JP2549039B2 - 歪の小さい高強度歯車の浸炭窒化熱処理方法 - Google Patents

歪の小さい高強度歯車の浸炭窒化熱処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浸炭窒化熱処理方法、
特に焼入れ時の歪が少なく、騒音の少ない自動車トラン
スミッション用ギアを製造することのできる肌焼鋼の浸
炭窒化熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用歯車には、耐疲労強度
および表面の耐摩耗性を高めるために、肌焼鋼が使用さ
れている。この場合、肌焼鋼は歯車等の所定形状に機械
加工された後、表面硬化のために浸炭窒化処理を施され
る。すなわち、炭素含有量の比較的低い低合金鋼の表面
に炭素と窒素を浸透させ、次に焼入れ、焼戻しを施し
て、歯表面をマルテンサイトにすることで硬化させ、か
つ歯車の靱性を確保する意味から、歯車芯部を一部マル
テンサイトあるいはベイナイトを含んだフェライト・パ
ーライト組織にする。ただし、歯車芯部とは図1(B)
の網掛で示す歯車の中央部である。このように歯表面と
歯車芯部の組織差を利用することは、耐疲労強度および
靱性を得るための基本原理であり、また浸炭窒化焼入れ
法において、冷却速度の質量効果を利用することにより
十分達成されていることは周知の事実である。
【0003】しかしながら、歯車芯部は質量効果により
一部マルテンサイトあるいはベイナイトを含んだフェラ
イト・パーライト組織になるものの、歯内部(図1
(A)の斜線部で示される歯の浸炭層より内側の部分)
は芯部より冷速が速いため、焼入れ組織であるマルテン
サイトと一部ベイナイトの混在組織になる。この時、マ
ルテンサイト生成による変態応力(オーステナイトから
マルテンサイト組織に変化するときに生じる体積膨張に
起因する応力)が発生するため、熱処理変形の発生が避
けられず、歯車精度を維持することができない。特に、
自動車トランスミッション用ギアは、騒音に対して最も
厳しい制限があるにも拘らず、小さくかつ肉厚が薄いた
め、歯内部の組織はマルテンサイトとベイナイト組織に
なり、このことが歯車騒音の最大の原因になっている。
【0004】そこで従来は、焼入れ歪に対して歯車研削
を追加することにより、精度を向上させる方法が用いら
れている。また、イオン窒化、ガス軟窒化やタフトライ
ドなどの低温で行う窒化処理等も検討されている。さら
に、特開昭55−6456号公報では、等温焼きなまし
処理によりフェライト・パーライト組織にした後、軟窒
化処理により表面のみ硬化する方法が開示されており、
また一旦フェライト・パーライト組織にした後、窒化処
理により表面層のA1 変態点を下げてオーステナイト化
を促進させ、急冷によって表面層のみマルテンサイト組
織を得る方法(金属臨時増刊号、1990年,Vo1
8,P25)が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、歯車機械研削
では浸炭窒化層を部分的に削り取ることから、製造工程
数が増加するほか、複雑な形状部品には適用しがたく、
また表面硬さや残留応力にムラを生ずることとなり、品
質上の問題があった。一方、イオン窒化、ガス軟窒化や
タフトライドおよび特開昭55−6456号公報の方法
では、焼入れ硬化層が薄く、また内部硬度が低いため、
十分な疲労強度が得られない。また、窒化処理により表
面層のA1 変態点を下げてオーステナイト化を促進さ
せ、急冷によって表面層のみマルテンサイト組織を得る
方法は、浸炭窒化部に異常化合物層の形成による硬度低
下が生じ、また内部硬度が低いため十分な疲労強度が得
られない、という問題を有してした。
【0006】すなわち、従来の機械加工法では経済性と
歯車自身の品質を犠牲にしたものであり、材料側からの
