JP2573544B2 - キチン溶液 - Google Patents

キチン溶液

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キチン溶液に関するも
のである。更に詳しくは該キチン溶液から脱カルシウム
又は脱マグネシウムを行い、しかる後に凝固再生して高
純度なキチンの繊維,フィルム,粒状体,粉体等の再生
キチン成形物とし、生体材料,医薬品,化粧品,食品,
飼料等又、他の産業用資材分野に広く供することが出来
るキチン溶液に関するものである。また該溶液はそのま
まの状態で例えば特殊機能紙を得るために、製紙用のサ
イジング剤として供することが出来る。
【0002】
【従来の技術】キチンは、N−アセチル−D−グルコサ
ミンが1,4−β結合している天然多糖類で、カニ,エ
ビ等の甲殻類,カブトムシ,バッタ等の昆虫類の甲皮,
菌類の細胞壁等自然界の生物中に存在する多糖類で、セ
ルロースに次いで地球上に多量に生物生産されている貴
重な資源である。キチンは分子中にアセチルアミノ基を
有し、このアセチルアミノ基の分子間水素結合が強いた
めに耐化学薬品性が高く、有機溶媒にも溶解しにくい性
質がある。
【0003】キチンを溶解する溶媒については従来より
多くの開示がなされている。即ち、直接溶解法の溶媒と
して、ヘキサフルオロアセトン,ヘキサフルオロイソプ
ロパノール,混合溶媒としてギ酸−ジクロル酢酸系,ジ
メチルアセトアミド−リチウム系,トリクロロ酢酸−塩
素化炭化水素系等のポリハロゲン化炭化水素やカルボン
酸(特開昭63−117002号),N−メチルピロリ
ドン−リチウム系(特開昭58−134101号)等が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の溶媒では、概ねキチンの脱アセチル化度が30%以下
では溶解が困難で、脱アセチル化度が30%以下で溶解
可能な溶媒もあるが、凍結・昇温の操作を繰り返す必要
があり、従って分子量の著しい低下や脱アセチル化を招
欠点があった。
【0005】更に開示されている従来の溶媒は、安全衛
生面からも取扱いが難しい溶媒であって、吸入による呼
吸器傷害、接触による皮膚傷害等の危険性が高い欠点が
あり、取扱いが安全にして容易な溶媒の開発が望まれて
いた。
【0006】本発明者等は、上述の欠点を解消するた
め、しかも脱アセチル化度30%以下のキチンでも容易
に溶解し、即ち取扱いが容易な溶媒について鋭意検討の
結果本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、キチンを、メ
チルアルコール又はエチルアルコールよりなるアルコー
ルにハロゲン化カルシウム塩又はハロゲン化マグネシウ
ム塩を加えた混合溶媒に溶解させたキチン溶液よりな
る。
【0008】混合溶媒として用いられるアルコールは、
メチルアルコール又はエチルアルコールが好適で他のア
ルコールは不適であった。又、用途に応じてエチルアル
コールを用いることにより好ましい結果が得られる。
【0009】混合使用されるカルシウム塩又はマグネシ
ウム塩は、ハロゲン化物であり、塩化カルシウム・2水
塩,臭化カルシウム・2水塩,ヨウ化カルシウム・2水
塩が用いられ、マグネシウム塩としては塩化マグネシウ
ム・6水塩が用いられる。
【0010】キチンを溶解するに際して混合溶媒にキチ
ンを溶解する以外に、アルコール中にキチンを混合分散
させてカルシウム塩又はマグネシウム塩を添加し、攪拌
溶解しても同様にキチン溶液を得ることが出来る。本発
明に用いられる混合溶媒は飽和混合状態にすることが好
適である。
【0011】本発明に用いられるキチンは、カニ殻・エ
ビ殻由来のα−キチンでも、イカ骨由来のβ−キチンで
も用いられ、結晶構造に影響されることなく容易に溶解
し、キチン溶液が得られる。又、キチンを脱アセチル化
して得たキトサンを無水酢酸の零囲気中でアセチル化し
て得られた脱アセチル化度30%以下のアセチル化キチ
ン及びアセチル化キトサンも用いることが出来る。
【0012】天然のカニ殻,エビ殻から得られるキチン
は、脱アセチル化度が12.5%(R.A.A.MUZ
ZARELLI:「CHITIN」 P87.Perg
amon press(1977))、また、脱アセチ
ル化度5%以下(S.TOKURA et al;Po
lymer Journal Vol.15(8)P.
