JP2504266B2 - 動画像信号の適応的符号化制御方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、テレビ会議、テレビ電話、デジタルテレビ
ジョン伝送などビットレートを低減してデジタル伝送を
行なう動画像の符号化技術に関わる。

（従来の技術） テレビ電話、テレビ会議、デジタルテレビジョン伝送
など、動画像信号を符号化し、ビットレートを低減して
伝送するデジタル画像通信サービスは多い。一般に動画
像通信においては、フレーム間符号化を用いて大幅なビ
ットレートの低減を図っているが、シーンチェンジの時
や複雑で速い動きが画像中にある場合、これが有効に働
かず符号化出力データ量が多くなると共にブロック状の
歪が発生し、画質を著しく劣化させる。

これ対して、従来はリアルタイムな通信を保持するた
め、符号化側においては第２図（ａ），（ｂ）に示すよ
うな符号化器の出力データを一時的に貯えるポストバッ
ファ、または符号化器への入力データを一時蓄積するプ
リバッファの中のデータ量を監視し、該データ量がある
値よりも多い場合フレームレートを下げるすなわち駒落
しという方法によりデータ量を低減し、また同時に発生
するブロック状の歪に対しては復号化側において歪除去
フィルタを用いて復号画質の向上を図っていた。

（発明が解決しようとする課題） しかし、駒落しが多用されると時間的な解像度が低く
なり動きが不連続でぎこちない画像となる。また、復号
側のみにおけるブロック歪除去では十分な処理とは言え
ず、いずれも視覚上大きな悪影響を及ぼすという問題が
あった。

本発明は、駒落しやブロック歪の少ない符号化制御を
行なうことを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明の特徴は、従来の符号化器を改修することなし
に前置的に接続でき、符号化器を出力情報発生量および
量子化ステップサイズの信号を受けて、情報量が多い場
合には通過帯域が狭く、少ない場合には通過帯域を広く
するように適応的に制御することにより、時間的解像度
を落とさず符号化レートを低減し、またブロック状の歪
の少ない符号化を可能とする低域通過形フィルタを具備
する適応的符号化制御方式にある。

（実施例） 第１図（ａ），（ｂ）は本発明による実施例である。

入力した動画像デジタル信号は、適応的符号化制御を
行うための符号化制御信号を符号化器12および符号化発
生情報量監視部13より受けて作動するプリフィルタ11を
通って符号化器12に入る。

プリフィルタ11は、第１図（ｂ）の様にフィルタ制御
部15と低域通過形フィルタ部14からなる。

フィルタ制御部15が符号化発生情報監視部13から受け
取る符号化制御信号は、本実施例では符号化発生情報量
と量子化ステップサイズの積、量子化ステップサイズお
よび量子化ステップサイズの積分値である。

フィルタ制御部15による低域通過形フィルタ部14の動
作ON/OFF決定は、本実施例においては量子化ステップサ
イズのヒステリシス動作で制御する方法を用いた。

前述で動作ONになったときフィルタ制御部15は低域通
過形フィルタ部14の帯域通過幅決定因子（Ｋ）の値を符
号化発生情報量と量子化ステップサイズの積およびその
閾値、または量子化ステップサイズの積分およびその閾
値の関係で決定変更する。

帯域通過幅決定因子（Ｋ）でのフィルタ制御は、本実
施例では第１図（ｃ）に示すような３×３行列のマスク
形低域通過フィルタにより実施した。

上述により、出力情報発生量監視部13からの符号化発
生情報量と符号化器12からの量子化ステップサイズとの
積、または出力情報発生量監視部13からの量子化ステッ
プサイズの積分値信号に応じ、Ｋの値を変動させること
でフィルタの通過帯域幅を適応的に切り換え、入力画素
の空間高周波成分を削減する。

符号化器12においては、動き補償を用いたフレーム間
予測誤差変換符号化や、フレーム内の変換符号化などが
行われ、その出力結果が出力レート平滑化のためのポス
トバッファに貯えられる。この時、先のプリフィルタで
入力画像の空間高周波成分が削減された場合、フレーム
間予測誤差信号が小さくなる、変換信号の高周波成分係
数が零になる等の効果により出力情報量が減少する。そ
れと同時に、少ない出力情報発生量に基づく符号化制御
により細かい量子化が行なわれるため、ブロック状歪も
小さくなる。

