JP2513407Y2 - 自動二輪車の動力伝達装置 - Google Patents

自動二輪車の動力伝達装置

Info

Publication number
JP2513407Y2
JP2513407Y2 JP1989093081U JP9308189U JP2513407Y2 JP 2513407 Y2 JP2513407 Y2 JP 2513407Y2 JP 1989093081 U JP1989093081 U JP 1989093081U JP 9308189 U JP9308189 U JP 9308189U JP 2513407 Y2 JP2513407 Y2 JP 2513407Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crankshaft
input shaft
reduction gear
shaft
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1989093081U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0333792U (ja
Inventor
長谷川  隆
徹 林
勇 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP1989093081U priority Critical patent/JP2513407Y2/ja
Publication of JPH0333792U publication Critical patent/JPH0333792U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2513407Y2 publication Critical patent/JP2513407Y2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • General Details Of Gearings (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 A.考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、自動二輪車の動力伝達装置に関し、特に、
ベルト式無段変速機の後段に入力軸、中間軸、および出
力軸の3軸を有する歯車減速機を備えた自動二輪車の動
力伝達装置に関する。
(2) 従来の技術 従来、かかる歯車減速機を備えた自動二輪車の動力伝
達装置として、実開昭60-188690号公報に記載されたも
のが知られている。
上記自動二輪車の動力伝達装置は、エンジンのクラン
ク軸と歯車減速機の入力軸がベルト式無段変速機によっ
て接続されるとともに、この歯車減速機が互いにギヤ結
合された入力軸、中間軸および出力軸の3軸を備えてい
るが、クランク軸と歯車減速機の入力軸および出力軸が
車体の前後方向に延びる直線上に配設されているので、
動力伝達装置の前後長が比較的長くなっていた。
(3) 考案が解決しようとする課題 ところでリードバルブを有する吸気系をシリンダの後
面側に配した背面吸気ケースリードバルブ方式の2サイ
クルエンジンにおいては、そのシリンダを、クランク軸
軸線を通る鉛直面よりも同軸線を通る水平面側に寄せて
前傾配置すれば、それだけ吸気系のスペースを増大させ
ることができ、エンジンの出力特性向上を図る上で有利
となる。
ところが斯かる前傾シリンダ構造を、上記公知例のよ
うなベルト式無段変速機及び歯車減速機を組み合わせた
動力伝達装置に単純に適用した場合には、パワーユニッ
トが前後方向にかなり長大化する問題がある。また上記
方式の2サイクルエンジンにおいて、スタータモータを
吸気系との干渉を回避すべくクランクケースの真下に配
設すれば、前傾シリンダの前側の側面より下向きに延出
する排気管のスタータモータの下側に取り回す場合に、
その排気管の途中を下方に大きく屈曲させる必要があっ
て、その取回しが容易でないし排気抵抗の増加の原因と
なる。
更に動力伝達装置を低重心化することは、自動二輪車
の走行性能を向上させる上で望ましいことである。
本考案は、前述の事情に鑑みてなされたもので、シリ
ンダを十分に前傾させて吸気系のスペース増大を図りな
がら前記課題を解決することができる、自動二輪車の動
力伝達装置を提供することを目的とする。
B.考案の構成 (1) 課題を解決するための手段 前記目的を達成するために請求項1の考案は、クラン
ク軸軸線を通る鉛直面よりも同軸線を通る水平面側に寄
せて前傾させたシリンダを有する2サイクルエンジンの
クランク軸、歯車減速機の減速機入力軸、中間軸および
減速機出力軸を車体の前方から後方に順次配設し、前記
エンジンのクランクケースを前部に連設した伝動ケース
