JP2561781B2

JP2561781B2 - 車いす兼用エスカレーター

Info

Publication number: JP2561781B2
Application number: JP4237047A
Authority: JP
Inventors: 和平小嶋; 忠一斎藤
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1992-09-04
Filing date: 1992-09-04
Publication date: 1996-12-11
Anticipated expiration: 2011-12-11
Also published as: JPH0680368A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車いす兼用エスカレー
ターに係り、特に、大型の車いす利用者をも搬送するこ
とのできる車いす兼用エスカレーターに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般乗客のほかに車いす利用者をも乗せ
て搬送することのできるエスカレーターに関する従来技
術として、例えば、特開昭６１−１３０１９５号公報等
に記載された技術が知られている。

【０００３】この従来技術は、車いすを搬送するときに
のみ踏面が上昇しながら拡張して、通常の踏面約２枚分
の車いす搭載面を確保できるようにし、しかも、その搭
載面の前後に車止めを設けて構成されるものである。

【０００４】また、他の関連する従来技術として、例え
ば、実開昭６２−９８６８３号公報に記載された技術が
知られている。

【０００５】この従来技術は、エレベーターの乗降口に
関するものであり、エレベーターの乗りかごと乗り場側
との隙間に、車いすの車輪が落ち込むことを防止するた
めに、乗りかご（あるいは、乗り場）側から相手側に渡
り板を出し入れ可能に設けるというものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術は、電動
車いす等の大形の車いすがエスカレーターに乗り込もう
とすると、約踏面２枚分の水平な車いす搭載面から、車
いすの一部がはみ出して、その前方（車いすの利用者
は、上り、下りにかかわらず、同一方向を向いて乗り込
むため、通常、エスカレーターの上方側）の通常の踏段
の踏面をも利用して、乗り込むことになる。

【０００７】そして、前記従来技術は、通常の踏面の約
２倍の車いす搭載面を確保し、しかも、車いすの乗り込
み時、車いす搭載面とこの車いす搭載面の前方の通常の
踏段とがほぼ同一平面を構成することができるものであ
るが、電動車いす等が前方の通常の踏段を利用して乗り
込もうとすると、車いす搭載面の前方側にも車止めが存
在するため、車いすの車輪がこの車止めに邪魔されて乗
り込みずらく、前方の通常の踏段の踏面を充分に利用す
ることができないという問題点を有している。また、前
記従来技術は、車いす搭載面を構成する踏段の下部に踏
面を広げるための機構部が設けられているため、車いす
搭載面とその前方の通常の踏段との間に隙間が生じてし
まい、車いす乗り込み時に危険を生じさせるという問題
点を有している。

【０００８】また、エレベーターの乗降口に関する従来
技術は、エレベーターへの乗降時にのみ必要とするもの
であり、本発明のように運転中に必要とするものではな
く、また、車いす乗り込みのためのスペースを確保する
ためのものではない点で本発明とその考え方が相違する
ものである。

【０００９】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決し、電動車いす等の大形の車いすが乗り込みやす
く、前方の通常の踏段の踏面を充分に利用することがで
きる車いす兼用エスカレーターを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明によれば前記目的
は、車いす搬送時にのみ踏面が上昇して拡張することに
より形成される車いす搭載用の踏段の前方（上方）側の
車止めを廃止し、車いす搭載面と前方（上方）側ステッ
プの踏面との間に発生する隙間を塞ぐための、スライド
可能なスペーサを設けることにより達成される。

【００１１】

【作用】踏面が上昇して拡張することにより形成される
車いす搭載用の踏段の前方（上方）側の車止めを廃止す
ると共に、車いす搭載面と前方（上方）側のステップ踏
面間に発生する隙間を塞ぐスライド可能なスペーサを設
けることにより、前方（上方）側のステップ踏面を利用
し、該踏面に車いすの前輪を載せることが可能となり、
全体で通常の踏面の３倍の大きさの踏面を車いす搬送の
ために使用することができる。本発明は、これにより、
大形の電動車いす等をも安全に搬送することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明による車いす兼用エスカレータ
ーの一実施例を図面により詳細に説明する。

