JP2545707B2 - 免疫学的診断試薬 - Google Patents

免疫学的診断試薬

Info

Publication number
JP2545707B2
JP2545707B2 JP7000060A JP6095A JP2545707B2 JP 2545707 B2 JP2545707 B2 JP 2545707B2 JP 7000060 A JP7000060 A JP 7000060A JP 6095 A JP6095 A JP 6095A JP 2545707 B2 JP2545707 B2 JP 2545707B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
water
polymer particles
diagnostic reagent
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7000060A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07229900A (ja
Inventor
久二瑛 中島
彰彦 佐藤
章 野戸
和喜夫 南出
仁司 田中
康夫 木原
隆志 川崎
健二郎 森
敬一 牛山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP7000060A priority Critical patent/JP2545707B2/ja
Publication of JPH07229900A publication Critical patent/JPH07229900A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2545707B2 publication Critical patent/JP2545707B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫学的診断試薬に関
し、詳しくは、免疫活性物質を固定化した水分散型高分
子重合体粒子の水性分散液からなり、ラテツクス凝集反
応において非特異的凝集反応がなく、且つ、凝集反応の
判定が容易であると共に、保存安定性にすぐれる免疫学
的診断試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、人間や動物の病理的状態或いはそ
の他の状態の医学的診断のために、血液、尿その他の体
液中の生理活性物質が有する免疫活性を利用する免疫学
的診断方法が広く用いられている。この方法は、免疫学
的な反応を起こす抗原又は抗体のいずれか一方、又は両
者を組合せて体液等の被検液と反応させ、抗原又は抗体
と、これらに対応する抗体又は抗原との間の特異的な反
応、即ち、抗原抗体反応に基づく凝集反応又は凝集阻止
反応によつて、上記のような免疫活性成分の存在を測定
する方法である。この場合、肉眼による観察を容易にす
るために、一般に、抗原又は抗体は微粒子状の担体、例
えば、ラテツクス、赤血球等に担持されて診断試薬とさ
れ、通常、pHを中性近傍とした水性媒体中でのこのよ
うな粒子の凝集反応の有無を利用して、血清等の体液中
の被検成分が測定される。
【0003】例えば、微粒子がラテツクスからなる診断
試薬の凝集反応について説明すると、抗原又は抗体を担
持させた微粒子を含有する水性分散液からなる診断試薬
を被検液と混合すると、上記抗原又は抗体に対応する被
検液中の抗体又は抗原は、微粒子上の抗原又は抗体と特
異的に反応し、ラテツクス凝集反応、即ち、肉眼的に観
察し得る微粒子の凝集反応が生じる。しかし、被検液中
に測定すべき抗体又は抗原が存在しない場合は、肉眼的
に観察し得る凝集は起こらない。このようにして、抗原
又は抗体を担持させた微粒子の凝集反応の有無によつ
て、被検液中の抗体又は抗原の存在を決定することがで
きる。
【0004】このような免疫学的診断試薬は、免疫活性
物質、即ち、抗原又は抗体が微量にでも被検液中に存在
すれば、これを検出し得る高い感度と、目的とする免疫
活性物質とのみ反応する高い特異性を有することが要求
される。更に、長期間の保存によつても、高い検出感度
及び特異性を保持することが要求される。
【0005】このような免疫学的診断試薬における微粒
子担体としては、従来、ポリスチレンラテツクス粒子が
広く用いられている。このポリスチレンラテツクスは、
殆どの場合、乳化剤及び水溶性ラジカル重合開始剤の存
在下に、スチレンを乳化重合させて製造されている。こ
こに、上記乳化剤は、一般に、乳化重合時における重合
安定性を確保すると共に、粒径が小さく、分散安定性の
よい重合体粒子を含むラテツクスを得るのに効果があ
る。乳化剤がこのようにして得られるラテツクスの分散
安定性を高める効果については、必ずしも明らかではな
いが、一般には、乳化剤の一部がラテツクス粒子に吸着
されており、残余はラテツクス中に遊離の状態で存在
し、このようにラテツクス中において、重合体粒子に吸
着された乳化剤と遊離の乳化剤との間に吸着脱着平衡が
存在し、かかる平衡の結果として、ラテツクスの安定化
が達成されるとされている。
【0006】従つて、このように乳化剤を含むポリスチ
レンラテツクスに前記したように抗原又は抗体を固定化
する場合に、ラテツクスが遊離の乳化剤を含むときは、
ラテツクス粒子がこの固定化操作の段階で凝集すること
がある。更に、抗原又は抗体を固定化したポリスチレン
ラテツクスを用いて免疫学的診断を行なう際に、対応す
る抗体又は抗原を含む陽性血清のみならず、ポリスチレ
ンラテツクス粒子が疎水性であることと相俟つて、対応
する抗体又は抗原を含まない陰性血清に対しても凝集反
応を起こすことがある。このような凝集反応は非特異的
凝集反応と呼ばれており、しばしば診断を誤らせること
がある。このような非特異的凝集反応が起こる理由は必
ずしも明らかではないが、一つには血清中に含まれる補
体等の因子によるものと考えられる。
【0007】また、ポリスチレンラテツクス粒子への抗
原又は抗体の固定化は、ポリスチレン粒子表面に単に抗
原又は抗体を吸着させるのみであり、その一部はラテツ
クス粒子から脱着して、上記特異的凝集反応を妨害する
ことがある。このように、従来より用いられているポリ
スチレンラテツクス粒子を担体とする免疫学的診断試薬
は、診断精度に欠ける問題を有する。
【0008】このため、官能基を有する単量体を乳化共
重合させ、得られるラテツクス粒子が有する上記官能基
を利用して、この粒子に抗原又は抗体を共有結合にて固
定化させた免疫学的診断試薬が既に提案されている。例
えば、カルボキシル化ポリスチレンラテツクスやカルボ
キシル化スチレン−ブタジエン共重合体ラテツクスにカ
ルボジイミドを用いて免疫活性物質を固定化してなる診
断試薬が既に提案されている(特開昭47−16623
号公報)。しかし、この診断試薬は環境の変化に対して
不安定であり、後述するように、診断試薬の非特異的凝
集を抑制するための添加剤を加えたときに容易に沈殿を
生じるほか、保存安定性に劣る問題がある。
【0009】また、例えば、水溶性ラジカル重合開始剤
を用いて、メタクリル酸アルキルエステルを親水性のメ
タクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び
多官能性単量体と共に乳化剤の存在下に乳化共重合させ
て、メタクリル酸エステルラテツクスを得る方法も既に
知られている(Polymer, Vol. 19, August, 867-871(19
78))。しかし、この方法により得られるラテツクスも
乳化剤を含有するために、上記と同様の問題を有し、更
に、得られる共重合体粒子が水酸基を有するためである
とみられるが、特に、固定化の段階でラテツクス粒子が
容易に凝集する傾向がみられる。
【0010】そのために、近年、乳化剤の不存在下にア
クリル酸エステルラテツクスを得る方法も提案されてい
るが(化学技術研究所報告第75巻第8号341頁(19
80))、この方法によるラテツクスも分散安定性が十分で
なく、特に、機械的な剪断応力下に容易に凝集する。
【0011】一方、従来からラテツクス粒子の非特異的
凝集を防ぐことを目的として、ラテツクス凝集反応の有
無の判定を行なう際に、血清をグリシン等の緩衝液で希
釈したり、或いは血清中の補体を失活させる非働化処理
を施すことが行なわれている。しかし、このような処理
によつては、非特異的凝集を十分に抑制することは困難
