JP2546441Y2 - 搬送車上のコンベヤのフローティング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、搬送物を移載する場所
からずれて搬送車が停止したとき、そのずれを吸収して
搬送物の移載が行なわれるようにするための装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から、搬送物を積載するコンベヤを
具えた搬送車がある。この搬送車は、搬送物の移載が行
なわれる場所に正確に停止しないと移載が円滑に行なわ
れないという問題点を有している。

【０００３】そこで、このような問題点に対処するもの
として次の手段がある。第１に、実開平３−３７５０７
号公報に記載の位置決め装置（図示省略）がある。この
装置は、搬送物の移載が行なわれる床に設置された円錐
状の突起に搬送車の車体の下方からラッパ状の凹部を突
出させてはめ込み、搬送車の位置決めを行なうようにな
っている。第２に、特開昭６０−３５６５３号公報に記
載の装置（図示省略）がある。この装置は、コンベヤを
搬送車の車体に移動可能に設け、移載位置に対する搬送
車の停止位置のずれをセンサーによって検知し、コンベ
ヤをシリンダによって移動させ、ずれを修正するように
なっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、第１の位置
決め装置は、床に突起が設置されているため作業上邪魔
になるとともに、構造が複雑であるという問題点を有し
ている。又、第２の装置は、コンベヤの位置を直ちに修
正することができないとともに、構造が複雑であるとい
う間題点を有している。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、両側に搬送物
の案内をする搬送物ガイドを具えた移載コンベヤを有す
る搬送車において、前記搬送物ガイドの端部に水平方向
で且つ前記コンベヤから離れる方向に傾けて形成され前
記コンベヤ上へ押動移載される搬送物が押接して該コン
ベヤを該コンベヤの移載方向と交差する方向に押動させ
前記搬送物との移載方向のずれを吸収する搬送物受入片
と、前記コンベヤの移載方向と交差する方向に前記コン
ベヤを移動可能に支持する移動案内手段と、前記コンベ
ヤの両側から前記交差する方向で且つ互いに逆向きに付
勢し前記コンベヤを常時搬送車上の所定位置に復帰付勢
する一対の弾性体と、前記コンベヤを搬送車上の前記所
定位置に係合保持する係脱可能なロック機構と、を有す
る装置により、前記の課題を解決した。

【０００６】

【作用】搬送車は搬送物に対してずれて停止したとす
る。搬送物は、搬送車上の所定位置にある移載コンベヤ
上に送り込まれる。このとき、搬送物と移載コンベヤと
の移載方向にずれが生じていたとすると、搬送物が該コ
ンベヤの搬送物受入片に押接し、該コンベヤをその押接
した搬送物受入片側の該コンベヤの移載方向と交差する
方向へ押動させる。該コンベヤは、移動案内手段の案内
によって押動されて前記搬送物と該コンベヤとの移載方
向のずれを吸収する。又、該コンベヤの移動は、該コン
ベヤを搬送車上の所定位置に復帰付勢する弾性体の付勢
力に抗して行なわれる。搬送物が該コンベヤに完全に送
り込まれると、弾性体は該コンベヤを元の位置に戻す。
これによって、搬送物は搬送車の所定の位置に積載され
る。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の実施例を図１乃至図４に基づ
いて説明する。先ず、フローティング装置１０が組み込
まれているフォークリフトタイプの搬送車１１（図１、
図２参照）について説明する。搬送車１１は、床上の指
定されたコースを走行車輪１２，１２，１２と駆動車輪
１３とで自走する無人搬送車である。

【０００８】搬送車１１は、フォーク１４を有してい
る。フォーク１４は、一対の水平部１５，１５と、垂直
部１６とでＬ字状に形成されている。水平部１５は、水
平方向に形成された長尺の板状の部材である。一対の水
平部１５，１５上には、後述するフローティング装置１
０を介して移載コンベヤ１７が設けられている。垂直部
１６は、公知の直線運動ベアリング１８，１８の案内に
よって車体の支柱１９に沿って昇降する部分である。フ
ォーク１４は、チェーン２０によって油圧シリンダー２
１接続され、この油圧シリンダー２１によって床Ｆまで
昇降させられるようになっている。

