JP2548477B2 - 新規クッション構造体およびその製造方法 - Google Patents

新規クッション構造体およびその製造方法

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JP2548477B2
JP2548477B2 JP3509771A JP50977191A JP2548477B2 JP 2548477 B2 JP2548477 B2 JP 2548477B2 JP 3509771 A JP3509771 A JP 3509771A JP 50977191 A JP50977191 A JP 50977191A JP 2548477 B2 JP2548477 B2 JP 2548477B2
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elastic
fiber
fibers
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吉田  誠
裕憲 山田
信男 高橋
和士 藤本
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維をマトリ
ックスとし、その中に弾性複合繊維による熱固着点を散
在させた新規クッション構造体並びにその製造方法に関
するものである。
背景技術 家具、ベッドなどに用いられるクッション構造体の分
野においては、発泡ウレタンフォーム、非弾性ポリエス
テル系捲縮短繊維詰綿、ポリエステル系捲縮短繊維を接
着した樹脂綿や固綿などが使用されている。
しかしながら、発泡ウレタンフォームは、その製造中
に使用される薬品等の取り扱いが難しく、かつフロンを
排出するという問題がある。また、得られた発泡ウレタ
ンフォームの圧縮特性は圧縮初期が硬く、その後急に沈
み込むという独特の特性を示すために、クッション性に
乏しいばかりか、底突き感が大きいという欠点がある。
しかも、該フォームは通気性に乏しいので蒸れやすく、
クッション構造体として好まれないことが多い。さら
に、ウレタンフォームは軟らかく、かつ発泡しているた
めに、圧縮に対する反撥力に乏しいという欠点がある。
反撥力を上げるためには、ウレタンフォームの密度を高
くすればよいわけであるが、この場合は重量が増え、か
つ通気性がさらに悪化するという致命的欠陥が生じる。
次に、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰綿において
は、集合体構造が固定されていないため、使用中に形が
崩れ易く、構成短繊維が移動したり、該短繊維の捲縮が
へたったりして嵩性や反撥性が大きく低下するという欠
点がある。
一方、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体を樹脂
(例えばアクリル酸エステルポリマー)や、マトリック
ス短繊維を構成するポリマーの融点よりも低い融点を有
するポリマーで構成されるバインダー繊維(特開昭58−
31150号公報)で固着した樹脂綿や固綿などでは、固着
力が弱く、ポリマー皮膜の伸度が小さく、かつ伸長に対
する回復性が低いために固着点の耐久性が低く、使用中
に固着点に変形を受けると破壊されたり、変形に対して
回復が悪く、その結果形態安定性や反撥性が大巾に低下
する。また、固着点は伸度が小さいポリマーで固く、モ
ービリディがないため、クッション性に乏しいものしか
得られない。クッション性を高めるための一手段とし
て、特開昭62−102712号公報には、ポリエステル系捲縮
短繊維の交叉部を発泡ウレタンのバインダーで固着した
クッション構造体が提案されている。しかし、ここでは
溶液型の架橋性ウレタンを含浸しているので、加工斑が
発生し易く、そのため処理液の取扱いが煩雑である。ウ
レタンとポリエステル繊維との接着性が低い、バインダ
ーが架橋されるため伸度が低くなり、かつ樹脂部が発泡
しているため変形が部分的に集中しやすいので、繊維交
叉部の発泡ウレタンが大変形したときに破壊されやす
い、耐久性が低いなどといった問題がある。
発明の開示 本発明は、特に短繊維同士の交叉点における固着状態
が著しく安定化され、それによりクッション性、および
圧縮反撥性、圧縮耐久性並びに圧縮回復性の改善され
た、新規なクッション構造体を提供しようとするもので
ある。
さらに、本発明は、加工斑が発生しない、より簡便な
方法で、上記のクッション構造体を提供しようとするも
のである。
本発明による新規なクッション構造体は、非弾性ポリ
エステル系捲縮短繊維集合体のマトリックスとし、密度
が0.005〜0.10g/cm3、厚さが5mm以上であるクッション
構造体において、該短繊維集合体中には、短繊維を構成
するポリエステルポリマーの融点より40℃以上低い融点
を有する熱可塑性エラストマーと、非弾性ポリエステル
からなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した弾性複
合繊維(コンジュゲート・ステープルファイバー)が分
散、混入され、その際該クッション構造体中には、 (A)該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに熱融
着により形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着
点、および (B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリエステル系短繊維
とが交叉した状態で熱融着により形成された準全方位的
可撓性熱固着点 とが散在し、かつ、隣り合う可撓性熱固着点の間
((A)−(A)間、(A)−(B)間、および(B)
−(B)間)に存在する弾性複合繊維群にあって、一部
の複合繊維には長手方向に沿って少なくとも1ケの紡錘
状の節部が存在することを特徴とするものである。
また、本発明による上記の新規クッション構造体の製
造方法は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と、該非弾
性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリエステルポ
リマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エ
ラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が繊
維表面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊維とを混綿
して、少なくとも30cm3/gの嵩性を有するウェッブを形
成することにより弾性複合繊維同士間、および該非弾性
ポリエステル系捲縮短繊維と弾性複合繊維との間に立体
的繊維交叉点を形成せしめた後、該ポリエステルポリマ
ーを融点より低く、そして該エラストマーの融点より10
〜80℃高い温度で熱処理して、これら繊維交叉点のうち
