JP2546203B2 - TiOx薄膜を用いた光学素子 - Google Patents

TiOx薄膜を用いた光学素子

Info

Publication number
JP2546203B2
JP2546203B2 JP62051256A JP5125687A JP2546203B2 JP 2546203 B2 JP2546203 B2 JP 2546203B2 JP 62051256 A JP62051256 A JP 62051256A JP 5125687 A JP5125687 A JP 5125687A JP 2546203 B2 JP2546203 B2 JP 2546203B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
tio
tiox
titanium oxide
optical element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62051256A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63218513A (ja
Inventor
孝市 笹川
規夫 柴田
桂司 栗山
竹志 野坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP62051256A priority Critical patent/JP2546203B2/ja
Publication of JPS63218513A publication Critical patent/JPS63218513A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2546203B2 publication Critical patent/JP2546203B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、薄膜状酸化チタン系物質を成膜した光学素
子に関する。
〔従来の技術〕
これまで酸化チタン系物質としては、TiOとTiO2が知
られている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、TiOは真空薄膜堆積技術例えば真空蒸
着、スパッタリング、イオンプレーティングで薄膜状に
形成すると、紫色を呈しており光学薄膜としては問題が
ある。
またTiO2は同様に薄膜状に形成すると帯電するという
問題点があった。
〔問題点が解決するための手段〕
本発明者らは鋭意研究した結果、 合成樹脂基板上に、組成式:TiOx(但し、1<x<
2)で表される薄膜状酸化チタン系物質を蒸発源として
TiOを用いて抵抗加熱で溶融し、一旦、真空チャンバー
内を高真空にした後、酸素ガスを導入する真空蒸着法に
より成膜してなる光学素子を提供する。
〔作用〕
組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状
酸化チタン系物質は薄膜状であることと、酸素原子の分
析が難しいことから、xを特定することができないもの
の、xが1<x<2の範囲内にあることは確かである。
何故ならば、 組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状
酸化チタン系物質は、蒸発源としてTiOを用い、真空チ
ャンバー内に少量の酸素ガスを導入した上で真空蒸着す
ることによって得られることと、 TiOは紫色を呈するのに、組成式:TiOx(但し、1<x
<2)で表される薄膜状酸化チタン系物質は無色透明で
あること、及びTiO2は帯電するのに、組成式:TiOx
(但し、1<x<2)で表される薄膜状酸化チタン系物
質は帯電しないからである。
組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状
酸化チタン系物質は、蒸発源としてTiOを用い、一旦真
空チャンバー内を高真空にした後、酸素ガスを導入して
酸素分圧を5×10-5〜8×10-4Torrに設定して真空蒸着
を行なうことによって基板上に形成される。そして酸素
分圧によって、組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表
される薄膜状酸化チタン系物質は屈折率ndは2.2〜2.4の
間で変化する。ちなみにTiOのndは2.2〜2.3で、TiO2のn
dは2.2〜2.4である。蒸発源のTiOはTiO2に比べ低い融点
を有するので真空蒸着の際に抵抗加熱で溶融させればよ
い。それに対してTiO2は高い融点を有するので電子ビー
ム加熱を用いないと蒸着できない。電子ビーム加熱は基
板が荒れるという問題がある。例えば表面にスキン層
(内部とは結晶化度さ密度の異なる層)を有する合成樹
脂基板上に電子ビーム加熱による蒸着でTiO2薄膜を形成
すると、スキン層が劣化し、薄膜がスキン層と共に基板
か剥離するという剥離問題がある。この問題は合成樹脂
基板上に仮に無機誘電体薄膜が形成されていても、その
薄膜がポーラス(多孔質)の場合には発生する。それに
対して、蒸発源としてTiOを用いて抵抗加熱で溶融し、
一旦、真空チャンバー内を高真空にした後、酸素ガスを
導入する真空蒸着法により組成式:TiOx(但し、1<x
<2)で表される薄膜状酸化チタン系物質を成膜した合
成樹脂基板ではそのような剥離問題は発生しない。
組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状
酸化チタン系物質は薄膜状であり、その膜厚は一般に0.
001〜20μmのものが容易に製造できる。20μmより厚
いと、膜中にクラックがはいり易い。
組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状
酸化チタン系物質は、既述のように無色透明でnd=2.2
〜2.4の屈折率を有し、かつ帯電しないので、特に光学
薄膜として有用である。
基板としては合成樹脂製でもガラス製でもその他の材
料で作られたものでもよいが、特にスキン層を有する合
成樹脂成形品の場合、蒸発源としてTiOを用いて抵抗加
熱で溶融し、一旦、真空チャンバー内を高真空にした
後、酸素ガスを導入する真空蒸着法により成膜される組
成式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状酸化
チタン系物質の特徴が顕著に発揮される。
基板は単なる平板でもレンズ状でもプリズム状でもよ
い。基板上に直接に蒸発源としてTiOを用いて抵抗加熱
で溶融し、一旦、真空チャンバー内を高真空にした後、
酸素ガスを導入する真空蒸着法により成膜される組成
式:TiOx(但し、1<x<2)で表される薄膜状酸化チ
タン系物質を形成してもよいし、間に他の薄膜を介して
蒸発源としてTiOを用いて抵抗加熱で溶融し、一旦、真
空チャンバー内を高真空にした後、酸素ガスを導入する
真空蒸着法により成膜される組成式:TiOx(但し、1<
x<2)で表される薄膜状酸化チタン系物質を形成して
もよいし、蒸発源としてTiOを用いて抵抗加熱で溶融
し、一旦、真空チャンバー内を高真空にした後、酸素ガ
スを導入する真空蒸着法により成膜される組成式:TiOx