取組みも、歯内部のマルテンサイト防止により歪は軽減
できるものの、歯車本来の特性である高疲労強度を犠牲
にしたものであり、高強度化を維持しつつ歯内部を完全
なフェライトとパーライト組織にする有効な方法が望ま
れている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な実情に対処して、浸炭窒化焼入れ処理による歪の発生
が少なく、かつ優れた硬化特性が得られる浸炭窒化歯車
用の素材を開発するために多くの研究を行ってきた。す
なわち、浸炭窒化処理は、表面層のみA1 変態点を下げ
るため、歯内部をフェライト・パーライト組織にしつつ
表面層のみオーステナイトにする極めて有効な方法であ
り、該処理における表層化合物層の生成挙動および歯内
部強度は主に鋼材組成に依存する。従って、高強度化を
維持しつつ歯内部を完全なフェライトとパーライト組織
にする有効な方法の開発を目的に、浸炭窒化条件および
鋼材組成の両面から詳細な検討を加えた結果、以下の知
見を得た。
【0008】浸炭窒化処理において,表層化合物層、
内部酸化層および不完全焼入れ層の生成が表層の硬度低
下をもたらす。これらの生成防止にはCrおよびSiを
低減しつつ、表層が十分に硬化するように焼入れ性を高
めておくことが有効である。 硬化層深さの増大には、浸炭窒化処理により表面層か
ら深くまでオーステナイト化することが必要であり、こ
れには表層の化合物層の生成を抑制することが有効であ
る。
【0009】歯内部がフェライト・パーライト組織に
なることによる硬度低下は、炭窒化物の析出硬化および
微細化効果により抑制できる。さらに、化合物層の生成
抑制の観点より、特定量のV添加が有効である。そこ
で、こうした知見に基づいて、具体的な達成手段を明ら
かにするため、さらに研究検討を重ね、特定の化学組成
の肌焼鋼より製造された歯車に、浸炭窒化処理を施した
直後に、特定の温度範囲に所定時間保持し、その後焼入
れ、焼戻しを行うことにより、表面硬さを低下させず
に、歯内部の組織をフェライトと微細パーライト組織と
し、かくして騒音の発生源となる歯の焼入れ時の歪を大
幅に低減し、かつ静粛性を著しく向上させ得る新しい歯
車の浸炭窒化熱処理方法を完成させた。
【0010】すなわち、本発明の要旨とするところは下
記のとおりである。 (1)重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.50%
未満、Cr:0.30%以上1.00%未満、Mo:
0.10%以上1.00%未満、V:0.05%以上
1.00%未満を含有し、残部Feおよび不純物よりな
る鋼を素材とした歯車に、浸炭窒化処理を施し、その後
直ちに、あるいはいったん歯表面部(浸炭窒化部)のA
1 変態点以下の温度域まで冷却し、再度歯表面部(浸
炭窒化部)のAc3 変態点以上に加熱した後、歯表面部
(浸炭窒化部)のAr3 変態点以上で歯内部(非浸炭窒
化部)のAr1 変態点以下の温度域に5分以上2時間未
満保持して、歯表面をオーステナイト状態に保ちつつ歯
内部を微細なフェライト・パーライトにし、しかる後に
焼入れ、焼戻しを行うことにより、歯内部を微細なフェ
ライト・パーライト組織とすることを特徴とする歪の小
さい高強度歯車の浸炭窒化熱処理方法。
【0011】ただし、歯内部とは図1(A)の斜線部で
示される歯の浸炭層より内側である。 (2)重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.50%
未満、Cr:0.30%以上1.00%未満、Mo:
0.10%以上1.00%未満、V:0.05%以上
1.00%未満を含むとともに、Nb:0.02%以上
0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%以下
の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりなる鋼