【０００９】移載コンベヤ１７（図１参照）は、複数の
ローラ２２で構成されている。各ローラ２２は、ベルト
（図示省略）を介してモータ３７（図１参照）によって
回転するようになっている。移載コンベヤ１７の両側に
は、移載される搬送物Ｗの案内をする搬送物ガイド２
３，２３が設けられている。搬送物ガイド２３の端部に
は、水平方向で且つ移載コンベヤ１７から離れる方向に
傾いた搬送物受入片２４が形成されている。すなわち、
一対の搬送物ガイド２３の端部には、互いに「ハ」の字
状に開いた搬送物受入片２４，２４が形成されている。

【００１０】次に、フローティング装置１０（図３参
照）について説明する。フローティング装置１０は、搬
送車１１が搬入コンベヤ４０（図１参照）に対してずれ
て停止したとき、搬送車上の移載コンベヤ１７と搬入コ
ンベヤ４０上の搬送物Ｗとの移載方向のずれを吸収して
搬送物Ｗの搬入移載が行なわれるようにするための装置
である。

【００１１】フローティング装置１０は、フレーム３
０、公知の４つの直線運動ベアリング（移動案内手段）
３１、４本のスプリング（弾性体）３２、２つのロック
機構３３等で構成されている。フレーム３０は、フロー
ティング装置１０全体をフォーク１４上で支持している
部材である。直線運動ベアリング３１は、移載コンベヤ
１７をフレーム３０上でコンベヤ１７のローラ２２の長
手方向（図１、図３中、矢印Ｂ方向）に移動可能に支持
しており、移載コンベヤ１７の４角とフレーム３０との
間に設けられている。

【００１２】移載コンベヤ１７の両側とフレーム３０と
の間には、４本のスプリング３２が設けられている。こ
の４本のスプリング３２は、移載コンベヤ１７を両側か
ら牽引して常時搬送車上の所定位置に復帰付勢する付勢
力を備えている。

【００１３】ロック機構３３（図３参照）は、移載コン
ベヤ１７をフレーム３０にロックする機構であり、２箇
所（図１参照）に設けられている。ロック機構３３（図
３参照）は、フレーム３０に設けられピン３４を昇降さ
せるシリンダー３５と、移載コンベヤ１７の底面に設け
られピン３４を係脱可能に受け入れる被係合孔３６とで
構成されている。なお、ロック機構は、この他、一対の
旋回アーム（図示省略）で移載コンベヤを挟み込んで移
載コンベヤをフレームにロックする機構であってもよ
い。

【００１４】次に、搬送物Ｗを搬送物移載場所から搬送
車１１に移載する動作について説明する。搬送車１１
は、搬送物Ｗの移載を行なう場所からずれて停止したと
する。先ず、搬送車１１は、フォーク１４を昇降させて
搬送物移載場所に設置されている搬入コンベヤ４０の高
さに移載コンベヤ１７の高さを揃える。仮に、搬入コン
ベヤ４０が床Ｆ近くの比較的低い位置に設置してある場
合には、フォーク１４を床Ｆ近くまで下降させ、搬入コ
ンベヤ４０の高さに移載コンベヤ１７の高さを揃える。

【００１５】次に、ロック機構３３のピン３４を被係合
孔３６から抜き、移載コンベヤ１７を矢印Ｂ方向へ自由
に移動できるようにする。搬送物Ｗは、搬入コンベヤ４
０から搬送車１１上の移載コンベヤ１７に送り込まれ
る。このとき、搬送車１１がずれた位置に停止し搬送車
上の移載コンベヤ１７と搬入コンベヤ４０上の搬送物と
の移載方向がずれているため、搬送物Ｗは、移載コンベ
ヤ１７の搬送物受入片２４に押接する。しかし、搬送物
Ｗはそのまま送り込まれる。

【００１６】このため、搬送物Ｗは移載コンベヤ１７の
搬送物受入片２４を傾斜に沿って押圧する。移載コンベ
ヤ１７は直線運動ベアリング３１に案内され、且つ、ス
プリング３２に抗してフォーク１４上でＢ方向に移動さ
せられる。これによって、移載コンベヤ１７は搬送物Ｗ
との移載方向のずれを吸収して搬送物Ｗを移載コンベヤ
１７上に円滑に送り込むことができる。又、搬送物Ｗ
は、搬送物受入片２４と搬送物ガイド２３の表面上を摺
動していくが、移載コンベヤ１７がＢ方向に移動をする
ため、搬送物ガイド２３と搬送物Ｗの摩耗は従来よりも
少ない。又、発塵も少ない。

