JP2024504931A - がん細胞に結合し、放射性核種を前記細胞に標的化するスプリット抗体 - Google Patents

がん細胞に結合し、放射性核種を前記細胞に標的化するスプリット抗体 Download PDF

Info

Publication number
JP2024504931A
JP2024504931A JP2023541914A JP2023541914A JP2024504931A JP 2024504931 A JP2024504931 A JP 2024504931A JP 2023541914 A JP2023541914 A JP 2023541914A JP 2023541914 A JP2023541914 A JP 2023541914A JP 2024504931 A JP2024504931 A JP 2024504931A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
amino acid
acid sequence
antibody
cdr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023541914A
Other languages
English (en)
Inventor
クリスティアン クライン,
アレクサンダー ハース,
ザビーネ イムホフ-ユング,
ソフィア フロスト,
Original Assignee
エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト filed Critical エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
Publication of JP2024504931A publication Critical patent/JP2024504931A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/30Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants from tumour cells
    • C07K16/3007Carcino-embryonic Antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/02Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
    • A61K51/04Organic compounds
    • A61K51/08Peptides, e.g. proteins, carriers being peptides, polyamino acids, proteins
    • A61K51/10Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody
    • A61K51/1045Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody against animal or human tumor cells or tumor cell determinants
    • A61K51/1048Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody against animal or human tumor cells or tumor cell determinants the tumor cell determinant being a carcino embryonic antigen
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/35Valency
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/60Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value

Abstract

本発明は、標的細胞上の抗原に結合し、エフェクター部分を前記細胞に標的化する抗体、及びその使用方法に関する。【選択図】図29

Description

本発明は、二重特異性抗体の新規フォーマットに関する。特定の実施態様では、本発明はさらに、標的細胞上の抗原に結合し、放射性核種を前記細胞に標的化するこの新規フォーマットを有する抗体、及びその使用方法に関する。
個々の細胞又は特定の細胞タイプの選択的破壊は、多くの場合、様々な臨床環境で望ましいものである。例えば、健常細胞及び組織をインタクトで無損傷のままにしながら、腫瘍細胞を特異的に破壊することが、がん治療の主な目標である。
これに関して、標的細胞上の表面抗原に1つの「アーム」で結合し、薬物等のエフェクター部分に第2の「アーム」で結合する二重特異性抗体が設計されている。多種多様な二重特異性フォーマットが開発されてきたが、二重特異性抗体を開発するという課題は決して些細なものではない。
プレターゲティング放射免疫療法(PRIT)では、一方では腫瘍関連抗原に対して、他方では放射性標識化合物に対して親和性を有する抗体コンストラクトが使用される。第1の工程では、抗体を投与し、腫瘍に局在させる。続いて、放射性標識化合物を投与する。放射性標識化合物は小さいため、腫瘍に迅速に送達することができ、非結合化合物は迅速に除去され、腫瘍外への放射線曝露を減少させる(Goldenberg et al Theranostics 2012,2(5),523-540)。同様の手順をイメージングにも使用することができる。プレターゲティングは、アビジン-ビオチンを使用する二重特異性抗体又はシステムを使用することができるが、後者はアビジン/ストレプトアビジンが免疫原性であるという欠点を有する。
プレターゲティング放射免疫療法又はイメージングの方法は、一般に、抗体を投与する工程と放射性標識化合物を投与する工程との間に投与される除去剤又はブロッキング剤を利用する。目的は、血液から抗体を除去すること、及び/又は放射性標識化合物に対する循環抗体の結合部位を遮断することである(例えば、Karacay et al,Bioconj. Chem.,13(5),1054-1070(2002)を参照されたい)。除去剤又はブロッキング剤の使用は、有害毒性を制限しながら効率的な治療のために十分なレベルの放射能を投与することを可能にするが、タイミング及び投与量は慎重に選択しなければならず、除去剤が免疫反応等の有害作用のリスクを導入する可能性がある。したがって、除去段階の使用は、プレターゲティング法における複雑な態様である。
本発明は、エフェクター部分のVH及びVLドメインが2つの部分に分割されている二重特異性抗体の新規フォーマット、及びそれを使用する方法を提供する。
特に、本発明は、
i)
a)標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する抗原結合部分;
b)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
c)2つのサブユニットを含むFcドメイン
を含む第1の抗体であって、
ここで、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)の抗体結合部分のC末端に融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
該第1の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメインを含まない、第1の抗体;と
ii)
d)標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する抗原結合部分;
e)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
f)2つのサブユニットを含むFcドメイン
を含む第2の抗体であって、
ここで、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)の抗原結合部分のC末端に融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
該第2の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメインを含まない、第2の抗体と
を含み;
第1の抗体の前記VHドメイン及び第2の抗体の前記VLドメインは、一緒になってエフェクター部分に対する機能的抗原結合部位を形成することができる、抗体のセットに関する。
第1の抗体も第2の抗体も、それ自体は、エフェクター部分に対する機能的抗原結合部位を含まない。第1の抗体は、エフェクター部分に対する機能的結合部位からのVドメインのみを有し、Vドメインを有しない。第2の抗体は、Vドメインだけを有し、Vドメインを有しない。
エフェクター部分に対する機能的抗原結合部位は、第1の抗体のVHドメインと、第2の抗体のVLドメインとが会合するときに形成される。これは、例えば、第1の抗体及び第2の抗体が同じ個々の標的細胞又は隣接する細胞に結合している場合に起こり得る。
本明細書に記載の第1の抗体及び第2の抗体は、本明細書では「単一ドメインスプリット抗体」、「スプリット抗体」、「SPLIT」、「ヘミボディ」又は「デミボディ」と呼ばれることがある。エフェクター部分に結合することができる抗原結合部位を一緒に形成するV及びVドメインは、2つの抗体間で分割され、同じ抗体の一部として存在しない。
スプリットドメインフォーマットは、エフェクター部分が単独で第1の抗体に結合することも、単独で第2の抗体に結合することもできないことを意味する。血液中では、第1の抗体と第2の抗体との間に安定した会合はほとんど又は全くなく、放射性標識化合物の安定した結合もほとんど又は全くない。
標的細胞の表面上に発現する抗原は、本明細書では「標的抗原」、「標的細胞抗原」又は「TA」と呼ばれることがある。本発明によれば、上記の第1の抗体及び第2の抗体は、異なる標的抗原に結合する抗原結合部分を有していてもよいし、同じ標的抗原に結合する抗原結合部分を有していてもよい。(誤解を避けるため、抗体が同じ標的抗原に結合すると述べられている場合、これは、それらが同じ標的抗原に結合することができる結合部位を有することを意味し、抗体が互いに同じである2つの個々の抗原分子に結合し得る可能性を含む)。例えば、一実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、CEAに結合する。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、同じ標的抗原の同じエピトープに結合し得る(これらに対する結合部位を有し得る)。他の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、同じ標的抗原の異なるエピトープに結合し得る(これらに対する結合部位を有し得る)。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、標的抗原に対する同じ抗原結合部位を含み得る。例えば、それらは、V配列及びV配列を含む、標的抗原に結合することができる抗原結合部位を含み得、この抗原結合部位を形成するV配列及びV配列は、第1の抗体及び第2の抗体において同じである。
「エフェクター部分」という用語は、標的細胞に対する所望の効果を担う部分を指す。一実施態様では、所望の効果は、細胞死滅である。例えば、エフェクター部分は、標的細胞を死滅させるために使用される放射性核種、薬物、又は毒素であり得る。一実施態様では、エフェクター部分は、放射線療法に適した放射性標識化合物であり得る。別の実施態様では、所望の効果は標識化であり、エフェクター部分はイメージングに適した放射性標識化合物であり得る。
いくつかの実施態様では、(a)及び(d)の抗原結合部分は、Fv、Fab、cross-Fab、Fab’、Fab’、-SH、F(ab’)などの抗体断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv若しくはscFab);又はVHHなどの単一ドメイン抗体(dAb);又はDARPin(設計されたアンキリンリピートタンパク質)などの非抗体結合足場;アフィボディ;Sso7d;モノボディ又はアンチカリンであり得る。
いくつかの実施態様では、(a)の抗原結合部分及び(d)の抗原結合部分がFabであることが好ましい場合がある。このような実施態様では、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって、(a)のFab断片の鎖のうちの1つのC末端に融合しており;(e)のポリペプチドは、そのN末端によって、(d)のFab断片の鎖のうちの1つのC末端に融合している。同様に、抗原結合部分が2つ以上の鎖を含む他の実施態様では、ポリペプチドは、そのN末端によって鎖のうちの1つのC末端に融合していてもよい。
Fc領域の存在は、免疫療法及びイメージングの文脈において利点を有し、例えば、タンパク質の循環半減期を延長し、及び/又はより小さな断片で観察され得るよりも高い腫瘍取り込みをもたらす。本明細書に記載の「スプリットドメイン」フォーマットは、そうでなければ循環抗体の長時間の存在に起因して起こるであろうエフェクター部分/放射性標識化合物との会合の可能性がより大きくなるのを緩和するため、この文脈において特に有利であり得る。いくつかの実施態様では、Fcドメインは、エフェクター機能を低減させるか又は排除するように修飾される。
本明細書に記載のフォーマットは、エフェクター部分に対するVL及びVHの有意なオフターゲット結合を回避する。さらに、本発明による抗体は、抗薬物抗体応答及び/又は安定性の低下という点で利点を有し得る。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のセットを含む薬学的組成物を提供する。別の態様では、本発明は、各々が本明細書に記載の抗体の1つ(すなわち、それぞれ第1の抗体及び第2の抗体)を含む2つの別個の薬学的組成物を含むキットを提供する。
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載される抗体又は抗体のセットのいずれかをコードするポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドのセットに関する。別の態様では、本発明は、上記ポリヌクレオチド(複数可)を含むベクター又はベクターのセット、任意に発現ベクター又は発現ベクターのセットに関する。さらなる目的において、本発明は、本発明のベクター又はベクターのセットを含む原核生物若しくは真核生物の宿主細胞又は宿主細胞のセットに関する。さらに、抗体が産生されるように宿主細胞(複数可)を培養することを含む、抗体を産生する方法が提供される。
いくつかの実施態様では、エフェクター分子が放射性標識化合物である場合、本明細書に記載の抗体は、プレターゲティング放射免疫療法(PRIT)の方法又はプレターゲティング放射線イメージングの方法における使用を見出している。
一態様では、本発明は、プレターゲティング放射免疫療法の方法であって、
i)上記の第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与すること;並びに
ii)続いて、前記対象に放射性標識化合物を投与すること
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与し、続いて前記対象に放射性標識化合物を投与することを含む治療の方法における使用のための上記の第1の抗体及び第2の抗体を提供する。別の態様では、本発明は、第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与し、続いて前記対象に放射性標識化合物を投与することを含む治療の方法における使用のための上記の第1の抗体を提供する。別の態様では、本発明は、第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与し、続いて前記対象に放射性標識化合物を投与することを含む治療の方法における使用のための上記の第2の抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、
i)本明細書に記載の第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与することであって、抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化する、第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与すること;
ii)続いて、放射性標識化合物を投与すること;並びに任意選択で、
iii)放射性核種が局在化した組織又は臓器をイメージングすること
を含む、放射線イメージングの方法を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒト又は動物の身体に対して行われる診断方法における使用のための本明細書に記載の第1の抗体及び第2の抗体を提供し、該方法は、
i)本明細書に記載の第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与することであって、抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化する、第1の抗体及び第2の抗体を対象に投与すること;
ii)続いて、放射性標識化合物を投与すること;並びに任意選択で、
iii)放射性核種が局在化した組織又は臓器をイメージングすること
を含む。
イメージング工程の後に、診断を作成する工程、及び任意選択でその診断を対象に送達する工程が続く場合がある。いくつかの実施態様では、本方法は、適切な治療法を決定すること、及び任意選択でその治療法を対象に施すことをさらに含み得る。
上記の方法/使用の各々では、第1の抗体及び第2の抗体の、同じ標的細胞又は隣接する標的細胞への結合は、放射標識化合物に対する抗原結合部位の、VドメインとVドメインとの会合、及び放射標識化合物に対する機能的抗原結合部位の形成を結果としてもたらす。したがって、放射標識化合物の投与の後、放射性標識化合物は、VとVとの会合により形成される機能的抗原結合部位に結合する。
本明細書に記載される方法及び使用のいずれにおいても、第1の抗体及び第2の抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る。
当技術分野では、PRIT又は放射線イメージングの方法は、除去工程を含むことが多い。除去工程は、抗体の投与と放射性標識化合物の投与との間に薬剤を投与することを含み、薬剤は、血液からの抗体の除去速度を増加させ、及び/又は抗体への放射性標識化合物の結合を遮断する。
本明細書に記載の方法及び使用の一実施態様では、本方法は、除去工程を含まない。すなわち、第1の抗体及び第2の抗体の投与と放射性標識化合物の投与との間(すなわち、抗体の投与後であるが放射性標識化合物の投与前)に除去剤又はブロッキング剤を投与する工程を含まない。別の実施態様では、任意に放射線増感剤、免疫療法剤及び/又は化学療法剤以外の薬剤は、第1の抗体及び第2の抗体の投与と放射性標識化合物の投与との間に投与されない。別の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体の投与と放射性標識化合物の投与との間に薬剤は投与されない。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される抗体は、併用療法の一部として投与される場合がある。例えば、それらは、1つ又は複数の放射線増感剤、免疫療法剤及び/又は化学療法剤と組み合わせて投与され得:放射線増感剤、免疫療法剤又は化学療法剤及び抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る。
本明細書に記載の放射線イメージング及び放射免疫療法の方法は、本明細書でさらに論じるように任意選択で組み合わせることができる。
さらなる態様では、本発明は、
i)本明細書に記載の第1の抗体及び第2の抗体と;
ii)第1の抗体と第2の抗体との会合によって形成される抗原結合部位に結合する放射性標識化合物と
を含む、キットを提供する。
任意選択で、キットは、本明細書に記載されるような除去剤又はブロッキング剤を除外し得る(すなわち、含まない)。
任意選択で、キットは、放射線増感剤、免疫療法剤又は化学療法剤をさらに含み得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、同じ薬学的組成物中に存在し得る。他の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、別々の薬学的組成物中に存在し得る。いくつかの実施態様では、放射性標識化合物は、抗体とは別の薬学的組成物中に存在する。
他の実施態様では、本明細書に記載の抗体は、例えばがん治療のための、標的細胞を選択的に死滅させる方法における使用を見出している。
比較例に属する、標的抗原(TA)-DOTAM二重特異性抗体(TA-DOTAM BsAb)、及び例示的TA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の概略的構造を示す図である。 腫瘍細胞上の、スプリット-VH/VL DOTAM結合剤のアセンブリを示す概略図である。TA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体は、DOTAM結合剤の2つのドメインがアセンブルされる標的細胞上の腫瘍抗原(TA)に結合していない限りにおいて、212Pb-DOTAMに有意に結合しないであろう。 除去剤の使用を伴う、3工程TA-PRIT概念の例についての図式的概観を示す図である。 除去剤が使用されない、2工程TA-PRIT概念の例についての図式的概観を示す図である。 CEA結合能を実証するための、スプリット抗体の、MKN45細胞への結合を示す図である。抗体の検出は、ヒトIgGに特異的な二次抗体を使用して行う。 DOTAM結合能を実証するための、スプリット抗体の、MKN45細胞への結合を示す図である。抗体の検出は、Pb-DOTAM-FITCを使用して行う。 図7Aは、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおいて実行される、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLによる2工程PRITのための例示的プロトコール(h=時間、d=日、w=週)を示す。図7Bは、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおいて実行される、3工程PRIT対照のための例示的プロトコール(h=時間、d=日、w=週)を示す。 CEA-スプリット-DOTAM-VH単独、CEA-スプリット-DOTAM-VL単独、若しくは2つの相補的抗体の組み合わせによりプレターゲティングされるか、又は標準的3工程PRITを使用する、212Pb-DOTAMの注射の6時間後における、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、プレターゲティング212Pb-DOTAMの生体内分布を示す図である(1g当たりのID%±SD、n=4)。 SCIDマウスにおけるIV注射の後の、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLの薬物動態を示す図である。 SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、2工程(上)又は3工程(下)のCEA-PRITを含む、プロトコール158の実験デザインを示す図である。CEAスプリットDOTAM BsAbの用量は、2/4コンストラクトにおけるホール/ホール不純物について補償するように調整した。 SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウス(注射の6時間後)における、プレターゲティング212Pb-DOTAMの生体内分布を示す図である。分布は、CEA-DOTAM BsAb、又はCEA-スプリット-DOTAM抗体の二重パラトープの組み合わせによりプレターゲティングされた212Pb-DOTAMの注射の6時間後の、腫瘍保有SCIDマウスにおける、212Pbの分布である。臓器内及び組織内の放射性物質の含有量は、1g当たりの平均ID%±SDとして表される(n=4)。 SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、1サイクルの3工程CEA-PRIT(上)、2工程CEA-PRIT(中)、又は1工程CEA-RITを含む、プロトコール160の実験スケジュールを示す図である。生体内分布(BD)スカウトを、放射性物質注射の24時間後に安楽死させるのに対し、有効性群におけるマウスは、維持し、終結基準に達するまで、注意深くモニタリングした。 SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウス(注射の24時間後)における、プレターゲティング212Pb-DOTAM、及び212Pb-DOTAM-CEA-DOTAMの生体内分布を示す図である。分布は、CEA-DOTAM-プレターゲティング212Pb-DOTAM、又はプレインキュベート212Pb-DOTAM-CEA-DOTAMの注射の24時間後の、腫瘍保有SCIDマウスにおける、212Pbの分布である。臓器内及び組織内の放射性物質の含有量は、1g当たりの平均ID%±SDとして表される(n=3)。 BxPC3モデルにおける、PRIT処置群及び対照(群A~E)について、標準誤差を伴う腫瘍増殖平均(n=10)を示す図である。曲線は、n<5で切り捨てた。垂直方向の点線は、研究デザインに従う、一部の群又は全ての群について、212Pb-DOTAMの投与(20μCi)を指し示す。 BxPC3モデルにおける、PRIT処置群及び対照(群A~E)について、個別の腫瘍増殖曲線(n=10)を示す図である。垂直方向の点線は、212Pb標識化合物の投与(20μCi)を指し示す。 BxPC3モデルにおいて、CEA-PRIT及びCEA-RITで処置されたマウスについて、平均体重減少(群A~E、n=10)を示す図である。曲線は、n<5で切り捨てた。垂直方向の点線は、研究デザインに従う、一部の群又は全ての群について、212Pb標識化合物の投与を指し示す。 212Pb-DOTAMの注射の24時間後における屠殺及び剖検を伴う、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、2工程CEA-PRITを含む、プロトコール175の実験デザインを示す図である。CEA-スプリット-DOTAM-VH-ASTの用量は、ホール/ホール不純物について補償するように調整した。 CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体によりプレターゲティングされた、212Pb-DOTAMの注射の24時間後の、腫瘍保有SCIDマウスにおける、212Pbの分布を示す図である(プロトコール175)。臓器内及び組織内の放射性物質の含有量は、1g当たりの平均ID%±SDとして表される(n=4)。 212Pb-DOTAMの注射の6時間後における屠殺及び剖検を伴う、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、2工程CEA-PRITを含む、プロトコール185の実験デザインを示す図である。CEA-スプリット-DOTAM-VH-AST(CH1A1A)の用量は、ホール/ホール不純物について補償するように調整した。 CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体によりプレターゲティングされた、212Pb-DOTAMの注射の6時間後の、腫瘍保有SCIDマウスにおける、212Pbの分布を示す図である(プロトコール185)。臓器内及び組織内の放射性物質の含有量は、1g当たりの平均ID%±SDとして表される(n=5)。 注射の7日後における、2つの選択されたSC BxPC3腫瘍内のCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL対(VH抗体とVL抗体との組み合わせ)の分布を示す図である。A及びBは、T84.66を標的とする、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLを注射されたマウスA3に由来する腫瘍の切片を示し、この場合、Aは、CEAの発現を示し、Bは、対応するCEA-スプリット-DOTAM-VH/VLの分布を示す。C及びDは、CH1A1Aを標的とする、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLを注射されたマウスC5に由来する腫瘍の切片を示し、この場合、Cは、CEAの発現を示し、Dは、対応するCEA-スプリット-DOTAM-VH/VLの分布を示す。 212Pb-DOTAMの注射の6時間後における屠殺及び剖検を伴う、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、2工程CEA-PRITを含む、プロトコール189の実験デザインを示す図である。CEA-スプリット-DOTAM-VH-AST(CH1A1A)の用量は、ホール/ホール不純物について補償するように調整した。 CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の二重パラトープ対(T84.66及びCH1A1A)によりプレターゲティングされた、212Pb-DOTAMの注射の6時間後の、腫瘍保有SCIDマウスにおける、212Pbの、陽性対照(CH1A1Aだけ)と比較した分布を示す図である。臓器内及び組織内の放射性物質の含有量は、1g当たりの平均ID%±SDとして表される。 スプリット抗体について、FACSにより決定される、平均値蛍光強度(MFI)を示す図である。FACSにより決定されるPb-DOTA-FITCの結合は、両方のスプリット抗体の、Pb-DOTA-FITCとのコインキュベーションだけについて示され得る。単一のスプリット抗体は、有意なシグナルをもたらさなかった。 本明細書で記載される抗体の例示的フォーマットを示す図である。 チップ上において捕捉されたビオチン化DOTAMへの、個別のTA-スプリット-DOTAM-VH抗体、及びTA-スプリット-DOTAM-VL抗体の結合について評価する、実施例11の実験1からの結果を示す図である。 チップ上において捕捉された、個別のTA-スプリット-DOTAM-VH抗体、及びTA-スプリット-DOTAM-VL抗体への、DOTAMの結合について評価する、実施例11の実験2からの結果を示す図である。 チップ上において捕捉されたTA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体(抗体対)への、DOTAMの結合について評価する、実施例11の実験3からの結果を示す図である。 さらに例示的なTA-split-DOTAM-VH/VL抗体の概略構造を示す図である。図29Aは、標的抗原の一価であるフォーマットを示す。図29Bは、標的抗原に対して二価であるフォーマットを示す。 SC BxPC3腫瘍を有するSCIDマウスにおける2段階のSPLIT PRITレジメンを含むプロトコール193の実験デザインを示す図である。 N末端SPLITによってプレターゲティングされた212Pb-DOTAMの注射後6時間の腫瘍担持SCIDマウスにおける212Pbの分布を示す図である(実施例9の結果)。
