JP2538303Y2 - 搬送用電車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、１本のガイドレールに走行可能に支持され
る駆動トロリーと従動トロリーとで被搬送物支持台が支
持された搬送用電車、特に、走行制御用検出器や被検出
部などが取り付けられる補助トロリーを備えた搬送用電
車に関するものである。

（従来の技術及びその問題点） この種の搬送用電車として、１本のガイドレールに走
行可能に係合する駆動トロリーと従動トロリー、これら
両トロリーの上端にそれぞれ垂直軸周りに相対回転自在
に載置されて両トロリーを連結する被搬送物支持台、及
び前記両トロリーの少なくとも一方に連結ロッドを介し
て連結された補助トロリーを備えたものであって、水平
カーブ経路部分においても支障なく走行し得るように構
成されている。

しかして前記補助トロリーは、被搬送物支持台に搭載
される被搬送物が前記駆動トロリーと従動トロリーとの
間の距離よりも長い場合に、搬送用電車どうしの接近時
に被搬送物どうしが互いに衝突するのを防止するために
使用されるものであるが、この補助トロリー自体がガイ
ドレールに対し安定的に自立するように構成する場合、
具体的には、当該補助トロリーの前後方向（走行方向）
の倒れを防止して安定的に自立させることができるよう
に、ガイドレールの上端レール面にのるホィールとして
前後方向に２つのホィールを軸支したり、ガイドレール
の底面に当接するバックアップローラーを併設する必要
があり、大型でコスト高になる欠点があった。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記のような従来の問題点を解消し得る搬送
用電車を提供することを目的とするものであって、その
手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、１
本のガイドレール２に走行可能に係合する駆動トロリー
３と従動トロリー４、これら両トロリー3,4の上端にそ
れぞれ垂直軸32周りに相対回転自在に載置されて両トロ
リー3,4を連結する被搬送物支持台９、及び前記両トロ
リー3,4の少なくとも一方に連結ロッド５を介して連結
された補助トロリー７を備えた搬送用電車であって、 前記補助トロリー７には、前記ガイドレール２に係合
する操向用垂直軸ローラー40,41以外には前記ガイドレ
ール２の上端レール面18eにのる１つのホィール39のみ
が軸支され、このホィール39の軸心高さまたはその近く
の高さで前記連結ロッド５が連結され、この連結ロッド
５は、その両端に連結されるトロリー3,7に対しそれぞ
れ垂直ピン49の周りの水平相対揺動のみ可能に連結さ
れ、前記垂直ピン49は、前記ガイドレール２の真上位置
から横側方に外れた位置に配設されて、前記連結ロッド
５の全体が直線状で且つ前記ガイドレール２の真上位置
から横側方に外れた位置にある構成となっている。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付の例示図に基づいて説
明する。

第１図及び第２図において、１は１本のガイドレール
２に走行可能に支持された搬送用電車であって、駆動ト
ロリー３と従動トロリー４、両トロリー3,4に夫々連結
ロッド5,6を介して連結された補助トロリー7,8、及び前
記駆動トロリー３と従動トロリー４とによって前後両端
部を支持された被搬送物支持台９から構成されている。

前記駆動トロリー３と従動トロリー４とは、同一構造
同一サイズのトロリー本体10を備えている。このトロリ
ー本体10は、第３図〜第５図に示すように正面視におい
てコの字形に一体成形されており、ガイドレール２の一
側方に位置する支柱部11と当該支柱部11の上下両端から
ガイドレール２のある側へ延出する張り出し部12,13と
から成り、上側張り出し部12は、第５図に示すように平
面視において周囲が閉じた開口部14を形成する矩形枠状
に一体成形されており、支柱部11の上端に形成された支
持台部15から一体に延出する前後一対の腕部16a,16b
と、両腕部16a,16bの先端部間に一体成形された連結橋
部17とを備え、前記開口部14の四隅近傍位置に、前記ガ
イドレール２の上端側左右両側面18a,18bを前後２箇所
で左右両側から挟む４つの操向用垂直軸ローラー19が軸
支されている。また、下側張り出し部13には、前記ガイ
ドレール２の下端側左右両側面18c,18dを前後２箇所で
左右両側から挟む４つの操向用垂直軸ローラー20が軸支
されている。

前記トロリー本体10における前記支持台部15には、左
右横方向の位置決め用溝15aが形成され、駆動トロリー
３における支持台部15には、モーター21と減速機22とか
ら成る駆動ユニット23における前記減速機22の底面に形
成された左右横方向の突条部22aを前記位置決め用溝15a
に嵌合させた状態で、前記減速機22を支持台部15にボル
ト24により着脱自在に据え付け、減速機22の出力軸に取
り付けられた駆動ホィール25を、前記トロリー本体10の
上側張り出し部12における開口部14に遊嵌された状態
で、前記ガイドレール２の上端レール面18e上に当接さ
せている。

従動トロリー４のトロリー本体における前記支持台部
15には、前記駆動トロリー３における駆動ユニット23
（減速機22）の据え付け構造と同一の据え付け構造を以
て軸受ユニット26が着脱自在に据え付けられ、当該軸受
ユニット26に軸支された従動ホィール27を、前記トロリ
ー本体10の上側張り出し部12における開口部14に遊嵌さ
せた状態で、前記ガイドレール２の上端レール面18e上
に当接させている。

