JP2556991B2 - 繊維ウェブから流体を除去する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 関連特許出願の引用 本発明は1986年８月12日出願の米国特許出願第895,88
5号の継続出願である。この1986年８月12日出願の米国
特許出願第895,885号の内容を全て、ここに参考として
引用する。

技術分野 本発明は繊維ウエブから流体を除去する装置に関す
る。特に、本発明は、形成されたウエブ内の流体が除去
されるように、高圧と高温を長い時間作用させる装置に
関する。

背景技術 製紙業界において、プレス段階で流体を機械的に除去
することが製紙機械の次の乾燥部分で流体を除去するこ
とにより経済的であるので、できるだけ多くの水がプレ
ス部分でウエブから除去される。

そのような先行技術の提案が***特許第575,453号に
示されており、この***特許では、プレス部材Ａのまわ
りをウエブＢが走行する。金属バンドＣがニップロール
Ｄのまわりを走行し、バンドＣとプレス部材Ａとの間に
ウエブＢをはさみこむ。バンドＣはプレス部材のまわり
をまわり、もう１個のロールＤとプレス部材Ａとの間に
形成されたもうひとつのニップを通って走行する。第２
バンドＦは、金属バンドＣがウエブとバンドＦとの間に
はさまれるように金属バンドＣと共にプレス部材Ａのま
わりを連続的に移動する。

係属中の米国特許出願第895,885号では、いわゆる
“高温プレス装置と方法”が開示されており、この米国
特許出願第895,885号では、繊維ウエブからほとんどの
水を除去するために、紙ウエブはプレス乾燥操作を受け
る。高温プレス技術では、長時間、紙ウエブに高温と高
圧を作用させる。高温プレス（HTP）法の一実施例にお
いては、乾燥すべきウエブは、広幅シューと共働支持ロ
ールとを含むプレスを通って走行する。ブランケット
は、ウエブと共に、前記シューと前記支持ロール（即ち
プレス部材）との間に形成されたプレス部分を通って走
行する。プレス部材は、誘導加熱その他の方法で加熱さ
れるので、ウエブがプレス部分を通過する間、液相で残
留する流体をウエブから排除するようにウエブの内部の
流体を蒸発させる。

前述のHTP法では非常な高圧と共に非常な高温が使用
されるもので、形成されたウエブに薄片剥離（delamina
tion）が見られた。そのような薄片剥離は、主として、
ウエブがプレス部分から出る時、プレス部分内で蒸気が
急速に発生し、その蒸気流がウエブを分離させることに
よって生じる。

本発明は、プレス部分内の高圧蒸気が多孔層内へ拡散
するように、プレス部材（支持ロール等）に多孔層を設
けることによって、前述の問題を克服しようとするもの
である。さらに、この多孔層は、プレス部材のウエブと
の間の熱伝達を減少させるので、プレスされるウエブの
薄片剥離もさらに防止できる。

従って、本発明の第一の目的は、前述のプレス乾燥装
置及び技術に関連した前述の問題を克服し、プレス乾燥
技術に大きく貢献する装置を提供することである。

本発明のもうひとつの目的は、プレス部材が多孔性プ
レス表面を有する繊維ウエブから流体を除去する装置を
提供することである。

本発明のもうひとつの目的は、プレス部材が第１及び
第２の層を有し、その第２の層が第１の層のまわりに配
置され、第１及び第２の層の間に第３の層が配置され、
かつ、第２の層がプレス表面を形成するようにした繊維
ウエブから流体を除去する装置を提供することである。

本発明のもうひとつの目的は、第２の層を焼結した繊
維ウエブから流体を除去する装置を提供することであ
る。

本発明のもうひとつの目的は、第２の層の厚みが少く
とも0.0197センチメートル（0.005インチ）である繊維
ウエブから流体を除去する装置を提供することである。

本発明のもうひとつの目的は、プレス部材の第１の層
が漏れ口を有するようにした繊維ウエブから流体を除去
する装置を提供することである。

本発明の他の目的及び効果は、後文で添付図面に関連
して説明される詳細な説明からこの技術に習熟した人々
にとって明らかとなるであろう。

発明の開示 本発明は繊維ウエブから流体を除去する装置に関す
る。この装置は、その間に広幅プレス部分を形成するプ
レス部材とそのプレス部材と共働するブランケット手段
とを有し、ウエブがプレス部分を通る間、プレス部材と
ブランケット手段との間でプレスされるようになってい
る。ウエブがプレス部分を通過する時、ウエブから流体
が除去されるように、プレスシューがブランケット手段
をプレス部材へ向って押圧する。前記プレス部材にごく
近接し、かつ前記プレス部材を積極的に加熱するように
加熱手段が配置され、この加熱手段は、ウエブがプレス
部分を通過する時、ウエブに長時間高圧と高温を作用
し、それによって、プレス部分を通過する間プレス部分
内に発生する水蒸気がウエブから液相の流体を放出させ
るように構成されている。プレス部材は、ウエブの薄片
剥離を防止するように多孔性プレス表面を形成する。

