JP2520680Y2

JP2520680Y2 - 農用車輪

Info

Publication number: JP2520680Y2
Application number: JP1987134363U
Authority: JP
Inventors: 勝康竹上; 景行有村
Original assignee: オーツタイヤ株式会社
Priority date: 1987-09-01
Filing date: 1987-09-01
Publication date: 1996-12-18
Anticipated expiration: 2002-09-01
Also published as: JPS6437705U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、主に播種機、施肥機、畝立機、等の畑作用
農作業機に使用される農用車輪に関する。

（従来の技術）畑作用農業機に使用される農用車輪として空気入りラ
グ付農耕タイヤを用いると、部品点数が多く製作・組立
が煩雑で、空気圧の管理が面倒である等の問題点を有す
る。

一方、実開昭55-85905号公報で開示のゴム焼付車輪を
畑作用に用いると、湿田に比べ畑地走行では車輪の対地
喰い込みが悪く充分な牽引力を確保できず、又、実開昭
52-123121号公報で開示のゴム焼付車輪を畑作用に用い
た場合には、推進ラグが金属板であることから折損し易
くなるという問題があり、このため、特開昭59-77902号
公報で開示のように推進ラグを弾性羽根で形成すると畑
地では該羽根による牽引力は差程期待できないという問
題がある。

そこで、実開昭59-56102号公報で開示されているよう
に、薄板環状芯金を芯金支持部材に固着し、芯金の内外
周面及び左右側面をゴム質部材で固着包囲し、ゴム質部
材のトレッド部の外周に多数のラグを設定した農用車輪
において、前記芯金を内包したゴム質部材は肉厚が幅よ
り小さく板環形であり、前記ラグはトレッド部の幅方向
略中央に周方向等間隔に多数形成された周長部と、この
各周長部から外側方へ延設された側長部とを有する農用
車輪があり、この農用車輪によれば畑作用として用いる
ことができる。

（考案が解決しようとする課題）実開昭59-56102号公報で開示の農用車輪（ゴム焼付車
輪）は、畑作用として用いることができるも、トレッド
部が平板形状であることから対地に喰い込み難く、この
ため牽引力は専らラグに頼らざるを得ず、該ラグの高さ
を高くすると車輪外径が極端に大きくなって本機（作業
機）に実質的に装着できないという課題があり、本機に
装着するには充分な牽引力を発揮することができず、ま
た、直進性および振動吸収性の点で課題があった。

そこで本考案は、直進性および振動吸収性に優れなが
らも畑地走行中において充分な牽引力を発揮できる農用
車輪を提供することが目的である。

（課題を解決するための手段）本考案は、円環状リム５の全周をゴム質材料で包囲固
着して円環状の弾性輪体５を構成し、該弾性輪体６の接
地側外周にゴム質材料からなる多数のラグ７を一体に形
成し、該ラグ７は、弾性輪体６の幅方向中央に位置しか
つ周方向に延伸する周長部８とこの周長部８より軸方向
に延びる側長部９とから構成されていて、該側長部９を
左右に振分けて配列している農用車輪において、前述の
目的を達成するために次の技術的手段を講じている。

すなわち、本考案では、前記ラグ７における周長部８
は、このすべてが車輪中心の同一円周上に位置して周方
向に間隔をもって配列されており、前記側長部９は、前
記周長部材８と同一高さの第１側長部9aとこれより低い
第２側長部9bとを有し、該第１側長部9aは３個おきのラ
グ７に軸方向の突出方向を左右交互に異ならさせて備え
られ、前記第２側長部9bは第１側長部9a間でかつ最も近
い第１側長部9aと異なる方向として突出形成されている
ことを特徴とするものである。

（作用）本考案に係る農用車輪１を畑地用作業機に装着して走
行すると、ラグ７における周長部８で直進性を確保し、
側長部９により牽引力を発揮することになるが、周長部
８のすべては同一円周上に位置することから、車輪１の
直進性は周方向全体に亘って確保できるし、側長部９に
よる牽引力は、高さの低い第２側長部9bによって蹴り出
した残りを高さの高い第１側長部9aによって蹴り出すこ
とにより、車輪１がスリップすることなく走行できるこ
とになる。

