JP2500301B2 - 燃焼装置の制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばコンロなどの燃
焼装置の商用交流電源、その他の電源からの通電により
作動する制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、バーナの燃焼炎の温度により
生ずるサーモカップルの起電力を制御回路により判定し
て、この制御回路で電磁安全弁（セーフティバルブ）を
通電制御することによって、バーナへの燃料供給路を開
閉する燃焼装置の制御装置が提案されている。この燃焼
装置の制御装置は、通常、サーモカップルの起電力が所
定値以上に上昇したと制御回路が判定したときのみ、電
磁安全弁を通電して開弁保持するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の技術
においては、停電状態になると、電磁安全弁は通電され
ず、したがって開弁保持されないため、燃料供給路は開
かれず、バーナで燃焼が行えないという課題があった。
このため、例えば加熱調理用コンロなどの燃焼装置にお
いては、停電時に加熱調理できないという不具合があっ
た。

【０００４】本発明は、停電時でもバーナで燃焼できる
燃焼装置の制御装置の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、燃料を燃焼させるバーナと、このバーナに前記燃料
を供給する燃料供給路と、この燃料供給路に配設され、
通電されると開弁保持し通電が停止されると閉弁する電
磁安全弁と、この電磁安全弁を手動により強制的に開弁
させる操作手段と、前記電磁安全弁への通電および通電
の停止を制御する安全弁駆動回路と、前記バーナの炎口
に臨ませて配設され、前記バーナの燃焼炎の温度に応じ
た起電力を発生するサーモカップルと、前記電磁安全弁
と前記安全弁駆動回路とを直列接続する平常時給電回路
と、閉回路とされ、前記電磁安全弁と前記サーモカップ
ルとを直列接続する停電時給電回路と、この停電時給電
回路中に設けられ、通電されると前記停電時給電回路を
開き、通電が停止されると前記停電時給電回路を閉じる
開閉手段と、この開閉手段への通電および通電の停止を
制御する開閉手段駆動回路とを備えた燃焼装置の制御装
置であって、 平常時は、前記開閉手段駆動回路からの通
電により前記開閉手段を作動させて前記停電時給電回路
を開き、前記電磁安全弁を前記安全弁駆動回路からの通
電により開弁保持し、停電時は、前記開閉手段駆動回路
の通電停止により前記開閉手段を作動させて前記停電時
給電回路を閉じ、前記電磁安全弁を前記サーモカップル
の起電力により開弁保持する技術手段を採用した。

【０００６】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の燃焼装置の制御装置に加えて、前記開閉手段として、
前記停電時給電回路に接続された常閉型リレースイッ
チ、および通電されると前記リレースイッチを開くリレ
ーコイルを設けたことを特徴とする。

【０００７】請求項３に記載の発明は、請求項２に記載
の燃焼装置の制御装置に加えて、前記開閉手段駆動回路
として、前記リレーコイルへの通電および通電の停止を
制御するリレー駆動回路を設けている。そして、このリ
レー駆動回路は、通電が停止されてから所定時間が経過
した後に前記リレーコイルへの通電を停止することを特
徴とする。

【０００８】

【作用】請求項１に記載の発明は、停電して電磁安全弁
の通電が行えないとき、開閉手段が停電時給電回路を閉
じるので、電磁安全弁とサーモカップルとは閉回路を形
成する。このため、操作手段を手動により操作すること
によって電磁安全弁を強制的に開弁保持した状態で点火
を行うことによりバーナで燃料が燃焼する。そして、バ
ーナが燃焼状態である間はサーモカップルの起電力によ
り電磁安全弁が通電されるので開弁保持されバーナに燃
料が供給され続けるため、バーナで燃料の燃焼が継続さ
れる。

【０００９】請求項２に記載の発明は、開閉手段駆動回
路がリレーコイルを通電すると常閉型リレースイッチが
開かれて電磁安全弁とサーモカップルとを接続する停電
時給電回路が開かれる。開閉手段駆動回路がリレーコイ
ルの通電を停止すると常閉型リレースイッチが閉じられ
て停電時給電回路が閉じられる。

