JP2518618B2 - 鋼の連続鋳造用鋳型 - Google Patents

鋼の連続鋳造用鋳型

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JP2518618B2
JP2518618B2 JP61166894A JP16689486A JP2518618B2 JP 2518618 B2 JP2518618 B2 JP 2518618B2 JP 61166894 A JP61166894 A JP 61166894A JP 16689486 A JP16689486 A JP 16689486A JP 2518618 B2 JP2518618 B2 JP 2518618B2
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    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D11/00Continuous casting of metals, i.e. casting in indefinite lengths
    • B22D11/16Controlling or regulating processes or operations
    • B22D11/22Controlling or regulating processes or operations for cooling cast stock or mould

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、鋳造時や熱間加工時における表面疵の発
生が少ない鋼鋳片を得るための連続鋳造用鋳型に関する
ものである。
〈背景技術〉 近年、鉄鋼の製造に当たっては、垂直型もしくは湾曲
型の連続鋳造機を使用した連続鋳造工程が不可欠なもの
となっているが、このような連続鋳造法によってブルー
ムやスラブ等の鋳片を製造しようとすると、その鋳造の
途中で鋳片に加わる熱応力や曲げ応力によって表面疵
(表面割れ)が発生し、これを熱間直送圧延(連続鋳造
で得た鋳片を加熱することなく直ちに実施する圧延)又
はホットチャージ圧延(連続鋳造で得た鋳片を室温にま
で冷却することなく再加熱して実施する圧延)しようと
すると、前記表面疵がそのまま圧延工程にまで持ち来た
されて割れ疵が一層助長されるという不都合があった。
また、連続鋳造鋳片に通常の熱間加工(一旦常温にまで
冷却した鋳片を再加熱して行う熱間鍛造や熱間圧延)を
施す場合でも表面疵を発生しやすいという問題が目立
ち、表面性状の良好な熱間加工鋼材を製造する上で大き
な障害となっていた。
ところで、上述のような表面疵の発生状況を調査する
と何れもオーステナイト(γ)粒界の割れを伴って起き
ることが観察されることから、従来、前記表面疵の発生
原因の1つとして「鋳片の凝固・冷却中にオーステナイ
ト(γ)粒界へ析出又は偏析する炭化物や窒化物(NbC,
AlN等),(Mn,Fe)S等の硫化物,更にはPやS等の不
純物元素が結晶粒界の脆弱化を招くこと」が挙げられる
ようになり、表面疵(割れ)の発生頻度が上記析出物や
偏析を生じさせる元素の含有量に大きく影響されること
が知られるようになってきた。
そこで、このような元素の含有量を制御することによ
って鋳片の表面疵防止を図る試みもなされたが、この場
合には製品の品質(特性)確保やコスト面で限界がある
上、化学成分の調整基準が今一つ明確でなく、従って化
学成分の調整のみでは十分に満足できる効果を挙げ得な
かった。
一方、かかる鋳片表面疵の発生頻度は第3図で示され
るように鋳片のC含有量に大きく依存すると言う事実も
ある。しかし、その原因は未だに不明であり、これに対
する何らの方策も見つからないこともあって、結局はこ
のようなC含有量領域を避けて操業が行われることすら
あった。
しかしながら、第3図にみられるような“表面疵発生
頻度が急激に高くなる領域”は必ずしも一定しておら
ず、鋼種によってもバラツキがあり、特に低合金鋼の場
合にはC含有量から推し測れないような思いがけない成
分組成領域において表面疵発生頻度が極端に高くなるこ
とが多かったことから、操業上極めて不都合な結果を招
く事態がしばしば生じていた。
それ故、従来一般に実施されていた表面疵防止対策