一方、路上走行中においては、低い高さの第２側長部
材9bを有しているラグ７の周長部８が弾性変形し易くな
るので走行振動を軽減できる。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。

第１図〜第４図は本考案の第１実施例を示すもので、農
用車輪１は、中央のボス２と、このボス２に周方向に等
角度で放射状に固着された断面円形の中空金属製の３本
のスポーク３と、ボス２及びスポーク３に溶接された補
強板４と、スポーク先端に溶接されていて環状芯材とな
る断面略ハート状の中空金属製で円環状のリム５と、こ
のリム５を被覆するゴム質材料から成る輪体６等から構
成されている。

前記輪体６は、弾性材例えば、JIS硬度70°〜90°の
ゴム材等から形成されており、その断面外郭形状は、接
地側の仮想面6Aが長円形をその長軸に沿って分割した略
半長円形状を呈し、内周側6Bが頂角θを80°〜150°の
略三角形を呈する涙滴状とされた略ハート形（栗形）に
なっており、前記リム５と略同じ形状とせられ、弾性材
肉厚が全体的に略均一とされている。

すなわち、前記リム５は、その断面外郭形状が、接地
側5Aが長円形をその長軸に沿って分割した略半長円形状
を呈する偏平状とされ、内周側5Bを頂角θ′を80°〜15
0°の略三角形を呈する涙滴状とされ、全体として略ハ
ート形とせられており、冷間異形引抜鋼管を使用して環
状に形成されている。

なお、リム５及び輪体６の断面外郭形状において、内
周側5B,6Bの略三角形を形成する斜辺は、直線のみなら
ず曲線としてもよい。

また、前記リム５及び輪体６の内周側頂角θ、θ′
は、80°以下の場合輪体６の高さＨが大きくなるため回
転中の泥の持ち上げ量が多くなり、また、150°以上の
場合内周側の傾斜が緩くなり過ぎて泥の落下すなわち泥
土剥離効果が悪くなる。しかし、この頂角θ、θ′は90
°〜140°とするのがよりよい結果を得るのに好適であ
る。

さらに、輪体６の幅Ｂは、ラグ７を含む輪体高さＡと
等しいかまたは、少し大きくなっている。輪体高さＡを
大きくすることは、前述のように泥の持ち上げ量が多く
なると共に沈下喰い込みが多くなって、旋回及び後退時
の抵抗が大きくなる。

すなわち、本考案に係る農用車輪１は円環状リム５の
全周をゴム質材料で包囲固着して円環状の弾性輪体６を
構成し、該弾性輪体６の接地側外周にゴム質材料よりな
る多数のラグ７を一体に形成し、該ラグ７は、弾性輪体
６の幅方向中央に位置しかつ周方向に延伸する周長部８
とこの周長部８より軸方向に延びる側長部９とから構成
されていて、該側長部９を左右に振分けて配列している
のである。

更に、前記弾性輪体６の接地側の仮想面6Aを軸方向に
関して略偏平状に形成し、該仮想面6Aに前記ラグ７を一
体成形することで前記ラグ７の高さを含む輪体高さＡと
等しいかやや大きな輪体幅Ｂを前記弾性輪体６は有し、
前記ラグ７における周長部８の周方向隣接間に該周長部
８の幅よりも広幅とされた平面視で八角形状の凹部7Aを
形成し、前記弾性輪体６の内周面6Bを、幅方向両端から
軸方向中央部に向かうにしたがって径方向内包へ移行す
るように山形状に形成している。

前記ラグ７は輪体６の外周面（仮想面6A）に山形状に
突出し且つその頂部が略長方形となっている周長部８
と、この周長部８から軸方向一側方へ突出した側長部９
とを有し、該周長部８は、このすべてが車輪中心の同一
円周上に位置して周方向に間隔をもって配列されてお
り、前記側長部９は、前記周長部８と同一高さの第１側
長部9aとこれより低い第２側長部9bとを有し、該第１側
長部9aは第３図で示すように３個おきのラグ７に軸方向
の突出方向を左右交互に異ならさせて備えられ、前記第
２側長部9bは第１側長部9a間でかつ最も近い第１側長部
9aと異なる方向として突出形成されているのである。