【００１０】請求項３に記載の発明は、バーナの燃焼中
に停電した場合に、リレー駆動回路は通電が停止されて
から所定時間が経過した後にリレーコイルへの通電を停
止する。このため、常閉型リレースイッチの閉じるタイ
ミングを遅らすことによって停電時給電回路の閉じるタ
イミングが遅れる。よって、バーナの燃焼によりサーモ
カップルに起電力が生じているときでも、安全弁駆動回
路から電磁安全弁への通電が先に停止するので、電磁安
全弁は閉弁し燃料供給路を閉じることによって消火され
る。

【００１１】

【発明の効果】請求項１に記載の発明は、停電状態とな
ってもバーナで燃焼を行うことができるので、例えばバ
ーナで長時間加熱調理ができないという不具合を解消で
きる。

【００１２】請求項２に記載の発明は、開閉手段として
リレーコイルへの通電によって作動する常閉型リレース
イッチを用いることによって、停電時に必ず停電時給電
回路を閉じる側に作用することができる。

【００１３】請求項３に記載の発明は、バーナで燃料が
燃焼しているときに、停電した場合でも消火させること
ができる。

【００１４】

【実施例】本発明の燃焼装置の制御装置を図１および図
２に示す一実施例に基づき説明する。図１はガスコンロ
の主要な電気回路図で、図２はガスコンロ内に組み込ま
れたガス供給路を示した概略図である。

【００１５】ガスコンロ１は、ガスバーナ２、ガス供給
路３、点火装置４および電気回路５を備える。ガスバー
ナ２は、気体燃料と燃焼空気との混合気（以下燃料ガス
と呼ぶ）を燃焼させるものである。このガスバーナ２に
は、このガスバーナ２の炎口に臨ませてサーモカップル
（熱電対）２１が装着されている。このサーモカップル
２１は、ガスバーナ２で発生した燃焼炎の温度に対応し
た熱起電力（熱電圧）を生じる。

【００１６】ガス供給路３は、本発明の燃料供給路であ
って、ガスバーナ２に燃料ガスを供給する通路である。
このガス供給路３には、電磁安全弁３１、手動メイン弁
３２および絞り３３が設けられている。

【００１７】電磁安全弁３１は、電磁コイル（図示せ
ず）、弁体（図示せず）等から構成される従来公知のも
のであり、手動により押圧操作されると弁体を変位させ
てガス供給路３を開き、この状態で通電されると開弁保
持し、通電が停止されると閉弁する。

【００１８】手動メイン弁３２は、弁体（図示せず）等
から構成され、手動により押圧操作されると弁体が変位
してガス供給路３を開閉する。絞り３３は、燃料ガスの
流量を絞る部分である。

【００１９】点火装置４は、点消火ボタン４１および点
火器（図示せず）等から構成されている。点消火ボタン
４１は、本発明の操作手段であって、従来公知のハート
カム機構を備えるプッシュプッシュ式のものである。点
火時にこの点消火ボタン４１を押圧操作すると、電磁安
全弁３１および手動メイン弁３２を開弁させ、押圧解除
によって中間位置に係止され手動メイン弁３２は開弁保
持される。

【００２０】また、消火時には、点消火ボタン４１の再
押圧操作とその解除により中間位置での係止が解かれ手
動メイン弁３２は閉弁する。点火器は、ガスバーナ２の
炎口に臨ませて配設され、使用時に点消火ボタン４１を
押圧操作するときに燃料ガスへの点火を行う。

【００２１】電気回路５は、電磁安全弁３１と後記する
安全弁駆動回路５７とを直列接続する平常時給電回路と
しての給電回路５０、電磁安全弁３１およびサーモカッ
プル２１を直列接続する停電時給電回路としての閉回路
５１、この閉回路５１を開閉するリレー５２、ならびに
電磁安全弁３１およびリレー５２への通電および通電の
停止等を制御する通電制御回路５３を有する。

【００２２】リレー５２は、本発明の開閉手段であっ
て、常閉型リレースイッチ５４およびリレーコイル５５
を有する。リレースイッチ５４は、閉じるとサーモカッ
プル２１と電磁安全弁３１とを接続して閉回路５１を閉
じる（形成する）。

