JP2520119B2 - 流体の集中配送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、同種あるいは異種類の流体のそれぞれの供
給装置から送出される流体を、各々の流体の切替吐出用
弁機構が組み込まれている注入用ガンに供給するための
流体の集中配送装置に関する。

［従来の技術］ 例えば自動車の組立てラインの最終段階においてエン
ジンラジエータに不凍液を充填する際に、出荷地域の気
候条件に応じて氷点降下剤の混入率が30％或は50％とい
った具合に異なった２種類の流体を選択する必要があ
る。

この場合、30％濃度と50％濃度の各不凍液のそれぞれ
の供給システムを用意し、充填ラインに近接させて設置
されている各システムの末端配管継手に、各々の不凍液
専用の注入用ガンを可撓性チューブを介して接続させて
いた。第５図にこのような２系統給液システムの系統を
示した。21と31は不凍液の調合用タンク、51と52は注入
用ガン、53と54はラジエータ、42は真空タンク、61と62
はそれぞれ注入用ガン51に不凍液を供給するためと、真
空吸入用ホースであり、63と64は注入ガン52に接続され
た同様なホースである。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記のように、流体が異なる場合には、２種類の流体
を必要に応じてそ種類を切替えながら注入用ガンを用い
て分配用容器に充填するに際しては、各々の流体専用の
注入ガンを用意しておき、種類の切替えの都度作業者が
手に持つガンの種類を取り替えていたのでは作業能率が
上がらないことおびただしい。そのうえ２個の注入用ガ
ンとその付属ホースを取り扱いやすく納めておくための
余分のスペースが必要となる。更にこれらの多数本の付
属ホースが互いにからみ合って作業のスムーズな進行が
妨げられることも起り勝ちとなる。

本発明は、同種あるいは異種類の流体を連続あるいは
切替注入することのできる流体の注入用ガンを、各流体
の供給源に接続させるための、注入作業の能率の著しい
向上を可能にすると共に、その設置スペースを節約する
ことのできる流体の集中配送装置を提供することを目的
とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するため、この発明の流体の集中配
送装置は、流体の配送用の外側チューブと、該外側チュ
ーブの内径より小さい外径を有し、該外側チューブ内に
挿通させた、流体の配送用の内側チューブと、前記内外
２重チューブの一端側に取り付けるための、前記外側及
び内側チューブの一端側をそれぞれ嵌合させられるよう
に同軸的に配設させた一組のチューブ接手、これら両チ
ューブ接手にそれぞれ連なる第１の入口接手及び第２の
入口接手とを有する導入用配管継手と、前記外側チュー
ブの他端側に取り付けるためのチューブ継手を有するチ
ューブ末端継手と、該チューブ末端継手に接続されるス
プレーガン、流体注入用ガンなどの弁機構とからなり、
前記内側チューブの末端は、前記チューブ末端継手の近
傍で前記外側チューブ内に開放されている構成を採用し
た。

［作用及び発明の効果］ 上記の如き構成を備えた本発明装置は、流体が２種類
に異なる場合には、異種流体の集中導入用配管継手に同
軸的に設けてある一組のチューブ接手のうちの内側接手
に、第２の流体の配送用の内側チューブの一端を、また
外側接手に第１の流体配送用の外側チューブの一端をそ
れぞれ嵌着させることによって装置の組付けが終る。

この装置の使用方法は、集中導入用配管継手の第１の
流体入口接手及び第２の流体入口接手を、それぞれ装置
の使用場所に近接して設けてあり、これら両流体の供給
源に連らなる配管の末端継手に接続することによって使
用可能状態となる。