は、オシレーションマークを浅くしたり凝固シェルに作
用する熱応力を軽減したりするために「鋼片の冷却速度
を小さくする」といった不十分なものでしかなかった。
このようなことから、鋼の連続鋳造やこれに次いで実
施される熱間加工(熱間圧延等)において鋼片表面に割
れ疵が発生するのを確実に防止し、表面性状の良好な熱
間加工鋼材を工業的に安定して量産し得る手段の出現が
強く望まれていた。
〈研究により明らかとなった事項〉 本発明者等は、上述のような観点から、“連続鋳造に
よって製造される鋼鋳片の鋳造途中における表面の疵発
生”や“連続鋳造鋳片を熱間加工する際に起こりがちな
表面疵の発生”を確実に防止できる実施容易な手段を見
出すべく、「そのためには第3図で示したような特定C
含有量領域近傍での表面疵発生頻度急増の原因解明が不
可欠である」との考えの下に種々の実験・研究を重ねた
ところ、次に示すような知見を得ることができた。
(a)連続鋳造鋳片の結晶粒界割れは、従来言われてい
たように結晶粒界に析出又は偏析する炭化物,窒化物,
硫化物あるいは不純物等に係る元素の含有量に影響され
ることもさることながら、これらの析出や偏析密度を左
右するオーステナイト(γ)粒の粒度に大きく影響さ
れ、凝固・冷却中のオーステナイト(γ)粒の粗大化が
鋳片の粒界割れを著しく助長すること。
(b)凝固・冷却中の炭素鋼鋳片のオーステナイト
(γ)粒粗大化の程度はC含有量の変化によって大きく
変わり、それもC含有量との単なる比例的関係を維持し
ながら変化するのではなく、第4図で示すように、前述
した“表面疵を発生しやすいC含有量領域”で急激に著
しくなるという挙動を示すこと(因に第4図はFe−C系
鋼の凝固・冷却中に冷却速度を5℃/secとしたときのC
含有量とオーステナイト粒径との関係を示す曲線であ
る)。
(c)これらの結果と、「凝固・冷却中のオーステナイ
ト(γ)粒の粗大化はオーステナイト単相となってから
急激に起こり、しかも温度が高いほどその傾向が著し
い」という実験による確認事項とからみて、凝固・冷却
中の炭素鋼鋳片は、同一冷却条件下であると、必然的に
第5図で示されるFe−C系平衡状態図からも明らかな
“オーステナイト単相化温度が最も高い組成のもの”、
即ち“包晶点組成(Fe−C系では0.18重量%C)のも
の”が最も粗大はオーステナイト(γ)粒を呈するよう
になり(第5図中の破線は第4図で示したオーステナイ
ト粒粗大化挙動を表わす)、そのため熱間割れ感受性も
この付近のものが急激に高くなると結論されること。
(d)ところで、第4図で示されるオーステナイト
(γ)粒径粗大化挙動と第3図で示される鋳片表面疵発
生頻度傾向とは必ずしも合致していない。しかしなが
ら、これは、第4図が純粋なFe−C系での実験結果であ
るのに対して第3図は実用鋼の場合のデータであるとい
う相違に起因するものであって、C以外の含有元素(合
金元素等)の影響によって包晶点がずれているからに他
ならないこと。
(e)しかも、鋼中に含有されるC以外の元素の種類に
よっては鋼の熱間割れ感受性が一層鋭敏化し、鋳片表面
疵の増大を招く恐れがあること。
(f)従って、鋳片の熱間割れ感受性を評価する場合に
は、C含有量だけでなく合金元素の影響も含めたC当量
(Cp)を指標にする必要があること。
(g)状態図的な検討から鋼の包晶点に影響を及ぼすと
考えられる元素としてC,Mn,Ni,Cu及びNが挙げられ、C
当量(Cp)は下記式で整理されること(以降、成分割合
を表わす%は重量%とする)。
(h)状態図的検討によって得られた上記式は実際と良
く合致しており、これに基づいて鋳片の熱間割れ感受性
を極めて的確に評価できること。
第6図は、これを確認するため本発明者等が実施した
実験結果を示すものであり、第1表に示される成分組成
内の合計50種類の鋼から採取した小片をアルミナるつぼ
中で再溶解した後、冷却速度:5℃/secで冷却し、そのオ
ーステナイト粒径を測定して上記式で算出されるCp値に
より整理したグラフである。この第6図からも明らかな
如く、オーステナイト(γ)粒径はCp値で良く整理さ
れ、Cp値が0.18で最大値をとることが分かる。
(i)上記の如くオーステナイト(γ)粒径がCp 値に左右される理由は、オーステナイト単相化温度(T
γ)がCp値の変化に追随して同様傾向で変化しその値に
より決定されるからであり、例えばCp値が特定の値(0.