内に、前記クランク軸及び減速機入力軸間を接続したベ
ルト式無段変速機と、前記歯車減速機とを収容し、前記
シリンダの前側の側面より排気管を下向きに延出させ、
前記シリンダの後側の側面と前記伝動ケースの上面との
間に、前記クランクケース内上部に下流端を開口した吸
気系を配設し、その吸気系にリードバルブを設けてな
る、自動二輪車の動力伝達装置であって、前記クランク
軸と減速機入力軸とを結ぶ車体前後方向に延びる直線の
上下方向一側に前記中間軸を配設するとともに、この直
線の上下方向他側に前記減速機出力軸を配設し、前記ク
ランク軸に始動トルクを付与し得るスタータモータを、
前記クランク軸軸線より後方側に偏位して前記伝動ケー
スの下部に取付け、前記排気管を、それのシリンダから
下向きに延出する上流部が車体側方より見て前記伝動ケ
ースの前面下部に略沿って前記スタータモータの下部ま
で延在するように配設したことを特徴とし、また請求項
2の考案は、前記特徴に加えて、前記ベルト式無段変速
機のドリブンプーリと前記減速機入力軸とを同一軸線上
に配置し、前記クランク軸と減速機入力軸とを結ぶ車体
前後方向に延びる直線の下側に前記中間軸を配設すると
ともに、この直線の上側に前記減速機出力軸を配設し、
前記減速機入力軸には、該入力軸と前記ドリブンプーリ
との間に介装されるクラッチのクラッチアウタを結合し
たことを特徴とする。
(2) 作用 各請求項の考案の上記特徴によれば、シリンダが、ク
ランク軸軸線を通る鉛直面よりも同軸線を通る水平面側
に寄せるようにして十分に前傾しているため、その前傾
シリンダの後側の側面と伝動ケース上面との間に吸気系
のスペースが十分広く確保される。
また歯車減速機の減速機入力軸、中間軸及び減速機出
力軸の三者が上下方向に偏位して配列されるから、減速
機入力軸と中間軸の軸間距離、および中間軸と減速機出
力軸の軸間距離の和よりも、減速機入力軸と減速機出力
軸の車体前後方向の距離が短かくなって、それだけ歯車
減速機(従って動力伝達装置)の前後長短縮が図られ
る。このため、上記の如くシリンダを十分前傾させたこ
とでエンジンが縦長傾向となっても、エンジン及び動力
伝達装置を含むパワーユニット全体の前後方向長大化が
回避される。
更にスタータモータを吸気系や無段変速機との干渉を
回避すべく伝動ケース下部に配置しても、該モータをク
ランク軸軸線より後方側に偏位させ、シリンダの前側の
側面より下向きに延出する排気管の上流部を、車体側方
より見て伝動ケースの前面下部に略沿ってスタータモー
タの下部まで延在するように配置したから、排気管を、
その中間部を下方に大きく屈曲させてなくても該モータ
の下方を無理なく取り回すことが可能となる。しかもク
ランクケース周りに配置すべき吸気系およびスタータモ
ータを、その相互干渉を回避し且つ該モータの下方への
張出量を極力抑えながら、前後方向に比較的長い無段変
速機の上下に無理なく分散配置することができる。
一方、請求項2の考案の上記特徴によれば、減速機入
力軸及び中間軸が何れも、クランク軸と減速機出力軸と
を結ぶ車体前後方向に延びる直線よりも下側に位置する
ようになり、しかも無段変速機のドリブンプーリと同軸
関係にある減速機入力軸にはクラッチアウタが結合され
る。このため、動力伝達装置の大物部品であるクラッチ
アウタやベルト式無段変速機のドリブン側、更には減速
機入力軸や中間軸を全て動力伝達装置の下部側に極力寄
せ置くことができる。
(3) 実施例 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。第
1図〜第8図は本考案の一実施例を示すもので、第1図
は本動力伝達装置を適用した自動二輪車の全体側面図、
第2図は第1図の要部拡大断面図、第3図は第2図のII
I-III線断面図、第4図は第3図のIV-IV線断面図、第5
図は第3図のV−V線断面図、第6図は第2図のVI-VI
線断面図、第7図はドリブンプーリの可動側プーリ半体
の側面図、第8図はカム溝の拡大図である。
第1図に示すように、この自動二輪車は車体フレーム
Fの中央部にエンジンEと伝動ケースTを備えたパワー
ユニットPを搭載している。車体フレームFの後部には
リヤフォーク1が枢支ピン2で上下揺動自在に枢支され
ており、このリヤフォーク1と車体フレームF間にはリ
ヤクッション3が装着されている。リヤフォーク1の後
端に車軸4を介して軸支した後輪Wrは、該車軸4に固着
した従動スプロケット5に巻き掛けたチェン6を介して
前記パワーユニットPに連結されている。
第2図および第3図に示すように、パワーユニットP
のエンジンEは2サイクルの背面吸気ケースリードバル
ブ式エンジンであって、それのクランクケース10が伝動
ケースTの前部に連設されている。そのエンジンEのシ
リンダ7は、第1,2図からも明らかな如くクランク軸15
