JP2569315Y2 - エアバッグ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は車両に装備し、車両衝突
時、衝撃が所定以上である場合に膨張し、乗員を保護す
るエアバッグ装置に係り、詳しくは助手席用装置におけ
るエアバッグケースとインフレータハーネスの取付構造
の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エアバッグ装置は、車両が衝突した時、
衝撃が所定以上である場合に、シートベルトの補助とし
て瞬時にバッグが膨張し、乗員を保護する安全装置であ
り、通常、ガス発生器であるインフレータと、インフレ
ータのガスにより膨張するバックと、前記インフレータ
を該バッグと共に略気密に囲繞収納するエアバッグケー
スとで構成されている。そして、このエアバッグ装置は
その作動にあたり、インフレータから瞬時に噴出された
ガスがエアバッグケースとエアバッグ内に充満して内圧
を発し、この内圧によりバックが展開する。

【０００３】一方、上記エアバッグ装置は、運転席用に
限らず、近年助手席用のものも多く開発されており、か
かる装置は、断面略Ｕ字状のエアバッグケースと、該ケ
ースの開口部に折り畳んで収納されたエアバッグと、こ
のエアバッグの後方で上記ケース内に固定される円筒状
のインフレータとを備えるものが一般的である。そし
て、上記インフレータのエアバッグケースへの取付は、
通常、該ケースの側壁の一方に挿入孔を設けて、上記イ
ンフレータの頭部を嵌挿させると共に、上記側壁と対向
するもう一方の側壁に、インフレータの足部端縁から軸
方向に突設したスタッドボルトを貫通せしめて、このボ
ルトをナットで締着することにより行われている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記インフ
レータ頭部の頂部からは、点火装置に継がるリード線が
延出しており、該リード線には、その延出端となるコネ
クタにかけて、該コネクタと結合しうるハーネスチュー
ブが覆せられ、全体としてハーネスが形成される。しか
しながら、上記従来のハーネスであると、通常、リード
線のインフレータとの接合部には上記チューブは配され
ておらず、このことから、上記リード線やハーネスチュ
ーブが、走行やエンジンの振動により周辺部品と擦れて
異音を発生するとの問題を有している。

【０００５】本考案は叙上の如き実状に対処し、インフ
レータハーネスとエアバッグケースとの取付構造に新規
な構成を見出すことにより、インフレータとの接合部分
にもリード線の径路を確保すると共に、該リード線や上
記ハーネスチューブの周辺部品との擦れによる異音の発
生を防止することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本考案エアバッグ装置の特徴は、インフレータの頭部
をケースの側壁に嵌挿させ、かつ足部のボルトを他の側
壁に固定してなる装置において、上記インフレータ頭部
の頂部から延出するリード線にハーネスチューブを覆せ
てハーネスを形成すると共に、ケース外部のインフレー
タ頭部に嵌合するカバー本体と、上記ハーネスを覆うハ
ーネス被覆部とを備えたインフレータカバーを設け、該
ハーネス被覆部内に、上記ハーネスチューブを保持する
保持部と、該被覆部に挿入したハーネスチューブを所定
の挿入位置で止めるストッパーとを設け、このハーネス
被覆部に上記ハーネスチューブを挿入して上記保持部に
より該チューブを一体に嵌合保持せしめたところにあ
る。

【０００７】

【作用】しかして、上記構成を有する本考案エアバッグ
装置においては、ハーネスチューブが固定リブによっ
て、インフレータ頭部に嵌着されるインフレータカバー
に一体に嵌合保持されてなることから、ハーネスの位置
を確実に保持でき、これによって、リード線やハーネス
チューブの擦れによる異音を防止することが可能とな
る。また、上記インフレータカバーのハーネス被覆部に
は、挿入したハーネスチューブを止めるストッパーが設
けられており、これによってハーネスチューブの差し込
み時の位置決めを行なわしめて、その挿入不足によるチ
ューブの抜けを防止している。

【０００８】

【実施例】以下、さらに添付図面を参照して本考案の実
施例を説明する。図１は本考案実施例のエアバッグ装置
のインフレータカバーを示す拡大断面図、図２は同エア
バッグ装置の水平断面図、図３は同エアバッグ装置のイ
ンフレータカバー付近の分解斜視図であり、この装置
は、断面略Ｕ字（あるいはコの字）状を呈し、薄い冷間
圧延鋼板等の弾性材からなるエアバッグケース（１）
と、該ケース（１）の開口部（２）に折り畳み収納され
たエアバッグ（３）と、該エアバッグ後方で上記エアバ
ッグケース（１）内に固定されたインフレータ（４）と
を有している。

