JP2500563Y2 - 包装箱 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、注射剤のバイアルの個
装等に好適に使用される包装箱に関する。

【０００２】

【従来の技術】注射剤のバイアルは、板紙によって構成
された包装箱に個装されて出荷される。その個装に使用
される包装箱は、通常背板と、背板の両側縁に連設され
た左右の側板と、一方の側板の側縁に連設された前板と
により、角筒状の胴体部を構成し、背板の上縁に連設さ
れた蓋板で胴体部の上端開口部を、また背板の下縁に連
設された底板により角筒状の胴体部の下端開口部をそれ
ぞれ閉塞するように構成されている。

【０００３】このような包装箱は、収容されたバイアル
が底部に直接接触しているために、衝撃強度の弱いバイ
アルを収容した場合には、流通過程において落下等の衝
撃により底部に衝撃が加わると、収容されたバイアルが
破損するおそれがある。

【０００４】実開昭56-125820号公報および同60-78713
号公報には、蓋部に緩衝機能を発揮する折畳部が設けら
れた包装箱が開示されている。それぞれの公報に開示さ
れた包装箱は、左右の各側板と蓋板とにより囲まれたコ
ーナ部に、直交する２辺の一方が側板の下縁に連続し、
他方が蓋板の側縁に連続する一対の裾部を有し、各裾部
を、前記直交する２辺のなす角を２分する縁で２枚に折
畳んで、蓋板の裏面に重合させた構成になっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】このような包装箱で
は、２枚に折畳まれて蓋板の裏面に重ねられた裾部が緩
衝機能を発揮する。このような裾部を包装箱の底部に設
ければ、その底部は緩衝機能を有することになり、内部
に収容されたバイアルは、落下等の衝撃に対してはある
程度は耐えることができる。しかし、このような底部構
造では、衝撃強度の弱いバイアルに対しては、緩衝機能
は十分でなく、強い衝撃に対して破損するおそれがあ
る。

【０００６】本考案は上記従来技術の問題を解決するも
のであり、その目的は、底部の緩衝機能に優れた包装箱
を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の個装箱は、背板
と、背板の両側縁に連設された左右の各側板と、一方の
側板の側縁に連設された前板とにより角筒状の胴体部が
構成され、前板の下縁に連設された底板により該胴体部
の下端開口部を閉塞するように構成される包装箱であっ
て、左右の各側板と底板とによりそれぞれ囲まれた部分
にて、各側板それぞれの下縁にそれぞれ連設されるとと
もに、底板の各側縁にそれぞれ連設されて扇形状になっ
た一対の裾部を有しており、各裾部の外周側部分を扇形
の弦に沿って折り畳んで各裾部を三角形状にするととも
に、三角形状に折り畳まれた各裾部を、各側板の下縁と
底板の各側縁とにより形成された角を二分する直線によ
り２つに折り畳んで、底面に重ね合せることを特徴とし
てなり、そのことにより上記目的が達成される。

【０００８】

【作用】左右の各側板それぞれと底板とに連設されたそ
れぞれの裾部は、扇形状になっており、外周側部分が扇
形の弦に沿って折り畳まれることにより三角形状とされ
る。そして、三角形状になった裾部が２つ折りされるた
めに、裾部は４枚重ねとなって底板に重ねられる。

【０００９】

【実施例】以下に本考案を実施例について説明する。

【００１０】本考案の包装箱は、１枚の板紙を折曲して
形成される。該板紙は、図１に示すように、長方形状の
背板１と、背板１の両側縁に各折目２aおよび２bを介し
て連設された側板３aおよび３bと、一方の側板３bの側
縁に折目４を介して連設された前板５とを有する。側板
３aおよび３bと前板５は、背板１と同じ形の長方形状を
している。前板５の側板には、折目６を介して舌状の接
着部７が連設されている。

【００１１】背板１の上縁には、その短辺を一辺とする
正方形状の蓋板９が折目８を介して連設されており、該
蓋板９の上縁部には、折目10を介して舌状の差込部11が
連設されている。左右の各側板３aおよび３bの各上縁に
は、折目12aおよび12bを介して舌片13aおよび13bがそれ
ぞれ連設されている。