の軸線を通る鉛直面よりも同軸線を通る水平面に寄せて
前上がりに傾斜(即ち前傾)させてあり、そのシリンダ
7の前側の側面には排気ポート7eが開口され、その排気
ポート7eには、該シリンダ7の前側の側面より下向きに
延出する排気管90の上流端が接続される。また前記シリ
ンダ7の傾斜状態で、吸気用リードバルブ8は、その弁
体8aが吸気ポート9の内部に突出するようにシリンダ7
の背面に当たるクランクケース10の上部壁面に装着され
ており、このリードバルブ8の弁体8aの配置によりクラ
ンク室の容積が可及的に小さくなるように構成されてい
る。リードバルブ8の上流側には、後方に延びる伝動ケ
ースTの上面と前傾シリンダ7の後側の側面との間の空
間に位置するように、キャブレター11およびエアクリー
ナ12が配設されている。而してキャブレター11、エアク
リーナ12、及びリードバルブ8、並びにこれらを接続す
る排気管は互いに協働して、クランクケース10内上部に
下流端を開口した本考案の吸気系Inを構成している。
エンジンEのシリンダ7内に摺動自在に嵌合するピス
トン13にコンロッド14を介して連結されるクランク軸15
は、一対のボールベアリング16,16を介して車体の左右
方向に向けて伝動ケースTに支持されている。
クランクケース10からエンジンカバー17内に右方向に
突出するクランク軸15の右端にはフライホイール18がナ
ット19で固着されている。フライホイール18の外側面に
はエンジンEを冷却するためのファン20が一体に固着さ
れるとともに、該フライホール18の外周に形成したフラ
ンジ18aの内面には発電機21のマグネット22がステータ
コイル23の外周を囲むように装着されている。
一方、クランクケース10から伝動ケースT内に左方向
に突出するクランク軸15にはスプライン15aが形成され
ており、このスプライン15aの右端にはベルト式無段変
速機Bのドライブプーリ25の固定側プーリ半体26が嵌合
して固着されるとともに、そのスプライン15aの中間部
にはドライブプーリ25の可動側プーリ半体29が軸方向摺
動自在に嵌合している。また、クランク軸15の左端には
ナット27の締付力によってランププレート28が該クラン
ク軸15に対して相対回転不能に固着され、その先端に設
けたスライドピース28aが前記ドライブプーリ25の可動
側プーリ半体29の軸方向に形成した案内片29aに摺動自
在に係合している。これにより、前記ランププレート28
は可動側プーリ半体29の軸方向の摺動を許容しながら該
可動側プーリ半体29と一体で回転する。可動側プーリ半
体29とランププレート28間に形成される半径方向外側に
向けてテーパする空間には遠心ウエイト30が収容されて
おり、クランク軸15の回転速度が増加して遠心ウエイト
30に作用する遠心力が増加すると、前記テーパ状の空間
を半径方向外側に移動する遠心ウエイト30に押圧された
可動プーリ半体29が右側に移動して固定側プーリ半体26
との間隔が接近し、両プーリ半体26,29間に挟持した断
面V字状のベルト31を半径方向外側に移動させるように
構成されている。
伝動ケースTの後部に一対のボールベアリング32を介
してその右端と中央部を支持された減速機入力軸33の左
半部には、グリスポケット34を挟んで設けられたニード
ルベアリング35とボールベアリング36によってインナス
リーブ37が減速機入力軸33に対して相対回転自在に支持
されている。インナスリーブ37の外周にはアウタスリー
ブ38が相対回転自在かつ軸方向移動自在に支持されてお
り、このインナスリーブ37とアウタスリーブ38にはベル
ト式無段変速機Bのドリブンプーリ39の固定側プーリ半
体40と可動側プーリ半体41がそれぞれ固着されている。
前記インナスリーブ37の右端には自動遠心クラッチ42の
クラッチインナ43がナット44で固着されており、このク
ラッチインナ43との間に装着されたスプリング45によっ
て前記アウタスリーブ38と可動側プーリ半体41が固定側
プーリ半体40に接近する方向に付勢されている。
伝動ケースTの左側には外気導入通路80が設けられて
おり、前記固定側プーリ半体40の外側面に一体に形成し
たファン40aにより外気導入通路80を介して導入された
冷却風は、導風リブ81に案内されて整流された後、伝動
ケースTの内部を冷却する。そして、この冷却風は伝動
ケースTの内部と外気を連通する排出通路82を介して外
部に排出される。
第7図に示すように、インナスリーブ37の周面にはピ
ン46が半径方向外向きに植設されており、このピン46の
先端に設けたローラ47がアウタスリーブ38の周面に形成
したカム溝48に係合している。第8図から明らかなよう
に、前記カム溝48は概略3角形をなし、その第1ポジシ
ョンP1と第3ポジションP3間(回転方向進み側)に該ア
ウタスリーブ38の周方向に対して傾斜する始動用カム面
