JP2522874B2 - 多孔質滑り軸受 - Google Patents

多孔質滑り軸受

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JP2522874B2 JP3316097A JP31609791A JP2522874B2 JP 2522874 B2 JP2522874 B2 JP 2522874B2 JP 3316097 A JP3316097 A JP 3316097A JP 31609791 A JP31609791 A JP 31609791A JP 2522874 B2 JP2522874 B2 JP 2522874B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば、自動車用
補機、オーディオ・ビデオ・事務機器等の産業用機器の
電動機に利用される多孔質滑り軸受に関し、特に高温雰
囲気中で使用される多孔質滑り軸受に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】一般に、多孔質滑り軸
受は、その細孔(空孔)内に潤滑油を保有し、軸受回転
に伴うポンプ作用及び摩擦熱による油の熱膨張によって
軸受部に油を供給し、軸受の長期使用を可能にしてい
る。しかし、高温雰囲気中では油の粘度が低下するた
め、必要以上に油が滲出して流失し、その結果軸受寿命
を短縮したり、周辺を汚したりするという不具合があっ
た。この対策としては、潤滑油に代えて半固体状のグリ
ースを使用することが考えられ、本願出願人は、特開昭
63−195416号において、リチウム石鹸等の増稠
剤を用いた、いわゆる石鹸グリースを含浸した多孔質滑
り軸受を開示した。
【0003】しかし、石鹸グリースは、100℃以上の
高温になると結晶転移が起こりその性状が変化する。例
えば、リチウム石鹸グリースは120〜130℃以上に
なると結晶転移を生じ、硬化または軟化する。硬化した
場合には潤滑性能に影響し、トルクの増大等を引き起こ
す。軟化した場合には、漏洩防止効果が低下する。した
がってこれ以上の温度で使用することはできない。リチ
ウムの他、一般的な石鹸増稠剤としてカルシウム、ナト
リウム等を挙げることができるが、いずれもリチウムよ
り耐熱温度は低く、石鹸グリースの耐熱限界は、概ね1
20〜130℃である。最近、自動車のラジエータ冷却
用ファンをはじめ、雰囲気温度が120〜130℃以上
で焼結軸受を使用する用途があるが、この耐熱限界のた
め、これらには適用できなかった。
【0004】また、このような石鹸グリースは、製造過
程において相転移温度以上の高温に加熱溶融して基油中
に石鹸増稠剤を分散または溶解する必要があるので、加
熱−冷却に伴う付帯設備が必要であり、製造上の手間が
かかるのが避けられない。
【0005】また、上記のような石鹸グリースを減圧条
件下で多孔質軸受に含浸するには、以下のような煩雑な
工程を必要とする。すなわち、まず、真空容器内に焼
結軸受を配置した後、軸受内の空気を取り除くため、1
-2torr程度の真空状態とする。つぎに、半固体状の
グリースをポンプにて容器内に注入し、真空容器内を上
記グリースの相転移温度以上まで加熱する。そして、
加熱により液体になったグリースを焼結軸受内に含浸さ
せ、含浸終了後、真空容器内に空気を入れ、常圧とす
る。その後、真空容器内から残量の液体グリースをポ
ンプに回収して、グリースを含浸させた焼結軸受を真空
容器内から取り出す。
【0006】以上の作業(〜)を1サイクルとし
て、所要サイクル繰り返して行なう。上記の真空含浸工
程は、真空容器内を真空状態にするまでに約40分程度
の時間を要するため、いったん回収したグリースは再度
真空容器内に注入する際、冷却されて元の半固体状のグ
リース状態になっている。そのため、グリースを再度高
い相転移温度まで加熱しなければならず、また、このよ
うにグリースの加熱と冷却を繰り返すことにより、グリ
ースが徐々に酸化され、グリース性状が劣化し、長期の
再利用ができないという問題がある。さらに、相転移温
度が高いため、加熱するために設備が大掛かりとなると
共に、液体グリースとするまでに長時間を要するので、
作業性が悪く、作業コストが高くなるという問題もあっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
ように従来の石鹸増稠剤を用いたグリースが120〜1
30℃程度で結晶転移を起こすので、これを含浸した軸
受の高温使用時のトルクが増大するか、またはグリース
が漏洩し易くなるという問題点および、このような石鹸
グリースの焼結軸受等の多孔質軸受に対する含浸工程に
おいて加熱溶融する必要があり、これが生産効率の低減
を招くという問題点を解決し、120〜130℃以上の
温度条件でトルクの増大またはグリースの漏洩なく使用
でき、しかも、グリースの製造工程および軸受への減圧
含浸工程において加熱溶融の必要がなく、生産設備、生
産作業を効率化し得て、もって生産コストの低減に貢献
する多孔質滑り軸受を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、多孔質基材の細孔内にグリー
スを含浸して充填してなる多孔質滑り軸受において、前
記グリースが、基油にシリカエアロゲルを添加混合して
増稠したグリースである手段を採用したのである。
【0009】以下、その詳細を述べる。
【0010】この発明に用いるシリカエアロゲルは、2