【００１３】図１は本発明一実施例の全体の概略構成を
示す図、図２は拡張して使用される特定踏段の使用時の
状態を示す側面図、図３は拡張して使用される特定踏段
の不使用時の状態を示す側面図である。図１〜図３にお
いて、１、２は乗降口、３は踏段、４は欄干、５はハン
ドレール、６は駆動機構、７はターミナルギア、８は本
体枠、９、１０は走行レール、３０は特定踏段、３０Ａ
は回動踏面、３０Ｂは昇降踏面、３０Ｃは昇降装置、３
０Ｄ、３０Ｅはリンク装置、３０Ｆは車止め、３０Ｇは
支点、３０Ｊ、３０Ｋはローラー、３１はバネ、３２は
スペーサ、３３はガイド、４０は車いすである。

【００１４】本発明の一実施例によるエスカレーター
は、図１に示すように、下階床及び上階床に位置する乗
降口１及び乗降口２、無端状に回動しながら乗客を運ぶ
踏段３、踏段３の両側に直立する欄干４、踏段３と同一
方向に回動するハンドレール５、踏段３、ハンドレール
５等を回動させるためのモータ等からなる駆動機構６、
駆動機構６の動力により踏段３を回動させるためのター
ミナルギャ７、及び、これら各機器を収納して支持する
本体枠８等を備え、多数の踏段３の中に車いす運転時に
車いす４０を搭載するための特定踏段３０を組み込んで
構成されている。

【００１５】なお、車いす４０は、係員Ｍの介添えのも
とに搬送され、また、この車いすの搬送は、通常、上
り、下り共、車いす４０を図示の方向に向かせて行われ
る。また、車いす搭載面とその前方の通常の踏段とがほ
ぼ同一の平面を構成するのは、車いすの乗降時だけであ
り、搬送の途中では、車いす搭載面とその前方の通常の
踏段とは、図示のように段差を持った状態にある。

【００１６】特定踏段３０は、図２、図３に示すよう
に、リンク装置３０Ｄ、３０Ｅにより連結された回動踏
面３０Ａ、昇降踏面３０Ｂと、昇降装置３０Ｃとを備え
て構成されており、昇降踏面３０Ｂの先端には、バネ３
１を介してスペーサ３２が設けられている。スペーサ３
２は、ガイド３３を有し、これにより、車いす搭載時の
み前方の踏段３との間に生じる隙間を塞ぐように、前方
にスライドする。

【００１７】なお、この特定踏段３０は、他の踏段３と
同様に、ローラー３０Ｊ、３０Ｋによりレール９、１０
上をガイドされて走行する。

【００１８】図２は、下階床の乗降口１で特定踏段３０
が車いす４０を搭載するために拡張された状態を示すも
ので、特定踏段３０の回動踏面３０Ａは、上昇しながら
反転し、同様に上昇した昇降踏面３０Ｂと同一面を形成
して通常の踏面の約２枚分の車いす搭載面を確保する。
昇降装置３０Ｃは、車いす搭載面を形成するために昇降
踏面３０Ｂ等を昇降させるものであり、回動踏面３０Ａ
は、昇降踏面３０Ｂと共に上昇しながら、リンク装置３
０Ｄ、３０Ｅにより反転させられる。

【００１９】回動踏面３０Ａの後部には、車いす４０の
下方への転落を防止するための車止め３０Ｆが設けら
れ、有用時にのみ支点３０Ｇを回転中心にして図示のよ
うに立ち上げられて車止めの機能を果たす。

【００２０】一方、昇降踏面３０Ｂの先端には、バネ３
１によって押し出されるスペーサ３２が設けられてお
り、このスペーサ３２は、前方の踏段３との隙間Ｇを塞
いでいる。これにより、車いすの乗降時に、車いす搭載
面とその前方の通常の踏段とがほぼ同一平面を構成して
いる状態で、車いす搭載面の前方の通常の踏段を利用し
て車いすの乗降を行う場合に、車いすの乗降を安全に、
かつ、スムーズに行わせることができる。なお、スペー
サ３２の出し入れは、バネ３１に限ることなく、例え
ば、リンク等を用いて行ってもよい。

【００２１】スペーサ３２には、ガイド３３が設けられ
ており、このガイド３３は、車いす４０の搬送が完了し
て拡張した車いす搭載面である踏面３０Ａ、３０Ｂを収
納する際に、昇降踏面３０Ｂの下降に従い、ガイド３３
の傾斜面３３Ａが、これと同方向に傾斜した特定踏段３
０に設けたガイドの傾斜面３３Ｙに接触し、傾斜面３３
Ａが、傾斜面３３Ｙに沿って摺動するため、踏面３０Ｂ
の下降に合わせてスペーサ３２を所定の位置まで収納す
るように動作する。