以上のように構成した農用車輪１を畑地用作業機に装
着して走行すると、ラグ７における周長部８で直進性を
確保し、側長部９により牽引力を発揮することになる
が、周長部８のすべては同一円周上に位置することか
ら、車輪１の直進性は周方向全体に亘って確保できる
し、側長部９により牽引力は、高さの低い第２側長部9b
によって蹴り出力した残りを高さの高い第１側長部9aに
よって蹴り出すことにより、車輪１がスリップすること
なく走行できることになる。

一方、路上走行中においては、低い高さの第２側長部
9bを有しているラグ７の周長部８が弾性変形し易くなる
ので走行振動を軽減できる。

本考案の第１実施例に係る農用車輪１は、リム５及び
輪体６の断面外郭形状を共にハート形の同形状に形成し
ているので、リム５に焼付けられる弾性材の肉厚が均一
となり、弾性材の使用量を減少させることができ、加硫
時間の短縮が図れ、コスト低下を図ることができる。

また、弾性材の動きが抑制されるので、リム５に対す
る輪体６の接着力が強化される。さらに、輪体６におけ
る接地側の仮想面6Aが偏平状とされ、この仮想面6Aに一
体成形したラグ７は接地面圧が均一化され、沈下喰い込
み防止効果が生じ、旋回及び後退等の抵抗を減少させる
ことができ、輪体６の内周側6Bが略三角形を呈している
ことと相まって輪体高さＨを低くできるので、泥の付着
を少なくかつ泥の持ち上げによる団子状土塊の落下防止
を図ることが可能である。

第５図及び第６図は、本考案の第２実施例を示すもの
で、リム５の断面形状が円形状である点において第１実
施例と異なっているだけで、その他は第１実施例と同一
である。したがって、第１実施例と同一符号を付し、説
明は省略する。

（考案の効果）以上詳述した通り、本考案によれば、ラグ７における
周長部８で直進性を確保し、側長部９により牽引力を発
揮することになるが、周長部８のすべては同一円周上に
位置することから、車輪１の直進性は周方向全体に亘っ
て確保できるし、側長部９による牽引力は、高さの低い
第２側長部9bによって蹴り出力した残りを高さの高い第
１側長部9aによって蹴り出すことにより、車輪１がスリ
ップすることなく走行できることになる。

従って、本考案の農用車輪は、畑地作業機の前輪とし
て利用することによって、旋回性能、振動吸収能を確保
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の第１実施例を示すもので、
第１図は第３図のＩ−Ｉ線断面図、第２図は正面図、第
３図は輪体外周面の展開図、第４図は第３図のIV−IV線
断面図、第５図及び第６図は本考案の第２実施例を示す
もので、第５図は第１図に対応する断面図、第６図は第
４図に対応する断面図である。１……農用車輪、５……リム、６……輪体、７……ラ
グ、８……周長部、９……側長部、9a……第１側長部、
9b……第２側長部。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】円環状リム（５）の全周をゴム質材料で包
囲固着して円環状の弾性輪体（６）を構成し、該弾性輪
体（６）の接地側外周にゴム質材料からなる多数のラグ
（７）を一体に形成し、該ラグ（７）は、弾性輪体
（６）の幅方向中央に位置しかつ周方向に延伸する周長
部（８）とこの周長部（８）より軸方向に延びる側長部
（９）とから構成されていて、該側長部（９）を左右に
振分けて配列している農用車輪において、前記ラグ（７）における周長部（８）は、このすべてが
車輪中心の同一円周上に位置して周方向に間隔をもって
配列されており、前記側長部（９）は、前記周長部
（８）と同一高さの第１側長部（9a）とこれより低い第
２側長部（9b）とを有し、該第１側長部（9a）は３個お
きのラグ（７）に軸方向の突出方向を左右交互に異なら
させて備えられ、前記第２側長部（9b）は第１側長部
（9a）間でかつ最も近い第１側長部（9a）と異なる方向
として突出形成されていることを特徴とする農用車輪。