JP2567779B2 - 汎用プレス機によるキャタピラ用トラックリング加工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、汎用プレス機によるキ
ャタピラ用トラックリング加工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】キャタピラーに用いられるトラックリン
グは、熱間鍛造により加工される。熱間鍛造加工直後の
余熱を利用する熱処理により調質を施して半加工品と
し、この半加工品の所定箇所に高周波焼き入れを行った
後、穴明け加工、ざくり加工及び切削加工を行なってい
る。これは前記各加工後熱処理を施すと、熱歪みにより
穴明け加工や切削加工の精度が低下するためである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱処理
後の加工は切削工具の寿命を著しく低下するという問題
点があるとともに、穴明け及びざくり加工はボーリング
マシンや大型ボール盤を使用するため生産性が悪いとい
う問題点がある。本発明は上記問題点を解決するために
なされたものであり、熱処理後の半加工品に対する穴明
け加工等を順次汎用プレス機により行うことにより生産
性を向上するようにしたもので、汎用プレス機によるキ
ャタピラ用トラックリング加工法を提供することを目的
とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの具体的手段として、後工程のための抜き取り代を残
す下穴加工と形状加工とを熱間鍛造により行った半加工
品に対する外周トリミング及び穴明け加工と、所定箇所
に施すブローチ加工と、該所定箇所に施す横穴明け加工
とを順次汎用プレス機により行うことを特徴とするトラ
ックリング加工法が提供される。

【０００５】

【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。キャタピラー用のトラックリングは図１に示すよう
に、素材切断工程Ａ→熱処理工程Ｂ→熱間鍛造工程Ｃ→
調質熱処理工程Ｄ→冷間プレス加工工程Ｅ→ブローチ加
工工程Ｆ→横穴加工工程Ｇ→高周波焼き入れ工程Ｈ→総
合サイジング加工工程Ｉにより製造される。

【０００６】前記素材切断工程Ａでは、丸棒綱又はフラ
ットバー材を所定寸法に切断する。続いて熱処理工程Ｂ
により切断した素材を８００℃程度に加熱する。熱間鍛
造工程Ｃでは、前記素材に対する潰し加工により下穴加
工と座ぐり加工及びラフな形状加工とを、図２に示すよ
うな２個のポンチ２２，２３を配設した下型２１を用い
て行う。この熱間鍛造工程Ｃにより、段付きの下穴２４
及び下穴２５と、該下穴２４，２５の中間に２個の長方
形の下穴２６，２６が形成された半加工品２が製造され
る(図３)。これら下穴２４，２５及び２６には、後工程
の冷間プレス加工のための抜き取り代が設定されてい
る。この抜き取り代は、１０〜３０ｍｍ程度の材料厚で
は０．１〜１ｍｍ程度である。

【０００７】熱間鍛造工程Ｃを終えた半加工品２は、調
質熱処理工程Ｄにより５００℃程度に加熱して調質す
る。続く冷間プレス加工工程Ｅでは、空冷により３００
℃程度に温度を下げた半加工品２に対して、汎用プレス
機を用いて穴明け加工及び外形トリミング加工を行う。
この時の前記下穴２４，２５及び２６には、前記した打
ち抜き代が設定されており、さらに穴明け加工する各パ
ンチには、０．５〜５Ｒ程度のＲ面取り部若しくは材料
厚の１〜５％程度のテーパが形成されている。

【０００８】これにより、穴３４，３５及び３６の穴部
にバリの発生を抑え、穴明け加工部にクラック及び破断
面の発生を無くして、表面粗さ６-ｓ〜３-ｓ程度の剪断
面を生成することができる。また、穴明け加工と同時に
前記加工品２の外周のフラッシュ２ａがトリミングされ
て、トラックリング３が形成される。穴明けに用いる各
パンチ径と雌ダイスの穴径とのクリアランスの設定は、
例えば材料厚２０ｍｍの場合パンチ径３０．０８ｍｍ、
雌ダイスの穴径を３１．０３ｍｍとすると、打ち抜かれ
る穴径は３０．００〜３０．０５ｍｍとなる。