【００２３】また、リレースイッチ５４は、開くとサー
モカップル２１と電磁安全弁３１との接続を遮断して閉
回路５１を開く。リレーコイル５５は、通電されるとリ
レースイッチ５４を開き、通電が停止されるとリレース
イッチ５４を閉じる。

【００２４】通電制御回路５３は、着火検出回路５６、
安全弁駆動回路５７、リレー駆動回路５８およびマイク
ロコンピュータ５９を有する。着火検出回路５６は、サ
ーモカップル２１の起電力が所定値以上に上昇した際に
信号をマイクロコンピュータ５９に送る。

【００２５】安全弁駆動回路５７は、着火検出回路５６
からの信号を受けてマイクロコンピュータ５９から信号
が出されると給電回路５０を介して電磁安全弁３１を通
電する。また、失火等により着火検出回路５６から信号
を受けないときには、マイクロコンピュータ５９からの
信号は停止されて電磁安全弁３１への通電を停止する。

【００２６】リレー駆動回路５８は、本発明の開閉手段
駆動回路であって、点消火ボタン４１によって点火操作
を行い、マイクロコンピュータ５９から信号が出される
とリレーコイル５５を通電する。また、リレー駆動回路
５８は、コンデンサ等のタイマーを備え、停電あるいは
点消火ボタン４１による消火操作を行い、マイクロコン
ピュータ５９からの信号が停止されてから所定時間が経
過した後にリレーコイル５５への通電を停止する。な
お、マイクロコンピュータ５９は、商用交流電源（図示
せず）から電力を供給されている際に動作する。

【００２７】このガスコンロ１の作用を図１および図２
に基づいて説明する。停電中にガスバーナ２で燃焼を行
う場合には、まず手動で点消火ボタン４１を押圧操作す
る。すると、電磁安全弁３１および手動メイン弁３２が
強制的に開弁され、ガス供給路３を通ってガスバーナ２
に燃料ガスが供給される。

【００２８】そして、使用者がマッチまたはライター等
で点火を行うとガスバーナ２で燃焼が開始され、ガスバ
ーナ２で生じる燃焼炎の熱によってサーモカップル２１
は起電力を発生する。

【００２９】なお、停電状態であるため、リレー駆動回
路５８にマイクロコンピュータ５９からの信号が出され
ないので、リレーコイル５５も通電されない。このた
め、リレースイッチ５４が閉じていることによって、電
磁安全弁３１およびサーモカップル２１を環状に接続す
る閉回路５１が形成される。

【００３０】この結果、サーモカップル２１の起電力に
より電磁安全弁３１が通電されるので、電磁安全弁３１
を開弁保持するに必要な所定起電力に達した後、使用者
が点消火ボタン４１の押圧を解除しても電磁安全弁３１
が開弁保持され、また手動メイン弁３２はハートカム機
構により開弁位置に係止される。

【００３１】したがって、ガスバーナ２にガス供給路３
から燃料ガスが供給され続けるため、ガスバーナ２で燃
焼が継続される。すなわち、この実施例においては、停
電状態であってもガスバーナ２で燃焼を行うことができ
るので、停電状態が長時間継続しても加熱調理すること
ができる。なお、この停電時の使用中に失火した場合に
サーモカップル２１は起電力を発生せず、電磁安全弁３
１は通電されなくなって閉弁し、燃料ガスの供給は止ま
る。

【００３２】ガスバーナ２で加熱調理中に停電した場合
には、電気回路５への通電は停止され、したがってリレ
ー駆動回路５８へのマイクロコンピュータ５９からの信
号が停止される。このとき、リレー駆動回路５８は、コ
ンデンサ等のタイマーにより所定時間が経過するまでリ
レーコイル５５を通電し続ける。

【００３３】この間に、安全弁駆動回路５７にマイクロ
コンピュータ５９からの信号が出されず、電磁安全弁３
１への通電が停止して電磁安全弁３１が閉弁する。よっ
て、ガス供給路３が閉じられ、ガスバーナ２への燃料ガ
スの供給が遮断されて確実に消火される。すなわち、ガ
スバーナ２で加熱調理を行っているときに、停電した場
合に安全側に動作する。

【００３４】（変形例） 本実施例では、開閉手段とし
てリレーを用いたが、トランジスタ等の半導体スイッチ
ング素子を用いても良い。本実施例では、燃料として気
体燃料を用いたが、灯油等の液体燃料を用いても良い。