【００１７】その後、移載コンベヤ１７は、搬送物Ｗ全
体を受け入れたのち、スプリング３２によって、搬送車
上の元の位置（所定位置）に戻される。最後に、ロック
機構３３のピン３４が被係合孔３６に挿入され、移載コ
ンベヤ１７は搬送車１１上の所定位置に係合保持され
る。従って、搬送物Ｗは、搬送車１１が搬送物移載場所
からずれて停止し、搬送車上の移載コンベヤ１７と該コ
ンベヤに移載される搬送物Ｗの移載方向とにずれが生じ
ても、該コンベヤ１７のＢ方向への移動によって前記移
載方向のずれが吸収されて、搬送物は該コンベヤ１７の
所定位置に移載され、該コンベヤ１７はスプリング３２
によって搬送車上の所定位置に復帰移動し、搬送車１１
上の所定の位置に積載されたことになり、その後、他の
搬送物移載場所に降ろされるとき、搬出個所の所定位置
に正確に降ろされる。

【００１８】ちなみに、搬送車１１の停止精度は、±約
１０乃至２０ｍｍである。搬送物と移載コンベヤとの移
載方向のずれは、フローティング装置１０による移載コ
ンベヤ１７の偏位移動によって毎回吸収されるため、搬
送車１１は、毎回円滑に搬送物Ｗを所定の位置に移載す
ることができる。

【００１９】なお、フローティング装置１０は、フォー
クリフトタイプの搬送車１１に積載された移載コンベヤ
１７に組み込まれているが、図４に示すように台車タイ
プの搬送車１１１に積載された移載コンベヤ１１７にも
組み込むことができることは勿論である。

【００２０】

【考案の効果】本考案のフローティング装置は、搬送車
の停止位置がずれても、搬送車上の移載コンベヤを移載
される搬送物の押動によってずれを吸収するＢ方向に移
動して搬送物を積載させることができるため、次の効果
を奏する。 （１）搬送車上の移載コンベヤは、搬送物位置を基準に
して移載方向のずれを吸収する方向に移動するので、搬
送物は搬送物ガイドに引っ掛かることが少なくなり、移
載コンベヤ上に円滑に移載される。 （２）搬送物と搬送物ガイドの接触による搬送物ガイド
の摩耗や発塵を少なくすることができる。 （３）搬送車上の移載コンベヤは、搬送物の移載後に弾
性体の付勢力によって搬送車上の所定位置に復掃するの
で、搬送物を搬送車上の所定の位置に積載させて走行す
ることができる。 （４）構造が簡単である。 （５）移載コンベヤに搬送物が積載された後、移載コン
ベヤは弾性体によって元の所定位置に戻されるため、そ
の後の搬出位置においては、搬送物を所定の位置に正確
に搬出させることができる。 （６）搬送車上の移載コンベヤに移載された搬送物は、
該コンベヤがロック機構によって搬送車上の所定位置に
係合保持されるので、搬送車の走行中の挙動が安定し、
移載コンベヤ上より逸走、脱落するおそれはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案のフローティング装置が組み込まれた
搬送車の平面図。

【図２】 図１の正面図。

【図３】 フローティング装置の正面図であり、一部分
断面で表わした図。

【図４】 他の実施例の搬送車の概略外観図。

【符号の説明】

Ｗ 搬送物 １０ フローティング装置 １１，１１１ 搬送車 １７，１１７ 移載コンベヤ ２３ 搬送物ガイド ２４ 搬送物受入片 ３１ 直線運動ベアリング（移動案内手段） ３２ スプリング（弾性体）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両側に搬送物の案内をする搬送物ガイド
   を具えた移載コンベヤを有する搬送車において、前記搬
   送物ガイドの端部に水平方向で且つ前記コンベヤから離
   れる方向に傾けて形成され前記コンベヤ上へ押動移載さ
   れる搬送物が押接して該コンベヤを該コンベヤの移載方
   向と交差する方向に押動させ前記搬送物との移載方向の
   ずれを吸収する搬送物受入片と、前記コンベヤの移載方
   向と交差する方向に前記コンベヤを移動可能に支持する
   移動案内手段と、前記コンベヤの両側から前記交差する
   方向で且つ互いに逆向きに付勢し前記コンベヤを常時搬
   送車上の所定位置に復帰付勢する一対の弾性体と、前記
   コンベヤを搬送車上の前記所定位置に係合保持する係脱
   可能なロック機構と、を有することを特徴とする、搬送
   車上のコンベヤのフローティング装置。