18;即ち包晶点)の時にオーステナイト(γ)粒径が最
大値となるのは、そのCp値の時にオーステナイト単相化
温度(Tγ)が最も高くなって冷却過程でのオーステナ
イト(γ)粒成長期間も最長となり、粗大化の機会が十
分に与えられるからであること。
このことは、先に示した第5図からも推測されること
ではあるが、実験結果を整理した第7図を参照された
い。
第7図は、第1表に示される成分組成内の合計70種類
の鋼から採取した小片をアルミナるつぼ中で再溶解した
後、冷却速度:0.1℃/sec,2.0℃/sec及び10℃/secで冷却
し、そのオーステナイト単相化温度(Tγ)を測定して
前記式で算出されるCp値により整理したグラフである
が、この第7図からも明らかな如く、冷却速度が0.1℃/
sec以下ではオーステナイト単相化温度(Tγ)はCp値
により良く整理されて次式のように表わされ、Cp値が0.
18で最大値をとることが分かる。
(j)また、一方で、同一組成鋼を凝固・冷却した場合
における鋳片のオーステナイト(γ)粒径はCp値(即ち
“Tγ”)に影響されることもさることながら、高温領
域での冷却速度にも大きく左右され、特にオーステナイ
ト単相化温度(Tγ)から約1000℃に至るまでの温度領
域における冷却速度によってほぼ決定されてしまうこ
と。
第8図は、各種C含有量の炭素鋼を溶解してから冷却
速度:0.28℃/secで冷却するとともに、その途中から水
焼入れして組織を固定したものについて、該水焼入れ温
度とオーステナイト(γ)粒径との関係をプロットした
グラフである。また、第9図はTγ前後の組織の一例で
あり、0.15%C−1.48%Mn鋼を冷却速度:0.1℃/secで冷
却した場合の顕微鏡組織を示したものであって、第9図
(a)は1470℃(Tγ+5℃)から水焼入れしたもの、
そして第9図(b)は1460℃(Tγ−5℃)から水焼入
れしたものをそれぞれ示している。これらの図からは、
Tγ直後からγ粒が急激に粗大化し始めることが分か
る。
更に、上記第8図及び第9図から、急冷がオーステナ
イト(γ)粒成長に大きく影響するのは極く高い温度
域、特にオーステナイト単相化温度(Tγ)から1000℃
までの温度域に限られ、それよりも低い温度域では急冷
の影響はそれほど顕著でなくなることが明らかである。
そして、第10図を参照されたい。この第10図は、前記
第1表に示される成分組成内の合計30種の鋼についてオ
ーステナイト単相化温度(Tγ)以降の冷却速度を種々
に変え、1000℃に到達後急冷してその組織を固定したも
ののオーステナイト(γ)粒径を前記冷却速度で整理し
て表したグラフである。この第10図からは、オーステナ
イト単相化温度(Tγ)が最も高くてオーステナイト粒
が粗大化しやすい“包晶組成(Cp=0.18)の鋼”であっ
たとしても、オーステナイト単相化温度(Tγ)以降の
冷却速度を大きくしてやればオーステナイト(γ)粒の
粗大化を防止できることが分かる。
(k)ところで、連続鋳造途中の鋳片の表面割れ傾向
や、連続鋳造に引き続いて行われる熱間直送圧延又はホ
ットチャージ圧延での鋼片の表面割れ傾向は、連続鋳造
鋼片表層部(表面から3mm程度、多くとも10mm)の割れ
感受性によって決まってくること。
(1)従って、包晶組成付近の鋳片であってもオーステ
ナイト単相化温度(Tγ)以降の表層部冷却速度を大き
くすると、該表層部におけるオーステナイト粒の粗大化
が抑制されて単位体積当りの結晶粒界面積の大きい細結
晶粒組織が得られるようになり、このため結晶粒界に集
まる析出物や偏析の密度が低くなって割れ感受性が緩和
されるとともに靱性も高くなるので、前記表面割れの恐
れが払拭されてしまうこと。
(m)このようなことから、連続鋳造によって製造され
る鋳片の鋳造途中における表面疵(割れ)の発生や、連
続鋳造鋳片を熱間圧延する際の表面疵(割れ)発生傾向
が強い鋼種を前記式(Cp値を算出する式)によって簡単