の少なくとも一部の繊維交叉点を熱融着させることを特
徴とするものである。
図面の簡単な説明 第1図(a)および(b)は、本発明のクッション構
造体の断面図であって、夫々第4図(a)および(b)
の電子顕微鏡写真(夫々70倍)から写したものであり、 第2図(a)、(b)および(c)は、本発明のクッ
ション構造体中に、特異な固着点として散在するアメー
バー状全方位的可撓性熱固着点および準全方位的可撓性
熱固着点の正面図であって、夫々第5図(a)、(b)
および(c)の電子顕微鏡写真(350倍)から写したも
のであり、 第3図は、クッション構造体の圧縮回復性を算出する
ために用いるグラフであり、 第4図(a)および(b)は、本発明のクッション構
造体の構造を示す電子顕微鏡写真であり、 第5図(a)、(b)および(c)は、本発明のクッ
ション構造体中に散在する可撓性熱固着点の電子顕微鏡
写真(いずれも350倍)である。
発明を実施するための最良の形態 本発明を具体的により詳細に説明する。第1図(a)
および(b)において、1はクッション構造体のマトリ
ックスとなる非弾性ポリエステル系捲縮短繊維、2は該
短繊維を構成するポリエステルポリマーの融点より40℃
以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと、非弾性
ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に
露出した弾性複合繊維であり、マトリックス中に分散混
入されている状態を示している。これらの図を通して、
特徴的なことは、クッション構造体中には、 (A)で示されるような、弾性複合繊維1同士が交
叉した状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着により
形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点、およ
び (B)で示されるような、弾性複合繊維2と、該非
弾性ポリエステル系短繊維1とが交叉した状態で、エラ
ストマー成分の熱融着により形成された準全方位的可撓
性熱固着点 とが散在すること(つまり、マトリックスとなる短繊維
同士の固着点は存在しない)、さらには 隣り合う可撓性熱固着点間((A)−(A)間、
(A)−(B)間、および(B)−(B)間)に存在す
る弾性複合繊維群にあって、それら一部の繊維には長手
方向に沿って少なくとも1ケの紡錘状の節部3が存在す
る ことである。
ここで、“全方位的可撓性熱固着点”とは、クッショ
ン構造体に荷重が加えられたとき、したがって該固着点
にも荷重が加えられたとき、この固着点が荷重の方向に
沿って自由自在に変形可能であり、かつ回復可能である
ような可撓性を有する熱固着点を意味する。そして、こ
の熱固着点は2つに分類され、一つは上記(A)で示さ
れるように、弾性複合繊維同士が交叉した状態で熱可塑
性エラストマー同士の熱融着により発生するアメーバー
状のもの、他の一つは(B)で示されるように弾性複合
繊維2中の熱可塑性エラストマー成分と非弾性ポリエス
テル系捲縮短繊維1とが、第2図(a)、(b)および
(c)に示すように45゜〜90゜の交叉角θで交叉した状
態で生じる熱固着点である。
ところで、マトリックス中に分散・混入された弾性複
合繊維2は確率的にこのもの同士、又は非弾性ポリエス
テル系捲縮短繊維1と交叉した状態をつくり、この状態
で熱融着処理されるとき、該弾性複合繊維2の長手方向
に沿って、3で示される紡錘状の節部が間歇的に発生す
ることが判明した。この節部3は弾性複合繊維2の一構
成成分である熱可塑性エラストマーが、溶融粘度、表面
張力の関係で繊維軸方向に移動して生じるものであっ
て、前記(A)、(B)の可撓性熱固着点が形成される
際に、それらの繊維交叉点には流動状態の熱可塑性エラ
ストマーが移動・凝集して、アメーバー状ないし準アメ
ーバー状の固着点が形成されるのである。つまり、
(A)のように、弾性複合繊維同士の熱融着によって生
じる熱固着点は、結局紡錘状の節部3同士の熱融着とな
るので、アメーバー状形状を呈するに至り、他方、
(B)の熱固着点の形成に際しては、前記紡錘状の節部
3は単独で非弾性捲縮短繊維1を固着するので、(A)
のアメーバー形状との比較においては、準アメーバー形
状のものということができる。第2(a)〜(c)図
は、このアメーバー状および準アメーバー状熱固着点の
電子顕微鏡写真(350倍)から写した正面図である。
前記の紡錘状の節部3が熱可塑性エラストマーの局所
的移動・凝集によって生じるという現象はクッション構
造体中における可撓性熱固着点(A)、(B)の形成確
率がそれだけ増加することを意味する。勿論、融着に関
与しなかった紡錘状の節部3はそのまま残り、結果的に
は熱固着点(A)−(A)、(A)−(B)および
(B)−(B)の間は、紡錘状の節部を一部残した弾性
複合繊維により連結されることがある。
上記のように可撓性熱固着点を形成するに際しては、
クッション構造体自身の密度を関係してくる。この密度
が0.10g/cm3よりも高くなると、繊維密度が過度に高く
なり熱可塑性エラストマー同士が過密に相互融着しやす
くなる。したがって、このような構造のものは厚み方向
の弾力性が著しく低下し、通気性も極度に小さくなり、
また蒸れやすくなり、最早クッション構造体として供し
得なくなる。
一方、この密度が0.005g/cm3未満になると、このよう
な構造体では反撥性が乏しくなり、マトリックスとなる
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維の構成本数が少なくな
る。その結果、該構造体に荷重が加えられると一本一本
の繊維に歪や応力がかかり過ぎて、構造体そのものが変
形し易く耐久性もなくなるので、クッション構造体とし
て供し得ない。
この点、特開昭58−197312号公報や特開昭52−85575
号公報では、大部分の弾性複合繊維同士を実質的に断面
方向から観て平行状態で互いに相互融着させることが推
奨されている。しかし、本発明においてはこのような事
態は絶対に避けるべきである。
ここで、本発明のクッション構造体を、従来のクッシ
ョン構造体と比較すると、両者の間には次のような顕著
な差異がある。
従来品においては、例えばマトリックスを構成する非
弾性捲縮短繊維同士の交叉点のみが非繊維である樹脂、
あるいは溶液型の架橋性ウレタンで固着されるのに対し
て、本発明のクッション構造体においては、マトリック
スを構成する捲縮短繊維同士の交叉点には固着点が形成
されることはなく、該固着点は弾性複合繊維同士の交叉
点および弾性複合繊維とマトリックスを構成する捲縮短
繊維との交叉点においてのみ弾性複合繊維中の熱可塑性
エラストマーの熱融着により形成される。さらに、低融
点非弾性ポリマーを融着成分とする複合繊維をバインダ
ーとして用いたクッション構造体においては、熱固着点
は点接着的形状に近く、本発明のようなアメーバー状の