597〜602)との報告があり従来公知の溶媒では溶
解しないが、本発明の溶媒を用いれば、これらのキチン
は勿論、脱アセチル化度0のキチンでも何らの脱アセチ
ル化度の調整等の前処理を必要とせず容易に溶解してキ
チン溶液が得られる。
【0013】本発明によるキチン溶液のキチン濃度は、
常温下では5.0%以下の粘稠で透明な溶液であるが、
溶解速度や溶解度を促進するのに溶解中の操作で温度を
昇温させることは当然なされることである。本発明のキ
チン溶液は透明性が良好で、溶解後も安定性において優
れている。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、
本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0015】《実施例1》 カニ由来の60〜120メッシュのフレーク状脱アセチ
ル化度20%のキチン((株)共和テクノス製)0.5
gを、メチルアルコール200mlに塩化カルシウム・
2水塩250gを溶解し、70℃で3時間還流し、室温
迄降下させて得られた上澄液の混合溶媒40mlに加
え、室温で1晩攪拌したところ、キチンが完全に溶解し
東京計器製B型粘度計ロータNo.4で870ポイズ
の透明で粘稠なキチン含有量1.25%のキチン溶液を
得た。該キチン溶液は密閉状態で室温下10日間静置し
たところ、何らの変化も認められず、均質な溶液状態を
維持していた。
【0016】《実施例2》 実施例1で使用したキチン1.0gを用いて同様に混合
溶媒50mlで溶解し、キチン含有量2.0%の粘度が
B型粘度計ロータNo.4で2150ポイズの透明粘
稠なキチン溶液を得た。該溶液も実施例1と同様の安定
性を維持した。
【0017】《実施例3》 イカ由来の60〜120メッシュのフレーク状脱アセチ
ル化度5%のキチン(日本水産(株)製)0.5gを用
いて実施例1と同様の操作でキチン含有量1.25%の
粘度がB型粘度計ロータNo.4で523ポイズの透
明、粘稠なキチン溶液を得た。該キチン溶液も実施例1
と同様の安定性を維持した。
【0018】《実施例4》 実施例1で用いたキチン0.5gを、エチルアルコール
200mlに塩化カルシウム・2水塩250gを溶解
し、85℃で3時間還流し、室温迄降下させて得られた
上澄液の混合溶媒40mlに加え、室温で1晩攪拌した
ところキチンが完全に溶解し、透明で粘稠なキチン含有
量1.25%で粘度がB型粘度計ロータNo.4で9
15ポイズのキチン溶液を得た。該溶液の安定性も実施
例1と同様であった。
【0019】《実施例5》 実施例1で用いたキチン1.0gを、メチルアルコール
100mlに臭化カルシウム・2水塩130gを溶解
し、70℃3時間還流し、室温迄降下させ得られた混合
溶媒50mlに加え、1晩攪拌したところキチンが完全
に溶解し透明で粘稠なキチン含有量2.0%で粘度がB
型粘度計ロータNo.4で1632ポイズのキチン溶
液を得た。該溶液も実施例1と同様の安定性を維持して
いた。
【0020】《実施例6》 60%過塩素酸(試薬1級)10mlに、無水酢酸3
2.35mlを冷却しながら加え1晩放置し、過塩素酸
触媒溶液を調整した。実施例1で用いたキチン5gを酢
酸45mlに懸濁し、これに上述の過塩素酸触媒溶液
3.9mlを添加し、次いで無水酢酸5.8mlを加え
て冷水中で5時間攪拌した。この結果、置換度1.2の
アセチル化キチンを得た。次いで水酸化アンモニウムで
冷却しながら中和し、水洗・湯洗の後水をエチルアルコ
ールと置換した後、エチルアルコールで還流しアセトン
で洗浄し乾燥することによりアセチル基の置換度1.2
4のN,O−アセチル化キチンを得た。この得られた実
質的に脱アセチル化度0のキチン0.5gを実施例1で
使用した混合溶媒20ml中に溶解したところ、キチン
含有量2.5%の透明で粘稠な粘度がB型粘度計ロータ
No.4で2500ポイズのキチン溶液を得た。該溶
液の安定性も実施例1と同様に良好であった。
【0021】《実施例7》 分子量45,000の脱アセチル化度95%のキトサン
を酢酸水溶液に溶解後、苛性ソーダ水溶液で中和しなが
ら凝固再生したキトサンを無水酢酸でアセチル化して得
た脱アセチル化度20%,50%,80%のアセチル化
キトサンを夫々1gずつ実施例1で用いた混合溶媒20
ml中に溶解したところ、脱アセチル化度20%のアセ
チル化キトサン(キチン)は完全に溶解して安定なキチ
ン溶液を得たが、脱アセチル化度50%のアセチル化キ
トサンは不完全溶解であり、脱アセチル化度80%のア
セチル化キトサンは溶解しなかった。脱アセチル化度2
0%の透明,粘稠なキチン溶液の粘度はB型粘度計ロー
ターNo.1で25センチポイズであり、安定性も良好
であった。
【0022】《実施例8》 実施例1のキチン0.5gを、メチルアルコール200
mlに塩化マグネシウム・6水塩200gを溶解し70
℃で3時間還流し、室温迄降下させて得られた上澄液の
混合溶媒40mlに加え、室温で1晩攪拌したところ、
キチンが完全に溶解した透明で粘稠なB型粘度計ロータ
No.4での粘度が1015ポイズのキチン溶液を得
た。該キチン溶液の安定性は実施例1と同様に良好であ
った。
【0023】《比較例》メチルアルコールに硝酸カルシ
ウム・4水塩の100%(W/V)混合溶媒及びメチル
アルコールに硝酸マグネシウム・6水塩の100%(W
/V)混合溶媒を実施例1と同様に調整し、実施例1で
用いたキチン0.5gを夫々の混合溶媒40mlに溶解
させたがキチンは不完全溶解の状態であった。
【0024】
【発明の効果】本発明のキチン溶液は、従来の溶媒に比
較して取扱いが安全でしかも取扱いが容易なものを用い
ており、脱アセチル化度が0〜30%程度の従来の溶媒
では均一に溶解不可能であったキチンをも完全に溶解し
たキチン溶液を提供することが出来、該キチン溶液を利
用すれば従来にない高純度のキチン成型品を得ることも
可能である。又該キチン溶液それ自体も例えば製紙用の
サイジング剤等に産業上利用することが出来る効果があ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチンを、メチルアルコール又はエチル
    アルコールからなるアルコールと、ハロゲン化カルシウ
    ム塩又はハロゲン化マグネシウム塩との混合溶媒に溶解
    したことを特徴とするキチン溶液。
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