48aが、また第2ポジションP2と第3ポジションP3間
(回転方向遅れ側)に該アウタスリーブ38の周方向に対
して傾斜する走行用カム面48bが形成されている。
エンジンEの後部において、前述のベルト式無段変速
機Bと後述の歯車減速機間に挟まれて形成される空間に
は自動遠心クラッチ42が配設される。すなわち、減速機
入力軸33の中間部には、前記クラッチインナ43の外側に
位置するクラッチアウタ49がスプライン嵌合してナット
50で固着されている。第4図から明らかなように、クラ
ッチインナ43の側壁にピン51によって枢支され、スプリ
ング52で半径方向内側に付勢された3個のクラッチウエ
イト53には、クラッチアウタ49のフランジ49a内周面に
対向する摩擦部材53aが装着されて発進用クラッチ54が
構成されている。一方、第5図から明らかなうに、クラ
ッチアウタ49の側壁にピン55によって枢支され、スプリ
ング56で半径方向内側に付勢された2個のクラッチウエ
イト57には、クラッチインナ43のフランジ43a内周面に
対向する摩擦部材57aが装着されてエンジンブレーキ用
クラッチ58が構成されている。したがって、第3図から
明らかなように、減速機入力軸33のドリブンプーリ39側
に発進用クラッチ54が、その反対側にエンジンブレーキ
用クラッチ58が隣接して配設される。
歯車減速機59の減速機入力軸33に一体に形成した入力
ギヤ60は、伝動ケースTの前記減速機入力軸33の後下方
に軸支した中間軸61にスプライン嵌合する第1中間ギヤ
62に噛合し、さらにこの中間軸61に一体に形成した第2
中間ギヤ63は伝動ケースTの後部上方に一対のボールベ
アリング64で軸支した減速機出力軸65に圧入した出力ギ
ヤ66に噛合している。伝動ケースTから外部に突出する
減速機出力軸65の端部には駆動スプロケット67が固着さ
れており、この駆動スプロケット67は前記チェン6を介
して後輪Wrの従動スプロケット5に接続している。第2
図から明らかなように、歯車減速機59の減速機入力軸3
3、中間軸61及び減速機出力軸65は車体の前方から後方
に順次配列されており、しかもクランク軸15と減速機入
力軸33とを結ぶ車体前後方向に延びる直線の上下方向一
側(図示例では下側)に前記中間軸61が配設されると共
に、この直線の上下方向他側(図示例では上側)に前記
減速機出力軸65が配設されており、従って減速機入力軸
33及び中間軸61は何れも、クランク軸15と減速機出力軸
65とを結ぶ車体前後方向に延びる直線よりも下側に位置
している。
第2図および第6図に示すように、伝動ケースTの下
部には、クランクケース10よりも下方で且つクランク軸
15の軸線よりも後方側に偏位してスタータモータ68が取
付けられており、従ってこのスラータモータ68は、クラ
ンクケース10を挟んでリードバルブ8を反対側に位置す
る。そのスタータモータ68は、エンジンEの始動時にク
ランク軸15に始動トルクを付与すべく、伝動ケースTの
内部に設けた周知のスタータピニオン飛び込み機構69に
連結されている。そして、この飛び込み機構69の出力軸
に固着されて左方に突出可能なスタータピニオン70の移
動経路に位置するように、前記ドライブプーリ25の固定
側プーリ半体26の外周にスタータリングギヤ26aが形成
されている。したがって、スタータモータ68を起動する
と、飛び込み機構69のスタータピニオン70が左方に突出
してスタータリングギヤ26aに噛合し、このスタータリ
ングギヤ26aと一体の固定側プーリ半体26を固着したク
ランク軸15を回転させてエンジンEが始動される。
第1図に示すように排気管90は、それのシリンダ7の
前側の側面より下向きに延出する上流部90aが車体側方
より見て伝動ケースTの傾斜した前面下部に略沿ってス
タータモータ68の下部まで延在するように配設される。
第3図に示すように、伝動ケースTの後部左側にはキ
ック式スタータ71が設けられている。すなわち、伝動ケ
ースTの左壁に軸支したキック軸72の外端にはペダル73
を備えたキックアーム74が固着されるとともに、その内
端には駆動ヘリカルギヤ75が固着されている。駆動ヘリ
カルギヤ75と伝動ケースTの間にはリターンスプリング
76が装着され、キックアーム74を自動的に元位置に復帰
させるようになっている。前記駆動ヘリカルギヤ75は伝
動ケースTの内面に軸方向に移動自在に支持した従動ヘ
リカルギヤ77に噛合している。従動ヘリカルギヤ77の内
端に固着したラチェッホイール78は前記減速機入力軸33
に装着したインナスリーブ37の左端に形成したラチェッ
ト歯37aに噛合可能に対向している。前記ラチェッホイ
ール78の外周にはリング状のフリクションスプリング79
が当接しており、そのフリクションスプリング79の端部
は伝動ケースTに内壁に形成した前記導風リブ81に係止
