JP2514499Y2 - ロツドレスシリンダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、非磁性材料からなり、シリンダチユーブに
内嵌したピストンの外周とシリンダチユーブに外嵌した
スライダの内周のいずれか一方に永久磁石を固着すると
ともに他方に永久磁石または磁性体を固着して、永久磁
石と永久磁石または磁性体との間の磁気吸引力によりス
ライダをピストンと一体的に摺動させるようにしたロツ
ドレスシリンダに関する。

従来の技術及び考案が解決しようとする問題点 上記のような磁気吸引力を利用したロツドレスシリン
ダとして、従来は、一対のヘツドカバーの間に差し渡し
て固定した１本の円形のシリンダチユーブにピストンを
内嵌するとともにスライダを外嵌し、スライダがシリン
ダチユーブの軸心回りに回転するのを防止するために、
両ヘツドカバーの間に、シリンダチユーブと平行なガイ
ドバーをスライダに貫通させて設けたものが用いられて
いたが、かかる構造のロツドレスシリンダは、スライダ
の横断面積に対するシリンダチユーブの横断面積の割合
が少ないために、ピストンへの空気圧の作用により生じ
る推力はスライダの重量に対して十分に大きくはなく、
また、大きな推力を得るためにシリンダチユーブの直径
寸法を大きくすると、それにともなつてスライダが著し
く大形化するとともにその重量も著しく増大するという
不具合が生じるのであり、このような欠点は、スライダ
を固定してシリンダチユーブとヘツドカバーを移動させ
るように用いる場合にも同様に生じる問題であつて、こ
のため、小形化と軽量化を図りつつ大きな推力を得るこ
との可能なロツドレスシリンダが望まれていた。

問題点を解決するための手段 本考案は、上記問題点を解決するための手段として、
一対のヘツドカバーの間に、非磁性材料からなり、ピス
トンを気密かつ摺動自由に内嵌してなる複数本のシリン
ダチユーブを互いに平行に差し渡して固定し、その複数
本のシリンダチユーブに、複数の貫通孔を形成してなる
スライダをその貫通孔を外嵌することにより相対的摺動
自由に嵌装し、ピストンの外周と貫通孔の内周のいずれ
か一方に永久磁石を固着するとともに、他方に永久磁石
または磁性体を固着して、永久磁石と永久磁石または磁
性体との間の磁気吸引力により前記スライダをピストン
と一体的に摺動させるようにした構成とした。

考案の作用及び効果 本考案は上記構成になり、スライダとヘツドカバーの
いずれか一方を固定するとともに他方に被駆動部材を連
結して、加圧空気の供給により推力を発生させると、ス
ライダまたはヘツドカバーがシリンダチユーブの軸心方
向に移動し、このときに、シリンダチユーブはスライダ
が他のシリンダチユーブの軸心回りに相対的に回転する
のを防止するためのガイドバーを兼ねていることから、
スライダとシリンダチユーブの間で相対的回転が生じる
ことはないのであり、また、推力の大きさはシリンダチ
ユーブの横断面積の合計値に比例することから、シリン
ダチユーブの直径寸法と本数を変えることによつて任意
に設定することができ、さらに、スライダとヘツドカバ
ーの横断面形状は、シリンダチユーブの直径寸法、本数
及び配置の仕方を適宜に設定することにより、例えば厚
さ寸法の小さい偏平な形状等のような所望の形状にする
ことが可能である。

本考案のロツドレスシリンダは、シリンダチユーブを
複数本設けてスライダのシリンダチユーブに対する相対
的回転防止のためのガイドバーを兼用させるようにした
から、専用のガイドバーをスライダに貫通させて設けた
従来のロツドレスシリンダに比べて、スライダまたはヘ
ツドカバーの横断面積に対するシリンダチユーブの総横
断面積の割合が大きく、これにより、スライダとヘツド
カバーの小形化と軽量化を図りつつ大きな推力を得るこ
とができる効果がある。

実施例 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

図において、１、１は、内径及び長さが同寸法の円筒
形をなし、水平面内において一対のヘツドカバー２、２
の間に互いに平行に差し渡された非磁性材料からなる２
本のシリンダチユーブであつて、これらのシリンダチユ
ーブ１、１は、各ヘツドカバー２に嵌着した２つの封止
体３、３に両端部を螺着することによつて固定されてお
り、一方、各ヘツドカバー２には、夫々、図示しない加
圧空気供給源に接続されるポート４が形成されていると
ともに、封止体３の外周の周溝５からシリンダチユーブ
１の中空内に達する流通孔６と、両封止体３、３の周溝
５、５同士を連通させる連通孔７とが形成されていて、
これにより、ポート４及び両シリンダチユーブ１、１の
中空内が互いに連通されている。

各シリンダチユーブ１の中空内には、夫々、一対の円
形をなす保持体9a、9bの一方の保持体9aから突出した中
心棒10の先端部を他方の保持体9bに螺着してなるピスト
ン８が、両保持体9a、9bに外嵌したピストンパツキン1
1、11により気密を保ちつつ、かつ、両保持体9a、9bに
外嵌したウエアリング12、12によりシリンダチユーブ１
と同心を保つように嵌装されていて、一方のヘツドカバ
ー２のポート４から加圧空気を供給すると、両ピストン
８、８の一側の端面に加圧空気による同じ圧力が作用す
ることによつて、シリンダチユーブ１、１内を両ピスト
ン８、８が互いに同速度で相対的に摺動するようになつ
ている。各ピストン８の両保持体9a、9bの間には、円環
形をなし、一端面側がＮ極で他端面側がＳ極である複数
個の永久磁石14が、中心棒10に外嵌した状態で軸線方向
に並んで挾着されていて、これらの永久磁石14は、磁性
材料からなる介装板15を介してＮ極同士またはＳ極同士
が隣り合わせに対応するように配置されている。