であり、また、手間を要して、診断に時間がかかるとい
う問題がある。
【0012】このような免疫学的診断試薬における問題
を解決するために、従来より、非特異的凝集反応を抑制
することを目的として、診断試薬に添加剤を添加するこ
とが一般に行なわれており、かかる添加剤として、例え
ば、グリコール類や、ゼラチン、アルブミン等のタンパ
ク質、或いはポリアニオン等が知られている。しかし、
これらの添加剤の効果は一般に十分ではないので、近
年、添加剤として、例えば、シヨ糖及び塩化コリン(特
開昭54−026327号公報)、N,N-ジアルキルアミ
ドやジ低級アルキルスルホキシド(特開昭55−160
853号公報)等が提案されている。
【0013】更に、近年になつて、種々の無機塩類が非
特異的凝集を抑制する効果をもつ添加剤として提案され
ている。例えば、特開昭56−158947号公報に
は、グアニジン、グアニジン塩酸塩、グアニジニウムチ
オシアン酸塩、尿素等を代表例とするケイオトロピツク
(chaotropic)剤と共に、似ケイオトロピツク剤として
塩化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カ
リウム、ヨウ化リチウムのようなハロゲン化アルカリ金
属や、塩化カルシウムのようなハロゲン化金属が記載さ
れており、また、特開昭57−35754号公報にも同
様にハロゲン化アルカリ金属が記載されている。
【0014】しかし、上記した添加剤を含有する免疫学
的診断試薬も、依然として非特異的凝集を抑制する効果
が満足すべきものではなく、特に、血清を希釈すること
なく、原血清を免疫学的診断試薬と混合したとき、非特
異的凝集が往々にして起こる。特に、上記したような塩
類を添加剤として用いるとき、このような傾向が著し
い。更に、免疫学的診断試薬は、一般に室温又はそれ以
上の温度での保存安定性に劣り、特に、添加剤として無
機塩類を用いるときに、この傾向が強いので、免疫学的
診断試薬は、従来、10℃以下の温度で保存されること
が多い。しかし、このような場合、使用に際しては、再
び室温に戻す煩瑣な手間を必要とするので、従来より室
温で保存することができ、且つ、この室温での保存によ
つて、自然凝集を起こすことなく、しかも、診断への使
用に当たつては、高い検出感度を保持しているように、
保存安定性にすぐれた免疫学的診断試薬が強く要望され
ている。
【0015】このように、従来、種々の添加剤が提案さ
れているが、尚、非特異的凝集を抑制する効果が劣ると
共に、診断試薬が保存安定性に劣る問題がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、免疫学
的診断試薬における上記の問題を解決するために鋭意研
究した結果、免疫活性物質を固定化した水分散型高分子
重合体粒子の水性分散液からなる免疫学的診断試薬にお
いて、これにある種のアミノスルホン酸又はその塩を溶
解共存させることにより、前記無機塩類系の添加剤を含
めて、従来より知られている添加剤に比較して、非特異
的凝集を抑制する効果に格段にすぐれ、且つ、凝集反応
の有無が容易であると共に、保存安定性にも格段にすぐ
れる免疫学的診断試薬を得ることができることを見出し
て、本発明に至つたものである。
【0017】従つて、本発明は、血清を希釈することな
く、しかも、非働化処理も行なわずに、非特異的凝集反
応が抑制され、且つ、凝集反応の有無の判定が容易であ
ると共に、低温のみならず、室温又はそれ以上の高い温
度での保存安定性にすぐれた免疫学的診断試薬を提供す
ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明による免疫学的診
断試薬は、免疫活性物質が共有結合にて固定化された水
分散型高分子重合体粒子の水性分散液にアミノスルホン
酸又はその水溶性塩を溶解、配合してなる免疫学的診断
試薬であつて、上記水分散型高分子重合体粒子が (a) 一般式 CH2=CR1COOR2(CF2)nCFA2 (但し、R1 は水素又は低級アルキル基を示し、R2
【0019】
【化4】
【0020】(但し、mは0〜12の整数を示し、x+
y=m−1であり、R3 は水素又はアセチル基を示
す。)を示し、Aはそれぞれ独立に水素、フツ素又は C
F3を示し、nは0〜12の整数を示す。)で表わされる
アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体60〜99.
8重量%、 (b) 一般式 R4CH=CR5COOH (但し、R4 は水素、低級アルキル基又はカルボキシル
基を示し、R5 は水素は低級アルキル基を示し、R4
水素又は低級アルキル基のときは、R5 はカルボ低級ア
ルコキシ基であつてもよい。)で表わされるアクリル酸
誘導体0.1〜20重量%、及び (c) 多官能性内部架橋用単量体0.1〜20重量% からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
なる水分散型高分子重合体粒子であり、上記アミノスル
ホン酸が一般式(I)
【0021】
【化5】
【0022】(但し、X及びYは水素又は置換基を有し
ていてもよいアルキル基、シクロアルキル基又は相互に
結合してなる環状アミノ基残基を示し、Zは置換基を有
していてもよいアルキレン基を示す。但し、X及びYは
同時には水素ではない。)で表わされる第2級又は第3
級アミノ基を有するアミノスルホン酸であることを特徴
とする。
【0023】以下に本発明について詳細に説明する。 (担体としての水分散型高分子重合体粒子)本発明によ
る免疫学的診断試薬は、所定の組成を有する単量体混合
物を乳化共重合して得られる水分散型高分子重合体粒子
に免疫活性物質を固定化し、これを水性媒体中に分散さ
せて、水性分散液とすると共に、この水性分散液中に特
定のアミノスルホン酸又はその水溶性塩を添加剤として
溶解含有させてなるものである。
【0024】先ず、本発明による免疫学的診断試薬にお
いて、免疫活性物質を共有結合にて固定化する担体とし
て用いる水分散型高分子重合体粒子について説明する。
本発明において用いる水分散型高分子重合体粒子は、 (a) 一般式 CH2=CR1COOR2(CF2)nCFA2 (但し、R1 は水素又は低級アルキル基を示し、R2
【0025】
【化6】
【0026】(但し、mは0〜12の整数を示し、x+
y=m−1であり、R3 は水素又はアセチル基を示
す。)を示す。また、Aはそれぞれ独立に水素、フツ素
又は CF3を示し、nは0〜12の整数を示す。)で表わ
されるアクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体60
〜99.8重量%、 (b) 一般式 R4CH=CR5COOH (但し、R4 は水素、低級アルキル基又はカルボキシル
基を示し、R5 は水素又は低級アルキル基を示し、R4
が水素又は低級アルキル基のときは、R5 はカルボ低級
アルコキシ基であつてもよい。)で表わされるアクリル
酸誘導体0.1〜20重量%、及び (c) 多官能性内部架橋用単量体0.1〜20重量%、 からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
なる水分散型高分子重合体粒子である。
【0027】このような水分散型高分子重合体粒子の調
製のために用いるアクリル酸フルオロアルキルエステル
誘導体は、一般式 CH2=CR1COOR2(CF2)nCFA2 (但し、R1 は水素又は低級アルキル基、好ましくは水
素又はメチル基を示し、R2
【0028】
【化7】
【0029】(但し、mは0〜12の整数を示し、x+
y=m−1であり、R3 は水素又はアセチル基を示
す。)を示し、Aはそれぞれ独立に水素、フツ素又はCF
3 を示し、nは0〜12の整数を示す。)で表わされ、
好ましくは、一般式
【0030】
【化8】
【0031】(但し、R1 は水素又は低級アルキル基、
好ましくは水素又はメチル基を示し、R3 は水素又はア
セチル基を示し、mは0〜12の整数を示す。)で表わ
され、従つて、特に、本発明において好ましく用いるこ
とができるアクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体
の具体例として、例えば、
【0032】
【化9】
【0033】等を例示することができる。かかるアクリ
ル酸フルオロアルキルエステル誘導体を単量体成分とし