されている。
次に、前述の本考案の実施例の作用について説明す
る。
スタータモータ68を起動すると飛び込み機構69を介し
て突出したスタータピニオン70がドライブプーリ25の固
定側プーリ半体26の外周に形成したスタータリングギヤ
26aに噛合し、前記固定側プーリ半体26が固着されたク
ランク軸15を駆動してエンジンEの始動が行われる。一
方、キック式スタータ71を用いたエンジンEの始動は、
伝動ケースTから外部に延びるキックアーム74のペダル
73を紙面の表から裏方向にキックすることにより行われ
る。前記ペダル73のキックにより、駆動ヘリカルギヤ75
に噛合する従動ヘリカルギヤ77が回転し、その際ラチェ
ッホイール78に摺接するフリクションスプリング79から
受ける摩擦力で従動ヘリカルギヤ77の回転に抵抗が与え
られるため、該従動ヘリカルギヤ77は駆動ヘリカルギヤ
75から軸方向の推力が与えられる。これにより、従動ヘ
リカルギヤ77とラチェッホイル78は一体に右方向に移動
し、このラチェッホイル78がインナスリーブ37の端面に
形成したラチェット歯37aに噛合する。インナスリーブ3
7が回転すると、該インナスリーブ37に植設したピン46
を介してアウタスリーブ38も回転し、両スリーブ37,38
に固着したドリブンプーリ39の固定側プーリ半体40と可
動側プーリ半体41に巻き掛けたベルト31が駆動される。
ベルト31の回転はドライブプーリ25に伝達され、コノド
ライブプーリ25が支持されたクランク軸15が回転するこ
とによりエンジンEの始動が行われる。エンジンEが始
動してドリブンプーリ39が回転を開始すると、インナス
リーブ37に形成したラチェット歯37aに跳ね飛ばされて
ラチェッホイール78が離間し、キックアーム74はリター
ンスプリング76によって元位置に復帰する。
さて、前述のキック式スタータ71によるエンジンEの
始動の際に、キックアーム74の駆動力は先ずインナスリ
ーブ37に伝達され、第8図に示すように、このインナス
リーブ37に植設したピン46を矢印a方向に駆動する。こ
れにより、ピン46がアウタスリーブ38に形成したカム溝
48の始動用カム面48aに当接して該アウタスリーブ38を
矢印b方向に押圧しながら第1ポジションP1に向かい、
インナスリーブ37の回転はアウタスリーブ38に伝達され
る。このようにして、可動側プーリ半体41が固定側プー
リ半体40に接近するように矢印b方向に押圧されること
により、ベルト31は両プーリ半体40,41に挟圧されてス
リップすることが防止され、エンジンEのスムーズな始
動が可能となる。
エンジンEが始動すると、そのクランク軸15の回転は
ベルト式無段変速機Bのドライブプーリ25からドリブン
プーリ39に伝達される。このとき、ベルト31の駆動力は
先ず負荷の小さいドリブンプーリ39の可動側プーリ半体
41に伝達される。このために、第8図に示すように、可
動側プーリ半体41は矢印a方向に回転し、インナスリー
ブ37に植設したピン46はカム溝48の走行用カム面48bに
当接してアウタスリーブ38を矢印b方向に押圧しながら
第2ポジションP2に向かい、アウタスリーブ38の回転は
インナスリーブ37に伝達される。この場合も前述と同様
に、可動側プーリ半体41が固定側プーリ半体40に接近す
るように矢印b方向に押圧されることにより、ベルト31
は両プーリ半体40,41に挟圧されてスリップすることが
防止され、負荷が大きい発進時や登坂時等の動力伝達が
スムーズに行われる。第8図から明らかなように、始動
用カム面48aのアウタスリーブ38回転方向(矢印a方
向)に対する傾斜角は走行用カム面48bの傾斜角よりも
小さく設定されている。これにより、ベルト31のスリー
プが最も発生し易い始動時におけるベルト31の挟圧力を
充分に高めるとともに、発進後にピン46が第2ポジショ
ンP2から後述の第3ポジションP3へ移動する動きを妨げ
ないようになっている。
上述のようにしてドリブンプーリ39に伝達された駆動
力によりインナスリーブ37が回転すると、このインナス
リーブ37に固着した自動遠心クラッチ42のクラッチイン
ナ43が回転する。すると、クラッチインナ43に枢支した
クラッチウエイト53が遠心力でスプリング52に抗して拡
開し、摩擦部材53aがクラッチアウタ49のフランジ49aに
内面に接触することによりクラッチアウタ49に駆動力が
伝達される。クラッチアウタ49の回転は該クラッチアウ
タ49がスプライン嵌合する減速機入力軸33に伝達され、
その入力ギヤ60の回転は中間軸61に固着した第1,第2中
間ギヤ62,63、および減速機出力軸65に固着した出力ギ
ヤ66に伝達される。そして、減速機出力軸65の回転は駆
動スプロケット67,チェン6、従動スプロケット5を介
して後輪Wrに伝達される。このとき、クランク軸15と減