形をとることはない。しかもこの固着点は非可撓性であ
り、これら固着点間に存在するバインダー繊維自身にも
紡錘状の節部を有することなく、また変形からの回復性
に乏しいものである。本発明のそれは、全方位的な可撓
性を呈するものであり、かつこれらの可撓性固着点間は
変形回復性に富んだ弾性複合繊維によって連結されてい
る。
以上のことから、本発明のクッション構造体中には、
全方位的可撓性を呈する熱固着点(A)および(B)、
さらにはこれらの熱固着点を連絡する弾性複合繊維が存
在し三次元的弾性構造をなしているので、圧縮反撥性並
びに圧縮回復性に優れたクッション構造体が実現される
ことになる。
ここで、本発明の全方位的可撓性熱固着点(A)の特
徴について触れておく。
該点は複合繊維中の熱可塑性エラストマーの移動・凝
集によって生じるものであるので、繊維の交叉点を広範
囲に覆い、かつその表面は平滑である。また、繊維の交
叉点外周では双曲線のような曲面を呈する、したがっ
て、 (i) 応力集中がない。
(ii) 強度、伸度は著しく向上するので繰り返し圧縮
に対しても破壊されることがない。
(iii) 圧縮に対して変形し難い(変形に対する反撥
が強い)。
(iv) 一旦変形されたときは、どの方向にも(全方位
的に)変形し易い。
(v) また、如何なる方向からの変形に対しても、円
滑に回復し易い。
(iv) 隣り合う熱固着点は互いに弾性複合繊維で連絡
されているので、熱固着点が変位しても元の位置に戻り
易い。
一方、準全方位的可撓性熱固着点(B)も、その程度
は、(A)の熱固着点に比べて劣るものの同様の傾向を
示すことは容易に理解されるところである。
次に、本発明のクッション構造体に付随する要件につ
いて述べる。
先ず、アメーバー状全方位的可撓性熱固着点は、W/D
が2.0〜4.0の範囲にあることが好ましい。ここにWは熱
固着点の巾であって、第2図に示されるように、W1とW2
の平均値である。Dは熱固着に関与する弾性複合繊維の
平均直径であり、各直径は第2図に示すように固着点の
根元に隣接する部分の直径(d1、d2、d3およびd4)であ
る。また、これら熱固着点の間に位置する弾性複合繊維
には、少なくとも10-2cmの間隔で紡錘状の節部3が存在
する場合が多い。さらにこれら熱固着点の間に位置する
弾性複合繊維は第1図(A)および(B)に見られるよ
うに、ループ状に弯曲した形4で、あるいは時としてコ
イル状弾性捲縮を発現した形で存在することがある。
本発明における全方位的ないし準全方位的可撓性熱固
着点(以下、両者を総称して単に“熱固着点”と呼ぶこ
とがある)は、クッション構造体に荷重(圧縮力)が加
わった際の応力、歪に呼応して自在に変形して、これら
応力、歪を分散させることによって、マトリックスを構
成する捲縮短繊維に加わる応力・歪を軽減する機能を有
するものであるから、該熱固着点の物性も見落とすわけ
にはいかない。これらの物性としては、後で定義する破
断強度、破断伸度および10%伸長弾性回復率が挙げられ
る。破断強度としては、0.3g/de〜5.0g/deの範囲にある
ことが好ましい。この破断強度が0.3g/de未満ではクッ
ション構造体に圧縮の大変形(例えば初期の厚みの75%
等)が加わった場合、熱固着点が破壊され易くなって、
耐久性、形態安定性が低下する懸念がある。
一方、熱固着点の強度が5g/deを越える場合は、かな
りの高温での融着加工となり、その結果マトリックスを
構成する捲縮短繊維自体の物性が劣化する。
破断伸度については、15〜200%の範囲にあることが
好ましい。破断伸度が15%未満では、クッション構造体
に圧縮による大変形が加わった場合、これら熱固着点に
はさらに大きな変位やズレが生じるばかりか、交叉角θ
も変形限界を越えて変化して、結局固着点は破壊され易
くなってしまう。
一方、この伸度が100%を越えると同様の変位が加わ
った際に熱固着点のズレが起こり易く、このため耐久性
も低下するおそれがある。
さらに、10%伸長弾性回復率については、80%以上、
特に80〜95%の範囲にあることが好ましい。この10%伸
長弾性率が80%未満では熱固着点に応力や変位が生じた
際に、変形に対する回復性が低下して、繰返し圧縮に対
する耐久性や寸法安定性が悪くなるおそれがある。
本発明において、マトリックスを構成する非弾性ポリ
エステル系捲縮短繊維は、通常のポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレー
ト、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレー
ト、ポリピバロラクトンまたはこれらの共重合エステル
からなる短繊維ないしそれら繊維の混綿体、または上記
のポリマー成分のうちの2種以上からなる複合繊維等で
ある。単繊維の断面形状は、円形、偏平、異型または中
空のいずれであってもよい。また、その単繊維の太さは
2〜500デニール、特に6〜300デニールの範囲にあるこ
とが好ましい。この単繊維の太さが小さいと、クッショ
ン構造体の密度が高くなって構造体自身の弾力性が低下
する場合が多い。また、単繊維の太さが大きすぎると、
取扱い性、特にウェップの形成性が悪化する。また構成
本数も少なくなりすぎて、弾性複合繊維との間に形成さ
れる交叉点の数が少なくなり、クッション構造体の弾力
性が発現しにくくなると同時に耐久性も低下するおそれ
がある。更には風合も粗硬になりすぎる。
一方、本発明で重要な役割を果す熱固着点を形成する
ために用いられる弾性複合繊維は、熱可塑性エラストマ
ーと非弾性ポリエステルとで形成される。その際、前者
が繊維表面の少なくとも1/2を占めるものが好ましい。
重量割合でいえば、前者と後者が複合比率で30/70〜70/
30の範囲にあるのが適当である。弾性複合繊維の形態と
しては、サイド・バイ・サイド、シース・コア型のいず
れであってもよいが、好ましいのは後者である。このシ
ース・コア型においては、勿論非弾性ポリエステルがコ
アとなるが、このコアは同心円状あるいは偏心状にあっ
てもよい。特に偏心型のものにあっては、コイル状弾性
捲縮が発現するので、より好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラ
ストマーやポリエステル系エラストマーが好ましい。
ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500
〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポ
リエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシ
ポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等
と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,
p′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化
ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500
以下の鎖伸長剤、例えばグリコール、アミノアルコール
あるいはトリオールとの反応により得られるポリマーで
ある。これらのポリマーのうち、特に好ましいものはポ
リオールとしてポリテトラメチレングリコール、または
ポリ−ε−カプロラクトンあるいはポリブチレンアジペ
ートを用いたポリウレタンである。この場合、有機ジイ
ソシアネートとしてはp,p′−ジフェニルメタンジイソ
シアネートが好適である。また、鎖伸長剤としては、p,
p′−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタ
ンジオールが好適である。
一方、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑
性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共
重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体、
より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7
−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、
ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク
酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ
酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらの
エステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の
少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレング
リコール、トリメチレングリコール、テトラメチレング
リコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレング
リコール等の脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオー
ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ば
れたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量
が約400〜5000程度の、ポリエチレングリコール、ポリ
(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、
ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレン
オキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エトレン
オキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ
(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも1
種から構成される三元共重合体である。
しかしながら、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維との
接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポリブチレン
系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシ
ブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック
共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。この場
合、ハードセグメントを構成するポリエステル成分は、
主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブ
チレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレー
トである。勿論、この酸成分の一部(通常30モル%以
下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で
置換されていてもよく、同時にグリコール成分の一部
(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外の
ジオキシ成分で置換されていてもよい。
また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分
は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換され
たポリエーテルであってもよい。なお、ポリマー中に
は、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、
着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合され
ていてもよい。
このポリエステル系エラストマーの重合度は、固有粘
度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5の範囲にあることが好まし
い。この固有粘度が低すぎると、マトリックスを構成す
る非弾性ポリエステル系捲縮短繊維とで形成される熱固
着点が破壊され易くなる。一方、この粘度が高すぎる
と、熱融着時に紡錘状の節部が形成されにくくなる。
熱可塑性エラストマーの基本的特性としては、後で定
義する破断伸度が500%以上が好ましく、更に好ましく
は800%以上である。この伸度が低すぎると、クッショ
ン構造体が圧縮されその変形が熱固着点におよんだと
き、この部分の結合が破壊され易くなる。
一方、熱可塑性エラストマーの300%の伸長応力は0.8
kg/mm2以下が好ましく、更に好ましくは0.6kg/mm2以下
である。この応力が大きすぎると、熱固着点が、クッシ
ョン構造体に加わる力を分散しにくくなり、クッション
構造体が圧縮されたとき、その力で該熱固着点が破壊さ
れるおそれがあるか、あるいは破壊されない場合でもマ
トリックスを構成する非弾性ポリエステル系捲縮短繊維
までを歪ませたり、捲縮をへたらしてしまうことがあ
る。
また、熱可塑性エラストマーの300%伸長回復率は60
%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上である。
この伸長回復率が低いと、クッション構造体が圧縮され
て熱固着点は変形しても、もとの状態に戻りにくくなる
おそれがある。