なお、前記駆動トロリー３及び従動トロリー４には、
前記駆動ホィール25及び従動ホィール27をカバーする円
弧形のカバープレート28や、走行時にガイドレール２の
上端レール面18eを清掃する前後一対の清掃ブラシ29
を、必要に応じて取り付けることができる。

前記駆動トロリー３の駆動ユニット23における減速機
22の上端と前記従動トロリー４における軸受ユニット26
の上端とには、同一構造同一サイズの軸受ユニット30,3
1が片持ち状に取り付けられている。これら軸受ユニッ
ト30,31には、ガイドレール２の真上に位置する垂直回
転軸32（第４図参照）を介して回転取り付け座33,34が
支承され、この回転取り付け座33,34に被搬送物支持台
９の前後両端部が取り付けられている。このとき被搬送
物支持台９がガイドレール２と平行になるように、前記
駆動トロリー３の駆動ユニット23における減速機22の上
端と前記従動トロリー４における軸受ユニット26の上端
とが同一レベルになるように構成している。換言すれ
ば、軸受ユニット26の高さを前記減速機22の高さに合わ
せている。

また、駆動トロリー３のトロリー本体10における支柱
部11には、ガイドレール２の一側面に敷設された給電線
ユニット35に摺接する集電ユニット36が取り付けられて
いる。この集電ユニット36を介して給電線ユニット35か
ら供給される電力と制御信号に従って前記駆動ユニット
23のモーター21等を駆動する際に必要な制御ユニット37
は、第１図及び第２図（第４図では図示省略）に示すよ
うに、駆動ユニット23と左右振り分けとなるように前記
駆動トロリー３側の軸受ユニット30にブラケット38を介
して取り付けている。勿論、この制御ユニット37は、第
１図に仮想線で示すように被搬送物支持台９に取り付け
ても良い。

第１図に示す前記補助トロリー7,8は、同一構造同一
サイズのもので、第６図及び第７図にも示すように、ガ
イドレール２の上端レール面18e上に当接する１つのホ
ィール39と、ガイドレール２の上端側左右両側面18a,18
bを左右両側から挟む２つの操向用垂直軸ローラー40
と、ガイドレール２の下端側左右両側面18c,18dを前後
２箇所で左右両側から挟む４つの操向用垂直軸ローラー
41とを備え、必要に応じて、ガイドレール２の上端レー
ル面18e上を清掃する前後一対の清掃ブラシ42が取り付
けられる。また、各補助トロリー7,8には、ガイドレー
ル２の横側方位置のトロリー上端に左右横向きの垂直取
り付け板43が立設されており、第１図に示すように、後
部補助トロリー８の垂直取り付け板43には、表面が後方
に向かう反射板44と後方へ水平に延出する磁性板45とが
取り付けられ、前部補助トロリー７の垂直取り付け板43
には、先行する搬送用電車１の後部補助トロリー８にお
ける前記反射板44を検出する減速用距離センサー46と前
記磁性板45を検出する停止用近接スイッチ47とが取り付
けられる。

第１図、第５図及び第６図に示すように、前記各トロ
リー3,4,7,8には、ガイドレール２に対する横側方位置
で補助トロリー7,8におけるホィール39の軸心レベルに
近い高さに連結用ブラケット48が取り付けられ、この連
結用ブラケット48に前記連結ロッド5,6の両端が垂直ピ
ン49を介して左右横方向揺動自在に連結されている。従
って、前記連結ロッド5,6の両端を駆動トロリー３と補
助トロリー７及び従動トロリー４と補助トロリー８とに
連結する前記垂直ピン49は、ガイドレール２の真上位置
から横側方に外れた位置にあって、各連結ロッド5,6
は、その全体が直線状で且つガイドレール２の真上位置
から横側方に外れた位置にある。

また、補助トロリー7,8には、搬送用電車１どうしの
最接近時に互いに衝突する衝突ブラケット50,51が、前
記連結用ブラケット48の前後方向に隣接する位置で、前
後方向に延出するように取り付けられている。

なお、第２図に示すように前記ガイドレール２は、当
該ガイドレール２の給電線ユニット35が取り付けられた
側面とは反対側の側面において適当間隔おきの位置に取
り付けられた据え付け用ブラケット52を介して、床面上
適当高さに略水平に架設されており、直線経路部分と水
平カーブ経路部分とを有する。

上記のように構成された搬送用電車１は、集電ユニッ
ト36を介して給電線ユニット35から供給される電力と制
御信号に従い、制御ユニット37を介して駆動トロリー３
のモーター21を稼働させ、以て、駆動ホィール25を回転
駆動することによりガイドレール２に沿って自走させ、
被搬送物支持台９上に搭載される被搬送物を搬送するこ
とができる。このとき前後の補助トロリー7,8は、連結
ロッド5,6により後押しされまたは引っ張られて駆動ト
ロリー３及び従動トロリー４と一体にガイドレール２に
沿って走行するが、連結ロッド5,6により後押しされま
たは引っ張られる位置がホィール39の軸心レベルに近い
高さであること、重心位置がホィール39よりも十分下方
にあること、そして駆動トロリー３及び従動トロリー４
に対しては実質的に連結ロッド5,6の両端連結用垂直ピ
ン49の周りの水平揺動のみが許容されていることによっ
て、１つのホィール39でガイドレール２に支持されてい
るにも拘わらず、当該ホィール39を中心に前後方向に傾
動することなく円滑に走行することができる。