必要に応じて排出用継手の第１の流体出口を流体注入
用ガンに接続すればよい。

従って従来は２種類の流体を一連の注入流れ作業中に
随時切替えて注入する場合には、２つの注入用ガンと、
各注入用ガンへのそれぞれの流体供給チューブを必要と
したのに対して、本発明のそれは１個の注入用ガンと、
１本にまとめられた同軸チューブとで足りるようにな
り、注入装置の設置スペースを節約できる上に、従来の
ように複数本のチューブのからみ合いや、複数本の可撓
性チューブを束ねて使用する際にチューブ束の屈撓しや
すさに方向性が生じることによって、注入用ガンの振り
回し操作の円滑性が失われ、注入作業効率が大巾に低下
する不具合いが解消される。同種の流体の場合には、注
入用ガンに対する接続用のチューブは一本のみで済み、
上記と同様の注入用ガンの操作が良くなり、作業効率が
大巾に向上する。

［実施例］ 以下に付図に示す実施例に基づいて本発明装置を具体
的に説明する。

第１図及び第２図は、一実施例装置の部分破断斜視図
と異種流体の集中導入用配管継手（または排出用継手）
の縦断面図である。

装置は全体として第１の流体と第２の流体とを集中配
送させるための２重構造チューブＡと、その一端側に嵌
着させた異種流体の導入用配管継手Ｂと、チューブ末端
継手Ｃとから成り立っている。

２重構造チューブＡを構成する外側チューブ１と、こ
の外側チューブ１の内径より小さい外径を有し、外側チ
ューブ１内に挿通された内側チューブ２とは長さがほぼ
等しく、可撓性に富んだ材料、例えば可撓性合成樹脂や
合成ゴムなどで作られている。具体的な材質は搬送すべ
き流体の化学的性質や流体の温度などに応じて適宜に選
択すればよい。

異種流体の導入用配管継手Ｂは、同軸的に配置されて
外側チューブ１と内側チューブ２のそれぞれの一端側を
嵌合させるための１組のチューブ接手3a及び4aと、この
外側チューブ接手3aと連通状態にある第１の流体の入口
接手3bと、この内側チューブ接手4aと連通状態にある第
２の流体の入口接手4bとを備えている。

このような継手構造は、耐蝕性金属材料例えば真鍮、
アルミニウム合金などを切削加工して形成させてもよい
し、物理的ないし化学的特性のすぐれたいわゆるエンジ
ニアリングプラスチックの鋳込み成形部品を組合わせる
方法によってもよい。継手の形状・寸法は必要に応じて
適宜に設計変更すればよい。

チューブ末端継手Ｃは、外側チューブ１の下流側端を
嵌合させるためのチューブ接手7aと、流体注入用ガンへ
の接続用接手7bを継手本体７に設けた構成を備えてい
る。

第３図は本発明装置を、自動車組立ラインの終端部に
設けられているエンジンラジエータへの不凍液充填施設
に使用する事例を示した施設全体のシステム図である。
この場合には氷点降下剤含有量がそれぞれ50％と30％の
２種類の不凍液を、車の出荷地域に応じて自由に切替注
入できるように構成されている。

氷点降下剤の原液貯槽に連らなる原液配管20、及び原
液の稀釈用純水の貯溜タンクに連らなる純水配管30は、
50％不凍液の調合用タンク21と、30％不凍液の調合用タ
ンク31に流量制御用電磁弁Ｇを経てそれぞれ送り込まれ
る。22と32は槽内の撹拌用アジテータ、23と33は液面
計、ｇは調圧弁、ｐはポンプ、ｆは流量計であり、24と
34は氷点降下剤の濃度が50％と30％にそれぞれ調整済み
の２種類の不凍液の供給配管の末端に設けられたバルブ
付き管継手であって、不凍液注入ラインに近接して設置
されている。25と35は各管継手の上流側に介在させた空
気圧作動型の遠隔操作用バルブであり、a1、B1及びa2、
B2は不凍液の配送ラインを示す。