また、プレス部材は、中実の内側の第１の層と、前記
第１の層のまわりに配置され５ないし50ミクロンの範囲
の大きさの孔をもつ外側の第２の層と、前記第１の層と
第２の層の間に配置され前記第２の層とウエブの換気を
助けるように50ないし100ミクロンの範囲の大きさの孔
をもつ中間の第３の層を備えている。

以上のように構成された３層よりなるプレス部材によ
って、本発明は、プレス部分をウエブが通過する時に発
生する水蒸気によって、ウエブから液相の流体を放出さ
せ、しかも、ウエブから液相の流体を除去する際に水蒸
気によって作用する力を適当な大きさにして、ウエブの
薄片剥離を確実に防止することができる。

本発明のひとつの実施態様においては、プレス表面は
円筒形であり、プレス部材は第１の同心層と、その第１
の層のまわりに配置された第２の同心層とを有し、前記
第２の層は円筒形プレス面を形成する。

本発明のひとつの実施態様においては、第２の層は焼
結され、その孔のサイズは少くとも50ないし100ミクロ
ンであり、厚みは少くとも0.005インチである。また、
第１の層の外表面に第２の層をスプレー被覆するように
することができる。

本発明のもうひとつの実施態様においては、流体が第
２の層を通って第１の層内へ移動するようにプレス部材
の第１の層は漏れ口を有している。

本発明は後文で詳述する実施例に制限されるものでは
ないことは、この技術に精通した人にとって理解される
であろう。

図面の簡単な説明 第１図は本発明に従った繊維ウエブから流体を除去す
る装置の側面図である。

発明を実施するための最良の形態 第１図は繊維ウエブＷから流体を除去する装置10の側
面図である。装置10はプレス部材12と、そのプレス部材
12と共働してプレス部分16を形成する走行するブランケ
ット手段14を有するので、ウエブＷはプレス部分16を通
過する間、プレス部材12とブランケット手段14との間で
プレスされる。長いプレスシュー18は、矢印20で示すよ
うに、プレス部材12へ向ってブランケット手段14を押圧
するので、ウエブＷがプレス部分16を通過する時、ウエ
ブＷから流体が除去される。プレス部材12に近接して、
かつ、プレス部分16の上流側に加熱手段22が配置されウ
エブＷに熱を伝達するので、ウエブＷがプレス部分16を
通過する時、そのウエブＷは、長い時間高圧高温を受
け、従って、プレス部分16を通過する間にプレス部分16
内に生じた水蒸気は液相の流体をウエブＷから排除す
る。プレス部材12はウエブＷの薄片剥離を防止するため
に多孔性プレス面24を形成し、特に、第１図に示すよう
に、プレス面は円筒形である。

円筒形のプレス部材12は、内側の第１の同心層26と、
その第１の同心層26のまわりに配置された外側の第２の
同心層28とを有する。第２の層28は円筒形プレス面24を
有する。第２の層28は、孔のサイズが少くとも５ないし
50ミクロン、好ましくは20ミクロンの焼結された多孔層
である。さらに第２の層28の厚みは少くとも0.005イン
チである。そのような第２の層28は、スプレー被覆法に
より第１の層上に被覆することができる。この場合、第
２の層28は、スプレー被覆法を使って、伸長型ニッププ
レス支持ロールである第１の層26の外面30上にスプレー
被覆される。

また、前記層26と28との間には、中間の第３の層44が
配置され、その第３の層44は、第２の層とウエブWEとの
換気をよくするように、孔のサイズが50〜100ミクロン
で、100ミクロンが好ましい。