I.定義
本明細書の目的のために、「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列の変化を含んでもよい。いくつかの実施態様では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
「親和性」は、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一の結合部位の間の非共有性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。一般に、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(K)によって表される。親和性は、本明細書に記載のものを含む当技術分野で一般的な方法により測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例示的方法を以下に記載する。
「親和性成熟」抗体とは、改変を有しない親抗体と比較して、1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)において1つ又は複数の改変を有し、そのような改変によって抗原に対する抗体の親和性を改善する、抗体を指す。
「標的細胞の表面上に発現する抗原に結合する抗体」という用語は、抗体が当該抗原を標的とする際の診断剤及び/又は治療剤として有用であるように十分な親和性で当該抗原に結合することができる抗体を指す。一態様では、無関係な非抗原タンパク質への抗体の結合の程度は、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した場合に、抗原への抗体の結合の約10%未満である。特定の態様では、標的細胞の表面上に発現する抗原に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。抗体は、Kが1μM以下であれば、標的細胞の表面に発現する抗原に「特異的に結合する」と言われる。特定の態様では、抗体は、異なる種からの当該抗原間で保存されている当該抗原のエピトープに結合する。
「エフェクター部分に対する抗原結合部位」又は「エフェクター部分に対する機能的抗原結合部位」という用語は、抗体が、エフェクター部分を抗体と会合させるための診断薬及び/又は治療薬として有用であるように十分な親和性でエフェクター部分に結合することができる、VHドメイン及びVLドメインを含む抗原結合部位を指す。一態様では、無関係な非抗原化合物に対する抗原結合部位の結合の程度は、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される場合、エフェクター部分に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の態様では、エフェクター部分に結合する抗原結合部位は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。100pM、50pM、20pM、10pM、5pM、1pM以下、例えば、0.9pM以下、0.8pM以下、0.7pM以下、0.6pM以下又は0.5pM以下のKを有することが好ましい場合がある。例えば、機能的結合部位は、約1pM~1nM、例えば、約1~10pM、1~100pM、5~50pM、100~500pM又は500pM~1nMのKでエフェクター部分に結合し得る。抗原結合部位は、抗原結合部位が1μM以下のKを有する場合、抗原結合部位はエフェクター部分に「特異的に結合する」と言われる。
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定されないが、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含めた、様々な抗体構造を包含する。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語はまた、機能的抗原結合部位のVHドメイン又はVLドメインのいずれかを含む個々のヘミボディを包含する。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されるものではないが、Fv、Fab、cross-Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv及びscFab);単一ドメイン抗体(dAb);並びに、抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。特定の抗体断片の総説としては、Holliger and Hudson、Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005)を参照されたい。「Fab断片」という用語は、免疫グロブリンの重鎖のVH及びCH1ドメインと、軽鎖のVL及びCLドメインとからなるタンパク質を指す。「Fab’断片」は、CH1ドメインのカルボキシ末端における、抗体のヒンジ領域に由来する、1つ又は複数のシステインを含む残基の添加により、Fab断片と異なる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoにおける半減期を延長させる、Fab断片及びF(ab’)断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
本明細書で使用される場合、「Fab断片」への言及は、cross-Fab断片又はscFab並びに従来のFab断片(すなわち、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖、並びにVHドメイン及びCH1ドメインを含む重鎖断片を含むもの)を含むことを意図している。
「cross-Fab断片」又は「xFab断片」又は「クロスオーバーFab断片」という用語は、重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域のいずれかが交換されたFab断片を指す。cross-Fab断片は、軽鎖可変領域(VL)及び重鎖定常領域1(CH1)から構成されるポリペプチド鎖、並びに重鎖可変領域(VH)及び軽鎖定常領域(CL)から構成されるポリペプチド鎖を含む。明確性のために、Fab軽鎖とFab重鎖の可変領域とが交換されているクロスオーバーFab分子において、重鎖定常領域を含むペプチド鎖は、本明細書ではクロスオーバーFab分子の「重鎖」と呼ばれる。逆に、Fab軽鎖の定常領域とFab重鎖の定常領域とが交換されているクロスオーバーFab分子において、重鎖可変領域を含むペプチド鎖は、本明細書ではクロスオーバーFab分子の「重鎖」と呼ばれる。
本明細書で使用される場合、「一本鎖」という用語は、ペプチド結合によって線状に連結されたアミノ酸単量体を含む分子を指す。一本鎖Fab分子は、Fab軽鎖とFab重鎖とがペプチドリンカーによって接続されて単一のペプチド鎖を形成しているFab分子である。このような特定の実施態様では、一本鎖Fab分子においてFab軽鎖のC末端がFab重鎖のN末端に接続している。
非対称Fabアームはまた、荷電アミノ酸突然変異又は非荷電アミノ酸突然変異を、ドメイン接触面に導入して、適正なFabペアリングを誘導することによっても操作され得る。例えば、国際公開第2016/172485号を参照されたい。
「単鎖可変断片」又は「scFv」とは、ペプチドリンカーにより接続された、抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインの融合タンパク質である。特に、リンカーは10~25個のアミノ酸の短いポリペプチドであり、通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、溶解性のためにセリン又はスレオニンが豊富であり、VHのN末端をVLのC末端に接続することも、その逆も可能である。このタンパク質は、定常領域の除去及びリンカーの導入にも関わらず、元の抗体の特異性を保持している。scFv断片の総説としては、例えば、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい。また、国際公開第93/16185号及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号を参照されたい。
「ブロッキング剤」という用語は、エフェクター分子、特に放射性標識化合物の、そのエフェクター分子に対する機能的結合部位への結合をブロックする薬剤を指す。一般に、当該ブロッキング剤は、エフェクター分子に対する機能的結合部位に結合し、例えば、当該機能的結合部位に特異的に結合する。
「除去剤」という用語は、対象の循環からの抗体のクリアランス速度を増加させる薬剤を指す。一般に、除去剤は抗体に結合し、例えば抗体に特異的に結合する。
本明細書で使用される場合、「除去工程」又は「除去段階」という用語は、ブロッキング剤又は除去剤のいずれかの使用を包含する。いくつかの薬剤は、除去剤及びブロッキング剤の両方として機能することができる。
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する相手である、タンパク質性又は非タンパク質性のいずれかの、抗原上の部位を示す。エピトープは、連続したアミノ酸のストレッチから形成されることも(線状エピトープ)、又は、例えば、抗原の折り畳み、すなわちタンパク質性抗原の三次元折り畳みによって空間的に近接する非連続アミノ酸を含むことも(立体構造エピトープ)可能である。線状エピトープは、典型的には、タンパク質性抗原を変性剤に曝露した後も依然として抗体によって結合されているが、立体構造エピトープは、典型的には、変性剤での処置により破壊される。エピトープは、固有の空間的立体構造の中に少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、又は8~10個のアミノ酸を含む。
特定のエピトープに結合する抗体(すなわち同じエピトープに結合する抗体)のスクリーニングは、例えば、限定的されないが、アラニンスキャニング、ペプチドブロット(Meth.Mol.Biol.248(2004)443-463を参照)、ペプチド切断解析、エピトープ切出し、エピトープ抽出、抗原の化学修飾(Prot.Sci.9(2000)487-496を参照)、及びクロスブロッキング(“Antibodies,”Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harb.,NYを参照)など、当技術分野で常套的な方法を使用してなされ得る。
修飾支援プロファイリング(MAP)としても知られる抗原構造ベースの抗体プロファイリング(ASAP)では、多数に由来する抗体の各々の、化学的に又は酵素的に修飾された抗原表面に対する結合プロファイルに基づき、抗原に特異的に結合する、多数のモノクローナル抗体をビニングすることを可能とする(例えば、米国特許出願公開第2004/0101920号を参照されたい)。各ビン内の抗体は、別のビンにより表されるエピトープと顕著に異なるか、又は部分的に重複する、固有のエピトープであり得る、同じエピトープに結合する。
また、競合結合を使用して、抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するか、又は参照抗体との結合について競合するかどうかを容易に決定することができる。例えば、参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する。また例えば、抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を飽和条件で抗原に結合させることができる。過剰な参照抗体を除去した後、問題の抗体が抗原に結合する能力が評価される。問題の抗体が参照抗体の飽和結合後に抗原に結合できる場合、その問題の抗体は、参照抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。しかし、問題の抗体が参照抗体の飽和結合後に抗原に結合できない場合、問題の抗体は参照抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する可能性がある。問題の抗体が同じエピトープに結合しているのか、又は立体的な理由で結合が妨害されているだけなのかを確認するためには、常套的実験を用いることができる(例えばペプチド突然変異や、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、又は当技術分野で利用可能なその他の定量的又は定性的な抗体結合アッセイを用いた結合分析等)。このアッセイは、2つの設定、すなわち、両方の抗体が飽和抗体である状態で実施されるべきである。両方の設定において、第1の(飽和)抗体のみが抗原に結合できる場合、問題の抗体と参照抗体が抗原への結合に関して競合すると結論付けることができる。
いくつかの態様では、競合結合アッセイで測定して、一方の抗体の1、5、10、20又は100倍過剰が他方の結合を少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、さらには99%以上阻害する場合、2つの抗体は同じ又は重複するエピトープに結合すると見なされる(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50(1990)1495-1502を参照されたい)。
いくつかの態様では、2つの抗体は、一方の抗体の結合を低減させるか又は排除する、抗原内の本質的に全てのアミノ酸変異が他方の結合も低減させるか又は排除する場合、同じエピトープに結合するとみなされる。2つの抗体は、一方の抗体の結合を低減させるか又は排除するアミノ酸変異のサブセットのみが他方の抗体の結合を低減させるか又は排除する場合、「重複するエピトープ」を有するとみなされる。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体の5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAにさらに分けることができる。特定の態様では、抗体は、IgGアイソタイプのものである。特定の態様では、抗体は、Fc領域エフェクター機能を低下させるためのP329G、L234A及びL235A変異を有するIgGアイソタイプのものである。他の態様では、抗体はIgGアイソタイプのものである。特定の態様では、抗体は、IgG抗体の安定性を改善するためにヒンジ領域にS228P変異を有するIgGアイソタイプのものである。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる2つの型のうちのいずれかに割り当てることができる。
「Fcエフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより変わる、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、並びにB細胞活性化が挙げられる。
薬剤、例えば、薬学的組成物の「有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要な投薬量及び所要期間で有効な量を指す。
「タンデムFab」という用語は、ペプチドリンカー/テザーを介して接続された2つのFab断片を含む抗体を指す。いくつかの実施態様では、タンデムFabは、ペプチドリンカー/テザーによって接続された1つのFab断片及び1つのcross-Fab断片を含み得る。
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。本明細書における「Fcドメイン」という用語は、第1の定常領域を除く2つの重鎖の定常領域を含む免疫グロブリンのC末端領域を定義するために使用される。したがって、Fcドメインは、IgA、IgD及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインを指す。この用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。一態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって産生される抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後切断を受けることがある。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現により宿主細胞によって産生された抗体は、完全長重鎖を含んでいても、完全長重鎖の切断されたバリアントを含んでいてもよい。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)とリジン(K447、EUインデックスによる番号付け)である場合に当てはまる。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)が存在してもよく、又は存在していなくてもよい。一態様では、本発明による抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域を含む重鎖は、追加のC末端グリシン-リジンジペプチド(G446及びK447、EUインデックスによる番号付け)を含む。一態様では、本発明による抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域を含む重鎖は、追加のC末端グリシン残基(G446、EUインデックスによる番号付け)を含む。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EU番号付けシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。本明細書で使用される場合、Fcドメインの「サブユニット」は、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドの一方、すなわち、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドの他方と安定に会合することができる免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含むポリペプチドを指す。例えば、IgG Fcドメインのサブユニットは、IgG CH2及びIgG CH3定常ドメインを含む。
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、通常、FR1、FR2、FR3、FR4の4つのFRドメインで構成される。したがって、CDR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)において次の配列で出現する:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2-CDR-H2(CDR-L2)-FR3-CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では互換的に使用され、天然の抗体構造と実質的に同様の構造を有する抗体、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
「融合する」とは、構成要素が、ペプチド結合によって直接的に、又は1つ以上のペプチドリンカーを介して連結することを意味する。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は互換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、該細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞と、継代の数に関係なく、それに由来する子孫とが含まれる。子孫は、核酸の含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含んでいてもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物学的活性を有する変異子孫が本明細書に含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞により産生された抗体のアミノ酸配列又はヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、或いは他のヒト抗体をコードする配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLフレームワーク配列又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を示すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL配列又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3におけるようなサブグループである。一態様では、VLについて、該サブグループは上掲のKabatらにあるようなサブグループカッパIである。一態様では、VHについて、該サブグループは上掲のKabatらにあるようなサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体とは、非ヒトCDR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDRの全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のCDRに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意選択で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列内で超可変であり、抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。
一般に、抗体は6つのCDRを含み、3つがVHにあり(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、3つがVLにある(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)。本明細書における例示的なCDRとしては、
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));並びに
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)及び93-101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))が挙げられる。
特に指示がない限り、CDRは、上掲のKabatらに従い決定される。当業者は、CDRの表記は、上掲のChothia、上掲のMcCallum、又は、任意の他の、科学的に認可された命名システムに従い決定することができることを理解するであろう。上記の代わりに、本明細書に記載のCDR-H1の配列は、例えば、Pb-DOTAM結合可変ドメインについては、Kabat26からKabat35まで延び得る。
一態様では、CDR残基は、配列表又は本明細書の他の箇所で同定されたものを含む。
別途指示がない限り、可変ドメイン内のHVR/CDR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上掲のKabatらに従って番号付けされる。
「イムノコンジュゲート」とは、細胞傷害性剤を含むがそれに限定されない、1つ又は複数の異種分子にコンジュゲートされた抗体である。
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギ及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、個体又は対象は、ヒトである。
本明細書に記載の分子は「単離される」ことができる。「単離された」抗体は、その天然環境の成分から分離された抗体である。いくつかの態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)法によって決定される場合、純度が95%又は99%より高くなるまで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基で構成され、具体的には、プリン塩基又はピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)又はウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボース又はリボース)、及びリン酸基で構成される。多くの場合、核酸分子は塩基の配列によって記述され、前記塩基は核酸分子の一次構造(線状構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’に向かって表される。本明細書において、核酸分子という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、例えば、相補性DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA又はRNAの合成形態、及びこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを包含する。核酸分子は線状又は環状であり得る。これに加え、核酸分子という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖、並びに一本鎖形態及び二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド又は天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。天然に存在しないヌクレオチドの例には、誘導体化された糖又はリン酸骨格結合又は化学的に修飾された残基を有する修飾ヌクレオチド塩基が含まれる。核酸分子は、例えば、宿主又は患者において、in vitro及び/又はin vivoで本発明の抗体の直接的な発現のためのベクターとして適したDNA分子及びRNA分子も包含する。そのようなDNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)ベクターは、修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい。例えば、mRNAは、in vivoで抗体を産生するために対象にmRNAを注入することができるように、RNAベクターの安定性及び/又はコードされた分子の発現を高めるように化学修飾されてもよい。(例えば、Stadler et al,Nature Medicine 2017,published online 12 June 2017,doi:10.1038/nm.4356又はEP2101823 B1を参照されたい)。