00℃以下の温度では石けん増稠剤のように結晶転移を
生じず、耐熱温度は少なくとも200℃以上であると共
に、化学的安定性および親和性があって、油に不溶で基
油の中に細かく分散した構造をつくる非石けん増稠剤の
一種である。
【0011】リカエアロゲルは、基油に対する増稠性
が極めて良く、常温常湿雰囲気下で所定量の基油と混合
し、乳化装置等の均質化装置を用いて処理することによ
って簡単にグリース化することができる。因みに、微小
粒径のシリカエアロゲルの上記したような優れた増稠作
用は、二酸化ケイ素の粒子表面におけるケイ素原子の一
部にOH基が存在するので、このシラノールグループが
適当な分散系において三次元的な網の目構造(ネットワ
ーク)を形成するためと考えられる。また、シリカエア
ロゲルは、粒径が10-2μm程度であるので、従来のリ
チウムあるいはマグネシウム石鹸を増稠剤とするグリー
スのように加熱溶融しなくても、常温雰囲気下で容易に
焼結軸受(空孔径:1〜10μm程度)内に含浸するこ
とができる。
【0012】基油となる潤滑油としては、鉱油系潤滑油
でも合成潤滑油(例えば、ジエステル油、ポリオールエ
ステル油、ポリ−α−オレフィン油、ジフェニルエーテ
ル油等)であってもよく、通常の潤滑グリースに使用さ
れる各種添加剤(例えば、酸化防止剤、清浄分散剤、極
圧剤、摩耗防止剤、油性向上剤、摩擦調整剤、粘度指数
向上剤、流動点降下剤、錆止め剤、消泡剤等)を共存さ
せてもよい。
【0013】また、上記基油に対する前記非石鹸増稠剤
は、0.1〜10重量%であってよい。上記範囲未満の
少量では漏洩防止効果が期待できず、上記範囲を越える
多量では滑らかな摺動を阻害するので好ましくないから
である。
【0014】なお、多孔質滑り軸受の基材は、通常、鉄
・銅・錫・亜鉛・ニッケル等またはこれらを組み合わせ
た合金の微粉粒から構成されるが、特に限定されるもの
ではない。また、滑り軸受の形状も、特に限定されるも
のではなく、平面軸受・スラスト軸受・ジャーナル軸受
等、軸と軸受とが機構学的に面接触していて、軸受の回
転に伴って滑りを生ずる軸受であればいずれでも良い。
なお、ここで滑り軸受に限定する理由は、ころがり軸受
においては、ボール・レース(軌道輪)等の部材には強
度の点で多孔質材を使用することはできないからであ
る。ただし、保持器に多孔質焼結材を用いる場合には、
上記の滑り軸受と同様の処理を施したものを用いても良
い。
【0015】
【作用】この発明の多孔質滑り軸受は、非石鹸増稠剤を
用いたグリースが常温下で製造されかつ軸受に含浸され
たものであるから、製造効率がよく、また、このグリー
スが120〜130℃以上でも結晶転移を生じないの
で、高温雰囲気下で使用しても、トルクの増大またはグ
リースの漏洩を起こさない。
【0016】
【実施例】
実施例1:基油としてポリオールエステル油(興和油化
社製:アイビーアトラス56)に、増稠剤としてシリカ
エアロゲル(日本アエロジル社製:アエロジルR−97
2)1重量%を常温常圧下で混合し、さらに乳化装置を
用いて均質化してグリースを得た。
【0017】このグリースを外径12mm、内径6mm、長
さ6mmの多孔質(細孔径1〜10μm)の焼結銅合金製
ブッシュ状滑り軸受と共に真空容器に収容し、常温で1
-2torrの真空条件下で減圧含浸を行なった。
【0018】上記グリースは液体の潤滑油(基油)が、
固体のコロイド状シリカの三次元的ネットワーク構造の
中に埋められた2成分系のものであって、リチウムやマ
グネシウム石鹸を用いたグリースと同様の漏洩防止効果
があり、かつ100℃以上の高温時でも結晶転移が生じ
ないので、耐熱性が非常に優れたものであった。
【0019】〔参考例1〕 基油としてポリオールエステル油(興和油化社製:アイ
ビーアトラス56)に、増稠としてPTFE(ダイキ
ン工業社製:ルブロンL−2)1重量%を界面活性剤と
共に常温圧下で混合し、さらに乳化装置を用いて均質化
してグリースを得た。
【0020】このグリースを外径12mm、内径6mm、長
さ6mmの多孔質(細孔径1〜10μm)の焼結銅合金製
ブッシュ状滑り軸受と共に真空容器に収容し、常温で1
-2torrの真空条件下で減圧含浸を行なった。PTFE
は、それ自体低摩擦材料あるいは固体潤滑剤として使わ
れるほど潤滑性が良く、耐熱性も通常300℃以上であ
り、得られた軸受は、漏洩防止効果があると共に耐焼き
付き性が著しく向上したものであった。
【0021】
【効果】この発明は、以上説明したように、軸受の多孔
質基材の細孔内に、基油をシリカエアロゲルで増稠し
て、高温でも結晶転移が生じないグリースを含浸充填し
多孔質滑り軸受であるから、120〜130℃以上の
高温雰囲気下で使用しても、軸受の細孔内からグリース
過剰に漏洩せず、支持した軸のトルクを安定して低く
保つことができる利点がある。また、グリースの製造工
程および軸受への減圧含浸工程において加熱溶融する必
要がないため、この発明の多孔質滑り軸受は、簡単な手
法で効率よく製造できるものであるという利点もある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質基材の細孔内にグリースを含浸し
    充填してなる多孔質滑り軸受において、前記グリース
    が、基油にシリカエアロゲルを添加混合して増稠したグ
    リースであることを特徴とする多孔質滑り軸受。
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