・確実に予測することが可能であり、また、これらの鋼
種についても鋳片の表層部が特定の高温度域(実際には
“Tγ”以上を目安にすれば良い)である間に急冷処理
(表層部の冷却速度が10℃/sec以上となる冷却)するこ
とにより表面疵発生を安定して抑えることが可能である
こと。
そこで、本発明者等はこれら(a)〜(m)の知見事
項に基づき、鋳型内に注入した溶鋼の高温域における冷
却速度を速くすることで表面割れ感受性の低い鋳片を製
造しようとの試みを行ったが、実際には次のような問題
のあることが分かった。
即ち、鋼を連続鋳造する場合の実操業においては、溶
鋼メニスカス近傍では凝固シェルと鋳型壁とが溶融パウ
ダーを介して密着した状態で凝固が進行するものの、そ
れより下方になると“溶鋼の凝固収縮”と“鋳片の温度
降下に伴う収縮”とで鋳片は鋳型壁面から離れてしま
い、鋳型の抜熱作用を損なうエアーギャップを生じるよ
うになる。従って、垂直型又は湾曲型連続鋳造機で使用
される通常の鋳型(長さ700〜900mmかそれ以上)では、
その後にオーステナイト粒界破壊を起こして表面疵を発
生しやすくなる程度にまでオーステナイト粒の粗大化を
もたらすような、著しい冷却遅れが生じるのを免れるこ
とができない。
このため、鋳型の長さを短くして、鋳型内での溶鋼の
凝固は極く薄い鋳片表面凝固層の形成だけに止め、鋳型
下端から早めに引き抜いた鋳片に冷却媒体を吹き付ける
ことで高温度域での冷却速度を高めることも試みたが、
この場合には鋳片のブレークアウトを引き起こす危険が
極めて高く、実操業上好ましい手段ではなかった。
そこで、鋼の成分組成に影響されることなく、表面割
れ感受性が小さくて“オーステナイト粒界に沿って伝播
する表面疵”を発生し難い連続鋳造鋳片を安定かつ生産
性良く製造する手段を提供すべく検討を続けたところ、
「鋼の連続鋳造用両端開放鋳型として、鋳型の下部内壁
面にその部位の鋳片表層部温度を検出する手段と冷却媒
体吹き込み用ノズル孔とを設けると共に、この“鋳型の
下部内壁面”の上方位置に“吹き込まれた冷却媒体”を
吸引し排出するための導通孔を開設したものを用い、鋳
込まれた溶鋼が凝固し鋳片表層部を形成し始めた頃合か
ら、表層部温度が未だオーステナイト単相化温度にある
うちに、該部位に冷却媒体を連続して吹き込んで上記排
出用導通孔に向けて循環させながら鋳片表層部の急冷を
図ると、鋳片ブレークアウトによる危険を確実に回避し
つつ鋳込まれた溶鋼の高温での高い冷却速度を容易に確
保することが可能となり、鋳片表層部をTγ以上の温度
から10℃/sec以上の冷却速度で冷却するという条件を安
定して達成できるようになる」との新しい知見を得るこ
とができた。しかも、このような連続鋳造用鋳型におい
て、上記“鋳型の下部内壁面”を幾分か後退させて凝固
し始めた鋳片表面と鋳型内壁面との間に比較的間隔の開
いた隙間を設けるようにすると、その冷却効果が一層向
上することも明らかとなった。
〈課題を解決するための手段〉 本発明は、上記数々の知見事項等を基に完成されたも
のであり、 鋼の連続鋳造用両端開放鋳型を、第1図で示したよう
に、鋳型1の下部内壁面2に鋳片表層部温度測定用の検
温センサー3と冷却媒体吹き込み用ノズル孔4とを配設
し、かつ該下部内壁面2の上方に冷却媒体吸引用導通孔
6を設けることにより、下部内壁面に達した鋳片表層部
の温度が先に述べた適正な範囲(“Tγ”以上の急冷効
果が期待できる範囲)であるか否かを検温センサー3に
て検知すると共に、適正温度域にある鋳片表層部を10℃
/sec以上の冷却速度で冷却できるように検温センサー3
を通じて冷却媒体吹き込み用ノズル孔4からの冷却媒体
吹き込み量を調節し得るようにし、かつ吹き込まれた冷
却媒体が鋳型1の上部内壁面5と溶鋼7のメニスカス8
との間に間隙を作ってそこから上方に吹き抜け、メニス
カス8近傍の冷却を不安定化するのを冷却媒体吸引用導
通孔6からのスムーズな排出により確実に防止できるよ
うにするか、あるいは第2図に示されるように、これら
