴とする。

【０００５】このように、本考案によれば、上記したチ
ェーンソーの給油ポンプは、チェーンソーの機体に取付
けられた駆動部の歯車付部材と、ソーチェーンガイドバ
ーに形成されたポンプ部のプランジャとを弾性継手部材
で連結するもので、該弾性継手部材をゴム等の所定負荷
以上で破断する強度の弾性部材として駆動部に過大なト
ルクがかからないようにすると共に、歯車付部材とプラ
ンジャとを振動や熱膨張差による不都合を解消し、且つ
駆動部とポンプ部との製作や取付け等の許容度を大きく
して製作・組立・分解及び部品交換等を容易にした構成
を特徴とする。

【０００６】

【作用】従って、駆動部とポンプ部は互いに別々に所定
の位置に取付けられ且つ両者は互いに前記弾性継手部材
によって組付け位置のずれを吸収されて駆動連結され、
かつ駆動部及びポンプ部の間の連結部は駆動部に過大の
負荷が加わらないようにするヒューズ機構即ちトルクリ
ミッターとしての作用も奏する。

【０００７】

【実施例】次に、本考案を図面の実施例に基づいて説明
する。図示したように、本考案のチェーンソーの給油ポ
ンプは、ポンプ部１と駆動部２とが互いに別体に形成さ
れている。前記ポンプ部１は、チェーンソーの機体Ｂに
形成された穴３及び４を通るねじ（図示せず）によって
機体Ｂに固着されるチェーンソーのソーチェーン（図示
せず）を案内支持するガイドバー５の取付面部３０の内
部に設けられる。一方、前記駆動部２は、それに形成さ
れた穴６及び７を通るねじ（図示せず）によってチェー
ンソーの機体Ｂに取付けられる。

【０００８】前記ポンプ部１は前記機体Ｂの内部を前記
ガイドバー５とほぼ平行に延びる穴８内に内方端１７が
塞がれたスリーブ部材９をその軸線方向へ摺動可能に装
着しており、該スリーブ部材９内にポンプ作用プランジ
ャ１０を軸線方向へ摺動及び回転可能に支持しており、
前記スリーブ部材９と前記プランジャ１０の内方端１１
とによってポンプ室１２を画成している。更に、前記ポ
ンプ部１はその一側部に前記スリーブ部材９を貫通して
前記ポンプ室１２を前記機体Ｂ内の潤滑油タンク（図示
せず）へ連通する吸込管路１３を形成し、その反対側に
前記スリーブ部材９を貫通して前記ポンプ室１２を前記
ガイドバー５のソーチェーン案内溝側へ開く吐出管路１
４を形成している。

【０００９】前記スリーブ部材９の外方端１５は前記ポ
ンプ部１の穴８から外部へ突出しており、前記スリーブ
部材９の外方端１５と前記機体Ｂとの間に圧縮コイルば
ねが押しばね１６として設けられ、該押しばね１６は、
前記スリーブ部材９を前記駆動部２から遠ざかる方向、
すなわち前記ポンプ部１の穴８の内方へ偏圧している。
一方、前記スリーブ部材９の前記内方端１７は、前記機
体Ｂの前部から前記ポンプ部１に螺合して貫通する調整
ねじ１８と当接しており、該調整ねじ１８は前記ポンプ
部１に対して回動されて前記スリーブ部材９を軸線方向
へ移動させ、前記ポンプ室１２の実効容積を調節し得る
ようになっている。なお、前記調整ねじ１８として、と
がり先ねじを前記スリーブ部材９の内方端１７と穴８の
内方端との間にねじ込む等、必要に応じて適宜変更でき
る。

【００１０】前記スリーブ部材９の外方端１５内に大径
の軸線方向穴１９が形成されており、この穴１９内にプ
ランジャ１０の大径部分２０が回転及び摺動可能に支持
されている。更に、前記穴１９内には、前記スリーブ部
材９の段部３１と前記プランジャ１０の大径部分２０と
の間に作用する圧縮コイルばねが戻しばね２１として配
置されており、該戻しばね２１は、前記プランジャ１０
を前記駆動部２の方へ、前記スリーブ部材９に対して軸
線方向外方へ偏圧している。前記プランジャ１０の大径
部分２０の外方端面３３は端面カムを形成しており、前
記スリーブ部材９の回り止め及び前記プランジャ１０の
抜け止めを兼ねて外側から打ち込まれた制御ピン３２と
協働して、前記プランジャ１０をその回転に伴なって軸
線方向へ往復動せしめる。更に前記プランジャ１０の外
方端２２は、前記スリーブ部材９の外方端１５の穴１９
から外方へ突出し且つ四角形断面の回り止め形状に形成
されている。