これらの熱可塑性エラストマーは、該非弾性ポリエス
テル系捲縮短繊維を構成するポリマーよりも低融点であ
り、かつ熱固着点の形成のための融着処理時に該捲縮短
繊維の捲縮を熱的にへたらせないものであることが必要
である。この意味から、その融点は該短繊維を構成する
ポリマーの融点より40℃以上、特に60℃以上低いことが
好ましい。かかる熱可塑性エラストマーの融点は例えば
130〜220℃の範囲の温度であることができる。
この融点差が40℃より少ないと、以下に述べる融着加
工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、非弾性ポリエステ
ル系捲縮短繊維の捲縮のへたりを惹起し、また該捲縮短
繊維の力学的特性を低下させてしまう。なお、熱可塑性
エラストマーについて、その融点が明確に観察されない
ときは、融点を軟化点をもって代替する。
一方、上記の熱可塑性エラストマーの相手方成分とし
て用いられる非弾性ポリエステルとしては、既に述べた
ような、マトリックスを形成する捲縮短繊維を構成する
ポリエステルポリマーが採用されるが、そのなかでも、
ポリブチレンテレフタレートがより好ましく採用され
る。
上述の複合繊維は、クッション構造体の重量を基準と
して、10〜70%、好ましくは20〜60%の範囲で分散・混
入される。この分散・混入率が低すぎると、熱固着点の
数が少なくなり、クッション構造体が変形し易くなった
り、弾力性、反撥性および耐久性が低いものになりかね
ない。
一方、この分散・混入率が高すぎると、反撥性を与え
る非弾性ポリエステル系捲縮短繊維の構成本数があまり
にも少なくなり、構造体としての反撥性が不足してく
る。
また、クッション構造体は、厚み方向に圧縮されて反
撥する材料であるから、その性能を発揮するには、少な
くとも5mm以上、好ましくは10mm以上、更に好ましくは2
0mm以上の厚みを有していることが好ましい。このよう
に、厚みは通常5〜30mm程度であるが、ある場合には約
1〜2mに達する場合もある。
本発明のクッション構造体の製造に際しては、非弾性
ポリエステル系捲縮短繊維と、該非弾性ポリエステル系
捲縮短繊維を構成するポリエステルポリマーの融点より
40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾
性ポリエステルとからなり、前者が繊維表面の少なくと
も1/2を占める弾性複合繊維とを混綿して、少なくとも3
0cm3/gの嵩性を有するウェッブを形成することにより、
複合繊維同士間、および該非弾性ポリエステル系捲縮短
繊維と複合繊維間に立体的に繊維交叉点を形成せしめた
後、該エラストマーの融点より10〜80℃高い温度で熱処
理して、繊維交絡点の少なくとも一部を熱融着させる。
更に詳しくは、捲縮が付与され、50cm3/g、好ましく
は80cm3/gの嵩高性を有する非弾性ポリエステル系短繊
維塊(ないしウェッブ)と、好ましくは捲縮を発現した
弾性複合繊維塊とをカードを通して両者が均一に混綿さ
れたウェッブを得る。このような混綿により、ウェッブ
には弾性複合繊維同士、および該複合繊維と非弾性ポリ
エステル系捲縮短繊維間には無数の繊維交叉点が形成さ
れる。次に、このようなウェッブを所定の密度になるよ
うに金型に入れ、ポリエステルポリマーの融点よりも低
くそして弾性複合繊維中の熱可塑性エラストマーの融点
(または流動開始点)より10〜80℃高い温度で融着処理
することにより、上記繊維交叉点でエラストマー成分が
融着され、既に述べた(A)のアメーバー状全方位的可
撓性熱固着点および(B)の準全方位的可撓性熱固着点
を形成するものである。
ここで、立体的な繊維交叉点とは、文字通り、ウェッ
ブの厚み方向と平行な面に対して90゜未満の角度で存在
する交叉点のことである。勿論、このウェッブにおいて
は、ウェッブの水平面と平行な面にも多数の繊維交叉点
が同時に生じる。しかし、これらはクッション構造体に
比べて密度がはるかに高い人工皮革のような集合体(例
えば不織布)にむしろ特徴的に見られる。この点、本発
明の方法にあっては、上記の平面的繊維交叉点に加え
て、ウェッブ密度を30cm3/g以上とすることにより、立
体的繊維交叉点を形成させる点に特徴がある。そして、
熱融着処理後に0.1g/cm3以下のクッション構造体が形成
されたときにも、この立体的繊維交叉点の大半は維持さ
れている。
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維、弾性複合繊維は公
知の紡糸法によって得ることができる。その際、用いる
ポリマー、単繊維太さ、両者の混合比率等については、
既に説明したとおりである。唯、双方の繊維共、紡出後
1.5倍以上延伸されていることが好ましい。延伸された
繊維により構成したクッション構造体は、延伸されてい
ない繊維を用いたクッション構造体に比べて反撥性に優
れ、へたりもすくない。この理由としては、延伸をうけ
短繊維化され弛緩状態になる過程で非晶部の緩和が起り
非晶部がランダム化し、より弾性の優れた繊維構造にな
り、それが溶融固化後も維持されやすいためと推察され
る。また、弾性複合繊維は熱収縮が低い方がよい。熱収
縮が高いと、熱融着時に熱可塑性エラストマーが溶融す
るまでに著しく収縮してしまい、繊維交叉点のうち熱固
着点に転化される数が減少する。弾性複合繊維の熱収縮
を低下させるいは、延伸後に40〜120℃の温度で20秒以
上熱処理すればよい。
短繊維に付与する捲縮は、押込捲縮で十分である。そ
の場合の捲縮数としては5〜15ケ/inch(JIS L1045によ
り測定)が好ましく、8〜12ケ/inch(同)がより好ま
しい。しかしながら、夫々の繊維の紡出時に異方冷却等
の手段により繊維構造に異方性を与えて潜在捲縮能を付
与してから、更に押込捲縮を施すことも有用である。
実施例 本発明を、更に実施例により説明する。
実施例中下記の測定が行なわれた。
熱固着点の破断強度および破断伸度の測定 クッション構造体において、2本の繊維が45゜〜90゜
の交叉角で交叉し、かつ交叉点が固着された部分を異な
る2本の繊維を含むようにしてサンプリングを行う。次
に、熱固着点をぼほ中央にし互いに固着してつながった
該2本の異なる繊維を試料長2mmの間隔で引張り試験機
のつかみ部に取り付け2mm/分のスピードで引張り、初荷
重0.3gをかけた時の伸びを緩みとして読み、さらに試料
を引張り、試料の固着点が破壊するまでの最大荷重
(g)およびそのときの伸びを測定し、次式により熱固
着点の破断強度および破断伸度を算出した。破断強度を
算出する試験回数は、ランダムにサンプリングされた固
着点(A)を10個、および固着点(B)を10個とで試料
数n=20とし、その平均値で表わす。((A):(B)
の個数1:1) E1;緩み(mm) E2;最大応力時の伸び(mm) L;つかみ間隔(mm) 熱固着点の10%伸長弾性回復率の測定 熱固着点の破断強力、破断伸度の測定の場合と同じよ
うにサンプリング、サンプルを取付けを行い、初荷重0.