に加えて鋳片表層部温度測定用の検温センサー3と冷却
媒体吹き込み用ノズル孔4とが配設された鋳型1の下部
内壁面2を上部内壁面5よりも後退させることで、冷却
媒体による冷却効果とその均一性を更に増すと共に(鋳
片表面と下部内壁面との間でエアーや冷却媒体が部分的
に留まるのが確実に防止されるためである)、冷却媒体
吸引用導通孔6からの冷却媒体の吸引を容易にして吸引
能力を高め得るようにするかした構造とすることによっ
て、鋳込まれた溶鋼の高温での高い冷却速度が容易に確
保される上、鋳片ブレークアウトによる危険を確実に回
避できるようにし、鋼種に影響されることなく表面疵が
なくてしかも表面割れ感受性の低い連続鋳造鋳片を安定
して量産し得るようにして点」に特徴を有している。
なお、本発明において鋳造対象とする鋼はその種類を
問うものではないが、得られる効果の点からすればC:0.
7%以下,Mn:3%以下,Ni:3%以下,Cu:2%以下及びN:0.5
%以下で、更に必要によりCr:3%以下,Nb:0.5%以下,V:
0.5%以下,Ti:0.5%以下,Al:0.1%以下及びSi:3%以下
のうちの1種以上をも含み、かつ式 Cp=C(%)+Mn(%)/33+Ni(%)/25+Cu(%)/4
4+N(%)/1.7 で算出されるCpの値が0.6を下回る低合金鋼(通常の不
可避不純物が含まれていても何ら影響を受けない)を対
象としたときに特に著しい。
ところで、本発明に係る鋳型を用いた鋳造において
は、溶鋼から形成された直後の鋳片表層部(鋳片の表面
から3mm程度、多くとも10mm程度まで)の冷却条件を
「オーステナイト単相化温度以上から10℃/sec以上の冷
却速度で冷却する」と設定するのが良い。
これは、先に指摘した第8乃至9図からも明らかなよ
うに、鋳型内で凝固を始めて形成された鋳片表層部の温
度がTγ以下になるとγ粒の粗大化傾向が著しく顕著化
するが、このときに該鋳片表層部を特定の速い冷却速度
で冷却するとオーステナイト(γ)粒の粗大化が抑制さ
れ、鋳片表面疵の発生を十分に抑えることができる。と
ころが、この際の冷却速度が10℃/sec未満であるとオー
ステナイト(γ)粒の粗大化抑制効果が不十分となり、
割れ感受性の低い鋳片を安定して得ることができなくな
る。従って、溶鋼から凝固・形成された直後の鋳片表層
部の冷却条件は、「オーステナイト単相化温度以上から
10℃/sec以上の冷却速度で冷却する」ことを目安として
設定するのが良い。
なお、第10図は、先にも説明したように鋳片表層部の
温度がTγを切ってからの冷却速度とオーステナイト
(γ)粒との関係を示したグラフであるが、この第10図
からも、前記の冷却速度が10℃/sec以上であれば十分な
オーステナイト粒粗大化抑制効果を得られるのに対し
て、その冷却速度が10℃/sec未満であると鋳片表層部の
オーステナイト粒が粗大化傾向を見せ、オーステナイト
粒界破壊を伴う鋳片表面疵の多発を招くようになること
が明らかである。
また、先にも述べたように従来の垂直型又は湾曲型連
続鋳造機の鋳型では高温度域における鋳片表層部の冷却
速度を10℃/sec以上とすることは不可能であるが、前述
した本発明に係る鋳型を使用すればこの冷却速度レベル
を十分に確保することができる。なお、鋳造作業の不安
定さは否めないが、両端開放鋳型の長さを短かくすると
共に、出口での鋳片表層部温度がTγ以上となるように
鋳片の引き抜き速度を調整した上で鋳型直下で鋳片に冷
却媒体を吹き付ける方法を採用する等の手段によっても
前記冷却速度の確保は可能である。
以下、前記第1図又は第2図で例示した“本発明に係
る鋳型”による鋼の連続鋳造作業について説明する。
さて、鋳型1中に溶鋼7が鋳込まれると、鋳型の上部
内壁面5の抜熱作用によって極く薄い凝固シェル9が形
成されるが(符号10は冷却水通路を示す)、この上部内
壁面5の長さを例えば500mm程度(メニスカス下の長さ
