JP2559194Y2 - 田植機の予備苗台装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は苗載台及び植付爪を有する植付部を備え、予
備苗台から苗載台に予備苗を補給し乍ら田植作業を行う
乗用田植機に関する。

「従来の技術」 従来、実開昭58−26815号公報、実開昭51−37515号公
報に示す如く、前後方向に揺動自在な平行リンクに複数
の予備苗台を上下多段に設ける技術、ロック部材及び解
除レバーを設けて予備苗台を支持する技術がある。

「考案が解決しようとする課題」 前記従来技術は、田植機体に平行リンクの下端部を支
点軸によって連結させるから、上方側の予備苗台の揺動
量が下方側のものよりも大きくなり、予備苗台を前方に
移動させて予備苗を積込むとき、または予備苗台を後方
に移動させて予備苗を取出すとき、下方側の予備苗台よ
りもさらに前方または後方に上方側の予備苗台が突出
し、上方側の予備苗台下方に作業者が手を差入れて下方
側の予備苗台を苗を積込んだり取出す作業を行う必要が
あり、また上方の予備苗台によって遮閉されて下方の予
備苗台を作業者が容易に視認し得ず、予備苗台への苗補
給作業性並びに予備苗台から苗載台への苗継ぎ作業性な
どの向上を容易に図り得ない等の問題がある。

「課題を解決するための手段」 然るに、本考案は、前後揺動自在な平行リンクを介し
て複数の予備苗台を上下多段に設けると共に、前方また
は後方揺動位置に予備苗台を支持させるロック部材及び
解除レバーを設ける田植機の予備苗台装置において、車
体フレームに支柱を立設させ、最上方位置の予備苗台よ
りも高位置に設ける支点軸を介して支柱に前記平行リン
ク上端側を連結させると共に、平行リンク下端側を前後
方向に揺動案内する案内部材を支柱に取付け、案内部材
によって支持され乍ら前後方向に揺動する下方側の予備
苗台の移動量が上方のものよりも大きくなるように構成
したことを特徴とする。

「作用」 従って、予備苗を積込む前方移動並びに予備苗を取付
す後方移動により下方側の予備苗台の前部または後部を
上方側のものよりもさらに前方または後方に突出させ
得、下方側の予備苗台に苗を積込んだり取出す作業を行
うときに上方側の予備苗台下方に作業者が手を差入れる
必要がなく、また上方の予備苗台によって遮閉されるこ
となく下方の予備苗台を作業者が容易に視認し得ると共
に、前記支柱に設ける案内部材によって予備苗台の左右
振れを容易に防止し得、田植機体が左右に傾いても平行
リンクまたは支点軸などが予備苗台重量によって変形損
傷する不具合をなくし得、予備苗台への苗補給作業性並
びに予備苗台から苗載台への苗継ぎ作業性などの向上を
容易に図り得るものである。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳述する。
第１図は予備苗台部の側面説明図、第２図は乗用田植機
の側面図、第３図は同平面図を示し、図中（１）は作業
者が搭乗する走行機体である走行車であり、エンジン
（２）を前側に搭載する車体フレーム（３）後端にミッ
ションケース（４）を装備させ、前記エンジン（２）の
後方両側にフロントアクスルケース（５）を介して水田
走行用前輪（６）を支持させると共に、前記ミッション
ケース（４）の後方両側にリヤアクスルケース（７）を
介して水田走行用後輪（８）を支持させる。そして前記
エンジン（２）を覆うボンネット（９）両側外方に予備
苗台（10）を配設させると共に、ステップ（11）を形成
する車体カバー（12）によって前記アクスルケース
（５）（７）等を覆い、前記ミッションケース（４）上
方の前記車体カバー（12）上部に運転席（13）を取付
け、その運転席（13）の前方で前記ボンネット（９）後
部に操向ハンドル（14）を設ける。

さらに、図中（15）は多条植え用の苗載台（16）並び
に複数の植付爪（17）…などを具有する植付部であり、
前高後低の後傾式の苗載台（16）を案内レール（18）及
びガイドレール（19）を介して植付ケース（20）に左右
往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転さ
せるロータリケース（21）を前記植付ケース（20）に支
持させ、該ケース（21）の回転軸芯を中心に対称位置に
一対の植付ケースである爪ケース（22）（22）を配設
し、その爪ケース（22）先端に植付爪（17）（17）を取
付ける。また前記植付ケース（20）の前側に回動支点軸
（23）を介して支持フレーム（24）を設け、トップリン
ク（25）及びロワーリンク（26）を含む三点リンク機構
（27）を介して走行車（１）後側に支持フレーム（24）
を連結させ、前記リンク機構（27）を介して植付部（1
5）を昇降させる昇降シリンダ（28）を走行車（１）に
備え、前記前後輪（６）（８）を走行駆動して略定速で
移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台（16）
からロータリケース（21）の１回転で２本の植付爪（1
7）（17）によって２株の苗を取出し、連続的に苗植え
作業を行うように構成する。

また、図中（29）は走行変速レバー、（30）は植付操
作レバー、（31）は主クラッチペダル、（32）（32）は
左右ブレーキペダル、（33）…は田面均平用フロートで
ある。

