JP2559290Y2 - 出窓ユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、木質系住宅における出
窓設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】木質系住宅建築の枠組壁工法における出
窓工事においては、開口部を形成した壁パネルを建て回
して壁組を構成し、その外壁パネル面の開口部を覆うよ
うに出窓設備を取り付けるようにしている。また、この
壁組の壁面は出窓設備とともに防水シートを貼着した
後、適宜下地材を介してモルタル塗装、あるいはサイデ
ィング添着あるいはタイル貼着による外装仕上げを行う
が、出窓については必要に応じて外装仕上げを行ってい
る。

【０００３】前記出窓設備の取り付けは、一般に、作業
員が建築施工現地で素材を加工し、開口部に合わせて開
口枠を作成し、外壁面に取り付け金具でもって取り付け
ながら組み立て、或いは組み立てた後、取り付け、これ
にサッシを組み付けるようにして行っている。

【０００４】また、市販品としてサッシメーカーが供給
する防水処置を施した開口枠を含む出窓ユニットをその
まま、施工現地に持ち込み、開口枠を開口部に取り付け
た後、これにサッシを組み付ける工法も行われている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の出窓工事において、前者の作業員が施工現地で
開口部に合わせて素材を加工し、組み立ててゆく工法
は、壁組と同一素材を用い同一の外装仕上げで施工でき
るなど、その仕上がりにおいて外壁との調和性をもたせ
ることができるが、反面において、熟練した作業員であ
っても、一個所の出窓について３時間程度の作業を要す
る等、作業性が低く、従ってまたコストが高いという問
題があった。

【０００６】また、後者の市販品の出窓ユニットは、既
成品であるから短時間の取り付け作業で済み、また、外
装仕上げを必要としないという利点があるが、反面にお
いて、周囲の外壁との調和性において高級感が得られ
ず、場合によっては違和感をもたらすことがあり、また
コストが高いという問題があった。

【０００７】本考案は、以上のような従来技術の問題点
に鑑み、現地での施工性がよく、コストの低減が図れ、
しかも周囲の外壁との調和性が良好で高級感をもたらす
外装仕上げが行える出窓設備の提供を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、以上の目的を
達成するため、予め作製した木製開口枠の外表面に防水
シートを貼着すると共に、サッシを一体に組み込んで成
り、壁組の開口部にそのまま取り付けできるようにした
出窓ユニットを提案する。

【０００９】

【作用】木質素材を加工して開口枠体を作製し、該開口
枠体の外表面に防水シートを貼着する防水処理を施し、
また、該開口枠体内にサッシを組み込んで一体の出窓ユ
ニットに形成する。この出窓ユニットは、建築施工現地
の壁組開口部周縁の外壁にそのまま当接させるのみで、
取り付け金具を用いて取り付けることができ、取り付け
後、そのまま周囲の外壁と共に調和のとれた外装工事を
行うことができる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の出窓ユニットを図示した実施
例に基づいて詳細に説明する。図１は本考案の出窓ユニ
ットと該出窓ユニットの取り付け状況を示す斜視図で、
図２は、図１の出窓ユニットの開口枠の構成を示す斜視
図である。

【００１１】本考案の出窓ユニットは、設計に従い、建
築資材工場において作製できるものであって、図１にお
いて、一部を切除して示すように、この出窓ユニットＡ
は、壁組１の開口部２の周縁に当接する寸法に木質素材
を加工して作製した開口枠３の外表面に防水シート４を
貼着し、サッシ５を組み込んでなるものである。

【００１２】この開口枠３は、図２に示すように、素材
を加工して、それぞれ厚みのある枠体状に、前枠６、左
右一対の横枠７Ａ，７Ｂ、上面を前方に傾斜する形にし
た上枠８及び基台状の下枠９を作製し、釘打ちによって
前枠６に横枠７Ａ，７Ｂを固定し、これに上枠８及び下
枠９を組み付けて固定し、さらに、前面に前板１０を貼
着し、両側面に側面板１１Ａ，１１Ｂを貼着し、上面に
は屋根板１２を、また底面には底板１３をそれぞれ貼着
してあり、またさらに、内壁面にも図示しない壁板を貼
着することによって、一体の箱状枠体に作製してある。

【００１３】そして、屋根板１２部分を含めて、全外表
面には接着剤を用いて防水シート４を貼着してある。さ
らに、この開口枠３の中央の開口部分に、防水シート４
を内側に折り返した上でサッシ５を嵌め込み、開口部分
の内側面に釘打ちで固定することによって出窓ユニット
Ａを完成させてある。

【００１４】建築資材工場で作製されたこの出窓ユニッ
トＡは、建築施工現地に搬送し、図１に示すように、建
築中の壁組１に取り付けられる。即ち、床組上に建て回
された壁組１は、その外壁パネル１４全面に防水シート
１５を貼着してあり、窓用の開口部２では、この防水シ
ート１５を内側に折り返した状態にしてある。この開口
部２の周縁下部の外壁面の所定位置には受け部材１６を
仮止めしておき、前記の出窓ユニットＡをクレーンで懸
吊し、外壁面に沿って降下させて、前記受け部材１６上
にのせて外壁面に当接させる。左右の位置決めを行った
後、この出窓ユニットＡの両側面と外壁面とに取り付け
金具１７を当接させて釘止めで固定することにより、出
窓ユニットＡは壁組１の外壁面の定位置に固定される。
前記受け部材１６は出窓ユニットＡの固定後、取り外
す。

【００１５】この後、出窓ユニットＡと壁組１の外壁面
について同一材料を用いて外装仕上げを行う。即ち、出
窓ユニットＡは、その屋根板１２上に化粧鋼板による鉄
板葺きを行い、前面、側面及び底面に、例えば、ドライ
ウォール工法に従い、木毛セメント板等によるサイディ
ングの釘打ちによる添着を行い、外壁面についても縦材
等の下地材を介してサイディングの添着を行うことによ
り、壁組１外壁面と一体感のある落ち着いた外観の出窓
が得られる。

【００１６】上記の出窓ユニットＡは、設備の整った建
築資材工場において、正確に、且つ、効率的に作製でき
るので、出窓工事のコストを大幅に低減でき、また、施
工現地において１０分程度で取り付けができるので、全
建築工期を大幅に短縮でき、さらに、前記のように、同
一材料によって、また、同一仕上げ工法により、あるい
は、美的なコントラストが得られる材料、また、仕上げ
工法の組み合わせにより、調和性のある外装仕上げを行
うことができる。

【００１７】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
の出窓ユニットによれば、コストの低減が図れ、建築工
期の大幅短縮が可能で、外壁面との調和のとれた外装仕
上げが行える、という効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の出窓ユニットと該出窓ユニットの取り
付け状況を示す斜視図である。

【図２】図１の出窓ユニットの開口枠の構成を示す斜視
図である。

【符号の説明】

Ａ …… 出窓ユニット １ …… 壁組 ２ …… 開口部 ３ …… 開口枠 ４ …… 防水シート ５ …… サッシ １４ …… 外壁パネル １５ …… 防水シート １６ …… 受け部材 １７ …… 取り付け金具

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁組の開口部にそのまま取り付ける出窓
   ユニットであって、予め作製した木製開口枠の外表面に
   防水シートを貼着すると共に、サッシを一体に組み込ん
   で成ることを特徴とする出窓ユニット。