JP2532309Y2 - 釣り用リール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、釣り糸巻き取り用のスプールと、前記スプ
ールの回転に連動して回転駆動される螺旋案内部を備え
た横送り軸と、前記横送り軸の少なくとも一側方部を覆
う覆い体と、前記覆い体に外嵌され前記横送り軸の螺旋
案内部に係合する被案内部材を備えた釣り糸案内用のレ
ベルワインダーとを設けて、横送り軸の回転に基ずく被
案内部材と螺旋案内部との係合案内作用によりレベルワ
インダーを左右に往復スライドさせながら、釣り糸を前
記スプールに巻き取るように構成してある釣り用リール
に関する。

〔従来の技術〕

前述のような釣り用リールにおいては、巻き取られる
釣り糸がスプールの全幅に亘って均一に巻き取られて行
くようにするレベルワインダーを備えており、その構造
が実開昭62-148063号公報に開示されている。

この引例ではスプールの回転に連動して回転駆動され
る螺旋案内部付きの横送り軸（前記公報の部材（６））
を設けており、この横送り軸に対し、釣り糸が挿通され
る該レベルワインダー（前記公報の部材（７））を外嵌
した構造である。これにより、釣り糸を巻き取る際に
は、スプール及び横送り軸の回転に伴いレベルワインダ
ーが横送り軸に沿って左右に往復スライド移動する結
果、レベルワインダーを通る釣り糸がスプールの軸芯に
沿う全幅に亘って均一に巻き取られるのである。

又、前記引例の構造では、巻き取り中の釣り糸が回転
している横送り軸に絡み付かないように、固定の覆い体
（前記公報の部材（３））で横送り軸の一側部を覆って
いる。そして、この覆い体を断面Ｃ字状に形成すること
で、横送り軸の螺旋案内部に係合し、かつ、レベルワイ
ンダーに横送り力を生じさせるための被案内部材（前記
公報の部材（８））を覆い体の開放側から挿入できるよ
う構成している。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記引例の構造では、レベルワインダーに覆い体の外
径に等しい単一の丸孔を設け、この丸孔に覆い体を内嵌
している。そして、覆い体の内側にレベルワインダー側
のガイド体（前記公報の部材（72））を配置し、ガイド
体の内面で横送り軸を抱き込み支持し、更に、このガイ
ド体に内装された被案内部材を横送り軸の螺旋案内部に
係合させている。

前記のような引例構造においては、被案内部材を螺旋
案内部に係合させるに、このガイド体とレベルワインダ
ー自体との同時に螺合するナット部材の螺進移動によっ
て係合させるようになっているので、レベルワインダー
の覆い体を挿通した丸孔とガイド体とが、それぞれ、覆
い体と横送り軸に密接する構造になっていた。

このような構成によって、確かに、覆い体のみにレベ
ルワインダーを形成した挿通孔を密接させてスライド移
動する構成のものに比べて、覆い体自体にかかる荷重を
軽減できるものではあるが、覆い体に挿通孔が密接して
いる点においては替わりはなく、この為に、覆い体にも
分担荷重が作用しているのである。

したがって、本来ならば横送り軸を覆うだけの機能に
見合う強度構成を採るだけで十分であるにも拘わらず、
それに見合うだけの強度を備えていないと変形を生ずる
ことになり、その変形によって却ってレベルワインダー
のスライド移動を阻害することになるところから分担荷
重にも耐え得るだけの強度構成を必要とするといった欠
点があった。

また、レベルワインダーは覆い体と横送り軸との双方
に密接した状態で横送りされることになるので、引っ掛
かりを生じ易く横送りに円滑さを欠くとともに、ナット
部材がガイド体とレベルワインダーとの二部材に螺合し
ているので、ナット部材を螺進させて締め込んで行く際
に、ガイド体が横送り軸に接触する前にレベルワインダ
ーの挿通孔が覆い体に先行して接触するといったことが
起こり易く、被案内部材を螺旋案内部との係合が不十分
である、或いは、ガイド体が横送り軸に密接せず、レベ
ルワインダーの挿通孔だけが覆い体に密接するといっ
た、以前の構成と何ら変わらない状況に陥る面もあり、
構造上の改善を必要としていた。