て有する乳化共重合体は、フルオロアルキルエステル基
が粒子の表面張力を低下させ、例えば、後述するよう
に、粒子に免疫活性物質を固定化する際に、この免疫活
性物質の粒子への吸着を妨げるので、固定化を容易にす
ると共に、固定化後の粒子を高感度及び高特異性とす
る。
【0034】本発明において、水分散型高分子重合体粒
子の調製においては、水性媒体中での分散安定性にすぐ
れる上記のようなアクリル酸フルオロアルキルエステル
誘導体の乳化共重合体粒子の水性分散液を得るために、
単量体成分として、上記アクリル酸フルオロアルキルエ
ステル誘導体に加えて、カルボキシル基を有するアクリ
ル酸誘導体を用いると共に、多官能性内部架橋用単量体
を用いる。本発明によれば、かかる単量体成分の所定の
割合の混合物を乳化共重合させることにより、特に乳化
剤を用いずとも、凝集物の発生なしに安定に乳化共重合
させ得て、水性媒体中で分散状態が安定に保持され、且
つ、非膨潤性である共重合体粒子の水性分散液を得るこ
とができるのである。
【0035】水分散型高分子重合体粒子の調製のために
用いる上記アクリル酸誘導体は、一般式 R4CH=CR5COOH (但し、R4 は水素、低級アルキル基又はカルボキシル
基を示し、R5 は水素又は低級アルキル基を示し、R4
が水素又は低級アルキル基のときは、R5 はカルボ低級
アルコキシ基であつてもよい。)で表わされ、例えば、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキ
ルフマル酸、モノアルキルイタコン酸等を好ましい例と
して挙げることができるが、特に、(メタ)アクリル酸
及びイタコン酸の1種又は2種以上の混合物が好ましく
用いられる。
【0036】このようなアクリル酸誘導体は、後述する
ように、重合体粒子に免疫活性物質を共有結合にて固定
化するための官能基を提供し、また、重合体粒子に共有
結合にてスペーサ基を結合させるための官能基を提供す
るのみならず、重合体粒子に陰性荷電を与えて、粒子の
水性分散液における安定性を増加させる。
【0037】本発明において、水分散型高分子重合体粒
子の水性分散液の製造に際しては、乳化共重合のための
単量体組成は、アクリル酸フルオロアルキルエステル誘
導体60〜99.8重量%、好ましくは70〜95重量
%、アクリル酸誘導体0.1〜20重量%、好ましくは1
〜20重量%、内部架橋用多官能性単量体0.1〜20重
量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0038】上記アクリル酸誘導体は、前記したほか、
陰性基であるカルボキシル基によつて粒子に陰性荷電を
与えて、アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体の
乳化共重合時の重合安定性と、得られるエマルジヨンの
安定性を図るために必須の単量体である。従つて、アク
リル酸誘導体は、これらの効果を有効に発現させるため
に、単量体組成において、少なくとも0.1重量%を必要
とする。しかし、過多に共重合単量体成分として用いる
ときは、却つて重合安定性と、得られる共重合体粒子の
水分散液の安定性を損なうので、20重量%以下の範囲
で用いる。
【0039】本発明において、多官能性内部架橋用単量
体は、重合体に架橋構造を導入するので、診断試薬中に
含まれれば好ましくない水溶性重合体の生成を抑制する
と共に、得られる重合体粒子のガラス転移温度を高める
ことができる。更に、内部架橋剤は、水分散型高分子重
合体粒子を非膨潤化して、重合体粒子の水性媒体中での
分散安定性を高めるのに効果がある。
【0040】かかる多官能性内部架橋用単量体として
は、例えば、脂肪族多価アルコールのポリ(メタ)アク
リレートが好ましく用いられる。具体例として、例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテ
トラ(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。ま
た、ジビニルベンゼンや N,N'-メチレンビスアクリルア
ミド等も多官能性内部架橋用単量体として用いることが
できる。
【0041】このような内部架橋用多官能性単量体も、
前記したように、重合を安定に進行させ、また、得られ
る共重合体粒子の安定な分散状態を保持すると共に、粒
子を非膨潤性とするために必要な単量体であり、単量体
組成において少なくとも0.1重量%が必要であるが、し
かし、過多に使用するときは、却つて重合安定性と粒子
分散液の安定性を損なうので、20重量%以下の範囲で
用いられる。
【0042】更に、本発明においては、水分散型高分子
重合体粒子の調製において、上記単量体混合物の乳化共
重合時の重合安定性と得られる共重合体粒子の水分散安
定性を一層高めるために、アクリル酸アルキルエステル
誘導体を前記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導
体の一部に代えて単量体成分として用いることができ
る。その好適な使用量はアクリル酸フルオロアルキルエ
ステル誘導体とこのアクリル酸アルキルエステル誘導体
の混合物の重量に基づいて90重量%以下であり、これ
よりも多量に使用すると、却つて重合安定性を損じな
い、また、得られる粒子の水分散安定性に劣るようにな
る。有効量の下限は特に制限されないが、通常、アクリ
ル酸フルオロアルキルエステル誘導体とこのアクリル酸
アルキルエステル誘導体の混合物の重量に基づいて1重
量%以上である。特に、好ましくは10〜90重量%の
範囲である。
【0043】 上記アクリル酸アルキルエステル誘導体は、一般式 CH2=CR6COOR7 (但し、R6 は水素又は低級アルキル基、好ましくは水
素又はメチル基を示し、R7 は炭素数が1〜8のアルキ
ル基を示す。)で表わされ、例えば、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を例
示することができる。
【0044】更に、本発明によれば、水分散型高分子重
合体粒子の調製において、上述した単量体混合物の乳化
共重合時の重合安定性や得られる水分散型高分子重合体
粒子の分散安定性を損なわない範囲内において、その他
のラジカル共重合性単量体、例えば、ヒドロキシエチル
アクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレートの
ような水酸基を有する単量体、グリシジルメタクリレー
トのようなグリシジル基を有する単量体、エチレン、プ
ロピレン等のα−オレフイン系単量体、酢酸ビニル、塩
化ビニル等のビニル系単量体、スチレン、メチルスチレ
ン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、ブタジエ
ン、イソプレン等のジエン系単量体、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル
アミド等の単量体を、必要に応じて単量体成分として用
いることができる。
【0045】また、本発明によれば、水分散型高分子重
合体粒子の調製において、個々の単量体の具体的な種類
は、得られる共重合体粒子のガラス転移点が0℃以上、
好ましくは室温以上となるように選ばれる。粒子のガラ
ス転移点が0℃よりも低いときは、粒子の相互の融着や
凝集が生じやすく、水分散型高分子重合体粒子の水性分
散液の分散安定性が低下する傾向があるからである。
【0046】本発明によれば、以上のような各単量体を
水性媒体中にて、水溶性のラジカル重合開始剤を用い
て、通常の方法にて乳化共重合させることにより、分散
安定性にすぐれた水不溶性の水分散型高分子共重合体粒
子の水性分散液を得ることができる。しかし、得られる
水性分散液中に乳化剤が遊離の状態で、或いは重合体粒
子に吸着された状態にて存在するとき前述したように、
例えば、粒子への免疫活性物質の固定化に際して有害な
影響が現われることがあるので、乳化共重合に際しては
乳化剤を用いないのが好ましい。本発明による上記単量
体組成によれば、特に乳化剤を用いずして安定に共重合
させることができると共に、得られる重合体粒子水性分
散液において粒子の分散状態が安定に保持されるのが大
きい特徴をなす。しかし、前述したように、固定化や診
断時に有害な粒子の凝集や沈降が起こらない範囲におい
て乳化剤を用いることは何ら妨げられず、必要に応じ