速機入力軸33を結ぶ車体前後方向に延びる直線に対し
て、中間軸61が下方に配設され、減速機出力軸65が上方
に配設されているので、この歯車減速機59の前後方向の
長さが短縮される。
さて、エンジンEの回転が次第に増加すると、ベルト
式無段変速機Bのドライブプーリ25側の可動側プーリ半
体29に装着した遠心ウエイト30が遠心力で半径方向外側
に移動し、可動側プーリ半体29を固定側プーリ半体26に
接近する方向に移動させる。両プーリ半体26,29の接近
により両者の間に形成されるV空間の幅が狭まりVベル
ト31はドライブプーリ25の半径方向外側に移動する。V
ベルト31が外側に移動すると、ドリブンプーリ39の可動
側プーリ半体41が前記Vベルト31に押圧されてスプリン
グ45に抗しながら右方に移動して両プーリ半体40,41間
に形成されるV空間の幅が広がり、Vベルト31はドリブ
ンプーリ39の半径方向内側に移動する。これにより、エ
ンジンEの低速回転域において減速比が大きく、高速回
転域において減速比が小さくなるように無段変速が行わ
れる。そして、ベルト式無段変速機Bの減速比が最も小
さくなる高速走行時には、ベルト31に張力によって可動
側プーリ半体41は固定側プーリ半体40から最も離間し、
ピン46はカム溝48の第3ポジションP3に安定的に保持さ
れる。
走行中にエンジンEの回転を減速すると、クラッチイ
ンナ43に枢支したクラッチウエイト53がスプリング52の
弾発力でクラッチアウタ49のフランジ49aから離間して
駆動力の伝達が遮断される。しかしながら、後輪Wr側に
接続するクラッチアウタ49は依然として回転しているた
め、その側壁に枢支したクラッチウエイト57がスプリン
グ56に抗して拡開し、摩擦部材57aがクラッチインナ43
のフランジ43aに当接する。これにより、後輪Wrの回転
がエンジンE側に伝達されてエンジンブレーキが作動す
る。
以上、本考案の実施例を詳述したが、本考案は前記実
施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範
囲に記載された本考案を逸脱することなく種々の小設計
変更を行うことが可能である。
例えば、請求項1の考案では、クランク軸15と減速機
入力軸33を結ぶ直線の下部に中間軸61を設け、上部に減
速機出力軸65を設ける代わりに、中間軸61と減速機出力
軸65の上下の位置関係を逆にすることができる。
C.考案の効果 以上のように各請求項の考案によれば、リードバルブ
吸気式2サイクルエンジンのクランクケースを前部に連
設した伝動ケース内にベルト式無段変速機と歯車減速機
とを収容し、シリンダの前側の側面に排気ポートを開口
させ、同シリンダの後側の側面と伝動ケースの上面との
間に、クランクケース内上部に下流端を開口した吸気系
を配設した自動二輪車において、シリンダを、クランク
軸軸線を通る鉛直面よりも同軸線を通る水平面側に寄せ
るようにして十分に前傾させたので、その前傾シリンダ
の後側の側面と伝動ケース上面との間に吸気系のスペー
スを十分広く確保することができ、従って吸気抵抗の軽
減、延いてはエンジン出力の向上に寄与することができ
る。
またクランク軸と減速機入力軸とを結ぶ車体前後方向
に延びる直線の上下方向一側に減速機中間軸を配設する
と共に、この直線の上下方向他側に減速機出力軸を配設
して、車体前後方向に並ぶ減速機入力軸、中間軸及び出
力軸の三軸が上下方向に偏位して配設されるようにした
ので、歯車減速機を、それの三軸相互に必要な軸間距離
を確保しながら、前後方向に十分に小型化することでき
て、動力伝達装置の前後長短縮が図られ、従って前述の
ようにシリンダを十分前傾させたことでエンジンが縦長
傾向となっても、エンジン及び動力伝達装置を含むパワ
ーユニット全体の前後方向長大化を回避することができ
るから、車体へのパワーユニット搭載の自由度を増加さ
せることが可能となる。
更にスタータモータを吸気系や無段変速機との干渉を
回避すべく伝動ケースの下部に配置しても、該モータを
クランク軸軸線より後方側に偏位させ、シリンダの前側
の側面より下向きに延出する排気管を、それの上流部が
車体側方より見て伝動ケースの前面下部に略沿ってスタ
ータモータの下部まで延在するように配設したので、排
気管を、その中間部を下方に大きく屈曲させなくても該
モータの下方を無理なく取り回すことができ、スムーズ
な排気が可能となる。しかもクランクケース周りに配置
すべき吸気系およびスタータモータを、その相互干渉を
回避し且つ該モータの下方への張出量を極力抑えなが
ら、前後方向に比較的長い無段変速機の上下に無理なく
分散配置することができるから、パワーユニットの上下
方向小型化にも寄与することができる。
また特に請求項2の考案によれば、減速機入力軸及び
中間軸が何れも、クランク軸と減速機出力軸とを結ぶ車