【００１１】前記駆動部２は、図示しない内燃機関のク
ランク軸からの駆動力によって駆動されるウォーム２３
と、このウォーム２３に噛合って駆動力を伝達される歯
車付部材２４とを有し、該歯車付部材２４は、前記駆動
部２に形成された受穴２５内に回転可能に設けられてい
る。前記歯車付部材２４は、前記ポンプ部１の前記プラ
ンジャ１０と軸線方向に整合されて配置されており、該
プランジャ１０の前記外方端２２に近接した前記歯車付
部材２４の外方端３４には、四角形断面形状の軸線方向
穴２６が形成されている。

【００１２】前記プランジャ１０の外方端２２及び前記
歯車付部材２４の外方端３４の間にゴム等の所定負荷以
上で破断する強度の弾性材料で作られた弾性継手部材２
７が設けられており、該弾性継手部材２７は、その一端
に形成された四角形断面形状の軸線方向穴２８内に前記
プランジャ１０の四角形断面形状の外方端２２を固着
し、且つ前記弾性継手部材２７の他端に形成された四角
形断面形状の軸線方向延長部２９が前記歯車付部材２４
の外方端３４の穴２６内に摺動自在に挿入されて前記歯
車付部材２４の回転をプランジャ１０へ伝達する。

【００１３】なお、本考案における実施例では、弾性継
手部材２７に耐油性ゴムを使用しており、所定負荷以上
の負荷がかかると弾性継手部材２７はその細くなってい
る部分から破断し、駆動部に過大なるトルクがかからな
いように作用している。従って、上記の条件を満たす弾
性継手部材には様々な種類の耐油性ゴムがあるものの、
それぞれの材料が持つ捩れ強度に応じた所定負荷を設定
することができる。

【００１４】このような構成により、チェーンソーの作
動中にウォーム２３が回転駆動されると、歯車付部材２
４が回転してウォーム歯車のリード角によって生ずる推
力によりＸの軸線方向に移動しようとする。この歯車付
部材２４の運動は、前記弾性継手部材２７を介して前記
ポンプ部１のプランジャ１０に伝達される。そして、該
プランジャ１０の大径部分２０に形成されていて端面カ
ムの役割を果たしている外方端面３３と制御ピン３２に
よりストロークを規制され前記プランジャ１０は回転し
ながらも前記スリーブ部材９に対して往復運動し、それ
に応じて潤滑油を前記吸込管路１３から前記ポンプ室１
２中へ吸込み、且つ該ポンプ室１２内の潤滑油を前記吐
出管路１４から前記ガイドバー５の案内溝内へ吐出し、
ガイドバー５及びソーチェーンを潤滑する。

【００１５】

【考案の効果】以上説明した本考案の構成により、本考
案は、駆動部及びポンプ部の間の偏心に対する許容度が
大きく、このため部品の製作及び組立が容易であり、駆
動部及びポンプ部を別々に部品交換を行うことができ、
プランジャが駆動部と別体であり、プランジャ及びスリ
ーブ部材をそれ等に最も適した同一の材料で作ることが
でき、熱膨張差による隙間増大を防止してポンプ室への
空気の侵入を防止し、ポンプ特性を常に良好に維持する
ことができ、更に、駆動部への過負荷を防止して耐久性
を向上する等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る一実施例を示すチェーンソーの給
油ポンプの要部側断面図である。

【図２】図１の線II-II に沿った断面図である。

【符号の説明】

１ ポンプ部 ２ 駆動部 ９ スリーブ部材 １０ ポンプ作用プランジャ １２ ポンプ室 １６ 押しばね １８ 調整ねじ ２１ 戻しばね ２３ ウォーム ２４ 歯車付部材 ２７ 弾性継手部材

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チェーンソーの機体（Ｂ）に取付けられ
   ウォーム（２３）に噛合って回転する歯車付部材（２
   ４）を案内する受穴（２５）を有する駆動部（２）と、
   チェーンソーのソーチェーンを案内支持するカイドバー
   （５）の取付面部（３０）の内部にポンプ作用をなすプ
   ランジャ（１０）を有するポンプ部（１）と、を別体に
   備え、前記プランジャに大径部分（２０）を形成してそ
   の軸方向一側を戻しばね（２１）の受けとし他側を端面
   カムとして制御ピン（３２）との協働により前記プラン
   ジャの回転でプランジャを軸線方向に往復動すると共
   に、前記歯車付部材と前記プランジャとを弾性継手部材
   （２７）で連結し、該弾性継手部材をゴム等の所定負荷
   以上で破断する強度の弾性部材とし、その一端に回り止
   めの軸線方向穴（２８）、他端に回り止めの軸線方向延
   長部（２９）を形成して、前記プランジャに形成した回
   り止めの外方端（２２）と前記歯車付部材の外方端（３
   ４）に形成した穴（２６）とにそれぞれ回り止め係合せ
   しめ、前記歯車付部材の回転を前記プランジャに伝達す
   ることを特徴とするチェーンソーの給油ポンプ。