て、乳化剤を用いてもよい。
【0047】また、本発明による乳化共重合において、
単量体成分混合物の水性媒体中での濃度は、得られる水
性分散液における粒子の平均粒径とも関連するが、通
常、0.1〜40重量%の範囲である。
【0048】本発明による免疫学的診断試薬において、
免疫活性物質を固定化するための担体であつて、上記の
ようにして得られる水分散型高分子重合体粒子の平均粒
径は、好ましくは0.03〜2μm、特に好ましくは0.1
〜1μmである。平均粒径が小さすぎると、免疫活性物
質を固定化した水分散型高分子重合体粒子の抗原抗体反
応による凝集を肉眼で観察することが困難であり、一
方、大きすぎるときは、重合体粒子に安定な分散状態を
保持させるのが困難となるからである。また、重合体粒
子の比重は、0.9〜1.5の範囲にあることが好ましく、
更に、後述するように、免疫活性物質を固定化した後の
比重が1.0〜1.3の範囲にあることが好ましい。重合体
粒子が免疫活性物質の固定化の前後に上記範囲よりも小
さい比重を有するときは、重合体粒子がその水性分散液
における水性媒体表面に浮遊して、分散安定性に劣るよ
うになり、一方、上記範囲よりも大きいときは、粒子が
分散液の水性媒体中に沈降し、凝集しやすくなつて、同
様に分散安定性に劣るようになるからである。
【0049】以上のように、本発明によれば、特に、乳
化剤を用いることなく、重合安定性を確保しつつ、アク
リル酸誘導体、アクリル酸フルオロアルキルエステル誘
導体(及びアクリル酸アルキルエステル誘導体)及び多
官能性内部架橋用単量体の乳化共重合を行なうことがで
き、且つ、得られる共重合体粒子は非膨潤性であつて、
しかも、水性媒体中で安定にその分散状態を保持する。
更に、一般に微粒子担体に免疫活性物質を固定化する場
合、粒子表面の荷電状態が変化し、粒子の分散安定性が
不安定の方向に変化するが、上記したような本発明によ
る水分散型高分子重合体粒子によれば、粒子がカルボキ
シル基を有するので、粒子への免疫活性物質の固定化時
及び固定化後にも安定な分散状態を保持することがで
き、かくして、分散安定性及び保存安定性にすぐれる免
疫学的診断試薬を得ることができるのである。
【0050】(免疫活性物質)本発明において用いる免
疫活性物質としては、特に制限はなく、抗原、抗体及び
ハプテン等いずれを用いてもよい。例えば、ヒト及び動
物免疫グロブリン、変性免疫グロブリン、α−フエトプ
ロテイン、C反応性タンパク(CRP)や肝炎ウイルス
関連抗原、風疹HA抗原等の各種ウイルス抗原、トキソ
プラズマ、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ等の種々
の細菌、真菌、毒素等の微生物抗原、アルブミン、補体
成分等の各種血漿タンパク成分、エストロゲン、ヒト絨
毛性ゴナドトロピン(HCG)等の各種ホルモン等が挙
げられ、また、これらの抗原成分に対する抗体等も使用
することができる。
【0051】(水分散型高分子重合体粒子への免疫活性
物質の固定化)前記したように、本発明において用いる
水分散型高分子重合体粒子は、アクリル酸誘導体を単量
体成分として含む単量体混合物を乳化共重合させること
により得るので、このアクリル酸誘導体に由来するカル
ボキシル基が上記したような免疫活性物質を直接に共有
結合にて結合するための官能基として機能する。
【0052】更に、本発明による免疫学的診断試薬にお
いては、水分散型高分子重合体粒子に免疫活性物質を共
有結合によつて固定化するに際して、必要に応じて、免
疫活性物質の重合体粒子上での自由度を高めるために、
重合体粒子と免疫活性物質とをスペーサ基を介在させて
共有結合にて結合させることができる。このスペーサ基
は、予め重合体粒子に結合させ、この後に、このスペー
サ基と免疫活性物質とを結合させてもよく、或いはスペ
ーサ基を予め免疫活性物質に結合させ、これを重合体粒
子に結合させてもよい。更に、必要に応じて、重合体粒
子及び免疫活性物質の両方に予めスペーサ基を結合さ
せ、これらを相互に結合させることもできる。
【0053】上記スペーサ基として用い得る化合物は、
少なくとも二官能性の有機化合物であり、多官能性の重
合体を排除するものではないが、特に、炭素数1〜12
の炭素鎖を有する二官能性の有機化合物が好ましい。こ
のようなスペーサ基として機能する化合物の具体例とし
て、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、キシリレンジアミン等のジアミン類、グリシ
ン、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、ε−ア
ミノカプロン酸、ε−アミノカプリル酸等のアミノアル
キルカルボン酸、リジン、グルタミン酸、β−アラニ
ン、アルギニン、グリシルグリシルグリシン等のアミノ
酸類等が好ましく用いられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0054】前記した官能基を有する水分散型高分子重
合体粒子に直接に免疫活性物質を共有結合にて固定化
し、又は重合体粒子にスペーサ基を結合し、また、この
スペーサ基に免疫活性物質を共有結合にて固定化するた
めの方法は、特に制限されず、従来より知られている任
意の方法によることができる。例えば、好ましい方法の
一つとして、架橋剤として水溶性カルボジイミドを用い
る方法を挙げることができる。例えば、アミノアルキル
カルボン酸をスペーサ基として用いる場合であれば、水
溶性カルボジイミドを用いて、アミノアルキルカルボン
酸を水分散型高分子重合体粒子に結合させ、次いで、こ
の重合体粒子に結合されたアミノアルキルカルボン酸に
水溶性カルボジイミドを用いて同様にして、免疫活性物
質を共有結合にて固定化することができる。
【0055】かかる方法において用いる水溶性カルボジ
イミドとしては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1−シク
ロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイ
ミド−メト−p−トルエンスルホネート等を挙げること
ができる。このような水溶性カルボジイミドを用いて、
スペーサ基を介して、又は介さずして直接に、共有結合
によつて免疫活性物質を重合体粒子に固定化するには、
従来より知られている通常の方法及び条件によることが
できる。例えば、スペーサ基を用いる場合であれば、重
合体粒子の水性分散液にスペーサ基と共に適宜量、例え
ば、水性分散液の単位容量当りに0.01〜10mg/mlと
なるように水溶性カルボジイミドを添加し、通常の条
件、例えばpHを4〜10に保持して、5〜60℃程度
の温度で数分乃至数十時間、通常、1〜5時間程度反応
させればよい。次いで、このスペーサ基を結合させた重
合体粒子に同様にして免疫活性物質を固定化すればよ
い。
【0056】また、官能基が水酸基であるときは臭化シ
アン法により、また、アミノ基であるときはジアルデヒ
ドと反応させ、これら官能基を活性化することによつ
て、スペーサ基を結合させ、次いで、上記と同様にして
免疫活性物質を重合体粒子に共有結合にて固定化するこ
とができる。また、重合体粒子に直接に免疫活性物質を
固定化することもできる。
【0057】(添加剤)本発明による免疫学的診断試薬
は、上記のように固定化した免疫活性物質の失活が起こ
らないように、水分散型高分子重合体粒子が適当なpH
及び濃度のグリシン緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝
液等の緩衝液に分散されていると共に、この重合体粒子
の水性分散液に粒子の非特異的凝集を抑制するための添
加剤として、前記一般式(I)
【0058】
【化10】
【0059】で表わされる第2級又は第3級アミノ基を
有するアミノスルホン酸又はその水溶性塩を含有する。
【0060】先ず、本発明による免疫学的診断試薬にお
いて、上記緩衝液の濃度は、通常、0.005〜0.2Mの
範囲が適当であり、好ましくは、0.01〜0.1Mの範囲
である。次に、前記一般式(I)で表わされるアミノス
ルホン酸において、アミノ基は第2級又は第3級である
ことを必要とし、第1級の場合は、これを添加剤として
用いても、非特異的凝集を抑制する効果は殆ど得られな
い。
【0061】一般式(I)において、X及びYは水素又