符号化器12に後置される符号化発生情報量監視部13
は、符号化制御信号をプリフィルタ11および符号化器12
に送りフィードバック制御を行なう。

ここで、符号化器12内での符号化制御は、例えば、量
子化特性の切り換えなど、従来の方式を適用することが
可能である。但し、駒落しを行う制御の代わりに、プリ
フィルタでの制御が行われる。

（発明の効果） CCITT TV電話／会議システム標準作業でテスト画像と
して用いられている動画像“salesman"の100フレーム分
を384Kbit/s,15Hzで符号化した場合、平均の符号化ビッ
トフレームがフィルターなしの場合で321Kbit/s（スタ
ッフビット含まず）であったものが、フィルターありの
場合は276Kbit/s（同前）と約15％低減する効果が得ら
れた。

以上説明したように本発明では、符号化器の画像入力
部に通過帯域幅が外部より制御可能な低域通過形フィル
タを設け、入力画像信号が低域通過形フィルタを介して
この符号化器に入力するようにし、符号化器から出力さ
れる符号化発生情報量と量子化ステップサイズの積を監
視し、低域通過形フィルタの通過帯域幅を、監視によっ
て得られた数値が大きい場合には狭くなるように制御
し、その数値が小さい場合には広くなるように制御する
ことにより、符号化器から出力される符号化発生情報量
を制御している。

このように入力画像信号について通過帯域幅を制御し
ているので、予測誤差信号には変化が無く従って符号化
効率は低下せず、ハイブリッドブロック符号化に適用し
た場合でも、ブロック歪みなどの人工的な雑音は発生し
ない。のみならず、入力画像信号の高周波成分が取り除
かれるため、符号化しやすい画像となり、ブロック歪み
等の人工符号化雑音が著しく減少する。

特に本発明によれば、符号化器の画像入力側に低域通
過形フィルタを設け、この符号化器から出力される発生
情報と量子化ステップサイズの積を制御信号としてこの
フイルタに供給するように接続すれば良いため、制御情
報を制御する構成を新たに設ける必要もなく、従って、
符号化器及びその周辺回路の改修がほとんど不要であ
り、しかも、どのような構成の符号化器であっても適用
可能である。さらに、符号化器から出力される発生情報
を制御信号としてこのフィルタの通過帯域幅を制御して
いるため、固定ビット速度で送信する場合はもちろんの
こと、可変ビット速度で送信する場合にもそのまま適用
することができる。

従って本発明は、テレビ会議、テレビ電話、デジタル
テレビ伝送など、デジタル動画像信号を符号化し一定ビ
ットレートに圧縮して伝送するサービスにおいて、複雑
で速い動きのある画像やシートチェンジなどに対しても
自然な動きを保ち、ブロック状歪のない符号化を行うこ
とができ、この効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は、本発明を用いた動画像符号化装置のブ
ロック図を示す。第１図（ｂは、第１図（ａ）中のプリ
フィルタのブロック図を示す。第１図（ｃ）は、３×３
マスク形の低域通過フィルタの通過帯域決定因子（Ｋ）
の配置例を示す。 第２図（ａ）は、ポストバッファを用いた動画像符号化
制御の従来方式を、第２図（ｂ）は、プリバッファを用
いた動画像符号化制御の従来方式を表す。 11……プリフィルタ、12,22,26……符号化器、13……符
号化発生情報量監視部、14……低域通過形フィルタ、15
……低域通過形フィルタ制御部、21,25……駒落し処理
部、23……ポストバッファ、24……プリバッファ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】デジタル動画像信号を一定ビットレートに
   低減して符号化伝送する適応的符号化制御方式であっ
   て、 符号化器の画像入力部に通過帯域幅が外部より制御可能
   な低域通過形フィルタを設け、入力画像信号が該低域通
   過形フィルタを介して該符号化器に入力するようにし、 該符号化器から出力される符号化発生情報量と量子化ス
   テップサイズの積を監視し、 該低域通過形フィルタの通過帯域幅を、前記監視によっ
   て得られた数値が大きい場合には狭くなるように制御
   し、該数値が小さい場合には広くなるように制御するこ
   とにより、該符号化器から出力される符号化発生情報量
   を制御し、符号化画質を視覚的に劣化させることなく動
   画像符号化を行なうようにしたことを特徴とする動画像
   信号の適応的符号化制御方式。
2. 【請求項２】前記低域通過形フィルタの制御情報となる
   前記符号化器から出力される発生情報として、量子化ス
   テップサイズの積分値を用いることを特徴とする請求項
   １に記載の適応的符号化制御方式。