(但し、1<x<2)で表される薄膜状酸化チタン系物
質の上に他の光学薄膜を形成してもよい。蒸発源として
TiOを用いて抵抗加熱で溶融し、一旦、真空チャンバー
内を高真空にした後、酸素ガスを導入する真空蒸着法に
より成膜される組成式:TiOx(但し、1<x<2)で表
される薄膜状酸化チタン系物質は、硬く透明なので単な
る保護膜でもよいし、それ単独で又は他の光学薄膜の積
層した形で光学的機能例えば、反射防止、反射増加、干
渉フィルタ、偏光フィルタなどの機能を持たせてもよ
い。このような機能は、光学理論により、薄膜の膜厚及
び屈折率、積層数、積層順序等を変えて自由に設計でき
る。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明は
これらに限定されるものではない。
〔実施例1〕 直径800mm高さ850mmの円筒形の真空チャンバー内にPM
MA(ポリメチルメタクリレート)基板及び蒸発源として
TiOをセットし、一旦2×10-5Torrまで排気した後、酸
素を4×10-4Torrまで導入し、抵抗加熱により蒸着を行
ない、基板上に光学的膜厚λ/4(λは設計波長であり、
ここではλ=4880Å)の薄膜状TiOxを形成した。このTi
Oxのndは2.3であった。
〔比較例1〕 酸素を導入しないほかは実施例1と同様にしてλ/4の
膜厚のTiO薄膜を形成した。このTiO膜のndは2.3であっ
た。
〔比較例2〕 蒸発源としてTiOの代りにTiO2を用い、抵抗加熱の代
りに電子ビーム加熱を用い、酸素を導入しないほかは実
施例1と同様にしてλ/4の膜厚のTiO2薄膜を形成した。
このTiO2膜のndは2.2であった。
〔試験例1〕 実施例1、比較例1、2で製造した薄膜について、帯
電性、外観及び基板との密着性を調べた。帯電性は、斎
藤工機(株)製帯電量測定器DYNAC S−4104を使用
し、印加電圧8KVで測定した。密着性は、薄膜表面に市
販のセロハンテープを手で押して貼り付けた後、テープ
の一端を持って勢いよく剥し、薄膜の様子を観察した。
これらの結果を第1表に示す。
〔実施例2;反射防止膜〕 直径800mm高さ850mmの真空チャンバー内に、PMMA基板
をセットし、2×10-5Torrまで排気後、酸素を4×10-4
Torrまで導入し抵抗加熱によりTiOを蒸発し、TiOx(1
<x<2)をλ/4(波長λ:4880Å)蒸着した。次に酸
素導入をやめ、再度1×10-5Torrまで排気後、SiO2を電
子ビーム加熱でλ/4(波長λ:4880Å)蒸着した。このT
iOx、SiO2の屈折率ndは2.32、1.46であった。
この2層膜の構造を第1図に、反射率を第2図に示
す。
〔実施例3;反射防止膜〕 実施例2と同じチャンバー内に、PMMA基板をセット
し、2×10-5Torrまで排気後、酸素を6×10-4Torrまで
導入し、抵抗加熱によりSiOを蒸発させSiOx(1<x<
2)をλ/4(波長λ:5500Å)蒸着した。次に実施例1
と同様にTiOx(1<x<2)をλ/2(波長λ:5500Å)
蒸着した。最後にSiO2を電子ビームでλ/4(波長λ:550
0Å)蒸着した。
このSiOx、TiOx、SiO2の屈折率ndは1.65、2.32、1.46
であった。この3層膜の反射率を第3図に示す。
〔実施例4;反射膜〕 実施例2と同じチャンバー内に、PMMA基板をセット
し、2×10-5Torrまで排気後、Alを抵抗加熱で0.2μm
蒸着し、次に酸素を2×10-4Torrまで導入し、抵抗加熱
によりSiOを蒸発させSiOx(1<x<2)をλ/4(波長
λ:6328Å)蒸着した。最後に実施例1と同様にTiOx
(1<x<2)をλ/4(波長λ:6328Å)蒸着した。
この反射膜の反射率を第4図に示す。
実施例2〜4で製造した光学素子について次のような
試験を行ない、光学薄膜の密着性、耐湿性、耐擦傷性を
調査した。
〔試験例2:密着性〕 薄膜表面にセロハンテープを貼った後、思い切り剥し
て、密着性を測定した。実施例2〜4のうち剥離するも
のはなかった。
(試験例3;耐湿性) 実施例2〜4で製作した光学素子を、75℃−90%RHの
恒温恒湿器内に、500時間放置後、試験例2と同様に密
着性を測定したが、剥離するものはなかった。また、反
射率も変化なかった。
〔試験例4;耐擦傷性〕 実施例2〜4で製作した光学素子表面を、スチールウ
ール(#0000)で荷重200gfを負荷し30回擦った後、試
験例2と同様に密着性を測定したが、剥離するものはな
かった。また、反射率も変化なかった。
実施例1〜4ではPMMA基板について示したが、ポリス
チレン、ポリカーボネート基板を用いても、結果は変わ
らなかった。また、実施例2、3ではSiO2を使用した
が、SiOx(1<x<2)でも同じ結果が得られた。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明によれば、無色透明でnd=2.2〜
2.4の新規で有用なTiOx(1<x<2)薄膜が初めて提
供される。
この薄膜は、合成樹脂基板に対する密着性がよく、耐
湿性、耐擦傷性に優れている。
また、実施例2〜4では2層、3層構成の光学素子に
ついて示したが、4層以上の多層光学素子についても適
用できるため、本発明では所望の光学特性を有する、合
成樹脂製多層光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2にかかる光学素子の概略断面図であ
る。 第2〜4図は実施例2〜4の光学素子の分光反射特性を
示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 野坂 竹志 東京都品川区西大井1丁目6番3号 日 本光学工業株式会社大井製作所内 (56)参考文献 特開 昭50−137836(JP,A) 特公 昭50−39075(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂基板上に、組成式:TiOx(但し、
    1<x<2)で表される薄膜状酸化チタン系物質を蒸発
    源としてTiOを用いて抵抗加熱で溶融し、一旦、真空チ
    ャンバー内を高真空にした後、酸素ガスを導入する真空
    蒸着法により成膜してなる光学素子。
JP62051256A 1987-03-06 1987-03-06 TiOx薄膜を用いた光学素子 Expired - Lifetime JP2546203B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62051256A JP2546203B2 (ja) 1987-03-06 1987-03-06 TiOx薄膜を用いた光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62051256A JP2546203B2 (ja) 1987-03-06 1987-03-06 TiOx薄膜を用いた光学素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63218513A JPS63218513A (ja) 1988-09-12
JP2546203B2 true JP2546203B2 (ja) 1996-10-23