は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキ
ル基又は相互に結合してなる環状アミノ基残基を示し、
好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜5のア
ルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキレン基又は5〜
6員環の環状アミノ基残基を示す。従つて、X及びYの
好ましい具体例として、例えば、ヒドロキシメチル基、
ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、トリ(ヒ
ドロキシメチル)メチル基、カルバモイルメチル基、シ
クロヘキシル基等の置換基を有していてもよいアルキル
基やシクロアルキル基、以下に示すようなモルホリノ基
等の環状アミノ基残基を挙げることができる。但し、X
及びYは同時には水素ではない。
【0062】
【化11】
【0063】また、一般式(I)におけるZは、置換基
を有していてもよいアルキレン基を示し、好ましくは置
換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を
示す。置換基としては、例えば、水酸基を挙げることが
できる。Zの好ましい具体例として、例えば、エチレン
基、プロピレン基、ヒドロキシプロピレン基等を挙げる
ことができる。
【0064】従つて、アミノスルホン酸の好ましい具体
例として、例えば、
【0065】
【化12】
【0066】等を挙げることができる。本発明において
は、上記アミノスルホン酸はナトリウム塩やカリウム塩
のような水溶性アルカリ金属塩としても用いることがで
きる。このようなアミノスルホン酸又はその水溶性塩
は、免疫活性物質を固定化した水分散型高分子重合体粒
子の水性分散液において、0.01〜3モル/l、好まし
くは0.1〜1.5モル/lの濃度で含有される。水性分散
液における上記添加剤の濃度が0.01モル/lよりも少
ないときは、陰性血清に対する非特異的凝集の抑制効果
が乏しく、一方、濃度が3モル/lを越えるときは、却
つて陽性血清に対する特異的凝集が抑制されることとな
るからである。
【0067】更に、本発明による免疫学的診断試薬は、
水分散型高分子重合体粒子の分散安定性及び抗原抗体反
応の活性を考慮して、そのpHを通常、6〜9、好まし
くは7〜8.5の範囲に調整するために、水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウムやアンモニア等の無機アルカリ又は
前記アミノスルホン酸以外の有機アミンをpH調整剤と
して溶解含有する。このようなpH調整剤の使用量は、
用いる添加剤アミノスルホン酸によつても異なるので、
特に限定されないが、通常、0.1〜30倍モル、好まし
くは0.5〜2倍モルの範囲である。このような有機アミ
ンとしては、特に、限定されるものではないが、トリス
(ヒドロキシメチルアミノ)メタン(以下、単にトリス
という。)や、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリ
ス(ヒドロキシメチル)メタン(以下、単にビストリス
という。)等が好ましく用いられる。
【0068】また、診断試薬における重合体粒子の濃度
は、通常、診断試薬の総重量に基づいて0.01〜5重量
%の範囲であるが、好ましくは0.1〜3重量%の範囲で
ある。尚、本発明による免疫学的診断試薬には、防腐効
果を与えるために、アジ化ナトリウム等の防腐剤を添加
してもよい。
【0069】本発明による免疫学的診断試薬は、例え
ば、免疫活性物質を固定化した水分散型高分子重合体粒
子の水性分散液に、無機アルカリ又は有機アミンを添加
溶解させて、pHを調整した上記アミノスルホン酸又は
その塩の水溶液を添加混合して調製し、これを保存する
ことができる。但し、本発明による免疫学的診断試薬の
調製方法は、これに限定されるものではない。
【0070】更に、本発明による免疫学的診断試薬は、
従来より知られている添加剤を含有させることもでき
る。かかる添加剤としては、例えば、前記したよな塩化
カルシウム等の金属塩、ヒト、ウシ、ウマ、ウサギ等の
動物血清や血清アルブミン、ゼラチン、糖類、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエチレングリコール等を挙げること
ができる。これらの添加剤を通常、診断試薬の総重量に
基づいて0.1〜2重量%の範囲で本発明によるアミノス
ルホン酸又はその水溶性塩と併用することによつて、多
くの場合、免疫学的診断試薬の非特異的凝集の抑制効果
を高めることができ、また、沈降現象を抑制して、診断
時の凝集の有無判定を容易ならしめることができる。
【0071】本発明による免疫学的診断試薬を使用する
免疫学的診断は、例えば、診断試薬と被検液とをガラス
板又はプラスチツク板の窪み又は平面板上又はマイクロ
プレートにおいて混合し、肉眼又は顕微鏡観察によつ
て、重合体粒子の凝集の有無を判定することにより行な
われる。また、凝集の有無を光学的な変化として判定す
ることもできる。
【0072】マイクロプレートを用いる方法は、診断に
要する液量を減じて、短時間に検出を行なう高感度検出
法であり、一般に、高濃度の血清は、微粒子を凝集させ
る傾向が強いので、検体血清はこれを高度に希釈して用
いる必要がある。しかしながら、本発明によつて、凝集
反応液中にpHを調整したアミノスルホン酸又はその水
溶性塩を溶解含有させることにより、非特異的凝集が抑
制されるのみならず、特異凝集活性が高められるので、
検体血清の濃度にかかわらずに、高い検出感度を得るこ
とができる。
【0073】
【発明の効果】以上のように、本発明による免疫学的診
断試薬は、それ自体が分散安定性にすぐれ、また、免疫
活性物質の固定化に対しても安定な分散状態を保持し得
る水分散型高分子重合体粒子に免疫活性物質を固定化
し、これを水性媒体中に分散させて、水性分散液とする
と共に、この水性分散液に前記した特定のアミノスルホ
ン酸又はその水溶性塩を含有させてなり、この結果、そ
の理由は必ずしも明らかではないが、重合体粒子の非特
異的凝集が完全に阻止されると共に、高い感度と特異性
とを有し、従つて、診断に際して、血清を緩衝液で希釈
したり、或いは非働化処理しなくとも、迅速に正確な判
定を行なうことができる。
【0074】更に、本発明による免疫学的診断試薬は、
特定のアミノスルホン酸又はその水溶性塩を含有するた
めに、その比重が大きくなつて、水性媒体の比重に近く
なるためとみられるが、従来の診断試薬に比較して、長
期間にわたる保存安定性にすぐれ、特に、低温のみなら
ず、室温又はそれ以上の比較的高い温度においても、何
ら自然凝集を生じることなく、重合体粒子の均一分散性
が保持され、保存安定性にすぐれて、しかも、かかる保
存後の使用に際しても高検出感度を示す。
【0075】また、免疫活性物質の担体として用いる水
分散型高分子重合体粒子は、前記した利点に加えて、赤
血球等のような担体と異なり、所定の単量体混合物の乳
化共重合によつて得るので、粒径を含む品質が均一であ
るうえに、それ自体は免疫活性をもたないので、固定化
操作が容易である。
【0076】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0077】実施例1 (a) 水分散型高分子重合体粒子の調製 前記式(v)で表わされる 2,2,2−トリフルオロエチル
メタクリレート90.0重量%、アクリル酸5.0重量%及
びトリエチレングリコールジメタクリレート5.0重量%
からなる単量体混合物60gを蒸留水330gに加え、
過硫酸カリウム0.3gを水10mlに溶解した重合開始剤
水溶液を75℃の温度で窒素気流下に加え、120rpm
で撹拌しつつ7時間重合させて、重合率99.0%にて平
均粒径0.33μmの共重合体粒子の水性分散液を得た。
重合は非常に安定に行なわれて、凝集物は皆無であつ
た。尚、凝集物の測定は、重合終了後、生成した樹脂エ
マルジヨンを30℃まで冷却し、濾布で濾過し、濾布上
に残された凝集物を乾燥し、その重量を測定することに
よつて求めた。
【0078】この粒子分散液を最初、蒸留水にて4回遠
心洗浄し、次いで、0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)