を素材とした歯車に、浸炭窒化処理を施し、その後直ち
に、あるいはいったん歯表面部(浸炭窒化部)のAr1
変態点以下の温度域まで冷却し、再度歯表面部(浸炭窒
化部)のAc3 変態点以上に加熱した後、歯表面部(浸
炭窒化部)のAr3 変態点以上で歯内部(非浸炭窒化
部)のAr1 変態点以下の温度域に5分以上2時間未満
保持して、歯表面をオーステナイト状態に保ちつつ歯内
部を微細なフェライト・パーライトにし、しかる後に焼
入れ、焼戻しを行うことにより、歯内部を微細なフェラ
イト・パーライトとすることを特徴とする歪の小さい高
強度歯車の浸炭窒化熱処理方法。
【0012】ただし、歯内部とは図1(A)の斜線部で
示される歯の浸炭層より内側である。以下に本発明の各
構成要件について説明する。最初に、本発明の浸炭窒化
熱処理方法が適用できる合金鋼の化学成分について述べ
る。
【0013】本発明における合金鋼は、浸炭窒化処理を
行う炉中の冷却で、歯内部の組織をフェライト・パーラ
イトにでき、しかも歯車としての剛性や靱性等を維持す
るのに十分な内部硬さでなければならない。一方、この
合金鋼は浸炭窒化されるため、浸炭窒化処理により悪影
響を受けない化学成分でなければならない。Cは自動車
用歯車として必要な強度、特に芯部強度を確保するため
に添加する元素であるが、0.1%未満ではこのような
効果を十分に得ることができず、0.3%以上では靱性
が低下して脆くなり、浸炭用鋼として使用が困難となる
ので、その含有量を0.1%以上0.3%未満とした。
【0014】Siは浸炭用鋼の粒界酸化に著しく悪影響
を及ぼす元素であり、含有量は0.15%以上では浸炭
層に顕著な粒界酸化が形成され、浸炭用鋼の材質特性が
劣化するため、その含有量を0.15%未満とした。M
nは鋼に強度、靱性、焼入れ性を与えるのに必要な元素
であるが、1.50%以上では熱間圧延後の冷却におい
てベイナイトやマルテンサイトの硬質な組織になり、そ
の後の切削等の二次加工には適さなくなるために1.5
0%未満とする。しかし、Mnの添加量が0.30%未
満では焼入れ性向上の効果が十分でなく、その含有量は
0.30%以上とする。
【0015】Crは鋼の浸炭窒化層に化合物層を形成
し、表面硬度を低下し、併せてNの鉄中への固溶を阻害
し、また浸炭窒化層のオーステナイト化温度を上げ、オ
ーステナイト化を阻害する。1.00%以上では顕著に
化合物層を形成し、窒化処理を阻害するため1.00%
未満とする。しかし、Crの添加量が0.30%未満で
は焼入れ性向上の効果が十分でなく、その含有量は0.
30%以上とする。
【0016】Moは粒界酸化層を形成することなしに鋼
の耐摩耗性、焼入れ性、機械的特性を向上し、特に歯内
部の硬度上昇に有用な元素であり、0.10%未満では
その効果が十分でなく、1.00%以上では靱性を劣化
させるため、0.10%以上1.00%未満とする。V
は炭窒化物の析出硬化により、歯内部のフェライト・パ
ーライトの硬度上昇をもたらす元素であるが、0.05
%未満ではその効果が十分でなく、1.00%以上を含
有しても効果は飽和するため、0.05%以上1.00
%未満とする。
【0017】TiおよびNbは炭窒化物を生成し、浸炭
結晶粒の微細化に効果のある元素であり、その効果を得
るには1種以上の元素をNbで0.02%以上およびT
iで0.01%以上の含有が必要である。しかし、Nb
で0.20%を超えて、Tiで0.20%を超えて含有
しても効果は飽和するため、上限をNbで0.20%、
Tiで0.20%とする。
【0018】上記成分のほか、以下に示す元素を添加す
ることにより、よりいっそう特性の向上が可能である。
CaはMnSの延伸抑制のために必要な元素であり、歯
車の疲労における異方性を軽減する。MnSの延伸抑制
効果を与えるために、Caを0.0010%以上含有さ
