JP2530661B2 - 乳液状皮膚清拭剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は乳液状の皮膚清拭剤に関し、さらに詳しく
は、おむつ交換時に皮膚に付着している***物などを簡
単に清拭することができる充分な洗浄力を有するととも
に、おむつかぶれ防止効果を有する乳液状の皮膚清拭剤
に関するものである。

発明の技術的背景ならびにその問題点 乳幼児、老人等の***行為を自分自身でできない人々
は、おむつを常用することが多いが、おむつに接触して
いる皮膚はおむつ内の***物の影響で、しばしば皮膚炎
（おむつかぶれ）を起す。

ところで人の健康な皮膚の表面は、通常弱酸性（pH4.
2〜5.6）に保たれていて、皮膚蛋白質の変性や微生物の
繁殖を抑制しているが、おむつと接触する皮膚は、尿中
の尿素からアンモニアが絶えず生成されるためアルカリ
側に傾き易い。これに対して、皮膚には常に皮脂が供給
されていて、皮膚膜のバリヤー効果により多少のアルカ
リ分は中和してしまう能力を有しているが、乳幼児や老
人は皮脂の分泌が少なく、皮脂膜のバリヤー効果も弱
い。また、***物の存在により湿度が上昇し、いわゆる
むれを起こす。

このように皮膚のアルカリ化および湿度の上昇は、微
生物の繁殖や皮膚の強度低下を招き、この悪条件下でお
むつ繊維と皮膚がこすれてできる擦過傷との相乗作用が
おむつかぶれの大きな原因であるとされている。

また一般的には、人の皮膚の汚れは、皮脂、化粧品、
大便等、油性あるいは油分を多く含むものが大部分であ
るが、従来これらの汚れを除去するための手段として、
種々の洗浄方法や清拭剤が存在した。

しかし、これらの洗浄方法や清拭剤は、下記に詳述す
るように、いずれも皮膚炎を防止するための手段とし
て、万人の皮膚（肌）に適応するように皮膚表面を弱酸
性に保つための考慮が全くなされておらず、また衛生効
果のみを重視した結果、強力な殺菌・洗浄力を有する薬
剤の効果が強すぎたり、汚れを落す際に肌を強く摩擦す
る必要があるため、かえって肌を痛めてしまい長期間の
反復使用に耐えない欠点があった。

（１）界面活性剤や石けんの配合された洗浄剤を使用す
る方法 界面活性剤は、皮膚の脱脂効果が強過ぎるのでそのバ
リヤー効果を破壊し、また石けんは皮膚よりpHがかなり
高いため、皮膚の表面を弱酸性に維持する観点に逆行
し、また皮膚の負担が大きく好ましくない。

（２）クレンジングクリームを使用する方法 油性のメイクアップ（化粧料）を落すためのものなの
で、これ以外の皮膚の汚れは落としにくく、また肌に対
する摩擦も大きすぎ適当でない。また多量に用いなけれ
ばならない。

（３）肛門周囲清拭剤 フォーム（泡）状のエアゾールタイプ（特開昭61−15
1115号公報）と、オイル状のアトマイザー（霧）タイプ
が市販されている。しかし、前者には油がほとんど含ま
れていないので油性の汚れに対して効果がなく、従っ
て、勢い清拭時に強く摩擦しなければならないので肌を
痛めるという問題点があり、また後者は油分がほぼ100
％の組成であるため、pH緩衝能を持たず、洗浄効果の強
い泡を全く形成せず、使用後ベタツキが残り、肌の感触
も快適とは言い難い。

これらの殺菌効果を有する清拭剤もあるが尿中の尿素
からアンモニアを生成するBrevibacterium ammoniagene
s等のアンモニア生成菌を殺菌することで、ある程度は
おむつ内部のpH上昇防止に寄与することも考えられる
が、前記細菌が存在しなくてもアンモニアは経時的発生
するので、殺菌剤は、概して皮膚刺激が強すぎ、また皮
膚常在菌のバランスを崩すために、逆に皮膚に悪影響を
与えることも考えられる。

発明の目的 本発明は上記のような従来技術に伴う問題点を解決
し、特におむつ交換時に、皮膚に対して穏やかに作用
し、皮膚に付着している***物などを簡単に清拭するこ
とができる充分な洗浄力を有するとともに、皮膚を清拭
した後においても皮膚の表面を弱酸性に保持できるよう
にして、特別に殺菌剤、消炎剤等を加えなくても細菌等
の繁殖を防止して、おむつかぶれを予防することができ
る乳液状の皮膚清拭剤を提供することを目的としてい
る。

発明の概要 本発明に係る乳液状の皮膚清拭剤は、弱酸性の有機酸
の緩衝液（バッファー）を含有して皮膚の健康保持に留
意するとともに、油分を多く配合して乳液状とし、水溶
性の汚れのみならず、油性の汚れをも落し易くしたこと
を特徴としている。

また本発明に係る乳液状の皮膚清拭剤は、多量の油分
が清拭後も皮膚表面に残るために皮脂と供にバリヤーを
形成し、***物の刺激から皮膚を保護する役割をも果た
す。

発明の具体的説明 以下本発明に係る乳液状清拭剤について具体的に説明
する。

本発明に係る乳液状清拭剤は動物油、植物油、鉱物
油、シリコン油の中から選らばれる油分を20重量％以上
の量で含有するとともに、有機酸の緩衝液（バッファ
ー）を添加して、pHを4.0〜6.5に調節したことを特徴と
している。