第４図乃至第５図にも示す如く、前記苗台（10）を支
持させる前後支柱（34）（35）を備えるもので、前記車
体フレーム（３）の前後ブラケット（36）（37）に固設
する支柱受け（38）（39）の受軸部（38a）（39a）に、
各ボルト（40）を介し取外し自在に前記支柱（34）（3
5）の基端を嵌合立設させると共に、ボンネット（９）
上側を跨ぐように前面視門形の連結フレーム（41）…基
端をボルト（40）を介し取外し自在に前記後支柱（35）
の上端受軸部（35a）に連結固定させている。

第６図にも示す如く、内外側枠（42）（43）に前後ロ
ッド（44）（45）を介し予備苗台（10）を多段に支持す
る前後の平行リンク（46）（47）を前記支柱（34）（3
5）に備えるもので、前後支柱（34）（35）の上部間に
固設する支柱板（48）に平行リンク（46）（47）上端の
２つの回動支点である支点軸（49）（50）を同一高さ位
置に前後揺動自在に取付けると共に、上下多段に備える
内側枠（42）を各回動枢軸（51）を介して平行リンク
（46）（47）に連結支持させて、前記予備苗台（10）を
水平姿勢を保持させた状態で前後方向に移動可能とする
ように構成している。

また、前記支柱（34）（35）の略上下中央間にガイド
板（52）を固設し、該ガイド板（52）の円弧状のガイド
溝（53）に、上方より３段目の内側枠（42）に取付ける
ガイド軸（54）を揺動自在に係入させると共に、前記支
柱（34）（35）の下端部間に固設する横フレーム（55）
の略中央部の軸（55a）と前記ガイド軸（53）間に伸張
作用力を有するガススプリング（56）を介設して、通常
状態の予備苗台（10）収納時にあってはガススプリング
（56）を最縮小状態とさせて、該スプリング（56）でも
って苗台（10）の重量支持の補助を行わしめる一方、苗
台（10）を前後方向に移動させるときその伸張作用力で
もってこの操作力の軽減を図るように構成している。

なお、（57a）（57b）は平行リンク（46）（47）に設
けてガイド板（52）に転接させるガイドローラである。

一方、前記支柱板（48）の内側面には苗台（10）の位
置固定を行うロック装置（58）を設けると共に、該ロッ
ク装置（58）のロック解除を行うロック解除レバー（5
9）（60）を苗台（10）の前後２箇所に設けている。

前記ロック装置（58）は、前記前リンク（46）の上端
に固設する多数位置決め用ピン孔（61）を有するロック
板（62）と、支柱板（48）に回動支点軸（63）を介して
支持させて前記ピン孔（61）にロックピン（64）を係脱
させる揺動アーム（65）とを備えると共に、前記平行リ
ンク（46）（47）の前及び後側面に固設する予備苗台移
動操作ハンドル（66）（67）に前記解除レバー（59）
（60）をそれぞれ備えて、揺動アーム（65）と各解除レ
バー（59）（60）間を各ワイヤ（68）（69）で連結さ
せ、予備苗台（10）の前後の何れの方向からも解除レバ
ー（59）（60）を操作しての予備苗台（10）の移動を可
能とするように構成している。

また、前記平行リンク（46）（47）に支持する予備苗
台（10）のさらに外側に予備苗台（10）の取付けを可能
とさせるもので、左右に並設される予備苗台（10）の内
側位置の外側枠（43）外面に取付用の係合軸（70）を設
けると共に、外側位置の外側苗台（10a）の内側枠（42
a）外面に前記係合軸（70）に係合保持させるフック金
具（71）を固設してこれらの一体支持を行うように構成
している。上記から明らかなように、前後揺動自在な平
行リンク（46）（47）を介して複数の予備苗台（10）…
を上下多段に設けると共に、前方または後方揺動位置に
予備苗台（10）を支持させるロック部材であるロック板
（62）及びロックピン（64）と解除レバー（59）（60）
を設ける田植機の予備苗台装置において、車体フレーム
（３）に支柱（34）（35）を立設させ、最上方位置の予
備苗台（10）よりも高位置に設ける支点軸（49）（50）
を介して支柱（34）（35）に前記平行リンク（46）（4
7）上端側を連結させると共に、平行リンク（46）（4
7）下端側を前後方向に揺動案内する案内部材であるガ
イド板（52）を支柱（34）（35）に取付け、ガイド板
（52）によって支持され乍ら前後方向に揺動する下方側
の予備苗台（10）の移動量が上方のものよりも大きくな
り、予備苗を積込む前方移動並びに予備苗を取出す後方
移動により下方側の予備苗台（10）の前部または後部を
上方側のものよりもさらに前方または後方に突出させ、
下方側の予備苗台（10）に苗を積込んだり取出す作業を
行うときに上方側の予備苗台（10）下方に作業者が手を
差入れる必要がなく、また上方の予備苗台（10）によっ
て遮閉されることなく下方の予備苗台（10）を作業者が
容易に視認できると共に、前記支柱（34）（35）に設け
るガイド板（52）によって予備苗台（10）の左右振れを
防止し、田植機体が左右に傾いても平行リンク（46）
（47）または支点軸（49）（50）などが予備苗台（10）
重量によって変形損傷する不具合をなくし、予備苗台
（10）への苗補給作業性並びに予備苗台（10）から苗載
台（16）への苗継ぎ作業性などの向上を図れるように構
成している。