は300mm程度)と極く短かくしておくと、鋳片の凝固シ
ェルが形成されたばかりの部分は直ちに下部内壁面2の
位置にまで降下されることとなり、冷却媒体吹き込み用
ノズル孔4から吹き込まれて冷却媒体吸引用導通孔6へ
と還流する冷却媒体(例えばHeガス等)によって効率良
く冷却される。この場合、第2図で示した鋳型のように
下部内壁面2を後退させておくと、鋳片表面と下部内壁
面との間でエアーや冷却媒体が部分的に留まるのが確実
に防止されるため、冷却効率は一層向上する。
なお、冷却媒体吹き込み用ノズル孔4から吹き込む冷
却媒体としては、Heガス等の冷却ガスのほか、これらと
水との混合ガス等を採用することもできる。
従って、従来の連続鋳造用両端開放鋳型におけるよう
な「凝固や冷却による収縮のため凝固シェル面が鋳型内
壁面から離れて両面間に空気層を形成し、これにより冷
却遅れを生じる」という不都合を来たすことはない。
しかも、上記本発明に係る鋳型では下部内壁面2に検
温センサー3が取り付けられているので、この検温セン
サー3により急冷開始鋳片の表層部温度を正確に確認す
ることができる上、冷却速度の調整も容易となる。その
ため、鋳片表層部の高温度域における高い冷却速度が安
定して確保される。それ故、該表層部におけるオーステ
ナイト粒の粗大化を確実に防止することができ、表面疵
の無い、そして表面割れ感受性の低い鋳片を効率良く製
造することが可能である。
また、このような鋳型であれば、所望厚の凝固シェル
が形成されるまでの鋳片部分を鋳型内に止めておくこと
ができるので、ブレークアウトによる危険が生じること
もない。
そして、このように健全な凝固シェルが形成された鋳
片は鋳型下部から連続的に引き抜かれ、冷却水スプレー
ノズル11により十分に冷却されながら搬送される。
次に、この発明を実施例により比較例と対比しながら
説明する。
〈実施例〉 実施例1 第2表に示されるところの、成分的には連続鋳造鋳片
に表面疵が多発し易いA鋼を溶解し、前記第1図で示し
たような本発明に係る水冷銅鋳型あるいは従来の水冷銅
鋳型を取り付けた実用の湾曲型連続鋳造機(湾曲半径:1
2.5m)によって、断面寸法が250mm×1200mmのスラブを
鋳造速度:1.2m/minにて約150m製造した。
なお、本発明に係る水冷銅鋳型は、第3表に示す形状
と寸法を有するものであり、従来の水冷銅鋳型は全長が
800mmのものであった。
また、このとき使用した本発明に係る鋳型は、鋳片表
層部の温度が「Cp式を用いてCと成分元素の添加量より
求めたCp値から算出した“Tγ”」に至ったことを検温
センサーが感知すると、コンピュータにより制御されて
いる冷却媒体吹き込みノズル孔からの冷却媒体噴出量が
“Tγを感知した検温センサー直上以降のノズル孔”に
ついてのみ0.2l/minから0.4l/minに増加するように設定
されたものであった。そのため、温度がTγである鋳片
表層部の冷却速度は安定して10℃/sec以上に維持され
た。
このようにして得られた鋳片の表面疵を目視評価した
が、その結果を第11図に示す。なお、第11図において
「割れ指数」とは、鋳片1m2当たりに発生する表面割れ
の総数である。
第11図からも明らかなように、本発明の鋳型を使用し
て鋳片表層部をTγ以上から10℃/sec以上の冷却速度で
冷却しながら連続鋳造すると、表面割れ指向の強い鋼で
あっても表面疵が殆ど発生しなくなり、無手入れ化が可
能となることが分かる。
実施例2 第2表に示されるところの、連続鋳造鋳片には表面疵
が発生しにくいもののその後の熱間圧延時に割れを生じ
易い成分組成であるB鋼を溶解し、第2図で示されるよ
うな水冷銅鋳型(下部内壁面2が上部内壁面よりも20mm
後退しているほかは第1図と同様のもの)を使用して実
施例1におけると同様条件で断面寸法が250mm×1200mm
のスラブを製造した。
そして、表面温度:950℃でスラブ矯正点を通過したス
ラブについて表面性状の観察を行ったところ、本発明に