【０００９】ブローチ加工工程Ｆでは、トラックリング
３の外周の当接面３７，３７と、前記穴３６，３６の穴
壁の該当接面３７，３７に対応する部分３６ａ，３６ａ
を平滑にするためのブローチ加工が行われる。ブローチ
４１ａ，４１ｂはプレスストロークの関係から、通常の
ブローチよりも短くする。そして、ガイド部４２に続く
切り刃４３をトラックリング３の板厚よりも１〜３倍の
長さに形成する。ブローチ４１ａ，４１ｂは図４に示す
ようにプレス機のパンチホルダ４４に取付られている。
雌ダイス４５にセットされたトラックリング３は、パン
チホルダ４４の下降とともにブローチ４１ａ，４１ｂの
切り刃４３により、前記当接面３７，３７と穴壁３６
ａ，３６ａの部分を削り取るブローチ加工を施され、平
滑面が削成される。

【００１０】横穴加工工程Ｇでは、前記トラックリング
３の当接面３７，３７から前記穴３６，３６に連結用ボ
ルトを挿通する横穴５１，５１を加工する(図６)。プレ
ス機のパンチホルダに取付られたカム部材５２の下降に
より、該カム部材５２の傾斜カム５２ａに押圧されて水
平移動するカム部材５３を下型５４に配設する。該カム
部材５３の先端には、一対の穴明けパンチ５５が固定さ
れていて、下型５４にセットされたトラックリング３に
前記横穴５１，５１を明ける。穴明けパンチ５５の先端
は、Ｒ面取り部若しくはテーパ部が形成されていて、横
穴５１，５１の穴明け部に剪断面を生成しバリ等を発生
させない。

【００１１】以下、高周波焼き入れ工程Ｈでトラックリ
ング３の前記当接面３７，３７に対して高周波焼き入れ
を行い、最後の総合サイジング加工工程Ｉでは、上下の
金型(図示せず)を用いて圧押し、所望の製品精度を満足
させる。さらにショットブラトにより、外形トリミング
時やブローチ加工時に生じたバリ、カエリ等を除去して
全加工を終了する。尚、各工程間の半加工品２やトラッ
クリング３の搬送は、自動搬送機構若しくは搬送ロボッ
トにより行う。

【００１２】

【発明の効果】本発明は上記したように、キャタピラ用
トラックリングを汎用プレス機により加工するようにし
たもので、従来のように熱間鍛造後の半加工品に対する
穴明け加工、ざくり加工をボーリングマシンや大型ボー
ル盤等により行う加工法に比し、生産性の向上が可能と
なり、トラックリングのコストダウンを図ることができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】概略工程図である。

【図２】熱間鍛造加工工程の下型と該下型により鍛造さ
れる半加工品の断面図である。

【図３】半加工品の平面図である。

【図４】トラックリングの平面図である。

【図５】ブローチ加工工程におけるプレス機の概略断面
図である。

【図６】横穴が加工されたトラックリングの平面図であ
る。

【図７】横穴加工工程におけるプレス機の概略断面図で
ある。

【符号の説明】

２...半加工品、 ３...トラックリング、 ２４,２５,
２６...下穴、 ３４,３５,３６...穴、 ４１ａ,４１
ｂ...ブローチ、 ５１,５１...横穴、 ５５...穴明け
パンチ、 Ｃ...熱間鍛造工程、 Ｅ...冷間プレス加工
工程、 Ｆ...ブローチ加工工程、 Ｇ...横穴加工工
程。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 後工程のための抜き取り代を残す下穴加
   工と形状加工とを熱間鍛造により行った半加工品に対す
   る外周トリミング及び穴明け加工と、所定箇所に施すブ
   ローチ加工と、該所定箇所に施す横穴明け加工とを順次
   汎用プレス機により行うことを特徴とするキャタピラ用
   トラックリング加工法。