【０００９】また、インフレータ（４）とエアバッグケ
ース（１）の取付は、基本的には、ケース（１）の対向
する側壁の一方（５）に挿入孔（７）を設けてインフレ
ータ（４）の頭部（８）を嵌挿すると共に、ケースの他
方の側壁（６）にボルト孔（１２）を設けて、該インフ
レータ（４）の足部（９）に軸方向に突設したスタッド
ボルト（１０）を貫通せしめて締着した構造を有してい
る。

【００１０】一方、各図に示すように、この実施例にお
いては、上記インフレータ（４）の頭部（８）を大径部
（１１）として、ケース（１）の外側に所要高さ突出さ
せる一方、上記大径部（１１）に嵌合し該大径部（１
１）を嵌合保持する椀状のカバー本体（１３）と、上記
大径部（１１）の頂部から延出するハーネス（１４）を
覆う半截筒状のハーネス被覆部（１５）とを一体に備え
たインフレータカバー（１６）を設けている。このイン
フレータカバー（１６）は、ナイロン等の可撓性を有す
る合成樹脂によって構成され、その内側に３ケ所、図１
乃至図２に示すような突起（１７）を略等間隔に備えて
いる。この突起（１７）は、同図に示す如く、カバー
（１６）の奥に行くに従い高くなるテーパ形状を有し、
このテーパ形状を利用して、上記インフレータ頭部の大
径部（１１）を隙間なく保持できるようになっている。
即ち、この実施例では、図１〜図３に示す如く、上記イ
ンフレータカバー（１６）を、インフレータ（４）の頭
部大径部（１１）に嵌合せしめて、ケース側壁（５）に
リベット（１８）により固定し、このカバー（１６）の
弾性保持力によってインフレータ（４）の頭部（８）を
ケース（１）に対し拘止せしめている。

【００１１】他方、本考案においては、図１に示す如
く、前記ハーネス（１４）をリード線（１９）に蛇腹状
のハーネスチューブ（２０）を覆せることによって形成
する一方、前記半截筒状のハーネス被覆部（１５）内
に、上記ハーネスチューブ（２０）の蛇腹の凹部に嵌合
する保持部としての３条の固定リブ（２１）と、該被覆
部（１５）内に挿入したハーネスチューブ（２０）を所
定の挿入位置で止めるストッパー（２２）とを突設して
いる。そして、この実施例では、図１に示す如く、上記
ハーネス被覆部（１５）と、インフレータカバー（１
６）に嵌合したインフレータ大径部（１１）とで形成さ
れる空間部に、上記ハーネスチューブ（２０）を挿入
し、前記固定リブ（２１）により嵌合保持せしめて、該
ハーネスチューブ（２０）をインフレータカバー（１
６）ならびにケース（１）と一体に結合させている。こ
の固定リブ（２１）と蛇腹状ハーネスチューブ（２０）
との嵌合部は、ハーネス（１４）に加わる負荷を保持す
る構造となっている。また、両者の嵌合は、チューブあ
るいは固定突起の可撓性を利用して、強制的に嵌合させ
る。

【００１２】なお、この実施例では、上記固定リブ（２
１）は、図４，図５に示すように先端にテーパ面（２
３）を有する円弧状のものからなり、インフレータカバ
ー（１６）と同じ可撓性樹脂により該カバー（１６）や
ハーネス被覆部（１５）と一体に形成されている。ま
た、上記ストッパー（２２）は、図１ならびに図６に示
すように、リード線（１９）に平行するよう設けられた
縦リブ（２４）と、これと直交して一体に設けられた補
強用の横リブ（２５）とからなり、上記縦リブ（２４）
の方のみをハーネスチューブ（２０）に当接するように
している。

【００１３】しかして、以上の構成を有する本考案実施
例のエアバッグ装置においては、ハーネスチューブ（２
０）が固定リブ（２１）によって、インフレータ頭部大
径部（１１）に嵌着されてケース（１）に固定されるイ
ンフレータカバー（１６）に一体に嵌合保持されてなる
ことから、ハーネスに加わる荷重を保持することがで
き、さらにハーネス位置の確保によって、リード線（１
９）やハーネスチューブ（２０）の擦れによる異音の発
生を防止できる。また、上記実施例のインフレータカバ
ー（１６）においては、ハーネス被覆部（１５）に設け
たストッパー（２２）によってハーネスチューブ（２
０）の差し込み時の位置決めを行うことができ、挿入不
足によるチューブ（２０）の抜けを防止する。