【００３５】なお、停電状態とは、商用交流電源からの
交流電流の供給が停止する場合の他に乾電池外れの場合
も含む。

【００３６】本実施例では、電磁安全弁を手動でのみ強
制的に開弁させ、開弁保持を通電により行うものを用い
たが、通電および手動のどちらか一方で強制的に開弁さ
せ、開弁保持を通電により行うものを用いても良い。こ
の場合、強制開弁用電磁コイルは、開弁保持用の電磁コ
イルの他に別途設けることが多い。

【００３７】本実施例では、サーモカップルの起電力が
所定値以上の場合に着火検出回路はマイクロコンピュー
タへ信号を送り、これを受けてマイクロコンピュータが
安全弁駆動回路へ信号を送るものを用いたが、起電力の
時間傾斜、つまり起電力の値が下降傾向ではない場合に
マイクロコンピュータへ信号を送っても良い。また、起
電力の大きさに応じた信号を着火検出回路はマイクロコ
ンピュータへ送出し、マイクロコンピュータがその信号
を分析し、安全弁駆動回路への信号送出を判断するよう
にしても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を採用したガスコンロの主要な電気回路
図である。

【図２】ガスコンロ内に組み込まれたガス供給路を示し
た概略図である。

【符号の説明】

１ ガスコンロ ２ ガスバーナ（バーナ） ３ ガス供給路（燃料供給路） ２１ サーモカップル ３１ 電磁安全弁 ４１ 点消火ボタン（操作手段）５０ 給電回路（平常時給電回路） ５１ 閉回路（停電時給電回路） ５２ リレー（開閉手段） ５３ 通電制御回路 ５４ 常閉型リレースイッチ ５５ リレーコイル５７ 安全弁駆動回路 ５８ リレー駆動回路（開閉手段駆動回路）

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）燃料を燃焼させるバーナと、 （ｂ）このバーナに前記燃料を供給する燃料供給路と、 （ｃ）この燃料供給路に配設され、通電されると開弁保
   持し通電が停止されると閉弁する電磁安全弁と、 （ｄ）この電磁安全弁を手動により強制的に開弁させる
   操作手段と、 （ｅ）前記電磁安全弁への通電および通電の停止を制御
   する安全弁駆動回路と、 （ｆ） 前記バーナの炎口に臨ませて配設され、前記バー
   ナの燃焼炎の温度に応じた起電力を発生するサーモカッ
   プルと、（ｇ）前記電磁安全弁と前記安全弁駆動回路とを直列接
   続する平常時給電回路と、 （ｈ）閉回路とされ、前記電磁安全弁と前記サーモカッ
   プルとを直列接続する停電時給電回路と、 （ｉ）この停電時給電回路中に設けられ、通電されると
   前記停電時給電回路を開き、通電が停止されると前記停
   電時給電回路を閉じる開閉手段と、 （ｊ）この開閉手段への通電および通電の停止を制御す
   る開閉手段駆動回路とを備えた燃焼装置の制御装置であ
   って、 平常時は、前記開閉手段駆動回路からの通電により前記
   開閉手段を作動させて前記停電時給電回路を開き、前記
   電磁安全弁を前記安全弁駆動回路からの通電により開弁
   保持し、 停電時は、前記開閉手段駆動回路の通電停止により前記
   開閉手段を作動させて前記停電時給電回路を閉じ、前記
   電磁安全弁を前記サーモカップルの起電力により開弁保
   持することを特徴とする 燃焼装置の制御装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載の燃焼装置の制御装置にお
   いて、 前記開閉手段は、前記停電時給電回路に接続された常閉
   型リレースイッチ、および通電されると前記リレースイ
   ッチを開くリレーコイルを有することを特徴とする燃焼
   装置の制御装置。
3. 【請求項３】請求項２に記載の燃焼装置の制御装置にお
   いて、 前記開閉手段駆動回路は、前記リレーコイルへの通電お
   よび通電の停止を制御するリレー駆動回路であり、 このリレー駆動回路は、通電が停止されてから所定時間
   が経過した後に前記リレーコイルへの通電を停止するこ
   とを特徴とする燃焼装置の制御装置。