本考案は釣り用リールのレベルワインダーにおいて、
ガタ付きを防止しながら構造の簡素化、及び、製作時の
手間の低減を図ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は以上のような釣り用リールにおいて、 前記レベルワインダーを単一部材で形成するとともに、
前記レベルワイダーに、前記横送り軸を挿通させる第１
孔部と、前記覆い体を挿通させる第２孔部と、前記横送
り軸に対して平行に設けられたガイド軸を挿通させる縦
長孔状の第４孔部とを設け、前記第１孔部を中心として
離れる方向に向けて順に前記第２孔部と前記第４孔部と
を配置し、前記被案内部材取り付け用の第３孔部を前記
第１孔部に接続し、 前記横送り軸を前記第１孔部に密接状態で挿通させる
とともに、前記覆い体を前記第２孔部に非密接状態で挿
通し、前記第４孔部の縦向き辺をガイド軸に接触させて
ある点にあり、その作用及び効果は次の通りである。

〔作用〕

レベルワインダーは、第１孔部を横送り軸に密接さ
せ、第２孔部を覆い体に対して非密接状態に外嵌してあ
るので、横送り駆動される際に覆い体に接触することは
なく、又は、接触しても従来構造のものよりも密接度合
いを少なくできる。

被案内部材を螺旋案内部に係合させる際に、第１孔部
が横送り軸に密接し、覆い体には挿通孔が密接していな
いので、覆い体が被案内部材と螺旋案内部との係合以前
に挿通孔に接触して、被案内部材と螺旋案内部との係合
を阻止するといった現象を招くことはなく、被案内部材
と螺旋案内部との相対位置が確定し係合が所期通りに行
える。

更に、ガイド軸を挿通する第４孔部を設けてあるの
で、この第４孔部がその縦向き辺によってレベルワイン
ダーの横送り軸回りでの伴回りを抑制しながら、第４孔
部と第１孔部との間に位置する第２孔部が覆い体に接触
することを抑制でき、かつ、ガイド軸が縦向き長孔の第
４孔部に挿通してあるので、その第４孔部が横送り軸に
直交する前後軸芯回りでのレベルワインダーの倒れに対
しては融通機能を発揮し、ガイド軸や覆い体とのコジリ
を生じない。

〔考案の効果〕

したがって、覆い体に対してカバー体としての必要以
上の強度構成を採る必要はなく、螺旋案内部と被案内部
材との係合が案内する。しかも、レベルワインダーが移
動する際に、覆い体との接触度合いが少なく、被案内部
材と螺旋案内部との係合状態が安定しているので、レベ
ルワインダーを円滑に横送りできるものである。

これによって、覆い体でのコジリを生じない、円滑な
レベルワインダーの作動を期待できるものを提供できる
に至った。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第４図は釣り用リールの全体を示しており、左右の支
持ケース（１），（２）に亘って釣り糸（図示せず）巻
き取り用のスプール（３）が、横軸芯（P₁）周りに回動
自在に支持されている。そして、左の支持ケース（１）
にはハンドル（４）が備えられており、このハンドル
（４）を紙面反時計方向に回し操作すると支持ケース
（１）内のギヤ機構（図示せず）を介して、スプール
（３）が紙面時計方向に回転駆動されて釣り糸がスプー
ル（３）に巻き取られて行く。

この場合、釣り糸が挿通されているレベルワインダー
（５）が、左右の支持ケース（１），（２）に亘って架
設固定された断面Ｃ字状の覆い体（９）及びガイド軸
（10）に沿って左右に往復スライド駆動される。これに
より、釣り糸がスプール（３）の全幅に亘って均一に巻
き取られる。

次に、レベルワインダー（５）及びそのスライド駆動
構造について詳述する。第１、２、３図に示すように、
レベルワインダー（５）は釣り糸（Ａ）挿通用の孔（7
a）を有する釣り糸案内部（７）と本体（６）とから構
成され、両者（６），（７）が合成樹脂、焼結金属又は
セラミックスで一体成形されている。そして、釣り糸案
内部（７）の孔（7a）の内面には、シリコンカーバイド
製又はセラミックス製等のリング部材（11）が嵌めつけ
られている。