係る鋳型を使用した場合及び従来の鋳型を使用した場合
のいずれのスラブにも表面疵は認められなかったが、前
記スラブ矯正点を通過したスラブを切断し、約900℃の
温度にてそのまま125mm厚にまで5パスでの圧延を実施
したところ、本発明に係る鋳型を用いたものには表面疵
の発生が全く認められなかったのに対して、従来の鋳型
によるものは割れ疵が多発することが観察された。
〈効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、連続鋳造途
中や続いての熱間加工(例えば熱間直送圧延又はホット
チャージ圧延)中に割れ疵を発生しやすい鋼種を用いて
も、それらのトラブルを生じることなく所望製品の製造
を実施することが可能となるなど、産業上極めて有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は何れも本発明の鋳型を使用した連続
鋳造の状況を示す模式図であって、第1図と第2図はそ
れぞれ別形式の鋳型を使用したものの例を示している。 第3図はC含有量と鋳片表面疵発生頻度との関係を示す
グラフである。 第4図はFe−C系鋼のC含有量とオーステナイト粒径と
の関係を示すグラフである。 第5図はFe−C系平衡状態図である。 第6図は鋼のCp値とオーステナイト粒径との関係を示す
グラフである。 第7図は鋼のCp値とオーステナイト単相化温度(Tγ)
との関係を示すグラフである。 第8図は冷却途中の各種C含有量の炭素鋼を種々の温度
にて水焼入れて組織を固定した際の、水焼入れ温度とオ
ーステナイト粒径との関係を示すグラフである。 第9図はオーステナイト単相化温度(Tγ)の前後にお
ける金属組織の変化を比較した顕微鏡組織写真図であ
り、第9図(a)は1470℃(Tγ+5℃)から水焼入れ
した状態を、そして第9図(b)は1460℃(Tγ−5
℃)から水焼入れした状態をそれぞれ示すものである。 第10図は鋼のオーステナイト単相化温度以降の冷却速度
とオーステナイト粒系との関係を示すグラフである。 第11図は通常鋳型と本発明に係る鋳型を用いたときの鋳
片の割れ指数を比較したグラフである。 図面において、 1…鋳型,2…下部内壁面,3…検温センサー,4…冷却媒体
吹き込み用ノズル孔,5…上部内壁面,6…冷却媒体吸引用
導通孔,7…溶鋼,8…メニスカス,9…凝固シェル,10…冷
却水通路,11…冷却水スプレーノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金沢 敬 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住友金属工業株式会社総合技術研究所内 (72)発明者 友野 宏 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属 株式会社和歌山製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭54−4224(JP,A) 特開 昭61−195761(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続鋳造用両端開放鋳型であって、鋳型下
    部内壁面に検温センサーと冷却媒体吹き込み用ノズル孔
    とが配設され、かつ該鋳型下部内壁面の上方に冷却媒体
    吸引用導通孔が設けられてなることを特徴とする、鋼の
    連続鋳造用鋳型。
  2. 【請求項2】連続鋳造用両端開放鋳型であって、鋳型下
    部の内壁面が後退させられるとともに、該後退内壁面に
    検温センサーと冷却媒体吹き込み用ノズル孔とが配設さ
    れ、かつ該鋳型下部内壁面の上方に冷却媒体吸引用導通
    孔が設けられてなることを特徴とする、鋼の連続鋳造用
    鋳型。
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