3gをかけた所をL0の試長とし引張りを2mm/分でスタート
する。試長に対し10%伸度になるまで引張り後、直ちに
同じスピードで除重し、除重した状態で2分間放置後再
び同じスピードで引張る。最初の0.3gの初荷重のかかっ
た試長と、再度引張り0.3gの荷重のかかった時の試長の
差l(mm)から次式により10%伸長弾性回復率を求め
た。試験回数およびサンプリングは前記の破断強度の測
定の場合と同様とする。
l0;10%伸長長さ(mm)=L0×0.1 l;残留伸び(mm) (最初の0.3g初荷重をかけた時の試長−2回目の0.3g荷
重のかかった時の試長) クッション材の厚みと密度の測定 平板状に調整されたクッション構造体の目付(g/m2
を測定し、0.5g/cm2の荷重下での厚み(cm)を測定し密
度(g/cm3)を算出した。
ポリエステル弾性体の固有粘度の測定 ポリエステル弾性体をフェノールとテトラクロルエタ
ンとの等重量混合溶剤を用いて、35℃で極限粘度を測定
した。
ウェッブの嵩性の測定 短繊維をウェッブ化し重ね合わせて目付を1000g/m2
して切り出したサンプルに10g/cm2の荷重を1分間か
け、解放1分後に0.5g/cm2の荷重下で厚みを測定し嵩性
(cm3/g)を算出した。
熱可塑性ポリマーの物性の測定 (1)測定用フィルムの作成 ポリマーを300℃の窒素雰囲気中で溶融し、脱泡後100
℃でクリアランスが0.5mmに設定された1組の金属ロー
ラ間を20m/minで通して圧延し、厚み約0.5mmのフィルム
を得た。そのフィルムから縦方向に5mmの幅で長さが50m
mのサンプルを打抜いて熱可塑性ポリマーの物性測定用
フィルムとした。
(2)破断伸度の測定 物性測定用フィルムを試長50mmとし、引張スピードを
50mm/minとして破断伸度を測定した。
(3)300%伸長応力の測定 物性測定用フィルムと試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/minとして300%引張り、その時の応力をサンプ
ルの初期の断面積(厚み×幅)で割り、算出した値を30
0%、伸長応力(kg/mm2)とした。
(4)300%伸長回復率の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/minとして300%引張り、その後、スピード50mm/
minで元の零点に戻し2分間放置後に再び引張スピード5
0mm/minで引張った。初期の応力の立上りと放置後の立
上り(2g応力)から試料の緩み長さ(mm)を求め、伸長
量150mmに対する比率(%)を(1−緩み長さ/150)×1
00(%)により算出し、300%伸長回復率とした。
(5)融点 Du Pont社製、熱示差分析計990型を使用し、昇温速度
20℃/分で測定し、誘拐ピーク温度を求めた。
(6)軟化点 微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、約3gのポ
リマーを2枚のカバーガラスの間に挟み、ピンセットで
軽く抑えながら、昇温速度約10℃/分で昇温し、ポリマ
ーの熱変化を観察する。その際ポリマーが軟化して流動
し始めた温度を、軟化点とする。
クッション材の圧縮反撥性と圧縮耐久性の測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3、厚み5cmのクッ
ション構造体を断面積20cm2の平坦な下面を有する円柱
ロッドで1cm圧縮しその応力(初期応力)を測定し、こ
れを圧縮反撥性とした。測定後に800g/cm2の荷重で10秒
間圧縮したのち除重して5秒間放置の操作を360回繰り
返し、24時間後再び圧縮応力を測定した。この初期応力
に対する繰り返し圧縮後の応力の比率%をクッション材
の圧縮耐久性とした。
クッション構造体の圧縮回復性の測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3、厚み5cmのクッ
ション構造体を断面積20cm2の平坦な下面を有する円柱
ロッドで500g/cm2の荷重になるまで100mm/分スピードで
圧縮した後、直ちに100mm/分のスピードで除重し、この
測定によって描き出された圧縮長−応力の曲線(第3
図)から得られる面積より圧縮回復性(Rc)を算出し
た。
実施例1 テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で
混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得ら
れたポリブチレン系テレフタレート38%(重量%)を更
にポリブチレングリコール(分子量2000)62%(重量
%)と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリ
エステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマ
ーの固有粘度は1.0、融点155℃、フィルムでの破断伸度
は1500%、300%伸長応力は0.3kg/mm2、300%伸長回復
率は75%であった。
この熱可塑性エラストマーをシースに、ポリブチレン
テレフタレートをコアに、コア/シースの重量比で50/5
0になるように常法により紡糸した。なお、この複合繊
維は、偏心シース・コア型複合繊維である。この繊維を
2.0倍に延伸し64mmに切断した後95℃の温水で熱処理
し、低収縮化と捲縮発現をさせ乾燥後、油剤を付与し
た。なお、ここで得られた弾性複合繊維の単繊維の太さ
は6デニールであった。
この弾性複合繊維40%(重量)と、常法により得られ
た単繊維の太さが14デニール、繊維長が64mm、捲縮数が
9ケ/inchの中空断面ポリエチレンテレフタレート短繊
維(ウェッブ嵩120cm3/g、ポリエチレンテレフタレート
の融点259℃)60%(重量)とをカードにより混綿し、
嵩性が70cm3/gのウェッブを得た。このウェッブを重
ね、厚み5cm、密度0.035g/cm3になるように平板型の金
型に入れ、200℃で10分間熱処理して、平板型のクッシ
ョン材を得た(熱可塑性エラストマーは、クッション構
造体中で(20重量%)を占める。
このクッション構造体を電子顕微鏡で詳しく観察した
ところ、第4図および第5図に示される構造を呈してお
り、弾性複合繊維同士の交叉点が熱可塑性エラストマー
により融着一体化されてアメーバー状の熱固着点が散在
状態で形成されていること(第1図および第2図)、さ
らに非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と弾性複合繊維と
の交叉点が同様に熱可塑性エラストマーにより融着一体
化されて熱固着部(第1図、および第2図(c))が散
在状態で形成されていることが観察された。(A)の熱
固着点のW/D(n=10)は3.20であった。また、(A)
および(B)を含めた熱固着点の破断強度は1g/deで破
断伸度は62%、10%伸張弾性率は92%であった。そし
