JP2520960Y2 - ベルトガイド機構を備えた自動車用シートベルト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用リヤシートに装備されるシートベル
ト装置において、ベルトウェービングが上方向にも左右
方向にも抵抗なく引き出すことができるようにしたベル
トガイド機構を備えた自動車用シートベルト装置に関す
るものである。

（従来の技術） 自動車用リヤシートに装備されるシートベルト装置と
しては、ベルトリトラクタから供給されるベルトウェー
ビングをリヤシートの上部に設けたベルトガイドに案内
させてベルトウェービングがヘッドレスト側へずれるこ
とのないようにしたものが知られているが、このような
ベルトガイド機構ではベルトウェービングをベルトガイ
ドからまっすぐに引き出すことはできるものの、上方或
いは左右方向にずらせて引き出す場合には抵抗が大きく
なって引出しが困難となったり、引っかかったりすると
いう問題があった。一方、実公昭62−36957号公報に
は、ベルトウェービングを一定角度範囲内で回動できる
ようにしたベルトガイドによって引っかかりなく引出せ
るシートベルトガイド機構が提案されているが、このシ
ートベルトガイド機構ではその機構が複雑で大型となり
シートバックの上部に体裁よく取付けできないものであ
った。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は上記のような従来の問題点を解決して、シー
トバックの上部のベルトリトラクタからベルトウェービ
ングを各方向に抵抗なく円滑に引き出すことができるベ
ルトガイド機構を備えた自動車用シートベルト装置を目
的として完成されたものである。

（課題を解決するための手段） 上記の課題を解決するためになされた本考案のベルト
ガイド機構を備えた自動車用シートベルト装置は、シー
トバックの表面に上端がベルトリトラクタに巻き付けら
れたベルトウェービングを引き出した自動車用シートベ
ルト装置において、該シートバックの表面上で前記ベル
トリトラクタ側に中心を有し摺動板に横方向に設けられ
ている弧状ガイド孔と該弧状ガイド孔を通じてシートバ
ックの表面にあるベース板に向け挿込まれた固定ピンと
の案内下において左右への揺動ができるようにした摺動
板と、その上端に横方向のピンをもって上方に向け枢動
自在に軸支されるベルトガイド枠とよりなるベルトガイ
ドを前記シートバックの上方部に設けて該ベルトガイド
枠にベルトウェービングをガイドさせたことを特徴とす
るものである。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明する。

図中（１）は自動車のリヤシートのヘッドレスト収納
部（２）を有するシートバックであって、その背後の図
示しないパッケージトレイにはベルトウェービング
（３）を巻き付け収納するベルトリトラクタ（４）が設
けられており、該ベルトリトラクタ（４）の前方である
シートバック（１）の右上端部にはベルトウェービング
（３）を案内するベルトガイド（５）が設けられてい
る。ベルトガイド（５）は第２図に示されるように、該
シートバック（１）の表面上で左右への揺動ができる摺
動板（８）と、その上端に横方向のピン（７）をもって
上方に向け枢動自在に軸支されるベルトガイド枠（６）
と、前記摺動板（８）をシートバック（１）の表面上で
左右への揺動ができるように保持するベース板（10）と
よりなるものとしている。すなわち、ベルトガイド枠
（６）は下部をベルトウェービングガイド用の扁平短筒
状のベルト案内部（6b）に形成した基板の上端に軸受部
（6a）を設けたものとして、これを横方向に前記ベルト
リトラクタ（４）側に中心を有する弧状ガイド孔（12）
が設けられている摺動板（８）の上端に横方向のピン
（７）で軸支させ、さらに、前記シートバック（１）の
内部に埋設されたブラケット（11）に先端が挿込まれる
固定ピン（９）によってシートバック（１）上へ固定さ
れたベース板（10）の表面にこの摺動板（８）を前記弧
状ガイド孔（12）に固定ピン（９）が挿通された状態で
添わせ、該弧状ガイド孔（12）と固定ピン（９）とによ
るガイド下にベルトガイド枠（６）付の摺動板（８）が
シートバック（１）の表面上で左右への揺動ができるよ
うに構成されたものとしている。なお、この実施例では
摺動板（８）の左右への揺動がより円滑にできるように
摺動板（８）の下部に２個の補助ピン（13）、（13）を
取付けてベース板（10）に設けた弧状の補助案内孔（1
4）、（14）内に係合させている。