体前後方向に延びる直線よりも下側に位置するようにな
り、しかも無段変速機のドリブンプーリと同軸関係にあ
る減速機入力軸にはクラッチアウタが結合されるので、
動力伝達装置の大物部品であるクラッチアウタやベルト
式無段変速機のドリブン側、更には減速機入力軸や中間
軸を全て動力伝達装置の下部側に極力寄せ置くことがで
き、従って動力伝達装置の低重心化に大いに寄与するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第8図は本考案の一実施例を示すもので、第1
図は本動力伝達装置を適用した自動二輪車の全体側面
図、第2図は第1図の要部拡大断面図、第3図は第2図
のIII-III線断面図、第4図は第3図のIV-IV線断面図、
第5図は第3図のV−V線断面図、第6図は第2図のVI
-VI線断面図、第7図はドリブンプーリの可動側プーリ
半体の側面図、第8図はカム溝の拡大図である。 B……ベルト式無段変速機、E……エンジン、In……吸
気系、T……伝動ケース、7……シリンダ、7e……排気
ポート、8……リードバルブ、10……クランクケース、
15……クランク軸、33……減速機入力軸、39……ドリブ
ンプーリ、42……クラッチとしての自動遠心クラッチ、
49……クラッチアウタ、59……歯車減速機、61……中間
軸、65……減速機出力軸、68……スタータモータ、90…
…排気管、90a……排気管のシリンダから下向きに延出
する上流部

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランク軸(15)軸線を通る鉛直面よりも
    同軸線を通る水平面側に寄せて前傾させたシリンダ
    (7)を有する2サイクルエンジン(E)のクランク軸
    (15)、歯車減速機(59)の減速機入力軸(33)、中間
    軸(61)および減速機出力軸(65)を車体の前方から後
    方に順次配設し、前記エンジン(E)のクランクケース
    (10)を前部に連設した伝動ケース(T)内に、前記ク
    ランク軸(15)及び減速機入力軸(33)間を接続したベ
    ルト式無段変速機(B)と、前記歯車減速機(59)とを
    収容し、前記シリンダ(7)の前側の側面より排気管
    (90)を下向きに延出させ、前記シリンダ(7)の後側
    の側面と前記伝動ケース(T)の上面との間に、前記ク
    ランクケース(10)内上部に下流端を開口した吸気系
    (In)を配設し、その吸気系(In)にリードバルブ
    (8)を設けてなる、自動二輪車の動力伝達装置であっ
    て、 前記クランク軸(15)と減速機入力軸(33)とを結ぶ車
    体前後方向に延びる直線の上下方向一側に前記中間軸
    (61)を配設するとともに、この直線の上下方向他側に
    前記減速機出力軸(65)を配設し、前記クランク軸(1
    5)に始動トルクを付与し得るスタータモータ(68)
    を、前記クランク軸(15)軸線より後方側に偏位して前
    記伝動ケース(T)の下部に取付け、前記排気管(90)
    を、それのシリンダ(7)から下向きに延出する上流部
    (90a)が車体側方より見て前記伝動ケース(T)の前
    面下部に略沿って前記スタータモータ(68)の下部まで
    延在するように配設したことを特徴とする、自動二輪車
    の動力伝達装置。
  2. 【請求項2】前記ベルト式無段変速機(B)のドリブン
    プーリ(39)と前記減速機入力軸(33)とを同一軸線上
    に配置し、前記クランク軸(15)と減速機入力軸(33)
    とを結ぶ車体前後方向に延びる直線の下側に前記中間軸
    (61)を配設するとともに、この直線の上側に前記減速
    機出力軸(65)を配設し、前記減速機入力軸(33)に
    は、該入力軸(33)と前記ドリブンプーリ(39)との間
    に介装されるクラッチ(42)のクラッチアウタ(49)を
    結合したことを特徴とする、請求項に記載の自動二輪
    車の動力伝達装置。
JP1989093081U 1989-08-08 1989-08-08 自動二輪車の動力伝達装置 Expired - Fee Related JP2513407Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1989093081U JP2513407Y2 (ja) 1989-08-08 1989-08-08 自動二輪車の動力伝達装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1989093081U JP2513407Y2 (ja) 1989-08-08 1989-08-08 自動二輪車の動力伝達装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0333792U JPH0333792U (ja) 1991-04-03