「単離された」核酸は、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常は核酸分子を含む細胞に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は染色体外に、又は天然の染色***置とは異なる染色***置に存在する。
「抗体をコードする単離核酸」は、抗体重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ又は複数の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内の核酸分子(複数可)を含み、そのような核酸分子(複数可)は、宿主細胞内の1つ又は複数の場所に存在する。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体が、例えば天然に生じる変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の生成中に生じる、通常少量で存在するバリアントなど、可能性のあるバリアント抗体を除き、同一であり、且つ/又は同じエピトープに結合する。様々な決定基(エピトープ)に対する様々な抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、本発明によるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって製造することができ、これらの方法及びモノクローナル抗体を製造するためのその他の例示的な方法は本明細書に記載されている。
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的組成物中に存在していてもよい。
「天然抗体」は、天然に存在する、様々な構造を有する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端にかけて、各重鎖は可変重ドメイン又は重鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VH)を有し、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)が続いている。同様に、N末端からC末端にかけて、各軽鎖は、可変軽ドメイン又は軽鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VL)を有し、その後に定常軽鎖(CL)ドメインが続いている。
「添付文書」という用語は、そのような治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む、治療用製品の市販のパッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」とは、配列を整列させ、最大の配列同一性パーセントを得るために必要ならばギャップを導入した後、アライメントのためにいかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない場合の、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージであると定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当分野の技術の範囲内にある様々な方法、例えばBLAST、BLAST-2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェア又はFASTAプログラムパッケージなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して得ることができる。当業者であれば、比較される配列の完全長にわたる最大のアライメントを得るために必要なアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。或いは、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて、同一性パーセント値を生成することもできる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成されたもので、そのソースコードは、利用者向け文書と共に米国著作権庁(ワシントンD.C.,20559)に提出されており、そこで米国著作権登録番号TXU510087として登録され、且つ国際公開第2001/007611号に記載されている。
本明細書では、特に断らない限り、アミノ酸配列の同一性パーセント値は、BLOSUM50比較行列と共にバージョン36.3.8c以降のFASTAパッケージのggsearchプログラムを用いて生成される。FASTAプログラムパッケージは、W.R.Pearson及びD.J.Lipman(1988),「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」,PNAS 85:2444-2448;W.R.Pearson (1996)「Effective protein sequence comparison」Meth.Enzymol. 266:227-258;及びPearson et.al.(1997)Genomics 46:24-36によって記載されており、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml.又はwww.ebi.ac.uk/Tools/sss/fastaから公的に入手可能である。代替的に、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiでアクセス可能な公的なサーバーを使用して、ggsearch(global protein:protein)プログラム及びデフォルトオプション(BLOSUM50;オープン:-10;ext:-2;Ktup=2)を用い、ローカルではなくグローバルのアラインメントを確実に行い、配列を比較することができる。アミノ酸の同一性パーセントは、出力アライメントヘッダに示される。
「薬学的組成物」又は「薬学的製剤」という用語は、調製物に含まれる有効成分の生物活性が有効になるような形態をしており、また薬学的組成物が投与されるであろう対象に対して容認できないほど毒性のある追加の成分を含まない、調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」とは、薬学的組成物又は製剤中の有効成分以外の成分を指し、これは対象にとって非毒性である。薬学的に許容される担体には、限定されないが、バッファー、添加物、安定剤又は保存剤が含まれる。
本明細書で使用される標的抗原への言及は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然標的抗原を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていない標的抗原、並びに細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態の標的抗原を包含する。この用語は、標的抗原の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例えば、標的抗原CEAは、ヒトCEA、特にUniProt(www.uniprot.org)アクセッション番号P06731(バージョン119)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_004354.2.に示されるがん胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)のアミノ酸配列を有し得る。標的抗原の別の例は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)である。ヒトFAPのアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)受託番号Q12884(バージョン149)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_004451.2にて示されている。標的抗原の別の例はGPRC5D(UniProt番号Q9NZD1(バージョン115);ヒト配列についてはNCBI RefSeq番号NP_061124.1を参照されたい)である。
本明細書で言及される「スプリット抗体」、「スプリット抗体(複数)」、「単一ドメインスプリット抗体」又は「SPLIT PRIT」という用語は、共にエフェクター部分に結合することができる抗原結合部位を形成するVHドメイン及びVLドメインが2つの抗体間で分割され、同じ抗体の一部として(in vivoでのアセンブリ前に)存在しないことを意味する。「CEA標的SPLIT PRIT」は、CEAを標的とするスプリット抗体を指す。「SPLIT PRIT」という用語はまた、「TA-スプリット-DOTAM-VH/VL」(例えば、「TA」又は標的抗原がCEA、FAP又はGPRC5Dである場合)と互換的に使用され得る。「CEA標的化SPLIT PRIT」という用語は、「CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL」という用語と互換的に使用され得る。
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」(及びその文法的な変化形、例えば、「治療(treat)する」又は「治療すること(treating)」)は、治療される個体において疾患の本来の経過を変えようとする試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。治療の所望の効果としては、疾患の発症又は再発を予防すること、症候の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行率を低下させること、病状の寛解又は緩和、及び回復又は改良された予後が挙げられる。いくつかの態様では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるために、又は疾患の進行を遅らせるために使用される。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。通常、天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH、VL)は、一般に類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの相補性決定領域(CDR)とを備えている。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6thed.,W.H.Freeman and Co.,91頁(2007)を参照されたい)。抗原結合特異性を付与するには、単一のVHドメイン又はVLドメインで十分である。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、その抗原に結合する抗体のVHドメイン又はVLドメインを用いて単離し、相補的なVLドメイン又はVHドメインそれぞれのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880887(1993)、Clarkson et al.,Nature 352:624628(1991)を参照されたい。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を伝播させることができる核酸分子を指す。この用語は、導入された宿主細胞のゲノムに組み入れたベクターだけでなく、自己複製核酸構造体としてのベクターも含む。ある種のベクターは、それが作動可能に結合している核酸の発現を誘導することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」という。
本明細書で使用される場合、「Pb」又は「鉛」という用語は、そのイオン、例えばPb(II)を含む。他の金属への言及には、そのイオンも含まれる。したがって、当業者は、例えば、鉛、Pb、212Pb又は203Pbという用語が元素のイオン形態、特にPb(II)を包含することを意図していることを理解する。
II.組成物及び方法
一態様では、本発明は、部分的に、第1の抗体及び第2の抗体を含む抗体のセットに基づいており、各抗体は標的細胞上の抗原に結合することができるが、エフェクター部分に対する機能的抗原結合部位は、第1の抗体及び第2の抗体が互いに会合している場合にのみ形成される。一実施態様では、本発明による抗体のセットは、細胞死滅/がん治療に有用である。別の実施態様では、本発明の抗体のセットは、例えば、プレターゲティング免疫療法の方法及び/又はプレターゲティングイメージングに有用である。好ましい態様では、そのような方法は、除去剤又はブロッキング剤を投与する工程を排除する。
スプリットフォーマットには、オフターゲット効果を減らすという利点がある。PRITの文脈では、本明細書で実証されているように、除去剤の必要性が回避される。さらに、本明細書に記載の特定のフォーマットは、スプリット抗原結合部位のVHドメインの遊離C末端を回避し、したがって、既存のヒト抗VH(HAVH)自己抗体が関与する抗薬物抗体反応の可能性を減少させる。さらに、理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、本明細書に記載のフォーマットがDOTAM VH/VLの疎水性界面の保護を助け、したがって安定性を補助すると考えている。
A.抗体フォーマット
上記のように、本発明は、エフェクター抗原のVH及びVLドメインが2つの部分に分割されている二重特異性抗体の新規フォーマット、及びそれを使用する方法を提供する。
特に、本発明は、
i)
a)抗原結合部分であって、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、抗原結合部分;
b)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
c)2つのサブユニットを含むFcドメイン
を含む第1の抗体であって、
ここで、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)の抗原結合部分のC末端に融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
該第1の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメインを含まない、第1の抗体;と
ii)
d)抗原結合部分であって、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、抗原結合部分;
e)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
f)2つのサブユニットを含むFcドメイン
を含む第2の抗体であって、
ここで、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって抗原結合部分のC末端に融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
該第2の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメインを含まない、第2の抗体と
を含み;
第1の抗体の前記VHドメイン及び第2の抗体の前記VLドメインは、一緒になってエフェクター部分に対する機能的抗原結合部位を形成することができる、抗体のセットに関する。
融合は直接的であってもよく、例えばペプチドリンカーを介して間接的であってもよい。
いくつかの実施態様では、(a)及び/又は(d)の抗原結合部分はFabであり得る。
(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)のFab断片の重鎖のC末端に融合していることが好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、(a)のFab断片は、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメインを含む重鎖断片とを含み、(b)のポリペプチドは、そのN末端によってCH1ドメインのC末端に融合している。
同様に、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)のFab断片の重鎖のC末端に融合していることが好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、(d)のFab断片は、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメインを含む重鎖断片とを含み、(e)のポリペプチドは、そのN末端によってCH1ドメインのC末端に融合している。
ポリペプチド(b)及び(e)は定常領域(例えば、CH1又はCL)を含まないことが好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、(b)のポリペプチドは、エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)からなること、及び/又は(e)のポリペプチドは、エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)からなることが好ましい場合がある。これは、(a)及び(d)のFab断片の一部を形成する軽鎖の正確なアセンブリを支援し、且つ/又は循環において2つの部分が結合能を有する部分を形成する傾向を減少させる可能性がある。
第1の抗体と第2の抗体の結合により、エフェクター部分に対する機能的抗原結合が1つだけ形成されること、すなわち、会合した2つの抗体がエフェクター部分に対して一価の結合を提供することが好ましい場合がある。したがって、第1の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメインを1つだけ含むことができ、第2の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメインを1つだけ含むことができ、そのため、それらは一緒になって、エフェクター部分に対する完全な機能的結合部位を1つだけ形成する。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体は、標的抗原に結合する別の抗原結合部分、例えば、標的抗原に結合する別のFab断片などの別の抗体断片をさらに含む。したがって、いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体(一般に両方)はそれぞれ、標的抗原に結合できる2つの抗原結合部分を含む。2つの抗原結合部分は、同じ標的抗原に結合できることが好ましい。任意選択で、第1の抗体及び/又は第2の抗体はそれぞれ、標的抗原に結合できる2つ以下の抗原結合部分を含む。他の実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体はそれぞれ、標的抗原に結合できる2つを超える抗原結合部分を含み得る。
一実施態様では、このさらなる抗原結合部分、例えばFab断片は、そのC末端によってFcドメインの他のサブユニットのN末端に融合している。(2本以上の鎖からなるFab又は他の部分の場合、その鎖のうちの1本、例えば重鎖のC末端によって、Fcドメインの他のサブユニットのN末端に融合させることができる)。したがって、一実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体は、各アームが標的抗原に対する結合部位を有する2アーム抗体であってもよい。
したがって、一実施態様では、本発明は、
i)
a)第1のFab断片であって、該Fab断片が、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、第1のFab断片;
b)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットからなるFcドメイン
を含み、
ここで、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)のFab断片の鎖の1つのC末端に融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインの第1サブユニットのN末端に融合しており;
さらに、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する第2のFab断片を含み、第2のFabは、その鎖の1つのC末端によって(c)のFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している、第1の抗体であって;
該第1の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメインを含まない、第1の抗体;と
ii)
d)第1のFab断片であって、該Fab断片が、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、第1のFab断片;
e)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含むか又はそれからなるポリペプチド;並びに
f)第1のサブユニット及び第2のサブユニットを含むFcドメイン、
を含み、
ここで、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)のFab断片の鎖の1つのC末端に融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており;
さらに、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する第2のFab断片を含み、第2のFabは、その鎖の1つのC末端によって(f)のFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており、
該第2の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメインを含まず;
第1の抗体の前記VHドメイン及び第2の抗体の前記VLドメインは、一緒になってエフェクター部分に対する機能的抗原結合部位を形成することができる、抗体のセットに関する。
第1の抗体の第2のFab断片は、その重鎖のC末端によってFcドメインの第2のサブユニットに融合していることが好ましい場合がある。第1の抗体の第2のFab断片は、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメインを含む重鎖断片とを含むこと、並びに第2のFab断片は、そのCH1ドメインのC末端によってFcドメインの第2のサブユニットに融合していることが好ましい場合がある。同様に、第2の抗体の第2のFab断片は、その重鎖のC末端によってFcドメインの第2のサブユニットに融合していることが好ましい場合がある。第2の抗体の第2のFab断片は、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメインを含む重鎖断片とを含むこと、並びに第2のFab断片は、そのCH1ドメインのC末端によってFcドメインの第2のサブユニットに融合していることが好ましい場合がある。
第1の抗体の第1及び第2の抗原結合部分(例えば、Fab断片)が互いに同じ標的抗原に結合する、すなわち、第1の抗体が標的抗原に対して二価であることが好ましい場合がある。同様に、第2の抗体の第1及び第2の抗原結合部分(例えば、Fab断片)が互いに同じ標的抗原に結合する、すなわち、第2の抗体が標的抗原に対して二価であることが好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体も、互いに同じ標的抗原に結合する。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体は多価(例えば二価)であり、標的抗原のエピトープに対して単一特異性である。したがって、いくつかの実施態様では、第1の抗体の第1及び第2の抗原結合部分(例えば、Fab断片)は、互いに標的抗原の同じエピトープに結合し、且つ/又は第2の抗体の第1及び第2の抗原結合部分(例えば、Fab断片)は、互いに標的抗原上の同じエピトープに結合する。好ましくは、第1の抗体及び第2の抗体によって結合される標的抗原は同じである。いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体も、その標的抗体内の同じエピトープに互いに結合する。したがって、第1の抗体の第1及び第2のFab、又は第2の抗体の第1及び第2のFab、又は4つ全てのFabの可変ドメイン配列(VH及びVL)は、いくつかの実施態様では同じであり得る。
他の実施態様では、第1の抗体と第2の抗原は同じ標的抗原に結合するが、それぞれがその標的抗原上の異なるエピトープに結合する-例えば、第1の抗体の第1及び第2のFab断片は標的抗原のエピトープAに結合し、第2の抗体の第1及び第2のFab断片はその標的抗原のエピトープBに結合する。
いくつかの実施態様では、第1の抗体は以下のペプチド:
i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第1の重鎖ポリペプチド;
ii)(i)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);
iii)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第2の重鎖ポリペプチド;並びに
iv)(iii)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するさらなるFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)
を含み得る。
任意選択で、(i)のFab重鎖は、(iii)のFab重鎖と同じ配列を有し、(ii)及び(iv)のFab軽鎖は、互いに同じ配列を有する。
第2の抗体は以下のペプチド:
v)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第1の重鎖ポリペプチド;
vi)(v)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);
vii)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第2の重鎖ポリペプチド;並びに
viii)(vii)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するさらなるFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)
を含み得る。
任意選択で、(v)のFab重鎖は、(vii)のFab重鎖と同じ配列を有し、(vi)及び(viii)のFab軽鎖は、互いに同じ配列を有する。