て、クッション構造体の密度は0.035g/cm3と低く、弾性
複合繊維同士が立体的に緊密に相互融着している部分が
相当数見受けられた。さらに、第1図〜第2図に示すよ
うな節部3も多数見受けられた。
従って、クッション構造体の通気性は非常に優れてい
た。また、このクッション構造体は、ウレタンフォーム
に見られるような圧縮に対する初期の硬さもなく、クッ
ション性に優れていた。さらに圧縮反撥性および圧縮耐
久性は夫々4kgおよびも60%といずれも高く、また圧縮
回復性は72%までに改善されており、極めて理想的なク
ッション構造体であった。
参考例 テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40(モル%)で
混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレング
リコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分
とから共重合ポリエステルを得た。このポリマーの固有
粘度は0.8であった。融点は明確でないが、100℃付近か
ら軟化して流動し始めたので、この110℃をもって軟化
点とした。このフィルムの強度は実施例1と同程度であ
ったが破断伸度は5%と低く硬いポリマーであった。
このポリマーを複合繊維のシース成分として用いるこ
とと熱処理温度を150℃とすること以外は、実施例1と
同じ方法でクッション構造体を得た。得られたクッショ
ン構造体の結合形態を電子顕微鏡で観察したところ、本
発明でいうアメーバー状の熱固着点程のものは見受けら
れず、また紡錘状の節部も認めることはできなかった。
因みに、(A)の熱固着点のW/Dは1.8であった。また
(A)および(B)を含めた熱固着点の破断強度は0.3g
/de、破断伸度は4%であった。従って熱固着点の10%
伸張弾性率は測定不可能であった。
このクッション構造体のクッション性は悪く、初回の
圧縮反撥性は6kgと高かったが、2回目以降の圧縮で
は、圧縮反撥性が大巾に低下した。実際に、圧縮耐久性
および圧縮回復性を調べてみると、夫々20%および50%
であり、耐久性に極めて問題のあるクッション構造体で
あった。
比較例1〜2 密度を0.12g/cm3になるようにウェッブを金型にいれ
て、熱処理する以外は実施例1と同様にして得た構造体
は、ルーズな紙の密度に相当する程に密着が高すぎるた
めに、弾性複合繊維同士が構造体内部で立体的結合状態
をとり得ず、実質的に平行状態で相互が融着して緊密化
し、また表面も緻密化を始めているため非常に重量感が
あった。また、圧縮に対しても非常に硬く、樹脂の固ま
りの様相を呈しクッション構造体としては到底供し得な
かった。
また、ウェッブ密度を0.004g/cm3になるようにウェッ
ブを金型にいれて、熱処理したものは、反撥性が極めて
低く、均一な構造とならず、得られた構造体は圧縮反撥
力が0.2kgと著しく低いものであった。
比較例3〜4 実施例1での熱処理温度を160℃とした場合、得られ
たクッション構造体は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊
維の交叉部に熱可塑性エラストマーが集まらず、かろう
じて熱融着しているだけで、アメーバー状の形態をとっ
ていなかった。そして、この熱固着点の強度は0.1g/de
で、この熱固着点ははずれやすく、クッション構造体の
圧縮耐久性も34%と低かった。また、熱処理温度を238
℃とした場合は、熱可塑性エラストマーが黄変して弾性
がなく、構造体は圧縮に対する反撥がなく、圧縮耐久性
および圧縮回復性も、夫々38%および55%と低かった。
実施例2 脱水された水酸基化価が102のポリメチレングリコー
ルと1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとをジ
ャケット付きルーダーで攪拌しながら混合溶解したの
ち、85℃でp,p′−ジフェニルメタンジイソシアネート
を加えて反応させ粉末状熱可塑性ポリウレタンエラスト
マー(軟化点:151℃)を得、これを押出機によりペレッ
ト化した。この熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを
シースに、ポリブチレンテレフタレートをコアに用い
て、弾性複合繊維(重量比50/50)を得、実施例1とほ
ぼ同様にしてクッション構造体を得た。
得られたクッション構造体は、形態的には、複合繊維
同士、更には非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と複合繊
維との交叉点がポリウレタンエラストマーにより融着一
体化されており、密度0.035g/cm3であり、通気性も高い
ものであった。(A)の熱固着点のW/Dは2.8であった。
また、(A)および(B)を含めた熱固着点の破断強度
は0.6g/de、破断伸度は15%、10%伸張弾性回復率は95
%と高かった。
このクッション構造体は圧縮に対してソフトで容易に
圧縮され、圧縮反撥性、2.5kgで、やや低目であった。
一方、圧縮耐久性および圧縮回復性は、夫々49%および
65%と高くクッション構造体として有用なものであっ
た。
比較例5 実施例1で用いた単繊維の太さが14デニール、繊維長
64mmの中空断面ポリエチレンテレフタレート短繊維をカ
ードによりウェッブ化した。一方、バインダー溶液とし
てウレタンプレポリマー(三井日曹ウレタンMN3050とT
−80により合成したNCO%=5%)にシリコン整泡剤を
0.2%加えた。40重量%濃度のトリクレン溶液に該ウェ
ッブを浸漬した後、遠心脱水機に投入し、乾燥後ウレタ
ン付着率が30%になるように脱液した。
その後、穴あき平板プレート金型内に含浸処理したウ
ェッブを詰め込んだ状態で100℃の水蒸気を吹き込んで
上記ウレタンバインダーを硬化させ、さらに120℃で乾
燥後、繊維構造体を取出した。
この構造体の密度は0.035g/cm3であった。しかし、該
構造体の電子顕微鏡で観察したところ、非弾性捲縮短繊
維同士の交叉点がウレタン樹脂で固着されてはいたが、
固着部間にあっては樹脂付着量のムラが大きく、しかも
ウレタン樹脂部は発泡状態にあり、穴が見受けられた。
この固着点の強度は0.2g/deと低く、伸度は14%であっ
た。また、固着点の10%伸張弾性率は78%であった。
このクッション構造体の圧縮耐久性は45%とやや低
く、圧縮回復率も60%とやや低く、耐久性に問題のある
クッション構造体であった。
産業上の利用分野 本発明のクッション構造体は、発泡ウレタンフォーム
に比べて圧縮における初期の硬さがなく、反撥性が大き
く、かつ圧縮量にほぼ比例して大きくなるため底突き感
が極めて少ない。しかも、構造体自体が低密度であるた
め、通気性が高く蒸れる心配もない。
また、繰り返し圧縮に対する耐久性に関しても、熱固
着点が破壊されにくく、変形した場合でも除重後原形に