そして、本体（６）には断面円形の第１孔部（6a）及
び、覆い体（９）と略同断面の断面Ｃ字状の第２孔部
（6b）が同芯状に設けられている。又、覆い体（９）内
に位置する横送り軸（12）が第１孔部（6a）に、覆い体
（９）が第２孔部（6b）に挿通されている。これによ
り、本体（６）における第１孔部（6a）と第２孔部（6
b）との間の部分（6e）で横送り軸（12）が抱き込まれ
るように支持される。そして、第１孔部（6a）に対して
第３孔部（6c）が略直交する横方向から連通するように
穿設されている。

そして、横送り軸（12）にはエンドレスの螺旋状の案
内溝（12a）（螺旋案内部に相当）が設けられており、
この横送り軸（12）はスプール（３）の回転に連動して
回転駆動されるように構成されている。これに対して、
レベルワインダー（５）の本体（６）の第３孔部（6c）
には、半月状の突部（8a）を備えた円筒状の被案内部材
（８）が自由回転自在に内装されており、被案内部材
（８）の突部（8a）が横送り軸（12）の案内溝（12a）
に係入している。そして、被案内部材（８）の抜け止め
用の袋ナット（13）が本体（６）に螺合されている。
又、レベルワインダー（５）の本体（６）には断面が長
穴状の第４孔部（6d）が設けられており、丸棒状のガイ
ド軸（10）が第４孔部（6d）に挿通されている。

以上の構造により、ハンドル（４）を回し操作すると
スプール（３）が回転し、これに連動して横送り軸（1
2）が回転駆動されて、案内溝（12a）と突部（8a）の係
合作用により、レベルワインダー（５）全体が覆い体
（９）及びガイド軸（10）に沿って、左右に往復スライ
ド駆動されて行くのである。

〔別実施例〕

前記、覆い体（９）を断面Ｃ字状の円筒ではなく、複
数組の長板で構成し、横送り軸（12）の外側を間隔を空
けながら囲むように長板を両支持ケース（１），（２）
に架設した構造としてもよい。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る釣り用リールの実施例を示し、第１
図は使用状態でのレベルワインダーの縦断側面図、第２
図は使用状態でのレベルワインダーの縦断正面図、第３
図はレベルワインダー単体での縦断側面図、第４図は釣
り用リールの全体斜視図である。 （３）……スプール、（５）……レベルワインダー、
（6a）……第１孔部、（6b）……第２孔部、（6c）……
第３孔部、（８）……被案内部材、（９）……覆い体、
（12）……横送り軸、（12a）……螺旋案内部、（Ａ）
……釣り糸。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】釣り糸巻き取り用のスプール（３）と、前
   記スプール（３）の回転に連動して回転駆動される螺旋
   案内部（12a）を備えた横送り軸（12）と、前記横送り
   軸（12）の少なくとも一側方部を覆う覆い体（９）と、
   前記覆い体（９）に外嵌され前記横送り軸（12）の螺旋
   案内部（12a）に係合する被案内部材（８）を備えた釣
   り糸案内用のレベルワインダー（５）とを設けて、横送
   り軸（12）の回転に基ずく被案内部材（８）と螺旋案内
   部（12a）との係合案内作用によりレベルワインダー
   （５）を左右に往復スライドさせながら、釣り糸（Ａ）
   を前記スプール（３）に巻き取りように構成してある釣
   り用リールであって、 前記レベルワインダー（５）を単一部材で形成するとと
   もに、前記レベルワイダー（５）に、前記横送り軸（1
   2）を挿通させる第１孔部（6a）と、前記覆い体（９）
   を挿通させる第２孔部（6b）と、前記横送り軸（12）に
   対して平行に設けられたガイド軸（10）を挿通させる縦
   長孔状の第４孔部（6d）とを設け、前記第１孔部（6a）
   を中心として離れる方向に向けて順に前記第２孔部（6
   b）と前記第４孔部（6d）とを配置し、前記被案内部材
   （８）取り付け用の第３孔部（6c）を前記第１孔部（6
   a）に接続し、 前記横送り軸（12）を前記第１孔部（6a）に密接状態で
   挿通させるとともに、前記覆い体（９）を前記第２孔部
   （6b）に非密接状態で挿通し、前記第４孔部（6d）の縦
   向き辺をガイド軸（10）に接触させてある釣用リール。