にて2回遠心洗浄して、水相中の水溶性高分子を除去
し、重合体粒子を精製した後、この重合体粒子を0.01
Mホウ酸緩衝液(pH7.5)に固形分が5重量%となる
ように再分散させた。
【0079】(b) 重合体粒子へのスペーサ基の結合 上で得た水分散型高分子重合体粒子の水性分散液100
mlとε−アミノカプロン酸水溶液(0.02M)100ml
とを混合し、1N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.5
に調製した。0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)に溶解
させた1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩水溶液(25mg/ml)20ml
を上記水性分散液に加え、室温で3時間、撹拌下に反応
させた。一夜、冷蔵庫に放置した後、0.01Mホウ酸緩
衝液(pH8.2)にて3回遠心洗浄して、スペーサ基を
結合させた重合体粒子を得、これを0.01Mホウ酸緩衝
液(pH8.2)に固形分5重量%になるように再分散さ
せた。 (c) ウサギIgGの固定化
【0080】上で得たスペーサ基を有する水分散型高分
子重合体粒子の水性分散液5ml、0.01Mホウ酸緩衝液
(pH8.2)2ml及び蒸留水11mlを混合し、これに1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド塩酸塩水溶液(5mg/ml)2mlを加え、10分
後にウサギIgG水溶液(5mg/ml)を5ml添加し、15
℃で2時間反応させた。次に、反応混合物中の余剰の水
溶性カルボジイミドを消費するために、10重量%L−
アルギニン水溶液(pH8.2)5mlを加え、1時間イン
キユベートした。次いで、0.01Mホウ酸緩衝液(pH
8.2)にて遠心洗浄を3回行なつた後、0.01Mホウ酸
緩衝液(pH8.2)に分散させて全量10mlに調整し、
かくして、ウサギIgGを前記スペーサ基を介して共有結
合にて固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散
液を得た。固定化量は重合体粒子1g当り55mgであつ
た。
【0081】(d) 免疫学的診断試薬の調製 種々の濃度にて前記アミノスルホン酸(1)を含有し、
トリスにてpHを8.0に調整した水溶液と、前記ウサギ
IgGを固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散
液とを混合して、上記アミノスルホン酸を種々の濃度に
て含有する重合体粒子濃度1.25重量%の本発明による
免疫学的診断試薬を調製した。
【0082】(e) 免疫学的診断試薬の評価 免疫活性物質としてウサギIgGを固定化した本試薬は、
リウマチ因子検出試薬として用いることができる。
【0083】この診断試薬と関節リウマチ因子陽性血清
及び陰性血清を原液のままそれぞれガラス板上にて等容
量混合撹拌しながら、2分後に凝集状態を肉眼判定し
た。その結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】本発明による診断試薬においては、非特異
的凝集反応が起こらないが、対照診断試薬では非特異的
凝集が生じた。また、上記リウマチ因子検出試薬につい
て、4℃及び40℃の温度にて経日安定性を調べた。評
価方法は上記と同じである。結果を表2に示す。
【0086】本発明の診断試薬によれば、20週間後に
も陰性血清に対して、何ら実用上支障となるような非特
異的な凝集を起こさず、且つ、低温のみならず、高温に
おける保存安定性にすぐれることが明らかである。これ
に対して、対照診断試薬は、非特異的凝集が著しく、ま
た、高温での保存安定性に欠ける。また、添加剤として
塩化カルシウムを含有する対照診断試薬によれば、初期
の特性はすぐれるが、保存によつて安定性が著しく低下
し、非特異的凝集が生じる。
【0087】更に、上記アミノスルホン酸0.5モル/l
を含有するリウマチ因子検出試薬を4℃及び40℃の温
度で保存したときの陽性活性の変化を調べた。結果を表
3に示す。凝集の判定基準は前記と同じである。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】次に、前記(a) の方法にて調製した水分散
型高分子重合体粒子にスペーサ基を結合させず、直接に
(c) の方法に従つてウサギIgGを固定化した後、(d) の
方法に従つて種々の濃度でアミノスルホン酸(1)を含
有する対照診断試薬Aを調製した。また、アミノスルホ
ン酸(1)を含有しないほかは、本発明診断試薬と同じ
である対照診断試薬Bを調製した。
【0091】本発明による診断試薬及びこれらの対照診
断試薬を(e) の方法に従つて活性を判定した。結果を表
4に示す。本発明による診断試薬によれば、非特異的凝
集が起こらず、且つ、検出感度も高いが、スペーサ基を
介してウサギIgGが固定化されていない対照診断試薬A
は陽性血清に対しても明瞭な凝集反応を示さず、また、
対照診断試薬Bによれば、非特異的凝集が認められる。
【0092】
【表4】
【0093】実施例2 (a) 水分散型合成高分子重合体粒子の調製 単量体として前記式(vii)で表わされる 1H,1H, 5H−オ
クタフルオロペンチルメタクリレート13.9重量%、メ
タクリル酸メチル38.7重量%、メタクリル酸イソブチ
ル38.7重量%、アクリル酸5.0重量%及びトリエチレ
ングリコールジメタクリレート3.7重量%からなる混合
物60gを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合
率99%にて平均粒径0.31μmの水分散型高分子重合
体粒子の水性分散液を得た。
【0094】この分散液を実施例1と同様に精製処理
し、得られた重合体粒子を0.01Mホウ酸緩衝液(pH
7.5)に固形分濃度5重量%となるように分散させて、
水分散型高分子重合体粒子の水性分散液を得た。
【0095】(b) 重合体粒子へのスペーサ基の結合 実施例1と同様にして、上で得た重合体粒子にスペーサ
基を結合させた。
【0096】(c) ウサギIgGの固定化 上で得たスペーサ基を結合した重合体粒子に実施例1と
同様にして、ウサギIgGを共有結合にて固定化し、この
後、実施例1と全く同様に処理して、重合体粒子を0.0
1Mホウ酸緩衝液(pH8.2)に分散させて、全量10
mlに調製し、ウサギIgGを固定化した水分散型高分子重
合体粒子分散液を得た。重合体粒子1g当りのウサギIg
G固定化量は50mgであつた。
【0097】(d) 免疫学的診断試薬の調製 上で得たウサギIgG固定化水分散型高分子重合体粒子分
散液を用いて、実施例1と同様にして、種々の濃度で表
5に示すアミノスルホン酸を含有する本発明による免疫
学的診断試薬を調製した。
【0098】比較のために、本発明で規定するアミノス
ルホン酸に代えて、添加剤として次式で示される editi
c acid (HOOCCH2)2NCH2CH2N(CH2COOH)2 又はグリシンを用いて、対照免疫学的診断試薬を調製し
た。
【0099】(e) 免疫学的診断試薬の評価 上で得た各種の免疫学的診断試薬について、実施例1と
同様にして活性の判定を行なつた。結果を表5に示す。
本発明による診断試薬によれば、非特異的凝集は全く起
こらないが、対照診断試薬の場合は、非特異的凝集が顕
著に認められる。
【0100】
【表5】
【0101】実施例3 実施例2において調製したスペーサ基を有する水分散型
高分子重合体粒子に、実施例1と同様にしてカルボジイ
ミドを用いてヒトIgGを固定化した後、トリスにてpH
を8.0に調整したアミノスルホン酸(10)を0.75モ
ル/lを含有する本発明による免疫学的診断試薬を調製
した。重合体粒子1g当りのヒトIgG固定化量は60mg
であつた。
【0102】次に、実施例2において調製した水分散型
高分子重合体粒子にスペーサ基を結合させず、カルボジ
イミドを用いて、直接にヒトIgGを固定化し、この重合
体粒子の水性分散液にアミノスルホン酸(10)を0.5
モル/l濃度にて含有させて、本発明による免疫学的診
断試薬Bを調製した。尚、この診断試薬におけるヒトIg
Gの固定化量は、重合体粒子1g当り70mgであつた。
【0103】ヒトIgGを固定化したこの診断試薬も、リ
ウマチ因子の検出に用いることができる。比較のため