任意選択で、(i)、(iii)、(v)及び(vii)のFab重鎖は互いに同じ配列を有し、(ii)、(iv)、(vi)及び(viii)のFab軽鎖は互いに同じ配列を有する。
場合によっては好ましい他の実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体はそれぞれ、標的抗原に特異的に結合できる単一の抗原結合部分を有する。したがって、第1の抗体及び/又は第2の抗体は、標的抗原に対して単一特異性及び一価であり得る。好ましくは、第1の抗体及び第2の抗体は、互いに同じ標的抗原に、同じエピトープで、或いは異なるエピトープで結合する。
一実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体は1アーム抗体である。このような実施態様では、(b)のポリペプチドに融合していない第1の抗体のFcサブユニットは、他の抗原結合部分にも融合しておらず;且つ/又は(e)のポリペプチドに融合していない第2の抗体のFcサブユニットは、他の抗原結合部分にも融合していない。したがって、Fcドメインは、Fdを欠くサブユニットを含み得る。いくつかの実施態様では、抗体を構成するポリペプチドの1つは、Fcサブユニットからなるか、又は本質的にFcサブユニットからなり得る。
したがって、いくつかの実施態様では、第1の抗体は以下のポリペプチド:
i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチド;
ii)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);並びに
iii)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)
を含み得;
ここで、(i)のFab重鎖及び(ii)のFab軽鎖は、標的抗原に結合することができるFab断片を形成する。
第2の抗体は以下のポリペプチド:
iv)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチド;
v)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);並びに
vi)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)
を含み得;
ここで、(iv)のFab重鎖及び(v)のFab軽鎖は、標的抗原に結合することができるFab断片を形成する。
これらの1アーム抗体のいくつかの実施態様では、(i)及び(iv)のFab重鎖は、互いに同じ配列を有し得;且つ、ii)及び(v)のFab軽鎖ポリペプチドは、互いに同じ配列を有し得る。
抗体が異なるパラトープを有する(例えば、異なる抗原及び/又はエピトープに結合する)2つのFab断片を含む任意の実施態様では、
Fabの一方が従来のFab(重鎖VH-CH1及び軽鎖VL-CLを含む)であり、他方がcross-Fab又はscFabであることが好ましい場合がある。第1の特異性/可変ドメイン配列を有するFabは従来のFabであり得、第2の特異性/可変ドメイン配列を有するFabはcross-Fab又はscFabから選択され得る。これにより、軽鎖の誤対合の可能性が減少する。
上記のいずれにおいても、抗原結合部分は、Fcドメインに融合していてもよく、或いは互いに直接的に、又1つ若しくは複数のアミノ酸を含むペプチドリンカーを介して融合していてもよい。ペプチドリンカーは当技術分野において既知であり、本明細書に記載される。リンカー(例えば、Fab断片とエフェクター部分に対するVH/VLとの間のリンカー、及び/又はエフェクター部分に対するVH/VLとFcドメインとの間のリンカー)は、少なくとも5アミノ酸又は少なくとも10アミノ酸、好ましくは5~100アミノ酸、例えば、10~70、10~60、又は10~50アミノ酸のペプチドであり得る。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが15~30アミノ酸、例えば、15~25、例えば、16、17、18、19、20、21、22、23又は24アミノ酸長であることが好ましい場合がある。リンカーは、剛直なリンカーであっても、柔軟なリンカーであってもよい。いくつかの実施態様では、それは、Thr、Ser、Gly及び/又はAla残基を含むか、又はそれらからなる柔軟なリンカーである。例えば、それは、Gly残基及びSer残基を含むか、又はそれらから構成され得る。いくつかの実施態様では、それは、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)nなどの反復モチーフを有し得、ここで、nは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(GS)、(SG、(GS)又はG(SGペプチドリンカーが挙げられ、ここで、「n」は典型的には1~10の間、典型的には2~4の間の数である。前記ペプチドリンカーは、(GxS)n又は(GxS)nGmであり、G=グリシン、S=セリン、及び(x=3、n=3、4、5又は6、及びm=0、1、2又は3)、又は(x=4、n=2、3、4又は5、及びm=0、1、2又は3)、例えば、x=4及びn=2又は3、例えば、x=4、n=2である。いくつかの実施態様では、リンカーは、配列GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号31)を含む。別の実施態様では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGSGG(配列番号148)又はGGGGSGGGGSGGGGSGGSGGS(配列番号149)又はGGGGSGGGGSGGGGSGGSGGG(配列番号150)であるか、又はそれらを含み得る。別の例示的なペプチドリンカーは、EPKSC(D)-(GS)(配列番号151)である。さらに、抗原結合部分がFcドメインサブユニットのN末端に融合される場合、追加のペプチドリンカーの有無にかかわらず、免疫グロブリンヒンジ領域又はその一部を介して融合されてもよい。
本発明者らは、y個のアミノ酸からなるペプチドリンカーにおいて、y位のSer(すなわち、リンカーの最後の/C末端アミノ酸としてのSer)が、このy+2アミノ酸の性質に応じて、y+2アミノ酸(すなわち、リンカーの最後のアミノ酸からC末端方向に2残基に位置するアミノ酸)のグリコシル化を誘導し得ることを決定した。したがって、リンカーの最後のセリン残基がy-2位又はy-3位に配置されること(すなわち、リンカーの最後のセリン残基が、リンカーの最後のアミノ酸からN末端方向に2又は3位のアミノ酸にあること)が好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、リンカーは、Gly及びSerからなる群から選択されるy個の連続するアミノ酸残基からなり得、例えば、ここで、y=少なくとも5、又は少なくとも10且つ100以下、例えば、5~100、10~70、10~60、又は10~50、例えば、15~31若しくは15~30、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25;最後のセリンは、y-2位又はy-3位にある。(したがって、y-2位にセリンが存在し、y-1位及びy位にグリシンが存在してもよく;又は、y-3位にセリンが存在し、y-2位、y-1位及びy位にグリシンが存在してもよい)。いくつかの実施態様では、y=20又は21であることが好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、リンカーは、(GxS)n(GGSGG)又は(GxS)n(GGSGGG)(G=グリシン、S=セリン、x=4、n=1~20、例えば1~10、例えば2、3、4、5、6、7、8、又は9、例えばn=2~4)であることが好ましい場合がある。例えば、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGSGG(配列番号148)又はGGGGSGGGGSGGGGSGGSGGG(配列番号150)であり得る。
上記の抗体のセットのいずれかの特定の実施態様では、FcドメインはIgG Fcドメインである。特定の実施態様では、FcドメインはIgG1 Fcドメインである。別の特定の実施態様では、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインである。さらにより具体的な実施態様では、Fcドメインは、アミノ酸置換S228P(Kabat番号付け)を含むIgG4 Fcドメインである。特定の実施態様では、該FcドメインはヒトFcドメインである。
Fc領域は、Fcエフェクター機能を低減させるか又は排除するように操作されることが好ましい場合がある。これには、Fc領域残基234、235、238、265、269、270、297、327及び/又は329のうちの1つ又は複数、例えば、234、235、及び/又は329のうちの1つ又は複数の置換が含まれ得る。いくつかの実施態様では、Fc領域は、Pro329からGlyへ、Leu234からAlaへ、及び/又はLeu235からAlaへの置換(EUインデックスによる番号付け)を含むように操作され得る。Fcエフェクター機能を低減するための修飾については、以下でさらに説明する。
多重特異性抗体を作製するために知られている技術は、本明細書に記載のヘテロ二量体を作製するためにも使用できる。これらは、異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現((Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)を参照されたい)、及び「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号;及びAtwell et al.,J.Mol.Biol.270:26(1997)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。他の方法は、抗体Fcヘテロダイマー分子を作製するための、静電ステアリング効果の操作(例えば、国際公開第2009/089004号を参照されたい);2つ又はこれを超える抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号;及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい);ロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)及び国際公開第2011/034605号を参照されたい);及び軽鎖ミスペアリング問題を回避するための一般的な軽鎖技術の使用(例えば、国際公開第98/50431号を参照されたい)を含む。
上述の完全長抗体のCH3ドメインは、「ノブ・イントゥー・ホール」技術によって改変することができ、この技術については、例えば国際公開第96/027011号、Ridgway,J.B.,et al.,Protein Eng 9(1996)617-621;及びMerchant,A.M.,et al.,Nat Biotechnol 16(1998)677-681にいくつかの例を示して詳しく記載されている。この方法では、2つのCH3ドメインの相互作用表面が、これら2つのCH3ドメインを含む両方の重鎖のヘテロ二量体化を増加させるように改変される。(2つの重鎖の)2つのCH3ドメインのそれぞれは「ノブ」であることができ、他方は「ホール」である。例えば、一方はいわゆる「ノブ変異」(T366W及び場合によりS354C又はY349Cの一方)を含み、他方はいわゆる「ホール変異」(T366S、L368A又及びY407V並びに場合によりY349C又はS354C)(例えば、Carter,P.et al.,Immunotechnol.2(1996)73を参照されたい)を含む。
ジスルフィド架橋の導入は、ヘテロ二量体を安定化し(Merchant,A.M.,et al.,Nature Biotech 16(1998)677-681;Atwell,S.,et al.,J.Mol.Biol.270(1997)26-35)、収率を高めるために、追加又は代替として使用することができる。
したがって、いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体はさらに、以下の点で特徴づけられる:完全長抗体の一方の重鎖のCH3ドメインと完全長抗体の他方の重鎖のCH3ドメインはそれぞれ、抗体CH3ドメイン間の元の接触面を構成する接触面で会合する;ここで、前記接触面は抗体の形成を促進するように改変され、その改変は以下のことを特徴とする:
a)一方の重鎖のCH3ドメインが、抗体内の他方の重鎖のCH3ドメインの元の接触面と会合する一方の重鎖のCH3ドメインの元の接触面内で、アミノ酸残基が、側鎖の体積が大きなアミノ酸残基で置きかえられ、これにより、一方の重鎖のCH3ドメインの接触面内に***を生成し、これが、他方の重鎖のCH3ドメインの接触面内の空洞内に配置されるように変更され;
且つ
b)他方の重鎖のCH3ドメインが、抗体内の第1のCH3ドメインの元の接触面と会合する第2のCH3ドメインの元の接触面内で、アミノ酸残基が、側鎖の体積が小さなアミノ酸残基で置きかえられ、これにより、第2のCH3ドメインの接触面内に空洞を生成し、この中に、第1のCH3ドメインの接触面内の***が配置されるように変更される。
より大きな側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群から選択されてもよい。より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)からなる群から選択されてもよい。
場合により、いくつかの実施態様では、両方のCH3ドメインは、両方のCH3ドメイン間にジスルフィド架橋が形成され得るように、各CH3ドメインの対応する位置にアミノ酸としてシステイン(C)を導入することによってさらに改変される。
いくつかの実施態様では、多重特異性(例えば、バイパラトープ)抗体は、それに含まれるFab分子(cross-Fab分子を含む)において、結合アームの1つ(又は3つ以上の抗原結合Fab分子を含む分子の場合は複数)でVH/VL交換を伴うFabベースの二重/多重特異性抗原結合分子の産生中に生じ得る、軽鎖と不一致の重鎖との誤対合(Bence-Jones型副生成物)を減少させるのに特に効果的であるアミノ酸置換を含んでもよい(その全体が本明細書に参考として組み込まれるPCT国際公開第2015/150447号、特にその中の実施例も参照)。所望される多重特異性抗体の、所望されない副産物、特に、それらの結合アームのうちの1つにおいて生じるBence-Jones型副産物と比較した比率は、Fab分子の、CH1ドメイン内及びCLドメイン内の特定のアミノ酸位置において、反対の電荷を有する荷電アミノ酸の導入(本明細書では、場合によって、「電荷修飾」と称される)により改善され得る。
したがって、いくつかの実施態様では、Fab分子を含む本発明の抗体は、本明細書に記載の電荷修飾を含む重鎖定常ドメインCH1ドメイン、及び本明細書に記載の電荷修飾を含む軽鎖定常CLドメインを有する少なくとも1つのFabを含む。
電荷修飾は、本発明の抗体に含まれる従来のFab分子、又は本発明の抗体に含まれるクロスオーバーFab分子のいずれかで行うことができる(両方ではない)。特定の実施態様では、電荷修飾は、本発明の抗体に含まれる従来のFab分子において行われる。
いくつかの実施態様では、電荷修飾を含む軽鎖定数ドメインCL及び電荷修飾を含む重鎖定数ドメインCH1を含むFab又はcross-Fabにおいて、軽鎖定数ドメインCLにおける電荷修飾は、124位、任意選択で123位(Kabatによる番号付け)にあり、重鎖定数ドメインCH1における電荷修飾は、147位及び/又は213位(Kabat EUインデックスによる番号付け)にある。いくつかの実施態様では、軽鎖定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸は、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)(Kabatによる番号付け)によって(好ましい一実施態様では、独立して、リジン(K)によって)置換されており、重鎖定常ドメインCH1において、147位のアミノ酸及び/又は213位のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)(KabatEUインデックスによる番号付け)によって置換されている。
B.標的抗原
標的細胞の表面上に発現される抗原は、本明細書では「標的抗原」又は「標的細胞抗原」とも呼ばれる。これらの用語は、本明細書では互換的に使用される。
本発明は、治療方法及びその中で使用するための製品に関する限り、患者の細胞、例えば疾患細胞を標的とする細胞傷害活性によって治療可能な任意の症状に適用可能である。したがって、標的細胞は、細胞傷害性を標的とすることが望ましい任意の細胞、例えば、任意の疾患細胞である。治療は、好ましくは腫瘍又はがんの治療である。しかしながら、本発明の適用性は、腫瘍及びがんに限定されない。例えば、治療はまた、ウイルス感染(感染細胞を標的とすることによる)又はT細胞駆動型自己免疫疾患(T細胞を標的とすることによる)の治療であり得る。感染細胞の表面に発現するウイルス抗原に対する免疫毒素は、HIV、狂犬病及びEBV等の様々なウイルス感染について調査されている。Cai and Berger 2011 Antiviral Research 90(3):143-50は、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスに感染した細胞の標的化死滅のために、PE38を含有する免疫毒素を使用した。さらに、Resimmune(登録商標)(A-dmDT390-bisFv(UCHT1))は、ヒト悪性T細胞を選択的に死滅させ、正常T細胞を一過性に枯渇させ、多発性硬化症及び移植片対宿主病等のT細胞駆動型の自己免疫疾患、並びに臨床試験を受けているT細胞血液がんの治療の可能性を有すると考えられている。同様に、本発明の方法は、がん細胞又は腫瘍細胞を含むがこれらに限定されない、イメージングが望ましい任意の細胞型に適用可能であり得る。
したがって、適切な標的抗原としては、がん細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗原が挙げられ得る。
抗原は、通常、過剰発現又は異常時のいずれかで発現される正常細胞表面抗原である。理想的には、標的抗原は疾患細胞(腫瘍細胞等)上でのみ発現されるが、これは実際にはめったに観察されない。結果として、標的抗原は、通常、疾患組織と健康な組織との間の差次的発現に基づいて選択される。
細胞表面マーカー又は標的抗原は、例えば、腫瘍関連抗原であり得る。
本明細書で使用される場合、「腫瘍関連抗原」又は「腫瘍特異的抗原」という用語は、抗原が腫瘍(複数可)及び/又はがん(複数可)に関連するように、腫瘍細胞及び/又はがん細胞、又はがん関連線維芽細胞等の腫瘍の間質の他の細胞によって単独で又は優勢に発現又は過剰発現される任意の分子(例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物等)を指す。腫瘍関連抗原は、正常細胞、非腫瘍細胞又は非がん性細胞によってさらに発現され得る。しかしながら、そのような場合、正常細胞、非腫瘍細胞又は非がん性細胞による腫瘍関連抗原の発現は、腫瘍又はがん細胞による発現ほど頑強ではない。これに関して、腫瘍又はがん細胞は、正常細胞、非腫瘍細胞又は非がん性細胞による抗原の発現と比較して、抗原を過剰発現するか、又は有意に高いレベルで抗原を発現することができる。また、腫瘍関連抗原は、発達又は成熟の異なる状態の細胞によってさらに発現され得る。例えば、腫瘍関連抗原は、胚段階又は胎児段階の細胞によってさらに発現され得、この細胞は通常、成体宿主には見られない。或いは、腫瘍関連抗原は、幹細胞又は前駆細胞によってさらに発現され得、これらの細胞は通常、成体宿主には見られない。
腫瘍関連抗原は、本明細書に記載のがん及び腫瘍を含む任意のがん又は腫瘍の任意の細胞によって発現される抗原であり得る。腫瘍関連抗原は、腫瘍関連抗原が1種類のがん又は腫瘍のみに関連する又は1種類のがん又は腫瘍のみに特徴的であるように、1種類のがん又は腫瘍のみの腫瘍関連抗原であり得る。或いは、腫瘍関連抗原は、2種類以上のがん又は腫瘍の腫瘍関連抗原(例えば、特徴的であってもよい)であり得る。例えば、腫瘍関連抗原は、乳がん細胞及び前立腺がん細胞の両方によって発現され得、正常細胞、非腫瘍細胞又は非がん細胞によっては全く発現され得ない。
本発明の抗体が結合し得る例示的な腫瘍関連抗原としては、限定されるものではないが、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、ムチン1(MUCl;腫瘍関連上皮ムチン)、優先的に発現するメラノーマの抗原(PRAME)、がん胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、PSCA、EpCAM、Trop2(トロホブラスト-2、EGP-1としても知られる)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体(GM-CSFR)、CD56、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2/neu)(erbB-2としても知られる)、CDS、CD7、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP)I及びTRP2が挙げられる。別の実施態様では、腫瘍抗原は、分化抗原群(CD)19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD30、CD33(シアル酸結合Ig様レクチン3、骨髄系細胞表面抗原)、CD79b、CD123(インターロイキン3受容体アルファ)、トランスフェリン受容体、EGF受容体、メソテリン、カドヘリン、ルイスY、グリピカン-3、FAP(線維芽細胞活性化タンパク質アルファ)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体クラスC群5メンバーD)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、CA9=CAIX(炭酸脱水酵素IX)、Ll CAM(神経細胞接着分子L1)、エンドシアリン、HER3(上皮増殖因子受容体ファミリーメンバー3の活性化コンフォメーション)、Alkl/BMP9複合体(未分化リンパ腫キナーゼ1/骨形成タンパク質9)、TPBG=5T4(トロホブラスト糖タンパク質)、ROR1(受容体チロシンキナーゼ様表面抗原)、HER1(上皮成長因子受容体の活性化コンフォメーション)及びCLL1(C型レクチンドメインファミリー12、メンバーA)からなる群から選択され得る。メソテリンは、例えば、卵巣がん、中皮腫、非小細胞肺がん、肺腺癌腫、卵管がん、頭頸部がん、子宮頸がん、及び膵臓がんにおいて発現される。CD22は、例えば、有毛細胞白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、及び急性リンパ性白血病(ALL)で発現される。CD25は、例えば、有毛細胞白血病及びホジキンリンパ腫を含む白血病及びリンパ腫において発現される。ルイスY抗原は、例えば、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、肺がん、及び膵臓がんにおいて発現される。CD33は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄単球性白血病(CML)、及び骨髄増殖性障害で発現される。
腫瘍関連抗原に特異的に結合する例示的な抗体としては、限定されるものではないが、トランスフェリン受容体に対する抗体(例えば、HB21及びそのバリアント)、CD22に対する抗体(例えば、RFB4及びそのバリアント)、CD25に対する抗体(例えば、抗Tac及びそのバリアント)、メソテリンに対する抗体(例えば、SS1、MORAb-009、SS、HN1、HN2、MN、MB、及びそれらのバリアント)、及びルイスY抗原に対する抗体(例えば、B3及びそのバリアント)が挙げられる。これに関して、標的化部分(細胞結合剤)は、B3、RFB4、SS、SS1、MN、MB、HN1、HN2、HB21及びMORAb-009、並びにそれらの抗原結合部分からなる群から選択される抗体であり得る。本発明のキメラ分子における使用に適したさらなる例示的な標的化部分は、例えば、米国特許第5,242,824号(抗トランスフェリン受容体);特許文献第5,846,535号(抗CD25);特許文献第5,889,157号(抗ルイスY);特許文献第5,981,726(抗ルイスY);5,990,296号(抗ルイスY);特許文献第7,081,518号(抗メソテリン);特許文献第7,355,012号(抗CD22及び抗CD25);特許文献第7,368,110号(抗メソテリン);特許文献第7,470,775号(抗CD30);特許文献第7,521,054号(抗CD25);及び特許文献第7,541,034号(抗CD22);米国特許出願公開第2007/0189962号(抗CD22);Frankel et al.,Clin.Cancer Res.,6:326-334(2000)、及びKreitman et al.,AAPS Journal,8(3):E532-E551(2006)に開示されている(これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。
Cripto、CD30、CD19、CD33、糖タンパク質NMB、CanAg、Her2(ErbB2/Neu)、CD56(NCAM)、CD22(Siglec2)、CD33(Siglec3)、CD79、CD138、PSCA、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、BCMA、CD20、CD70、E-セレクチン、EphB2、メラノトランスフェリン、Muc16及びTMEFF2を含む特定の腫瘍関連抗原を標的とするさらなる抗体が産生されている。これらのいずれか又はその抗原結合断片は、本発明において有用であり得る、すなわち、本明細書に記載される抗体に組み込まれ得る。
本発明のいくつかの実施態様では、腫瘍関連抗原ががん胎児性抗原(CEA)であることが好ましい場合がある。
CEAは、比較的ゆっくりと内在化され、したがって、放射性核種への結合のために、初期処置後に高い割合の抗体が細胞の表面で利用可能なままであるため、本発明との関連において有利である。他の低内在化標的/腫瘍関連抗原も好ましい場合がある。腫瘍関連抗原の他の例としては、CD20又はHER2が挙げられる。なおさらなる実施態様では、標的は、EGP-1(トロホブラスト-2としても知られる上皮糖タンパク質-1)、結腸特異的抗原-p(CSAp)又は膵臓ムチンMUC1であり得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれるGoldenberg et al 2012 (Theranostics 2(5))を参照されたい。この参考文献はまた、CSApに結合するMu-9(Sharkey et al Cancer Res.2003;63:354-63も参照されたい)、MUC1に結合するhPAM4(Gold et al Cancer Res.2008:68:4819-26も参照されたい)、CD20に結合するバルツズマブ(Sharkey et al Cancer Res.2008;68:5282-90も参照されたい)、及びEGP-1に結合するhRS7(Cubas et al Biochim Biophys Acta 2009;1796:309-14も参照されたい)等の抗体を記載する。これらのいずれか又はその抗原結合部分は、本発明において有用であり得る、すなわち、本明細書に記載される抗体に組み込まれ得る。CEAに対して産生された抗体の一例は、T84.66(NCBIアクセッション番号CAA36980(重鎖)及びCAA36979(軽鎖)に示される、又は国際公開第2016/075278号の配列番号317及び318に示される)、並びにそのヒト化型及びキメラ型、例えば国際公開第2016/075278号A1及び/又は国際公開第2017/055389号に記載されているT84.66-LCHAである。別の例は、国際公開第2012/117002号及び国際公開第2014/131712号に記載されている抗CEA抗体であるCH1A1a、及びCEA hMN-14である(米国特許第6676924号及び米国特許第5874540号も参照されたい)。別の抗CEA抗体は、M.J.Banfield et al,Proteins 1997,29(2),161-171に記載されているA5B7である。マウス抗体A5B7に由来するヒト化抗体は、国際公開第92/01059号及び国際公開第2007/071422号に開示されている。また、同時係属出願である、PCT/EP2020/067582も参照されたい。A5B7のヒト化型の例は、A5H1EL1(G54A)である。CEAに対するさらなる例示的抗体は、米国特許第7626011号及び/又は同時係属出願PCT/EP2020/067582号に記載されているMFE23及びそのヒト化バージョンである。CEAに対する抗体のなおさらなる例は28A9である。これらのいずれか又はその抗原結合断片は、本発明においてCEA結合部分を形成するのに有用であり得る。