【００２２】図３は、特定踏段３０が、拡張して車いす
搭載面を確保した回動踏面３０Ａ、昇降踏面３０Ｂを収
納して通常の踏段３と同じ外形、同じ機能に戻った状態
を示しており、特定踏段３０は、昇降踏面３０Ｂの上に
回動踏面３０Ａ、車止め３０Ｆが収納されて、通常の踏
段と同じ外形となる。また、スペーサ３２は、ガイド３
３により踏面３０Ｂの中に押し込まれて、所定の位置に
収納された状態になる。

【００２３】前述した本発明の一実施例によれば、車い
すの乗り込み時、特定踏段３０による車いす搭載面と、
車いす前方の通常の踏段の踏面とをほぼ同一の高さと
し、これらの間に隙間を生じさせることがないので、大
形の電動車いす等でも容易に乗り込ませることができ
る。

【００２４】前述した本発明の一実施例におけるスペー
サ３２は、図２に示す車いすの乗り込み時には、前方の
踏段３との間に極く僅かの隙間があるように配置される
が、エスカレーターが運転を開始し、その傾斜が変化し
ていく過程で、前方の踏段３の蹴上げ部分であるライザ
ーと接触して摺動することになる。

【００２５】この摺動により摺動音を生じるが、この摺
動音は、スペーサ３２を自己潤滑性の高い合成樹脂等に
より形成することにより、あるいは、その先端部にのみ
前述と同様な合成樹脂を設けることにより解決すること
ができる。また、このような摺動による合成樹脂の摩耗
は、この種の車いすの搬送の頻度が少ないこと、摺動
が、エスカレーター運転時の一部の区間、すなわち、乗
降口付近からその傾斜が変化する区間だけであるので、
問題となることはない。

【００２６】図４は前述した摺動の問題をさらに別の方
法で解決する本発明の他の実施例の構成を示すスペーサ
部分の拡大図である。図４において、３Ｒはライザー、
３２Ａはローラーであり、他の符号は図２の場合と同一
である。

【００２７】この本発明の他の実施例は、スペーサ３２
の先端にローラ３２Ａを追加したものであり、前方のス
テップ３の蹴上げ部分であるライザー３Ｒとスペーサ３
２との摺動をローラー３２Ａを介して行うものであり、
前述した摺動音を低減することができ、また、スペーサ
３２の摩耗をも防止することができる。

【００２８】このローラー３２Ａは、ゴム、合成樹脂等
により形成することができ、これにより、より、効果を
高めることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車
いす搭載面を有する特定踏段の前方（上方）側の通常の
踏段の踏面も利用して車いすを乗り込ませることができ
るため、大形の電動車いす等でも、容易に乗り込ませ
て、搬送することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例の全体の概略構成を示す図であ
る。

【図２】拡張して使用される特定踏段の使用時の状態を
示す側面図である。

【図３】拡張して使用される特定踏段の不使用時の状態
を示す側面図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す特定踏段の要部拡大
図である。

【符号の説明】

１、２乗降口３踏段４欄干５ハンドレール６駆動機構７ターミナルギア８本体枠９、１０走行レール３０特定踏段３０Ａ回動踏面３０Ｂ昇降踏面３０Ｃ昇降装置３０Ｄ、３０Ｅリンク装置３０Ｆ車止め３１バネ３２スペーサ３３ガイド４０車いす

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】無端状に配設されて回動する踏段を備
え、前記踏段のうちの１つの踏段が、その踏面を、一定
の高さまで昇降させ、拡張し、収納する機構を備えた特
定踏段である車いす兼用エスカレーターにおいて、前記
特定踏段の踏面は、拡張時、回動踏面と昇降踏面とによ
り形成され、前記昇降踏面に、該昇降踏面の前方側先端
と隣接する上段の踏段との間に生じる隙間を塞ぐスペー
サを備えることを特徴とする車いす兼用エスカレータ
ー。
【請求項２】前記スペーサは、前記昇降踏面に内蔵し
たバネによりスライドすることを特徴とする請求項１記
載の車いす兼用エスカレーター。
【請求項３】前記スペーサは、前記特定踏段の踏面の
昇降に連動してスライドすることを特徴とする請求項１
または２記載の車いす兼用エスカレーター。
【請求項４】前記スペーサまたはその先端部が合成樹
脂により形成されていることを特徴とする請求項１、２
または３記載の車いす兼用エスカレーター。
【請求項５】前記スペーサの先端にローラが設けられ
ていることを特徴とする請求項１、２または３記載の車
いす兼用エスカレーター。