に、アミノスルホン酸(10)を添加しない対照診断試
薬Cと、平均粒径0.35μmのカルボキシル化ポリスチ
レンラテツクス粒子にスペーサ基を結合させず、直接に
カルボジイミドを用いてヒトIgGを固定化し、その分散
液にアミノスルホン酸(10)を0.75モル/l濃度に
て溶解させて、対照診断試薬Dを調製した。
【0104】これら対照診断試薬の活性も表6に示す。
尚、対照診断試薬Dの場合は、調製当初から自然凝集が
認められ、陰性血清に対してのみならず、緩衝液に対し
てもほぼ同様に疑陽性と判定される凝集(±)が生じ
た。
【0105】
【表6】
【0106】実施例4 (a) 水分散型高分子重合体粒子の調製 前記式(vii)で表わされる 1H,1H,5H-オクタフルオロペ
ンチルメタクリレート20.0重量%、メタクリル酸メチ
ル31.9重量%、メタクリル酸イソブチル31.9重量
%、メタクリル酸15.0重量%及びトリエチレングリコ
ールジメタクリレート1.2重量%からなる単量体混合物
60gを用いた以外は、実施例1と同様にして重合率9
9.5%にて平均粒径0.28μmの水分散型高分子重合体
粒子の水性分散液を得た。
【0107】この分散液を実施例1と同様に精製処理
し、得られた重合体粒子を0.01Mホウ酸緩衝液(pH
7.5)に固形分濃度5重量%となるように分散させて、
水分散型高分子重合体粒子の水性分散液を得た。
【0108】(b) 重合体粒子へのスペーサ基の結合 実施例1と同様にして、カルボジイミド法により、上で
得た重合体粒子にスペーサ基としてω−アミノカプリル
酸を結合させた。
【0109】(c) 抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体の
固定化 上で得たスペーサ基を結合した重合体粒子5重量%を含
む水性分散液5ml、0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)
2ml及び蒸留水11mlを混合し、これに1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩水溶液(5mg/ml)2mlを加えた後、抗ヒト絨毛性性
腺刺激ホルモン抗体溶液(抗HCG、5mg/ml)を5ml
添加し、15℃で3時間反応を行なつた。抗HCGの固
定化量は粒子1g当り40mgであつた。
【0110】(d) 免疫学的診断試薬の調製 実施例1と同様の方法により、水酸化ナトリウムにてp
Hを8.0に調整したアミノスルホン酸(1)をそれぞれ
0.75モル/l及び0.50モル/l濃度にて含有すると
共に、重合体粒子濃度1.5重量%である本発明による免
疫学的診断試薬を得た。
【0111】(e) 免疫学的診断試薬の評価 免疫活性物質として抗HCGを固定化した本試薬は妊娠
診断試薬として用いることができる。
【0112】上で得たそれぞれの診断試薬と血清を原液
のままガラス板上にて等量混合し、3〜5分後の凝集の
有無を判定したところ、いずれの診断試薬の場合も、血
清1ml中に1国際単位のHCGがあれば凝集が起こり、
容易に且つ正確に妊娠の有無を判定することができた。
非特異的凝集は全く起こらなかつた。他方、アミノスル
ホン酸(1)を含有しない対照診断試薬によれば、妊娠
していないヒト血清の場合も、疑陽性と判定される非特
異的凝集が生じた。
【0113】実施例5 以下の4種類の対照用及び本発明診断試薬用の単量体混
合物を用いて、実施例1と同様にして、それぞれ水分散
型高分子重合体粒子の水性分散液を調製した。 単量体混合物A(対照) メタクリル酸メチル 45.0重量% メタクリル酸イソブチル 45.0重量% アクリル酸 5.0重量% トリエチレングリコールジメタクリレート 5.0重量% 単量体混合物B(対照) メタクリル酸メチル 90.0重量% アクリル酸 5.0重量% トリエチレングリコールジメタクリレート 5.0重量%
【0114】 単量体混合物C(対照) 1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート 15.0重量% メタクリル酸メチル 80.0重量% アクリル酸 5.0重量% 単量体混合物D 1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート 15.0重量% メタクリル酸メチル 79.0重量% アクリル酸 5.0重量% トリエチレングリコールジメタクリレート 1.0重量%
【0115】次に、このようにして得たそれぞれの水分
散型高分子重合体粒子に実施例1と同様にしてスペーサ
基を結合し、ウサギIgGを固定化した後、0.75モル/
l濃度にてアミノスルホン酸(8)を含有する対照免疫
学的診断試薬を調製した。
【0116】表7に各水分散型高分子重合体粒子の調製
における重合率、平均粒径及び粒子1g当りのウサギIg
G固定化量を示す。
【0117】
【表7】
【0118】これらの免疫学的診断試薬について、実施
例5と同様にしてその活性を判定したところ、対照診断
試薬A及びBの場合は、水分散型高分子重合体粒子にウ
サギIgGを固定化する際に粒子の自然凝集が起こり、そ
の後の洗浄によつても完全な均一状態に戻らず、常に
(±)の凝集が認められて、診断試薬としては使用し難
いものであつた。
【0119】また、本発明診断試薬Dと対照診断試薬C
について、長期保存したときの活性の変化を調べた。結
果を表8に示す。本発明による免疫学的診断試薬は、1
2か月後にも均一であると共に、陰性血清に対しては何
ら非特異的凝集を起こさないが、内部架橋用多官能性単
量体であるトリエチレングリコールジメタクリレートを
含有しない単量体混合物Cから得た水分散型高分子重合
体粒子を担体とする対照診断試薬Cの場合は、外観は1
2か月後にも本発明による診断試薬と同様に均一である
ものの、経時的に感度及び特異性が低下し、陽性血清に
対しても疑陽性と判断される程度の凝集(±)しか認め
られなかつた。
【0120】
【表8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/04 LHV C08L 33/04 LHV (72)発明者 南出 和喜夫 大阪府摂津市三島2丁目5番1号 塩野 義製薬株式会社内 (72)発明者 田中 仁司 大阪府摂津市三島2丁目5番1号 塩野 義製薬株式会社内 (72)発明者 木原 康夫 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電気工業株式会社内 (72)発明者 川崎 隆志 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電気工業株式会社内 (72)発明者 森 健二郎 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電気工業株式会社内 (72)発明者 牛山 敬一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電気工業株式会社内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】免疫活性物質が共有結合にて固定化された
    水分散型高分子重合体粒子の水性分散液にアミノスルホ
    ン酸又はその水溶性塩を溶解、配合してなる免疫学的診
    断試薬であつて、上記水分散型高分子重合体粒子が (a) 一般式 CH2=CR1COOR2(CF2)nCFA2 (但し、R1 は水素又は低級アルキル基を示し、R2 は 【化1】 (但し、mは0〜12の整数を示し、x+y=m−1で
    あり、R3 は水素又はアセチル基を示す。)を示し、A
    はそれぞれ独立に水素、フツ素又は CF3を示し、nは0
    〜12の整数を示す。)で表わされるアクリル酸フルオ
    ロアルキルエステル誘導体60〜99.8重量%、 (b) 一般式 R4CH=CR5COOH (但し、R4 は水素、低級アルキル基又はカルボキシル
    基を示し、R5 は水素は低級アルキル基を示し、R4
    水素又は低級アルキル基のときは、R5 はカルボ低級ア
    ルコキシ基であつてもよい。)で表わされるアクリル酸
    誘導体0.1〜20重量%、及び (c) 多官能性内部架橋用単量体0.1〜20重量% からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