Family

ID=12881867

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62051256A Expired - Lifetime JP2546203B2 (ja) 1987-03-06 1987-03-06 TiOx薄膜を用いた光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2546203B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0390558A (ja) * 1989-08-31 1991-04-16 Seikosha Co Ltd 有色性装飾体

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5039075A (ja) * 1973-08-08 1975-04-10
JPS50137836A (ja) * 1974-04-23 1975-11-01

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63218513A (ja) 1988-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5582879A (en) Cluster beam deposition method for manufacturing thin film
JPH03109503A (ja) プラスチック製光学部品の反射防止膜とその形成方法
JP2546203B2 (ja) TiOx薄膜を用いた光学素子
JP3739478B2 (ja) 反射防止多層膜とその成膜方法並びにその成膜装置
JP3243474B2 (ja) 多層膜バンドパスフィルタの製造方法及び波長シフト温度係数値が略ゼロの多層膜バンドパスフィルタ
TWI588517B (zh) 光學元件
JPH06273601A (ja) 合成樹脂製光学部品の反射防止膜
JPH10123303A (ja) 反射防止光学部品
JPH0553001A (ja) 合成樹脂製光学部品の多層反射防止膜
JPS63217302A (ja) 多層光学素子
JP3111243B2 (ja) 積層反射防止膜を有する光学部品
JP2003057404A (ja) ファラデー回転子用反射防止膜
JP3136845B2 (ja) 赤外反射防止膜とその形成方法
JP3689923B2 (ja) 反射防止膜を有するプラスチックフィルムの製造方法
JPS63172201A (ja) 2層反射防止膜
JPH02275904A (ja) 光学薄膜
JPS63284502A (ja) 誘電体多層膜フィルタの製造方法
JPH06248428A (ja) 酸化アルミニウム薄膜
JP2979327B2 (ja) 低融点基体上蒸着反射防止膜
JP2003057406A (ja) ファラデー回転子用反射防止膜
Zöller Temperature stability of optical coatings produced by plasma and ion assisted evaporation processes
JPH07234302A (ja) 耐湿性反射防止膜
JPH0549962B2 (ja)
JPH09265003A (ja) ファラデー回転子用反射防止膜および光アイソレーター
JPH0322657B2 (ja)