両ヘツドカバー２、２の間には、矩形をなすスライダ
16が、その２つの貫通孔17、17に両シリンダチユーブ
１、１を同心に貫通させた状態で配置されていて、その
各貫通孔17の内周とシリンダチユーブ１の外周との間に
は、夫々、円環形をなし、両端面がＮ極とＳ極となつて
いる複数個の永久磁石18がシリンダチユーブ１に対して
相対的摺動自由に外嵌した状態で嵌装され、これらの永
久磁石18は、磁性材料からなる介装板19を介してＮ極同
士とＳ極同士が隣合わせに対応するように配置されてい
るのであつて、両ピストン８、８がスライダ16の両貫通
孔17、17内に位置する状態においては、第２図に示すよ
うに、ピストン８の各永久磁石14のＮ極とＳ極が、夫
々、スライダ16の各永久磁石18のＳ極とＮ極に非磁性の
シリンダチユーブ１の肉厚を挟んで半径方向に対応する
ことによつて、両永久磁石14、18の間に磁気吸引力が発
生するようになつている。

本実施例のロツドレスシリンダは上記構成になり、両
ヘツドカバー２、２を図示しない固定部材に固定すると
ともにスライダ16にテーブル等の図示しない被駆動部材
を連結した状態で、一方のポート４からの加圧空気の供
給と他方のポート４からの加圧空気の排出とを行うと、
シリンダチユーブ１、１に対して両ピストン８、８が互
いに同速度で摺動するのにともない、ピストン８の永久
磁石14とスライダ16の永久磁石18との間に生じる磁気吸
引力によつて、スライダ16が両ピストン８、８と一体的
に水平方向に摺動するのであり、また、上記とは逆に、
スライダ16を固定するとともにヘツドカバー２に被駆動
部材を連結した状態においては、加圧空気の供給と排出
にともなつて、ヘツドカバー２、２とシリンダチユーブ
１、１がピストン８、８及びスライダ16に対して水平方
向に移動するのであつて、上記の作動中において、一方
のシリンダチユーブ１は、スライダ16と他方のシリンダ
チユーブ１との間での軸心回りの相対的回転を防止する
ためのガイドバーを兼ねているから、スライダ16とヘツ
ドカバー２、２は、摺動する間は回転することなく一定
の姿勢に保たれる。

２本のシリンダチユーブ１、１をスライダ16に貫通さ
せた構成になる本実施例のロツドレスシリンダを、スラ
イダに１本のシリンダチユーブと回転防止用のガイドバ
ーを貫通させた従来のロツドレスシリンダと比較する
と、シリンダチユーブの軸線と直角な面内におけるスラ
イダの断面積に対するシリンダチユーブの断面積の割合
は従来のロツドレスシリンダの２倍となつており、一定
の空気圧により生じる推力の大きさはピストンの断面積
すなわちシリンダチユーブの断面積に比例することか
ら、本実施例のロツドレスシリンダの推力は従来のロツ
ドレスシリンダの推力の２倍の大きさとなつている。

また、本実施例のロツドレスシリンダにおいて大きな
推力が必要とされない場合には、両シリンダチユーブ
１、１の直径寸法を小さくすればよく、これにともなつ
て、スライダ16及びヘツドカバー２の幅と高さの寸法を
小さくすることが可能となつて、より小形に、かつ、よ
り軽量にすることができる。

上記実施例においては、２本のシリンダチユーブ１、
１を用いたロツドレスシリンダについて説明したが、本
考案によれば、シリンダチユーブの本数を３本以上とし
てもよく、この場合には、シリンダチユーブの直径寸法
と配置の仕方を適当に変えることによつて、シリンダチ
ユーブと直角な面内におけるスライダとヘツドカバーの
断面形状とその寸法、及び、推力の大きさを任意に設定
することが可能であつて、その一例を挙げると、直径寸
法の小さい多数本のシリンダチユーブを水平面上に並列
するようにすると、スライダとヘツドカバーを高さの寸
法の小さい偏平な形状とすることができる。

同じく、上記実施例においては、ピストン８の外周と
スライダ16の貫通孔の内周の両方に永久磁石14、18を固
着したが、本考案は、ピストン側とスライダ側のいずれ
か一方に永久磁石を固着するとともに、他方に鉄製リン
グ等の磁性体を固着する構成になるロツドレスシリンダ
にも適用することができるものである。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示し、第１図は斜視図、
第２図は縦断面図である。 1:シリンダチユーブ、2:ヘツドカバー、8:ピストン、1
4:（ピストンの）永久磁石、16:スライダ、17:貫通孔、
18:（スライダの）永久磁石

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一対のヘツドカバーの間に、非磁性材料か
   らなり、ピストンを気密かつ摺動自由に内嵌してなる複
   数本のシリンダチユーブを互いに平行に差し渡して固定
   し、該複数本のシリンダチユーブに、複数の貫通孔を形
   成してなるスライダを該貫通孔を外嵌することにより相
   対的摺動自由に嵌装し、前記ピストンの外周と前記貫通
   孔の内周のいずれか一方に永久磁石を固着するととも
   に、他方に永久磁石または磁性体を固着して、前記永久
   磁石と前記永久磁石または磁性体との間の磁気吸引力に
   より前記スライダを前記ピストンと一体的に摺動させる
   ようにしたことを特徴とするロツドレスシリンダ