【００１４】他方、上記実施例のエアバッグ装置におい
ては、前記した如く、インフレータ（４）の頭部（８）
が、ケース側壁（５）に固定したインフレータカバー
（１６）の弾性保持力によって、エアバッグケース
（１）に拘止されてなることから、インフレータ頭部
（８）がエアバッグケース（１）に対して振動をした
り、がたついたりすることがなく、インフレータ頭部
（８）と上記ケース（１）との干渉により生じる異音
は、未然にその発生が防止される。そして、上記インフ
レータ頭部（８）の振動が防止されることによって、従
来は、この振動に伴い生じていたハーネス（１４）の共
動も止まり、これによってもハーネスチューブ（２０）
やリード線（１９）の他部材との擦れによる異音を防止
することができる。

【００１５】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のエアバッ
グ装置は、インフレータの頭部をケースの側壁に嵌挿さ
せ、かつ足部を他の側壁に固定してなる装置において、
インフレータのリード線にハーネスチューブを覆せてハ
ーネスを形成する一方、上記ハーネスを覆うハーネス被
覆部を具備せしめて、上記インフレータ頭部に外嵌する
インフレータカバーを設け、上記ハーネス被覆部内に、
上記ハーネスチューブを保持する保持部と該被覆部に挿
入したハーネスチューブを所定の挿入位置で止めるスト
ッパーとを設け、このハーネス被覆部に上記ハーネスチ
ューブを挿入して上記保持部により該チューブを一体に
嵌合保持せしめたものであり、ハーネスチューブが保持
部によってインフレータカバーに一体に嵌合保持される
ことから、ハーネスに加わる荷重を確実に保持すること
ができ、またハーネス位置の確保によってリード線やハ
ーネスチューブの擦れによる異音を防止し、さらに、上
記ハーネス被覆部に設けたストッパーによってハーネス
チューブの差し込み時の位置決めを行わしめて、挿入不
足によるチューブの抜けを防止するとの顕著な効果を奏
するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例のエアバッグ装置のインフレータ
カバーを示す拡大断面図である。

【図２】同エアバッグ装置の水平断面図である。

【図３】同エアバッグ装置のインフレータカバー付近を
示す分解斜視図である。

【図４】ハーネス被覆部の固定リブを示す部分拡大断面
図である。

【図５】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図６】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【符号の説明】

（１） エアバッグケース （２） 開口部 （３） エアバッグ （４） インフレータ （５） 側壁 （６） 側壁 （７） 挿入孔 （８） インフレータの頭部 （９） インフレータの足部 （１０） スタッドボルト （１１） 頭部大径部 （１２） ボルト孔 （１３） インフレータカバー本体 （１４） ハーネス （１５） ハーネス被覆部 （１６） インフレータカバー （１７） 突起 （１８） リベット （１９） リード線 （２０） ハーネスチューブ （２１） 固定リブ （２２） ストッパー （２３） テーパ面 （２４） 縦リブ （２５） 横リブ

フロントページの続き (72)考案者 山地 猛 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山 ３番地 東洋ゴム工業株式会社 自動車 部品技術センター内 (72)考案者 尾崎 徹 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山 ３番地 東洋ゴム工業株式会社 自動車 部品技術センター内 (56)参考文献 特開 平１−182144（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−97010（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−108566（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−35955（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面略Ｕ字状のエアバッグケースと、該
   ケース内に固定される筒状のインフレータとを有し、上
   記ケースの対向する側壁の一方に挿入孔を設けてインフ
   レータの頭部を嵌挿すると共に、上記ケースの他方の側
   壁にインフレータの足部を固定してなるエアバッグ装置
   において、上記インフレータ頭部の頂部から延出するリ
   ード線にハーネスチューブを覆せてハーネスを形成する
   と共に、ケース外部のインフレータ頭部に嵌合するカバ
   ー本体と、上記ハーネスを覆うハーネス被覆部とを備え
   たインフレータカバーを設け、該ハーネス被覆部内に、
   上記ハーネスチューブを保持する保持部と、該被覆部に
   挿入したハーネスチューブを所定の挿入位置で止めるス
   トッパーとを設け、このハーネス被覆部に上記ハーネス
   チューブを挿入して上記保持部により該チューブを一体
   に嵌合保持せしめたことを特徴とするエアバッグ装置。