FAP(線維芽細胞活性化タンパク質アルファ)又はGPRC5D(Gタンパク質共役受容体クラスC群5メンバーD)もまた、いくつかの実施態様では好ましい場合がある。FAPは、多数の腫瘍タイプ(例えば、膵臓がん、乳がん、及び肺がん)の微小環境におけるその広範な発現のため、イメージング及び治療のための確立された標的である(Lindner,T.,Loktev,A.,Giesel,F.et al.Targeting of activated fibroblasts for imaging and therapy.EJNMMI radiopharm.chem.4,16(2019))。したがって、本発明の一実施態様では、FAPを標的抗原として使用するSPLIT PRITは、活性化されたがん関連線維芽細胞上に212Pb-DOTAMの特異的蓄積を生じさせると予想されるであろう。結果として、放出されたアルファ放射線は、隣接する腫瘍細胞に対する限定された直接的な殺腫瘍効果に加えて、FAP発現悪性腫瘍の免疫抑制に悪影響を及ぼすと予想されるであろう。Gタンパク質共役受容体ファミリーC5群メンバーD(GPRC5D)は、多発性骨髄腫形質細胞上で、過剰発現され(Atamaniuk J,Gleiss A,Porpaczy E,Kainz B,Grunt TW,Raderer M,et al.Overexpression of G protein-coupled receptor 5D in the bone marrow is associated with poor prognosis in patients with multiple myeloma.Eur J Clin Invest.2012;42:953-60)、確立されたSC(皮下)in vivoモデル、例えば、OPM-2及びNCI-H929は、多発性骨髄腫患者において見出される発現を反映する(Kodama T,Kochi Y,Nakai W,Mizuno H,Baba T,Habu K,et al.Anti-GPRC5D/CD3 bispecific T-cell-redirecting antibody for the treatment of multiple myeloma.Mol Cancer Ther.(2019)18:1555-64)。したがって、本発明の一実施態様では、我々は、標的抗原としてGPRC5Dを使用するSPLIT PRITにより、212Pb-DOTAMの腫瘍特異的蓄積を生じさせ、続いて放射線誘導性腫瘍細胞死を引き起こすと予想する。
いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、標的抗原(例えば、本明細書中で論じられる任意の標的抗原)に特異的に結合し得る。いくつかの実施態様では、それらは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば10-7M以下、例えば10-7~10-13、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(K)で結合し得る。
一実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体はそれぞれ、「抗原A」と呼ぶことができる同じ標的抗原に結合することができる(すなわち、それらは同じ標的抗原に対して結合特異性を有する)。それらはそれぞれ、抗原A上の同じエピトープに対して結合特異性を有する可能性がある。あるいは、第1の抗体は抗原A上の第1のエピトープに結合し得、第2の抗体は抗原A上の異なる第2のエピトープに結合し得る。例えば、一実施態様では、抗体の一方はCEAのT84.66エピトープに結合し得、他方はCEAのA5B7エピトープに結合し得る。いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体の一方又は両方は、抗原Aに対してバイパラトープであってもよい、すなわち、個々の抗体のそれぞれは、抗原Aの2つの異なるエピトープに結合してもよい。第1の抗体は、抗原Aの第1のエピトープ及び第2のエピトープにそれぞれ結合する第1の結合部位及び第2の結合部位を含む場合があり、第1のエピトープ及び第2のエピトープは互いに異なる。代替的に又は追加的に、第2の抗体は、抗原Aの第1のエピトープ及び第2のエピトープに結合する第1の結合部位及び第2の結合部位を含む場合があり、第1のエピトープ及び第2のエピトープは互いに異なる。いくつかの実施態様では、第1の抗体によって結合されるエピトープの一方又は両方は、第2の抗体によって結合されるエピトープの一方又は両方と異なっていてもよい。他の実施態様では、第1の抗体によって結合される2つのエピトープは、第2の抗体によって結合される2つのエピトープと同じであり得る。
別の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、それぞれ抗原A及び抗原Bと呼ばれ得る異なる標的抗原にそれぞれ結合し得る。
C.エフェクター部分
本発明によれば、第1の抗体及び第2の抗体の会合は、エフェクター部分に対する機能的結合部位を形成する。
特定の一実施態様では、本発明によるエフェクター部分は、薬物、細胞毒素、造影剤、及び放射性標識化合物から選択される。
特定の実施態様では、本発明によるエフェクター部分は、放射性同位体を含む放射性標識化合物であり、例えば放射性標識ハプテンである。
いくつかの実施態様では、エフェクター分子は、キレート化放射性同位体を含み得る。
いくつかの実施態様では、エフェクター分子に対する機能的結合部位は、キレート剤及び放射性同位体を含むキレートに結合し得る。他の実施態様では、抗体は、キレート化放射性同位体にコンジュゲートされた部分、例えば、ヒスタミン-スクシニル-グリシン(HSG)、ジゴキシゲニン、ビオチン又はカフェインに結合し得る。
キレート剤は、例えば、アミノポリカルボン酸若しくはアミノポリチオカルボン酸等の多座分子、又はその塩若しくは官能性バリアントであり得る。キレート剤は、例えば、二座又は三座又は四座であり得る。適切な金属キレート剤の例としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸、又はCaNaEDTA等の塩形態)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DOTA(1,4,7,10テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10四酢酸)、NOTA(2,2’、2’’-(1,4,7-トリアザノナン-1,4,7トリイル)三酢酸)、IDA(イミノ二酢酸)、MIDA((メチルイミノ)二酢酸)、TTHA(3,6,9,12-テトラキス(カルボキシメチル)-3,6,9,12テトラ-アザテトラデカン二酸)、TETA(2,2’、2’’、2’’’-(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11テトライル)四酢酸)、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10テトラアザシクロドデカン)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-ヘキサ酢酸、テキサス州プレイノのMacrocyclics,Inc.入手可能)、NTA(ニトリロ三酢酸)EDDHA(エチレンジアミン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)、BAL(2,3,-ジメルカプトプロパノール)、DMSA(2,3-ジメルカプトコハク酸)、DMPS(2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸)、D-ペニシラミン(B-ジメチルシステイン)、MAG(メルカプトアセチルトリグリシン)、Hynic(6-ヒドラジノピリジン-3-カルボン酸)、p-イソチオシアナトベンジル-デスフェリオキサミン(例えば、イメージングのためジルコニウムで標識される)、及び金属をキレートすることができるその塩又は機能的バリアント/誘導体を含む分子が挙げられる。いくつかの実施態様では、キレート剤は、金属をキレート化することができるDOTA若しくはDOTAM又はその塩若しくは機能的バリアント/誘導体であることが好ましい場合がある。したがって、キレート剤は、放射性同位体がキレート化されたDOTA若しくはDOTAMであってもよく、又はDOTA若しくはDOTAMを含んでもよい。
エフェクター分子は、放射性核種と共に、上記のキレート剤の機能的バリアント又は誘導体を含むか、又はそれらからなり得る。適切なバリアント/誘導体は、ある程度異なっており、キレート剤として機能する能力を保持している構造を有する(すなわち、本明細書に記載の目的の1つ又は複数のために使用されるのに十分な活性を保持する)。機能的バリアント/誘導体はまた、小分子、ポリペプチド又は炭水化物を含む1つ又は複数の追加の部分又は置換基にコンジュゲートされた上記のキレート剤を含み得る。この結合は、構成炭素の1つを介して、例えばキレート剤の骨格部分で起こり得る。適切な置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アリール又はアルキニル等の炭化水素基;ヒドロキシ基;アルコール基;ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;スルホニル基;チオール基;アミン基;オキソ基;カルボキシ基;チオカルボキシ基;カルボニル基;アミド基;エステル基;又はヘテロアリール基を含む複素環であり得る。置換基は、例えば、以下の基「R」について定義されるもののうちの1つであり得る。小分子は、例えば、色素(Alexa 647又はAlexa 488等)、ビオチン若しくはビオチン部分、又はフェニル若しくはベンジル部分であり得る。ポリペプチドは、例えばオリゴペプチド、例えば2又は3アミノ酸のオリゴペプチドであり得る。例示的な炭水化物としては、デキストラン、直鎖若しくは分岐ポリマー又はコポリマー(例えば、ポリアルキレン、ポリ(エチレン-リジン)、ポリメタクリレート、ポリアミノ酸、ポリ又はオリゴ糖、デンドリマー)が挙げられる。誘導体はまた、上記の化合物がリンカー部分を介して連結されているキレート剤化合物の多量体を含み得る。誘導体はまた、金属イオンをキレート化する能力を保持する上記化合物の機能的断片を含み得る。
誘導体の特定の例としては、ベンジル-EDTA及びヒドロキシエチル-チオウリド-ベンジルEDTA、DOTA-ベンゼン(例えば、(S-2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10テトラアザシクロドデカン四酢酸)、DOTA-ビオチン、及びDOTA-TyrLys-DOTAが挙げられる。
本発明のいくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体の会合によって形成される機能的結合部位は、DOTAMと金属、例えば鉛(Pb)とを含む金属キレートに結合する。上述のように、「DOTAM」は化学名:
1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン
を有し、これは以下の式の化合物である。
Figure 2024504931000002
ある特定の態様及び実施形態では、本発明はまた、金属イオンを組み込む、DOTAMの機能的バリアント又は機能的誘導体も使用し得る。DOTAMの適切なバリアント/誘導体は、DOTAMの構造とある程度異なっており、機能する能力(すなわち、本明細書に記載の1つ又は複数の目的のために使用されるのに十分な活性を保持する)を保持している構造を有する。そのような態様及び実施態様では、DOTAM又はDOTAMの機能的バリアント/誘導体は、国際公開第2010/099536号に開示されている活性バリアントの1つであり得る。適切な機能的バリアント/誘導体は、以下の式の化合物:
Figure 2024504931000003
又はその薬学的に許容され得る塩であり得、式中
は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4-アルキル、C1~7ヘテロアリール、及びC1~7ヘテロアリール-C1~4-アルキルであり、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、及びC2~6アルキニルはそれぞれ、1、2、3、又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、当該C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4-アルキル、C1~7ヘテロアリール、及びC1~7ヘテロアリール-C1~4-アルキルはそれぞれ、1、2、3、又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、
は、独立して、C1~6アルキレン、C1~6アルケニレン、又はC1~6アルキニレンであり、これらの各々は、独立して選択される1、2、又は3個のR基により置換されていてもよく、
は、C2~4直鎖アルキレンであり、これは、独立して選択されるR基により置換されていてもよく、C1~4アルキル及び/又はC1~4ハロアルキルから独立して選択される1、2、3又は4個の基により置換されていてもよく、
は、D-D-D、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルスルフィニル、C1~6アルキルスルホニル、アミノ、C1~6アルキルアミノ、ジ-C1~6アルキルアミノ、C1~4アルキルカルボニル、カルボキシ、C1~6アルコキシカルボニル、C1~6アルキルカルボニルアミノ、ジC1~6アルキルカルボニルアミノ、C1~6アルコキシカルボニルアミノ、C1~6アルコキシカルボニル-(C1~6アルキル)アミノ、カルバミル、C1~6アルキルカルバミル及びジ-C1~6アルキルカルバミルから独立して選択され、
各Dは、C6~10アリール-C1~4アルキル、C1~9ヘテロアリール-C1~4アルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、C1~8アルキレン、C1~8アルケニレン及びC1~8アルキニレンから独立して選択され、当該C1~8アルキレン、C1~8アルケニレン、及びC1~8アルキニレンは、1、2、3、又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、当該C6~10アリール-C1~4アルキル、C1~9ヘテロアリール-C1~4アルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキルはそれぞれ、1、2、3又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、
各Dは、独立して、存在しないか、又はC1~20直鎖アルキレンであって、当該C1~20直鎖アルキレンの1~6個の隣接しないメチレン基がそれぞれ独立して選択された-D-部分によって置き換えられていてもよく、ただし、当該C1~20直鎖アルキレン中の少なくとも1つのメチレン単位は-D-部分によって置き換えられていなくてもよく、当該C1~20直鎖アルキレンは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ-C1~4アルキルアミノ、C1~4アルキルカルボニル、カルボキシ、C1~4アルコキシカルボニル、C1~4アルキルカルボニルアミノ、ジ-C1~4アルキルカルボニルアミノ、C1~4アルコキシカルボニルアミノ、C1~4アルコキシカルボニル-(C1~4アルキル)アミノ、カルバミル、C1~4アルキルカルバミル及びジ-C1~4アルキルカルバミルから独立して選択される1つ又は複数の基により置換されていてもよく、
各Dは、H、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~14シクロアルキル、C3~14シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~14ヘテロシクロアルキル、C2~14ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、C6~14アリール、C6~14アリール-C1~4アルキル、C1~13ヘテロアリール、C1~13ヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、当該C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニルはそれぞれ、1、2、3又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、当該C3~14シクロアルキル、C3~14シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~14ヘテロシクロアルキル、C2~14ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、C6~14アリール、C6~14アリール-C1~4アルキル、C1~13ヘテロアリール、C1~13ヘテロアリール-C1~4アルキルはそれぞれ、1、2、3又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、
各Dは、-O-、-S-、-NRC(=O)-、-NRC(=S)-、-NRC(=O)NR-、-NRC(=S)NR-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR-、-C(=O)-、-C(=S)-、-C(=O)O-、-OC(=O)NR-、-OC(=S)NR-、-NR-、-NRS(=O)NR-、及びNRS(=O)NR-から独立して選択され、
各R及びRは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルスルフィニル、C1~4アルキルスルホニル、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ-C1~4アルキルアミノ、C1~4アルキルカルボニル、カルボキシ、C1~4アルコキシカルボニル、C1~4アルキルカルボニルアミノ、ジ-C1~4アルキルカルボニルアミノ、C1~4アルコキシカルボニルアミノ、C1~4アルコキシカルボニル-(C1~4アルキル)アミノ、カルバミル、C1~4アルキルカルバミル及びジ-C1~4アルキルカルバミルから独立して選択され、
は、ハロゲン、シアノ、シアネート、イソチオシアネート、ニトロ、ヒドロキシル、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルスルフィニル、C1~4アルキルスルホニル、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ-C1~4アルキルアミノ、C1~4アルキルカルボニル、カルボキシ、C1~4アルコキシカルボニル、C1~4アルキルカルボニルアミノ、ジ-C1~4アルキルカルボニルアミノ、C1~4アルコキシカルボニルアミノ、C1~4アルコキシカルボニル-(C1~4アルキル)アミノ、カルバミル、C1~4アルキルカルバミル及びジ-C1~4アルキルカルバミルから独立して選択され、
各Rは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4アルキル、C1~7ヘテロアリール、C1~7ヘテロアリール-C1~4アルキル、-OR、-SR、-S(=O)R、-S(=O)、-S(=O)NR、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-OC(=O)R、-OC(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、及び-NRS(=O)NRから独立して選択され、当該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニルはそれぞれ、1、2、3、又は4個の独立して選択されるR’基により置換されていてもよく、当該C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4アルキル、C1~7ヘテロアリール、C1~7ヘテロアリール-C1~4アルキルはそれぞれ、1、2、3、又は4個の独立して選択されるR’’基により置換されていてもよく、
各R、R及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4アルキル、C1~7ヘテロアリール、C1~7ヘテロアリール-C1~4アルキルから選択され、当該C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニルはそれぞれ、1、2、3、又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、当該C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4アルキル、C1~7ヘテロアリール、C1~7ヘテロアリール-C1~4アルキルはそれぞれ、1、2、3又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、
各R、R、R、R、R及びRは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4アルキル、C1~7ヘテロアリール、C1~7ヘテロアリール-C1~4アルキルから選択され、当該C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニルはそれぞれ、1、2、3又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、当該C3~7シクロアルキル、C3~7シクロアルキル-C1~4アルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル、C2~7ヘテロシクロアルキル-C1~4アルキル、フェニル、フェニル-C1~4アルキル、C1~7ヘテロアリール、C1~7ヘテロアリール-C1~4アルキルはそれぞれ、1、2、3又は4個の独立して選択されるR基により置換されていてもよく、
各R’、R及びRは、独立して、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ及びジ-C1~4アルキルアミノから選択され、
各R’’、R及びRは、独立して、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ及びジ-C1~4アルキルアミノから選択され、
ただし、置換されていてもよい部分の各原子の原子価を超えないことを条件とする。
適切には、上記式の機能的バリアント/誘導体は、DOTAMのものと同等又はそれを超える本発明の抗体に対する親和性を有し、DOTAMのものと同等又はそれを超えるPbに対する結合強度を有する(「親和性」は、上記の解離定数によって測定されるものである)。例えば、機能性/バリアント誘導体と本発明の抗体又は/Pbとの解離定数は、同じ抗体/PbとのDOTAMの解離定数の1.1倍以下、1.2倍以下、1.3倍以下、1.4倍以下、1.5倍以下又は2倍以下であり得る。
各Rは、H、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり得る;好ましくは、H、C1~4アルキル又はC1~4ハロアルキルである。最も好ましくは、各RはHである。
DOTAMバリアントの場合、1つ、2つ、3つ、又は、最も好ましくは、各Lは、Cアルキレンであることが好ましい。有利には、DOTAMのCアルキレンバリアントは、Pbに対して特に高い親和性を有することができる。Lの任意の置換基は、R、C1~4アルキル又はC1~4ハロアルキルであり得る。適切には、Lの任意の置換基は、C1~4アルキル又はC1~4ハロアルキルであり得る。
任意選択で、各Lは、非置換Cアルキレン-CHCH-であってもよい。
各Lは、好ましくはC1~4アルキレン、より好ましくは-CH-等のCアルキレンである。
DOTAMの機能的バリアント/誘導体は、以下の式の化合物であり得る:
Figure 2024504931000004
(式中、各Zは、独立して、上に定義されるRであり、p、q、r及びsは、0、1又は2であり、p+q+r+sは1以上である)。好ましくは、p、q、r、及びsは0又は1であり、及び/又はp+q+r+sは1である。例えば、化合物はp+q+r+s=1を有してもよく、Zはp-SCN-ベンジル部分であり、そのような化合物はMacrocyclics,Inc.(テキサス州プレイノ)から市販されている。
本発明で有用な放射性核種には、鉛(Pb)、ルテチウム(Lu)、又はイットリウム(Y)等の金属の放射性同位体が含まれ得る。
イメージング用途において特に有用な放射性核種は、ガンマ放射体である放射性核種であり得る。例えば、それらは203Pb又は205Biから選択することができる。
治療用途において特に有用な放射性核種は、アルファ又はベータ放射体である放射性核種である。例えば、それらは、212Pb、212Bi、213Bi、90Y、177Lu、225Ac、211At、227Th、223Raから選択することができる。
いくつかの実施態様では、DOTAM(又はその塩若しくは機能的バリアント)は、上記のPb又はBi放射性同位体の1つ等のPb又はBiでキレート化されていることが好ましい場合がある。他の実施態様では、DOTA(又はその塩若しくは機能的バリアント)が、上に列挙したLu又はYの放射性同位体のうちの1つ等のLu又はYとキレート化されることが好ましい場合がある。
いくつかの実施態様では、方法及び使用は、放射性同位体、例えば治療に適した放射性同位体とイメージングに適した放射性同位体との混合物を利用する、治療及びイメージングの組み合わせ方法を含み得る。例えば、これらは、同じキレート剤によってキレート化された同じ金属の異なる放射性同位体であり得る。一実施態様では、本方法は、203Pb-DOTAM及び212Pb-DOTAMを混合物として投与することを含み得る。別の実施態様では、本方法は、203Pb又は205Bi等のガンマ放射体を使用する線量測定の第1のサイクルと、それに続く212Pb、212Bi、213Bi、90Y、177Lu、225Ac、211At、227Th又は223Ra等のアルファ又はベータ放射体を使用する1回以上の処置とを含み得る。そのような方法は、以下でさらに説明される。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体の会合によって形成された機能的結合部位は、Pb-DOTAMキレートに結合し得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体の会合によって形成された機能的結合部位は、放射性標識化合物に特異的に結合し得る。いくつかの実施態様では、機能的結合部位は、Pb-DOTAM及び/又は標的に対する解離定数(K)が1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下又は0.001nM以下(例えば10-7M以下、例えば10-7~10-13、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)で、放射性標識化合物、例えばPb-DOTAMキレートに結合し得る。いくつかの実施態様では、機能的結合部位は、100pM、50pM、20pM、10pM、5pM、1pM又はそれ未満、例えば、0.9pM又はそれ未満、0.8pM又はそれ未満、0.7pM又はそれ未満、0.6pM又はそれ未満又は0.5pM又はそれ未満の結合親和性のK値で結合することが好ましい場合がある。例えば、機能的結合部位は、約1pM~1nM、例えば、約1~10pM、1~100pM、5~50pM、100~500pM又は500pM~1nMのKで金属キレートに結合し得る。
D.DOTAに対する例示的な抗原結合部位
