JP2024511155A - 多価タンパク質およびスクリーニング法 - Google Patents

多価タンパク質およびスクリーニング法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024511155A
JP2024511155A JP2023558688A JP2023558688A JP2024511155A JP 2024511155 A JP2024511155 A JP 2024511155A JP 2023558688 A JP2023558688 A JP 2023558688A JP 2023558688 A JP2023558688 A JP 2023558688A JP 2024511155 A JP2024511155 A JP 2024511155A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
domain
seq
binding site
binding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023558688A
Other languages
English (en)
Inventor
ハーゲン アウグスト シュー,アルネ
アニュアール,イルシャード ノール アバディ ビン カイリル
ティン シェリル リム,イン
Original Assignee
リリウムエックス リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リリウムエックス リミテッド filed Critical リリウムエックス リミテッド
Publication of JP2024511155A publication Critical patent/JP2024511155A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/78Connective tissue peptides, e.g. collagen, elastin, laminin, fibronectin, vitronectin or cold insoluble globulin [CIG]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/315Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Streptococcus (G), e.g. Enterococci
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/5005Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells
    • G01N33/5008Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins
    • G01N33/6845Methods of identifying protein-protein interactions in protein mixtures
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/70Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2500/00Screening for compounds of potential therapeutic value

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

本明細書では、治療薬として有用であり、新しい治療用化合物の特定に有用な多価タンパク質スキャフォールドが提供される。本発明は、複数の結合ドメインおよび構造ドメインを有するマルチドメインポリペプチド構築物にも関する。また、本明細書では、本提供の多価タンパク質スキャフォールドを使用して、新しい候補治療薬を特定するための方法、およびそれにより特定された新しい治療薬が提供される。

Description

本発明は、多価タンパク質スキャフォールド、ならびに標的分子の組合せの表現型スクリーニング用のモジュール系としてのおよび治療薬としてのそれらの使用に関する。本発明は、複数の結合ドメインおよび構造ドメインを含むマルチドメインポリペプチド構築物にも関する。本発明は、本記載のタンパク質スキャフォールドを使用して新しい治療薬を特定するための方法、およびそのようにして特定することができる治療薬にも関する。
多くの病理学的状態に対して新しい治療薬を特定する必要性が継続的に存在する。
タンパク質ベース療法は、多くの一般的疾患に対処するための魅力的なアプローチを提供している。そのような治療薬は臨床的に高い成功を収めていることが証明されており、多くのタンパク質治療薬は臨床使用が世界中で規制当局により承認されている。
タンパク質ベース治療薬は種々の様式:例えば、欠損または異常なタンパク質を置き換えることにより;既存の経路を強化することにより;治療薬有用性に新規機能または活性を提供することにより;分子または生物を妨害することにより;および放射性核種、細胞傷害薬、またはエフェクタータンパク質などの他の化合物またはタンパク質を送達することにより作用することができる。治療用タンパク質は、それらの物理的および構造的特性に基づきグループ分けすることができ、例えば、抗体ベース薬、Fc融合タンパク質、抗凝固剤、血液因子、骨形成タンパク質、遺伝子操作タンパク質スキャフォールド、酵素、成長因子、ホルモン、インターフェロン、インターロイキン、および血栓溶解剤などに分けることができる。治療用タンパク質は、それらの分子活性機序に基づき分類することもできる。例えば、モノクローナル抗体は、典型的には、標的に非共有結合で結合することにより作用する。酵素は、標的の共有結合に影響を及ぼすことができる。他のタンパク質、例えば血清アルブミンは、いかなる特異的相互作用も示さずに活性を発揮することができる。
臨床的に成功を収めているタンパク質ベース治療薬の1つのクラスは、治療用抗体である。抗体は、免疫グロブリン(Ig)としても知られており、多くの疾患状態に対する有望な治療法である評価されている。例えば、モノクローナル抗体療法は、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、および種々の形態のがんを含む疾患を治療するために使用されている。市販されている抗体治療薬としては、ムロモマブ(muromomab)、アブシキシマブ、リツキシマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、イブリトモマブ、アダリムマブ、アレファセプト、オマリズマブ、トシツモマブ、エファリズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、およびセルトリズマブが挙げられる。
抗体は、典型的には、Fc領域および2つの抗原結合(Fab)領域を形成する4つのポリペプチド鎖を含む。各Fab領域は、パラトープを形成して抗原と接触する可変領域(Fv)を含む。天然に存在する抗体は、典型的には、可変領域において対称的な結合を示す。しかしながら、この制限は、典型的には、可変領域にて所与の抗体を標的にすることができるのは単一の受容体タイプ(または他の標的)のみであることを意味する。
これに対処することを試みるために、最近では二重特異性抗体に関心が多く集まっている。二重特異性抗体は、2つのFab部位の各々が2つの異なる抗原に結合するという点で、従来の単一特異性抗体とは異なる。二重特異性抗体は、多くの場合、Ig様または非Ig様のいずれかであると分類され、後者は、化学的に連結されたFab領域からなっていてもよい。
二重特異性抗体は、臨床使用に向けて積極的に研究されている。市販されている二重特異性抗体の2つの例としては、T細胞を標的とするためのCD3部位およびB細胞を標的とするCD19部位を両方とも含み、フィラデルフィア染色体陰性再発または難治性急性リンパ芽球性白血病の治療に有用である、Blincytoという商標名で販売されているブリナツモマブ;ならびに血液凝固第IXa因子および第X因子の両方を標的とし、血友病Aの治療に使用されるエミシズマブ(商標名Hemlibraで販売されている)が挙げられる。二重特異性抗体は、一般的に、複数の細胞タイプと同時に結合するために、例えば腫瘍細胞受容体との結合および細胞傷害性免疫細胞の動員を同時に行うことにより使用される。
一部の二重特異性抗体は有望性を提供しているにも関わらず、問題が依然として残っている。抗体治療薬には、少なくともそれらのサイズ、および複雑なグリコシル化パターンを含む複雑な翻訳後修飾化学のため、高い生産コストが伴う。抗体生産には、哺乳動物細胞の非常に大規模な培養の使用、続いて徹底した精製ステップが必要であり、これが非常に高い生産コストに結び付き、こうした薬物の広範な使用が制限される。また、抗体には、不良な腫瘍標的化が伴うため、がん治療における使用が制限されている(例えば、マウス異種移植モデルでの研究により、典型的には、投与された抗体の20%未満しか腫瘍と相互作用しないことが示されている)。抗体のFc部分、例えばIgG抗体は、幾つかの細胞タイプの表面に発現される種々の受容体と相互作用することができ、それにより循環中のそれらの滞留性が増加する。抗体のサイズが大きいことは、in vivoでの拡散が遅いことにも結び付く。IgG様抗体は免疫原性であり、Fc受容体活性化を介して有害な下流免疫反応を引き起こす可能性がある。特に二重特異性抗体に関しては、以前に記載されている「ノブイントゥホール(knobs into holes)」というIg様手法は、モジュール性が欠如しているため、多数の抗原結合ドメインのスクリーニングに応用するのは容易ではない。さらに、二重特異性抗体手法は、実際にはFv/Fab領域のスクリーニングに限定されるため、他の非免疫グロブリンタンパク質ドメインの療法的可能性を調査するためには使用されない。タンデム融合の非Ig様手法は、応用性がより広いが、大規模化は容易ではない。
Blanco-Toribio et al(MAbs. 2013 Jan 1; 5(1): 70-79)には、単一特異性および二重特異性六価トリマーボディ(trimerbody)の生成および特徴付けが記載されている「トリマーボディ」と称されるこの分子では、三量体化スキャフォールドとして、2つの可撓性リンカーによりフランキングされている、ヒトXVIII型コラーゲン非コラーゲン性1(NC1)ドメインのN末端三量体化領域の修飾型が使用されている。著者らは、同じまたは異なる特異性を有する単鎖可変断片(scFv)を、三量体化スキャフォールドドメインのN末端およびC末端の両方に融合させることにより、トランスフェクト哺乳動物細胞により可溶性タンパク質として効率的に分泌される単一特異性または二重特異性六価分子を生成した。二重特異性抗ラミニン×抗CD3 N-/C-トリマーボディは、溶液中で三量体であることが見出された。この方法の1つ欠点は、必要とされるトランスフェクションの使用が必ずしも便利な生産方法ではないことである。
国際公開第2020/0188346号パンフレットには、2つの抗原結合ドメイン(「ABD」)が、抗原結合タンパク質とイソペプチド連結を形成する2つまたはそれよりも多くのドメインで形成される融合タンパク質に共有結合で結合している二重特異性抗原結合タンパク質が記載されている。イソペプチド連結形成ドメインは、典型的には、Spycatcher(「SC」)などのキャッチャードメイン(catcher domain)であり、得られる二重特異性タンパク質は、ABD-SC-SC-ABD形式である。
Brune et al 2017(Bioconjugate Chem. 2017, 28, 5, 1544-1551)には、ツイン抗原免疫(twin antigen immunization)のための直交反応性タンパク質を使用したプラグアンドディスプレイ(plug-and-display)合成アセンブリが記載されている。著者らは、多量体化コイルドコイルIMX313および2つの直交反応性スプリットタンパク質(split protein)を遺伝子操作することにより、二重アドレス可能な合成ナノ粒子を調製した。この構築物は、SpyCatcher-IMX-SnoopCatcher形式であり、モジュール式プラットフォームを提供する。これにより、混合するだけで、SpyTag-抗原およびSnoopTag-抗原を粒子の反対側の面で多量体化することができる。
このように、こうした問題の一部またはすべてを克服する新しいタンパク質治療薬の迅速で大規模化可能な応用性の高い特定および設計を可能にする新しいパラダイムが必要とされている。特に、従来の抗体プラットフォームに匹敵する新しいプラットフォーム技術が必要とされている。
本発明者らは、上記に記載の問題を認識した。今や、非抗体アセンブリプラットフォームを使用して、新規治療薬をスクリーニング、特定、および開発するためのカスタマイズ可能で再現可能であり大規模化可能で応用性の高いスキャフォールドを提供することができることが認識されている。本明細書に記載の手法により、複数の異なるタンパク質の幾何学的形状、結合価、および/または機能性を、潜在的な療法効果について評価することが可能になる。
本発明者らの手法の一部は、好ましい特性を有するタンパク質構築物を開発するためのものであった。そうした構築物は、融合タンパク質として発現させることにより組換え的に調製してもよく、または化学コンジュゲートなどの当技術分野で公知の他の手段により成分ドメインを接合してもよい。特に、本発明者らは、有利なことに、ポリペプチドのN末端およびC末端の両方を修飾して、2つの修飾末端を有するポリペプチドを提供することができることを特定した。修飾は、典型的には、各々が標的分子、例えば抗原結合領域またはイソペプチド結合形成領域に結合することができるポリペプチドドメインの付加である。異なる標的分子をN末端およびC末端に結合させて、いわゆる二重特異性結合構築物を提供することができる。得られるタンパク質構築物は、修飾N末端および修飾C末端で標的分子に結合することができる。本発明者らは、特に、遺伝子操作タンパク質構築物であって、N末端およびC末端は、同じ基本配向性を示しており、得られた構築物は、結合パートナーが同じ基本空間および配向性で存在する場合、例えばプレートもしくはビーズなどの固体表面にまたは細胞の表面に結合している場合、各末端の結合パートナーに結合することができる、遺伝子操作タンパク質構築物を示す。これは、単一ポリペプチド鎖の修飾N末端およびC末端を「シス」配向性で提供することであると称することができる。典型的には、シス配向性二重特異性構築物が提供される。こうしたタンパク質構築物の2またはそれよりも多くを組み合わせて、オリゴマータンパク質を形成することできる。
こうしたタンパク質構築物は、結合領域(例えば、抗原結合領域)などのエフェクター部分の有用な組合せをスクリーニングするために使用することができるコンビナトリアル系の作出を可能にする。さらに、有用な組合せが特定されたら、構築物を修飾して、コンビナトリアルスクリーニングに必要な特徴を除去する(または例えばリンカーと置き換える)ことができ、それにより、特定された好ましい組合せの結合領域を有するより単純なタンパク質構築物が提供される。こうした構築物は、1つよりも多くの構築物の単量体またはオリゴマーとして、治療薬、診断薬、または分析剤として特に有用であり得る。
したがって、本明細書では、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア;および
- 少なくとも2つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも2つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置する、
多価タンパク質スキャフォールドが提供される。
また、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア;
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、
前記第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含む、
多価タンパク質スキャフォールドが提供される。
さらに、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、
前記オリゴマーコアは、抗体のFc領域を含まない、
多価タンパク質スキャフォールドが提供される。
好ましくは、オリゴマーコアは、少なくとも3つのサブユニット単量体を含む。より好ましくは、オリゴマーコアは、3~6つのサブユニット単量体を含む。
好ましくは、一実施形態では、サブユニット単量体は非共有結合で一緒に付着している。好ましくは、別の実施形態では、サブユニット単量体は共有結合で一緒に付着している。好ましくは、サブユニット単量体が共有結合で一緒に付着している場合、サブユニット単量体は、遺伝子的に一緒に融合している。一部の実施形態では、サブユニット単量体は、組換え核酸からの単一のポリペプチド鎖として発現される。
一実施形態では、オリゴマーコアは、好ましくはホモオリゴマーコアである。そのような実施形態では、好ましくは、オリゴマーコアの各単量体は、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位を含み、少なくとも1つの第1の結合部位は、少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である。好ましくは、一態様では、各単量体は、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記単量体の第2の末端にある第2の結合部位を含む。好ましくは、各単量体の第1の末端および第2の末端は、前記単量体の同じ面に位置する。好ましくは、別の態様では、各単量体は、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記第1の結合部位に付着した第2の結合部位を含む。
別の実施形態では、オリゴマーコアは、好ましくは、ヘテロオリゴマーコアである。好ましくは、そのような実施形態では、前記コアは、第1の結合部位を含む少なくとも1つの第1のサブユニット単量体、および第2の結合部位を含む少なくとも1つの第2のサブユニット単量体を含み、第1の結合部位は第2の結合部位に対して直交性である。
好ましくは、本発明では、本明細書で提供されるタンパク質スキャフォールドは、典型的には、各サブユニット単量体が、300個未満のアミノ酸、好ましくは200個未満のアミノ酸、より好ましくは150個未満のアミノ酸を含む。好ましくは、オリゴマーコアは、約150kDa未満、好ましくは約100kDa未満、より好ましくは約70kDa未満の分子量を有する。
一部の実施形態では、オリゴマーコアは抗体のFc領域を含まない。一部の実施形態では、オリゴマーコアはCH2ドメインを含まない。一部の実施形態では、オリゴマーコアはCH3ドメインを含まない。一部の実施形態では、オリゴマーコアは、CH2ドメインを含まず、CH3ドメインを含まない。
好ましくは、オリゴマーコアおよび/またはスキャフォールドは、ヒト対象に投与しても免疫応答を生じさせない。これについては、本明細書でさらに詳しく説明する。
一部の実施形態では、オリゴマーコアおよび/もしくはスキャフォールドまたは構造ドメインは、ヒト対象に投与しても有害な免疫応答を生じさせない。例えば、構造ドメインに対する活性B細胞またはT細胞応答は引き起こされず、および/または構造ドメインは、免疫グロブリン受容体と特異的に結合もせず、抗体依存性細胞媒介性傷害(ADCC)を活性化もしない。
好ましくは、オリゴマーコアは、多量体タンパク質の可溶性多量体化構造要素を含む。好ましくは、多量体タンパク質は、コラーゲンNC(非コラーゲン性)ドメイン(例えば、NC1ドメイン)、CutA1、C1q頭部ドメイン、TNF、p53、フィブリノーゲン、C4、枯草菌(Bacillus subtillus)AbrB、またはそれらのホモログもしくはパラログを含む。
好ましくは、多量体タンパク質は、VIII型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、X型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、C1q頭部ドメイン、CutA1タンパク質、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)もしくはマクロファージ遊走阻害因子2(MIF-2)、腫瘍壊死因子(TNF)、TL1AもしくはCD40Lを含むTNFファミリーメンバー、またはそれらのホモログもしくはパラログを含む。
好ましくは、多量体化構造要素は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号60、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号42、配列番号31、配列番号58、または配列番号19と、少なくとも30%または少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。
好ましくは、第1の結合部位および/または前記第2の結合部位は、タンパク質ドメインを含む。典型的には、前記第1の結合部位は第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は第2のタンパク質ドメインを含む。好ましくは、第1の結合部位および/または第2の結合部位は、それらが付着するサブユニット単量体に遺伝子的に融合されており、単一のポリペプチド鎖を形成する。
好ましくは、第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含む。好ましくは、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含む。より好ましくは、第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することができる第2のタンパク質ドメインを含む。好ましくは、前記第1のタンパク質ドメインは前記第1のポリペプチド標的とイソペプチド結合を形成することが可能であり、前記第2のタンパク質ドメインは前記第2の結合標的とイソペプチド結合を形成することが可能である。
好ましくは、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は各々、異なるスプリットリガンド結合タンパク質ドメイン(split ligand-binding protein domain)を含む。より好ましくは、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の一方は、スプリットストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)フィブロネクチン結合タンパク質ドメインを含み、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の他方は、スプリットストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)アドヘシンドメインを含む。
好ましくは、前記第1および前記第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性を有する。一部の実施形態では、前記第1および前記第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%アミノ酸同一性を有する。
また、本明細書では、本明細書に記載のタンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第2のポリペプチド標的に結合している、タンパク質複合体が提供される。
好ましくは、前記複合体では、第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ;(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ;(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ;(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ、または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される。
また、ライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、前記ライブラリーは、本明細書に記載のタンパク質複合体の複数の集団を含み、タンパク質複合体の集団は各々、第1のエフェクター部分、第2のエフェクター部分、および/またはオリゴマーコアの異なる組合せを含む、スクリーニングプラットフォームが提供される。
また、治療用薬物または薬物アナログを特定するための方法であって、
本明細書に記載のタンパク質複合体を用意すること、
タンパク質複合体を生物系と接触させること、および
タンパク質複合体が生物系の特性に所望の変化を誘導するか否かを測定すること
を含み、
任意選択で、生物系の特性に所望の変化を誘導するタンパク質複合体を選択することをさらに含む方法が提供される。
この方法は、前記タンパク質複合体の第1および第2のエフェクター部分に付着した特定された治療用薬物アナログのタンパク質複合体のスキャフォールドのオリゴマーコアを含む治療用薬物または薬物候補を合成することをさらに含んでもよい。
また、本明細書に記載の方法に従って得ることが可能な治療用薬物候補が提供される。
また、本明細書に記載の方法に従って得ることが可能な治療用薬物が提供される。
また、本明細書に記載の1つまたは複数の構築物またはポリペプチドを含むかまたはからなる治療用薬物または薬物候補が提供される。
また、本明細書では、治療用薬物または薬物候補であって、1つまたは複数の第1のエフェクター部分および1つまたは複数の第2のエフェクター部分に付着した複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアであって、前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分および前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、オリゴマーコアの同じ面に位置し、(i)前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分は、2つまたはそれよりも多くの第1のエフェクター部分を含み、前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、2つまたはそれよりも多くの第2のエフェクター部分を含み;および/または(ii)前記オリゴマーコアは、抗体も抗体断片も含まない、オリゴマーコアを含む、治療用薬物または薬物候補が提供される。好ましくは、治療用薬物対応物のオリゴマーコアは、本明細書でより詳細に記載される通りである。
好ましくは、本提供の治療用薬物候補では、オリゴマーコアは、複数のサブユニット単量体を含み、(i)各サブユニット単量体は、コラーゲンNC1ドメイン、CutA1、C1qドメイン、TNF、p53、フィブリノーゲン、C4、枯草菌AbrB、またはそれらのホモログもしくはパラログを含み;および/または(ii)各サブユニット単量体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号19と少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む多量体化構造要素を含む。
好ましくは、本提供の治療用薬物または薬物候補では、オリゴマーコアは複数のサブユニット単量体を含み、(i)各サブユニット単量体は、VIII型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、X型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、C1q頭部ドメイン、CutA1タンパク質、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)もしくはマクロファージ遊走阻害因子2(MIF-2)、腫瘍壊死因子(TNF)、TL1AもしくはCD40Lを含むTNFファミリーメンバー、またはそれらのホモログもしくはパラログを含み;および/あるいは(ii)各サブユニット単量体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号60、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号42、配列番号31、配列番号58、または配列番号19と少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む多量体化構造要素を含む。
ある特定の態様では、本発明は、N末端に第1の結合ドメイン、およびC末端に第2の結合ドメインを含むポリペプチドであって、第1および第2の結合ドメインは構造ドメインにより分離されている、ポリペプチドを提供する。ポリペプチドは、典型的には、組換え核酸からの融合タンパク質として発現される単一の遺伝子操作ポリペプチド鎖である。典型的には、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、標的分子が単一細胞上に発現されるか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる。これは、本明細書では、第1および第2の結合ドメインを「シス」配向性で提供することであると説明されることがある。
一部の実施形態では、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、異なる抗原結合ドメインである。この場合、構築物は二重特異性構築物である。
一部の実施形態では、第1の結合ドメインおよび/または第2の結合ドメインは、生物学的分子と特異的に結合することが可能なタンパク質またはペプチドである。これは、タンパク質またはペプチドリガンドまたは受容体、例えばサイトカインまたは細胞表面受容体などの結合パートナーと特異的に相互作用することが可能なシグナル伝達分子であってもよい。
他の実施形態では、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、各々が、同族ペプチドとイソペプチド結合を形成することが可能なキャッチャードメイン(つまり、スプリットリガンド結合タンパク質ドメイン)である。こうした同族ペプチドはタグペプチドと呼ばれることが多く、例えば、当技術分野で公知であり、下記で考察されているように、SpyTagは、SpyCatcherドメインとイソペプチド結合を形成する。典型的には、第1の結合ドメインに対する同族ペプチドは、第2の結合ドメインに対する同族ペプチドとは異なる。しかしながら、一部の実施形態では、同族ペプチドは、第1および第2の結合ドメインの両方で同じであってもよい。各末端にキャッチャー(catcher)を有するポリペプチドは、タグを含む分子(例えば、タンパク質)とは別々に、例えばキットの一部として提供することができる。一部の実施形態では、各タグペプチドは、その同族キャッチャードメインに共有結合で付着しており、任意選択で、一方または両方の同族ペプチドは、イソペプチド結合により第1および/または第2のキャッチャードメインに連結されている。一部の実施形態では、一方または両方の同族ペプチドタグは、エフェクター部分、典型的には抗原結合ドメインとの融合ポリペプチドとして存在する。したがって、キャッチャーとその同族ペプチドタグとの連結により、エフェクター部分(例えば、抗原結合ドメイン)がその結合ドメインに連結される。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含み、第1および第2の結合ドメインは構造ドメインにより隔てられており、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、各々が同族ペプチドとイソペプチド結合を形成することができるキャッチャードメインであり、第1のキャッチャードメインは、イソペプチド結合によりその同族ペプチドタグに連結されており、第2のキャッチャードメインは、イソペプチド結合によりその同族ペプチドタグに連結されている。一部の実施形態では、各ペプチドタグは、抗原結合ドメインに付着している。
上述の4つの段落のポリペプチドは、単量体として有用であるか、または一緒になってオリゴマーを形成する。
一部の態様では、上記におよび本明細書の他所で規定の2つまたはそれよりも多くのポリペプチドを含むオリゴマーが提供される。
一部の態様では、先行する段落で規定のポリペプチドまたはオリゴマーは、本明細書の他所に記載の特徴を含む。例えば、ポリペプチド構築物の構造ドメインは、典型的には、本明細書で広範に記載される「サブユニット単量体」であり、したがって、サブユニット単量体の規定および説明は構造ドメインにも適用される。同様に、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、典型的には、本明細書の他所に記載の第1の結合部位および第2の結合部位であり、したがって、第1および第2の結合部位の規定および説明は、ポリペプチド構築物の第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインにも適用される。
本発明は、多数のエフェクター部分の高度に応用性が高いスクリーニングを可能にする。エフェクター部分は、任意のタンパク質ドメインであってもよく、Fab/Fv領域または他の抗原結合ドメインに限定されない。また、本発明は、従来の二重特異性抗体または他の手法を使用しては観察されないと考えられるより高次結合価の相互作用により達成される分子の効果を調査するために使用することもできる。したがって、本発明は、より高次結合価の相互作用によってのみ観察される効果を拾い上げることができる、二重特異性分子組合せのハイスループットスクリーニング用の系を提供する。また、本発明は、本明細書で提供される方法に従って特定することができる新しい治療薬候補を提供する。治療薬候補は、複数の機能性および結合価増加という利益を提供する。
当技術分野には、多価タンパク質スキャフォールドの限定的な使用が記載されている。Brune et al., Bioconjugate Chemistry, 28(5), pp.1544-1551により記載の1つの試みは、抗原がIMX313七量体コアの反対側の面にアセンブリされた七量体アセンブリの潜在的マラリアワクチンとして使用に関する。しかしながら、そのような構築物は、付着した抗原が反対側に提示されるため、同一細胞多受容体係合には適しておらず、がんおよび自己免疫疾患などの障害を治療するための同一細胞結合への応用は限定的である。
このように、エフェクター部分(本明細書ではリガンドとも呼ばれる)の組合せの表現型スクリーニングのための新しいおよび/または改良された方法、および新しい治療薬を開発するための方法が必要とされている。従来の方法では、調査した機能性の組合せの結合価を増加させることが可能ではなく、および/またはタンパク質スキャフォールドの同じ面に抗原を提示することの相乗的利益は認識されていない。本開示に従って設計および特定することができる、本明細書で提供される治療薬を含む、新しいおよび/または改良された治療薬も必要とされている。
本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、第1の結合部位および第2の結合部位は、オリゴマーコアの同じ面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に位置している、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、第1の結合部位および第2の結合部位は、オリゴマーコアの反対側の面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの反対側の面に位置している、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、複数の第1の結合部位および複数の第2の結合部位は、表面との係合のために、オリゴマーコアの同じ面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に位置している、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、複数の第1の結合部位および複数の第2の結合部位は、オリゴマーコアの反対側の面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの反対側の面に位置しており、したがって表面と同時に係合することができない、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、第1の結合部位および第2の結合部位は、オリゴマーコアの同じ面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に、前面-前面配向性で位置している、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、第1の結合部位および第2の結合部位は、オリゴマーコアの同じ面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に、前面-側面配向性で位置している、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドであって、第1の結合部位および第2の結合部位は、オリゴマーコアの同じ面に、したがって多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に、前面-前面配向性と前面-側面配向性との中間の配向性で位置している、多価タンパク質スキャフォールドを示す概略図である。 本明細書に記載の多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアのサブユニット単量体に付着した第1の結合部位と第2の結合部位との間に形成される角度(X)を示す概略図である。 第1および第2の結合部位のタンデム融合体を、本明細書に記載のオリゴマーコアに付着させ、多価タンパク質スキャフォールドの産生を可能にする本発明の実施形態を示す概略図である。本明細書で開示の方法を使用して、種々の異なる幾何学的形状および化学量論を生成できる。 「シス」位にある融合部位の2D描写を示す図である。a)所与の標的平面に対して、その標的平面から引かれた直交線によりコアタンパク質の最長断面が決定され、それを距離dcであると特徴付ける。この断面の中点を横切る平行な平面が示されている。この場合、タンパク質コンジュゲーション(星印、丸印)の部位は、すべてのコンジュゲート部位について、コンジュゲーション部位から、タンパク質表面と交差しない標的平面までの最短経路の距離が、距離dのある特定の%未満、例えばdの50%未満である場合、優先的に「シス」位にあるとみなされる。b)すべての結合部位がシス位にあるタンパク質の例。c)すべての第2の結合部位(丸印)が50%dの閾値をわずかに下回る最小経路長であること特徴とするため、すべての結合部位が、a)に従って互いにシス位にあるタンパク質の例。d)すべての結合部位から標的平面までの投影距離(タンパク質を横断する)はc)と同じであるが、このタンパク質は、すべての第2の結合部位(丸印)からの最短経路を妨害する幾何学的形状を特徴としているため、こうした結合部位は、スキャフォールドの同じ側面に接近可能でないかおよび/または同じ側面に入らない。e、f)結合部位は互いに離れすぎているため、いかなる標的平面に対してもシス位であるとみなすことができない。 本明細書で参照されるタンパク質構造の概要を提供する図である。所与のPDB IDのタンパク質構造が、異なる色調の鎖を使用して模式図として視覚化されている。単一の単量体のN末端およびC末端には各々注釈が付けられており、ほぼ結合表面の方向を向いている。タンパク質構造の対称性、例えば、円C3対称性、円C4対称性、および二面体D2対称性が括弧内に示されている。:タンパク質対称性はNMR構造から推定されている。†1PK6は、C1対称性を特徴とするヘテロマーであるが、ドメインはホモマーであり、その配置はC3対称性に類似する。好適な単量体構成を有する多量体タンパク質コアを選択することにより、単量体毎に複数の結合部位を投影して単一の結合表面を形成することができる。組換え融合に加えて、そのようなタンパク質を、次いで、例えばSpyCatcherおよびSnoopCatcherまたはDogCatcherを用いたN末端およびC末端での組換え融合によるモジュール式アセンブリに使用して、例えば、オリゴマーコアタンパク質の単量体のN末端でのSpyCatcherとC末端でのSnoopCatcherとの組換え融合を介して好適に修飾されたペプチドまたはタンパク質に、多価性または他の特性を迅速に付与することができる。例としては、以下のものが挙げられる:(1)高度に熱安定性であるヒト銅結合タンパク質であり、各単量体のN末端およびC末端の両方が互いに近近傍にあり、アッセンブリされた三量体の単一平面上に投影してC3構造であることを特徴とするHsCutA1(PDB ID 2ZFH)。(2)HsCutA1と高い構造類似性を有するパイロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)由来の超熱安定性ホモログであるPhCutA1(PDB ID 4NYO)。(3)X型コラーゲンのNC1ドメイン(PDB ID:1GR3)、(4)VIII型コラーゲンのNC1ドメイン(PDB ID:1O91)、(5)マクロファージ遊走阻害因子2(PDB ID:7MSE)、(6)腫瘍壊死因子(PDB ID:1TNF)、(7)TNF様タンパク質TL1A(PDB ID:2RE9)。 シス配向性多量体タンパク質複合体は、容易に発現でき、標準的なタンパク質精製法により調製できることを示す図である。a)H6-SpC-PhCutA1-SnC[配列番号21]のNi-NTA精製。H6-SpC-PhCutA1-SnCは、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)で容易に発現され、SDS-PAGEローディング緩衝液で煮沸した後でも、超安定性PhCutA1に特徴的なインタクト三量体構造を保持する。洗浄1および2は、10カラム容量の平衡化緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl;10mMイミダゾール)を用いて実施した。洗浄3および4は、10カラム容量の洗浄緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl;30mMイミダゾール)を用いて実施した。すべての溶出ステップは、2カラム容量の溶出緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl;200mMイミダゾール)を用いて実施した。試料は、クーマシー染色による12%SDS-PAGEゲルを使用して分析した。P-溶解物ペレット;CL-清澄化溶解物;FT-フロースルー;W-洗浄;E-溶出。b、c)HiLoad16/600Superdex200pgを使用した、H6-SpC-PhCutA1-SnCのサイズ排除クロマトグラフィーの結果。b)H6-SpC-PhCutA1-SnCピークが強調表示されているUV A280吸光度クロマトグラム。c)上記クロマトグラムの強調表示された領域からのH6-SpC-PhCutA1-SnC 2mL画分のSDS-PAGE。 シス配向性提示のための、二面体六量体から円対称性三量体コアタンパク質への移行を示す図である。a)ホモ六量体逆平行コイルドコイルは、N末端およびC末端が、タンパク質アセンブリの2つの反対側にあることを特徴とする(PDB ID:5W0J)。b)点突然変異誘発により、例えば、塩橋形成の導入または修飾でアセンブリを一方向に「ロック」することにより、ホモマーアセンブリからヘテロマーアセンブリを誘導することができる(PDB ID:5VTE)。c)ヘテロマーアセンブリの末端を連結することにより、シス配向性提示に好適なホモマーアセンブリを誘導することになる(HIV GP41、PDB ID:1I5Yとの比較)。黒から白への方向(構造、概略図)および矢印の方向(概略図)はN末端からC末端へである。構造はPyMOLで視覚化した。 SpC-PhCutA1-SnCは非常に安定な三量体タンパク質であることを示す図である。a)SpC-PhCutA1-SnCの試料を、SDSローディング色素を添加する前に、PBSに加えた0%、0.5%、または1%SDSのいずれかで2時間97℃にて加熱した。試料を12%SDS-PAGEで分離し、クーマシーで染色した。加熱せずSDSを有していなかった対照試料が最初のレーンに示されている。SDS濃度が増加すると、三量体の部分的な単量体化が観察され、三量体が共有結合で架橋されていないことが確認された。b)SpC-PhCutA1-SnCは長期保存後も保持された。タンパク質アリコートを、4℃、周囲温度(21℃)、または37℃で7日間保管した後、SDSローディング緩衝液で試料を調製し、SDS-PAGEで分離した。タンパク質は、21℃~37℃では、4℃保管と比較して分解の兆候をほとんど示さなかった。任意選択で、プロテアーゼ阻害剤PMSFを添加したところ、同様の効果が得られた。 プラットフォームタンパク質へのモジュール式アセンブリのためのSpyTag付きおよびSnoopTag付きリガンド成分の調製を示す図である。a)Ni-NTAクロマトグラフィーを使用した、200mL BL21(DE3)培養物からのSnT-L1の精製。各洗浄ステップは、5mLのNi-NTA洗浄緩衝液を使用して実施した。各溶出ステップは、2mLのNi-NTA溶出緩衝液を使用して実施した。試料は、クーマシー染色による12%SDS-PAGEゲルを使用して分析した。pel.-溶解物ペレット;FT-フロースルー;W-洗浄;E-溶出;L-ラダー。b)a)と同様のL2-SpTの精製。c)Ni-NTA精製後のSnT-L1のサイズ排除クロマトグラフィー。HiLoad Superdex16/600 75pgカラムを用いたAKTA Pure25での、SnT-L1のUV A280吸光度クロマトグラム。挿入図:クロマトグラムの強調表示された領域からのSnT-L1 2mL画分のSDS-PAGE。d)c)と同様のL2-SpTのサイズ排除クロマトグラフィー。 SpC-PhCutA1-SnCは、SpyTag付きタンパク質およびSnoopTag付きタンパク質の安定三量体化を促進することを示す図である。a)H6-SpC-PhCutA1-SnCを、1:2:2モル過剰のSnT-L1またはL2-SpTと表記の時間にわたってコンジュゲートさせた後、試料をSDSローディング緩衝液で補完し、すべての試料を95℃で5分間煮沸することにより変性させた。試料を、8%および16%SDS-PAGEゲルで分離し、続いてクーマシー染色した。本発明者らは、リガンド成分の消費に伴って、SpC-PhCutA1-SnCとSnT-L1またはL2-SpTとの時間依存性コンジュゲーションを観察した。b)a)と同様のSpC-PC-SnCとSnT-L1およびL2-SpTとのコンジュゲーション。c)SpC-PhCutA1-SnCとSnT-L1およびL2-SpTとのコンジュゲーション。SpC-PhCutA1-SnCを、SnT-L1および/またはL2-SpTと共に1:2:2モル過剰でインキュベートし、試料を25℃で64時間インキュベートした。クーマシー染色による16%SDS-PAGEゲルを使用して試料を分析した。注目すべきには、SpC-PhCutA1-SnCおよびSnT-L1/L2-SpTは、完了までコンジュゲーションされ、PhCutA1の特徴的な超熱安定性を保持した。d)c)と同様のSpC-PC-SnCとSnT-L1およびL2-SpTとのコンジュゲーション。SpC-PC-SnCおよびSnT-L1/L2-SpTコンジュゲーションを完了するまで実施した。 高分子量スキャフォールドは、透析によるアセンブリ後精製を可能にすることを示す図である。a)Ni-NTA精製SpC-PhCutA1-SnCおよびb)SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTアセンブリを、96ウェル形式を使用して透析した。a)SpC-P2-SnCを、Ni-NTAクロマトグラフィーを使用して精製し、溶出画分を一緒にして濃縮した。b)SpC-PhCutA1-SnC、SnT-L1、およびL2-SpTのタンパク質コンジュゲーションを25℃で2時間実施した。透析は、100kDa MWCO膜を使用し、試料対透析緩衝液の比が1:1となるようにして、HTDialysis96ウェルブロックで実施した。透析は、周囲温度で円軌道で振盪しながら実施した。90分までは、PBS透析液を30分毎に交換した。24時間の透析では、タンパク質不純物(a~b)および未コンジュゲートリガンド(b)が平衡状態になるまで除去されたことを示す(試料対透析緩衝液の比は1:1)。試料を還元SDSローディング色素と共に煮沸し、12%SDS-PAGEで分離し、クーマシー染色で視覚化した。c)代替的に、SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTコンジュゲートを、試料対透析緩衝液の比が1:30であることを特徴とする、12ウェルプレート形式での透析により精製した。SpC-PhCutA1-SnC、SnT-L1、およびL2-SpTの、25℃で24時間の1:1コンジュゲーションを設定した。透析は、HTDialysis12ウェルブロックおよび100kDa MWCOセルロース膜を、周囲温度で16時間にわたって撹拌せずに実施した。試料容積100μLおよびPBS透析液容積3mLを使用した。両方とも、1×PMSFを含んでいた。試料および透析液を、2時間、4時間、8時間、および16時間の時点で採取した。試料は、14%SDS-PAGEゲルおよびクーマシー染色を使用して分析した。S=透析試料、D=透析液(PBS)。 種コア成分(PhCutA1からMIF2mまたはHsCutA1への)の変更、コンジュゲーション用のタンパク質成分(SpC/SnCからSpC3/DgCへの)の変更、および可変リンカー長(MIF2mの場合はGGGGSGGGGSGGGGS、HsCutAの場合はGGGGS)の変更を示し、迅速なプロトタイプ化の可能性が強調されている図である。a、b)H6-SpC3-HsCutA1-DgCまたはH6-SpC3-MIF2m-DgCのNi-NTA精製に由来する試料。TL-全溶解物;P-溶解物ペレット;CL-清澄化溶解物;FT-フロースルー;W-洗浄;E-溶出。試料は、クーマシー染色によるSDS-PAGEゲルを使用して分析した。c)SpC3-MIF2m-DgCおよびSpC3-HsCutA1-DgCは両方とも、DogTag付きまたはSpyTag付きタンパク質と迅速にコンジュゲーションすることが可能である。プラットフォームタンパク質を、1:1.5:1.5のモル比で16時間25℃にてインキュベートした。d)H6-SpC3-HsCutA1-DgCと0.1%グルタルアルデヒドとのインキュベーションは、溶液中での三量体タンパク質の架橋を示す。10μMのH6-SpC3-HsCutA1-DgCを、0.1%グルタルアルデヒドを使用して0~20分間架橋した。反応を、37℃でインキュベートし、100mM Tris、pH8.8の添加により停止させた。三量体架橋種が急速に形成され、長時間インキュベートすると、単量体H6-SpC3-HsCutA1-DgCが消費され、2つの三量体間の架橋の場合に予想される分子量の架橋種がある程度形成される。e)SpC3-HsCutA1-DgCを、L1-SpTおよびL3-DgTと1:2:2のモル比で16時間25℃にて反応させた。次いで、SpC3-HsCutA1-DgCのみ、L1-SpT:SpC3-HsCutA1-DgC、SpC3-HsCutA1-DgC:L3-DgT、およびL1-SpT:SpC3-HsCutA1-DgC:L3-DgTの各試料を、Superose6 Increase5/150 GLカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーに供したところ、各タンパク質スキャフォールドまたはタンパク質アセンブリの流体力学的半径の増加が示された。網掛け領域の各クロマトグラムピークのピーク画分を、SDS pageゲルにローディングし、過剰なリガンドを除去してスキャフォールドおよびアセンブリタンパク質のみを表示させた。こうした試料を図20cの入力として使用した。 融合タンパク質のシス配向性を予測するためにAlphafold v2.0をどのように使用したかを示す図である。各SpC3-スキャフォールド-DgCアセンブリの最も順位の高いモデルをPyMOLで視覚化した。単一鎖が強調表示されており、SpyCatcher3(中間灰色)、スキャフォールド(濃灰色)、およびDogCatcher(薄灰色)が示されている。追加の鎖は、白色で模式的に描かれている透明表面として表示されている。すべてのシミュレーションで、キャッチャーとスキャフォールドの間にGSGSリンカーを使用した。XV型コラーゲンNC1の場合、GSGSリンカーを使用すると予測構造が崩れた。したがって、(GGGGS)2リンカーを使用して予測を繰り返し、この構造をここに示す。Alphafold予測に使用した単量体配列:TL1A - 配列番号32;Col XV NC1 - 配列番号33;MIF2m - 配列番号34;HsCutA1 - 配列番号54;PhCutA1 - 配列番号55;Col X NC1 - 配列番号56;TNF - 配列番号57。 in vitro試験に対するスキャフォールドの適合性を示す図である。a)H6-SpC-PhCutA1-SnCを、2つの異なるリガンドSnT-L1およびL2-SpTにコンジュゲートした。血清飢餓NCI-N87細胞を、関連増殖因子および二重コンジュゲートアセンブリ(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpT)、単一コンジュゲートアセンブリ(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1、H6-SpC-PhCutA1-SnC:L2-SpT)、ならびにリガンドのみの対照(SnT-L1、L2-SpT、SnT-L1+L2-SpT)の存在下で7日間増殖させ、続いてMTT細胞生存率測定を行った。10nMのL1、L2、およびL1+L2に対する対照抗体を対照として使用したところ(データは示さず)、単一および二重コンジュゲートアセンブリ試料と比較して同様の結果が得られた。エラーバーは、n=3の技術的複製を示す。b)完全アセンブリスキャフォールドH6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTは、AktおよびErk1/2の活性化を抑制する。NCI-N87細胞を、スキャフォールドのみ(S;H6-SpC-PhCutA1-SnC)、リガンドのみ(L1;SnT-L1およびL2;L2-SpT)、ならびに単一コンジュゲート(S×L1、S×L2)アセンブリおよび二重コンジュゲート(S×L1×L2)アセンブリで1時間処理したところ、完全アセンブリH6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTによるAkt/ERKシグナル伝達の下流活性化の抑制を示した。c)H6-SpC-HsCutA1-SnCを2つの異なるリガンドSnT-L1およびL3-SpTとコンジュゲートした。血清飢餓NCI-N87細胞を、二重コンジュゲートアセンブリ(H6-SpC-HsCutA1-SnC:SnT-L1:L3-SpT)、単一コンジュゲートアセンブリ(H6-SpC-HsCutA1-SnC:SnT-L1、H6-SpC-HsCutA1-SnC:L3-SpT)、ならびにリガンドのみの対照(SnT-L1、L3-SpT、SnT-L1+L3-SpT)で2日間処理し、続いてMTT細胞生存率測定を行った。エラーバーは、n=3の技術的複製を示す。 Ni-NTAおよびサイズ排除クロマトグラフィーの両方による、直接融合マルチドメインポリペプチドとしてのL1-PhCutA1-L2の精製を示す図である。a)L1-PhCutA1-L2は、大腸菌BL21(DE3)で容易に発現され、HisPur樹脂(ThermoFisher)を使用してNi-NTAクロマトグラフィーで精製する。洗浄1および2は、10カラム容量の平衡化緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl;10mMイミダゾール)を用いて実施した。洗浄3および4は、2カラム容量の洗浄緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl;30mMイミダゾール)を用いて実施した。すべての溶出ステップは、2カラム容量の溶出緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl;200mMイミダゾール)を用いて実施した。試料を12%SDS-PAGEゲルで分析し、クーマシーで染色した。P-溶解物ペレット;CL-清澄化溶解物;FT-フロースルー;W-洗浄;E-溶出。b)HiLoad 16/600 Superdex200pgを使用したL1-PhCutA1-L2のサイズ排除クロマトグラフィーの結果。b)L1-PhCutA1-L2ピークが強調表示されたUV A280吸光度クロマトグラム。挿入図:上記クロマトグラムの強調表示された領域からのL1-PhCutA1-L2 2mL画分のSDS-PAGE。
本発明は、特定の実施形態に関して、およびある特定の図面を参照して説明されることになるが、本発明はそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。無論、必ずしもすべての態様または利点が本発明の任意の特定の実施形態に従って達成されるわけではないことが理解されるべきである。したがって、例えば、当業者であれば、本発明は、本明細書で教示される1つの利点または利点の群を達成または最適化する様式で具現化または実施することができるが、本明細書で教示または示唆されていてもよい他の態様または利点を必ずしも実施しないことを認識するであろう。
加えて、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに別様の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「スキャフォールド」への言及は2つまたはそれよりも多くのスキャフォールドを含み、「オリゴマー」への言及は2つまたはそれよりも多くのそのようなオリゴマーなどを含む。
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、上記であるかまたは下記であるかに関わらず、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
定義
以下の用語または定義は、本発明の理解を助けるために提供されているに過ぎない。本明細書で特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語は、本発明の当業者にとっての意味と同じ意味を有する。専門家であれば、当技術分野における定義および用語について、特にSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th ed., Cold Spring Harbor Press, Plainsview, New York (2012);およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (Supplement 114), John Wiley & Sons, New York (2016)を参照する。本明細書で提供される定義は、当業者が理解するものよりも狭い範囲を有すると解釈されるべきではない。
量および継続時間などの測定可能な値を参照する場合に本明細書で使用される「約」は、特定の値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、なおさらに好ましくは±0.1%のばらつきを包含することを意味し、このようなばらつきは、本開示の方法の実施に適切である。
本開示の状況における「アミノ酸」という用語は、その最も広義の意味で使用され、各アミノ酸に特異的な側鎖(例えば、R基)と共にアミン(NH)官能基およびカルボキシル(COOH)官能基を含む有機化合物を含むことを意味する。一部の実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するL α-アミノ酸または残基を指す。本明細書では、天然に存在するアミノ酸に関して一般的に使用される1文字略語および3文字略語が使用される:A=Ala;C=Cys;D=Asp;E=Glu;F=Phe;G=Gly;H=His;I=Ile;K=Lys;L=Leu;M=Met;N=Asn;P=Pro;Q=Gln;R=Arg;S=Ser;T=Thr;V=Val;W=Trp;およびY=Tyr(Lehninger, A. L., (1975) Biochemistry, 2d ed., pp. 71-92, Worth Publishers, New York)。「アミノ酸」という一般用語には、D-アミノ酸、レトロインベルソ型アミノ酸、ならびにアミノ酸アナログなどの化学修飾アミノ酸、ノルロイシンなど、通常はタンパク質に組み込まれない天然に存在するアミノ酸、およびβ-アミノ酸など、アミノ酸の特徴であることが当技術分野で公知である特性を有する化学合成化合物がさらに含まれる。例えば、天然PheまたはProと同じペプチド化合物の立体構造制限を可能にする、フェニルアラニンまたはプロリンのアナログまたは模倣物は、アミノ酸の定義内に含まれる。そのようなアナログおよび模倣物は、本明細書では対応するアミノ酸の「機能的等価物」と呼ばれる。アミノ酸の他の例は、Roberts and Vellaccio, The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, Gross and Meiehofer, eds., Vol. 5 p. 341, Academic Press, Inc., N.Y. 1983に掲載されている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる
「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、本明細書では同義的に使用され、アミノ酸残基のポリマー、ならびにそのバリアントおよび合成アナログを指す。したがって、こうした用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の化学的アナログなどの合成で天然に存在しないアミノ酸であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。また、ポリペプチドは、これらに限定されないが、グリコシル化、タンパク質分解的切断、脂質化、シグナルペプチド切断、プロペプチド切断、およびリン酸化などを含んでいてもよい、成熟または翻訳後修飾プロセスを受ける場合がある。ペプチドは、組換え技法を使用して、例えば、組換えまたは合成ポリヌクレオチドの発現により製作することができる。組換え産生されたペプチドは、典型的には培養培地を実質的に含まず、例えば、培養培地は、タンパク質調製物の容積の約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満に相当する。
「タンパク質」という用語は、二次構造または三次構造を有するフォールディングしたポリペプチドを記述するために使用される。タンパク質は、単一のポリペプチドで構成されていてもよく、またはアセンブリして多量体を形成する複数のポリペプチドを含んでいてもよい。多量体は、ホモオリゴマーであってもよくまたはヘテロオリゴマーであってもよい。タンパク質は、天然に存在するタンパク質、野生型タンパク質、または修飾されているかもしくは天然に存在しないタンパク質であってもよい。タンパク質は、例えば、1つまたは複数のアミノ酸の付加、置換、または欠失により野生型タンパク質と異なっていてもよい。
タンパク質の「バリアント」は、問題の未修飾または野生型タンパク質と比べてアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を有し、それらが由来する未修飾タンパク質と同様の生物学的および機能的活性を有するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および酵素を包含する。「アミノ酸同一性」という用語は、本明細書で使用される場合、比較ウィンドウにわたってアミノ酸毎の基準で同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって最適にアラインされた2つの配列を比較し、同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、およびMet)が両配列に存在する位置の数を決定して一致位置の数を算出し、一致位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数(つまり、ウィンドウサイズ)で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを算出することにより計算される。
本発明のすべての態様および実施形態では、「バリアント」は、典型的には、対応する野生型タンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%完全配列同一性を有する。また、配列同一性は、全長ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの断片または部分に対するものであってもよい。したがって、配列は、全長参照配列と50%の全体的配列同一性しか示さない場合があるが、特定の領域、ドメイン、またはサブユニットの配列は、参照配列と80%、90%、または99%もの配列同一性を共有する可能性がある。
「野生型」という用語は、天然に存在する供給源から単離された遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、集団内で最も頻繁に観察される遺伝子であり、したがって、任意に設計された「通常型」または「野生型」形態の遺伝子である。対照的に、「修飾された」、「突然変異体」、または「バリアント」という用語は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較して、配列の修飾(例えば、置換、切断、または挿入)、翻訳後修飾、および/または機能的特性(例えば、特徴の変更)を示す遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する突然変異体は単離されていてもよいことに留意されたい。これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較して特徴が変更されているという事実により特定される。天然に存在するアミノ酸を導入または置換するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、突然変異体単量体をコードするポリヌクレオチドの関連位置のメチオニンのコドン(ATG)をアルギニンのコドン(CGT)に置き換えることにより、メチオニン(M)をアルギニン(R)に置換することができる。また、天然に存在しないアミノ酸を導入または置換するための方法は当技術分野で周知である。例えば、突然変異体単量体の発現に使用されるIVTT系に合成アミノアシルtRNAを含めることにより、天然に存在しないアミノ酸を導入することができる。代替的に、天然に存在しないアミノ酸は、特定のアミノ酸の合成(つまり、天然に存在しない)アナログの存在下で、そうした特定のアミノ酸に対して栄養要求性である突然変異体単量体を大腸菌で発現させることにより導入することができる。突然変異体単量体は、部分的なペプチド合成を使用して生成する場合、ネイキッドライゲーション(naked ligation)により生成することもできる。保存的置換では、アミノ酸は、同様の化学構造、同様の化学的特性、または同様の側鎖容積を有する他のアミノ酸に置き換えられる。導入されるアミノ酸は、置き換えられるアミノ酸と同様の極性、親水性、疎水性、塩基性、酸性性、中性性、または電荷を有してもよい。代替的に、保存的置換では、既存の芳香族または脂肪族アミノ酸の代わりに、芳香族または脂肪族である別のアミノ酸を導入することができる。保存的アミノ酸変化は当技術分野で周知であり、下記の表1で規定される20個の主要アミノ酸の特性に従って選択することができる。アミノ酸が同様の極性を有する場合、これは、表2のアミノ酸側鎖の疎水性親水性指標尺度を参照することによっても決定することができる。
Figure 2024511155000001
Figure 2024511155000002
また、突然変異または修飾タンパク質、単量体、またはペプチドを、任意の方法および任意の部位で化学的に修飾することができる。突然変異または修飾単量体またはペプチドは、1つまたは複数のシステインへの分子の付着(システイン連結)、1つまたは複数のリジンへの分子の付着、1つまたは複数の天然に存在しないアミノ酸への分子の付着、エピトープの酵素修飾、または末端の修飾により化学的に修飾されていてもよい。そのような修飾を実施するための好適な方法は、当技術分野で周知である。修飾タンパク質、単量体、またはペプチドの突然変異体は、任意の分子の付着により化学的に修飾されていてもよい。例えば、修飾タンパク質、単量体、またはペプチドの突然変異体は、色素またはフルオロフォアの付着により化学的に修飾されていてもよい。
ポリペプチド構築物
本発明は、一部では、2つまたはそれよりも多くが一緒になってオリゴマータンパク質を形成する場合に有用であり、一部の実施形態では、単量体としても有用であり得るマルチドメインポリペプチド構築物に関する。マルチドメインポリペプチドは、典型的には、自然界では一緒に存在しないドメインが一緒になるように遺伝子操作されている。一部の実施形態では、3、4、5、または6つのポリペプチド構築物が一緒になってオリゴマーを形成する。一部の実施形態では、3つの構築物が一緒になって、三量体、例えばホモ三量体を形成する。
本明細書で提供される説明は、サブユニット単量体のオリゴマーコアについての説明である。サブユニット単量体は、典型的には、マルチドメインポリペプチド構築物の構造ドメインである。こうした構造ドメインのオリゴマー化は、ひいては多価タンパク質スキャフォールドのコアを形成することができる。
したがって、サブユニット単量体の特徴に関する考察は、個々のポリペプチド構築物の構造ドメインの開示および定義にも適用される。
同様に、ポリペプチド構築物の第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、状況に応じて、本明細書の他所に記載の第1の結合部位および第2の結合部位を形成してもよく、または本明細書の他所に記載の第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分を形成してもよい。例えば、結合ドメインがイソペプチド結合形成性「キャッチャー」ドメイン(または本明細書に記載の他の結合部位)である場合、それは下記の他所に記載の結合部位である。結合ドメインが、例えば、抗体、抗原結合性断片、抗体模倣体、タンパク質もしくはペプチドリガンド、タンパク質もしくはペプチドシグナル伝達分子(例えば、サイトカイン)、生物学的受容体、または本明細書においてエフェクター部分として記載されている他の分子である場合、結合ドメインは、本明細書の他所に記載のエフェクター部分である。
したがって、第1および第2の結合部位、または第1および第2のエフェクター部分の定義および説明は、ポリペプチド構築物の第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインに適宜適用される。
一部の実施形態では、ポリペプチド構築物は、N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含み、第1および第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられている。N末端は、ポリペプチドのアミノ末端の末端アミノ酸残基を指す。C末端は、ポリペプチドのカルボキシ末端の末端アミノ酸残基を指す。典型的には、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、標的分子が単一細胞上に発現されるか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる。これは、本明細書では、第1および第2の結合ドメインを「シス」配向性で提供することであると説明されることがある。典型的には、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、単一細胞の表面上にある細胞標的に結合し、両標的を細胞膜においてクラスター化することができる。したがって、シス配向性は、一部のシス作用剤(つまり、単一細胞に対して作用することができる)に対して優先的であり得る。二重特異性抗体のシス配向性は、逆の「トランス」配向性と共に、Dickopf et al (Computational and Structural Biotechnology Journal, Volume 18, 2020, Pages 1221-1227)にて考察されている。
幾何学的形状の状況における「シス配向性」は、本明細書では、シス-トランス異性化と同様に、および二重特異性抗体アーキテクチャを説明するために以前に使用されているように、2つの成分が平面の異なる側を「横切る」(ラテン語に由来する)、つまり平面の異なる側にある幾何学的形状の状況における「トランス」または「トランス配向性」とは対照的に、2つの成分が平面の「同じ側」にある(ラテン語に由来する)空間配置を指すために使用される。この幾何学的定義は、単一の二重特異性分子が、単一のまたは隣接する細胞(シス)または異なる細胞集団(トランス)に作用する、例えばエフェクター細胞を標的細胞へと動員する、生物学的効果の状況における「シス作用性」および「トランス作用性」とは異なる。様々な形式の幾何学的形状の探求に向けて積極的な関心および努力がなされている(例えば、Dengl et al Nat Commun. 2020; 11: 4974を参照)。「シス配向性」は、例えば、分子間距離を低減させることによる、ある特定の「トランス作用性」二重特異性においても有益であり得る(Dickopf et al, Computational and Structural Biotechnology Journal, Volume 18, 2020, pp. 1221-1227)。シス配向性は、単一細胞上の標的の多価結合またはクラスタリングによる、シス作用性二重特異性物質に対する多価シス配向性が特に興味深い(例えば、Veggiani et al Biochemistry January 19, 2016, 113 (5) 1202-1207に記載の二重特異性タンデム融合体、またはより高次の単一特異性クラスタリングKhairil Anuar et al, Nature Communications volume 10, Article number: 1734 (2019)との比較)。
構造ドメインの機能は、結合ドメインに対して、画定された構造的支持を提供することである。有利なことに、構造ドメインは、典型的には結合ドメインが両方ともシス配向性で標的に結合することができるように、結合ドメインが所望の配向性を有することを保証することができる。したがって、構築物は、単一の結合表面を提供することができる。
ある特定の実施形態では、構造ドメイン(オリゴマーコア)に対する結合ドメインの付着部位は、短いリンカーであっても結合を可能にする。
構造ドメインは、画定された二次構造、典型的にはアルファヘリックスまたはベータシートを含む任意のポリペプチドドメインであってもよい。一部の特に有利な実施形態では、構造ドメインは、例えば互いに実質的に隣接しているかまたは隣接しているそのN末端およびC末端を同じ空間領域に有する。結合ドメインを構造ドメインの末端に付着させると、三次元立体構造において実質的に隣接する2つの結合ドメインが提供される。一部の実施形態では、N末端およびC末端は、実質的に同じ方向を向くように配向されている。本明細書の他所に記載のように、空間的に隣接するN末端およびC末端を提供することにより、構築物の同じ面に、または複数の構築物を含むオリゴマーの同じ面に位置する結合ドメインがもたらされる。したがって、構築物は、典型的には単一の結合表面を提供する。構築物は、典型的には、シス配向性の結合領域を提供する。
構造ドメインは、単一のポリペプチド鎖を含んでいてもよく、または付随して単一の構造ドメインを形成する2つまたはそれよりも多くの別々のポリペプチド鎖、例えば、2つの逆平行(N-C C-N)アルファヘリックスまたは付随してベータシートを形成する2つもしくはそれよりも多くのベータ鎖で形成されてもよい。一部の実施形態では、適切な特徴を有する2つまたはそれよりも多くのポリペプチド鎖を特定し、次いで、典型的には組換え手段により融合して単一のポリペプチド鎖(つまり、融合タンパク質)を形成させるが、また化学的コンジュゲーションまたは結合により単一の共有結合分子を形成させる。
構造ドメインは、2つの結合ドメインとは異なる。したがって、結合ドメインが、SpyCatcher、DogCatcher、またはSnoopCatcherなどのキャッチャーポリペプチドである場合、構造ドメインは、キャッチャーポリペプチドではない。
典型的には、構造ドメインはCH2ドメインを含まない。典型的には、構造ドメインはCH3ドメインを含まない。一部の実施形態では、構造ドメインは、CH2ドメインを含まず、CH3ドメインを含まない。
下記および実施例で考察されているように、少なからぬ例示的な構造ドメインが本発明者らにより特定されている。一部の実施形態では、構造ドメインは、X型コラーゲンNC1ドメイン(配列番号2)、またはそれと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性を有するポリペプチドを含むかまたはからなる。一部の実施形態では、構造ドメインは、VIII型コラーゲンNC1ドメイン(配列番号3)、またはそれと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性を有するポリペプチドを含むかまたはからなる。一部の実施形態では、構造ドメインは、CutA1ポリペプチド(例えば、配列番号1または配列番号19)、またはそれと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性を有するポリペプチドを含むかまたはからなる。
ある特定の実施形態では、構造要素は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号19、配列番号29、配列番号60、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号42、配列番号31、または配列番号58と、少なくとも50%アミノ酸同一性、例えば少なくとも90%同一性を有するポリペプチドを含むかまたはからなる。
好適な構造ドメインは、IV型コラーゲンC4ドメイン(IV型コラーゲンNC1ドメインとしても知られている)(PDB ID:1m3d、配列番号49)であるか、またはそれと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性を有するポリペプチドである。
一般に、IV型コラーゲン、VIII型コラーゲン、およびX型コラーゲンに由来するNC1ドメインを含むコラーゲンNC1ドメインを、本発明による構造ドメインとして使用することができる。
しかしながら、すべてのコラーゲンNC1ドメインが構造ドメインとして適切であるとは限らない。特に、XV型コラーゲンおよびXVIII型コラーゲンに由来するNC1ドメインは、必要とされる配向性を有していない。
ある特定の実施形態では、構造ドメインは、ヒトマクロファージ遊走阻害因子(MIF)(PDB ID:1CA7、または配列番号25、またはY99G突然変異を有するPDB ID:6OY8)またはヒトマクロファージ遊走阻害因子2(MIF2)(PDB ID:7MSE、または配列番号26、またはS62AおよびF99A突然変異を有する配列番号27)またはそれらのホモログもしくはパラログを含む。
ある特定の実施形態では、構造ドメインは、TNF(PDB ID:1TNF、配列番号42)、TL1A(PDB ID:2re9、配列番号31)、またはCD40L(PDB ID:3lkj、配列番号58)を含むTNFファミリータンパク質を含む。
構造ドメインのさらなる例としては、好適に修飾された逆平行コイルドコイル六量体(PDB ID:5W0J、実施例4を参照、配列番号43)、HIV-1 GP41コア(PDB ID:1I5Yまたは配列番号44)、シトクロムc555(PDB ID:5Z25または配列番号45)、MHCクラスII関連シャペロニンおよびターゲティングタンパク質インバリアント鎖(Ii)(PDB ID:1iieまたは配列番号46)、p53(PDB ID:1C26または配列番号47);フィブリノーゲン様ドメイン(PDB ID:4M7Fまたは配列番号48)、枯草菌AbrB(PDB ID:1YFBまたは配列番号50)、バクテリオファージラムダ頭部タンパク質D(例えば、PDB ID:1C5EまたはPDB ID:1C5Eまたは配列番号51);HCRBPIIのドメインスワップ三量体バリアント(PDB ID:6VISまたは配列番号52);T1Lレオウイルス付着タンパク質シグマ1(PDB ID:4ODBの鎖A、B、C、または配列番号53)が挙げられる。
本発明によるポリペプチド構築物は、構造ドメインに加えて、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインを含む。
ある特定の実施形態では、結合ドメインは、同族ペプチド、例えば当技術分野で周知である種々のキャッチャードメインとイソペプチド連結を形成することが可能である。こうしたイソペプチド結合形成ドメインを含む構築物は、抗原結合タンパク質などのエフェクター分子の異なる対のスクリーニングに特に良好に適している。本明細書の他所で考察されているように、エフェクター分子の多数の組合せを、イソペプチド形成ペプチドタグを介して、イソペプチド結合形成結合ドメインを含む構築物に連結することができる。したがって、同族ペプチドとイソペプチド結合を形成することができる結合ドメインを含む構築物は、創薬プラットフォームとして特に有用である。
イソペプチド結合形成に関する本発明の態様は、一般に、構造ドメインに付着した、典型的にはキャッチャーと呼ばれるより大きな分子(ドメイン)と、目的の結合領域(例えば、抗原結合ドメイン)の一部を形成する、典型的にはタグと呼ばれるより小さなポリペプチドまたはペプチドとを参照して例示される。しかしながら、すべての態様および実施形態は、より大きな(例えば、キャッチャー)分子が、目的の結合領域(例えば、抗原結合ドメイン)の一部を形成し、より小さなタグペプチドが、構造ドメインに付着した結合ドメインを形成する逆配向性で実施することができる。
一部の実施形態では、ポリペプチド構築物中の第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗原結合ドメインなどのエフェクター分子である。こうした実施形態では、構築物は、診断剤、分析剤、または療法剤としての使用に特に適している。
一部の実施形態では、抗原結合領域の興味深いまたは有効な対を、本発明の創薬プラットフォームを使用して特定し(例えば、構築物がイソペプチド結合形成結合ドメインを含む場合)、次いでイソペプチド結合形成結合領域を有さず、構造ドメインに中間キャッチャードメインを用いずに、および抗原結合ドメインにペプチドタグを用いずに構造ドメインに直接的に接続された、抗原結合ドメイン(または他のエフェクター部分)の特定された組合せを有する構築物を発現させる。疑義を避けるために付記すると、こうした直接融合構築物は、本明細書の他所に詳細に記載されているように、構造ドメインの末端残基とエフェクター部分または各エフェクター部分(例えば、抗原結合領域)の末端残基との間にリンカー領域を依然として含んでいてもよい。
したがって、本発明の一態様は、タグ付きエフェクタータンパク質のコンビナトリアル対を使用して、エフェクター分子の多数の考え得る組合せを大規模ハイスループットスクリーニングするための系を提供し、有用であると特定された組合せを、それらがスクリーニング構築物で提供された形態で使用してもよく、創薬プラットフォームで使用されたものと同じ構造ドメインにおいてエフェクター分子(例えば、抗原結合領域)との直接融合体を作出することにより、より簡便な形式(例えば、治療薬候補のための)に変換してもよい。これにより、二重特異性および多重特異性作用剤を特定および開発するための、簡便で迅速かつ信頼性の高い技術が提供される。
抗原結合ドメインは、本発明に従って使用および適用することができる典型的なドメインである。本発明のある特定の態様では、抗原結合ドメインは、SpyTagまたはSnoopTagなどの、イソペプチド結合を形成することができるペプチドタグを含み、同族キャッチャードメインを含む構築物にイソペプチド結合で結合させて、例えば、コンビナトリアル式またはモジュール式スクリーニングのプラットフォームを作出することができる。本発明の他の態様では、本発明の構築物は、N末端に第1の抗原結合ドメインおよびC末端に第2の抗原結合ドメインを含み、第1および第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられている。任意選択で、抗原結合ドメインの1つまたは各々と構造ドメインとの間にリンカー配列が存在してもよい。下記で考察されるように、結合ドメイン(結合部位)を構造ドメイン(単量体サブユニット)に接続する際に使用するための好適なペプチドリンカーは、典型的には、1~100、1~50、1~25、1~20、1~15、または1~10アミノ酸長である。リンカー配列の例は、GSGS、GGGGS、GGGGSGGGGS、またはGGGGSGGGGSGGGGSである。
抗原結合ドメインは、典型的には、抗体の抗原結合性断片である。抗原結合性抗体断片は、完全長インタクト抗体ではなく、典型的には少なくともCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインを欠如している。そのような抗原結合性断片は周知であり、Fab、F(ab’)2、Fv、または単鎖Fv断片(scFv)が挙げられる。抗原結合性断片は、典型的には、抗原結合に必要なCDR(典型的には6つのCDR)、および正しいCDR構造に必要なフレームワーク残基を含む。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、重(H)鎖可変ドメイン配列(VH)および軽(L)鎖可変ドメイン配列(VL)を含む。
一部の実施形態では、抗原結合領域は、単一ドメイン抗体であってもよい。単一ドメイン抗体(sdAb)としては、その相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体を挙げることができる。例としては、これらに限定されないが、重鎖抗体、軽鎖を天然に欠く抗体、従来の4本鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、遺伝子操作抗体、および抗体に由来するもの以外の単一ドメインスキャフォールドが挙げられる。単一ドメイン抗体は、当技術分野の任意のものであってもよく、または任意の将来の単一ドメイン抗体であってもよい。単一ドメイン抗体は、これらに限定されないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚、サメ、ヤギ、ウサギ、およびウシを含む種に由来してもよい。単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として知られている天然に存在する単一ドメイン抗体であってもよい。そのような単一ドメイン抗体は、例えば国際公開第94/04678号パンフレットに開示されている。明瞭性の理由で、軽鎖を天然に欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、4本鎖免疫グロブリンの従来のVHと区別するために、VHHまたはナノボディと呼ばれることがある。このようなVHH分子は、ラクダ科の種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、およびグアナコで生じた抗体に由来してもよい。ラクダ科の他にも他の種は、軽鎖を天然に欠く重鎖抗体を産生することができ、そのようなVHHは、本発明の範囲内にある。
また、抗原結合ドメインは、アフィボディまたはDARPinなどの抗体模倣物を含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。アフィボディは、当技術分野で公知のように、典型的には約58個のアミノ酸を有し、約6kDaの分子質量を有する3つのアルファヘリックスを含む小型ポリペプチドである。当技術分野で公知のように、DARPIN(設計されたアンキリンリピートタンパク質)は、典型的には高度に特異的で高親和性の標的タンパク質結合を呈する、遺伝子操作された抗体模倣タンパク質である。
結合ドメインは、抗原結合ドメインの代替として、サイトカインなどの天然に存在するリガンドを含んでもよい。
2つの異なる抗原結合ドメインが二重特異性分子に存在する場合、それらは、典型的には、異なるエピトープに結合する。これは、同じ標的分子にある異なるエピトープであってもよく、または異なる標的分子にある異なるエピトープであってもよい。一部の実施形態では、エピトープは両方とも療法標的にあり、療法標的に対する抗原結合ドメインの結合は、療法上の利益のために生物学的機序、典型的には病理学的機序を改変する。
一部の実施形態では、抗原結合ドメインは各々、生物学的標的をアゴナイズすることができる。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは各々、生物学的標的をアンタゴナイズすることができる。一部の実施形態では、一方の抗原結合ドメインは第1の標的をアゴナイズすることができ、他方の抗原結合ドメインは第2の標的をアンタゴナイズすることができる。
一部の実施形態では、構築物は、同じエピトープに結合するが、そのエピトープに対して異なる親和性を有する2つの結合領域を含んでいてもよい。一部の実施形態では、構築物は、同じエピトープに対して任意選択で異なる親和性で結合する2つの結合領域を含んでいてもよく、2つの結合領域は、異なる形式を有し、例えば、一方の抗原結合領域はscFvであり、第2の抗原結合領域はFabである。
本発明のマルチドメインポリペプチド構築物は、典型的には、通常の慣例に従ってNからCへの方向で示される以下の形式を有する:
(結合ドメイン1)-リンカー1-構造ドメイン-リンカー2-(結合ドメイン2)
式中、リンカー1およびリンカー2は、任意選択のリンカー配列であり、任意選択で1~20個のアミノ酸、例えばGSGSである。任意選択の精製タグ、例えばHisタグ、例えば6×Hisを構築物のいずれかの末端に組み込むことができる。
結合ドメインは同じであってもよく、または典型的には異なっている。結合ドメインは、典型的には、キャッチャーポリペプチドであってもよくまたは抗原結合ドメインであってもよい。少なからぬ例示的な構成を下記に提供する。
SpC-リンカー1-CutA1-リンカー2-SpC
SnC-リンカー1-CutA1-リンカー2-SnC
SnC-リンカー1-CutA1-リンカー2-SpC
SpC-リンカー1-CutA1-リンカー2-SnC
SpC3-リンカー1-CutA1-リンカー2-DgC
scFv-リンカー1-CutA1-リンカー2-ScFv
Fab-リンカー1-CutA1-リンカー2-Fab
ScFv-リンカー1-CutA1-リンカー2-Fab
Fab-リンカー1-CutA1-リンカー2-ScFv
ナノボディ1-リンカー1-CutA1-リンカー2-ナノボディ2
ナノボディ-リンカー1-CutA1-リンカー2-DgC
SpC3-リンカー1-CutA1-リンカー2-ナノボディ
式中、SpCはSpyCatcherであり、SpC3はSpyCatcher003であり、SnCはSnoopCatcherであり、Fabは抗体「断片抗原結合」であり、scFvは単鎖Fvである。いずれの場合でも、リンカー1およびリンカー2リンカーは、任意選択である。CutA1配列は、ヒトもしくはパイロコッカス・ホリコシイに由来してもよく、または別の種由来のホモログであってもよく、あるいはヒトまたはパイロコッカス・ホリコシイ配列と、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%同一性を有してもよい。
さらに例示的な構築物は以下の通りである。
SpC-リンカー1-NC1-リンカー2-SpC
SnC-リンカー1-NC1-リンカー2-SnC
SnC-リンカー1-NC1-リンカー2-SpC
SpC-リンカー1-NC1-リンカー2-SnC
scFv-リンカー1-NC1-リンカー2-ScFv
Fab-リンカー1-NC1-リンカー2-Fab
ScFv-リンカー1-NC1-リンカー2-Fab
Fab-リンカー1-NC1-リンカー2-ScFv
ナノボディ1-リンカー1-NC1-リンカー2-ナノボディ2
ナノボディ-リンカー1-NC1-リンカー2-DgC
SpC3-リンカー1-NC1-リンカー2-ナノボディ
式中、NC1は、VIII型コラーゲンまたはX型コラーゲンに由来するコラーゲンNC1ドメインである。いずれの場合でも、リンカー1およびリンカー2リンカーは任意選択である。
さらに例示的な構築物は、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)(配列番号25)またはマクロファージ遊走阻害因子2(MIF2)(配列番号26)またはMIF2のS62A F99A突然変異体(MIF2m、配列番号27)を、構造ドメインとして含み、以下のものが挙げられる。
SpC-リンカー1-MIF2-リンカー2-SpC
SnC-リンカー1-MIF2-リンカー2-SnC
SnC-リンカー1-MIF2-リンカー2-SpC
SpC-リンカー1-MIF2-リンカー2-SnC
scFv-リンカー1-MIF2-リンカー2-ScFv
Fab-リンカー1-MIF2-リンカー2-Fab
ScFv-リンカー1-MIF2-リンカー2-Fab
Fab-リンカー1-MIF2-リンカー2-ScFv
ナノボディ1-リンカー1-MIF2-リンカー2-ナノボディ2
ナノボディ-リンカー1-MIF2-リンカー2-DgC
SpC3-リンカー1-MIF2-リンカー2-ナノボディ
任意の好適な構造ドメイン、特に本明細書に記載の構造ドメインのいずれかを、上記で提供されている例示的な構造ドメインの代わりに、こうした構築物に使用することができる。したがって、こうした例示的な形式は、構造ドメイン一般にて、および本明細書に記載の構造ドメインにて使用するために記載されている。
マルチドメイン構築物の結合ドメインの配向性は、単量体形態でまたはオリゴマー形態で、様々なアッセイを使用して機能的に評価できる。例示的なアッセイの選択を下記に記載する。
FRET:非シス配向性タンパク質と比較して、選択されたスキャフォールドがシス配向性であることを示すために、FRETアッセイを実施することができる。キャッチャー成分を有するスキャフォールドポリペプチド、例えばSpC3-HsCutA1-DgCを、それぞれのタグ対に融合されている蛍光タンパク質FRET対、例えばmCherry(6+)-SpT3-H6およびH6-DgT-mCitrine(4-)にコンジュゲートしてもよい。タグ付きFRET対をスキャフォールドタンパク質にコンジュゲートしたら、アクセプターFRETタンパク質の発光を、標準的な蛍光読取法で測定して、ドナーFRETタンパク質の発光増感と比較することができる。優先的にシス配向性を示すタンパク質スキャフォールドは、より高いアクセプター発光を示すが、優先的にトランス配向性を示すタンパク質スキャフォールドは、より高いドナー発光増感を示すことになる。
SPR:好適なリガンドにコンジュゲートされたシス配向性スキャフォールドが、非シス配向性タンパク質と比較して同じ平面にある標的に優先的に結合することができることを示すために、SPR実験を実施することができる。スキャフォールドコンジュゲートリガンドに対する標的タンパク質、例えばSpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTのL1およびL2に対する標的を、一緒に、または対照のためにL1標的のみまたはL2標的のみとして別々に、のいずれかで、SPRセンサーチップの表面に固定化することができる。次いで、L1およびL2にコンジュゲートされたシス配向性または非シス配向性スキャフォールドを、L1標的および/またはL2標的を有するSPRセンサーチップにローディングし、チップ上の固定化標的に対するコンジュゲートアセンブリの結合を決定する。シス配向性を有するアセンブリは、両標的が同じチップ上に固定化されている場合、L1標的およびL2標的の両方に対して高度に測定可能な結合を示すことが予想されるが、非シス配向性を有するアセンブリは、そのようなチップに対して高度に測定可能な結合を示さないことが予想される。両アセンブリタイプは、固定化されたL1標的のみまたはL2標的のみに対して高度に測定可能な結合を示すことが予想される。
SEC-MALS:溶液中のスキャフォールドおよびアセンブリタンパク質が天然でオリゴマー状態にあることを示すために、SEC-MALS実験を実施することができる。スキャフォールドおよびアセンブリタンパク質を、方法セクションに記載のように調製することができる。次いで、試料をMALS装置および検出器にカップリングされたFPLC装置に注入して試料をサイズで分離し、光散乱の計算により天然タンパク質質量を概算する。次いで、天然タンパク質質量を、ProtParamなどのソフトウェアで算出した予測単量体質量で除算することにより、タンパク質のオリゴマー状態を導き出すことができる。スキャフォールドおよびアセンブリタンパク質、例えばSpC-PhCutA1-SnCおよびSpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTは両方とも、オリゴマー状態が3であることを示すと予想される。
架橋およびLC-MS/MS:シス配向性コンジュゲートアセンブリと、2つの標的、例えばL1およびL2に対する標的との同時結合を示すために、標的発現細胞を、コンジュゲートアセンブリのビオチン化型である、ビオチン-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTと共にインキュベートし、その後標的とビオチン化アセンブリとの結合を、BS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート)で架橋し、続いて細胞溶解、およびストレプトアビジンによる架橋標的-アセンブリ複合体の抽出を行うことができる。次いで、この複合体をトリプシン消化してLC-MS/MSに供給し、L1およびL2とそれぞれの標的との結合を確認する。非シス配向性アセンブリに対して同じ方法論を実行することにより、LC-MS/MSデータの出力を2つのタンパク質アセンブリ間で比較することができる。シス配向性アセンブリは、L1標的およびL2標的の両方に対して優先的に結合することができるが、非シス配向性アセンブリは、L1標的またはL2標的のいずれかに対してのみ優先的に結合することができると予想される。
多価タンパク質スキャフォールド
本発明の一態様は、標的分子をスクリーニングするためのモジュール式系に関する。この系は、標的分子の多価提示を可能にする。一態様では、多価タンパク質スキャフォールドが提供される。多価タンパク質スキャフォールドは、複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアを含む。また、多価タンパク質スキャフォールドは、少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位を含む。好適な結合部位は、本明細書でより詳細に記載されている。
スキャフォールドは、他の分子が結合することができるプラットフォームとして機能する。分子の様々な組合せを、モジュール様式でスキャフォールドに結合させることができる。スキャフォールドは、分子の多価結合を可能にする。一般に、スキャフォールドに結合した分子は、潜在的な療法上の利益を有し、分子に結合したスキャフォールドを使用して、異なる分子の多価アセンブリが所望の効果を有し得るか否かを調査することができる。例えば、潜在的な抗がんポリペプチドの様々な組合せをスキャフォールドに付着させることができ、次いで、得られたアセンブリをスクリーニングアッセイに使用して、その組合せが、がん細胞と結合することおよび殺傷を引き起こすなどの、がん細胞に対する効果を示すか否かを確認することができる。分子の組合せが特定されたら、モジュール式系を使用するのではなく、特定された分子と直接付着するように多価タンパク質スキャフォールドを修飾することにより治療用薬物候補を生成することができる。多価タンパク質スキャフォールドは、スキャフォールドの同じ面に分子を「提示」し、それにより分子のすべてが標的細胞と潜在的に相互作用することを可能にする。
本提供のスキャフォールドは、典型的には、少なくとも2つの第1の結合部位および少なくとも2つの第2の結合部位を含む。少なくとも2つの第1結合部位および少なくとも2つの第2結合部位の存在は、このスキャフォールドを、例えば二重特異性抗体形式を用いてスクリーニングする場合には必ずしも見出すことができない多価相互作用のスクリーニングに使用することを可能にする。また、同じ組合せに関して、様々なスキャフォールドを「ツールボックス」として試験することも可能になる。
したがって、本明細書では、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、および
- 少なくとも2つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも2つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位はスキャフォールドの同じ面に位置する、多価タンパク質スキャフォールドが提供される。
本提供のスキャフォールドは、典型的には、それぞれの標的と共有結合を形成することが可能な結合部位を含む。共有結合は、強力な不可逆的付随に結び付く。本発明のスキャフォールドを、結合部位に対する標的と共有結合で付着させることにより生成される複合体は、物理的にロバストであり、容易に生産することができる。そのような複合体は、高収率および高均質性で生産することができる。したがって、そのような複合体を本明細書に記載の対象などの生物系に投与する際に生じる生物学的応答は、再現性があり、制御可能である。
したがって、本明細書では、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、前記第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含む、多価タンパク質スキャフォールドも提供される。
本明細書で説明されているように、本明細書で提供されるスキャフォールドは、二重特異性抗体を含む従来の抗体に対して著しい利点を有する。本提供のスキャフォールドのオリゴマーコアは、典型的には、抗体のFc領域を含まない。一部の実施形態では、オリゴマーコアはCH2領域を含まない。一部の実施形態では、オリゴマーコアはCH3領域を含まない。一部の実施形態では、オリゴマーコアは、CH2領域を含まず、CH3領域を含まない。抗体の免疫グロブリンドメイン、典型的にはFc領域などの定常ドメインの使用は、典型的には、本明細書に記載の本提供のスキャフォールドの利点を示すことができない。例えば、二重特異性抗体は、本発明のモジュール性を欠如しており、多価相互作用の調査には有用ではない可能性がある。
したがって、本明細書では、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、前記オリゴマーコアは抗体のFc領域を含まない、多価タンパク質スキャフォールドも提供される。
また、
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、前記オリゴマーコアは、抗体のCH2ドメインを含まないか、または抗体のCH3ドメインを含まないか、またはCH2ドメインを含まずかつCH3ドメインを含まない、多価タンパク質スキャフォールドも提供される。
多価タンパク質スキャフォールドは、オリゴマーコア、および少なくとも1つの第1の結合部位、および少なくとも1つの第2の結合部位を含む。また、多価タンパク質スキャフォールドは、本明細書でより詳細に記載のように、リンカー、ドメイン挿入物、および/または官能基などの他の特徴を含んでいてもよい。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドの直径は、約100nm未満、例えば約50nm未満、例えば約25nm未満、例えば約10nm未満である。好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドの高さは、約100nm未満、例えば約50nm未満、例えば約30nm未満、例えば約20nm未満、例えば約10nm未満である。多価タンパク質スキャフォールドは、好ましくは、サイズが、1~500Å、例えば2~250Å、例えば約10~約100Å、例えば約20~約80Åである。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールド自体は、好ましくは、生物系、細胞培養物、またはヒト対象などの対象において免疫応答を本質的に誘導しない。換言すれば、典型的には、オリゴマーコアの結合部位および/またはタンパク質スキャフォールドの結合部位に付着したエフェクター部分が存在しない場合、タンパク質スキャフォールドをヒト対象などの生物系に投与しても免疫応答は誘導されない(または免疫応答は本質的には誘導されない。例えば、免疫応答は、非免疫原性タンパク質を投与した場合よりも大きくない)。例えば、タンパク質スキャフォールドを(多価タンパク質スキャフォールドの結合部位および/または多価タンパク質スキャフォールドの結合部位に付着したエフェクター部分の非存在下で)生物系(例えば、本明細書で規定の対象)に投与しても、典型的には生物系の自然免疫も適応免疫も誘導しない。例えば、タンパク質スキャフォールドは、典型的には、補体系、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、またはマクロファージの活性化を誘導しない。
多価タンパク質スキャフォールドは、好ましくは抗体も抗体断片も含まないが、本明細書でさらに記載されているように、抗体および/または抗体断片は、エフェクター部分としてスキャフォールドに付着していてもよい。多価タンパク質スキャフォールド(例えば、エフェクター部分が一切存在しない)は、より好ましくは、抗体のFc領域を含まない。Fc領域は、Fc受容体と呼ばれる細胞表面受容体および補体系の一部のタンパク質と相互作用する抗体の尾部領域である。一部の場合では、多価タンパク質スキャフォールドは、免疫グロブリン定常領域を含まない。一部の実施形態では、多価タンパク質スキャフォールドはCH2ドメインを含まない。一部の実施形態では、多価タンパク質スキャフォールドはCH3ドメインを含まない。一部の実施形態では、多価タンパク質スキャフォールドは、CH2ドメインを含まず、CH3ドメインを含まない。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドは熱力学的に安定である。好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドは、約0~約100℃、例えば約4℃~約90℃、例えば約10℃~約50℃、例えば約20から約38℃、例えば約25~約37℃の温度で安定である。換言すれば、好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドは、約0~約100℃(例えば、約4℃~約90℃、例えば約10℃~約50℃、例えば約20~約38℃、例えば約25~約37℃)の温度の水溶液中に存在する場合、その置換成分サブユニット単量体へと解離せず、および/または結合部位は、オリゴマーコアから解離しない。例えば、そのような温度の水溶液中にある場合、多価タンパク質スキャフォールドの少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%、例えば少なくとも99.9%、例えば少なくとも99.99%または99.999%は、その置換成分サブユニット単量体へと解離せず、および/または結合部位はオリゴマーコアから解離しない。より好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドは、約0℃~約100℃、例えば約4℃~約90℃、例えば約10℃~約50℃、例えば約20~約38℃、例えば約25~約37℃の温度で安定である。多価タンパク質スキャフォールドは、約0~約100℃、例えば約4℃~約90℃、例えば約10℃~約50℃、例えば約20~約38℃、例えば約25~約37℃の温度で測定した場合、好ましくは、少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも1時間、例えば少なくとも1日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも1か月間または少なくとも1年間の寿命を有する。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドの構成物質間の相互作用は、弱い一過性相互作用ではない。弱い一過性複合体は、in vivoでは異なるオリゴマー状態の動的な混合物を示すが、強力な一過性複合体は、例えばリガンド結合により引き起こされる場合にのみ四次状態を変化させる。弱い一過性相互作用は、マイクロモル範囲の解離定数(K)および数秒間の寿命により特徴付けられる。エフェクター分子の結合により安定化される強力な一過性相互作用は、より長い寿命を有し、ナノモル範囲のより低いKを有することができる。多価タンパク質スキャフォールドの構成物質は、好ましくは、少なくとも強力な一過性反応で相互作用し、より好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドの構成物質は恒久的な相互作用を形成する。恒久的な相互作用は、多価タンパク質スキャフォールドが、通常条件下、例えば20℃~40℃およびpH6~pH8でその構成物質へと解離しないことを意味する。構成物質部分が恒久的な相互作用を形成する多価タンパク質スキャフォールドは、典型的には、サブユニット単量体自体の三次構造を変性させる変性条件下でのみ解離する。
したがって、好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドの構成物質は、約0℃~約100℃、例えば約4℃~約90℃、例えば約10℃~約50℃、例えば約20~約38℃、例えば約25~約37℃の温度で、1μM未満、例えば100nM未満、より好ましくは10nM未満のKで相互作用する。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドおよびその構成物質部分は、プロテアーゼに対して安定である。例えば、多価タンパク質スキャフォールドおよび多価タンパク質スキャフォールドの構成物質は、スキャフォールドの三次構造または四次構造を喪失させずに、トリプシンなどのプロテアーゼに曝露させることができる。多価タンパク質スキャフォールドおよび多価タンパク質スキャフォールドの構成物質部分は、例えば約10から約40℃、例えば約20から約38℃、例えば約25から約37℃の温度で、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、例えば少なくとも4時間、例えば少なくとも8時間、例えば少なくとも24時間、またはそれよりも長期間、プロテアーゼに対して安定である。
オリゴマーコア
上記で説明されているように、本明細書で提供される多価タンパク質スキャフォールドは、複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアを含む。オリゴマーコアのサブユニット単量体は、典型的には、本明細書の他所に記載のポリペプチド構築物の構造ドメインである。
任意の好適な数のサブユニット単量体を使用することができる。例えば、オリゴマーコアは、約2~約20個のサブユニット単量体、例えば約2~約10個のサブユニット単量体、より好ましくは3~7個のサブユニット単量体、より好ましくは3~6個のサブユニット単量体を含んでいてもよい。例えば、オリゴマーコアは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のサブユニット単量体を含んでいてもよい。好ましくは、オリゴマーコアは、少なくとも3つのサブユニット単量体を含む。最も好ましくは、オリゴマーコアは、3つのサブユニット単量体を含む。好ましくは、オリゴマーコアは、7つのサブユニット単量体を含みもせず、からなってもいない。
好ましくは、サブユニット単量体は、多量体化した際に、3回回転対称性、4回回転対称性、5回回転対称性、6回回転対称性、または7回回転対称性など、回転対称性を有する。オリゴマーコアは、C2、C3、C4、D2、C5、C6、D3、C7、C8、D4、C9、C10、D5、C11、C12、D6、またはT対称性を有していてもよい。
オリゴマーコアのサブユニット単量体の一部またはすべては、非共有結合で一緒に付着していてもよい。オリゴマーコアのサブユニット単量体の一部またはすべては、共有結合で一緒に付着していてもよい。オリゴマーコアは、共有結合および非共有結合で付着したサブユニット単量体のミックスを含んでもよい。例えば、オリゴマーコアは、第2の単量体に共有結合で結合してヘテロ二量体を形成する第1の単量体を含んでもよい。オリゴマーコアは、非共有結合で一緒に結合した少なくとも2つのそのようなヘテロ二量体を含んでいてもよい。例えば、オリゴマーコアは、非共有結合で一緒に付着した3つの非ヘテロ二量体を含んでいてもよく、各ヘテロ二量体は、共有結合で一緒に結合した2つの単量体を含む。
オリゴマーコアのサブユニット単量体の一部またはすべては、非共有結合相互作用により付着していてもよい。好適な非共有結合相互作用としては、これらに限定されないが、静電相互作用、例えばイオン結合、水素結合、およびハロゲン結合、ファンデルワールス力、例えば双極子間相互作用、π-πスタッキング、カチオン-π相互作用、アニオン-π相互作用、または極性-π相互作用が挙げられる。
オリゴマーコアのサブユニット単量体の一部またはすべては、共有結合で一緒に付着していてもよい。サブユニット単量体が共有結合で一緒に付着している場合、単量体は、典型的には、元のまたは天然に存在する単量体ドメインに対応するアミノ酸配列である。
2つまたはそれよりも多くのサブユニット単量体は、ジスルフィド結合により共有結合で連結されていてもよい。ジスルフィド結合は、典型的には、ポリペプチドのシステイン残基間に形成される。遊離チオール基を有する人工アミノ酸もジスルフィド結合形成に参加することができる。
2つまたはそれよりも多くのサブユニット単量体は、化学架橋により共有結合で付着していてもよい。架橋試薬としては、ホモ二官能性架橋試薬、ヘテロ二官能性架橋試薬、および光反応性架橋試薬が挙げられる。ホモ二官能性架橋試薬は、いずれの末端にも同一の反応性基を有する。ホモ二官能性架橋試薬の例としては、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)、酒石酸ジスクシンイミジル(DST)、およびジチオビスプロピオン酸スクシンイミジル(DSP)が挙げられる。スルフヒドリル-スルフヒドリル架橋剤の一部の一般的な例としては、BMOEおよびDTMEが挙げられる。ヘテロ二官能性架橋試薬は、2つの異なる反応性基を有し、異なる官能基を連結するために使用することができる。ヘテロ二官能性架橋試薬の例としては、MDS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、GMBS(N-γ-マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル)、EMCS(N-(ε-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミドエステル)、およびスルホ-EMCS(N-(ε-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)が挙げられる。光反応性架橋試薬は、紫外線または可視光に曝された場合にのみ反応性を示すヘテロ二官能性架橋剤である。一般的な光反応性化学基の2つのクラスは、アリールアジドおよびジアジリンである。アリールアジド(N-((2-ピリジルジチオ)エチル)-4-アジドサリチルアミド)が広く使用されている。250~350nmのUV光に曝されると、こうした試薬は、二重結合との付加反応を触発させることができるナイトレン基の形成を促進することができる。加えて、こうした架橋剤は、C-H挿入産物の生成を開始することができるか、または求核剤と反応することができる。この群に属する一部の一般的な架橋試薬としては、ANB-NOS(N-5-アジド-2-ニトロベンジルオキシスクシンイミド)およびスルホ-SANPAHが挙げられる。NHSエステルジアジリンまたはアジペンタノエートは、光活性化可能なジアジリン環およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを含み、中性~塩基性緩衝液中で第一級アミノ基と効率的に反応して、安定したアミド結合を形成する。これらは、フェニルアジド基と比較してより良好な光安定性を呈し、長波長紫外光(330~370nm)で容易に活性化させて、スペーサーアーム距離内の任意のペプチド骨格またはアミノ酸側鎖と共有結合を形成するカルベン中間体を生成することができる。
より好ましくは、オリゴマーコアの2つまたはそれよりも多くのサブユニット単量体は、遺伝子的に一緒に融合されていてもよい。サブユニット単量体は、単一のポリペプチド鎖で発現されるように単一のポリヌクレオチド配列中にコードされて発現される場合、遺伝子的に一緒に融合されている。したがって、サブユニット単量体が遺伝子的に一緒に融合されている場合、オリゴマーコアは、単一のポリペプチド鎖を含むことができる。
遺伝子的に融合されたサブユニット単量体は、ペプチドリンカーを介して遺伝子的に一緒に融合されていてもよい。サブユニット単量体の連結に使用するために好適なペプチドリンカーは、サブユニット単量体間のヒンジ領域として機能することができ、したがってサブユニット単量体が互いに独立してフォールディングすることを可能にし、サブユニット単量体が多量体化する能力を保持することを可能にするのに十分な可撓性を提供するアミノ酸配列である。ペプチドリンカーの長さ、可撓性、および親水性は、典型的には、サブユニット単量体が容易にアセンブリしてオリゴマーコアを形成することができるように設計されている。好ましくは、ペプチドリンカーにより連結されたサブユニット単量体はアセンブリして、隣接するサブユニット単量体間の相互作用が、そうでない場合の同じサブユニット単量体間の相互作用と実質的に同一であるオリゴマーコアを形成することができる。
オリゴマーコア単量体サブユニットを接続する際に使用するために好適なペプチドリンカーは、典型的には、1~100、1~50、1~25、1~20、1~15、または1~10アミノ酸長である。リンカーは、例えば、以下のアミノ酸:リジン、セリン、アルギニン、プロリン、グリシン、およびアラニンの1つまたは複数で構成されていてもよい。好適な可撓性ペプチドリンカーの例は、2~20個、例えば4、6、8、10、または16個のセリンおよび/またはグリシンアミノ酸のストレッチである。剛性のリンカーの例は、2~30個、例えば4、6、8、16、または24個のプロリンアミノ酸のストレッチである。好適なリンカーの例としては、これらに限定されないが、以下のもの:GGGS、PGGS、PGGG、RPPPPP、RPPPP、VGG、RPPG、PPPP、RPPG、PPPPPPPPP、PPPPPPPPPPPP、RPPG、GG、GGG、SG、SGSG、SGSGSG、SGSGSGSG、SGSGSGSGSG、およびSGSGSGSGSGSGSGSGが挙げられ、配列中、Gはグリシン、Pはプロリン、Rはアルギニン、Sはセリン、およびVはバリンである。追加の例示的なリンカーとしては、GSGS、GGGGS、GGGGSGGGGS、およびGGGGSGGGGSGGGGSが挙げられる。適切な連結基は、従来のモデリング技法を使用して設計することができる。リンカーは、典型的には、単量体またはそれらのサブユニットが、対応するタンパク質オリゴマーへとアセンブリすることを可能にするのに十分な可撓性を有する。
好ましくは、オリゴマーコアの総分子量は、約1000kDa未満、例えば約500kDa未満、例えば約250kDa未満である。オリゴマーコアの総分子量は、好ましくは約10kDa~約1000kDa、例えば約10kDa~約500kDa、例えば約10kDa~約250kDa、例えば約10kDa~約150kDaである。オリゴマーコアの総分子量は、より好ましくは、約20kDa~約150kDaである。
好ましくは、オリゴマーコアの直径は、約100nm未満、例えば約50nm未満、例えば約30nm未満、例えば約20nm未満、例えば約10nm未満である。好ましくは、オリゴマーコアの高さは、約100nm未満、例えば約50nm未満、例えば約30nm未満、例えば約20nm未満、例えば約10nm未満である。オリゴマーコアは、サイズが、好ましくは1~50nm、例えば2~40nm、例えば約2~約20nm、例えば約5~約10nmである。
好ましくは、オリゴマーコアは熱力学的に安定である。好ましくは、オリゴマーコアは、約0~約50℃の温度で安定である。換言すれば、好ましくは、オリゴマーコアは、約0~約50℃の温度の溶液中に存在する場合、その置換成分単量体へと自発的には解離しない。より好ましくは、オリゴマーコアは、約10~約40℃、例えば約20~約38℃、例えば約25~約37℃の温度で安定である。
好ましくは、サブユニット単量体は、安定的に相互作用してオリゴマーコアを形成する。サブユニット単量体間の相互作用は、好ましくは、弱い一過性相互作用ではない。弱い一過性複合体は、典型的には、in vivoではそれぞれのオリゴマー状態の動的な混合物を示すが、強力な一過性複合体は、例えばリガンド結合により引き起こされた場合にのみ四次状態を変化させ、単一の主要なオリゴマー状態で存在する(例えば、複合体の少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%、例えば少なくとも99.9%、例えば少なくとも99.99%、または99.999%は、標準条件下では安定なオリゴマー状態で存在することができる)。弱い一過性相互作用は、マイクロモル範囲の解離定数(K)および数秒間の寿命により特徴付けられる。エフェクター分子の結合により安定化された強力な一過性相互作用は、典型的には、より長い寿命を有し、ナノモル範囲のより低いKを有する。サブユニット単量体は、より好ましくは、少なくとも強力な一過性反応で相互作用し、より好ましくは恒久的な相互作用を形成する。恒久的な相互作用は、オリゴマーが、通常条件下ではその構成物質サブユニット単量体へと解離しないかまたは実質的に解離せず(例えば、約0~約100℃の温度の水溶液中に存在する場合。こうした条件下では、典型的には、オリゴマーコアの少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%、例えば少なくとも99.9%、例えば少なくとも99.99%、または99.999%は解離しない)、通常、オリゴマーコアは、サブユニット単量体自体の三次構造を変性させる変性条件が使用される場合にのみ解離することを意味する。したがって、好ましくは、サブユニット単量体は、1μM未満、例えば100nM未満、より好ましくは10nM未満のKで多量体化する。オリゴマーコアは、典型的には、少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも1時間、例えば少なくとも1日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも1か月間、または少なくとも1年間の寿命を有する。寿命は、約0℃~約100℃、例えば約4℃~約90℃、例えば約10℃~約50℃、例えば約20~約38℃、例えば、約25~約37℃など、任意の好適な温度で決定することができる。
好ましくは、オリゴマーコアは、プロテアーゼに対して安定である。例えば、オリゴマーコアは、オリゴマーコアの三次構造または四次構造を喪失させずに、限定的な期間、例えば4時間にわたって、トリプシンなどの希釈濃度のプロテアーゼに曝露させることができる。
好ましくは、オリゴマーコアは、ヒトであるかまたはヒト化されている。ヒトオリゴマーコアは、ヒトタンパク質の多量体領域である。ヒト化オリゴマーコアは、ヒトタンパク質の対応する多量体領域とより近似的に類似するように修飾されている、非ヒトタンパク質の多量体領域であるオリゴマーコアである。ヒト化オリゴマーコアは、対応するヒトタンパク質の多量体領域のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%アミノ酸同一性を備えていてもよい。ヒトタンパク質の対応する多量体領域は、ヒト化オリゴマーコアと最も高いアミノ酸配列同一性を有するヒトタンパク質の多量体領域である。この情報は、Blast検索(blast.ncbi. nlm.nih.gov)を使用し、検索結果をホモ・サピエンス(homo sapiens)に限定して、特定することができる。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアは、生物系、細胞培養物、または対象(非ヒト対象またはヒト対象など)において、それ自体では免疫応答を誘導しない。換言すれば、典型的には、オリゴマーコアの結合部位および/またはオリゴマーコアの結合部位に付着したエフェクター部分が存在しない場合、オリゴマーコアを生物系に投与しても免疫応答は誘導されない。例えば、オリゴマーコアを(オリゴマーコアの結合部位および/またはオリゴマーコアの結合部位に付着したエフェクター部分の非存在下で)生物系(例えば、本明細書で規定の対象)に投与しても、典型的には、生物系の自然免疫も適応免疫も誘導しない。例えば、オリゴマーコアは、典型的には、補体系、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、またはマクロファージの活性化を誘導しない。しかしながら、オリゴマーコアに付着した分子は、ヒト対象において免疫応答を生成するように特別に設計することができる。
好ましくは、タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアは、抗体も抗体断片も含まないが、本明細書でさらに記載のように、抗体および/または抗体断片は、エフェクター部分としてオリゴマーコアに付着していてもよい。オリゴマーコア(例えば、エフェクター部分が一切存在しない)は、より好ましくは、抗体のFc領域を含まない。一部の場合では、オリゴマーコアは、免疫グロブリン定常領域を含まない。
一部の実施形態では、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアはホモオリゴマーコアであってもよく、つまり、オリゴマーコアは、1タイプの単量体のみを含んでもよい。ホモオリゴマーコアは、2つもしくはそれよりも多くの、例えば3つもしくはそれよりも多くの、4つもしくはそれよりも多くの、5つもしくはそれよりも多くの、6つもしくはそれよりも多く、または7つもしくはそれよりも多くの同一のサブユニット単量体を含んでいてもよい。
一部の他の実施形態では、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアはヘテロオリゴマーコアであってもよく、つまり、オリゴマーコアは、1つよりも多くのタイプの単量体を含んでもよい。異なるタイプのサブユニット単量体は、オリゴマーコアを形成することが可能である。言い換えれば、サブユニット単量体は、一緒に付着することが可能である。ヘテロオリゴマーコアは、2つもしくはそれよりも多くの、例えば3つもしくはそれよりも多くの、4つもしくはそれよりも多くの、5つもしくはそれよりも多くの、6つもしくはそれよりも多く、または7つもしくはそれよりも多くの異なるサブユニット単量体を含んでいてもよい。例えば、ヘテロオリゴマーコアが3つの単量体を含む場合、ヘテロオリゴマーコアは、2つの第1の単量体および1つの第2の単量体を含んでいてもよく、または、1つの第1の単量体、1つの第2の単量体、および1つの第3の単量体を含んでもよい。ヘテロオリゴマーコアが4つの単量体を含む場合、ヘテロオリゴマーコアは、2つの第1の単量体および2つの第2の単量体;2つの第1の単量体、1つの第2の単量体、および1つの第3の単量体;または1つの第1の単量体、1つの第2の単量体、1つの第3の単量体、および1つの第4の単量体を含んでいてもよい。好ましくは、オリゴマーコアがヘテロオリゴマーコアである場合、オリゴマーコアは、2つのタイプのサブユニット単量体を含み、つまり、タイプAおよびタイプBの単量体を含み、合計n個のサブユニット単量体を有するヘテロオリゴマーコアの場合、前記ヘテロオリゴマーコアは、(A)の化学量論を有してもよく、式中a+b=nである。オリゴマーコアがヘテロオリゴマーコアである場合、そこに含まれるサブユニット単量体は、第1のタイプのサブユニット単量体が、第1のタイプの別の単量体よりも第2のタイプのサブユニット単量体と優先的に結合するように修飾されていてもよい(換言すれば、タイプAの単量体およびタイプBの単量体を含むヘテロオリゴマーコアの場合、ヘテロオリゴマーコアは、AAABBB・・・ではなくABABAB・・・の形態である)。
なおさらなる実施形態では、オリゴマーコアは、複数の多量体サブユニットを含んでもよい。例えば、2つの単量体を融合させることができ(例えばタンデム融合体として)、単量体融合体はアセンブリしてオリゴマーコアを形成することができる。この点において、融合される単量体は同じであってもよくまたは異なっていてもよい。
例えば、2つまたはそれよりも多くの同一の単量体を融合させ、融合産物をさらに同一の融合産物とアセンブリしてホモオリゴマーコアを形成させることができる。オリゴマーコアは、複数のホモ二量体を含んでもよく、例えば、ホモ二量体が「AA」である場合、オリゴマーコアは、「AA」、「AAAA」、または「AAAAAA」などを含んでもよい。
代替的に、2つまたはそれよりも多くの異なる単量体を一緒に融合させ、融合産物をさらなる同一の融合産物とアセンブリさせてオリゴマーコアを形成させることができる。本明細書で使用される場合、そのようなコアは、典型的には、ホモオリゴマーコアとみなされ、各融合産物は単量体サブユニットとみなされる。オリゴマーコアは、複数のヘテロ二量体を含んでいてもよく、例えば、ヘテロ二量体が「AB」である場合、オリゴマーコアは、「AB」、「ABAB」、または「ABABAB」などを含んでいてもよい。
代替的に、2つまたはそれよりも多くの同一の単量体を融合させて、融合産物をさらなる非同一融合産物とアセンブリさせてヘテロオリゴマーコアを形成させることができる。オリゴマーコアは、複数のホモ二量体を含んでもよく、例えば、第1のホモに二量体が「AA」であり、第2のホモ二量体が「BB」である場合、オリゴマーコアは、「AABB」などを含んでいてもよい。
代替的に、2つまたはそれよりも多くの異なる単量体を一緒に融合させて、融合産物をさらなる非同一融合産物とアセンブリさせてヘテロオリゴマーコアを形成させることができる。オリゴマーコアは、複数のヘテロ二量体を含んでいてもよく、例えば、第1のヘテロ二量体が「AB」であり、第2のヘテロ二量体が「CD」である場合、オリゴマーコアは、「ABCD」などを含んでいてもよい。
ホモオリゴマーコアは、複数のサブユニット単量体を含み、各単量体は、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位を含む。例えば、ホモオリゴマーコアが3つのサブユニット単量体を含む場合、オリゴマーコアは、少なくとも3つの第1の結合部位および少なくとも3つの第2の結合部位を含むことになる。ホモオリゴマーコアが4、5、6、または7つのサブユニット単量体を含む場合、オリゴマーコアは、それぞれ、少なくとも4つの第1の結合部位および少なくとも4つの第2の結合部位;少なくとも5つの第1の結合部位および少なくとも5つの第2の結合部位;少なくとも6つの第1の結合部位および少なくとも6つの第2の結合部位;または少なくとも7つの第1の結合部位および少なくとも7つの第2の結合部位を含むことになる。したがって、多価タンパク質スキャフォールドは、好ましくは、少なくとも2つの第1の結合部位および少なくとも2つの第2の結合部位を含み、つまり、第1の結合部位のすべては他の第1の結合部位と同じであり、第2の結合部位のすべては他の第2の結合部位と同じである。多価タンパク質スキャフォールドは、より好ましくは、少なくとも3つの第1の結合部位および少なくとも3つの第2の結合部位を含む。一部の実施形態では、多価タンパク質スキャフォールドは、各々少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つの第1および第2の結合部位を含む。
ヘテロオリゴマーコアは、少なくとも2つのタイプのサブユニット単量体を含む複数のサブユニット単量体を含み、1つのタイプのサブユニット単量体は少なくとも1つの第1の結合部位を含み、第2のタイプのサブユニット単量体は少なくとも1つの第2の結合部位を含む。例えば、ヘテロオリゴマーコアが3つのサブユニット単量体を含む場合、ヘテロオリゴマーコアは、3つの異なる結合部位を含んでいてもよく、または2つの第1の結合部位および1つの第2の結合部位を含んでいてもよい。ヘテロオリゴマーコアが4つのサブユニット単量体を含む場合、ヘテロオリゴマーコアは4つの異なる結合部位を含んでいてもよく、または2つの第1の結合部位および1つの第2の結合部位および1つの第3の結合部位を含んでいてもよく、または2つの第1の結合部位および2つの第2の結合部位を含んでいてもよい。
結合部位は、本明細書でより詳細に記載されている。
単量体
上記で説明されているように、本明細書で提供される多価タンパク質スキャフォールドは、複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアを含む。サブユニット単量体は、典型的には、本明細書の他所に記載のマルチドメインポリペプチド構築物の構造ドメインである。
各サブユニット単量体(本明細書でより詳細に記載のように、それに付着するあらゆる結合部位を除く)は、好ましくは300個未満のアミノ酸、好ましくは200個未満のアミノ酸、より好ましくは150個未満のアミノ酸を含む。例えば、各サブユニット単量体(それに付着するあらゆる結合部位を除く)は、好ましくは40kDa未満、例えば30kDa未満、例えば20kDa未満の分子量を有する。そのような単量体を含む本明細書に記載のタンパク質スキャフォールドは、質量が比較的低く、in vivoでの効率的な拡散が可能である。それらは、典型的には、細菌細胞発現系または酵母細胞発現系で発現され、正しくフォールディングすることが可能である。そのような発現系は、多くの場合、抗体の産生に典型的に必要とされる哺乳類細胞培養よりもはるかにより高い収率を得ることができる。
サブユニット単量体は、好ましくは、抗体または抗体断片を含みもせず、からなってもいない。オリゴマーコアまたはサブユニット単量体は、好ましくは、抗体のFc領域を含みもせず、からなってもいない。一部の実施形態では、サブユニット単量体は、CH2ドメインを含みもせず、からなってもいない。一部の実施形態では、サブユニット単量体は、CH3ドメインを含みもせず、からなってもいない。一部の実施形態では、サブユニット単量体は、CH2ドメインを含まず、CH3ドメインを含まない。
好ましくは、オリゴマーコアの各単量体サブユニットは、ヒトであるかまたはヒト化されている。ヒト単量体は、ヒトオリゴマータンパク質の単量体である。ヒト化単量体は、対応するヒトタンパク質の単量体とより近似的に類似するように修飾された非ヒトオリゴマータンパク質の単量体である。したがって、ヒト化単量体は、対応するヒトタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%アミノ酸同一性を含んでいてもよい。典型的には、ヒトまたはヒト化タンパク質は、それが投与される患者に有害な免疫応答を引き起こさないだろう。
オリゴマーコアに含まれるサブユニット単量体は、好ましくは、各々、サブユニット単量体の多量体化を可能にする、サブユニット単量体の構造的および/または機能的特徴である多量体化構造要素を含む。
多量体化構造要素は、タンパク質ドメインであってもよい。オリゴマーコアの多量体化構造要素は、天然に存在する多量体タンパク質の多量体化ドメイン、またはde novo多量体ドメインであってもよい。タンパク質ドメインは、タンパク質の自律的フォールディング単位である。多量体化ドメインは、典型的には、別のタンパク質ドメインとのタンパク質間相互作用に関与するタンパク質ドメインである。多量体化構造要素は、好ましくは、可溶性であり、したがって単量体およびオリゴマーコアは可溶性である。
本明細書の開示を考慮すると、当業者であれば、本発明で使用するための好適な多量体化構造要素を特定することができるだろう。例えば、当業者であれば、多量体タンパク質を特定することができる。例えば、NCBIデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov)およびProtein Data Bank(PDB;www.rscb.org)などのデータベースには、数多くの多量体タンパク質が掲載されており、回転対称軸を有する多量体タンパク質を検索することができる。
好ましくは、特定される多量体タンパク質は、ホモ二量体、ホモ三量体、ホモ四量体、ホモ五量体、ホモ六量体、およびホモ七量体などのホモオリゴマーである。多量体タンパク質は、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、ヘテロ五量体、ヘテロ六量体、およびヘテロ七量体などのヘテロオリゴマーであってもよい。機能情報および/または構造情報を使用して、多量体タンパク質のどのドメインが多量体化に関与しているのか、つまり多量体化ドメインであるのかを特定することができる。
多量体化構造要素は、好ましくは、多量体化ドメインの多量体化界面(つまり、ドメインの多量体化を可能にする多量体化ドメインの構造要素または機能要素)を含む。多量体化ドメインの他の態様は、サブユニット単量体の多量体化に影響を及ぼすことなく修飾することができる。したがって、オリゴマーコアのサブユニット単量体は、好ましくは、多量体化構造要素を含む。サブユニット単量体は、好ましくは、それらが由来する多量体化ドメインと、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を含む。サブユニット単量体は、多量体(つまり、オリゴマーコア)を形成する能力を保持する。
好ましくは、オリゴマーコアのサブユニット単量体は、多量体タンパク質の可溶性多量体化構造要素を含む。可溶性ドメインは、例えば、膜内に見出される多量体化ドメインよりも好ましい。好ましくは、オリゴマーコアのサブユニット単量体の各々は、可溶性多量体タンパク質の可溶性多量体化構造要素を含む。
多量体化構造要素は、コラーゲン(例えば、コラーゲンNC1ドメイン)、CutA、TNF、p53、フィブリノーゲン、C4、枯草菌AbrB、またはそれらのホモログもしくはパラログなどの、好適な対称性(例えば、本明細書でより詳細に記載のような、回転対称性または二面体対称性)を有する任意の多量体タンパク質に由来してもよい。
好ましくは、サブユニット単量体は、以下のものから選択されるタンパク質の単量体または多量体化ドメインを含んでいてもよい:X型コラーゲン(PDB ID:1GR3)(例えば、そのNC1ドメイン)、VIII型コラーゲン(PDB ID:1o91)(例えば、そのNC1ドメイン)、C1q頭部ドメイン(例えば、PDB ID:1PK6はヒトC1qの球状頭部である)、またはパイロコッカス・ホリコシイ、ホモ・サピエンス(PDB ID:2ZFH)、高度好熱菌(Thermus thermophiles)(PDB ID:1V6H);イネ(Oryza sativa)(PDB ID:2ZOM);またはシュワネラ種(Shewanella sp.)SIB1(PDB ID:3AHP)由来のCutA1タンパク質などのCutA(銅耐性A)タンパク質;;または先行するポリペプチドのいずれか1つと少なくとも30%もしくは少なくとも50%アミノ酸配列同一性;より好ましくは、先行するポリペプチドのいずれか1つと少なくとも60%アミノ酸配列同一性、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するポリペプチド。
一部の実施形態では、サブユニット単量体は、以下のものを含むかまたはからなる:X型コラーゲン(PDB ID:1GR3、または配列番号2)(例えば、そのNC1ドメイン)、VIII型コラーゲン(PDB ID:1o91、または配列番号3)(例えば、そのNC1ドメイン)、ヘテロマーC1q頭部ドメイン(例えば、PDB ID:1PK6はヒトC1qの球状頭部である。配列番号36~38を参照)、またはパイロコッカス・ホリコシイ(PDB ID:4YNO、または配列番号1)、ホモ・サピエンス(PDB ID:2ZFH、または配列番号19)、高度好熱菌(PDB ID:1V6H、または配列番号39)、イネ(PDB ID:2ZOM、または配列番号40);またはシュワネラ種SIB1(PDB ID:3AHP、または配列番号41)由来のCutA1タンパク質などのCutA(銅耐性A)タンパク質;TNF様タンパク質TL1A(PDB ID:2RE9、または配列番号31);TNF(PDB ID:1TNF、または配列番号42);TNFファミリータンパク質CD40L(PDB ID:3LKJ、または配列番号58);ヒトマクロファージ遊走阻害因子(MIF)(PDB ID:1CA7、または配列番号25、またはY99G突然変異を有するPDB ID:6OY8);ヒトマクロファージ遊走阻害因子2(MIF2)(PDB ID:7MSE、または配列番号26、またはS62AおよびF99A突然変異を有する配列番号27)、またはそれらのホモログもしくはパラログ。
他の多量体化ドメインとしては、以下のものの多量体化ドメインが挙げられる:逆平行コイルドコイル六量体(PDB ID:5W0J、実施例4を参照、配列番号43)、HIV-1 GP41コア(PDB ID:1I5Yまたは配列番号44)、シトクロムc555(PDB ID:5Z25または配列番号45)、MHCクラスII関連シャペロニンおよびターゲティングタンパク質インバリアント鎖(Ii)(PDB ID:1iieまたは配列番号46);p53(PDB ID:1C26または配列番号47);フィブリノーゲン様ドメイン(PDB ID:4M7Fまたは配列番号48)、IV型コラーゲンC4(PDB ID:1LI1または配列番号49);枯草菌AbrB(PDB ID:1YFBまたは配列番号50);または先行するポリペプチドのいずれか1つと少なくとも50%アミノ酸配列同一性;より好ましくは、先行するポリペプチドのいずれか1つと少なくとも60%アミノ酸配列同一性、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するポリペプチド。
他の多量体化ドメインとしては、以下のものの多量体化ドメインが挙げられる:バクテリオファージラムダ頭部ドメインD(例えば、PDB ID:1C5EまたはPDB ID:1C5Eまたは配列番号51);HCRBPIIのドメインスワップ三量体バリアント(PDB ID:6VISまたは配列番号52);T1Lレオウイルス付着タンパク質シグマ1(PDB ID:4ODBの鎖A、B、C、または配列番号53);または先行するタンパク質のいずれか1つと少なくとも50%アミノ酸配列同一性;より好ましくは、先行するタンパク質のいずれか1つと少なくとも60%アミノ酸配列同一性、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するポリペプチド。
好ましくは、一実施形態では、オリゴマーコアは、パイロコッカス・ホリコシイCutA1の多量体化構造要素に由来する単量体を含んでいてもよい。したがって、サブユニット単量体または各サブユニット単量体は、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。
本明細書の上記および他所で考察されているように、CutA1(例えば、パイロコッカス・ホリコシイ)は、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。
好ましくは、別の実施形態では、オリゴマーコアは、X型コラーゲンNC1の多量体化構造要素に由来する単量体を含んでいてもよい。したがって、サブユニット単量体または各サブユニット単量体は、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。
本明細書の上記および他所で考察されているように、X型コラーゲンNC1は、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。
好ましくは、別の実施形態では、オリゴマーコアは、VIII型コラーゲンNC1の多量体化構造要素に由来する単量体を含んでいてもよい。したがって、サブユニット単量体または各サブユニット単量体は、配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。
本明細書の上記および他所で考察されているように、VIII型コラーゲンNC1は、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。
好ましくは、別の実施形態では、オリゴマーコアは、ホモ・サピエンスに由来するCutA1の多量体化構造要素に由来する単量体を含んでいてもよい。したがって、サブユニット単量体または各サブユニット単量体は、配列番号19のアミノ酸配列と、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。
本明細書の上記および他所で考察されているように、CutA1(例えば、ヒト)は、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。
好ましくは、別の実施形態では、オリゴマーコアは、MIFまたはMIF-2の多量体化構造要素に由来する単量体を含んでいてもよい。したがって、サブユニット単量体または各サブユニット単量体は、配列番号25または配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列と、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。
本明細書の上記および他所で考察されているように、MIFは、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。本明細書の上記および他所で考察されているように、MIF-2は、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。
好ましくは、別の実施形態では、オリゴマーコアは、TNFおよびTNF様TL1AまたはCD40Lを含む、多量体化構造要素TNFファミリータンパク質に由来する単量体を含んでいてもよい。したがって、サブユニット単量体または各サブユニット単量体は、配列番号42または配列番号31または配列番号58のアミノ酸配列と、少なくとも30%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよくまたはからなっていてもよい。
本明細書の上記および他所で考察されているように、TNFは、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。本明細書の上記および他所で考察されているように、TNF様タンパク質は、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な構造ドメインである。
オリゴマーコアがヘテロオリゴマーコアである場合、オリゴマーコアの各単量体は同じタンパク質に由来してもよい。例えば、オリゴマーコアの各単量体は、上記に記載のタンパク質の1つに由来してもよい。オリゴマーコアは、各単量体サブユニットの多量体化ドメインが同一であったとしても、単量体サブユニットに付着した結合部位が異なるためヘテロマーであり得る。オリゴマーコアは、すべての単量体サブユニットが同じタンパク質に由来する場合であっても、単量体サブユニットの多量体化ドメインが異なるためヘテロマーであり得る。
当業者であれば、本明細書で提供される多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの単量体サブユニットをさらに変更して、追加の機能性または有益な特性を提供することができることを理解するだろう。
例えば、単量体は、本明細書に記載の単量体または多量体化構造要素の断片、誘導体、またはバリアントであってもよい。当業者であれば理解することになるように、アミノ酸配列の断片としては、1つまたは複数の、例えば少なくとも1、2、5、10、20、50、または100個のアミノ酸が欠失されている、そのような配列の欠失バリアントが挙げられる。欠失は、天然配列のC末端またはN末端に生じてもよく、または天然配列内部に生じてもよい。典型的には、1つまたは複数のアミノ酸の欠失は、サブユニット単量体の多量体化構造要素のすぐ周囲にある残基には影響を及ぼさない。
アミノ酸配列の誘導体としては、in vivoまたはex vivoで修飾される配列を含む、翻訳後修飾配列が挙げられる。多数の異なるタンパク質修飾が当業者に公知であり、アミノ酸残基に新しい機能性を導入するための修飾、反応性アミノ酸残基を保護するための修飾、またはそのようなアミノ酸残基に付着させるためのリンカーもしくは基質(表面)の反応性官能基などの化学部分にアミノ酸残基をカップリングするための修飾が挙げられる。
また、アミノ酸配列の誘導体としては、1つまたは複数の、例えば少なくとも1、2、5、10、20、50、または100個のアミノ酸が天然配列に付加または導入されている、そのような配列の付加バリアントが挙げられる。付加は、天然配列のC末端またはN末端に生じてもよく、または天然配列内部に生じてもよい。典型的には、1つまたは複数のアミノ酸の付加は、サブユニット単量体の多量体化構造要素のすぐ周囲にある残基には影響を及ぼさない。
アミノ酸配列のバリアントとしては、天然配列の1つまたは複数のアミノ酸、例えば少なくとも1、2、5、10、20、50、または100個のアミノ酸残基が1つまたは複数の非天然残基と交換されている配列が挙げられる。したがって、そのようなバリアントは、点突然変異を含んでいてもよく、またはより顕著な突然変異であってもよく、例えばネイティブ化学ライゲーションを使用して、非天然アミノ酸配列を部分的天然配列へとスプライスし、天然酵素のバリアントを産生することができる。アミノ酸配列のバリアントとしては、天然に存在するアミノ酸および/または非天然アミノ酸を有する配列が挙げられる。
上述のアミノ酸配列のバリアント、誘導体、および機能的断片は、典型的には、野生型配列のオリゴマー化能力を保持する。好ましくは、上述の配列のバリアント、誘導体、および機能的断片は、野生型または天然配列と比較して、安定性の増加、毒性の低減、結合部位を含む追加の機能性などの特性の向上を示す。
結合部位
多価タンパク質スキャフォールドは、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位を含む。一部の実施形態では、典型的には、創薬においてエフェクター分子の有用な組合せを特定するのに有用なモジュール式系では、少なくとも1つの第1の結合部位は、少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である。換言すれば、第1の結合部位がそれによりその標的(第1の標的)に結合する化学反応は、第2の結合部位がその標的(第2の標的)に結合する化学反応に対して直交性である。したがって、第1の標的は第1の結合部位には結合することになるが、第2の結合部位には結合せず、第2の標的は第2の結合部位には結合することになるが、第1の結合部位には結合しない。したがって、直交性という用語には、タンパク質間相互作用の分野におけるその通常の意味が与えられ、第1の結合相互作用(つまり、第1の結合部位および第1のリガンド)は、第2の結合相互作用(つまり、第2の結合部位および第2のリガンド)とは無関係である。
多価タンパク質スキャフォールドの結合部位は、スキャフォールドを、エフェクター部分に結合するモジュール式系として使用することを可能にする。第1および第2の結合部位は、エフェクター部分でそれらの同族標的に結合する。
第1および第2の結合部位は、本明細書で提供される多価タンパク質スキャフォールドに任意の好適な方法で組み込むことができる。一実施形態では、第1および第2の結合部位は、本明細書に記載のようにオリゴマーコアの単量体または各単量体に付着して、多価タンパク質スキャフォールドを形成するタンデム融合体として提供される。比較のため、配列番号22は、αHリンカーにより連結された融合体として提供される2つの結合部位(本明細書に記載の)の例である。
結合部位は、下記でより詳細に記載されている。
結合部位とその標的との相互作用は、非共有結合性相互作用であってもよい。好ましくは、結合部位または各結合部位は、それぞれの標的と共有結合を形成することができる。反応性官能基は、サブユニット単量体もしくはエフェクター部分に天然に存在していてもよく、または、例えば遺伝子改変もしくは単量体の化学修飾により導入してもよい。反応性基は、その合成または発現中に、例えば無細胞発現中に、例えばin vitro転写/翻訳を介して単量体に組み込まれる非天然アミノ酸に由来してもよい。
多価タンパク質スキャフォールドの結合部位は、反応性基を介してその標的に結合することができる。任意の好適な反応性基を使用することができる。例えば、反応性基は、アミン反応性基;カルボキシル反応性基;スルフヒドリル反応性基またはカルボニル反応性基であってもよい。反応性基は、システイン反応性基を含んでいてもよい。反応性基は、マレイミド、アジド、チオール、アルキン、NHSエステル、またはハロアセトアミドを含んでいてもよい。
反応性基は、4-アジド-L-フェニルアラニン(Faz)、およびLiu C. C. and Schultz P. G., Annu. Rev. Biochem., 2010, 79, 413-444の図1の1~71番のアミノ酸のいずれか1つなどの非天然アミノ酸と反応することが可能な基であってもよい。そのような基は、対応する非天然アミノ酸が結合部位および同族標的に含まれている場合に特に有用である。
反応性基は、クリックケミストリー基であってもよい。クリックケミストリーは、Kolbら、2001年により初めて導入された、小規模応用および大規模応用の両方において信頼性高く機能する、強力で選択的でありモジュール式のビルディングブロックの拡張セットを記述するための用語である(Kolb HC, Finn, MG, Sharpless KB, Click chemistry: diverse chemical function from a few good reactions, Angew. Chem. Int. Ed. 40 (2001) 2004-2021)。Kolbらは、クリックケミストリーに関する1セットの厳格な基準を以下のように規定している:「反応はモジュール式であり、範囲が広く、非常に高い収率が得られ、非クロマトグラフィー法で除去することできる無害副産物しか生成せず、立体特異的でなければならない(しかしながら、必ずしもエナンチオ選択的ではない)。必要とされるプロセス特徴としては、反応条件が単純であること(理想的には、プロセスは酸素および水の影響を受けるべきではない)、出発物質および試薬が容易に入手可能であること、溶媒を使用しないか、または(水などの)穏和であるかもしくは簡単に除去することができる溶媒を使用すること、および生成物単離が簡便であることが挙げられる。必要に応じて精製は、結晶化または蒸留などの非クロマトグラフィー法によるものでなければならず、生成物は生理学的条件下で安定でなければならない」。
例えば、第1および第2の結合部位は、直交性クリックケミストリー試薬を含んでもよい。クリックケミストリーの好適な例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:
(a)アジドが例えばシクロオクタン環における歪み下のアルキンと反応する、1,3双極子環化付加反応の銅を含まない変化型反応、
(b)一方のリンカーにある酸素求核剤と、他方のリンカーにあるエポキシドまたはアジリジン反応性部分との反応、
(c)アルキン部分をアリールホスフィンに置き換えることができ、アジドとの特異的反応が生じてアミド結合がもたらされる、シュタウディンガーライゲーション、
(d)ニトロン双極子環化付加、
(e)ノルボルネン環化付加、
(f)オキサノルボルナジエン環化付加、
(g)テトラジンライゲーション、
(h)[4+1]環化付加、
(i)テトラゾールフォトクリックケミストリー、および
(j)クアドリシクランライゲーション。
反応性基は、ハロアセトアミド、例えばヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、またはクロロアセトアミドであってもよい。
反応性基は、ビニル基、TCO、テトラジン、および歪みアルキン;DBCO;活性化された酸、例えば酸塩化物;およびピペラジン、および反応性アミンから選択することができる。
ホスト-ゲスト化学反応を使用して、結合部位とその標的との間の反応を提供することもできる。例えば、結合部位は、金属錯体に結合するためのリガンドを含んでいてもよく、標的は金属錯体を含み、またはその逆である。したがって、結合部位は、安定した会合を形成することにより、修飾因子分子と錯体を形成するリガンドとして作用することができる部位を含むその標的と、キレート化または超分子会合を介して非共有結合的に相互作用することができる金属錯体を含んでいてもよく、またはその逆であってもよい。
反応性基は、Sakamoto and Hamachi, "Recent progress in chemical modification of proteins", Anal. Sci 2019 (35) 5-27;またはMcKay and Finn, "Click chemistry in complex mixtures: bioorthogonal bioconjugation", Chem. Biol. 2014, 21(9) 1075-1101に開示されているもののいずれかであってもよい。これら文献は両方とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
多価タンパク質スキャフォールドの結合部位は、好ましくは、タンパク質ドメインなどのポリペプチドを含む。より好ましくは、第1の結合部位は第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は第2のタンパク質ドメインを含む。
第1の結合部位が第1のタンパク質ドメインを含み、第2の結合部位が第2のタンパク質ドメインを含む場合、第1の結合部位および/または第2の結合部位は、好ましくは、それらが付着するサブユニット単量体と遺伝子的に融合されており、単一のポリペプチド鎖を形成する。典型的には、第1の結合部位および/または第2の結合部位は、それらが付着するサブユニット単量体を有する単一のポリペプチド鎖として、例えば融合タンパク質として、組換え核酸分子から発現される。これは、例えばクリックケミストリー試薬を付着させるために必要なさらなる化学修飾を必要とせずに、多価タンパク質スキャフォールドを、エフェクター部分に結合する準備ができた状態で発現させることができるという点で有益であり得る。タンパク質結合部位と、それが付着するタンパク質、例えば多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの単量体サブユニットとの付着は、下記に記載されている。
第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と非共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含んでいてもよく、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と非共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含んでいてもよい。より好ましくは、第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含む。任意の好適な共有結合を、上記の例と形成することができる。好ましくは、第1のタンパク質ドメインは、第1のポリペプチド標的とイソペプチド結合を形成することが可能であり、第2のタンパク質ドメインは、第2の結合標的とイソペプチド結合を形成することが可能である。イソペプチド結合は、例えば、1つのアミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ酸のアミノ基との間に形成させることができるアミド結合である。こうした接合基の少なくとも1つは、典型的には、こうしたアミノ酸の1つの側鎖の一部である。
好ましくは、第1の結合部位および第2の結合部位は各々、スプリットリガンド結合タンパク質ドメインなどの、異なるスプリットタンパク質ドメインを含む。本明細書で使用される場合、リガンド結合タンパク質ドメインは、タンパク質結合リガンドのドメインである。任意の好適なタンパク質を使用することができるが、イソペプチド結合などの鎖内共有結合により天然で安定化されているタンパク質が特に有益である。そのような場合、イソペプチド結合供与残基を含むタンパク質の部分は、イソペプチド結合受容残基を含むペプチドの部分とは分割されている。2つのタンパク質断片は、例えば遺伝子融合により、本明細書に記載のオリゴマーコアの単量体および/またはポリペプチド標的などのさらなるポリペプチドに付着させることができる。2つの別々の断片を接触させることにより、典型的には2つの断片が不可逆的に付着するイソペプチド結合の作出に結び付く。したがって、結合部位および相補的タグを生成するスプリットタンパク質手法は特に有用である。そのような結合部位/タグの対は、1つのタンパク質の断片が、任意の他の潜在的なパートナーよりもその天然パートナー(つまり、それが由来していたタンパク質の相補的部分)と優先的にまたは排他的に結合することになるため、典型的には直交性である。こうした原理は、例えば、Reddington & Howarth, Curr. Op. Chem. Biol. 29, 94-99 (2015) and Keeble et al, PNAS 2019 116(52) 26523で考察されている。
好ましくは、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の一方は、スプリットストレプトコッカス・ピオゲネスフィブロネクチン結合タンパク質ドメインを含み、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の他方は、スプリットストレプトコッカス・ニューモニエアドヘシンドメインを含む。
好ましくは、第1のタンパク質ドメインおよび第1のポリペプチド標的、ならびに第2のタンパク質ドメインおよび第2のポリペプチド標的は、各々、国際公開第2016/193746号パンフレット、国際公開第2018/197854号パンフレット、国際公開第2018/189517号パンフレット、Keeble et al. (PNAS 116(52), 2019: 26523-26533)、Fierer et al. (PNAS 111(13), 2014: E1176-E1181)に記載のものなどのペプチドリンカー対を含んでいてもよい。
好ましくは、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性を有する。
好ましくは、前記第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ;(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ;(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ;(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ、または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される。
より好ましくは、第1のタンパク質ドメインおよび第1のポリペプチド標的、ならびに第2のタンパク質ドメインおよび第2のポリペプチド標的は、各々独立して、以下の対から選択される。
Figure 2024511155000003
Figure 2024511155000004
タンパク質ドメインおよび標的ドメインは、タンパク質ドメインが標的ドメインと特異的に結合する能力を保持しつつ、上記に示されている配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%アミノ酸同一性を有していてもよい。
一部の実施形態では、第1の結合部位はタンパク質ドメインであり、第1の標的は、第1のタンパク質ドメインに結合するタグである。第2の結合部位はタンパク質ドメインであり、第2の標的は、第2のタンパク質ドメインに結合するタグである。一部の実施形態では、第1の結合部位はタグであり、第1の標的は、第1のタグに結合するタンパク質ドメインである。第2の結合部位はタグであり、第2の標的は、第2のタグに結合するタンパク質ドメインである。一部の実施形態では、第1の結合部位はタンパク質ドメインであり、第1の標的は、第1のタンパク質ドメインに結合するタグである。第2の結合部位はタグであり、第2の標的は、第2のタグに結合するタンパク質ドメインである。好ましくは、第1および第2の結合部位は両方ともタンパク質ドメインであり、第1および第2の標的は、それぞれ第1および第2のタンパク質ドメインに特異的に結合するタグである。
より好ましくは、第1のタンパク質ドメインおよび第1のポリペプチド標的、ならびに第2のタンパク質ドメインおよび第2のポリペプチド標的は、各々独立して、以下のペアから選択される。
Figure 2024511155000005
タンパク質ドメインおよび標的ドメインは、タンパク質ドメインが標的ドメインと特異的に結合する能力を保持しつつ、上記に示されている配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%アミノ酸同一性を有していてもよい。
上記の結合グループおよび標的は、以下のサブグループに分類することができる。
サブグループA:
- SpyCatcher(配列番号4)/SpyTag(配列番号5);
- SpyCatcher(配列番号4)/SpyTag002(配列番号7);
- SpyCatcher(配列番号4)/SpyTag003(配列番号9);
- SpyCatcher002(配列番号6)/SpyTag (配列番号5);
- SpyCatcher002(配列番号6)/SpyTag002(配列番号7);
- SpyCatcher002(配列番号6)/SpyTag003(配列番号9);
- SpyCatcher003(配列番号6)/SpyTag003(配列番号5);
- SpyCatcher003(配列番号6)/SpyTag003(配列番号7);
- SpyCatcher003(配列番号8)/SpyTag003(配列番号9);
- SpyTag(配列番号5)/K-tag(配列番号11)(SpyLigase(配列番号10)により媒介される)
サブグループB:
- SnoopCatcher(配列番号12)/SnoopTag(配列番号13);
- SnoopCatcher(配列番号12)/SnoopTagJr(配列番号15);
- SnoopTagJr(配列番号15)/DogTag(配列番号16)(SnoopLigase(配列番号14)により媒介される/
- DogCatcher (配列番号23) / DogTag (配列番号16)
サブグループC
- Pilin-C(配列番号17)/IsopepTag(配列番号18)
好ましくは、第1の結合部位/標的対はサブグループAから選択され、第2の結合部位/標的対はサブグループBおよびサブグループCから選択されるか、または第1の結合部位/標的対はサブグループBから選択され、第2の結合部位/標的対はサブグループAおよびサブグループCから選択されるか、または第1の結合部位/標的対はサブグループCから選択され、第2の結合部位/標的対はサブグループAおよびサブグループBから選択される。
さらにより好ましくは、第1のタンパク質ドメイン-ポリペプチド標的対および第2のタンパク質ドメイン-ポリペプチド標的は、以下のものからなる群から選択することができる:(i)SpyCatcher/SpyTagおよびSnoopCatcher/SnoopTag;(ii)SpyCatcher002/SpyTag002およびSnoopCatcher/SnoopTag;(iii)SpyCatcher003/SpyTag003およびSnoopCatcher/SnoopTag;(iv)SpyCatcher/SpyTagおよびPilin-C/Isopeptag;(v)SpyCatcher002/SpyTag002およびPilin-C/Isopeptag;(vi)SpyCatcher003/SpyTag003およびPilin-C/Isopeptag;(vii)Pilin-C/IsopeptagおよびSnoopCatcher/SnoopTag;(viii)SpyCatcher/SpyTagおよびSnoopTagJr/DogTag;(ix)SpyCatcher002/SpyTag002およびSnoopTagJr/DogTag;(x)SpyTag/K-tagおよびSnoopCatcher/SnoopTag;(xi)SpyTag/K-tagおよびSnoopTagJr/DogTag;(xii)SpyTag/K-tagおよびPilin-C/Isopeptag;および(xiii)SnoopTagJr/DogTagおよびPilin-C/Isopeptag;ならびに(xiv)SpyCatcher003/SpyTag003およびDogCatcher/DogTag;および(xv)SpyCatcher003/SpyTag002およびDogCatcher/DogTag;および(xvi)SpyCatcher003/SpyTagおよびDogCatcher/DogTag;(xvii)SpyCatcher003/SpyTag003およびSnoopCatcher/SnoopTagJr;および(xviii)SpyCatcher003/SpyTag002およびSnoopCatcher/SnoopTagJr;ならびに(xix)SpyCatcher003/SpyTagおよびSnoopCatcher/SnoopTagJr。
当業者であれば、SpyLigase/SpyTag/K-tag、またはSnoopLigase/SnoopTagJr/DogTagを使用する場合、「リガーゼ」が2つのタグの付着を触媒することを理解するだろう。したがって、第1の結合部位および第1のポリペプチド標的、ならびに第2の結合部位および第2のポリペプチド標的は、この2つの「タグ」から選択される。リガーゼを外因的に添加して2つの「タグ」の付着を触媒してもよく、または多価タンパク質スキャフォールドと遺伝子的に融合するなど、非共有結合的または共有結合的に多価タンパク質スキャフォールドと付随させてもよい。どちらのタグが多価タンパク質スキャフォールド内に含まれるかは交換可能である。
他の結合部位/タグ対としては、SdyTag/SdyCatcher(Tan et al, PLOS One 11(1) e0165074)およびクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)細胞表面接着タンパク質Cpe0147に由来するCpe0147439~563/Cpe0147565~587対(Young et al, Chem Comm. 53(9) 1502)が挙げられる。
「特異的に結合する」は、結合部位とその標的との結合の状況において本明細書で使用される場合、結合部位が、無関連対照に結合するよりも高い親和性でその相補的結合部位に結合する能力を指す。無関連対照は、無関連対照タンパク質であってもよい。例えば、SnoopCatcherは、無関連対照タンパク質に結合するよりも高い親和性でSnoopTagと特異的に結合する。結合は、好ましくは、イソペプチド結合の形成など、共有結合性である。好ましくは、対照タンパク質はウシ血清アルブミンであり、結合部位は、対照タンパク質よりも、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高い親和性で相補的結合部位に結合する。親和性は、当技術分野で公知の方法により決定することができる。例えば、親和性は、ELISAアッセイ、バイオレイヤー干渉法、表面プラズモン共鳴法、速度論的方法、または平衡/溶液法により決定することができる。当業者であれば、どの結合部位対が特異的に結合して、本発明の方法で使用することができるタンパク質複合体を生成するかを認識するだろう。
少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、好ましくは、抗体も抗体断片も含まない。少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、より好ましくは、FabまたはFc領域など、抗体の抗原結合性断片を含まない。
本明細書での「標的」に結合する「結合部位」に関するすべての考察では、当業者であれば、化学結合基が可逆的であることを容易に理解するであろう。換言すれば、上記の結合は、その結合部位に対する標的の対応する反応性基Bとの結合部位における反応性基Aの反応の観点から説明されているが、結合部位における反応性基Bは標的の反応性基Aと反応する同等の化学反応が可能である。
多価タンパク質スキャフォールドが、タンパク質ドメイン、例えば、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの単量体サブユニットに付着したタンパク質ドメインである1つまたは複数の結合部位を含む場合、タンパク質ドメインは、任意の好適な手段により、多価タンパク質スキャフォールドに付着させることができる(例えば、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの単量体サブユニットに付着させることができる)。
結合部位は、リンカーにより多価タンパク質スキャフォールドに付着していてもよい(例えば、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの単量体サブユニットに付着していてもよい)。一実施形態では、オリゴマーコアのサブユニット単量体の各末端に同じリンカーを使用してもよい。別の実施形態では、オリゴマーコアのサブユニット単量体の各末端に異なるリンカーを使用してもよい。
結合部位は、好ましくは、オリゴマーコア(またはサブユニット単量体)に共有結合で付着している。共有結合連結は、例えば、ペプチド結合、ジスルフィド結合、またはクリックケミストリー連結であってもよい。より好ましくは、共有結合連結は、少なくとも1つのアミノ酸、つまりペプチドリンカーを含み、結合部位においてサブユニット単量体と同じポリペプチド鎖の一部を形成する。
結合部位を、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの単量体サブユニットに付着させるために使用されるペプチドリンカーは、サブユニット単量体および/または結合部位に遺伝子的に融合されていてもよい。リンカーが、サブユニット単量体および/または結合部位を有する単一の構築物として、単一のポリヌクレオチドコード配列から発現される場合、リンカーは遺伝子的に融合されている。ペプチドリンカーの長さ、可撓性、および親水性は、典型的には、結合部位がオリゴマーコアまたは多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に位置することができるように設計される。ペプチドリンカーは、典型的には、結合部位の指向性係留を可能にする。
結合部位を単量体サブユニットに接続する際に使用するための好適なペプチドリンカーは、典型的には、1~100、1~50、1~25、1~20、1~15、または1~10アミノ酸長である。リンカーは、例えば、以下のアミノ酸:リジン、セリン、アルギニン、プロリン、グリシン、およびアラニンの1つまたは複数で構成されていてもよい。好適な可撓性ペプチドリンカーの例は、2~20個、例えば4、6、8、10、または16個のセリンおよび/またはグリシンアミノ酸のストレッチである。剛性のリンカーの例は、2~30個、例えば4、6、8、16、または24個のプロリンアミノ酸のストレッチである。好適なリンカーの例としては、これらに限定されないが、以下のもの:GGGS、PGGS、PGGG、RPPPPP、RPPPP、VGG、RPPG、PPPP、RPPG、PPPPPPPPP、PPPPPPPPPPPP、RPPG、GG、GGG、SG、SGSG、SGSGSG、SGSGSGSG、SGSGSGSGSG、およびSGSGSGSGSGSGSGSGが挙げられ、配列中、Gはグリシン、Pはプロリン、Rはアルギニン、Sはセリン、およびVはバリンである。他の例示的なリンカーとしては、GSGS、GGGGS、GGGGSGGGGS、およびGGGGSGGGGSGGGGSが挙げられる。適切な連結基は、従来のモデリング技法を使用して設計することができる。リンカーは、典型的には、結合部位および単量体サブユニットが、対応するタンパク質オリゴマーへとアセンブリすることを可能にするのに十分な可撓性を有する。
多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアは、好ましくは、サブユニット単量体の末端に少なくとも1つの第1の結合部位、およびサブユニット単量体の末端に少なくとも1つの第2の結合部位を含む。例えば、第1の結合部位はサブユニット単量体の第1の末端に位置してもよく、第2の結合部位はサブユニット単量体の第2の末端に位置してもよい。
末端は、好ましくは、いかなるリンカーも結合部位も含まない、オリゴマーコアのサブユニット単量体の末端を参照して決定される。より好ましくは、サブユニット単量体の末端は、サブユニット単量体のN末端および/またはC末端から選択される。結合部位(例えば、タンパク質ドメイン)がサブユニット単量体と同じポリペプチドの一部を形成する場合、N末端およびC末端は、好ましくは、結合部位が存在しない場合の単量体のそれぞれの末端に対応するアミノ酸に関する。同様に、リンカーがサブユニット単量体と同じポリペプチドの一部を形成する場合、N末端およびC末端は、好ましくは、リンカーが存在しない場合の単量体のそれぞれの末端に対応するアミノ酸に関する。
好ましくは、結合部位が付着しているサブユニット単量体の末端は、上記でより詳細に規定したように、オリゴマーコアまたは多量体タンパク質スキャフォールドの同じ面に存在する。
一部の場合では、オリゴマーコアは、各サブユニット単量体の単一の末端のみを所与の面に含む。この場合、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、典型的には、両方とも同じ末端に付着しており、それにより多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に存在する。例えば、オリゴマーコアは複数のサブユニット単量体を含んでもよく、各サブユニット単量体は、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記第1の結合部位に付着した第2の結合部位を含む。オリゴマーコアは複数のサブユニット単量体を含んでもよく、少なくとも1つの第1の結合部位は、第1のサブユニット単量体の第1の末端に付着しており、少なくとも1つの第2の結合部位は、第2のサブユニット単量体(例えば、ヘテロオリゴマーコア)の第2の末端に付着している。オリゴマーコアは、上記に記載の付着方法の組合せを含んでもよい。
多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアのサブユニット単量体は、好ましくは各々が、単量体の単一の面に(したがって、オリゴマーコアおよび多価タンパク質スキャフォールドの単一の面に)2つの末端を含む。2つの末端は、好ましくは、単量体ポリペプチドのN末端およびC末端である。各単量体は、より好ましくは、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記単量体の第2の末端に付着した第2の結合部位を含む。第1および第2の結合部位は、それぞれN末端およびC末端に存在してもよく、またはそれぞれC末端およびN末端に存在してもよい。
場合によっては、単量体は、各末端に1つよりも多くの結合部位を含んでいてもよい。例えば、サブユニット単量体は、各末端に以下ものを含んでいてもよい:(i)前記単量体の末端に付着した第1の結合部位および前記第1の結合部位に付着した第2の結合部位、またはその逆のもの、(ii)前記単量体の末端に付着した第1の結合部位、および前記第1の結合部位に付着した少なくとも1つのさらなる第1の結合部位、(iii)前記単量体の末端に付着した第2の結合部位、および前記第2の結合部位に付着した少なくとも1つのさらなる第2の結合部位、(iv)前記単量体の末端に付着した単一の第1または第2の結合部位。
多価タンパク質スキャフォールドにおける結合部位の位置
上記に記載のように、本明細書で提供される多価タンパク質スキャフォールドでは、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置する。同様に、マルチドメインポリペプチド構築物の典型的な実施形態では、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、ポリペプチド構築物の同じ面に位置する。
多価タンパク質スキャフォールド(またはマルチドメインポリペプチド構築物)の同じ面に位置することにより、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、最終的に結合部位を介して多価タンパク質スキャフォールドに結合したエフェクター部分が単一の表面または平面にあるそれぞれの生物学的標的(例えば、細胞表面の受容体)と相互作用することができるように配置される。
少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、多価タンパク質スキャフォールド(またはマルチドメインポリペプチド構築物)の同じ面に位置する。好ましくは、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、オリゴマーコアの同じ面に位置する。好ましくは、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、それらが付着しているサブユニット単量体の同じ面に位置する。本明細書に記載のように、サブユニット単量体は、典型的には、マルチドメインポリペプチド構築物の構造ドメインである。
「少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置する」という用語は、図1および2を参照して、以下のように理解することができる。
多価タンパク質スキャフォールド(1)またはオリゴマーコア(10)は、コアの単量体の数に対応する概念的な回転対称軸(20)を含む。例えば、ホモ三量体コアはC3対称軸を含む。例えば、ホモオリゴマー五量体コアはC5対称軸を含む。同様にヘテロオリゴマーコアは、オリゴマーコアの中心を通り、各サブユニット間の界面に平行に延びる概念的な回転軸を含む。例えば、ヘテロ二量体の回転軸は、オリゴマーコアを通り、単量体間の界面の長さに平行に延びる。ヘテロ三量体の回転軸は、オリゴマーコアを通り、単量体間の少なくとも2つの界面の長さにできるだけ平行に延びる。平面(21)は、回転軸に対して垂直またはほぼ垂直(例えば、約80°~約100°、例えば約85°~約95°、例えば約88°~約92°、例えば約90°)であり、オリゴマーコアの中心を通って延びると規定することができる。少なくとも1つの第1の結合部位(11)および少なくとも1つの第2の結合部位(12)は、その平面の同じ側に位置し、したがって多価タンパク質スキャフォールド(1)の同じ面に位置する。これは、図1に概略的に示されており、図1には、三量体オリゴマーコアが示されており、明瞭性のために1つの第1の結合部位および1つの第2の結合部位のみが示されている。対照的に、図2は、少なくとも1つの第1の結合部位(11)および少なくとも1つの第2の結合部位(12)が平面(21)の反対側に位置しており、したがって多価タンパク質スキャフォールド(1)の反対側の面にある対照的な状況を示す。
当業者であれば、オリゴマーコアの単量体が、例えば本明細書に記載のように共有結合による融合により連結されている場合でも、概念的な対称軸が依然として存在することを理解するだろう。
したがって、「タンパク質スキャフォールドの同じ面」は、多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの最高次回転対称軸に垂直であり、多価タンパク質スキャフォールドの中心を通って延びる平面の一方の側にある、多価タンパク質スキャフォールドの溶媒露出表面であってもよい。同様に、オリゴマーコアの面は、オリゴマーコアの最高次回転対称軸に垂直であり、オリゴマーコアの中心を通って延びる平面の一方の側にある、オリゴマーコアの溶媒露出可能表面(好ましくは、結合部位がそれに付着していない状態で規定される)であってもよい。
好ましくは、多価タンパク質スキャフォールドの面は、単一の表面、例えば細胞壁、細胞膜などの細胞またはタンパク質複合体の表面と接触する、多価タンパク質スキャフォールドの溶媒露出部分である。したがって、図3の概略図(明瞭性のため、多価タンパク質スキャフォールド(1)のオリゴマーコア(10)に付着した複数の第1および第2の結合部位(11、12)が示されている)を参照すると、少なくとも1つの第1の結合部位(11)および少なくとも1つの第2の結合部位(12)は、好ましくは、それらが両方とも前記表面(30)と接触することができるように、多価タンパク質スキャフォールド(1)に位置している。これは、図4に概略的に示されているように、少なくとも1つの第1の結合部位(11)および少なくとも1つの第2の結合部位(12)が多価タンパク質スキャフォールド(1)の反対側の面に位置している場合は不可能である。例えば、第1の結合部位は表面(30)と接触することが可能であってもよいが、第2の結合部位は表面(30)と接触することが可能ではない可能性がある。
少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、好ましくは、前面-前面配向性もしくは側面-前面配向性に、またはそれらの間の任意の位置に配置される。本明細書で使用される場合、前面-前面配向性は、第1の結合部位および第2の結合部位の両方が両方とも多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に位置し、付着が、多価タンパク質スキャフォールドを通る回転対称軸と実質的に平行であることを指す。これは、図5に概略的に示されている。側面-前面配向性は、第1の結合部位および第2の結合部位の一方が、多価タンパク質スキャフォールドの一面に位置しており、付着は多価タンパク質スキャフォールドを通る回転対称軸に対して実質的に平行であり、第1の結合部位および第2の結合部位の他方は両方とも多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に位置し、付着は、多価タンパク質スキャフォールドを通る回転対称軸に対して実質的に垂直(つまり、平面(21)に対して実質的に平行)であることを指す。これは、図6に概略的に示されている。無論、こうした両極端の間の任意の位置を使用することができ、例えば、第1の結合部位および/または第2の結合部位は、多価タンパク質スキャフォールドの同じ面にあり、付着は多価タンパク質スキャフォールドを通る回転対称軸に対しておよそ45°である。これは、図7に概略的に示されている。
当業者であれば、1つまたは複数の第1の結合部位(11)と軸(20)との間の角度、および1つまたは複数の第2の結合部位(12)と軸(20)との間の角度は同じである必要はないことを理解するだろう。例えば、1つまたは複数の第1の結合部位(11)は、多価タンパク質スキャフォールドの「前面」に存在してもよく、1つまたは複数の第2の結合部位(12)は、多価タンパク質スキャフォールドの「側面」に存在してもよく、つまり上記に記載のように前面-側面配向性であってもよい。代替的に、1つまたは複数の第1の結合部位(11)は、多価タンパク質スキャフォールドの「側面」に存在してもよく、1つまたは複数の第2の結合部位(12)は、多価タンパク質スキャフォールドの「前面」に存在してもよく、つまり、上記に記載のように側面-前面配向性であってもよい。1つまたは複数の第1の結合部位(11)および1つまたは複数の第2の結合部位(12)は両方とも、多価タンパク質スキャフォールドの「前面」に存在してもよく、つまり、上記に記載のように前面-前面配向性であってもよい。
第1の結合部位および第2の結合部位が両方とも多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に存在することを前提とし、第1の結合部位および第2の結合部位が両方とも所与のサブユニット単量体(2)に付着している場合、典型的には、第1の結合部位および第2の結合部位とその単量体の中心との間に形成される角度(図8ではXで示されている)は、最大で160°の角度、例えば最大で140°の角度、例えば最大で120°の角度、例えば最大で100°の角度、またはで最大で90°の角度である。典型的には、第1の結合部位および第2の結合部位とその単量体の中心との間に形成される角度は、少なくとも10°の角度、例えば少なくとも20°の角度、例えば少なくとも30°の角度、例えば少なくとも45°の角度、または少なくとも60°の角度である。
構造は、タンパク質構造データ(NMR、X線)または構造予測から決定されるオリゴマーコアの表面と交差しないように、3D座標系の任意の位置に平坦な標的平面を配置することにより視覚化することもできる。融合部位毎に、オリゴマーコア(元の融合部位以外)の表面と交差しない標的平面までの最短経路の距離を決定することができる。好ましくは、所与の構造について、そのような最短経路がすべて、標的平面に対して直交する最も長いタンパク質断面の50%、45%、または40%未満であるような標的平面の位置を見出すことができる。
一部の実施形態では、同じ平面に接触するまでの最大の最短経路長は、100nm未満、例えば50nm未満、例えば20nm未満、例えば10nm未満、例えば5nm未満、例えば2nm未満である。好ましい状況では、標的平面までの最短経路長はすべて、50nm未満、例えば25nm未満、例えば10nm未満、例えば5nm未満の半径を有する、標的平面上の円形領域内で終わる。
一部の実施形態では、スキャフォールドコアに融合されたタンパク質のシス配向性は、構造予測により決定することができる。Alphafoldでは、距離のみに加えて、リンカーの幾何学形状、および融合結合ドメインとスキャフォールドコアタンパク質との相互作用も考慮に入れることができる。好ましくは、スキャフォールドコアは、リンカーを介して、好ましくは短いリンカーを介して、例えばGSGSを介して、例えばGGGGSを介して、例えばGGGGSGGGGSを介して、例えばGGGGSGGGGSGGGGSを介して、好ましい結合部位に融合した後でさえ、そのオリゴマー化特性を保持することが予測され、結合部位は、ほぼシス幾何学的配置で表されることが予測される。
ドメイン挿入物
多価タンパク質スキャフォールドは、複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、および少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位を含み、好ましくは、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位は、多価タンパク質スキャフォールドの同じ面に位置する。多価タンパク質スキャフォールドは、ドメイン挿入物をさらに含んでいてもよい。ドメイン挿入物はタンパク質ドメインである。ドメイン挿入物は、結合部位と同じ多価タンパク質スキャフォールドの面に位置してもよく、異なる面に位置してもよい。
一部の場合では、オリゴマーコアおよび/またはサブユニット単量体が、結合部位に付着していない少なくとも1つの遊離末端を含む場合、多価タンパク質スキャフォールドは遊離末端にドメイン挿入物を含む。また、ドメイン挿入物は、オリゴマーコアのループ領域内に位置してもよく、したがって、サブユニット単量体のループ領域内に位置してもよい。好ましくは、多量体タンパク質スキャフォールドは、結合部位が位置する面に対して、オリゴマーコアおよび/または多量体タンパク質スキャフォールドの反対側の面に、例えば軸の反対側の端部の90°以内に、少なくとも1つのドメイン挿入物を含む。
本明細書で使用される場合、ドメイン挿入物は、タンパク質ドメイン、つまりタンパク質の自律的にフォールディングする機能性単位をコードするポリペプチド配列である。ドメイン挿入物は、オリゴマーコアまたは結合部位の構造およびフォールディングを妨害しない。
ドメイン挿入物は、好ましくは、エフェクター機能を有する。ドメイン挿入物は、抗体、抗体断片、またはCD3もしくはCD16に結合することが可能な抗原結合性断片などの抗原結合性断片を含んでいてもよい。例えば、ドメイン挿入物は、サイトカインなどの免疫調節タンパク質、または化学療法剤、またはがん免疫療法剤(つまり、がんを治療するために対象の免疫系を使用する治療)に結合することができる。ドメイン挿入物は、生物系と接触した際に細胞死を誘導するタンパク質を形成することができる。ドメイン挿入物は、アポトーシスを誘導してもよく、抗腫瘍応答を増加させてもよく、または他の有益な活性を示してもよい。ドメイン挿入物は、補体阻害活性を有してもよくまたは補体刺激活性を有してもよい。
疑義を回避するために述べるが、ドメイン挿入は、典型的には、本明細書に記載のマルチドメインポリペプチド構築物の構造ドメイン内になされる。
タンパク質複合体
また、本明細書では、少なくとも1つの第1のエフェクター部分および少なくとも1つの第2のエフェクター部分に付着した、本明細書でより詳細に記載されている多価タンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体が提供される。各第1のエフェクター部分は、多価タンパク質スキャフォールドの第1の結合部位に結合した第1の標的に付着している。各第2のエフェクター部分は、多価タンパク質スキャフォールドの第2の結合部位に結合した第2の標的に付着している。
標的は、好ましくは、ポリペプチド標的であり、より好ましくは、上記に記載のペプチドリンカー対のパートナーである。
各エフェクター部分は標的に付着しており、それにより各エフェクター部分は多価タンパク質スキャフォールドに結合する。第1および第2のエフェクター部分は、同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよい。結合部位の状況において上記に記載の付着経路のいずれかを使用することができる。当業者が利用できる従来の有機化学経路を使用して、各エフェクター部分を標的に直接付着させてもよく、それにより各エフェクター部分は多価タンパク質スキャフォールドに結合する。好適な化学的手法は、March's Advanced Organic Chemistry (Wiley 2020)などの教科書に記載されている。
好ましくは、各エフェクター部分は、標的と共有結合で連結されている。より好ましくは、標的はポリペプチド標的であり、エフェクター部分に遺伝子的に融合されていてもよい。換言すれば、好ましくは、エフェクター部分または各エフェクター部分は、単一のポリペプチド鎖として発現されるように同じポリヌクレオチドにコードすることにより、ポリペプチド標的と遺伝子的に融合されている。エフェクターは、第1のポリペプチド標的、切断部位、および第2のポリペプチド標的と遺伝子的に融合されていてもよく、第1のポリペプチド標的は第2のポリペプチド標的に対して直交性である。切断部位はTEV切断部位であってもよい。第1および第2のポリペプチド標的が両方ともエフェクター部分に存在する場合、末端ポリペプチド標的のみが機能性である(つまり、多価タンパク質スキャフォールドのその同族結合部位に結合することができる)。切断部位は、単一の標的のみが存在するように、末端ポリペプチド標的を分離するために使用することができる。エフェクター部分のコンジュゲーション完了後、末端ポリペプチド標的を特異的に展開することができる。
エフェクター部分は、好ましくはタンパク質ドメインである。タンパク質ドメインは、好ましくは可溶性タンパク質ドメインである。タンパク質ドメインは、好ましくは、分泌タンパク質のドメインまたは膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む。タンパク質ドメインは、より好ましくは、ヒト細胞表面受容体などの細胞表面受容体の細胞外ドメインまたは細胞表面受容体のリガンドを含む。
エフェクター部分は、好ましくは、生物系と接触した際に療法効果を発揮する部分である。例えば、エフェクター部分は、サイトカインなどの免疫調節タンパク質であってもよく、または化学療法剤、またはがん免疫療法剤(つまり、がんを治療するために対象の免疫系を使用する治療)であってもよい。エフェクター部分は、生物系と接触した際に細胞死を誘導してもよい。エフェクター部分は、アポトーシスを誘導してもよく、抗腫瘍応答を増加させてもよく、または他の有益な活性を示してもよい。エフェクター部分は、補体阻害活性を有してもよくまたは補体刺激活性を有してもよい。エフェクター部分は、遺伝子発現の変更、受容体内部移行、サイトカイン放出、細胞死、または治療用分子に対する感受性をもたらしてもよい。
一実施形態では、エフェクター部分は、合成有機分子であってもよくまたは合成無機分子であってもよい。好適な分子は、化学療法剤であってもよい。好適な分子は、毒性作用剤、例えば約100μM未満、例えば約10μM未満、例えば約1μM未満または約100nM未満のEC50を有する作用剤であってもよく、EC50は、好適な細胞アッセイで評価して50%細胞毒性をもたらすのに必要な作用剤の濃度である。好適な細胞アッセイは、例えば、スルホローダミンB(SRB)アッセイであってもよい。
好適な合成分子は、酵素活性化剤であってもよくまたは酵素阻害剤であってもよい。好適な分子は、セリン/スレオニン/チロシンキナーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、熱ショックタンパク質(HSP)、およびプロテアソームの1つまたは複数の阻害剤であってもよい。好適な分子は、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、テトラジン、アジリジン、シスプラチン、およびそれらの誘導体);代謝拮抗剤(例えば、葉酸拮抗剤、フルオロピリミジン、デオキシヌクレオシドアナログ、およびチオプリン);抗微小管剤(例えば、ビンカアルキロイドまたはタキサン);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼIの阻害剤、イリノテカンおよびトポテカン;エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、およびテニポシデルなどのトポイソメラーゼII毒素、またはノボビオシン、メルバロン、およびアクラルビシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤)、または細胞傷害性抗生物質(例えば、アントラサイクリンおよびブレオマイシン)として作用することができる。好適な分子は、約50~約5000g/mol、例えば約100~約1000g/mol、例えば約250~約500g/molの分子質量を有してもよい。
別の実施形態では、エフェクター部分は、好ましくは、抗体またはその抗原結合性断片を含む。「抗体またはその抗原結合性断片」という用語は、エフェクター部分に関して本明細書で使用される場合、抗体全体(つまり、ジスルフィド結合により相互接続されている2つの重鎖および2つの軽鎖の要素を含む)ならびにそれらの抗原結合性断片に関してもよい。抗体は、典型的には、免疫グロブリン(Ig)分子、つまり、抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子の免疫学的に活性な部分を含む。本明細書で使用される場合、抗体またはその断片と抗原との相互作用の状況での、「特異的に結合する」または「と免疫反応する」という用語は、抗体が、他のポリペプチドと比較して、所望の抗原の1つまたは複数の抗原決定基と優先的に反応することを意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および少なくとも1つの重鎖定常領域で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域で構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化することができる。抗体としては、これらに限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、dAb(ドメイン抗体)、単鎖、Fab、Fab’、およびF(ab’)2断片、scFv、およびFab発現ライブラリーを挙げることができる。抗体は、例えば、単鎖抗体、単鎖可変断片(scFv)、可変断片(Fv)、断片抗原結合領域(Fab)、組換え抗体、モノクローナル抗体、天然抗体の抗原結合ドメインを含む融合タンパク質またはアプタマー、VHH抗体としても知られている単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディ(ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体)、VNARと呼ばれるサメIgNAR由来の単一ドメイン抗体断片、ダイアボディ、トリアボディ、アンチカリン、アプタマー(DNAまたはRNA)、およびそれらの活性成分または断片からなる群から選択することができる。
「Fab断片」(断片抗原結合、またはFab領域とも呼ばれる)は、それぞれ軽鎖および重鎖の可変ドメインVLおよびVHと共に、軽鎖の定常ドメイン(CL)および重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。可変ドメインは、抗原結合に関与する相補性決定ループ(CDR、超可変領域とも呼ばれる)を含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域の1つまたは複数のシステインを含む重鎖CHIドメインのカルボキシ末端に少数の残基が付加されている点でFab断片とは異なる。
「単鎖Fv」または「scFv」は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、こうしたドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一実施形態では、Fvポリペプチドは、scFvが抗原結合に対して望ましい構造を形成することを可能にする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies , vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。scFv断片の例として、抗体scFv断片は、国際公開第93/16185号パンフレット;米国特許第5,571,894号明細書;および米国特許第5,587,458号明細書に記載されている。
エフェクター部分は、治療用抗体のFab領域であってもよい。例えば、エフェクター部分は、ムロモマブ、アブシキシマブ、リツキシマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブ(ibritomomab)、アダリムマブ、アレファセプト、オマリズマブ、トシツモマブ、エファリズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、またはセルトリズマブなどのモノクローナル抗体のFab領域であってもよい。
エフェクター部分は、病理学的状態、例えば、本明細書に記載の病理学的状態に関連付けられるあらゆる受容体を標的とすることができる。例えば、エフェクター部分は、その結合が臨床的利益に関連付けられるあらゆる受容体を標的とすることができる。例えば、ホルモン受容体。
一部の実施形態では、エフェクター部分は、病理学的状態に関連付けられることがこれまで知られていない標的(例えば、受容体)を有してもよい。例えば、一部の場合では、そのような受容体を標的とすることは、療法効果を示すことが見出されている。
したがって、当業者であれば、本明細書で提供されるタンパク質複合体を使用して、生物系内の2つの標的に同時に係合し、それにより同時に接触させることができることを理解するだろう。標的は、例えば、同じ細胞に由来するものであってもよい。例えば、本明細書で提供されるタンパク質複合体は、同じ細胞表面上の2つの異なるタイプの受容体に結合させるために使用することができる。
本明細書で提供されるタンパク質複合体は、典型的には、多価タンパク質スキャフォールドに複数の第1の結合部位および複数の第2の結合部位を含み、したがって、複数の第1のエフェクター部分および複数の第2のエフェクター部分と結合することができる。これは、そのような「高結合価」化合物が、エフェクター機能の向上またはこれまで未知だったエフェクター機能を可能にすることができるため特に有益である。単一のエフェクター部分の複数のコピーは、生物系と接触した際の療法応答の向上に結び付く可能性があることが以前に示されている(例えば、Brune et al. (above); and Khairil Anuar et al., Nature communications 10.1 (2019): 1-13)。しかしながら、複数の異なるエフェクター部分の複数のコピーを接触させることは、複雑な技術的課題であり、この課題は、本明細書で提供されるタンパク質複合体により解決される。
一部の実施形態では、エフェクター機能は、エフェクター部分の組合せと、それに接触する生物系との相互作用の結果としてのみ生じさせることができる。例えば、第1のエフェクター部分(例えば、第1の結合部位に付着したエフェクター部分)は、第1または第2のエフェクター部分がいずれも単独では療法有効性を示さない状況において、第2のエフェクター部分(例えば、第2の結合部位に付着したエフェクター部分)と組み合わせた場合にのみ療法効果を有することが示されていてもよい。
当業者であれば、本明細書で特定されているプラットフォームおよび方法は、療法上有用なエフェクター部分の新しい組合せをスクリーニングし、有用な候補を特定することを可能にすることを理解するだろう。
スクリーニングプラットフォーム
また、本明細書では、スクリーニングプラットフォームが提供される。スクリーニングプラットフォームはライブラリーを含み、前記ライブラリーは、本発明のタンパク質複合体の複数の集団を含み、タンパク質複合体の集団は各々、第1のエフェクター部分、第2のエフェクター部分、および/またはオリゴマーコアの異なる組合せを含む。そのようなライブラリーも本明細書で提供される。
例えば、ライブラリーは、エフェクター部分の新しい組合せをスクリーニングするために使用することができる。したがって、ライブラリーは、異なるタンパク質複合体の複数の試料を含んでいてもよい。各試料は均質であってもよく、つまり各試料は、1つのタイプのタンパク質複合体のみを含んでいてもよい。各試料は、他の各試料とは異なっていてもよい。したがって、各試料は、他の各試料のタンパク質複合体の第1および第2のエフェクター部分の組合せと比較して、異なる組合せの第1および第2のエフェクター部分を含むタンパク質複合体を含んでいてもよい。例えば、ライブラリーは、約1個または約2個~約1,000,000個の試料、例えば約10~約100,000個の試料、例えば約50~約50,000個の試料、例えば約100~約10,000個の試料、例えば約500~約1,000個の試料を含んでいてもよい。各試料は、異なるタイプのタンパク質複合体を含んでいてもよく、各試料中のタンパク質複合体は、すべての他の試料中のタンパク質複合体と比較して、第1のエフェクター部分、第2のエフェクター部分、およびオリゴマーコアの異なる組合せを有する。
一部の実施形態では、ライブラリーは「1D」ライブラリーであってもよい。したがって、一部の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、同じまたは実質的に同じオリゴマーコアおよび第1のエフェクター部分を有していてもよく、第2のエフェクター部分に関しては異なっていてもよい。他の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、同じまたは実質的に同じオリゴマーコアおよび第2のエフェクター部分を有していてもよく、第1のエフェクター部分に関しては異なっていてもよい。一部の他の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、同じまたは実質的に同じ第1および第2のエフェクター部分を有していてもよく、オリゴマーコアに関しては異なっていてもよい。所与のポリペプチドと実質的に同じであるポリペプチド(例えば、オリゴマーコア、または第1もしくは第2のポリペプチド結合部位)は、例えば、所与のポリペプチドと少なくとも90%配列同一性、例えば、所与のポリペプチドと少なくとも95%配列同一性、例えば少なくとも97%、98%、99%、99.9%、または99.99%配列同一性を有していてもよい。所与のポリペプチドと実質的に同じであるポリペプチド(例えば、オリゴマーコア、または第1もしくは第2のポリペプチド結合部位)は、例えば、本明細書に記載の1つまたは複数の配列付加、欠失、もしくは挿入、または変異を含むことにより所与のポリペプチドと異なっていてもよい。所与のポリペプチドと実質的に同じであるポリペプチド(例えば、オリゴマーコア、または第1もしくは第2のポリペプチド結合部位)は、例えば、ポリペプチドに対してなされる翻訳後修飾、例えばそのグリコシル化またはリン酸化パターンに関して所与のポリペプチドと異なっていてもよい。
一部の実施形態では、ライブラリーは「2D」ライブラリーであってもよい。したがって、一部の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、同じまたは実質的に同じオリゴマーコアを有していてもよく、第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分の組合せに関して異なっていてもよい。他の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、同じまたは実質的に同じ第1のエフェクター部分を有していてもよく、オリゴマーコアおよび第2のエフェクター部分の組合せに関して異なっていてもよい。一部の他の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、同じまたは実質的に同じ第2のエフェクター部分を有していてもよく、オリゴマーコアおよび第1のエフェクター部分の組合せに関して異なっていてもよい。
一部の実施形態では、ライブラリーは「3D」ライブラリーであってもよい。したがって、一部の実施形態では、ライブラリー中のすべての試料は、オリゴマーコア、第1のエフェクター部分、および第2のエフェクター部分の組合せに関して異なっていてもよい。
また、スクリーニングプラットフォームは、ライブラリーに加えて他の構成物質部分を含んでもよい。例えば、スクリーニングプラットフォームは、以下のもののいずれかまたはすべてを含んでいてもよい。
- ライブラリー中の試料と接触させるための生物系、
- 生物系とライブラリー中の試料との接触からもたらされる生物系の変化を検出するための検出系、
- 試薬および/または緩衝液、ならびに
- 検出系により報告される変化を検出するための光学的、電気的、または分光法的手段。
生物系は、細胞培養物、例えば哺乳動物細胞培養物、好ましくはヒト細胞培養物、より好ましくは免疫細胞培養物および/またはがん細胞株培養物であってもよい。生物系は、血液試料、血清試料、血漿試料、または組織もしくは器官の試料などの生物学的試料であってもよい。生物学的試料としては、腫瘍試料、細胞、細胞溶解物、尿、羊水、および他の生物学的流体が挙げられる。生物学的試料は、好ましくは、哺乳動物である。試料は、ヒトであってもよくまたは非ヒトであってもよい。
検出系は、任意の好適な検出系であってもよい。検出系は、色素または染色剤、例えば細胞生存染色剤であってもよい。好適な染色剤としては、例えば、トリパンブルー、(フルオレセインジアセテート)グリーン、ヨウ化プロピジウム、およびヘキスト33258などを挙げることができる。
試薬としては、細胞増殖培地成分を含む、細胞生存に必要な成分が挙げられ、治療用分子を挙げることができる。
緩衝剤としては、例えば緩衝剤塩を含んでいてもよい水性組成物が挙げられる。使用することができる好ましい緩衝剤塩としては、Tris;リン酸塩;クエン酸/NaHPO;クエン酸/クエン酸ナトリウム;酢酸ナトリウム/酢酸;NaHPO/NaHPO;イミダゾール(グリオキサリン)/HCl;炭酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム;炭酸アンモニウム/重炭酸アンモニウム;MES;Bis-Tris;ADA;aces;PIPES;MOPSO;Bis-Trisプロパン;BES;MOPS;TES;HEPES;DIPSO;MOBS;TAPSO;トリズマ;HEPPSO;POPSO;TEA;EPPS;トリシン;Gly-Gly;ビシン;HEPBS;TAPS;AMPD;TABS;AMPSO;CHES;CAPSO;AMP;CAPS;およびCABSが挙げられる。所望のpHにとっての適切な緩衝剤の選択は当業者であれば日常的であり、指針は、例えば、http://www.sigmaaldrich.com/life-science/core-bioreagents/biological-buffers/learning-center/buffer-reference-center.htmlで入手可能である。緩衝剤塩は、好ましくは、溶液中で1mM~1M、好ましくは10mM~100mM、例えば約50mMの濃度で使用される。
検出系により報告される変化を検出するための手段としては、顕微鏡(光学的または電子的)、電気生理学的(例えば、パッチクランプ)装置などの電気的手段;およびUV/VIS分光法、NMR分光法、質量分析法、IR分光法、ラマン分光法、円二色性分光法などのための機器などの分光法的手段が挙げられる。
方法
また、治療用薬物アナログを特定するための方法であって、
本明細書に記載のタンパク質複合体を用意すること、
タンパク質複合体を生物系と接触させること、および
タンパク質複合体が生物系の特性に所望の変化を誘導するか否かを測定すること
を含む方法が提供される。
この方法は、任意選択で、生物系の特性に所望の変化を誘導するタンパク質複合体を選択することをさらに含む。
また、エフェクター分子(例えば、抗原結合ドメイン)の療法組合せを特定するための方法であって、
本明細書に記載のタンパク質複合体を用意すること、
タンパク質複合体を生物系と接触させること、および
タンパク質複合体が生物系の特性に所望の変化を誘導するか否かを測定すること
を含む方法が提供される。
生物系は、細胞培養物、例えば哺乳動物細胞培養物、好ましくはヒト細胞培養物、より好ましくは免疫細胞培養物および/またはがん細胞株培養物であってもよい。
生物系は、血液試料、血清試料、血漿試料、または組織もしくは器官の試料などの生物学的試料であってもよい。生物学的試料としては、腫瘍試料、細胞、細胞溶解物、尿、羊水、および他の生物学的流体が挙げられる。生物学的試料は、好ましくは、哺乳動物である。試料は、ヒトであってもよくまたは非ヒトであってもよい。
生物系の特性の変化は、意図されている治療薬の所望の活性に関連付けられるあらゆる変化であってもよい。一部の実施形態では、所望の変化は細胞死である。これは、特に、がん治療薬を開発する場合に使用することができる。
他の変化としては、エフェクター機能の変化が挙げられる。したがって、この方法は、タンパク質複合体が生物系においてエフェクター機能を誘導するか否かを測定するステップを含んでいてもよい。
エフェクター機能の変化としては、遺伝子発現の変更、タンパク質修飾、例えばリン酸化の変更、受容体内部移行、サイトカイン放出、細胞死、治療用分子に対する感受性などを挙げることができる。エフェクター機能は、生物学的試料に対する高親和性結合であってもよく、それは、ELISAなどの一連の技法により測定することができる。標的生物系との高親和性結合は、上記で考察されているエフェクタードメインが、がん細胞などの特定の細胞タイプであってもよい標的生物系に対して特異的に影響を及ぼすことを可能にすることができる。
エフェクター機能は、対照を基準にして評価することができる。対照は、エフェクター部分を有していないタンパク質複合体であってもよい。
対照は、単一タイプのエフェクター部分のみが付着した(つまり、1つのタイプのエフェクター部分のみが多価タンパク質スキャフォールドに付着している)タンパク質複合体であってもよい。この場合、この方法を使用して、「相乗的機能」または「相乗的生物学的機能」を有するエフェクター部分を特定することができ、「相乗的機能」または「相乗的生物学的機能」は、二重特異性多価タンパク質複合体を使用するまで個々の融合タンパク質成分では観察されないエフェクター機能もしくはエフェクター機能のレベル、またはタンパク質複合体の第1および第2エフェクター部分を個々に使用した場合に観察される活性と比較してより高いかもしくはより低い活性、つまり両エフェクター部分を複合体において一緒に使用した場合にのみ観察される活性を指す。
この方法は、タンパク質複合体のエフェクター部分が結合する生物系の分子を特定するステップをさらに含んでいてもよい。この方法は、好ましくは、エフェクター部分自体など、生物系の同じ分子に特異的に結合するエフェクター部分の組合せを選択されたタンパク質複合体として選択することを含んでいてもよい。
この方法は、エフェクター部分またはそれらのアナログの選択された組合せを含む治療用薬物候補または薬物を合成することをさらに含んでもよい。治療用薬物候補または薬物は、オリゴマーコアおよび治療用薬物アナログのエフェクター部分を含んでいてもよいが、結合部位および標的官能基は、本明細書でより詳細に記載される遺伝子融合などの共有結合連結で置き換えられている。治療用薬物または薬物候補は、本開示の方法で特定された治療用薬物アナログと同じオリゴマーコアを含んでいてもよい。代替的に、治療用薬物候補は、本開示の方法で特定された治療用薬物アナログとは異なるオリゴマーコアを含んでいてもよい。治療用薬物候補は、さらなる療法上の利益、例えば、さらなるエフェクター機能を付与するために選択または設計されたオリゴマーコアを有していてもよい。
また、本開示の方法に従って得ることが可能な治療用薬物候補が提供される。
治療用薬物候補、治療用薬物
さらに、1つまたは複数の第1のエフェクター部分および1つまたは複数の第2のエフェクター部分に付着した複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアを含む治療用薬物候補であって、前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分および前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、オリゴマーコアの同じ面に位置し、(i)前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分は2つまたはそれよりも多くの第1のエフェクター部分を含み、前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は2つまたはそれよりも多くの第2のエフェクター部分を含み;および/または(ii)前記オリゴマーコアは、抗体も抗体断片も含まない、治療用薬物候補が提供される。
同じ特徴を有する治療用薬物も提供される。
典型的には、オリゴマーコアは、本明細書でより詳細に記載されるオリゴマーコアである。典型的には、サブユニット単量体は、本明細書でより詳細に記載されている通りである。典型的には、第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分は、本明細書でより詳細に記載されている通りである。第1および第2のエフェクター部分は、本明細書に記載の付着手段のいずれかによることを含む、任意の適切な方法でオリゴマーコアのサブユニット単量体に付着させることができる。一部の実施形態では、第1および第2のエフェクター部分の付着は、本明細書に記載の第1および第2の結合部位ならびに第1および第2のポリペプチド標的を含む。しかしながら、他の実施形態では、第1および第2のエフェクター部分の付着は、本明細書に記載の第1および第2の結合部位ならびに第1および第2のポリペプチド標的を含んでおらず、その代わりに、本明細書に記載の遺伝子融合および/またはクリックケミストリー連結などの単純な共有結合付着を含んでいてもよい。
特定の実施形態
第1の好ましい態様では、以下のものが本明細書で提供される。
- 各々が、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも30%または少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む多価タンパク質スキャフォールドであって、各単量体は、第1の結合部位および第2の結合部位を含み、第1の結合部位は第2の結合部位に対して直交性であり、第1の結合部位および第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有し、各第1の結合部位および各第2の結合部位は、独立して、それらが付着する単量体に遺伝子的に融合されている、多価タンパク質スキャフォールド。好ましくは、第1および第2の結合部位の一方は、配列番号4、6、または8と少なくとも50%アミノ酸同一性を有し、他方は、配列番号12と少なくとも50%アミノ酸同一性を有する。この態様の好ましい多価タンパク質スキャフォールドは、配列番号21の単量体またはその断片(例えば、その残基14~348を含む)を含む。
- 第1の態様の多価タンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ、(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ、(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ、(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ、または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される、タンパク質複合体。
- 第1の態様のタンパク質複合体の複数の集団を含むライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、各集団は、第1および第2のエフェクター部分の異なる組合せを含む、スクリーニングプラットフォーム。
- 各々が、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば、3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む治療用薬物候補であって、各単量体は、第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に直接付着しており(例えば、遺伝子融合体として)、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、好ましくは、各単量体は、それに付着する第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に、ポリペプチドリンカーを介して直接付着している、治療用薬物候補。
第2の好ましい態様では、特に、以下のものが本明細書で提供される。
- 各々が、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む多価タンパク質スキャフォールドであって、各単量体は、第1の結合部位および第2の結合部位を含み、第1の結合部位は第2の結合部位に対して直交性であり、第1の結合部位および第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有し、各第1の結合部位および各第2の結合部位は、独立して、それらが付着する単量体に遺伝子的に融合されている、多価タンパク質スキャフォールド。好ましくは、第1および第2の結合部位の一方は、配列番号4、6、または8と少なくとも50%アミノ酸同一性を有し、他方は、配列番号12と少なくとも50%アミノ酸同一性を有する。この態様の好ましい多価タンパク質スキャフォールドは、配列番号20の単量体またはその断片(例えば、その残基14~380を含む)を含む。
- 第2の態様の多価タンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ、(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ、(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ、(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ、または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される、タンパク質複合体。
- 第2の態様のタンパク質複合体の複数の集団を含むライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、各集団は、第1および第2のエフェクター部分の異なる組合せを含む、スクリーニングプラットフォーム。
- 各々が、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば、3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む治療用薬物候補であって、各単量体は、第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に直接付着しており(例えば、遺伝子融合体として)、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、好ましくは、各単量体は、それに付着する第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に、ポリペプチドリンカーを介して直接付着している、治療用薬物候補。
第3の好ましい態様では、特に、以下のものが本明細書で提供される。
- 各々が、配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む多価タンパク質スキャフォールドであって、各単量体は、第1の結合部位および第2の結合部位を含み、第1の結合部位は第2の結合部位に対して直交性であり、第1の結合部位および第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有し、各第1の結合部位および各第2の結合部位は、独立して、それらが付着する単量体に遺伝子的に融合されている、多価タンパク質スキャフォールド。好ましくは、第1および第2の結合部位の一方は、配列番号4、6、または8と少なくとも50%アミノ酸同一性を有し、他方は、配列番号12と少なくとも50%アミノ酸同一性を有する。
- 第3の態様の多価タンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ、(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ、(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ、(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ、または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される、タンパク質複合体。
- 第3の態様のタンパク質複合体の複数の集団を含むライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、各集団は、第1および第2のエフェクター部分の異なる組合せを含む、スクリーニングプラットフォーム。
- 各々が、配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば、3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む治療用薬物候補であって、各単量体は、第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に直接付着しており(例えば、遺伝子融合体として)、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、好ましくは、各単量体は、それに付着する第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に、ポリペプチドリンカーを介して直接付着している、治療用薬物候補。
第4の好ましい態様では、特に、以下のものが本明細書で提供される。
- 各々が、配列番号19のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む多価タンパク質スキャフォールドであって、各単量体は、第1の結合部位および第2の結合部位を含み、第1の結合部位は第2の結合部位に対して直交性であり、第1の結合部位および第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有し、各第1の結合部位および各第2の結合部位は、独立して、それらが付着する単量体に遺伝子的に融合されている、多価タンパク質スキャフォールド。好ましくは、第1および第2の結合部位の一方は、配列番号4、6、または8と少なくとも50%アミノ酸同一性を有し、他方は、配列番号12と少なくとも50%アミノ酸同一性を有する。
- 第4の態様の多価タンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ、(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ、(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ、(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ、または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される、タンパク質複合体。
- 第4の態様のタンパク質複合体の複数の集団を含むライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、各集団は、第1および第2のエフェクター部分の異なる組合せを含む、スクリーニングプラットフォーム。
- 各々が、配列番号4のアミノ酸配列と、少なくとも50%アミノ酸同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%アミノ酸同一性)を有するアミノ酸配列を含む複数の(例えば、3~6つ、好ましくは3つの)単量体を含むオリゴマーコアを含む治療用薬物候補であって、各単量体は、第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に直接付着しており(例えば、遺伝子融合体として)、第1および第2のエフェクター部分は同じであってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは異なっていてもよく、好ましくは、各単量体は、それに付着する第1のエフェクター部分および第2のエフェクター部分に、ポリペプチドリンカーを介して直接付着している、治療用薬物候補。
第5の好ましい態様では、特に、以下のものが本明細書で提供される。
- N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含むポリペプチドであって、第1および第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられており、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、標的分子が、単一細胞上に発現されているか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる、ポリペプチド。
- ポリペプチドのオリゴマーであって、オリゴマーの各ポリペプチドは、N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含むポリペプチドを含むかまたはからなり、第1および第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられており、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、標的分子が、単一細胞上に発現されているか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる、ポリペプチドのオリゴマー。
- N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含むポリペプチドであって、第1および第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられており、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、標的分子が、単一細胞上に発現されているか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる、ポリペプチド。第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、各々が、同族ペプチドとイソペプチド連結を形成することができるキャッチャードメインである。こうした同族ペプチドはタグペプチドと呼ばれることが多く、例えば、当技術分野で公知であり、下記で考察されているように、SpyTagは、SpyCatcherドメインとイソペプチド結合を形成する。第1の結合ドメインの同族ペプチドは、第2の結合ドメインの同族ペプチドとは異なる。
- ポリペプチドのオリゴマーであって、オリゴマーの各ポリペプチドは、N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含むポリペプチドを含むかまたはからなり、第1および第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられており、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、標的分子が、単一細胞上に発現されているか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる、ポリペプチドのオリゴマー。第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、各々が、同族ペプチドとイソペプチド連結を形成することができるキャッチャードメインである。こうした同族ペプチドはタグペプチドと呼ばれることが多く、例えば、当技術分野で公知であり、下記で考察されているように、SpyTagは、SpyCatcherドメインとイソペプチド結合を形成する。第1の結合ドメインの同族ペプチドは、第2の結合ドメインの同族ペプチドとは異なる。
本開示の追加の態様
また、本明細書では、本明細書でより詳細に記載されている多価タンパク質スキャフォールドのオリゴマーコアの少なくとも1つの単量体をコードするポリヌクレオチドが提供される。また、本明細書では、第1の結合ドメイン、第2の結合ドメイン、および構造ドメインを含む、本明細書でより詳細に記載されているマルチドメインポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチドが提供される。
さらに、上記ポリヌクレオチドを含むベクター;上記ベクターを含む細胞;上記単量体、上記オリゴマーコア、および/または上記多価タンパク質スキャフォールドを産生するための方法であって、上記細胞を培地中で培養して上記タンパク質スキャフォールドを産生することを含む方法が提供される。
さらに、上記ポリヌクレオチドを含むベクター;上記ベクターを含む細胞;マルチドメインポリペプチド構築物を産生するための方法であって、上記細胞を培地中で培養して上記マルチドメインポリペプチドを産生することを含む方法が提供される。
少なくとも1つの単量体をコードする適切なポリヌクレオチド配列;適切な発現ベクター;および単量体、オリゴマーコア、および/または多価タンパク質スキャフォールドを発現させるための適切な細胞の選択は、当業者であれば日常的なことである。
療法有効性
本明細書で提供されるタンパク質複合体、治療用薬物アナログ、および治療用薬物候補は、治療に有用である。マルチドメインポリペプチド構築物は、典型的には治療に有用である。こうした提供される物質は、本明細書では「治療用タンパク質複合体」とも呼ばれる。
したがって、本発明は、薬剤に使用するための、本明細書に記載の治療用タンパク質複合体および構築物を提供する。本発明は、ヒト身体または動物身体の治療に使用するための、本明細書に記載の治療用タンパク質複合体を提供する。本発明は、ヒト身体または動物身体の治療に使用するための、本明細書に記載の治療用タンパク質構築物を提供する。
本発明は、そのような治療を必要とするヒトまたは動物を治療するための方法であって、治療を必要とするヒトまたは動物に、本明細書に記載のタンパク質複合体、マルチドメインポリペプチド構築物(単量体またはオリゴマー形態の)、治療用薬物アナログ、治療用薬物候補、または薬物を投与することを含む方法を提供する。
また、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に、本明細書に記載の1つまたは複数の治療用タンパク質複合体を含む医薬組成物が提供される。典型的には、組成物は、本発明の治療用タンパク質複合体を最大で85重量%含む。より典型的には、組成物は、本発明の治療用タンパク質複合体を最大で50重量%含む。好ましい医薬組成物は無菌であり、発熱物質を含まない。
また、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に、本明細書に記載の1つまたは複数のマルチドメインポリペプチド構築物を含む医薬組成物が提供される。典型的には、組成物は、本発明の治療用マルチドメインポリペプチド構築物を最大で85重量%含む。より典型的には、組成物は、本発明の治療用マルチドメインポリペプチド構築物を最大で50重量%含む。好ましい医薬組成物は無菌であり、発熱物質を含まない。
本発明の組成物は、本明細書に記載の方法におけるキットの使用を可能にするための使用説明書、または方法をどの対象に対して使用することができるかに関する詳細を含むキットとして提供することができる。
上記で説明したように、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体および構築物は、種々の障害の治療または予防に有用である。本提供の治療用タンパク質複合体を使用した治療の対象である障害としては、がん、自己免疫疾患(例えば、強直性脊椎炎(ankolysing spondylitis))、乾癬、加齢黄斑変性症などの眼疾患、多発性硬化症、心臓血管障害、ウイルス感染症および細菌感染症を含む感染症、クローン病、関節リウマチ、変形性関節症、アルツハイマー病、移植および同種移植片拒絶反応など、および造血幹細胞障害などを挙げることができる。より幅広く、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、抗体、特に二重特異性抗体を使用して治療されるありとあらゆる状態の治療にも有用性を見出す。
がん、例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、エイズ関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、肛門がん、星状細胞腫、脳がん、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、および悪性線維性組織球腫)、乳がん、気管支腫瘍、髄芽腫および他のCNS胚芽腫、子宮頸がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイング肉腫、性腺外胚細胞腫瘍、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管がん、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(gist)、胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛膜疾患、ヘアリー細胞白血病、肝細胞がん、組織球症、ランゲルハンス細胞、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん(非小細胞、小細胞、胸膜肺芽腫、および気管気管支腫瘍)、リンパ腫、骨悪性線維性組織球腫および骨肉腫、メルケル細胞癌、中皮腫、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、骨髄性白血病、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、中咽頭がん、骨肉腫および未分化多形肉腫、膵臓がん、膵神経内分泌腫瘍(島細胞腫瘍)、乳頭腫症、傍神経節腫、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺がん、直腸がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、t細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、ならびに気管気管支腫瘍などは、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体で治療するのに特に好適である。本明細書で提供される治療用タンパク質複合体で治療し易い自己免疫障害としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(狼瘡)、炎症性腸疾患(IBD)、多発性硬化症(MS)、1型糖尿病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、乾癬、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、および血管炎が挙げられる。
本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、独立型の治療剤として使用することができる。代替的に、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、化学療法剤など、他の活性作用剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、またはセツキシマブ)、免疫療法(例えば、ペムブロリズマブまたはニボルマブ)、臓器横断的(tumour-agnostic)療法(例えば、ラロトレクチニブ)、または化学療法(例えば、5-フルオロウラシル、シスプラチン、またはドセタキセル)と組み合わせて使用することができる。
がんの治療に使用する場合、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、がんの症状の緩和、改善、または悪化予防に使用することができる。典型的には、がんの治療は、がんの進行を低減させること、例えば、無憎悪生存期間を増加させることを含んでいてもよい。がんの治療は、がんに関連付けられる腫瘍の増殖を予防または阻害することを含んでいてもよい。がんの治療は、がんの転移を予防することを含んでいてもよい。好ましくは、がんの治療は、がんに関連付けられる腫瘍のサイズを低減することを含んでいてもよい。したがって、治療は、がんの腫瘍退縮を引き起こすことができる。がんの治療は、患者に存在する腫瘍または病変の数を低減することを含んでいてもよい。治療ががんに関連付けられる腫瘍のサイズを低減させる場合、腫瘍のサイズは、典型的には、ベースラインから少なくとも10%低減される。ベースラインは、化合物による治療が最初に開始された日の腫瘍のサイズである。腫瘍のサイズは、典型的には、RECIST基準のバージョン1.1に準じて測定される(例えば、Eisenhauer et al, European Journal of Cancer 45 (2009) 228-247に記載の通りに)。
化合物による治療に対する応答は、RECIST基準のバージョン1.1に準じて、完全奏功、部分奏功、または安定疾患であり得る。好ましくは、応答は、部分奏功または完全奏功である。治療は、少なくとも60日間、少なくとも120日間、または少なくとも180日間の無増悪生存期間を達成することができる。
腫瘍サイズの低減は、ベースラインと比べて、20%よりも大きな、30%よりも大きな、または50%よりも大きな低減であってもよい。腫瘍サイズの低減は、治療の30日後または治療の60日後に観察される場合がある。
本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、感染症、例えばグラム陽性菌および/またはグラム陰性菌により引き起こされる感染症;ならびにウイルス感染症の治療にも有用であり得る。本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、細菌、真菌、およびウイルスなどの病原体と相互作用するように設計されていてもよい。
ここで説明されているように、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体は、種々の障害の治療または予防に有用である。したがって、本発明は、薬剤に使用するための、本明細書に記載の治療用タンパク質複合体を提供する。また、本発明は、薬剤の製造における、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体の使用を提供する。また、本発明は、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体を含む組成物および生成物を提供する。そのような組成物および生成物は、障害の治療または予防にも有用である。したがって、本発明は、薬剤に使用するための、本明細書で規定の組成物または生成物を提供する。また、本発明は、薬剤の製造における本発明の組成物または生成物の使用を提供する。また、そのような治療を必要とする対象を治療する方法であって、本明細書で提供される治療用タンパク質複合体を対象に投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態では、対象は、本明細書で開示の障害の1つに罹患しているかまたは罹患するリスクがある。
一態様では、対象は、哺乳動物、特にヒトである。しかしながら、対象は非ヒトであってもよい。好ましい非ヒト動物としては、これらに限定されないが、マーモセットまたはサルなどの霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、またはブタなどの商業的飼育動物、およびイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、フェレット、アレチネズミ、またはハムスターなどのペットが挙げられる。対象は、細菌に感染することが可能なあらゆる動物であってもよい。
対象は、典型的にはヒト患者である。患者は、男性であってもよくまたは女性であってもよい。患者の年齢は、典型的には、少なくとも18歳、例えば30歳~70歳、または40歳~60歳である。また、対象は、例えば生後6か月~11歳、または12歳~17歳までの小児または青少年であってもよい。
本発明の治療用タンパク質複合体、ポリペプチド構築物、または組成物は、障害の1つまたは複数の症状の発症または再発を防止するために対象に投与することができる。これは予防である。この実施形態では、対象は無症候性であってもよい。予防有効量の作用剤または製剤がそのような対象に投与される。予防有効量は、障害の1つまたは複数の症状の発症を防止する量である。
本発明の治療用タンパク質複合体、ポリペプチド構築物、または組成物は、障害の1つまたは複数の症状を治療するために対象に投与することができる。この実施形態では、対象は、典型的には症候性である。治療有効量の作用剤または製剤がそのような対象に投与される。治療有効量は、障害の1つまたは複数の症状の改善に有効な量である。
本発明の治療用タンパク質複合体、ポリペプチド構築物、または組成物は、様々な剤形で投与することができる。したがって、本発明の治療用タンパク質複合体、ポリペプチド構築物、または組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性粉末剤、または顆粒剤として経口投与することができる。本発明の治療用タンパク質複合体または組成物は、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経皮、または輸注技法であるか否かに関わらず、非経口的に投与することもできる。治療用タンパク質複合体、ポリペプチド構築物、または組成物は、座薬として投与することもできる。好ましくは、化合物、組成物、または組合せは、吸入(エアロゾル化)または静脈内投与により、最も好ましくは吸入(エアロゾル化)投与により投与することができる。
本発明の治療用タンパク質複合体または組成物は、典型的には、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に投与するために製剤化される。例えば、固体経口剤形は、活性化合物と共に、以下のものを含んでいてもよい:例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチ、またはジャガイモデンプンなどの希釈剤;滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、もしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤;例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリドン;解凝集剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、またはデンプングリコール酸ナトリウム;飽和剤;染料;甘味料;レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸などの湿潤剤;ならびに、医薬製剤に使用される一般に非毒性で薬理学的に不活性な物質。そのような医薬製剤は、公知の方法、例えば、混合、造粒、錠剤化、糖衣、またはフィルムコーティング法により製造することができる。
本発明の治療用タンパク質複合体、ポリペプチド構築物、または組成物は、溶液または懸濁物として吸入(エアロゾル化)投与するために製剤化されていてもよい。本発明の治療用タンパク質複合体または組成物は、定量吸入器(MDI)または電子ネブライザーもしくはジェットネブライザーなどのネブライザーにより投与することができる。代替的に、本発明の治療用タンパク質複合体または組成物は、粉末薬物として吸入投与するために製剤化することができ、そのような製剤は、乾燥粉末吸入器(DPI)から投与することができる。吸入投与用に製剤化する場合、本発明の治療用タンパク質複合体または組成物は、1~100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~20μm、例えば3~10μm、例えば4~6μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子の形態で送達することができる。本発明の治療用タンパク質複合体または組成物を噴霧エアロゾルとして送達する場合、粒子径への言及によりエアロゾルの液滴のMMADが規定される。MMADは、レーザー回折などの任意の好適な技法により測定することができる。
経口投与用の液体分散物は、シロップ、エマルジョン、および懸濁物であってもよい。シロップは、担体として、例えば、サッカロースまたはサッカロース+グリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを含んでいてもよい。
懸濁物およびエマルジョンは、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含んでもよい。筋肉内注射または吸入用の懸濁物または溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、および必要に応じて好適な量の塩酸リドカインを含んでいてもよい。
吸入、注射、または輸注用の溶液は、担体として例えば滅菌水を含んでいてもよく、または好ましくは滅菌水性等張生理食塩溶液の形態であってもよい。無針注射による、例えば経皮的な送達に好適な医薬組成物も使用することができる。
本発明の治療用タンパク質複合体または組成物の治療有効量または予防有効量が対象に投与される。用量は、種々のパラメーターに従って、特に、使用される化合物;治療を受ける対象の年齢、体重、および状態;投与経路;ならびに必要とされるレジメンに応じて決定することができる。この場合も、医師は、任意の特定の対象に必要とされる投与経路および投薬量を決定することができるだろう。典型的な1日用量は、特定の阻害剤の活性、治療を受ける対象の年齢、体重、および状態、疾患のタイプおよび重症度、ならびに投与の頻度および経路に応じて、体重1kg当たり約0.01~100mg、好ましくは約0.1mg/kg~50mg/kg、例えば約1~10mg/kgである。好ましくは、1日投薬量レベルは5mg~2gである。
本発明の治療用タンパク質複合体または組成物が、別の活性作用剤と組み合わせて対象に投与される場合、他の活性作用剤の用量は、上記に記載のように決定することができる。用量は、種々のパラメーターに応じて、特に、使用される作用剤;治療を受ける対象の年齢、体重、および状態;投与経路;ならびに必要とされるレジメンに従って決定することができる。この場合も、医師は、任意の特定の対象に必要とされる投与経路および投薬量を決定することができるだろう。典型的な1日用量は、特定の作用剤の活性、治療を受ける対象の年齢、体重、および状態、疾患のタイプおよび重症度、ならびに投与の頻度および経路に応じて、体重1kg当たり約0.01~100mg、好ましくは約0.1mg/kg~50mg/kg、例えば約1~10mg/kgである。好ましくは、1日投薬量レベルは5mg~2gである。
本明細書で提供されるタンパク質複合体、治療用薬物アナログ、および治療用薬物候補は、診断方法にも有用である。本明細書で提供されるポリペプチド構築物および薬物は、診断方法にも有用である。したがって、本明細書では、対象の病理を診断するための方法で使用するための、本明細書に記載のタンパク質複合体、治療用薬物アナログもしくは治療用薬物候補、またはポリペプチド構築物もしくは薬物が提供される。対象は、本明細書でより詳細に記載の対象であってもよい。病理は、本明細書に記載の病理であってもよい。この方法は、タンパク質複合体、治療用薬物アナログまたは治療用薬物候補を、対象から得られる試料(例えば、血液、血清、尿、または脳脊髄液などの生物学的流体;ならびにウイルス学的スワブ試料、生検組織、および剖検組織)と接触させること、およびタンパク質複合体、治療用薬物アナログまたは治療用薬物候補が存在する場合に試料中で生じる病理の特徴的な変化を、それらが存在しない場合と比較して検出することを含んでいてもよい。
本発明は、少なくとも以下の番号付き実施形態を含む。
1.
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、および
- 少なくとも2つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも2つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置する、多価タンパク質スキャフォールド。
2.
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、
前記第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含む、多価タンパク質スキャフォールド。
3.
- 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
- 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、スキャフォールドの同じ面に位置し、
前記オリゴマーコアは、抗体のFc領域を含まない、多価タンパク質スキャフォールド。
4. オリゴマーコアは、少なくとも3つのサブユニット単量体を含み、
より好ましくは、オリゴマーコアは、3~6つのサブユニット単量体を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
5. 前記サブユニット単量体は、非共有結合で一緒に付着している、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
6. 前記サブユニット単量体は、共有結合で一緒に付着しており、
好ましくは、前記サブユニット単量体は、遺伝子的に一緒に融合されている、実施形態1~4に記載のタンパク質スキャフォールド。
7. 前記オリゴマーコアは、ホモオリゴマーコアである、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
8. オリゴマーコアの各単量体は、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位を含み、少なくとも1つの第1の結合部位は、少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
9. 各単量体は、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記単量体の第2の末端に付着した第2の結合部位を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
10. 各単量体の第1の末端および第2の末端は、前記単量体の同じ面に位置する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
11. 各単量体は、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記第1の結合部位に付着した第2の結合部位を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
12. 前記オリゴマーコアは、ヘテロオリゴマーコアである、実施形態1~6のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
13. 前記コアは、第1の結合部位を含む少なくとも1つの第1のサブユニット単量体、および第2の結合部位を含む少なくとも1つの第2のサブユニット単量体を含み、第1の結合部位は第2の結合部位に対して直交性である、実施形態12に記載のタンパク質スキャフォールド。
14.
i)各サブユニット単量体は、300個未満のアミノ酸を含み、
好ましくは、各サブユニット単量体は、200個未満のアミノ酸を含み、
より好ましくは、各サブユニット単量体は、150個未満のアミノ酸を含み、および/または
ii)オリゴマーコアは、約150kDa未満、好ましくは約100kDa未満、より好ましくは約70kDa未満の分子量を有する、
先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
15. オリゴマーコアは、抗体のFc領域を含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
16. オリゴマーコアは、多量体タンパク質の可溶性多量体化構造要素を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
17. 多量体タンパク質は、コラーゲンNC1ドメイン、CutA1、C1qドメイン、TNF、p53、フィブリノーゲン、C4、枯草菌AbrB、またはそれらホモログもしくはパラログを含む、実施形態16に記載のタンパク質スキャフォールド。
18. 多量体化構造要素は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号19と、少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、実施形態16または実施形態17に記載のタンパク質スキャフォールド。
19. 前記第1の結合部位および/または前記第2の結合部位は、タンパク質ドメインを含み、
好ましくは、前記第1の結合部位は第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は第2のタンパク質ドメインを含み、第1の結合部位および/または第2の結合部位は、それらが付着するサブユニット単量体と遺伝子的に融合されており、単一のポリペプチド鎖を形成する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
20. 前記第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含み、
好ましくは、前記第1のタンパク質ドメインは前記第1のポリペプチド標的とイソペプチド結合を形成することが可能であり、前記第2のタンパク質ドメインは前記第2の結合標的とイソペプチド結合を形成することが可能である、先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールド。
21. 前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は各々、異なるスプリットリガンド結合タンパク質ドメインを含み、
好ましくは、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の一方は、スプリットストレプトコッカス・ピオゲネスフィブロネクチン結合タンパク質ドメインを含み、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の他方は、スプリットストレプトコッカス・ニューモニエアドヘシンドメインを含む、実施形態20に記載のタンパク質スキャフォールド。
22. 前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、各々独立して、配列番号4~9、11~13、または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性を有する、実施形態21に記載のタンパク質スキャフォールド。
23. 先行する実施形態のいずれか1つに記載のタンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第2のポリペプチド標的に結合している、タンパク質複合体。
24. 第1の結合部位/ポリペプチド標的対および第2の結合部位/ポリペプチド標的対は、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ;(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ;(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ;(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せから選択される、実施形態23に記載のタンパク質複合体。
25. ライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、前記ライブラリーは、実施形態23または実施形態24に記載のタンパク質複合体の複数の集団を含み、タンパク質複合体の集団は各々、第1のエフェクター部分、第2のエフェクター部分、および/またはオリゴマーコアの異なる組合せを含む、スクリーニングプラットフォーム。
26. 治療用薬物アナログを特定するための方法であって、
実施形態23または実施形態24に記載のタンパク質複合体を用意すること、
タンパク質複合体を生物系と接触させること、および
タンパク質複合体が、生物系の特性機能に所望の変化を誘導するか否かを測定すること
を含み、
任意選択で、生物系の特性に所望の変化を誘導するタンパク質複合体を選択することをさらに含む、方法。
27.
- タンパク質複合体の第1および第2のエフェクター部分に付着した特定された治療用薬物アナログの前記タンパク質複合体のスキャフォールドのオリゴマーコアを含む治療用薬物候補を合成すること
をさらに含む、実施形態26に記載の方法。
28. 実施形態26または実施形態27の方法により得ることが可能な治療用薬物候補。
29. 1つまたは複数の第1のエフェクター部分および1つまたは複数の第2のエフェクター部分に付着した複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアを含む治療用薬物候補であって、前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分および前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、オリゴマーコアの同じ面に位置し、
(i)前記1つもしくは複数の第1エフェクター部分は2つもしくはそれよりも多くの第1エフェクター部分を含み、前記1つもしくは複数の第2エフェクター部分は2つもしくはそれよりも多くの第2エフェクター部分を含み、および/または(ii)前記オリゴマーコアは、抗体も抗体断片も含まない、治療用薬物候補。
30. オリゴマーコアは、実施形態1~22のいずれか1つに規定されている通りである、実施形態29に記載の治療用薬物候補。
31. オリゴマーコアは、複数のサブユニットモノマーを含み、(i)各サブユニット単量体は、コラーゲンNC1ドメイン、CutA1、C1qドメイン、TNF、p53、フィブリノーゲン、C4、枯草菌AbrB、またはそれらのホモログもしくはパラログを含む;および/あるいは(ii)各サブユニット単量体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号19と少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む多量体化構造要素を含む、実施形態29または実施形態30に記載の治療用薬物候補。
以下の実施例は本発明の例示である。しかしながら、以下の実施例は、本発明をいかなる点でも限定しない。特に、タンパク質結合のアッセイは数多く存在し、そのため任意の特定のアッセイにおける陰性結果は決定的なものではない。本発明は、特許請求の範囲により規定される。
まとめると、実施例1には、X型コラーゲンNC1構造ドメインならびにSnoopCatcherおよびSpyCatcherドメインをN末端およびC末端に含む構築物を生成し、次いでそれらを、SpyTag付きおよびSnoopTag付き治療用ポリペプチドにイソペプチド結合を介して共有結合で連結させ、次いでイソペプチド結合構築物をオリゴマー化してホモ三量体を形成することが詳述されている。実施例2は、後続の実施例で使用される材料および方法を提供する。実施例3は、本発明による構築物の設計を概説し、C3幾何学形状を含む好適な幾何学形状の複数の成分を特定し、SpC-PhCutA1-SnC(配列番号22)の精製を示す。実施例4は、本発明の好ましい構築物の設計基準を満たすように他のアセンブリ幾何学形状を改変することができる方法を示す。実施例5では、PhCutA1由来成分の並外れた安定性、ならびにその構造により予測される多量体化の確固たる証拠が強調される。実施例6では、SpyTag付き/SnoopTag付き成分を精製し、得られたプラットフォームをタグ付きタンパク質で修飾する。実施例7には、モジュール式アセンブリ後、タンパク質を、大規模化可能な様式でクリーンアップすることできることが示されており、ここでは、溶液中のサイズが大きいことを利用して100kDa膜に対して透析される。実施例8は、モジュール式アセンブリが、PhCutA1由来のプラットフォームからの移行としてのHsCutA1由来プラットフォームの開発を含む、迅速プロトタイプ化を可能にすることを示す。実施例9では、Alphafoldを使用してシス配向性を予測し、非シスIMXおよびXVIII型コラーゲンNC1アセンブリと対比させる。実施例10は、アセンブリされたプラットフォームを、リガンドの有効性および下流効果を解明するためのin vitroスクリーニングのために使用することできることを示す細胞データを提供する。また、実施例10は、エフェクター部分を組み込んだPhCutA1のマルチドメインポリペプチドを容易に生成することができることを示す。
[実施例1]
リンカーによりN末端がSpyCatcherおよびSnoopCatcherの一方に付着し、C末端がSpyCatcherおよびSnoopCatcherの他方に付着したコラーゲンNC1の単量体をコードするポリヌクレオチド配列を、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4thed., Cold Spring Harbor Press, Plainsview, New York (2012)に記載の方法に従って合成する。このポリヌクレオチド配列を細胞発現系で発現させてポリペプチド融合体を産生させる。このポリペプチド融合体は、SpyCatcher結合部位およびSnoopCatcher結合部位がオリゴマー化三量体構築物の同じ面に存在するようにオリゴマー化することができる。
構築物の試料を、各々が対応するSpyTagおよびSnoopTagに結合した異なる第1および第2の治療用ポリペプチドのパネルと接触させると、SpyTag付きポリペプチドが各SpyCatcher部分と共有結合性イソペプチド結合を形成し、SnoopTag付きポリペプチドが各SpyCatcher部分と共有結合性イソペプチド結合を形成し、それにより、構築物の各単量体が2つの異なる治療用ポリペプチドの各々に結合しており、したがって三量体構築物は各ポリペプチドの3つのコピーを含む、X型コラーゲンNC1構築物のライブラリーが生成される。各試料は、第1および第2の治療用ポリペプチドの異なる組合せを含む。
ライブラリー中の各試料を、がん細胞の試料にて細胞死を引き起こすなど、生物系に生物学的反応を誘発する能力について評価する。
がん細胞死を引き起こすのに最も効果的なライブラリーの試料に着目する。そのような試料中の治療用ポリペプチドの組合せに着目する。
N末端が治療用ポリペプチドの一方に連結され、C末端が治療用ペプチドの他方に連結されたコラーゲンNC1の単量体などのオリゴマータンパク質の単量体をコードするポリヌクレオチドを、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4thed., Cold Spring Harbor Press, Plainsview, New York (2012)に記載のように合成する。このポリヌクレオチドを発現させて、オリゴマータンパク質単量体ならびに第1および第2の治療用ポリペプチドの融合体からなるポリペプチド単量体を産生させる。単量体のオリゴマー化を可能にする。単量体を、生物系に対して試験する。初期構築物で観察される生物学的反応、例えばがん細胞の試料における細胞死の因果関係を観察する。
この実施例は、リンカーによりN末端がSpyCatcherおよびSnoopCatcherの一方に付着し、C末端がSpyCatcherおよびSnoopCatcherの他方に付着したCutA1の単量体をコードするポリヌクレオチド配列を用いて実施することができる。
[実施例2]
方法
スキャフォールドタンパク質成分の選択:設計基準を満たすタンパク質構造をProtein Data Bank(PDB)から選択した。適切な検索フィルター(http://www.rcsb.org/pdb/で提供されているものなど)を使用することにより、幾何学的形状ベースのプレスクリーニングを可能にし、その後、タンパク質構造を視覚化することにより、および関連文献に記載の生化学的特性を参照することにより、候補構造をさらに調査した。
アセンブリされるタンパク質構造の予測:タンパク質配列の多量体3D構造を、Mirdita et al., 2021, bioRxiv, DOI: 10.1101/2021.08.15.456425v3により提供されたColabノートブックに実装されたAlphaFold v2.0で、AlphaFold2-multimer-v2 model_typeパラメーターを使用して予測した。IMX含有SpC3-IMX-DgC配列番号35を除いてすべてのタンパク質について、初期パラメーターを用いた。IMX含有SpC3-IMX-DgC配列番号35の場合、計算資源を節約するため、template_modeをpdb70に設定した。SpC3-IMX-DgC以外のすべてのタンパク質は三量体としてサブミットし、SpC3-IMX-DgCは七量体としてサブミットした。末端リンカーおよびタグ配列は、予測前に除去した。最上位モデルを可視化した。
分子クローニング:組換えタンパク質をコードするプラスミドは、Twist BiosciencesまたはProteoGenixが提供した。DNA断片およびオリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(IDT)が合成した。L1-PhCutA1-L2、DgT-X3、およびSpC-HsCutA1-DgCの構築物を、標準的なクローニング手順によりアセンブリした。合成したDNA断片をプラスミド骨格に導入するために、点突然変異を導入するために、または組換え配列に他の調整をなすために、標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してDNAを増幅し、続いて制限クローニングなどの標準的クローニング方法を使用した。アセンブリ構築物を大腸菌NEB5-アルファ細胞に形質転換した。推定陽性クローンを一晩増殖させ、ミニプレップにより細菌ペレットからDNAを単離した。試料を、サンガー配列決定のためにSource Bioscienceへと送付して配列を検証し、Benchlingの分子生物学パッケージ(www.benchling.com)を使用してアラインメントを実施した。
タンパク質精製:SnT-L1(16.1kDa)、L2-SpT(9.7kDa)、DgT-X3(26.9kDa)、SpC-PhCutA1-SnC(39.0kDa)、SpC3-MIF2m-DgC(39.6kDa)、およびSpC3-HsCutA1-DgC(40.5kDa)のタンパク質を得るために、両タンパク質をコードするDNA(ProteoGenix、Twist Bioscience、または標準的クローニング手順により合成)をBL21(DE3)細胞に形質転換した。コロニーを使用して、37℃にて160~220rpmで振盪しながら50μg/mLカナマイシンを有するLB培養物を接種した。一晩培養物を、50μg/mLカナマイシンで補完されたLBまたは2×YT培地で1:100に希釈した。培養物を160~220rpmで振盪しながら37℃で増殖させてから、OD0.6~0.8(LB)または1.6~2.0(2×YT)時に0.2~0.4μMのIPTGでタンパク質発現を誘導した。プラットフォームタンパク質(SpC-PhCutA1-SnC、SpC3-MIF2m-DgC、SpC3-HsCutA1-DgC)の場合、試料を160~200rpmで振盪しながら37℃でさらに4時間インキュベートした。タグ付きタンパク質(SnT-L1、L2-SpT、DgT-X3)の場合、試料を160~200rpmで振盪しながら18℃でさらに16時間インキュベートした。5000×gで15分間4℃にて遠心分離することにより細胞を収集し、ペレットを-20℃で保管した。タンパク質精製のため、細胞ペレットを、1mM PMSF、cOmplete無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル、およびベンゾナーゼ(5U/mL)で補完されたNi-NTA平衡化緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl、10mMイミダゾール)に再懸濁した。試料を、20mmプローブおよび20%の振幅を使用した超音波プロセッサを用いて、オン2秒/オフ4秒のパルスで9~12分間超音波処理し、16,000×gで30分間遠心分離した。上清を、Ni-NTAクロマトグラフィー用に保持した。
事前に平衡化したHisPur Ni-NTA重力流カラムを使用して、細胞溶解物からタンパク質を精製した。タンパク質溶解物を樹脂にローディングした。樹脂を、50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl、10mMイミダゾールで洗浄し、続いて280nmでのフロースルー画分の吸光度がベースラインに近づくまで、50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl、30mMイミダゾールで洗浄した。280nmでの溶出画分の吸光度がベースラインに近づくまで、樹脂床容積の2倍の溶出緩衝液(50mM Tris、pH7.8;300mM NaCl、200mMイミダゾール)でHisタグ付きタンパク質を樹脂から溶出させた。溶出液を、SDS-PAGEにかけ、続いてクーマシー染色することにより分析した。Ni-NTA精製後、3K MWCOのSnakeSkin(商標)透析チューブを使用して、高濃度イミダゾール中の試料をPBSに対して透析した。チューブの適切な長さを、総溶出容積に基づいて決定し、Milli-Q水で水和させた。試料をSnakeSkin(商標)透析チューブに移し、5LのPBSに入れ、磁石スターラーに一晩4℃で載せておいた。16時間後、緩衝液をさらに2回交換し、2時間インキュベーションした。Implen NanoPhotometer N60を使用して280nmの吸光度を測定し、ProtParamにより予測される還元吸光係数を用いて推定タンパク質濃度を算出した。L3-DgTは、Absolute Antibodyが産生させた。
サイズ排除クロマトグラフィー:Ni-NTA精製後、任意選択で、図に示されているように、サイズ排除クロマトグラフィーを使用してタンパク質をさらに精製した。これは、HiLoad Superdex 75pg(SnT-L1およびL2-SpT)カラムまたはHiLoad Superdex 200pg(SpC-PhCutA1-SnCおよびL1-PhCutA1-L2)カラムで、AKTA Pure25(Cytiva)を使用して実施した。カラムを、まず1カラム容積のPBSで平衡化した。ローディング前に、タンパク質試料を約1mLに濃縮し、2mLの注入ループを使用してカラムに注入した。次いで、試料を1mL分-1の流速を使用して分離し、2mL画分サイズを収集した。SDS-PAGE分析用に、主要溶出ピークに対応する20μlの試料を各画分から取り出した。目的のタンパク質のピークに対応する画分をプールし、下流応用に使用したか、または-20℃で保管した。
HsCutA1アセンブリを、Superose6 Increase 5/150カラムを使用して精製した。カラムを、まず1カラム容積のPBSで平衡化した。ローディング前に、タンパク質試料を約100μLに調製し、Hamilton700マイクロリットルシリンジでカラムに注入した。次いで、試料を0.3mL分-1の流速を使用して分離し、0.1mL画分サイズを収集した。SDS-PAGE分析用に、主要溶出ピークに対応する10μLの試料を各画分から取り出した。目的のタンパク質のピークに対応する画分をプールし、下流応用に使用したか、または-20℃で保管した。
BCAアッセイによるタンパク質定量化:コンジュゲーション前に、製造業者の使用説明書に従ってBCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher)を使用して試料を定量化した。BSA標準物質を1×PBSで希釈した。精製タンパク質を1×PBSで1/5、1/10、および1/20に希釈して、濃度がアッセイの線形範囲内であることを保証した。BCA試薬と共にインキュベーションした後、BMG FluoSTAR Omegaプレートリーダーで562nmの吸光度を測定した。標準曲線に基づいて、濃度をmg/mL単位で補間した。
キャッチャーベースタンパク質コンジュゲーション:関連リガンドとのプラットフォームコンジュゲーションは、関連する図に詳述されている特定のアッセイに従って、1:1:1~1:2:2のプラットフォーム:リガンド:リガンド比で実施した。コンジュゲーション反応を、関連アッセイに従って、25℃で16時間、24時間、または64時間進行させ、試料をSDS-PAGE(8%、16%)にかけ、続いてクーマシー染色することにより分析した。
アセンブリ後の透析:過剰な基質を除去するための、コンジュゲートされたアセンブリH6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpTの確認透析を、100kDa MWCOセルロース膜を有するHTDiaracy12ウェルブロックを使用して室温で実施した。透析前に、膜を滅菌Milli-Qで60分間水和させ、20%エタノールで20分間置換し、使用前に滅菌Milli-Q水で2回洗浄した。試料および透析液は両方とも1×PMSFを含んでいた。アセンブリプラットフォームおよび透析液の試料を、透析中2時間、4時間、8時間、および16時間の時点で取り出し、SDS-PAGE(14%)にかけ、続いてクーマシー染色することにより分析した。
細胞アッセイの入力としてのコンジュゲートされたアセンブリの予備透析を上記と同様に行ったが、以下の変更を加えた:PMSFを添加せず、透析を室温で一晩実施した。
HsCutA1架橋:H6-SpC3-HsCutA1-DgCを架橋するために、10μMのタンパク質を、PBS中0.1%グルタルアルデヒドと共に37℃で20分間インキュベートした。反応中に表記の間隔で試料を取り出し、100mM Tris pH8.8を添加して反応を停止させた。試料を、SDS-PAGE(12%)にかけ、続いてクーマシー染色することにより分析した。
細胞培養:NCI-N87(CRL-5822)細胞およびA-431(CRL-1555)細胞を、ATCCから入手し、それぞれ10%FCSおよび5%ペニシリン/ストレプトマイシンで補完されたRPMIおよびDMEM中で通常の通りに培養した。
細胞生存率アッセイ:2000個のNCI-N87細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、10%FCSで補完されたDMEMで24時間増殖させてから、0.2%FCSを含むDMEM培地中で24時間飢餓状態にした。次いで細胞を、2つのリガンド(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpT)または1つのリガンドのみ(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1、H6-SpC-PhCutA1-SnC:L2-SpT)を有する種々の濃度(0.01~100nM)のタンパク質アセンブリで処理するかまたは偽処理した。スキャフォールドのみ(H6-SpC-PhCutA1-SnC)、リガンドのみ(SnT-L1、L2-SpT、SnT-L1+L2-SpT)、および両リガンドに対するモノクローナル対照抗体を対照として使用した。すべての抗体を飢餓培地で希釈した。処理開始の1時間後、アッセイ関連増殖因子を、最終濃度が30ng/mLになるように添加し、最終FCS濃度を2%とした。次いで細胞を7日間増殖し、MTTアッセイを使用して生存画分を測定した。PBS中5mg/mLの3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)20μLを、200μL培地を含む各ウェルに添加した。3時間のインキュベーション後に、培地を吸引し、100%DMSO中でホルマザン溶解し、570nmの吸光度を読み取った。生存画分を偽処理対照に対して正規化した。
ウェスタンブロッティング:安定性アッセイ:H6-SpC-PhCutA1-SnCおよびH6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpT(サイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製した)を、PBSおよび10%FCSを含む完全培地で4日間4℃または37℃にてインキュベートした。試料を、4~20%Tris-グリシンSDS-Pageゲルで泳動させ、iBlot2システム(Thermo Fisher)を使用してニトロセルロース膜に転写した。膜を抗ポリヒスチジンに対する抗体(Sigma-Aldrich、カタログ番号A7058、1:2000)でプローブし、ECLを使用してシグナルを検出した。
Akt/ERKシグナル伝達:1.5×10個のNCI-N87細胞をT25フラスコに播種し、10%FCSおよび5%ペニシリン/ストレプトマイシン培地で補完されたDMEM中で24時間増殖させてから、0.2%FCSを含む培地中で24時間飢餓状態にした。次いで細胞を、両リガンド(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpT)または1つのリガンド(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1、H6-SpC-PhCutA1-SnC:L2-SpT)を含む25nMのタンパク質アセンブリで処理したかまたは偽処理した。スキャフォールドのみ(H6-SpC-PhCutA1-SnC)、リガンドのみ(SnT-L1、L2-SpT、SnT-L1+L2-SpT)、およびこの2つの標的タンパク質に対する市販のモノクローナル抗体を対照として使用した。処理開始の1時間後、アッセイ関連増殖因子を最終濃度50ng/mLになるように添加することにより細胞を刺激し、処理全体にわたって0.2%FCSと共に1時間インキュベートした。ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤で補完されたRIPA緩衝液を使用して全細胞抽出物を調製した。1レーン当たり25μgのタンパク質を、4~12%Bis-Trisゲルで分離し、製造業者の使用説明書に従ってiBlot2システムを使用してニトロセルロース膜に転写した。膜を、p-Akt(Cell Signalling、カタログ番号4060、1:2000)、Akt(Cell Signalling、カタログ番号2920、1:2000)、p-ERK 1/2(Cell Signalling、カタログ番号9101、1:1000)、ERK1/2(Cell Signalling、カタログ番号4695S、1:1000)に対する抗体でプローブした。ECLを使用してシグナルを検出した。
細胞殺傷アッセイ:L1およびL3を標的とするタンパク質アセンブリを調査するため、NCI-N87細胞(30,000細胞/ウェル)を96ウェルプレートに播種し、完全培地(DMEM、10%FCSおよび5%ペニシリン/ストレプトマイシンで補充)で24時間増殖させ、続いて0.2%FCSおよび5%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地中で24時間飢餓状態にした。次いで細胞を、種々の濃度(0.01~100nM)のアセンブリタンパク質H6-SpC3-HsCutA1-DgC:L1-SpT:L3-DgT、H6-SpC3-HsCutA1-DgC:L1-SpT、およびH6-SpC3-HsCutA1-DgC:L3-DgT、スキャフォールドのみ(H6-SpC3-HsCutA1-DgC)、およびリガンドのみ(L1-SpT、L3-DgT)で処理し、40時間インキュベートした。生存画分をMTTアッセイにより測定し、偽処理した対照細胞に対して正規化した。
[実施例3]
組換えタンパク質成分を好適に選択することにより、シス配向性幾何学的形状の結合を特徴とするタンパク質複合体を簡便に調製することが可能になる。
本発明者らは、各単量体が、互いにまたは同じ複合体の他の単量体の末端に近接するC末端およびN末端を有することを特徴とする多量体タンパク質成分を使用して、結合部位を単一結合表面に対して「シス配向性」に突出させることができることを認識した。公的に入手可能なタンパク質構造をキーワードおよび/または幾何学的パラメーターでフィルタリングして、単量体末端の結合部位またはそのようなタンパク質複合体に対するリガンドの組換え融合により「シス配向性」の多量体タンパク質複合体に到達するために好適な幾何学的形状を有するタンパク質構造を特定した(図11)。
本発明者らは、以下のものを含む、少なからぬ好適なドメインを特定した:X型コラーゲンNC1ドメイン(PDB ID:1GR3)、VIII型コラーゲンNC1ドメイン(PDB ID:1O91)、種々の種に由来するCutA1(銅耐性A)タンパク質(例えば、パイロコッカス・ホリコシイ(PDB ID:4YNO)、ホモ・サピエンス(PDB ID:2ZFH)、高度好熱菌(PDB ID:1V6H);イネ(PDB ID:2ZOM);またはシュワネラ種SIB1(PDB ID:3AHP)に由来するCutA1タンパク質)、C1q頭部ドメイン(PDB ID:1PK6)、TNF様タンパク質TL1A(PDB ID:2RE9)、TNF(PDB ID:1TNF)、MIF(PDB ID:1CA7)、MIF2(PDB ID:7MSE)、および本明細書に記載されているかまたは図11に図示されている他のタンパク質構造。
本発明者らは、N末端がSpyCatcher(配列番号4)に(GSGSリンカーを介して)およびC末端がSnoopCatcher(配列番号12)に(GSGSリンカーを介して)融合されており、さらにSpyCatcherのHisタグN末端(配列番号21、図12)を特徴とする、パイロコッカス・ホリコシイに由来するPhCutA1(配列番号1)を大腸菌で容易に発現および組換え的に調製することができた。注目すべきことに、この構築物「H6-SpyCatcher-PhCutA1-SnoopCatcher」または「SpC-PhCutA1-SnC」は、変性SDSローディング緩衝液中での沸騰に対して耐性であることから明らかなように、インタクトPhCutA1に特徴的な特性である超熱安定性三量体化により特徴付けられた(Tanaka et al., 2006, FEBS Letters, 580(17), pp.4224-4230)。したがって、コアタンパク質PhCutA1の多量体化特性を、SpC-PhCutA1-SnCスキャフォールドに付与することに成功した。
[実施例4]
単量体タンパク質のN末端およびC末端組換え融合による「シス配向性」提示に好適なタンパク質複合体は、ヘテロマータンパク質複合体または二面体タンパク質アセンブリから誘導することができる。
N末端部位およびC末端部位での組換え融合による「シス配向性」提示に好適な幾何学的形状をすでに特徴としているタンパク質構造またはドメインに加えて、本発明者らは、そのような成分をそれらから派生させることができるタンパク質も特定した。
PDB ID 5w0j(Spencer & Hochbaum, 2017, Biochemistry, 56(40), pp.5300-5308)の逆平行コイルドコイルのC末端とN末端との間に好適なリンカーがあると、その構造は、円対称性HIV GP41(PDB ID 1i5y)の構造を模倣する(図13a、c)。ここで、PDB ID 5w0j(Spencer & Hochbaum, 2017)と同じ公開文献に由来するヘテロマー逆平行コイルドコイルアセンブリ(PDB ID 5vte)は、単純な(合理的な)突然変異誘発がどのようにして、均一なアセンブリを促進することにより末端の反転を軽減することができるかに関する例を提供する。コイルドコイルタンパク質は設計が容易であり、pH感受性(Nagarkar et al., 2020, Peptide Science, 112(5), e24180)または生物活性タンパク質スイッチ(Langan et al., 2019, Nature, 572(7768), pp. 205-210)などの特性を設計することから利益を得ることができる。
[実施例5]
CutA1タンパク質は、キャッチャータンパク質との組換え融合後も三量体構造を保持する。
PhCutA1は、高度に熱安定性のタンパク質であり、変性SDSローディング緩衝液中で煮沸した後でも三量体構造を保持する。図14に示されているように、SpCおよびSnCとの組換え融合後でも、PhCutA1の安定三量体化を示すタンパク質バンドが130~250kDaに観察され、複合体全体が、本発明者らの構造ベース設計に従ってアセンブリしていることが確認された。この観察されたバンドが正しいPhCutA1アセンブリによるものであったことをさらに検証するために、本発明者らは、過酷な変性条件を使用し、そうした条件下ではSpC-PhCutA1-SnCが部分的に単量体化したことを観察した。
[実施例6]
モジュール式成分を使用することにより、リガンドタンパク質および他のエフェクターを、選択したスキャフォールドタンパク質と迅速にアセンブリして、複雑な幾何学的形状を付与することができる。
モジュール式成分アセンブリの実現可能性を示すために、SpyTag付き、SnoopTag付き、およびDogTag付きリガンドを設計し、発現させた。Spy/Snoopタグ付きタンパク質成分SnT-L1およびL2-SpTは、一般的細胞抗原に対するリガンドである。Ni-NTA精製は、両リガンドタンパク質のクリーンアップをもたらし(図15a~b)、続いて任意選択でサイズ排除クロマトグラフィーを行った(図15c~d)。こうした成分を使用して、タグ付きリガンドと、キャッチャータンパク質を含むモジュール式プラットフォームとのコンジュゲートにより、リガンドが付着した完全にアセンブリされたプラットフォームが得られることを確認した。
SnT-L1および/またはL2-SpTをSpC-PhCutA1-SnCまたは対照タンパク質SpC-PC-SnCと共にインキュベートした後、本発明者らは、すべての試料についてコンジュゲーションを完了させることができたことを観察した(図16a~c)。注目すべきことに、SpC-PhCutA1-SnCの超熱安定性三量体化は、SnT-L1およびL2-SpTの両方による装飾時でさえ保持された。H6-SpC-PhCutA1-SnC(三量体としては117kDa)およびH6-SpC-PC-SnC(31kDa)と、SnT-L1とのおよびL2-SpTとのコンジュゲーションは、追加された分子量(1単量体SnT-L1当たり16.1kDa、1単量体L2-SpT当たり9.7kDa)に対応するバンドシフトをもたらした。両リガンドをいずれかのプラットフォームに同時コンジュゲートすると、著しいバンドシフトがもたらされた(1単量体当たり25.8kDaと予想される)(図15c~d)。さらに、リガンドの消費が、リガンド強度の低減として観察された(過剰量のプラットフォームを添加した)。
[実施例7]
モジュール式アセンブリと簡便なアセンブリ後クリーンアップを統合することにより、下流分析用の均一な薬物候補の製造が可能になる。
アセンブリ薬物候補を自動化に適した様式で精製するための簡便で効果的な方法を検証するために、本発明者らは、薬物候補精製のための再利用可能な96ウェルおよび12ウェルハイスループット透析デバイスの適合性を調査した。本発明者らは、SnT-L1およびL2-SpTを有するSpC-PhCutA1-SnCのモジュール式アセンブリを、定期的に緩衝液交換をした16時間のハイスループット透析により精製することができることを実証した。そのために、タンパク質成分比1:1:1でアセンブリを実施し、試料を25℃で16時間インキュベートした。透析は、100kDa MWCOセルロース膜を有する12ウェルハイスループット透析ブロックを使用して室温で実施した。透析中のタンパク質分解を回避するために、試料および透析液は両方とも1×PMSFを含んでいた。アセンブリプラットフォームおよび透析液の試料を、透析中、2時間、4時間、8時間、および16時間の時点で取り出し、SDS-PAGEにより分析して、過剰リガンドおよび低分子不純物が経時的に除去されたことを実証した(図17)。
これは、大きな分子量のアセンブリが溶液中に存在し、安定していることを実証する。その特性は、簡便な精製プロトコルを可能にする。さらに、この方法論は、大規模化可能であり、次いで下流のin vitro分析に使用することができる最終的タンパク質アセンブリワークフローと自動化適合性である。
[実施例8]
モジュール式成分設計は、迅速なプロトタイプ化を可能にし、初期スクリーニングに最適化されたアセンブリプラットフォームから、より下流の療法検証に最適化されたアセンブリプラットフォームへの段階的な移行を可能にする。
PhCutA1を用いて、本発明者らは、in vitroスクリーニングに使用するための細菌スキャフォールドタンパク質の設計、産生、アセンブリ、および精製を実証した(図11、図12)。潜在的な薬物有用性などのために、プラットフォーム成分を迅速に変更する能力をさらに実証するために、本発明者らは、CutA1タンパク質のヒトホモログであるHsCutA1(図11)およびヒトマクロファージ遊走阻害因子2(MIF2)の突然変異体であるMIF2m(図11)に基づくスキャフォールドを特定、クローニング、発現、および精製した。SpC3-HsCutA1-DgC(配列番号24)プラットフォームは、in vitro検証および下流の療法検証のためのヒトバリアントであるHsCutA1(配列番号29、オリゴマーコアを越えて一部の天然アミノ酸をリンカーとして保持するように短縮されている)に融合されたタグ付きリガンドとのシームレスなモジュール式コンジュゲーションのためにSpyCatcher003(配列番号8)およびDogCatcher(配列番号23)を有することを特徴とする。SpC3-MIF2m-DgC(配列番号28)は、SpC-PhCutA1-SnC(GSGS)およびSp3-HsCutA1-DgC(GGGGS)と比較して、同様のC3幾何学的形状およびより長いリンカー(GGGGSGGGGSGGGGS)を有する異なるスキャフォールドを有することを特徴とする。SpC3-HsCutA1-DgCおよびSpC3-MIF2-DgCを調製するために、BL21(DE3)細胞をタンパク質発現に使用し、続いてNi-NTA重力流カラム精製を行った(図18a)。PhCutA1と同様に、HsCutA1およびMIF2mに由来するプラットフォームは、リガンドアセンブリに利用可能になるように調製することが容易だった。
HsCutA1は、PhCutA1とほぼ同一の立体構造を有する安定タンパク質であるが(図11)、SDSローディング緩衝液中での煮沸中に単量体へと容易に変性する(図18)。架橋剤グルタルアルデヒドと共にインキュベートした際に、本発明者らは、見かけの分子量がおよそ3倍増加した、SpC3-HsCutA1-DgCの単量体サブユニットの共有結合架橋を観察した。これにより、このタンパク質が溶液中で三量体であり(図18c)、タンパク質構造の予測通りに正しくアセンブリすることが確認された。また、他のリガンドを、SpC3-HsCutA1-DgCにコンジュゲートし、次いで、未コンジュゲートスキャフォールドのみ、コンジュゲートスキャフォールド+1つのリガンド、およびコンジュゲートスキャフォールド+2つのリガンドの異なる試料をサイズ排除クロマトグラフィーに供して、アセンブリとしての流体力学半径が増加すること、複合体のサイズが増加すること、および過剰リガンドが除去されることを示した。
[実施例9]
「シス配向性」を生み出すプラットフォーム設計の能力は、計算的に探索することができる。
N末端融合部位およびC末端融合部位が好適に配置されたコア成分の事前選択にも関わらず、エフェクターまたはリガンドタンパク質の導入、ならびに様々な長さおよび可撓性のリンカーを介したそのようなドメインの接続は、融合タンパク質幾何学的形状に影響を及ぼす可能性がある。本発明者らは、多価タンパク質アセンブリ用に最適化されたAlphafold v2.0の実装を使用して、異なるコアタンパク質にコンジュゲートされた様々なキャッチャー成分の配向性を予測した。ここでは、PhCutA1、HsCutA1、Col X NC1、TNF、およびTL1Aが、安定三量体としてキャッチャー成分をシス配向性で提示すると想定されることが予測された(図19)。PhCutA1の場合、これは、PhCutA1単独の結晶構造(図11)および種々の実験(図12、図14)と合致する。比較のために、本発明者らは、「トランス配向性」設計で以前に使用されたコアタンパク質、即ちIMX313(Brune et al., 2017, Bioconjugate Chemistry, 28(5), pp.1544-1551)およびXV型コラーゲンのNC1ドメイン(Lobo et al., 2006, International Journal of Cancer, 119(2), pp.455-462)も試験した。ここでは、GSGSリンカーを特徴とするSpC3-IMX-DgC(配列番号35)は、インタクトなコア構造を生成することができなかった。このような提示は、SpyTag付き/DogTag付きタンパク質とのコンジュゲーション時に立体衝突を引き起こす可能性がある。注目すべきことに、Bruneらは、IMXとSnoopCatcherとの間に長くて剛性のリンカーを導入して、直交性のSpyCatcherタンパク質を隔てた。IMXと同様に、GSGSリンカーを特徴とするSpC3-XV型コラーゲンNC1-DgC(配列番号33)は、インタクトなコア構造を生成することができなかった。GSGSリンカー(配列番号33のような)をより長い(G4S)2リンカーに置き換えると、SpC3-XV型コラーゲンNC1-DgCではキャッチャーがねじれ形配座にあることが観察された。
[実施例10]
アセンブリプラットフォームをin vitroスクリーニングに使用して、リガンドの有効性を解明することができる。
本発明者らは、細胞増殖に関与する2つの異なる標的に対するリガンドと完全にコンジュゲートしたPhCutA1が、増殖因子誘導性細胞増殖を阻害することができるか否かを試験した(図20a)。NCI-N87細胞を、2つのリガンド(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpT)または1つのリガンドのみ(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1、H6-SpC-PhCutA1-SnC:L2-SpT)を含む表記濃度のタンパク質アセンブリで処理するかまたは偽処理した。スキャフォールドのみ(H6-SpC-PhCutA1-SnC)、リガンドのみ(SnT-L1、L2-SpT、SnT-L1+L2-SpT)、およびL1またはL2の受容体標的に対するモノクローナル対照抗体を対照として使用した。処理開始の1時間後、関連増殖因子を添加することにより細胞を刺激した。7日後にMTTアッセイを使用して細胞生存率を測定した。生存画分を偽処理対照細胞に対して正規化した。スキャフォールドまたはリガンドのみによる処理は、細胞生存率に著しい影響を及ぼさないが、リガンド成分を1つのみ有するコンジュゲートアセンブリによる処理は、細胞生存率の中程度の低減をもたらす(いずれかのタンパク質コンジュゲート10nMで約60%の細胞生存率)。完全にアセンブリされたアセンブリによる処理は、細胞数の著しい減少をもたらし、10nMの完全アセンブリの存在下で増殖させた後で存在する生存細胞はわずか35%だった。これは、同じ濃度(10nM)のモノクローナル対照抗体の組合せで処理した後に本発明者らが観察した生存率と非常に類似していた。これは、構築物が、同じ細胞上にある標的を両方とも阻止していることを示唆する。これをさらに確認するために、同じ処理試料のH6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1、H6-SpC-PhCutA1-SnC:L2-SpTからなる対照を、将来のアッセイに添加することができる。
本発明者らは、完全にコンジュゲートされたアセンブリが、AktおよびErk1/2の下流活性化を抑制するか否かをさらに調査した(図20b)。NCI-N87細胞を、0.2%FCSを含む培地中で24時間飢餓状態にした後、スキャフォールドのみ、またはタンパク質SnT-L1およびL2-SpTのコンジュゲートアセンブリで1時間処理し、次いで増殖因子で1時間刺激してから全細胞抽出物を調製した。2つの使用したリガンドがそれらの受容体に結合すると、2つの下流シグナル伝達経路の活性化、ならびにそれらの主要エフェクターであるAktおよびErk1/2のリン酸化がもたらされる。こうした2つのタンパク質のリン酸化レベルをウェスタンブロッティングで分析した。Erk1は、NCI-N87細胞では、増殖因子刺激の非存在下でさえ構成的にリン酸化される。しかしながら、完全にコンジュゲートされたアセンブリ(H6-SpC-PhCutA1-SnC:SnT-L1:L2-SpT)は、Erkリン酸化を著しく抑制する。増殖因子誘導性Akt活性化は、この濃度では未結合L2により妨げられる。重要なことには、リン酸化レベルは、完全アセンブリの存在下ではさらに減少する。
薬物開発の標的が確認されれば、臨床試験で検証される薬物ついて、リガンドとマルチドメインポリペプチドとしてのコアタンパク質との直接融合体を、タグおよびキャッチャー成分を使用せずに達成することができる(図21)。
また、本発明者らは、別のリガンド対(SpT-L1、L3-DgT)にコンジュゲートされた異なるスキャフォールドSpC-HsCutA1-SnCが、2日以内にアポトーシスを引き起こすか否かを調査した。(図20c)。NCI-N87細胞を、0.2%FCSを含む培地中で24時間飢餓状態にした後、スキャフォールドのみ、リガンドのみ、またはタンパク質SpT-L1およびL3-DgTのコンジュゲートアセンブリで飢餓培地にて48時間処理した。細胞生存率をMTTアッセイにより測定し、生存画分を、偽処理した対照細胞に対して正規化した。スキャフォールドまたはいずれかのリガンドのみによる処理は、細胞生存率の低減をもたらさなかった。細胞生存率の最も高い減少は、完全にアセンブリされたスキャフォールドSpC-HsCutA1-DgC:SpT-L1:L3-DgTによる処理後に観察された。
略式配列表の簡単な説明
配列番号1は、パイロコッカス・ホリコシイ由来のCutA1タンパク質(PhCutA1)の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、X型コラーゲンNC1タンパク質ドメインの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、VIII型コラーゲンタンパク質の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、「SpyCatcher」のアミノ酸配列を示す。これは、本明細書では「SpyCatcher 001」とも呼ばれる。
配列番号5は、「SpyTag」のアミノ酸配列を示す。これは、本明細書では「SpyTag 001」とも呼ばれる。
配列番号6は、「SpyCatcher 002」のアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、「SpyTag 002」のアミノ酸配列を示す。
配列番号8は、「SpyCatcher 003」のアミノ酸配列を示す。
配列番号9は、「SpyTag 003」のアミノ酸配列を示す。
配列番号10は、「SpyLigase」のアミノ酸配列を示す。
配列番号11は、「K-Tag」のアミノ酸配列を示す。
配列番号12は、「SnoopCatcher」のアミノ酸配列を示す。
配列番号13は、「SnoopTag」のアミノ酸配列を示す。
配列番号14は、「SnoopLigase」のアミノ酸配列を示す。
配列番号15は、「SnoopTagJr」のアミノ酸配列を示す。
配列番号16は、「DogTag」のアミノ酸配列を示す。
配列番号17は、Pilin-Cのアミノ酸配列を示す。
配列番号18は、「Isopeptag」のアミノ酸配列を示す。
配列番号19は、ヒトCutA1タンパク質の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号20は、hisタグ付き構築物H6-SpyCatcher-NC1-SnoopCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号21は、hisタグ付き構築物H6-SpyCatcher-PhCutA1-SnoopCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号22は、H6-SpyCatcher-αH_Linker-SnoopCatcher構築物のアミノ酸配列を示す。
配列番号23は、「DogCatcher」のアミノ酸配列を示す。
配列番号24は、配列番号29と同様に短縮されたHsCutA1を有するHisタグ付き構築物H6-SpyCatcher003-HsCutA1-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号25は、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号26は、ヒトマクロファージ遊走阻害因子2(MIF2)の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号27は、MIFの突然変異S62AおよびF99Aを有するヒトマクロファージ遊走阻害因子2(MIF2)(MIF2m)の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号28は、MIF2の突然変異S62AおよびF99A(MIF2m)を有するHisタグ付き構築物H6-SpyCatcher003-MIF2m-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号29は、PDB ID:2zfhの解像構造に基づき短縮された、配列番号19と配列番号60との間の中間短縮を表すヒトCutA1の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号30は、mCitrine蛍光タンパク質DgT-X3のバリアント(Grunberg et al, 2013に初めて記載)に対するDogTagのHisタグ付き融合体のアミノ酸配列を示す。
配列番号31は、TNF様タンパク質TL1Aの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号32は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-TL1A-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号33は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-Col XV NC1-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号34は、MIF2の突然変異S62AおよびF99Aを有する構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-MIF2m-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号35は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-IMX-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号36は、ヘテロ三量体C1q頭部ドメインの鎖Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号37は、ヘテロ三量体C1q頭部ドメインの鎖Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号38は、ヘテロ三量体C1q頭部ドメインの鎖Cのアミノ酸配列を示す。
配列番号39は、高度好熱菌HB8由来のCutA1の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号40は、イネ由来のCutA1の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号41は、シュワネラ種SIB1由来のCutA1の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号42は、腫瘍壊死因子(TNF)の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号43は、逆平行コイルドコイル六量体の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号44は、HIV-1 GP41コアの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号45は、シトクロムc555の円順列変異体の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号46は、MHCクラスII関連インバリアント鎖の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号47は、p53の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号48は、フィブリノーゲン様ドメインの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号49は、IV型コラーゲンNC1ドメインの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号50は、枯草菌AbrBの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号51は、ファージラムダ頭部タンパク質Dの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号52は、HCRBPIIのドメインスワップ三量体バリアントの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号53は、T1Lレトロウイルス付着タンパク質シグナルの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号54は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-HsCutA1-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号55は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-PhCutA1-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号56は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-Col X NC1-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号57は、構造予測に使用される構築物SpyCatcher003-TNF-DogCatcherの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号58は、TNFファミリータンパク質CD40リガンド(CD40L)の単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号59は、ヒトロイコトリエンC4シンターゼの単量体のアミノ酸配列を示す。
配列番号60は、配列番号19の短縮を表すPDB ID:2zfhに解像されているヒトCutA1の単量体のアミノ酸配列を示す。
Figure 2024511155000006
Figure 2024511155000007
Figure 2024511155000008
Figure 2024511155000009
Figure 2024511155000010
1 多価タンパク質スキャフォールド
2 サブユニット単量体
10 オリゴマーコア
11 第1の結合部位
12 第2の結合部位
20 回転対称軸
21 平面
30 表面

Claims (33)

  1. - 複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコア、
    - 少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である少なくとも1つの第1の結合部位
    を含む多価タンパク質スキャフォールドであって、
    前記第1の結合部位および前記第2の結合部位は、前記スキャフォールドと同じ面に位置し、
    前記第1の結合部位は、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位は、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含む、多価タンパク質スキャフォールド。
  2. 前記オリゴマーコアの各単量体が、少なくとも1つの第1の結合部位および少なくとも1つの第2の結合部位を含み、前記少なくとも1つの第1の結合部位は、前記少なくとも1つの第2の結合部位に対して直交性である、請求項1に記載のタンパク質スキャフォールド。
  3. 各単量体が、前記単量体の第1の末端に付着した第1の結合部位、および前記単量体の第2の末端に付着した第2の結合部位を含む、請求項1または2に記載のタンパク質スキャフォールド。
  4. 各単量体の前記第1の末端および前記第2の末端が、前記単量体の同じ面に、および/または前記単量体のオリゴマーの同じ面に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  5. 前記第1の結合部位が、第1のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第1のタンパク質ドメインを含み、前記第2の結合部位が、第2のポリペプチド標的と共有結合を形成することが可能な第2のタンパク質ドメインを含み、
    前記第1のタンパク質ドメインが、前記第1のポリペプチド標的とイソペプチド結合を形成することが可能であり、前記第2のタンパク質ドメインが、前記第2の結合標的とイソペプチド結合を形成することが可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  6. 前記第1の結合部位および前記第2の結合部位が各々、異なるスプリットリガンド結合タンパク質ドメインを含み、
    好ましくは、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の一方が、スプリットストレプトコッカス・ピオゲネスフィブロネクチン結合タンパク質ドメインを含み、前記第1の結合部位および前記第2の結合部位の他方が、スプリットストレプトコッカス・ニューモニエアドヘシンドメインを含む、請求項5に記載のタンパク質スキャフォールド。
  7. 前記第1および前記第2の結合部位が、各々独立して、配列番号4~9、11~13、23,または15~18のいずれか1つと、少なくとも50%アミノ酸同一性を有する、請求項6に記載のタンパク質スキャフォールド。
  8. 前記オリゴマーコアが、少なくとも3つのサブユニット単量体を含み、
    好ましくは、前記オリゴマーコアが、3~6つのサブユニット単量体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  9. 前記サブユニット単量体が、非共有結合で一緒に付着している、請求項1~8のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  10. 前記サブユニット単量体が、共有結合で一緒に付着しており、
    好ましくは、前記サブユニット単量体が、組換え融合タンパク質を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  11. 前記オリゴマーコアが、ホモオリゴマーコアである、請求項1~10のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  12. 前記オリゴマーコアが、ヘテロオリゴマーコアである、請求項1~6のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  13. i)各サブユニット単量体が、300個未満のアミノ酸を含み、
    好ましくは、各サブユニット単量体が、200個未満のアミノ酸を含み、
    より好ましくは、各サブユニット単量体が、150個未満のアミノ酸を含み、および/または
    ii)前記オリゴマーコアが、約150kDa未満、好ましくは約100kDa未満、より好ましくは約70kDa未満の分子量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  14. 前記オリゴマーコアが、(i)抗体のFc領域を含まないか、または(ii)CH2ドメインを含まないか、または(iii)CH3ドメインを含まないか、または(iv)CH2ドメインもCH3ドメインも含まない、請求項1~13のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  15. 前記オリゴマーコアが、多量体タンパク質の可溶性多量体化構造要素を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールド。
  16. 前記多量体タンパク質が、VIII型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、X型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、C1q頭部ドメイン、CutA1タンパク質、マクロファージ遊走阻害因子(MIFまたはMIF2)、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらのホモログもしくはパラログを含む、請求項15に記載のタンパク質スキャフォールド。
  17. 前記多量体化構造要素が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号19、配列番号29、配列番号60、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号42、配列番号31、または配列番号58と、少なくとも30%または少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、請求項15または16に記載のタンパク質スキャフォールド。
  18. 請求項1~17のいずれか一項に記載のタンパク質スキャフォールドを含むタンパク質複合体であって、前記第1の結合部位は、第1のエフェクター部分に付着した第1のポリペプチド標的に結合しており、前記第2の結合部位は、第2のエフェクター部分に付着した第2のポリペプチド標的に結合している、タンパク質複合体。
  19. 前記第1の結合部位/ポリペプチド標的対および前記第2の結合部位/ポリペプチド標的対が、各々独立して、(i)配列番号4、6、もしくは8のいずれか1つと配列番号5、7、もしくは9のいずれか1つとの組合せ;(ii)配列番号12と配列番号13もしくは15との組合せ;(iii)配列番号5と配列番号11との組合せ;(iv)配列番号15と配列番号16との組合せ;(v)配列番号17と配列番号18との組合せ;または(vi)配列番号23と配列番号16との組合せから選択される、請求項18に記載のタンパク質複合体。
  20. ライブラリーを含むスクリーニングプラットフォームであって、前記ライブラリーは、
    請求項18または19に記載のタンパク質複合体の複数の集団であって、前記タンパク質複合体の集団が各々、第1のエフェクター部分、第2のエフェクター部分、および/もしくはオリゴマーコアの異なる組合せを含む、集団、または
    請求項1~17のいずれか一項に記載の複数のタンパク質スキャフォールド、前記第1の結合部位に特異的に結合することができる複数の第1のエフェクター部分、および前記第2の結合部位に特異的に結合することができる複数の第2のエフェクター部分
    を含む、スクリーニングプラットフォーム。
  21. 治療用薬物または薬物アナログを特定するための方法であって、
    請求項18または19に記載のタンパク質複合体を用意すること、
    前記タンパク質複合体を生物系と接触させること、および
    前記タンパク質複合体が、前記生物系の特性機能に所望の変化を誘導するか否かを測定すること、
    を含み、
    任意選択で、前記生物系の特性に所望の変化を誘導するタンパク質複合体を選択することをさらに含む、
    方法。
  22. - 前記タンパク質複合体の前記第1および第2のエフェクター部分に付着した前記特定された治療用薬物または薬物アナログの前記タンパク質複合体の前記スキャフォールドの前記オリゴマーコアを含む治療用薬物または薬物候補を合成すること
    をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 請求項21または22に記載の方法に従って得ることが可能であるかまたは得られる治療用薬物または薬物候補。
  24. 治療用薬物または薬物候補であって、
    (a)1つまたは複数の第1のエフェクター部分および1つまたは複数の第2のエフェクター部分に付着した複数のサブユニット単量体を含むオリゴマーコアであって、前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分および前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、前記オリゴマーコアの同じ面に位置し、
    (i)前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分は、2つまたはそれよりも多くの第1のエフェクター部分を含み、前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、2つまたはそれよりも多くの第2のエフェクター部分を含み、および/または(ii)前記オリゴマーコアは、抗体も抗体断片も含まない、オリゴマーコア、または
    (b)1つまたは複数の第1のエフェクター部分および1つまたは複数の第2のエフェクター部分に付着した単量体ポリペプチドであって、前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分および前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、前記単量体ポリペプチドの同じ面に位置し、
    (i)前記1つまたは複数の第1のエフェクター部分は、2つまたはそれよりも多くの第1のエフェクター部分を含み、前記1つまたは複数の第2のエフェクター部分は、2つまたはそれよりも多くの第2のエフェクター部分を含み、および/または(ii)前記オリゴマーコアは、抗体も抗体断片も含まない、単量体ポリペプチド
    を含む、治療用薬物または薬物候補。
  25. 前記オリゴマーコアが、請求項1~17のいずれか一項に規定される、請求項24(a)に記載の治療用薬物または薬物候補。
  26. (a)各サブユニット単量体が、VIII型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、X型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、C1q頭部ドメイン、CutA1タンパク質、マクロファージ遊走阻害因子(MIF、MIF-2)、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらのホモログもしくはパラログを含み;および/あるいは(ii)各サブユニット単量体が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号19、または配列番号29、配列番号60、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号42、配列番号31、または配列番号58と少なくとも50%アミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む多量体化構造要素を含むか、あるいは
    (b)前記単量体ポリペプチドが、VIII型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、X型コラーゲンNC1(非コラーゲン性)ドメイン、C1q頭部ドメイン、CutA1タンパク質、マクロファージ遊走阻害因子(MIFまたはMIF-2)、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらのホモログもしくはパラログを含む、
    請求項24または25に記載の治療用薬物または薬物候補。
  27. N末端に第1の結合ドメインおよびC末端に第2の結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記第1および前記第2の結合ドメインは、構造ドメインにより隔てられており、前記第1の結合ドメインおよび前記第2の結合ドメインは、単一細胞上に発現されているか、またはプレートもしくは単一ビーズに固定化されている場合、それらの標的に結合することができる、ポリペプチド。
  28. 前記構造ドメインが、CutA1、MIFもしくはMIF-2、TNFもしくはTNF様タンパク質TL1AもしくはCD40L、またはVIII型コラーゲンもしくはX型コラーゲン由来のNC1である、請求項27に記載のポリペプチド。
  29. 前記第1の結合ドメインおよび前記第2の結合ドメインが、異なる抗原結合ドメインであり、任意選択で、一方または両方の抗原結合ドメインが、抗体の抗原結合性断片であり、任意選択でscFvもしくはFabであるか、または単一ドメイン抗体(sdAb)、または特定の標的に結合するように選択された他の抗体模倣物もしくはスキャフォールド、または生物学的分子と特異的に結合することが可能な他のタンパク質もしくはペプチドである、請求項27または28に記載のポリペプチド。
  30. 前記第1の結合ドメインおよび前記第2の結合ドメインが、各々が同族ペプチドとイソペプチド連結を形成することができるキャッチャードメインであり、任意選択で、前記第1の結合ドメインに対する同族ペプチドが、前記第2の結合ドメインに対する同族ペプチドとは異なる、請求項27または28に記載のポリペプチド。
  31. 各同族ペプチドが抗原結合ドメインに付着しており、任意選択で、一方または両方の同族ペプチドが、イソペプチド結合により第1および/または第2のキャッチャードメインに連結されている、請求項30に記載のポリペプチド。
  32. 請求項27~31のいずれかに記載の2つまたはそれよりも多くのポリペプチドを含むオリゴマー。
  33. 請求項1~26のいずれかに記載の特徴を含む、請求項27~31のいずれかに記載のポリペプチドまたは請求項32に記載のオリゴマー。
JP2023558688A 2021-03-24 2022-03-24 多価タンパク質およびスクリーニング法 Pending JP2024511155A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB2104104.1 2021-03-24
GBGB2104104.1A GB202104104D0 (en) 2021-03-24 2021-03-24 Platform and method
PCT/GB2022/050750 WO2022200804A2 (en) 2021-03-24 2022-03-24 Multivalent proteins and screening methods

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024511155A true JP2024511155A (ja) 2024-03-12

Family

ID=75689949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023558688A Pending JP2024511155A (ja) 2021-03-24 2022-03-24 多価タンパク質およびスクリーニング法

Country Status (11)

Country Link
EP (1) EP4314042A2 (ja)
JP (1) JP2024511155A (ja)
KR (1) KR20230159855A (ja)
CN (1) CN117580858A (ja)
AU (1) AU2022242858A1 (ja)
BR (1) BR112023019401A2 (ja)
CA (1) CA3212924A1 (ja)
GB (2) GB202104104D0 (ja)
IL (1) IL306000A (ja)
MX (1) MX2023011231A (ja)
WO (1) WO2022200804A2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024069180A2 (en) * 2022-09-28 2024-04-04 LiliumX Ltd. Multivalent proteins and screening methods

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5571894A (en) 1991-02-05 1996-11-05 Ciba-Geigy Corporation Recombinant antibodies specific for a growth factor receptor
US5587458A (en) 1991-10-07 1996-12-24 Aronex Pharmaceuticals, Inc. Anti-erbB-2 antibodies, combinations thereof, and therapeutic and diagnostic uses thereof
DE69333807T2 (de) 1992-02-06 2006-02-02 Chiron Corp., Emeryville Marker für krebs und biosynthetisches bindeprotein dafür
EP0656946B2 (en) 1992-08-21 2010-03-31 Vrije Universiteit Brussel Immunoglobulins devoid of light chains
EP2646465B1 (en) * 2010-10-15 2018-09-12 Leadartis, S.L. Generation of multifunctional and multivalent polypeptide complexes with collagen xviii trimerization domain
GB201509782D0 (en) 2015-06-05 2015-07-22 Isis Innovation Methods and products for fusion protein synthesis
AU2018247931B2 (en) * 2017-04-06 2022-03-03 Universität Stuttgart Tumor necrosis factor receptor (TNFR) binding protein complex with improved binding and bioactivity
GB201705750D0 (en) 2017-04-10 2017-05-24 Univ Oxford Innovation Ltd Peptide ligase and use therof
GB201706430D0 (en) 2017-04-24 2017-06-07 Univ Oxford Innovation Ltd Proteins and peptide tags with enhanced rate of spontaneous isopeptide bond formation and uses thereof
WO2019094574A1 (en) * 2017-11-09 2019-05-16 Medimmune, Llc Bispecific fusion polypeptides and methods of use thereof
WO2020188356A1 (en) * 2019-03-18 2020-09-24 Bio-Rad Abd Serotec Gmbh Antigen binding fragments conjugated to a plurality of fc isotypes and subclasses
US20200299358A1 (en) 2019-03-18 2020-09-24 Bio-Rad Abd Serotec Gmbh Antigen binding proteins

Also Published As

Publication number Publication date
GB2624541A (en) 2024-05-22
EP4314042A2 (en) 2024-02-07
GB202316256D0 (en) 2023-12-06
KR20230159855A (ko) 2023-11-22
MX2023011231A (es) 2023-10-02
IL306000A (en) 2023-11-01
CA3212924A1 (en) 2022-09-29
WO2022200804A3 (en) 2022-11-03
BR112023019401A2 (pt) 2023-12-05
GB202104104D0 (en) 2021-05-05
AU2022242858A1 (en) 2023-09-28
WO2022200804A2 (en) 2022-09-29
CN117580858A (zh) 2024-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6105479B2 (ja) 血清アルブミンに結合する設計リピートタンパク質
EP3253795B1 (en) Novel binding proteins comprising a ubiquitin mutein and antibodies or antibody fragments
JP6165713B2 (ja) インスリン様増殖因子1に特異的に結合する抗体
ES2603589T3 (es) Ácidos nucleicos que codifican polipéptidos quiméricos para la identificación sistemática de bibliotecas
JP6738340B2 (ja) 新規なegfr結合タンパク質
CN107849147B (zh) 基于二泛素突变蛋白的Her2结合蛋白
US20180194819A1 (en) Novel binding proteins based on di-ubiquitin muteins and methods for generation
JP2019526526A (ja) ペプチドリンカーを含む化学的部分の部位特異的カップリングのための標的化合物
JP2022500076A (ja) 特異的結合剤により認識されるエピトープタグ
JP2024511155A (ja) 多価タンパク質およびスクリーニング法
JP2023550191A (ja) Dr4および/またはdr5を標的とするポリペプチドならびに関連する組成物および方法
Ahmadi et al. Recent advances in the scaffold engineering of protein binders
WO2019075392A1 (en) ANTIGEN-BINDING PROTEIN CONSTRUCTS AND USES THEREOF
JP2019522966A (ja) 患者由来腫瘍スフェロイドを用いた抗体スクリーニング方法
WO2024069180A2 (en) Multivalent proteins and screening methods
JP2017014112A (ja) 抗サバイビン抗体又は抗体誘導体及びそれらの利用
EP3325515B1 (en) Novel binding proteins based on di-ubiquitin muteins and methods for generation
WO2024074762A1 (en) Ultrastable antibody fragments with a novel disuldide bridge
AU2022397890A1 (en) Specific binding molecules for fibroblast activation protein (fap)
WO2011132940A2 (ko) Rtk에 특이적으로 결합하는 rtk-bpb
Alsultan Beyond antibodies: development of a novel molecular scaffold based on human chaperonin 10
Gera Hyperthermophilic Protein Scaffolds for Engineering Biomolecular Recognition