    なる水分散型高分子重合体粒子であり、上記アミノスル
    ホン酸が一般式(I) 【化2】 (但し、X及びYは水素又は置換基を有していてもよい
    アルキル基、シクロアルキル基又は相互に結合してなる
    環状アミノ基残基を示し、Zは置換基を有していてもよ
    いアルキレン基を示す。但し、X及びYは同時には水素
    ではない。)で表わされる第2級又は第3級アミノ基を
    有するアミノスルホン酸であることを特徴とする免疫学
    的診断試薬。
  2. 【請求項2】アミノスルホン酸又はその水溶性塩が0.0
    1〜3モル/lの範囲の濃度で配合されてなることを特
    徴とする請求項1記載の免疫学的診断試薬。
  3. 【請求項3】水性分散液のpH調整剤として無機アルカ
    リ又は有機アミンが配合されていることを特徴とする請
    求項1記載の免疫学的診断試薬。
  4. 【請求項4】pHが6〜9であることを特徴とする請求
    項1記載の免疫学的診断試薬。
  5. 【請求項5】免疫活性物質がスペーサ基を介して共有結
    合にて水分散型高分子重合体粒子に固定化されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の免疫学的診断試薬。
  6. 【請求項6】水分散型高分子重合体粒子が (a) 一般式 CH2=CR1COOR2(CF2)nCFA2 (但し、R1 は水素又は低級アルキル基を示し、R2 は 【化3】 (但し、mは0〜12の整数を示し、x+y=m−1で
    あり、R3 は水素又はアセチル基を示す。)を示し、A
    はそれぞれ独立に水素、フツ素又は CF3を示し、nは0
    〜12の整数を示す。)で表わされるアクリル酸フルオ
    ロアルキルエステル誘導体と、一般式 CH2=CR6COOR7 (但し、R6 は水素又は低級アルキル基を示し、R7
    炭素数が1〜8のアルキル基を示す。)で表わされるア
    クリル酸アルキルエステル誘導体との混合物であつて、
    この混合物に基づいて上記アクリル酸アルキルエステル
    誘導体が90重量%以下である混合物60〜99.8重量
    %、 (b) 一般式 R4CH=CR5COOH (但し、R4 は水素、低級アルキル基又はカルボキシル
    基を示し、R5 は水素又は低級アルキル基を示し、R4
    が水素又は低級アルキル基のときは、R5 はカルボ低級
    アルコキシ基であつてもよい。)で表わされるアクリル
    酸誘導体0.1〜20重量%、及び (c)多官能性内部架橋用単量体0.1〜20重量%、 からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
    なることを特徴とする請求項1記載の免疫学的診断試
    薬。
JP7000060A 1995-01-04 1995-01-04 免疫学的診断試薬 Expired - Lifetime JP2545707B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7000060A JP2545707B2 (ja) 1995-01-04 1995-01-04 免疫学的診断試薬

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7000060A JP2545707B2 (ja) 1995-01-04 1995-01-04 免疫学的診断試薬

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60118583A Division JP2545503B2 (ja) 1985-05-30 1985-05-30 免疫学的診断試薬

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07229900A JPH07229900A (ja) 1995-08-29
JP2545707B2 true JP2545707B2 (ja) 1996-10-23

Family

ID=11463661

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7000060A Expired - Lifetime JP2545707B2 (ja) 1995-01-04 1995-01-04 免疫学的診断試薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2545707B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10339731A (ja) * 1997-06-06 1998-12-22 Mitsubishi Chem Corp 腸管出血性大腸菌感染の検出方法
JP4541020B2 (ja) * 2004-04-06 2010-09-08 花王株式会社 フルオロアルキル基含有ポリマー粒子
JP5442179B2 (ja) * 2005-10-21 2014-03-12 アルフレッサファーマ株式会社 反応性物質が結合した微小粒子の沈降抑制方法および該微小粒子含有試薬
EP1956372A4 (en) * 2005-11-30 2008-12-31 Univ Nihon ULTRA-HIGH RESPONSE FOR DETERMINING C REACTIVE PROTEIN AND DETERMINATION METHOD
WO2007074860A1 (ja) 2005-12-28 2007-07-05 Sekisui Medical Co., Ltd. 凝集測定用試薬及び凝集測定方法
JP5594038B2 (ja) * 2009-10-14 2014-09-24 住友ベークライト株式会社 粒子保存溶液および粒子の保存方法
CN112051401B (zh) * 2020-08-28 2022-09-06 武汉生之源生物科技股份有限公司 一种胃蛋白酶原的测定试剂盒

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07229900A (ja) 1995-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4656144A (en) Immunoparticles and process for preparing same
JPS6315551B2 (ja)
IE912082A1 (en) Use of 1-(1-pyrrolidinylcarbonyl) pyridinium salts to attach¹compounds to carboxylated particles and a kit containing¹same
US4552633A (en) Fine particulate for use in clinical testing and a process for producing thereof
JP2545707B2 (ja) 免疫学的診断試薬
JPH11337551A (ja) 非特異反応抑制剤、免疫測定試薬及び免疫測定方法
JPH0810224B2 (ja) 生理活性物質固定化用ラテツクス及びこのラテツクスを用いるラテツクス試薬
JP2545503B2 (ja) 免疫学的診断試薬
JPH073424B2 (ja) 免疫学的診断試薬
JPH1123573A (ja) 免疫学的測定方法
JPH1151938A (ja) 免疫学的ラテックス比濁定量用試薬
JPS61274261A (ja) 免疫学的診断試薬
JPH0750110B2 (ja) 免疫測定法
JPH0810223B2 (ja) 診断薬用ラテツクス、その製法および該ラテツクスを用いてなる診断薬
JP2003344410A (ja) 免疫測定試薬及び免疫測定法
JPS61155957A (ja) 免疫学的診断試薬
JPS61155958A (ja) 免疫学的診断試薬
JPS61218946A (ja) 免疫学的診断試薬
JPS61155960A (ja) 免疫学的診断試薬
JPS61155959A (ja) 免疫学的診断試薬
JPH0797112B2 (ja) 免疫学的診断薬
JPH0564741B2 (ja)
JPS6315553B2 (ja)
JPH0215566B2 (ja)
JPS61159169A (ja) 免疫学的診断試薬