本発明の特定の一実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体が会合して、DOTA(又はその機能的誘導体若しくはバリアント)、例えばLu又はYとキレート化されたDOTA(例えば、177Lu又は90Y)に対する機能的結合部位を形成する。例えば、機能的結合部位は、約1pM~1nM、例えば約1~10pM、1~100pM、5~50pM、100~500pM又は500pM~1nMのKdで放射性標識化合物に結合し得る。
C825は、177Lu及び90Y等の放射性金属と複合体を形成したDOTA-Bn(S-2-(4-アミノベンジル)-1,4,7,10テトラアザシクロドデカン四酢酸)に対して高い親和性を有する既知のscFvである(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Cheal et al 2018,Theranostics 2018、及び国際公開第2010099536号を参照されたい)。C825のCDR配列並びにVL及びVH配列は、本明細書に提供される。一実施態様では、放射性標識化合物に対する抗原結合部位の一部を形成する重鎖可変領域は、(a)35のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)36のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)37のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、又は3つ全てのCDRを含み得る。代替的な実施態様では、CDR-H1は、配列GFSLTDYGVH(配列番号148)を有し得る。放射性標識化合物に対する結合部位の一部を形成する軽鎖可変領域は、(d)38のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)39のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)40のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ又は3つ全てのCDRを含み得る。
別の実施態様では、放射性標識化合物に対する機能的抗原結合部位の一部を形成する重鎖可変ドメイン(第1の抗体上の)は、配列番号41、又は配列番号41に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、そのバリアントのアミノ酸配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む結合部位は、好ましくは本明細書に記載される親和性でLu又はYと複合体化したDOTAに結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号41において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、抗体は、配列番号41のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号35のアミノ酸配列又は配列GFSLTDYGVH(配列番号148)を含むCDR-H1、(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
任意選択で、放射性標識化合物に対する機能的抗原結合部位の一部を形成する軽鎖可変ドメイン(第2の抗体上の)は、配列番号42、又は配列番号42に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、そのバリアントのアミノ酸配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む結合部位は、好ましくは本明細書に記載される親和性でLu又はYと複合体化したDOTAに結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号42において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(すなわち、FR内で)生じる。任意選択で、抗体は、配列番号42のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に関する実施態様は、組み合わせて明示的に企図される。したがって、機能的抗原結合部位は、それぞれ第1の抗体及び第2の抗体上の上記に定義される重鎖可変領域及び上記に定義される軽鎖可変領域から形成され得る。
上記の実施態様のいずれかにおいて、DOTA複合体に対する結合部位を形成する軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、ヒト化されていてもよい。一実施態様では、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
いくつかの実施態様では、重鎖可変ドメインは、以下でさらに論じられるように、1つ以上のC末端アラニン残基などの1つ以上のC末端残基、又はCH1ドメインのN末端からの1つ以上の残基によって延長され得る。
E.DOTAMに対する例示的な抗原結合部位
本発明の別の特定の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は会合して、Pb-DOTAMキレート(Pb-DOTAM)に対する機能的抗原結合部位を形成する。例示的な抗原結合部位は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2019/201959号に記載されている。
特定の実施態様では、Pb-DOTAMに結合する機能的抗原結合部位は、以下のうちの1つ又は複数の特性を有し得る。
・ Pb-DOTAM及びBi-DOTAMに特異的に結合する;
・ Cu-DOTAM等の他のキレート化金属と比較して、Pb-DOTAM(及び任意選択でBi-DOTAM)に対して選択的である;
・ 非常に高い親和性でPb-DOTAMに結合する;
・ 国際公開第2019/201959号に記載されている抗体(例えばPRIT-0213又はPRIT-0214)と同じPb-DOTAM上のエピトープに結合する、及び/又は当該抗体と同じ接触残基を有する。
Pbの放射性同位体は、診断及び治療の方法において有用である。本発明で使用され得る鉛の特定の放射性同位体としては、212Pb及び203Pbが挙げられる。
α粒子放射体である放射性核種は、短い経路長と高い線エネルギー移動の組み合わせのために、β放射体よりも周囲組織への損傷が少なく、より特異的な腫瘍細胞殺傷の可能性を有する。212Biはα粒子放射体であるが、その短い半減期がその直接使用を妨げる。212Pbは212Biの親放射性核種であり、212Biのin vivo発生剤として機能することができ、それによって212Biの短い半減期を効果的に克服する(Yong and Brechbiel,Dalton Trans.2001 June 21;40(23)6068-6076)。
203Pbはイメージング同位体として有用である。したがって、203Pb-DOTAMに結合した抗体は、放射性免疫イメージング(RII)に有用であり得る。
一般に、放射性金属はキレート化形態で使用される。本発明の特定の態様では、DOTAMがキレート化剤として使用される。DOTAMはPb(II)の安定なキレート剤である(Yong and Brechbiel,Dalton Trans.2001 June 21;40(23)6068-6076;Chappell et al Nuclear Medicine and Biology,Vol.27,pp.93-100,2000)。したがって、DOTAMは、212Pb及び203Pb等の上述の鉛の同位体と併せて特に有用である。
いくつかの実施態様では、抗体は、100pM、50pM、20pM、10pM、5pM、1pM以下、例えば、0.9pM以下、0.8pM以下、0.7pM以下、0.6pM以下又は0.5pM以下の結合親和性のKd値でPb-DOTAMに結合することが好ましい場合がある。例えば、機能的結合部位は、約1pM~1nM、例えば約1~10pM、1~100pM、5~50pM、100~500pM又は500pM~1nMのKdで放射性標識化合物に結合し得る。
特定の実施態様では、抗体は、DOTAMによってキレート化されたBiにさらに結合する。いくつかの実施態様では、抗体は、1nM、500pM、200pM、100pM、50pM、10pM又はそれ未満、例えば9pM、8pM、7pM、6pM、5pM又はそれ未満の結合親和性のKd値でBi-DOTAM(すなわち、本明細書では「Bi-DOTAMキレート」とも呼ばれる、ビスマスと錯体形成したDOTAMを含むキレート)に結合することが好ましい場合がある。例えば、機能的結合部位は、約1pM~1nM、例えば約1~10pM、1~100pM、5~50pM、100~500pM又は500pM~1nMのKdで金属キレートに結合し得る。
いくつかの実施態様では、抗体は、Bi-DOTAM及びPb-DOTAMに同様の親和性で結合し得る。例えば、Bi-DOTAM/Pb-DOTAMに対する親和性の比、例えばKd値の比は、0.1~10、例えば1~10の範囲内であることが好ましい場合がある。
一実施態様では、Pb-DOTAMに対する抗原結合部位の一部を形成する重鎖可変領域は、(a)GFSLSTYSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)FIGSRGDTYYASWAKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、又は3つ全てのCDRを含み得る。Pb-DOTAMに対する結合部位の一部を形成する軽鎖可変領域は、(d)QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)QASKLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)LGGYDDESDTYG(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ又は3つ全てのCDRを含み得る。
いくつかの実施態様では、抗体は、それぞれ、配列番号1~6のアミノ酸配列と比較して、置換、例えば、1、2又は3つの置換を有する、1つ以上のCDR-H1、CDR-H2及び/若しくはCDR-H3、又は1つ以上のCDR-L1、CDR-L2及び/若しくはCDR-L3を含み得る。
いくつかの実施態様では、抗体は、本明細書に記載のものと同じ接触残基を共有し得、例えば、これらの残基は不変であり得る。これらの残基は、以下を含み得る:
a)重鎖CDR2:Phe50、Asp56及び/又はTyr58、また任意選択でGly52及び/又はArg54;
b)重鎖CDR3:Glu95、Arg96、Asp97、Pro98、Tyr99、Ala100C及び/又はTyr100D、また任意選択でPro100E;
c)軽鎖CDR1:Tyr28及び/又はAsp32;
d)軽鎖CDR3:Gly91、Tyr92、Asp93、Thr95c及び/又はTyr96;
e)軽鎖CDR2:任意選択でGln50;
これらは全てKabatに従って番号付けされる。
例えば、いくつかの実施態様では、CDR-H2は、アミノ酸配列FIGSRGDTYYASWAKG(配列番号2)、又は配列番号2において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み得、これらの置換は、Phe50、Asp56及び/又はTyr58を含まず、任意選択で、Gly52及び/又はArg54も含まず、これらは全てKabatに従って番号付けされる。
いくつかの実施態様では、CDR-H2は、以下に示すように1つ又は複数の位置で置換され得る。ここで、及び以下の置換表において、置換は、生殖系列残基(下線)に基づくか、又は理論的に立体的に適合し、その部位の結晶化レパートリーにも生じるアミノ酸によるものである。いくつかの実施態様では、上記の残基は固定されていてもよく、他の残基は以下の表に従って置換されていてもよい:他の実施態様では、任意の残基の置換は以下の表に従って行われてもよい。
Figure 2024504931000005
任意選択で、CDR-H3は、アミノ酸配列ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)、又は配列番号3において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み得、これらの置換はGlu95、Arg96、Asp97、Pro98を含まず、任意選択で、Ala100C、Tyr100D、及び/又はPro100Eも含まず、且つ/又は任意選択で、Tyr99も含まない。例えば、いくつかの実施態様では、置換はGlu95、Arg96、Asp97、Pro98、Tyr99、Ala100C及びTyr100Dを含まない。
特定の実施態様では、CDR-H3は、以下に示されるように、1つ又は複数の位置で置換され得る。いくつかの実施態様では、上記の残基は固定されていてもよく、他の残基は以下の表に従って置換されていてもよい:他の実施態様では、任意の残基の置換は以下の表に従って行われてもよい。
Figure 2024504931000006
任意選択で、CDR-L1は、アミノ酸配列QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)、又は配列番号4において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み得、これらの置換はTyr28及び/又はAsp32を含まない(Kabat番号付け)。
特定の実施態様では、CDR-L1は、以下に示されるように、1つ又は複数の位置で置換され得る。また、いくつかの実施態様では、上記の残基は固定されていてもよく、他の残基は以下の表に従って置換されていてもよい:他の実施態様では、任意の残基の置換は以下の表に従って行われてもよい。
Figure 2024504931000007
任意選択で、CDR-L3は、アミノ酸配列LGGYDDESDTYG(配列番号6)、又は配列番号6において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み得、これらの置換は、Gly91、Tyr92、Asp93、Thr95c及び/又はTyr96(Kabat)を含まない。
特定の実施態様では、CDR-L3は、以下に示されるように、以下の位置で置換され得る。(ほとんどの残基は溶媒にさらされており、抗原と接触していないため、多くの置換が考えられる)。また、いくつかの実施態様では、上記の残基は固定されていてもよく、他の残基は以下の表に従って置換されていてもよい:他の実施態様では、任意の残基の置換は以下の表に従って行われてもよい。
Figure 2024504931000008
抗体は、任意選択で、配列番号1又は配列番号5のそれぞれの配列、又はこれらに対して、少なくとも1つ、2つ、若しくは3つの置換、任意選択で、保存的置換を有する、これらのバリアントを有する、CDR-H1又はCDR-L2をさらに含み得る。
したがって、Pb-DOTAMに対する抗原結合部位の一部を形成する重鎖可変ドメインは、少なくとも:
a)アミノ酸配列FIGSRGDTYYASWAKG(配列番号2)、又は配列番号2において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換は、Phe50、Asp56及び/又はTyr58を含まず、任意選択で、Gly52及び/又はArg54も含まない、重鎖CDR2;
b)アミノ酸配列ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)、又は配列番号3において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換は、Glu95、Arg96、Asp97、Pro98を含まず、任意選択で、Ala100C、Tyr100D、及び/若しくはPro100Eも含まず、且つ/又は、任意選択で、Tyr99も含まない、重鎖CDR3
を含み得る。
いくつかの実施態様では、重鎖可変ドメインは、任意選択で、
c)アミノ酸配列GFSLSTYSMS(配列番号1)、又は配列番号1において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含む重鎖CDR1
である重鎖CDR1をさらに含む。
別の実施態様では、Pb-DOTAMに対する抗原結合部位の一部を形成する軽鎖可変ドメインは、少なくとも:
d)アミノ酸配列QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)、又は配列番号4において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換はTyr28及び/又はAsp32を含まない、軽鎖CDR1;
e)アミノ酸配列LGGYDDESDTYG(配列番号6)、又は配列番号6において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換はGly91、Tyr92、Asp93、Thr95c及びTyr96を含まない、軽鎖CDR3
を含む。
いくつかの実施態様では、軽鎖可変ドメインは、任意選択で、
f)アミノ酸配列QASKLAS(配列番号5)、又は配列番号5において少なくとも1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、任意選択で、Gln50を含まない、軽鎖CDR2
である軽鎖CDR2をさらに含む。
上記のCDRを含む配列の(例えば、可変ドメインの)バリアントを含む本発明の任意の実施態様では、タンパク質は、上記のCDR残基の1つ又は複数において不変であり得る。
任意選択で、Pb-DOTAMに対する機能的抗原結合部位(第1の抗体上の)の一部を形成する重鎖可変ドメインは、配列番号7及び配列番号9、又は配列番号7又は配列番号9に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む結合部位は、好ましくは本明細書に記載される親和性でPb-DOTAMに結合する能力を保持する。VH配列は、上記のように不変残基を保持してもよい。特定の実施態様では、配列番号7又は配列番号9において、合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、抗体は、配列番号7又は配列番号9のVH配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
任意選択で、Pb-DOTAMに対する機能的抗原結合部位(第2の抗体上の)の一部を形成する軽鎖可変ドメインは、配列番号8、又は配列番号8に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗Pb-DOTAM結合部位は、好ましくは本明細書に記載される親和性でPb-DOTAMに結合する能力を保持する。VL配列は、上記のように不変残基を保持してもよい。特定の実施態様では、配列番号8において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(すなわち、FR内で)生じる。任意選択で、抗Pb-DOTAM抗体は、配列番号8のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に関する実施態様は、組み合わせて明示的に企図される。したがって、Pb-DOTAMに対する機能的抗原結合部位は、それぞれ第1の抗体及び第2の抗体上の上記に定義される重鎖可変領域及び上記に定義される軽鎖可変領域から形成され得る。
任意選択で、Pb-DOTAMキレートに対する特異的抗原結合部位は、配列番号7も若しくは配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列又は上記で定義したそのバリアントを含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号8のアミノ酸配列又は上記で定義したそのバリアントを含む軽鎖可変ドメインから形成され得る。例えば、Pb-DOTAMキレートに対する特異的抗原結合部位は、配列番号7のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む軽鎖可変ドメインとを含み得、これらの配列の翻訳後修飾を含む。別の実施態様では、それは配列番号9のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む軽鎖可変ドメインとを含み得、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
上記の実施態様のいずれかにおいて、抗Pb-DOTAM結合部位を形成する軽鎖及び重鎖の可変領域はヒト化されていてもよい。一実施態様では、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。別の実施態様では、軽鎖及び/又は重鎖可変領域は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、さらに、vk139及び/又はvh226に由来するフレームワーク領域を含む。vk139については、いくつかの実施態様では、逆突然変異が存在しない可能性がある。vh226については、生殖系列Ala49残基がGly49に逆突然変異する可能性がある。
F.CEAに対する例示的な抗原結合部位
上述の実施態様と組み合わせることができる本発明の別の特定の実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体によって結合される標的抗原は、CEA(がん胎児性抗原)であり得る。CEAに対して惹起されている抗体は、T84.66、並びに国際公開第2016/075278号(A1)及び/又は国際公開第2017/055389号において記載されている、T84.66-LCHAなど、そのヒト化形及びキメラ形、国際公開第2012/117002号及び国際公開第2014/131712号において記載されている抗CEA抗体である、CH1A1a、並びにCEA hMN-14又はラベツズマブ(例えば、米国特許第6676924号及び米国特許第5874540号において記載されている)を含む。CEAに対する、別の例示的抗体は、A5B7(例えば、M.J.Banfield et al,Proteins 1997,29(2),161-171において記載されている)、又は国際公開第92/01059号及び国際公開第2007/071422号において記載されているマウスA5B7に由来するヒト化抗体である。また、同時係属出願である、PCT/EP2020/067582も参照されたい。A5B7のヒト化型の例は、A5H1EL1(G54A)である。CEAに対する、さらなる例示的抗体は、米国特許第7626011号及び/又は同時係属出願である、PCT/EP2020/067582において記載されているMFE23、及びそのヒト化形である。抗CEA抗体の、なおさらなる例は、28A9である。これらの抗体、又はこれらの抗原結合断片のうちのいずれかは、本発明におけるCEA結合部分を形成するのに使用され得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、一価結合について1nM以下、500pM以下、200pM以下、又は100pM以下のKd値で結合し得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体は、CEAのCH1A1aエピトープ、A5B7エピトープ、MFE23エピトープ、T84.66エピトープ、又は28A9エピトープに結合し得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体の少なくとも1つは、可溶性CEA(sCEA)上に存在しないCEAエピトープに結合する。可溶性CEAは、GPIホスホリパーゼによって切断されて血液中に放出されるCEA分子の一部である。可溶性CEAには見出されないエピトープの例は、CH1A1Aエピトープである。任意選択で、第1の抗体及び/又は第2の抗体の一方は可溶性CEA上に存在しないエピトープに結合し、他方は可溶性CEA上に存在するエピトープに結合する。
CH1A1a及びその親マウス抗体PR1A3に対するエピトープは、国際公開第2012/117002号(A1)及びDurbin H. et al.,Proc.Natl.Scad.Sci.USA,91:4313-4317,1994に記載されている。CH1A1aエピトープに結合する抗体は、CEA分子のB3ドメイン内及びGPIアンカー内の立体構造エピトープに結合する。一態様では、抗体は、本明細書における配列番号25のVH及び配列番号26のVLを有するCH1A1a抗体と同じエピトープに結合する。A5B7エピトープについては、同時係属出願である、PCT/EP2020/067582において記載されている。A5B7エピトープに結合する抗体は、CEAのA2ドメイン、すなわち、配列番号141:
PKPFITSNNSNPVEDEDAVALTCEPEIQNTTYLWWVNNQSLPVSPRLQLSNDNRTLTLLSVTRNDVGPYECGIQNKLSVDHSDPVILN(配列番号141)
のアミノ酸を含むドメインに結合する。
一態様では、抗体は、本明細書における配列番号49のVH及び配列番号50のVLを有するA5B7抗体と同じエピトープに結合する。
一態様では、抗体は、国際公開第2016/075278号において記載されているT84.66と同じエピトープに結合する。抗体は、本明細書における配列番号17のVH及び配列番号18のVLを有する抗体と同じエピトープに結合し得る。
MFE23エピトープについては、同時係属出願である、PCT/EP2020/067582において記載されている。MFE23エピトープに結合する抗体は、CEAのA1ドメイン、すなわち、配列番号142:
PKPSISSNNSKPVEDKDAVAFTCEPETQDATYLWWVNNQSLPVSPRLQLSNGNRTLTLFNVTRNDTASYKCETQNPVSARRSDSVILN(配列番号142)
のアミノ酸を含むドメインに結合する。
一態様では、抗体は、本明細書における配列番号127のVHドメイン及び配列番号128のVLドメインを有する抗体と同じエピトープに結合し得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体は、本明細書で提示される抗体、例えば、P1AD8749、P1AD8592、P1AE4956、P1AE4957、P1AF0709、P1AF0298、P1AF0710、又はP1AF0711と同じCEAエピトープに結合し得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、CEAの、互いと同じエピトープに結合する。したがって、例えば、第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、CH1A1aエピトープ、A5B7エピトープ、MFE23エピトープ、T84.66エピトープ、又は28A9エピトープに結合し得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、CH1A1Aに由来するCEA結合配列(すなわち、CDR及び/又はVH/VLドメイン)を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、A5B7若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、T84.66若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、MFE23若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、28A9若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得る。例示的配列は、本明細書で開示される。
他の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、CEAの異なるエピトープに結合する。したがって、例えば、i)一方の抗体は、CH1A1Aエピトープに結合し得、他方の抗体は、A5B7エピトープ、T84.66エピトープ、MFE23エピトープ、又は28A9エピトープ結合し得;ii)一方の抗体は、A5B7エピトープに結合し得、他方の抗体は、CH1A1Aエピトープ、T84.66エピトープ、MFE23エピトープ、又は28A9エピトープ結合し得;iii)一方の抗体は、MFE23エピトープに結合し得、他方の抗体は、CH1A1Aエピトープ、A5B7エピトープ、T84.66エピトープ、又は28A9エピトープ結合し得;iv)一方の抗体は、T84.66エピトープに結合し得、他方の抗体は、CH1A1Aエピトープ、A5B7エピトープ、MFE23エピトープ、又は28A9エピトープ結合し得;v)一方の抗体は、28A9エピトープに結合し得、他方の抗体は、CH1A1aエピトープ、A5B7エピトープ、MFE23エピトープ、又はT84.66エピトープに結合し得る。