また、この不凍液充填用施設には、注入を容易にする
ためにラジエータ内部の空気を抜き取るための真空吸引
装置が付設されている。41は真空ポンプ、42は真空タン
ク、43、44は吸引された空気中の水分や油分などを分離
して真空ポンプ41への侵入を防ぐための分液タンクであ
り、26は真空吸引用配管ｂの末端に取り付けたバルブ付
き管継手であり、27は空気圧作動式の遠隔操作バルブで
あって、真空源への接続の断続をつかさどる。

本発明による異種流体の集中配送装置は、異種流体の
導入用配管継手Ｂの２つの流体入口継手3bと4bをそれぞ
れ濃度30％または50％の不凍液の供給配管のバルブ付き
管継手24または34に適宜の補助配管を用いて接続すると
共に、この継手Ｂのチューブ接手3a及び4aにそれぞれ一
端側を嵌着させてある内外２重チューブＡの、外側チュ
ーブ１の他端側を流体注入用ガンＤの流体導入口接手10
1に接続させる。

第４図に流体注入用ガンＤの構造の一例を側断面図と
して示した。ガンＤは流体の流路の断続用バルブ機構が
組み込まれている上部バルブボデー100と、不凍液の注
入がスムーズに行える様にラジエータ内の空気を抜き取
るための真空吸引源への断続用バルブ機構を組み込んだ
下部バルブボデー200との合体構造を備えている。上部
バルブボデー100は流体導入口接手101と吐出口106を備
え、シリンダとして機能するバルブボデー200内に遊嵌
されたピストン102のピストンロッドの先端に弁体105が
固設されている。103は弁体105の閉弁維持用コイルスプ
リングであり、110はピストン102を上下動させるための
圧縮空気の取入口である。

下側バルブボデー200には真空吸引用配管の末端管継
手26への連結のための真空導入口201と、流体の吐出口1
06を包囲するようにして形成させた真空吸引口206が設
けてあり、シリンダとして機能するバルブボデー200内
に遊嵌されたピストン202の上死点側は弁体205を構成し
ている。203は弁体205の閉弁維持用コイルスプリングで
あり、210はピストン202の上下動用圧縮空気の取入口で
ある。207は真空吸引口206を囲むようにして取付けたゴ
ム弾性材料からなる筒状のシーリングカバーであって、
流体注入用ガンＤをラジエータの注液口に押し当てた
時、このシーリングカバー207によってラジエータ内部
は外気から遮断される。

つぎに、本発明の第２実施例として塗装用循環装置に
適用した例を第６図及び第７図を参照して説明する。30
0は、内部に液体塗料を貯溜したミキシングタンク、301
はサージタンク、塗料供給用ポンプ300aからサージタン
ク301、ラインフィルター302、供給配管303及び背圧レ
ギュレータ304を順に介してミキシングタンク300に連結
されている。この供給配管303からは例えば図示の如く
３本の分岐管305が延出されている。

さて、第７図において、307は内部に内側チューブ306
を同軸的に挿通した外側チューブで、これの一端部は供
給側である分岐管305、レギュレータ312、ボールバルブ
311及び外側チューブ回路と内側チューブ回路を別にし
たフッティング308に連結され、他端部はガン元フィテ
ィング313、クイックカプラー314を介して塗装用のスプ
レーガンD1に接続されている。一方、315は戻り側の短
絡チューブで、これの一端は螺子込み式の口金36及びフ
ィティング308を介して外側チューブ307回路に連結さ
れ、他端は螺子込み式の口金317、ボールバルブ318及び
ニードル弁319を介して戻り管320（サードライン）に接
続されている。この戻り管320はミキシングタンク300に
帰還している。