せる。しかし、0.010%を超えて含有させても、そ
の効果は飽和して経済性を損うため上限を0.010%
とする。
【0019】次に、浸炭窒化法としては、ガス浸炭窒化
法または液体浸炭窒化法が好ましく、また浸炭窒化深さ
は表層硬さおよび残留応力の観点から0.5mm以上であ
ることが好ましい。表面炭素量が共析以上、Acm以下の
カーボンポテンシャルにて850〜980℃の温度で浸
炭窒化処理することにより、非浸炭窒化部に比べ浸炭窒
化部のAr 3 変態点が約50℃下がる(浸炭窒化温度:
930℃、カーボンポテンシャル:0.9%、Nポテン
シャル:2%、JIS SCM420での、本発明者ら
の実験例)。
【0020】浸炭窒化後炉冷等により660〜700℃
(歯表面部のAr3変態点以上で歯内部のAr1 変態点
以下)に冷却した後、一定時間保持することにより、非
浸炭窒化部の歯内部をフェライトと微細パーライトに変
態させつつ、歯表面の浸炭窒化部をオーステナイト状態
に維持する。保持時間は温度の均一性および熱処理コス
トより、5分以上2時間未満が好ましい(これ以上保持
時間を長くしても品質上での利点はなく、また不経済で
ある)。
【0021】浸炭窒化部の結晶粒を細粒化する、より好
ましい条件としては、浸炭窒化後、歯表面部のAr1
態点以下まで徐冷し、次に歯表面部のAc3 変態点以上
に再加熱する。この時、浸炭窒化部のオーステナイト粒
の細粒化が図られる。次に歯表面部のAr3 変態点以上
で歯内部のAr1 変態点以下にした後、一定時間保持す
ることにより、非浸炭窒化部の歯内部は、微細なフェラ
イト・パーライトままで歯表面の浸炭窒化部のみ細粒の
オーステナイトに変態する。保持時間は温度の均一性お
よび熱処理コストより、5分以上2時間未満が好まし
い。
【0022】以上のように、表面をオーステナイト化
し、歯内部をフェライトと微細パーライトにし、しかる
後に油あるいは塩浴中で焼入れすることにより、歯表面
の浸炭窒化部は全てマルテンサイトにでき、既に変態を
終了している歯内部は焼きの入っていないフェライトと
微細パーライトに維持できる。その後、浸炭窒化部の内
部応力の除去および強さ、ねばさを増すために、150
〜200℃の焼戻し処理を行う。
【0023】以下に実施例を挙げてさらに説明する。
【0024】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を溶製し、162mm
角ビレットに分塊圧延した後、熱間圧延にて50mmφ棒
鋼に仕上げた。次に、得られた棒鋼を熱間鍛造および焼
ならしし、その後機械加工により、外径87mm、モジュ
ール3、歯数27、歯幅20mmの歯車を製作し、これら
を試料として浸炭窒化処理を施した。まず、試料をカー
ボンポテンシャル:0.9%、Nポテンシャル:2%、
温度:930℃で浸炭窒化した後、No. 1は歯表面部お
よび歯内部のAr3 変態点超の840℃、No. 2は歯内
部のAr1 変態点超で表面部のAr3 変態点以上の75
0℃、No. 3は歯表面部のAr3 変態点未満の630℃
まで炉冷し、30分保持後、それぞれを130℃の油浴
中で冷却した。No. 4〜No. 11は表1に示す歯表面部
(浸炭窒化部)のAr3 変態点以上で歯内部(非浸炭窒
化部)のAr1 変態点以下の温度に、No. 12〜No.1
6は歯表面部のAr1 変態点以下の600℃まで徐冷
し、次に歯表面部のAc3 変態点以上の850℃に再加
熱し、その後歯内部(非浸炭窒化部)のAr1 変態点以
下で歯表面部(浸炭窒化部)のAr3 変態点以上の温度
に、各々30分保持して、その後130℃の油浴中で冷
却した。次いで、全ての試料とも180℃、1時間の焼
戻しを行った。また歪量はJIS B1702により歯
形誤差を測定し、併せて表1および表2に示した。
【0025】歯内部のAr3 変態点超で焼入れしたNo.