いくつかの実施態様では、i)一方の抗体は、CH1A1Aに由来するCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得、他方は、A5B7若しくはそのヒト化型、T84.66若しくはそのヒト化型、MFE23若しくはそのヒト化型、又は28A9若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;ii)一方の抗体は、A5B7又はそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得、他方は、CH1A1A、T84.66若しくはそのヒト化型、MFE23若しくはそのヒト化型、又は28A9若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;iii)一方の抗体は、MFE23又はそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得、他方は、CH1A1A、A5B7若しくはそのヒト化型、T84.66若しくはそのヒト化型、又は28A9若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;iv)一方の抗体は、T84.66又はそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得、他方は、CH1A1A、A5B7若しくはそのヒト化型、MFE23若しくはそのヒト化型、又は28A9若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得;v)一方の抗体は、28A9又はそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得、他方は、CH1A1A、A5B7若しくはそのヒト化型、T84.66若しくはそのヒト化型、又はMFE23若しくはそのヒト化型に由来するCEA結合配列を有し得る。
1つの特定の実施態様では、一方の抗体は、CH1A1Aエピトープに結合し得、他方は、A5B7エピトープに結合し得る。第1の抗体は、抗体であるCH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体は、A5B7(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体は、抗体であるA5B7(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体は、CH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得る。
別の特定の実施態様では、一方の抗体は、CH1A1Aエピトープに結合し得、他方は、T84.66エピトープに結合し得る。第1の抗体は、抗体であるCH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体は、T84.66(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体は、抗体であるT84.66(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体は、CH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得る。いくつかの実施態様では、第1の抗体は、T84.66エピトープに結合し得、且つ/又は下記の(i)に記載された抗原結合部位を有し得、第2の抗体は、CH1A1Aエピトープに結合し得、且つ/又は下記の(ii)に記載された抗原結合部位を有し得る。
例示的CEA結合配列であるi)~v)は、下記に開示される。これらは、i)T84.66、ii)CH1A1A、iii)A5B7、iv)28A9、及びv)MFE23(又はそのヒト化型に由来する)に由来するCEA結合配列の例を提示する。
i).一実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号13から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
別の態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗CEA抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号17のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号17において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号17のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号18のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号18において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに対する抗原結合部位は、配列番号18のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号17及び配列番号18のそれぞれにおける、VH配列及びVL配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含む、VH配列及びVL配列を含む。
ii).さらなる特定の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)(i)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号21から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
別の態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗CEA抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号25のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号25において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号25のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号26において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに対する抗原結合部位は、配列番号26のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号25及び配列番号26のそれぞれにおける、VH配列及びVL配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含む、VH配列及びVL配列を含む。
iii)さらなる特定の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。いくつかの実施態様では、CDR-H1は、配列GFTFTDYYMN(配列番号151)を有し得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含み得る。いくつかの実施態様では、CDR-H1は、配列GFTFTDYYMN(配列番号151)を有し得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)(i)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号45から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。いくつかの実施態様では、CDR-H1は、配列GFTFTDYYMN(配列番号151)を有し得る。
別の態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施態様では、CDR-H1は、配列GFTFTDYYMN(配列番号151)を有し得る。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗CEA抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号49のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号49において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号49のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号43のアミノ酸配列又は配列GFTFTDYYMN(配列番号151)を含むCDR-H1、(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号50のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号50において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに対する抗原結合部位は、配列番号50のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号49及び配列番号50のそれぞれにおける、VH配列及びVL配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含む、VH配列及びVL配列を含む。
iv)なおさらなる特定の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)(i)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号61から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
別の態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗CEA抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号65において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号65のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号66において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、CEAに対する抗原結合部位は、配列番号66のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号65及び配列番号66のそれぞれにおける、VH配列及びVL配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含む、VH配列及びVL配列を含む。
v).なおさらなる特定の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号117若しくは118のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号120、121若しくは122のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号123、124若しくは125のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。
任意選択で、CEAに結合する抗原結合部位は、
(a)配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号117、若しくは118のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR-H3である、VH CDR配列;並びに/又は
(a)配列番号120、121、若しくは122のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号123、124、若しくは125のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-L3である、VL CDR配列
を含み得る。
一実施態様では、CEAに対する抗原結合部位は、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、又は(より好ましくは)配列番号129、130、131、132、133、若しくは134から選択される重鎖可変領域(VH)、及び配列番号128のアミノ酸配列を含むか、又は(より好ましくは)配列番号135、136、137、138、139、若しくは140から選択される軽鎖可変領域(VL)を含む。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗CEA抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
特定の態様では、CEAに結合することが可能な抗原結合ドメインは、
(a)配列番号129のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
(b)配列番号133のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
(c)配列番号130のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
(d)配列番号134のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
(e)配列番号133のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
(f)配列番号131のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
(g)配列番号129のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記のa)~g)で言及されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。ある特定の実施態様では、合計1~10個のアミノ酸が、置換、挿入、及び/又は欠失されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記のa)~g)で言及されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、CEAに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。ある特定の実施態様では、合計1~10個のアミノ酸が、置換、挿入、及び/又は欠失されている。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。
別の実施態様では、CEAに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。
G.GPRC5D又はFAPに対する例示的な抗原結合部位
上記で論じられた実施態様(例えば、DOTA又はDOTAMに対する結合部位)と組み合わされ得る、本発明の別の特定の実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体が結合する標的抗原は、GPRC5D又はFAPであり得る。
任意選択で、GPRC5D又はFAPに結合する抗原結合部位は、一価結合について1nM以下、500pM以下、200pM以下、又は100pM以下のKd値で結合し得る。
下記では、例示的GPRC5D結合配列について記載される。
一実施態様では、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号72のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。
任意選択で、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含み得る。
任意選択で、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号72のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む。
任意選択で、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、(a)(i)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号69から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号72のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
別の態様では、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号72のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗GPRC5D抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の実施態様では、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、配列番号73のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、GPRC5Dに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号73において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、配列番号73のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、配列番号74のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、GPRC5Dに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号74において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、GPRC5Dに対する抗原結合部位は、配列番号74のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号72のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、GPRC5Dに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号73及び配列番号74のそれぞれにおける、VH配列及びVL配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含む、VH配列及びVL配列を含む。
下記では、例示的FAP結合配列について記載される。
一実施態様では、FAPに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号75のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号76のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号78のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号79のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号80のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含み得る。
任意選択で、FAPに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号75のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号76のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含み得る。
任意選択で、FAPに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号78のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号79のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号80のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む。
任意選択で、FAPに結合する抗原結合部位は、(a)(i)配列番号75のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号76のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号77から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)配列番号78のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号79のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(iii)配列番号80のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
別の態様では、FAPに結合する抗原結合部位は、(a)配列番号75のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号76のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号78のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号79のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号80のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
上記の実施態様のうちのいずれかでは、多重特異性抗体は、ヒト化され得る。一実施態様では、抗FAP抗原結合部位は、上記の実施態様のいずれかにおけるようなCDRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の実施態様では、FAPに結合する抗原結合部位は、配列番号81のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、FAPに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号81において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、FAPに結合する抗原結合部位は、配列番号81のVH配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)配列番号75のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号76のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、FAPに結合する抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。特定の実施態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、この配列を含む抗原結合部位は、FAPに、好ましくは、上記で明示された親和性で結合する能力を保持する。特定の実施態様では、配列番号82において、合計1つ~10のアミノ酸が、置換され、挿入され、且つ/又は欠失している。特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(すなわち、FRで)生じる。任意選択で、FAPに対する抗原結合部位は、配列番号82のVL配列であって、この配列の翻訳後修飾を含むVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)配列番号78のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号79のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(c)配列番号80のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、1つ、2つ、又は3つのCDRを含む。
別の実施態様では、FAPに結合する抗原結合部位は、上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVH、及び上記で提示された実施態様のうちのいずれかにおけるようなVLを含む。一実施態様では、抗体は、配列番号81及び配列番号82のそれぞれにおける、VH配列及びVL配列であって、これらの配列の翻訳後修飾を含む、VH配列及びVL配列を含む。
H.例示的な抗体
標的抗原結合(例えば、CEA、GPRC5D又はFAP)に関する態様及び実施態様、並びにエフェクター部分結合(例えば、DOTA、DOTAM)に関する態様及び実施態様は、組み合わせて明示的に企図される。上記の例示的な標的抗原結合部位のいずれも、上記のエフェクター部分結合部位のいずれかと組み合わせて使用され得る。
いくつかの特定の実施態様では、標的抗原結合(例えば、CEA、GPRC5D、又はFAP)に関する態様及び実施態様と、DOTAM結合に関する態様及び実施態様とが組み合わされる。いくつかの実施態様では、標的抗原がCEAであることが好ましい場合がある。
いくつかの実施態様では、第1の抗体は、
a)Fab断片であって、該Fab断片が、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、Fab断片;
b)Pb-DOTAMに対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含む、又はそれからなるポリペプチドであって、ここで、重鎖可変ドメインが配列番号1~3の重鎖CDRを含み、且つ/又は重鎖可変ドメインが、配列番号7に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する、ポリペプチド;及び
c)2つのサブユニットを含むFcドメイン
を含み得、
ここで、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)のFab断片の鎖の1つのC末端に融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
該第1の抗体は、Pb-DOTAMに対する抗原結合部位のVLドメインを含まない。
第2の抗体は、
d)Fab断片であって、該Fab断片が、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、Fab断片;
e)Pb-DOTAMに対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、又はそれからなるポリペプチドであって、ここで、軽鎖可変ドメインが配列番号4~6のCDRを含み、且つ/又は軽鎖可変ドメインが、配列番号8に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する、ポリペプチド;及び
f)2つのサブユニットを含むFcドメイン
を含み得、