さらに第７図に示す如く、前記支柱（34）（35）に支
持される予備苗台（10）の上方に追加の補助苗台（10
b）の増設も可能とするもので、前記後支柱（35）に支
持する連結フレーム（41）と、前支柱（34）上端の受軸
部（34a）との間に各ボルト（40）を介してＬ形状の補
助ステー（72）を連結させ、これらフレーム（41）とス
テー（72）に側枠（73）を介し上下二段に補助苗台（10
b）を支持するように構成している。

本実施例は上記の如く構成するものにして、前記解除
レバー（59）（60）でもってロック装置（58）のロック
を解除しての予備苗台（10）の移動操作時にあっては、
前記ガススプリング（56）の伸張作用力の付勢でもって
軽快に操作が行え、また苗台（10）を前方の苗補給位置
或いは後方の苗取出し位置に位置保持させた状態下にあ
っても苗台（10）は傾くことなく水平姿勢を保持して予
備苗がずり落ちるなどの不具合もなく、しかもこの場合
下段の苗台（10）程順次前後移動代が大となる結果、各
上段の苗台（10）に対し各下段の苗台（10）の前後端が
一定寸法（l₁）（l₂）突出する状態となって、苗の補給
や取出し作業を一層良好なものとさせることができる。

またこのような苗台（10）の移動操作の際には、作業
者は作業位置をその都度変更させることなく、苗台（1
0）前方の苗補給位置或いは苗台（10）後方の苗取出し
位置の何れからも容易にその操作が可能にできて、作業
性を向上させることができる。

「考案の効果」 以上実施例から明らかなように本考案は、前後揺動自
在な平行リンク（46）（47）を介して複数の予備苗台
（10）…を上下多段に設けると共に、前方または後方揺
動位置に予備苗台（10）を支持させるロック部材（62）
（64）及び解除レバー（59）（60）を設ける田植機の予
備苗台装置において、車体フレーム（３）に支柱（34）
（35）を立設させ、最上方位置の予備苗台（10）よりも
高位置に設ける支点軸（49）（50）を介して支柱（34）
（35）に前記平行リンク（46）（47）上端側を連結させ
ると共に、平行リンク（46）（47）下端側を前後方向に
揺動案内する案内部材（52）を支柱（34）（35）に取付
け、案内部材（52）によって支持され乍ら前後方向に揺
動する下方側の予備苗台（10）の移動量が上方のものよ
りも大きくなるように構成したもので、予備苗を積込む
前方移動並びに予備苗を取出す後方移動により下方側の
予備苗台（10）の前部または後部を上方側のものよりも
さらに前方または後方に突出させることができ、下方側
の予備苗台（10）に苗を積込んだり取出す作業を行うと
きに上方側の予備苗台（10）下方に作業者が手を差入れ
る必要がなく、また上方の予備苗台（10）によって遮閉
されることなく下方の予備苗台（10）を作業者が容易に
視認できると共に、前記支柱（34）（35）に設ける案内
部材（52）によって予備苗台（10）の左右振れを容易に
防止でき、田植機体が左右に傾いても平行リンク（46）
（47）または支点軸（49）（50）などが予備苗台（10）
重量によって変形損傷する不具合をなくすことができ、
予備苗台（10）への苗補給作業性並びに予備苗台（10）
から苗載台（16）への苗継ぎ作業性などの向上を容易に
図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は予備苗台部の側面説明図、第２図は全体側面
図、第３図は同平面図、第４図は予備苗台部の正面説明
図、第５図は平行リンク部の動作説明図、第６図は予備
苗台部の平面説明図、第７図は補助苗台の取付状態説明
図である。 （10）…予備苗台 （46）（47）…平行リンク （49）（50）…回動支点軸（回動支点） （58）…ロック装置 （59）（60）…ロック解除レバー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前後揺動自在な平行リンク（46）（47）を
   介して複数の予備苗台（10）…を上下多段に設けると共
   に、前方または後方揺動位置に予備苗台（10）を支持さ
   せるロック部材（62）（64）及び解除レバー（59）（6
   0）を設ける田植機の予備苗台装置において、車体フレ
   ーム（３）に支柱（34）（35）を立設させ、最上方位置
   の予備苗台（10）よりも高位置に設ける支点軸（49）
   （50）を介して支柱（34）（35）に前記平行リンク（4
   6）（47）上端側を連結させると共に、平行リンク（4
   6）（47）下端側を前後方向に揺動案内する案内部材（5
   2）を支柱（34）（35）に取付け、案内部材（52）によ
   って支持され乍ら前後方向に揺動する下方側の予備苗台
   （10）の移動量が上方のものよりも大きくなるように構
   成したことを特徴とする田植機の予備苗台装置。