本装置10の作動時、ウエブＷはプレス部分16を通って
案内され、プレス部材12が加熱されるように、ヒーター
22によって、例えば誘導加熱により熱が加えられる。ブ
ランケット14がプレス部材12へ向ってプレスされるよう
に、矢印20で示すようにプレスシュー18に圧力がかけら
れ、それによって、ウエブＷがプレス部分16を通過する
時、ウエブＷに圧力が作用する。高圧と高温を組合せて
長い時間作用させると、繊維ウエブＷ内からの流体が蒸
発し、この蒸気が液相の流体をウエブＷから排除するこ
とになる。そのような加圧蒸気の前述の力は加圧ウエブ
に薄片剥離を生じさせる傾向があるが、本発明では、蒸
気圧が逃がされ、プレス部材12を介してウエブに伝達さ
れる熱量が減少し、それによってウエブの薄片剥離を防
止するように、プレス部材12の外面に多孔の層28を形成
することにより、この問題を解決する。

特に、中間の第３の層44は、外側の層28とウエブＷの
換気を助ける。この第３の層44を設けることによって、
ウエブから除去される流体の総量は減少するが、ウエブ
から液相の流体を除去する際に水蒸気によって作用する
力を減少させることができ、薄片剥離の問題を有効に回
避して繊維ウエブをプレスで乾燥させるために非常に実
際的で経済的な手段を与える。

なお、前記の実施例における第１の層26の外面に複数
の軸方向に間隔をおいて位置する溝又は複数のめくら孔
等の漏れ口を設けることもでき、これによって、第２の
層28のプレス面24に流入する流体が第２の層28を通って
第１の層26へ流入してウエブから液相の流体を除去する
際に水蒸気によって作用する力をさらに減少させること
ができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マックレム、エリザベス・エイ アメリカ合衆国、ウイスコンシン 53511、ベロイト、リッチャー ストリ ート、1526 (72)発明者 バスカー、エル・エイチ アメリカ合衆国、イリノイ 61072、ロ ックトン、ウエスト ロックトン ロー ド、571 (72)発明者 クローニン、デニス・シー アメリカ合衆国、イリノイ 60172、ロ ックトン、プレリー アヴェニュー、 703 (72)発明者 ランゲ、デイヴィド・ヴィー アメリカ合衆国、ウィスコンシン 53511、ベロイト、ハケット ストリー ト、1150 (56)参考文献 特開 昭61−207691（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−30991（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−50594（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−205594（ＪＰ，Ａ) 米国特許3296710（ＵＳ，Ａ)

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プレス部材； 前記プレス部材と共働し、前記プレス部分を通過する間
   にウエブが前記プレス部材との間にプレスされるように
   前記プレス部材との間に広幅のプレス部分を形成するブ
   ランケット手段； 前記ウエブが前記プレス部分を通過する時、ウエブから
   流体が除去されるように、前記ブランケット手段を前記
   プレス部材へ向って押圧するプレスシュー； 及びウエブへ熱を移動させるために前記プレス部材に近
   接して配置され、ウエブが前記プレス部分を通過する
   時、ウエブに長い時間にわたって高圧と高温を作用し
   て、前記プレス部材を通過する間に前記プレス部分内に
   発生する水蒸気がウエブから流体を液相で放出させるよ
   うに構成された加熱手段； から成り； 前記プレス部材は； ウエブの薄片剥離を防止するための多孔性のプレス表面
   を形成すると共に； 中実の内側の第１の層と； 前記第１の層のまわりに配置され、５ないし50ミクロン
   の範囲内の大きさの孔をもつ外側の第２の層と； 前記第１の層と第２の層の間に配置され、前記第２の層
   とウエブの換気を助けるように50ないし100ミクロンの
   範囲内の大きさの孔をもつ中間の第３の層と； を備えている； ことを特徴とする繊維ウエブから流体を除去する装置。
2. 【請求項２】前記プレス表面は円筒形であることを特徴
   とする請求の範囲第１項に記載の装置。
3. 【請求項３】前記第２層は焼結されていることを特徴と
   する請求の範囲第２項に記載の装置。
4. 【請求項４】前記第２層は少くとも0.005インチの厚み
   を有することを特徴とする請求の範囲第３項に記載の装
   置。
5. 【請求項５】前記第１層は、前記プレス表面へ流入する
   流体が前記第２層を通って前記第１層へ送られるように
   漏れ口を有することを特徴とする請求の範囲第２項に記
   載の装置。
6. 【請求項６】前記第１層は溝を有することを特徴とする
   請求の範囲第５項に記載の装置。
7. 【請求項７】前記第１層にはめくら孔が形成されている
   ことを特徴とする請求の範囲第５項に記載の装置。