1は歯内部がマルテンサイトとなり、歯形歪量も多く、
また歯内部のAr1 変態点超で表面部のAr3 変態点以
上で焼入れしたNo. 2では歯内部は一部マルテンサイト
を含んだフェライト・パーライト組織になるため、歯形
歪量の低減も十分ではない。また、歯表面部のAr3
満で焼入れしたNo. 3は、表面部もベイナイトとパーラ
イト組織となり、歯車として必要な表面硬さを得ること
ができない。
【0026】さらに、歯表面部のAr3 変態点以上で、
かつ歯内部のAr1 変態点以下の温度で焼入れしている
ものの、本発明範囲よりMnが高いNo. 4は、歯形歪量
は少ないにもかかわらず、歯内部硬度が高すぎ、靱性が
低く、実用には適さない。さらに、本発明範囲よりVが
少なすぎるNo. 5は、歯形歪量は少ないものの、歯内部
硬度が不十分で、実用には適さない。
【0027】これに対して本発明の範囲内にあるNo. 6
〜16では何れも歯内部はフェライト・パーライト組織
になり、歯内部の硬度も十分であり、歯形歪量も著しく
低減でき、また内部酸化層と不完全焼入れ層の抑制によ
り、疲労強度も高いことが明らかである。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明は浸炭
窒化焼入れにより製造される自動車用歯車の歯内部をフ
ェライト・パーライト組織にすることにより熱処理歪の
低減を図り、同時に表層の組織制御により疲労強度の向
上を図った、騒音の少ない高強度の自動車トランスミッ
ション用ギアを提供するものであり、工業上の効果は極
めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は歯車の歯内部および(B)は歯車芯部
の説明図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.1%以上0.3%未
    満、Si:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.
    50%未満、Cr:0.30%以上1.00%未満、M
    o:0.10%以上1.00%未満、V:0.05%以
    上1.00%未満を含有し、残部Feおよび不純物より
    なる鋼を素材とした歯車に、浸炭窒化処理を施し、その
    後直ちに、あるいはいったん歯表面部(浸炭窒化部)の
    Ar1変態点以下の温度域まで冷却し、再度歯表面部
    (浸炭窒化部)のAc3変態点以上に加熱した後、歯表
    面部(浸炭窒化部)のAr3 変態点以上で歯内部(非浸
    炭窒化部)のAr1 変態点以下の温度域に5分以上2時
    間未満保持して、歯表面をオーステナイト状態に保ちつ
    つ歯内部を微細なフェライト・パーライトにし、しかる
    後に焼入れ、焼戻しを行うことにより、歯内部を微細な
    フェライト・パーライト組織とすることを特徴とする歪
    の小さい高強度歯車の浸炭窒化熱処理方法。ただし、歯
    内部とは図1(A)の斜線部で示される歯の浸炭層より
    内側である。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.1%以上0.3%未
    満、Si:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.
    50%未満、Cr:0.30%以上1.00%未満、M
    o:0.10%以上1.00%未満、V:0.05%以
    上1.00%未満を含むとともに、Nb:0.02%以
    上0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%以
    下の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりなる
    鋼を素材とした歯車に、浸炭窒化処理を施し、その後直
    ちに、あるいはいったん歯表面部(浸炭窒化部)のAr
    1 変態点以下の温度域まで冷却し、再度歯表面部(浸炭
    窒化部)のAc3 変態点以上に加熱した後、歯表面部
    (浸炭窒化部)のAr3 変態点以上で歯内部(非浸炭窒
    化部)のAr1 変態点以下の温度域に5分以上2時間未
    満保持して、歯表面をオーステナイト状態に保ちつつ歯
    内部を微細なフェライト・パーライトにし、しかる後に
    焼入れ、焼戻しを行うことにより、歯内部を微細なフェ
    ライト・パーライトとすることを特徴とする歪の小さい
    高強度歯車の浸炭窒化熱処理方法。ただし、歯内部とは
    図1(A)の斜線部で示される歯の浸炭層より内側であ
    る。
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