JP2513407Y2 true JP2513407Y2 (ja) 1996-10-09

Family

ID=31642477

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1989093081U Expired - Fee Related JP2513407Y2 (ja) 1989-08-08 1989-08-08 自動二輪車の動力伝達装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2513407Y2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009041118A1 (ja) * 2007-09-28 2009-04-02 Honda Motor Co., Ltd. 小型車両

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3518709B2 (ja) * 1995-11-22 2004-04-12 本田技研工業株式会社 内燃機関の始動装置
JP4557367B2 (ja) * 1999-06-18 2010-10-06 ダイセル化学工業株式会社 ガス発生器用リテーナ

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60188690U (ja) * 1984-05-28 1985-12-13 本田技研工業株式会社 車両における伝動室の冷却空気排出促進装置
JPS6470289A (en) * 1987-09-11 1989-03-15 Yamaha Motor Co Ltd Drive for motorcycle

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009041118A1 (ja) * 2007-09-28 2009-04-02 Honda Motor Co., Ltd. 小型車両
JP2009083665A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Honda Motor Co Ltd 小型車両のパワーユニット

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0333792U (ja) 1991-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5152361A (en) Motorcycle
CA2461867C (en) Power transmission system of engine
KR100934909B1 (ko) 파워 유닛
JPS5986748A (ja) ベルト式動力伝達装置
US6405823B1 (en) Vehicle power unit
US8215439B2 (en) Dry clutch, and motorcycle equipped with the same
JP2513407Y2 (ja) 自動二輪車の動力伝達装置
JP5047746B2 (ja) 小型車両のパワーユニット
JP2524252B2 (ja) 自動二輪車の動力伝達装置
EP1375860B1 (en) Power unit for motorcycle
JP2612738B2 (ja) Vベルト式無段変速機を備えた車両用エンジン
JP2979014B2 (ja) 自動二輪車のvベルト自動変速機
JP2762128B2 (ja) ケースリードバルブ式エンジン
JP3518709B2 (ja) 内燃機関の始動装置
JPH05213262A (ja) 鞍乗型車両における動力伝達装置の構成部品配設構造
US20040209725A1 (en) Power transmission system of engine
JP2895849B2 (ja) Vベルト式無段変速機
JP3307079B2 (ja) パワーユニット型エンジン
JP3094163B2 (ja) 自動二輪車のvベルト自動変速機
JPH01237284A (ja) 自動二輪車のエンジンユニット
JPH05213263A (ja) 自動二輪車の動力伝達装置
JP2009079691A (ja) パワーユニット
JPH01283454A (ja) Vベルト無段変速機
JP2022034283A (ja) 鞍乗型車両のカバー構造
JP2001180563A (ja) ユニットスイング式エンジンの伝動装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees