JP2569358Y2 - Ｏａ機器用２段階チルトヒンジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ディスプレー体を２
段階に渡って開閉する際に用いて好適な、ＯＡ機器用２
段階チルトヒンジに関する。

【０００２】

【従来の技術】この出願人は、先の出願で装置本体側へ
取り付けられる取付部材の軸受プレートへディスプレー
体の支持部材を兼ねる回転シャフトを軸受けさせ、この
回転シャフトと軸受プレートとの間に回転シャフトに一
定の回転トルクが加えられた時にのみ回転するように各
種ワッシャーから成る摩擦手段を設けたチルトヒンジを
提案した。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上述したチルトヒンジ
は、それはそれでとくにラップトップ型のＯＡ機器用の
ものとして需要が急激に拡大しているが、ＯＡ機器のＳ
Ｅ商品のＡＶノートにおいてキーボード入力の他にディ
スプレー体へ手書き入力を行うことのできる機能を持つ
ものがあり、かかるディスプレー体の開閉用チルトヒン
ジとして、２段階に渡ってディスプレー体の開閉操作を
行うことのできるものが要求されるようになった。

【０００４】この考案の目的は、ディスプレー体を通常
のキーボード入力の場合の開成角度と、手書き入力の場
合の開成角度の２段階に渡って開閉することのできる、
ＯＡ機器用２段階チルトヒンジを提供せんとするにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ためにこの考案は、装置本体に取り付けられる取付部材
と、この取付部材に第１支軸を介して所定の角度範囲に
おいてのみ回動可能に取り付けられる第１支持部材と、
この第１支持部材の自由端側に第２支軸を介して所定の
角度範囲においてのみ回動可能に取り付けたディスプレ
ー体を支持する第２支持部材と、前記第１及び第２支持
部材と前記第１及び第２支軸との間に設けられた第１及
び第２摩擦手段と、その開成方向と閉成方向により回転
トルクを変えるために前記第１支持部材に作用させた弾
性手段とでＯＡ機器用２段階チルトヒンジを構成したも
のである。

【０００６】その際に、この考案は、第１及び第２摩擦
手段を、それぞれの中心部に第１支軸と第２支軸を挿通
させて設けたスプリングワッシャーとフリクションプレ
ートとにより構成することができる。

【０００７】さらに、この考案は、弾性手段を第１支軸
に環巻きさせつつ取付部材と第１支持部材との間に弾設
した捩じりコイルスプリングで構成することができる。

【０００８】

【作用】ディスプレー体を開くと、第１支持部材はこれ
を回動させるには弾性手段による附勢回転トルクに抗し
なくてはならないので、最初は第２支持部材が第１支持
部材に対して回動してディスプレー体の開成を許容し、
かつ第２摩擦手段によって任意の使用開成角度でディス
プレー体を安定停止保持させることができる。操作者は
まず、この任意の使用開成角度において角度調節を行い
キーボード入力を行う。その開成角度は最大でも１３５
°であり、第２支持部材はこれ以上回動しない。

【０００９】また、不使用時にディスプレー体を閉じる
際には第２摩擦手段による摩擦力には遭遇するが、第２
支持部材のみが回動してディスプレー体は閉じられる。

【００１０】他方、手書き入力を行いたい場合には、デ
ィスプレー体をさらに開成方向へ押すと、第２支持部材
の回動は阻止されているので、今度は第１支持部材が弾
性手段の弾力と第１摩擦手段の摩擦力に抗して回動して
ディスプレー体のさらになる開成を許容し、任意の開成
角度での停止を可能しつつ最初より１８０°開いた水平
状態までディスプレー体は開かれる。操作者はこの開成
角度でディスプレー体に対する手書き入力を行う。

【００１１】この手書き入力の開成角度よりディスプレ
ー体を閉じようとすると、第２支持部材はこの範囲での
第２摩擦手段による抵抗に遭遇するが、第１支持部材は
弾性手段によってディスプレー体を閉じる方向に回動附
勢されているので、この部分の第１摩擦手段の摩擦力が
打ち消されることにより、まず、第１支持部材が回動し
てディスプレー体の閉成を許容し、所定の角度範囲（実
施例では１３５°）まで回動すると、第１支持部材が装
置本体に当接しそれ以上の回動は阻止されることから、
今度は第２支持部材の回動が起りディスプレー体を最初
０°まで閉じることが可能となるものである。

【００１２】

【実施例】図面はこの考案に係る２段階チルトヒンジを
示し、図１から図５において１は取付部材であり、ＯＡ
機器の装置本体Ａ側に固着される取付ベース１ａを有
し、この取付ベース１ａより直角方向へ折り曲げて形成
させた支持プレート１ｂに設けた角穴１ｃには、第１支
軸２がその一端に設けた矩形状の取付部２ｃを嵌入させ
つつ取付ビス２ｄによって固着されている。この第１支
軸２は大径部２ａとこれに続く小径部２ｂを有し、この
小径部２ｂをそれぞれの中心部に設けた挿通穴３ａ、４
ａ、５ａ、６ａへ挿通させ、例えばステンレス鋼製のフ
リクションワッシャー３、燐青銅製の第１支持部材４、
スプリングワッシャー５、及び押え用ワッシャー６の順
で取り付け、小径部２ｂの端部をかしめることにより各
ワッシャーが互いに圧接状態にあって摩擦力が発生し、
第１支持部材４が所定の回転トルクを与えられた時にの
み回動を許容することになる。本願明細書ではこの部分
の構成を第１摩擦手段ａと称する。７は弾性手段の一例
であるトーションスプリングであり、第１支軸２の回り
に環巻きされつつ取付部材１と第１支持部材４に設けた
係止ピン８との間に弾設されている。この弾性手段７に
よって第１支持部材は図７から図８において時計回りの
回動を強要される時には、大きな抵抗に遭遇するが、時
計方向の回動を強要される時には逆に第１摩擦手段の摩
擦力を減殺する機能を営む。

【００１３】第１支持部材４の自由端側には、第２支軸
９を介して支持プレート１０ａと取付プレート１０ｂか
ら成る第２支持部材１０が回動可能に取り付けられてい
る。実施例では第２支持部材１０の支持プレート１０ａ
に設けた変形穴１０ｃへ第２支軸９の一端に設けた矩形
状の取付部１０ｃを挿入させ、突出部をかしめることに
よって固着されており、この第２支軸９が回動可能に第
１支持部材４の自由端側へ軸着されている。この第２支
軸９は第１支持部材４に固着した突片１１と回動位置に
よって当接する大径のストッパー片９ａとこのストッパ
ー片９ａに続く小径部９ｂを有し、この小径部９ｂをそ
れぞれの挿通穴１２ａ、４ｂ、１３ａ、１４ａに挿通さ
せつつ、ステンレス鋼製のフリクションワッシャー１
２、燐青銅製の第１支持部材４、スプリングワッシャー
１３、及び押え用ワッシャー１４の順で介在させ、小径
部９ｂの端部をかしめることによって各ワッシャーが圧
接状態になり、所定の回転トルクが与えられた時にのみ
摩擦力によって第２支持部材１０が第２支軸９と共に回
動するようになっている。この部分をこの明細書におい
ては摩擦手段ｂと称する。そして、この第２支持部材１
０に図１に示したようにディスプレー体Ｂの端部が固着
されている。また、第１支持部材４は装置本体２側に設
けた平坦部ｃと当接し水平状態以下の角度においては、
回動しないようになっている。

【００１４】尚、第２支持部材１０を回動可能に第１支
持部材４へ取り付ける手段は、実施例以外に第２支軸９
を第１支持部材４側へ固着させ、この回転しない第２支
軸９に第２支持部材１０を回動可能に取り付けるように
しても良い。その場合に第２摩擦手段は第２支持部材の
側に設けられよう。

【００１５】したがって、図２と図６に示したように、
ディスプレー体Ｂを閉じた状態の時は、取付部材１、第
１支持部材４、及び第２支持部材１０は一直線上に並び
水平状態にあるが、ディスプレー体Ｂを開くと、まず、
第２支持部材１０が第２支軸９を支点に第１支持部材４
に対して回動し１３０°まで開かれ、その間、３０°か
らの開成角度において第２摩擦手段ｂの摩擦力によって
任意の角度で停止保持できる。この１３０°の開成角度
でストッパー片９ａが図７に示したように突片１１に当
接して、第２支持部材１０の第１支持部材４に対する開
成方向への回動は阻止される。この第１段階の開成角度
範囲において、任意の使用角度でディスプレー体Ｂを停
止保持させて操作者はキーボードＣを操作してキーボー
ドＣ入力を行う。また、この状態からディスプレー体Ｂ
を閉じる際には、第２支持部材１０は第２支軸９を支点
に第２摩擦手段ｂの摩擦力に抗して閉じられ、３０°か
らはディスプレー体Ｂの重量が第２摩擦手段ｂの摩擦力
を相殺しトルクフリーで閉じられる。

【００１６】ディスプレー体Ｂを手書き入力のためさら
に開くべく開成方向へ押すと、今後は第１支持部材４が
第１摩擦手段ａの摩擦力と弾性手段７の弾力に抗して第
１支軸２を支点に開かれ、図７と図８に示したように装
置本体Ａに対してディスプレー体Ｂが水平状態になった
ところで、該ディスプレー体Ｂが装置本体Ａの上面に当
接して停止される。この開成角度でディスプレー体Ｂに
対する手書き入力を行うことができる。

【００１７】次に、このように１８０°まで開いたディ
スプレー体Ｂを閉じる際には、弾性手段７が第１摩擦手
段ａの摩擦力を減殺させており、第２摩擦手段ａの摩擦
力は先のままで機能するので、まず、第１支軸２を支点
にしてディスプレー体Ｂは１３５°まで第１支持部材４
と共に反時計方向へ回動して閉じられ、この開成角度で
第１支持部材４が装置本体Ａの平坦部ｃに当接して回動
を阻止される結果、今度は第２支持部材１０と共に第２
支軸９を支点にして回動し上述したように閉じられる。
全体として図１に示したように水平状態になる。

【００１８】尚、各摩擦手段を構成する各ワッシャーの
組み合わせは、実施例のものに限定されない。第１支持
部材４を燐青銅で構成したのは、耐磨耗性を考慮したこ
とによる。

【００１９】

【考案の効果】この考案は以上のように構成したので、
一つのヒンジでキーボード入力と手書き入力という二つ
の機能を持つＯＡ機器のディスプレー体を、キーボード
入力用と手書き入力用の２段階に渡って独立に開閉操作
することができるという作用効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るＯＡ機器用２段階チルトヒンジ
の側面図である。

【図２】この考案に係るＯＡ機器用２段階チルトヒンジ
の平面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ線断面図である。

【図５】この考案に係るＯＡ機器用２段階チルトヒンジ
の分解斜視図である。

【図６】この考案に係るＯＡ機器用２段階チルトヒンジ
の動作を説明するための説明図である。

【図７】図６に対応しこの考案に係るＯＡ機器用２段階
チルトヒンジの動作を説明するための説明図である。

【図８】この考案に係るＯＡ機器用２段階チルトヒンジ
の動作をさらに詳しく説明するための説明図である。

【図９】図８に対応しこの考案に係るＯＡ機器用２段階
チルトヒンジの動作をさらに詳しく説明するための説明
図である。

【符号の説明】

Ａ 装置本体 Ｂ ディスプレー体 Ｃ キーボード ａ 第１摩擦手段 ｂ 第２摩擦手段 １ 取付部材 ２ 第１支軸 ３、１２ フリクションワッシャー ４ 第１支持部材 ５、１３ スプリングワッシャ− ６、１４ 押え用ワッシャ− ７ 弾性手段（トーションスプリング） ８ 係止ピン ９ 第２支軸 １０ 第２支持部材 １１ 突片

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 装置本体に取り付けられる取付部材と、
   この取付部材に第１支軸を介して所定の角度範囲におい
   てのみ回動可能に取り付けられる第１支持部材と、この
   第１支持部材の自由端側に第２支軸を介して所定の角度
   範囲においてのみ回動可能に取り付けたディスプレー体
   を支持する第２支持部材と、前記第１及び第２支持部材
   と前記第１及び第２支軸との間に設けられた第１及び第
   ２摩擦手段と、その開成方向と閉成方向により回転トル
   クを変えるために前記第１支持部材に作用させた弾性手
   段とで構成したことを特徴とする、ＯＡ機器用２段階チ
   ルトヒンジ。
2. 【請求項２】第１及び第２摩擦手段を、それぞれの中心
   部に第１支軸と第２支軸を挿通させて設けたスプリング
   ワッシャーとフリクションプレートとにより構成したこ
   とを特徴とする、請求項１のＯＡ機器用２段階チルトヒ
   ンジ。
3. 【請求項３】弾性手段を、第１支軸に環巻きさせつつ取
   付部材と第１支持部材との間に弾設した捩じりコイルス
   プリングで構成したことを特徴とする、請求項１のＯＡ
   機器用２段階チルトヒンジ。