【００１２】背板１の下縁には蓋板９と同じ正方形状の
底板15が、折目14を介して連設されており、底板15の下
縁には、折目16を介して舌状の差込部17が連設されてい
る。そして、底板15と左右の側板３aおよび３bそれぞれ
との間には、扇形状をした裾部18aおよび18bがそれぞれ
設けられている。

【００１３】各裾部18aおよび18bは、底板15に対して、
背板１と各側板３aおよび３bｂそれぞれとの間の折目２
aおよび２bそれぞれに直線的に連続する各折目19aおよ
び19bを介して連続しており、また、左右の各側板３aお
よび３bに対して、背板１と底板15との間の折目14に直
線的に連続する各折目20aおよび20bを介して連続してい
る。そして、折目19aおよび19bの各下端と折目20aおよ
び20bの各側端縁とをそれぞれ結ぶ扇形の弦に沿って、
折目21aおよび21bがそれぞれれ設けられており、さら
に、各折目19aおよび19bと各折目20aおよび20bとがそれ
ぞれなす角を二等分する線に沿って、各折目22aおよび2
2bがそれぞれ設けられている。

【００１４】このような板紙により本考案の包装箱は、
次のようにして組み立てられる。

【００１５】まず、折目２a, ２b, ４、６、19aおよび1
9bに沿って折り曲げ、側板３aの側縁部裏面に接着部７
を貼り付けて、背板１、側板３aおよび３b並びに前板５
により角筒状の胴体部を構成する。次いで、図２の
（ａ）および（ｂ）に示すように、裾部18aおよび18bに
おける折目21aおよび21bよりも外周側部分を、折目21a
および21bよりも内側の三角形状部分の裏面に重ねるべ
く、それぞれ扇形の弦である折目21aおよび21bに沿って
折りまげて、各裾部18aおよび18bを三角形状にする。各
裾部18aおよび18bが三角形状に折り畳まれると、図２の
（ｃ）に示すように、三角形状に折り畳まれた各裾部18
aおよび18bを底板15の内側に畳み込むべく、各裾部18a
および18bを折目22aおよび22bに沿って内側へ折り畳み
つつ、折目14とともに、折目20aおよび20bを折り曲げ、
各折目19aおよび19bをさらに深く折り曲げる。そして、
図２（ｄ）に示すように、折り畳まれた裾部18aおよび1
8bを底板15の裏面に重ね合わされた状態で、差込部17を
胴体部に差込むことにより、底部が完成する。

【００１６】蓋部においては、底部が完成した包装箱の
胴体部に、個装すべき物品を収容した後、舌片13aおよ
び13bと蓋板９とを順に折り畳み、最後に胴体部へ差込
部11を差込む。

【００１７】組立の終わった本考案の包装箱は、底板15
の裏面に重ね合わされた裾部18aおよび18bが４枚に折畳
まれて充分な厚みを有しており、しかも、その復元力が
緩衝機能として作用するために、その内部に個装された
物品に対して、優れた緩衝機能を発揮する。

【００１８】

【考案の効果】本考案の包装箱は、このように、底板の
裏面に重合される一対の裾部が４重に折畳まれているの
で、その厚みが厚く、それ自体が有効なクッション材に
なると共に、その復元力が大きい。従って、内部に収容
された物品に対して優れた衝撃緩和機能を発揮し、その
破損を効果的に防止する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の包装箱の一例についてその構造を示す
展開図である。

【図２】（ａ）〜（ｄ）はその底部の組立順序を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ 背板 ３a、３b 側板 ５ 前板 15 底板 18a、18b 裾部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 背板と、背板の両側縁に連設された左右
   の各側板と、一方の側板の側縁に連設された前板とによ
   り角筒状の胴体部が構成され、前板の下縁に連設された
   底板により該胴体部の下端開口部を閉塞するように構成
   される包装箱であって、左右の各側板と底板とによりそ
   れぞれ囲まれた部分にて、各側板それぞれの下縁にそれ
   ぞれ連設されるとともに、底板の各側縁にそれぞれ連設
   されて扇形状になった一対の裾部を有しており、各裾部
   の外周側部分を扇形の弦に沿って折り畳んで各裾部を三
   角形状にするとともに、三角形状に折り畳まれた各裾部
   を、各側板の下縁と底板の各側縁とにより形成された角
   を二分する直線により２つに折り畳んで、底面に重ね合
   せることを特徴とする包装箱。