また、ガイドレール２の水平カーブ経路部分では、各
トロリー3,4,7,8は夫々操向用垂直軸ローラー19,20,40,
41の働きでガイドレール２の水平カーブに沿った向きに
操向運動することになるが、駆動トロリー３と従動トロ
リー４の操向運動は、被搬送物支持台９に対する垂直回
転軸32の周りの相対回転を伴って行われ、補助トロリー
7,8の操向運動は、駆動トロリー３及び従動トロリー４
に対する連結用垂直ピン49の周りの相対揺動を伴って行
われる。

（考案の作用及び効果） 本考案の搬送用電車は以上のように実施し得るもので
あって、被搬送物支持台を垂直軸周りに相対揺動自在に
支持する駆動トロリーと従動トロリーとの内の少なくと
も一方に連結ロッドを介して連結される補助トロリー
は、搬送用電車の走行時に前記連結ロッドにより後押し
されまたは引っ張られるが、この連結ロッドにより後押
しされまたは引っ張られる位置が、当該補助トロリーに
設けられたホィールの軸心高さまたはその近くの高さと
なり、しかも当該補助トロリーは、前記連結ロッドによ
り連結される駆動トロリーまたは従動トロリーに対して
は実質的に水平揺動のみが許容されていることによっ
て、ガイドレールの上端レール面にのる唯１つのホィー
ルで当該ガイドレールに支持されているにも拘わらず、
当該ホィールを中心に前後方向に傾動させることなく円
滑に走行させることができる。換言すれば、補助トロリ
ーを小型軽量且つシンプルに構成することができ、搬送
用電車全体のコストダウンを図ることができる。

さらに本考案によれば、補助トロリーを連結する前記
連結ロッドの両端と各トロリーとを連結する垂直ピン
が、前記ガイドレールの真上位置から横側方に外れた位
置に配設されて、前記連結ロッドの全体が直線状で且つ
前記ガイドレールの真上位置から横側方に外れた位置に
あるため、補助トロリーに軸支される前記ホィールを小
径にして小型軽量化を図っても、連結ロッドとガイドレ
ールの上端レール面との干渉をさけながら当該連結ロッ
ドを前記ホィールの軸心高さ付近で補助トロリーに連結
し、所期の目的を達成することができる。また、補助ト
ロリーのホィールの真後ろ位置で連結ロッドが連結され
るのではないので、当該ホィールの真後ろにレール面清
掃用ブラシなども容易に配設することができる。そして
また、連結ロッドを連結するためのブラケットとして特
殊形状のブラケットを設ける必要もなく、さらに連結ロ
ッドの端部を水平方向に屈曲させる必要もないので、全
体を安価に構成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例を示す側面図、第２図は駆動ト
ロリー位置での正面図、第３図は駆動トロリーを示す側
面図、第４図は同縦断正面図、第５図は従動トロリーの
トロリー本体と後部補助トロリーを示す平面図、第６図
は後部補助トロリーを示す側面図、第７図は同縦断正面
図である。 １……搬送用電車、２……ガイドレール、３……駆動ト
ロリー、４……従動トロリー、5,6……連結ロッド、7,8
……補助トロリー、９……被搬送物支持台、10……トロ
リー本体、18a〜18d……ガイドレール両側面、18e……
ガイドレール上端レール面、19,20,40,41……操向用垂
直軸ローラー、21……モーター、22……減速機、23……
駆動ユニット、25……駆動ホィール、26,30,31……軸受
ユニット、27……従動ホィール、35……給電線ユニッ
ト、36……集電ユニット、37……制御ユニット。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】１本のガイドレールに走行可能に係合する
   駆動トロリーと従動トロリー、これら両トロリーの上端
   にそれぞれ垂直軸周りに相対回転自在に載置されて両ト
   ロリーを連結する被搬送物支持台、及び前記両トロリー
   の少なくとも一方に連結ロッドを介して連結された補助
   トロリーを備えた搬送用電車であって、 前記補助トロリーには、前記ガイドレールに係合する操
   向用垂直軸ローラー以外には前記ガイドレールの上端レ
   ール面にのる１つのホィールのみが軸支され、このホィ
   ールの軸心高さまたはその近くの高さで前記連結ロッド
   が連結され、この連結ロッドは、その両端に連結される
   トロリーに対しそれぞれ垂直ピンの周りの水平相対揺動
   のみ可能に連結され、前記垂直ピンは、前記ガイドレー
   ルの真上位置から横側方に外れた位置に配設されて、前
   記連結ロッドの全体が直線状で且つ前記ガイドレールの
   真上位置から横側方に外れた位置にある 搬送用電車。