本発明に使用する油分は、動物油、植物油、（主とし
てトリグリセリド）が主体であるが、炭化水素、エステ
ル、高級アルコール（炭素数10以上）等の鉱物油、シリ
コンオイル等も使用することができる。これらは、１種
類に限らず２種類以上を混合して使用することができ
る。

動植物油としては、比較的肌に対して刺激の少ないオ
リーブ油、落花生油、ヒマシ油、アーモンド油、カカオ
油、パーム油、パーム核油、大豆油、ホホバ油、ヤシ
油、アボカド油、大豆レシチン、スクワラン等が適して
いる。

また、動植物油以外の流動パラフィン、ワセリン、ラ
ウリルアルコール、オレイルアルコール、２−オクチル
ドデカノール、ステアリン酸ブチル、トリデカン酸ヘキ
シル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプ
ロピル、２−トリシテトラデカノール等の高級アルコー
ル、エステル油も用いられる。

これらの油分は、清拭する際に皮膚の油性の汚れを落
し易くする効果があるとともに、清拭後も皮膚の表面に
残り、***物の刺激から皮膚を保護し、またおむつの繊
維と皮膚との摩擦を和らげる効果がある。

本発明の乳液状清拭剤に添加される有機酸の緩衝液
（バッファー）とは、クエン酸、乳酸、りんご酸、フマ
ール酸、アジピン酸、酒石酸、酢酸、バルビタール酸、
酢酸等の弱酸及びその塩（主としてナトリウム塩）の溶
液で、そのpHを4.0〜6.0に調節したものである。これら
の緩衝液の濃度は、乳液状清拭剤の水分に対し通常１モ
ル以下である。

この緩衝液は、乳液状清拭剤を使用した後も皮膚の表
面に残り、尿等から生成するアンモニアを中和して、皮
膚の表面を弱酸性に保ち、おむつかぶれの原因の１つで
あるpHの上昇を防止するものである。

本発明に必要に応じて使用する水は、通常精製水（蒸
留水）である。

また、本発明では皮膚清拭剤を乳液状に維持するため
に、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤
としては、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、シ
ュガーエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、（以上非イオン性界面活性剤）、アルキル硫酸塩、
アルキルベンゼンスルホン酸塩（以上陰イオン性界面活
性剤）、アルキルアミン酸、第４級アンモニウム塩（以
上陽イオン性界面活性剤）、アルキルベタインレシチン
（両性界面活性剤）等が使用できる。

以上の油分、弱酸性の緩衝液、少量の界面活性剤等を
配合し、ホモジナイザーで乳化すると本発明に係る乳液
状清拭剤が得られる。

発明の効果 本発明の乳状清拭剤を使用すると従来の清拭剤に比較
して次のような効果がある。

（１）清拭後も弱酸の緩衝液が皮膚の表面に残るので、
尿等から生成するアンモニアを中和して、皮膚の表面を
弱酸性に保ち、おむつかぶれの原因の１つであるpHの上
昇を防止することができる。これにより殺菌剤、消炎剤
等によらなくても、細菌の増殖をかなり抑制することが
できる。

（２）油分を多く含むので、清拭する際に摩擦しなくて
も、皮膚の油性の汚れを落し易くする効果があると共
に、油分が清拭後も皮膚の表面に残り、***物の刺激か
ら皮膚を保護し、またおむつの繊維と皮膚との摩擦を和
らげる効果がある。

（３）従来の清拭剤は水性、または油性のどちらか一方
にしか効果がなかったが、本発明に係る清拭剤は、水と
油を両方含有するので、両方の汚れを落すことができ、
また使用後のベタツキを感じさせない。また、清拭時に
皮膚に油分を補ぎない、肌にうるおいを与え、清拭と同
時にスキンケア効果も期待できる。

実施例１ 下記の物質を混合し、ホモジナイザーにより乳化し
て、本発明に係る乳液状清拭剤を得た。

オリーブ油 5 重量％ ミリスチン酸イソプロピル 10 重量％ 流動パラフィン 10 重量％ 大豆レシチン 1 重量％ ステアリン酸 1 重量％ ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート 0.5重量％ グリセリルモノステアレート 0.5重量％ dl−α−トコフェロール 0.1重量％ クエン酸 0.5重量％ クエン酸ナトリウム 1.5重量％ ブチルパラベン 0.1重量％ メチルパラベン 0.1重量％ これに精製水を加えて全量を100重量％とする。

本発明に係る乳液状清拭剤（Ｅ）と市販品の清拭剤
（Ａ）、クレンジングクリーム（Ｂ）クレンジングオイ
ル、（Ｃ）クレンジングフォーム（Ｄ）の効果を比較し
たところ第１表の通りであった。

この表１から、本発明に係る乳液状皮膚清拭剤は、あ
らゆる点で著しく優れていることがわかる。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】動物油、植物油、鉱物油、シリコン油、高
   級アルコール、エステル油の中から選ばれる油分を20重
   量％以上の量で含有するとともに、有機酸の緩衝液を含
   有して、pHが4.0〜6.5に調節されていることを特徴とす
   る乳液状皮膚清拭剤。