（作用） 以上のように構成されたものは、ベルトウェービング
（３）をベルトリトラクタ（４）からまっすぐに引き出
す場合においてはベルトウェービング（３）がベルトガ
イド枠（６）のベルト案内部（6b）内を何の抵抗もなく
円滑に引き出されることはもちろんであるが、さらに、
第３図に示されるように右方向に引き出す場合において
も、前記摺動板（８）がベルトリトラクタ（４）側に中
心を有する弧状ガイド孔（12）とこれに係合された固定
ピン（９）のガイドおよび必要に応じて設けられる補助
案内孔（14）、（14）と補助ピン（13）、（13）のガイ
ド下に規制されて右方向に回動することによって一点鎖
線で示されるようにベルトガイド枠（６）も右方向へ回
動されることとなり、ベルトウェービング（３）はベル
ト案内部（6b）内を抵抗なく円滑に引き出されることと
なり、また、ベルトウェービング（３）を左方向に引き
出す場合においても同様にベルトガイド枠（６）が左方
向へ回動され、円滑に引き出される。また、第４図に示
されるようにベルトウェービング（３）を上方向へ引き
出す場合においては、ベルトガイド枠（６）がピン
（７）を中心に上方向へ回動することによって一点鎖線
で示したようにベルトウェービング（３）がベルト案内
部（6b）内を抵抗なく円滑に引き出されることとなる。
なお、摺動板（８）の左右への揺動を前記した実施例の
ように該摺動板（８）に横方向に設けられている弧状ガ
イド孔（12）と該弧状ガイド孔（12）を通じてシートバ
ック（１）の表面にあるベース板（10）に向け挿込まれ
た固定ピン（９）との案内下に行われるものとしたとき
は、機構が簡単であるにもかかわらず極めて円滑な揺動
がおこなわれることとなる。

以上のように、本考案においてはベルトガイド（６）
がベルトウェービング（３）の引出し方向に追従して上
下方向および左右方向に自在に回動するので、従来のよ
うなベルトウェービング（３）の引出し時における抵抗
や引っかかりがなくなって極めて操作が容易となり、ま
た、使用しない場合にはベルトリトラクタ（４）の巻き
戻し力によって所定位置へ自動復帰するので見栄えも優
れたものである。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、いずれの
方向からのベルトウェービング引出しに対しても抵抗や
ひっかかりを生ずることなく極めて円滑に引出し操作を
行なうことができるとともに、ベルトウェービングの摩
耗を防止して耐久性を向上させることができるものであ
る。

よって、本考案は従来の問題点を一掃したベルトガイ
ド機構を備えた自動車用シートベルト装置としてその実
用的価値は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図は同じく
要部の一部切欠斜視図、第３図は同じく要部の一部切欠
平面図、第４図は同じく要部の一部切欠側面図である。 （１）：シートバック、（３）：ベルトウェービング、
（４）：ベルトリトラクタ、（５）：ベルトガイド、
（６）：ベルトガイド枠、（７）：ピン、（８）：摺動
板、（９）：固定ピン、（10）：ベース板、（12）：弧
状ガイド孔。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバック（１）の表面に上端がベルト
   リトラクタ（４）に巻き付けられたベルトウェービング
   （３）を引き出した自動車用シートベルト装置におい
   て、該シートバック（１）の表面上で前記ベルトリトラ
   クタ（４）側に中心を有し摺動板（８）に横方向に設け
   られている弧状ガイド孔（12）と該弧状ガイド孔（12）
   を通じてシートバック（１）の表面にあるベース板（1
   0）に向け挿込まれた固定ピン（９）との案内下におい
   て左右への揺動ができるようにした摺動板（８）と、そ
   の上端に横方向のピン（７）をもって上方に向け枢動自
   在に軸支されるベルトガイド枠（６）とよりなるベルト
   ガイド（５）を前記シートバック（１）の上方部に設け
   て該ベルトガイド枠（６）にベルトウェービング（３）
   をガイドさせたことを特徴とするベルトガイド機構を備
   えた自動車用シートベルト装置。