戻り易く、その圧縮耐久性も優れている。
一方、この構造体の製造に際しては、短繊維のウェッ
ブを乾熱処理するだけの簡単で短い工程で均一なクッシ
ョン構造体が得られ、しかも構造体において、部分的に
硬さを変えたり、厚み方向の硬さを変えることも繊維の
混率や繊維の構成あるいは、密度を変えることによって
簡単にできる。
従って、本発明のクッション構造体は、クッション
性、反撥性、耐久性および回復性に優れ、しかも通気性
が高いので蒸れにくいという特徴がある。また、製造に
際しても、加工のムラが出来にくく、加工での多様化も
図りやすく、しかも短い工程で製造できる。したがっ
て、この構造体の利用範囲は、各種のクッション材、例
えば家具、ベッド、寝具、各種座席のクッション材用と
して好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−197312(JP,A) 特開 昭62−177269(JP,A)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体を
    マトリックスとし、密度が0.005〜0.10g/cm3、厚さが5m
    m以上であるクッション構造体において、該短繊維集合
    体中には、短繊維を構成するポリエステルポリマーの融
    点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマー
    と、非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも
    繊維表面に露出した弾性複合繊維が分散・混入され、そ
    の際、該クッション構造体中には、 (A)該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに熱融
    着により形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着
    点、および (B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリエステル系短繊維
    とが交叉した状態で熱融着により形成された準全方位的
    可撓性熱固着点 とが散在し、かつ隣り合う可撓性熱固着点の間((A)
    −(A)間、(A)−(B)間および(B)−(B)
    間)に存在する複合繊維群にあって、一部の複合繊維に
    は長手方向に沿って少なくとも1ケの紡錘状の節部が存
    在することを特徴とするクッション構造体。
  2. 【請求項2】アメーバー状全方位的可撓性熱固着点の融
    着状態が、2.0<W/D<4.0を満足する、請求の範囲第1
    項記載のクッション構造体。 ここで、Wは、熱固着点の巾 Dは、熱固着点に関与する繊維の平均直径である。
  3. 【請求項3】隣り合う可撓性熱固着点((A)−
    (A)、(A)−(B)、および(B)−(B))の間
    に存在する複合繊維がコイル状弾性捲縮および/または
    弾性ループを発現した形で存在する、請求の範囲第1項
    記載のクッション構造体。
  4. 【請求項4】可撓性熱固着点の破断強度が0.3〜5.0g/de
    である、請求の範囲第1項記載のクッション構造体。
  5. 【請求項5】可撓性熱固着点の破断伸度が15〜200%で
    ある、請求の範囲第1項記載のクッション構造体。
  6. 【請求項6】可撓性熱固着点の、10%伸長弾性回復率が
    80%以上である、請求の範囲第1項記載のクッション構
    造体。
  7. 【請求項7】非弾性ポリエステル系捲縮短繊維がポリエ
    チレンテレフタレート系短繊維を含む、請求の範囲第1
    項記載のクッション構造体。
  8. 【請求項8】弾性複合繊維中の熱可塑性エラストマーが
    繊維表面の少なくとも1/2を占める、請求の範囲第1項
    記載のクッション構造体。
  9. 【請求項9】弾性複合繊維が、シース・コアタイプであ
    る、請求の範囲第1項記載のクッション構造体。
  10. 【請求項10】クッション構造体における弾性複合繊維
    の占める割合が、20〜60重量%である請求の範囲第1項
    記載のクッション構造体。
  11. 【請求項11】密度が0.01〜0.08g/cm3である、請求の
    範囲第1項記載のクッション構造体。
  12. 【請求項12】非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と、該
    非弾性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリエステ
    ルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑
    性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者
    が繊維表面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊維とを
    混綿して、少なくとも30cm3/gの嵩性を有するウェップ
    を形成することにより複合繊維同士間、および該非弾性
    ポリエステル系捲縮短繊維と複合繊維との間に立体的な
    繊維交叉点を形成せしめた後、該ポリエステルポリマー
    の融点よりも低くそして該エラストマーの融点より10〜
    80℃高い温度で熱処理して、これら繊維交絡点のうちの
    少なくとも一部の繊維交絡点を熱融着させることを特徴
    とするクッション構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】非弾性ポリエステル系捲縮短繊維がポリ
    エチレンテレフタレート系捲縮短繊維を含む、請求の範
    囲第12項記載のクッション構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】熱可塑性エラストマーの破断伸度が500
    %以上、300%伸長応力が0.8kg/mm2以下、300%伸長回
    復率が60%以上である、請求の範囲第12項記載のクッシ
    ョン構造体の製造方法。
  15. 【請求項15】熱可塑性エラストマーが繊維表面の1/2
    以上を占める複合繊維を分散・混入する、請求の範囲第
    12項記載のクッション構造体の製造方法。
  16. 【請求項16】弾性複合繊維が、シース・コアタイプで
    ある、請求の範囲第12項または15項記載のクッション構
    造体の製造方法。
  17. 【請求項17】混綿後のウェップ中に占める弾性複合繊
    維の割合が20〜60重量%である、請求の範囲第12項記載
    のクッション構造体の製造方法。
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