しかして、塗装作業時には、塗装供給ポンプ300aによ
りミキシングタンク300内の塗料が汲み上げられて、サ
ージタンク301、ラインフィルター302を介して供給配管
303及び背圧レギュレータ304からミキシングタンク300
内に循環流入する。このとき、供給配管303内を流動す
る塗料が分岐管305からレギュレータ312、ボールバルブ
311及びフィティング308の内側回路を順に介して内側チ
ューブ306に入り、ガン元フィティング313からクイック
カプラー314を介してスプレーガンD1に供給され、ひい
ては、スプレーガンD1により自動車の車体などの被塗装
物に対して塗装が行われる。これと同時に、内側チュー
ブ306内を流動する塗料はガン元フィティング313側の端
部から溢れ出て外側チューブ307を入って逆方向に流
れ、フィティング308から第７図に矢印で示す如く戻り
側短絡チューブ315に入り、ボールバルブ318及びニード
ル弁319を順に介して戻り管320（サードライン）内に入
り、ここから塗料はミキシングタンク300内に帰還す
る。このように塗装作業時には、塗料が常に供給配管30
3、戻り管320及び両側チューブ306、307といった管内を
循環するので、塗料の停滞によって沈降を生ずる不都合
がないといった塗料循環装置特有の効果が得られる。ま
た、塗装作業時には、スプレーガンD1の接続に対するチ
ューブは内外両側チューブ306、307との同軸チューブ一
本のみで済むので、チューブにわずらわされることな
く、スプレーガンD1を円滑に移動させることができガン
の操作性が大巾に向上し、短時間で迅速に塗装作業を終
了でき良好な作業能率が得られる。また、塗装作業の終
了時には、幾本かのチューブをたぐり合わせて束ねたり
する必要がなくなり手早く収納でき、しかも少ない収納
スペースで済み、省スペース化に寄与する。

本発明によれば、注入用あるいは塗装用のスプレー用
ガンに接続すべき流体搬送用チューブの取付け方法とし
て、従来は複数本のチューブを並列させていたのを更め
て、同軸的に配置させて一本にまとめたことによって、
注入用あるいは塗装用のスプレーガンの振り回し操作の
軽快化や収納時のコンパクト化などの効果を得ることを
目的としてなされたものであるから、上記の実施例の外
にも、様々な組み合わせによる同一種類あるいは２種類
の液体または気体の配送目的に対して極めて有効に活用
することができる。

また異種流体の導入用及び排出用継手Ｂの構造は実施
例に限られることなく様々に設計変更が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による一実施例装置の斜視図、第２図は
異種流体の導入用（または排出用）継手の縦断面図、第
３図は自動車エンジンのラジエータに濃度の異なる２種
類の不凍液を選択的に注入するための施設において、注
入用ガンへの不凍液の配送手段として本発明装置を用い
る例を示した施設全体のシステム図である。 第４図は流体注入用ガンの構造を例示した側断面図であ
る。 第５図は第３図に示されたと同様な従来の施設のシステ
ム図である。 第６図は塗料循環装置のシステム図、第７図は要部の拡
大断面図である。 図中、Ａ……内外２重チューブ、Ｂ……異種流体の導入
用配管継手、Ｄ……液体注入用ガン、D1……塗装用のス
プレーガン、１、306……外側チューブ、２、307……内
側チューブ、3a、4a……チューブ接手、315……短絡チ
ューブ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】流体の搬送用の外側チューブと、 該外側チューブの内径より小さい外径を有し、該外側チ
   ューブ内に挿通させた、流体の配送用の内側チューブ
   と、 前記内外２重チューブの一端側に取り付けるための、前
   記外側及び内側チューブの一端側をそれぞれ嵌合させら
   れるように同軸的に配設させた一組のチューブ接手、こ
   れら両チューブ接手にそれぞれ連なる第１の入口接手及
   び第２の入口接手とを有する導入用配管継手と、 前記外側チューブの他端側に取り付けるためのチューブ
   継手を有するチューブ末端継手と、 該チューブ末端継手に接続されるスプレーガン、流体注
   入用ガンなどの弁機構とからなり、 前記内側チューブの末端は、前記チューブ末端継手の近
   傍で前記外側チューブ内に開放されていることを特徴と
   する流体の集中配送装置。