ここで、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)のFab断片の鎖の1つのC末端に融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
該第2の抗体は、Pb-DOTAMに対する抗原結合部位のVHドメインを含まない。
第1の抗体の前記VHドメイン及び第2の抗体の前記VLドメインは、一緒になって、Pb-DOTAMに対する機能的抗原結合部位を形成することができる。
特定の一実施態様では、第1の抗体及び/又は第2の抗体(例えば、第1の抗体及び第2の抗体の各々)は、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAに結合する追加のFab断片を含み得る。第1の抗体における標的抗原結合Fabの各々が、互いに同じ標的抗原(例えば、いくつかの実施態様ではCEA)に結合すること、及び第2の抗体における標的抗原結合Fabの各々が、互いに同じ標的抗原(例えば、いくつかの実施態様ではCEA)(これはさらに、第1の抗体によって結合されるものと同じであってもよい)に結合することが好ましい場合がある。さらに、第1の抗体における標的抗原結合Fabの各々が標的抗原、例えばCEAの同じエピトープに結合すること(すなわち、第1の抗体が標的抗原に関して単一特異性であること)、及び第2の抗体における標的抗原結合Fabの各々が、標的抗原、例えばCEAの同じエピトープに結合すること(すなわち、第2の抗体が標的抗原に関して単一特異性であること)が好ましい場合がある。2つの抗体が結合するエピトープは、同じであっても異なっていてもよい。
いくつかの実施態様では、第1の抗体は以下のペプチド:
i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;Pb-DOTAMに対する抗原結合部位のVHドメインであって、ここで、重鎖可変ドメインは配列番号1~3の重鎖CDRを含み、且つ/又は重鎖可変ドメインは配列番号7に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する、VHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第1の重鎖ポリペプチド;
ii)(i)のFab重鎖と対合して、CEA、GPRC5D、又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);
iii)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第2の重鎖ポリペプチド;並びに
iv)(iii)のFab重鎖と対合して、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的抗原に対する結合部位を形成するさらなるFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)
を含み得る。
任意選択で、(i)のFab重鎖は、(iii)のFab重鎖と同じ配列を有し、(ii)及び(iv)のFab軽鎖は、互いに同じ配列を有する。
第2の抗体は以下のペプチド:
v)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;Pb-DOTAMに対する抗原結合部位のVLドメインであって、ここで、軽鎖可変ドメインは配列番号4~6のCDRを含み、且つ/又は軽鎖可変ドメインは配列番号8に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する、VLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第1の重鎖ポリペプチド;
vi)(v)のFab重鎖と対合して、CEA、GPRC5D、又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);
vii)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第2の重鎖ポリペプチド;並びに
viii)(vii)のFab重鎖と対合して、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的抗原に対する結合部位を形成するさらなるFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)
を含み得る。
任意選択で、(v)のFab重鎖は、(vii)のFab重鎖と同じ配列を有し、(vi)及び(viii)のFab軽鎖は、互いに同じ配列を有する。任意選択で、これらも第1の抗体の場合と同じである。
特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)及び(iv)の2つのFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号22~24のCDRを含み得、且つ/又は配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号34に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。いくつかの実施態様では、(ii)及び(iv)の2つの軽鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号19~21のCDRを含み得、且つ/又は(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
別の特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体A5B7(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)及び(iv)の2つのFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号46~48のCDRを含み得、且つ/又は配列番号50に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号54に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。いくつかの実施態様では、(ii)及び(iv)の2つのFab軽鎖ポリペプチドが互いに同一であることが好ましい場合がある。
いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号43~45のCDRを含み得、且つ/又は(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号49に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
別の特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体T84.66(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)及び(iv)の2つのFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号14~16のCDRを含み得、且つ/又は配列番号18に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号89に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号11~13のCDRを含み得、且つ/又は(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号17に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
別の特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体28A9(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)及び(iv)の2つのFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号62~64のCDRを含み得、且つ/又は配列番号66に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号96に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号59~61のCDRを含み得、且つ/又は(i)及び(iii)の2つのFab重鎖は、配列番号65に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、(i)及び(iii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
いくつかの実施態様では、第2の抗体は、抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(vi)及び(viii)の2つのFab軽鎖は、配列番号22~24のCDRを含み得、且つ/又は配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号34に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号19~21のCDRを含み、且つ/又は(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
別の特定の実施態様では、第2の抗体は、A5B7(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(vi)及び(viii)の2つのFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号46~48のCDRを含み得、且つ/又は配列番号50に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号58に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号43~45のCDRを含み、且つ/又は(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号49に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含む。いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
別の特定の実施態様では、第2の抗体は、抗体T84.66(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(vi)及び(viii)の2つの軽鎖ポリペプチドは、配列番号14~16のCDRを含み得、且つ/又は配列番号18に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号89に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号11~13のCDRを含み得、且つ/又は(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号17に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
別の特定の実施態様では、第2の抗体は、抗体28A9(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(vi)及び(vii)の2つのFab軽鎖は、配列番号62~64のCDRを含み得、且つ/又は配列番号66に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それらは、配列番号96に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号59~61のCDRを含み得、且つ/又は(v)及び(vii)の2つのFab重鎖は、配列番号65に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、(v)及び(vii)の2つのFab重鎖が互いに同一であることが好ましい場合がある。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、CEAの同じエピトープに結合する。したがって、例えば、第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、A5B7(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、T84.66(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、28A9(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、MFE23(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得る。いくつかの実施態様では、(vi)及び(viii)の2つの軽鎖ポリペプチドが、第1の抗体の(ii)及び(iv)の軽鎖と同じ配列を有すること、例えば、全ての前記軽鎖が同じ配列を有することが好ましい場合がある。
いくつかの実施態様では、(ii)及び(iv)において、第1の抗体の2つのFab軽鎖ポリペプチドは両方とも、配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得;(i)及び(iii)において、第1の抗体の2つのFab重鎖は両方とも、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含み得;(vi)及び(viii)において、第2の抗体の2つのFab軽鎖ポリペプチドは両方とも、配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得;(v)及び(vii)において、第2の抗体の2つのFab重鎖は両方とも、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含み得る。
特定の一実施態様では、第1の抗体は、
- 配列番号146の第1の重鎖ポリペプチド;
- 配列番号147の第2の重鎖ポリペプチド;
- 配列番号143の第1及び第2の軽鎖ポリペプチド
を含み;且つ/又は
第2の抗体は、
- 配列番号145の第1の重鎖ポリペプチド;
- 配列番号147の第2の重鎖ポリペプチド;
- 配列番号143の第1及び第2の軽鎖ポリペプチド
を含む。
他の実施態様では、上記で論じたように、第1の抗体及び第2の抗体はCEAの異なるエピトープに結合する。したがって、例えば、第1の抗体は抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体はA5B7に由来するCEA結合配列を有し得;又は、第1の抗体は抗体A5B7に由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体はCH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得る。
他の実施態様では、抗体は1アーム抗体である。例えば、いくつかの実施態様では、第1の抗体は以下のポリペプチド:
i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;Pb-DOTAMに対する抗原結合部位のVHドメインであって、ここで、重鎖可変ドメインは配列番号1~3の重鎖CDRを含み、且つ/又は重鎖可変ドメインは配列番号7に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する、VHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチド;
ii)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);並びに
iii)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)
を含み;
ここで、(i)のFab重鎖及び(ii)のFab軽鎖は、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的抗原に結合することができるFab断片を形成する。
第2の抗体は以下のポリペプチド:
iv)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;Pb-DOTAMに対する抗原結合部位のVLドメインであって、ここで、軽鎖可変ドメインは配列番号4~6のCDRを含み、且つ/又は軽鎖可変ドメインは配列番号8に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する、VLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチド;
v)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);並びに
iii)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)
を含み得;
ここで、(vi)のFab重鎖及び(v)のFab軽鎖は、CEA、GPRC5D又はFAP、任意選択でCEAから選択される標的抗原に結合することができるFab断片を形成する。
これらの1アーム抗体のいくつかの実施態様では、(i)及び(iv)のFab重鎖は、互いに同じ配列を有し得;且つ、(ii)及び(v)のFab軽鎖ポリペプチドは、互いに同じ配列を有し得る。
特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)のFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号22~24のCDRを含み得、且つ/又は配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号34に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
(i)のFab重鎖は、配列番号19~21のCDRを含み得、且つ/又は(i)のFab重鎖は、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。
別の特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体A5B7(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)のFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号46~48のCDRを含み得、且つ/又は配列番号50に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号54に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(i)のFab重鎖は、配列番号43~45のCDRを含み得、且つ/又は(i)のFab重鎖は、配列番号49に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。
別の特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体T84.66(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)のFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号14~16のCDRを含み得、且つ/又は配列番号18に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号89に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(i)のFab重鎖は、配列番号11~13のCDRを含み得、且つ/又は(i)のFab重鎖は、配列番号17に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。
別の特定の実施態様では、第1の抗体は、抗体28A9(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(ii)のFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号62~64のCDRを含み得、且つ/又は配列番号66に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号96に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(i)のFab重鎖は、配列番号59~61のCDRを含み得、且つ/又は(i)のFab重鎖は、配列番号65に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。
いくつかの実施態様では、第2の抗体は、抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(v)のFab軽鎖は、配列番号22~24のCDRを含み得、且つ/又は配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号34に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(iv)のFab重鎖は、配列番号19~21のCDRを含み、且つ/又は(iv)のFab重鎖は、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含む。
別の特定の実施態様では、第2の抗体は、A5B7(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(v)のFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号46~48のCDRを含み得、且つ/又は配列番号50に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号58に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(iv)のFab重鎖は、配列番号43~45のCDRを含み、且つ/又は(iv)のFab重鎖は、配列番号49に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含む。
別の特定の実施態様では、第2の抗体は、抗体T84.66(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(v)のFab軽鎖ポリペプチドは、配列番号14~16のCDRを含み得、且つ/又は配列番号18に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号89に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(iv)のFab重鎖は、配列番号11~13のCDRを含み得、且つ/又は(iv)のFab重鎖は、配列番号17に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。
別の特定の実施態様では、第2の抗体は、抗体28A9(そのヒト化型を含む)からのCEA結合配列(すなわち、CDR又はVH/VLドメイン)を有し得る。
例えば、(v)のFab軽鎖は、配列番号62~64のCDRを含み得、且つ/又は配列番号66に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施態様では、それは、配列番号96に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
いくつかの実施態様では、(iv)のFab重鎖は、配列番号59~61のCDRを含み得、且つ/又は(iv)のFab重鎖は、配列番号65に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含み得る。
いくつかの実施態様では、第1の抗体及び第2の抗体は、CEAの同じエピトープに結合する。したがって、例えば、第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、A5B7(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、T84.66(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、28A9(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得;又は第1の抗体及び第2の抗体は両方とも、MFE23(そのヒト化型を含む)に由来するCEA結合配列を有し得る。いくつかの実施態様では、(ii)の軽鎖ポリペプチドが(v)の軽鎖と同じ配列を有することが好ましい場合がある。
特定の実施態様では、(ii)及び(v)のFab軽鎖は両方とも、配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含み;且つ、(i)及び(iv)のFab重鎖は、配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する可変ドメインを含む。
特定の一実施態様では、
第1の抗体は、
- 配列番号146の第1の重鎖;
- 配列番号144の第2の重鎖;
- 配列番号143の軽鎖
を含み;且つ/又は
第2の抗体は、
- 配列番号145の第1の重鎖;
- 配列番号144の第2の重鎖;
- 配列番号143の軽鎖
を含む。
他の実施態様では、上記で論じたように、第1の抗体及び第2の抗体はCEAの異なるエピトープに結合する。したがって、例えば、第1の抗体は抗体CH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体はA5B7に由来するCEA結合配列を有し得;又は、第1の抗体は抗体A5B7に由来するCEA結合配列を有し得、第2の抗体はCH1A1Aに由来するCEA結合配列を有し得る。
I.抗体バリアント
特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせは、最終コンストラクトが、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終コンストラクトに到達するように行うことができる。
置換、挿入、及び欠失バリアント
ある特定の実施態様では、1種以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換による変異導入のための目的の部位には、HVR(CDR)及びFRが含まれる。保存的置換は、表1において「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化を表1に「例示的置換」の見出しの下に示し、またアミノ酸側鎖クラスに関して下にさらに記載する。アミノ酸置換が、目的の抗体に導入される場合があり、産物は、所望の活性、例えば、抗原への結合の保持/改善、免疫原性の低下、又はADCC若しくはCDCの低減若しくは排除についてスクリーニングされ得る。
Figure 2024504931000009
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのメンバーと交換することを伴うであろう。
ある種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ又は複数の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる研究のために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、且つ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成され得る。簡潔には、1つ又は複数のCDR残基が変異され、バリアント抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
抗体親和性を向上させるために、例えば、CDRにおいて改変(例えば、置換)を行ってもよい。そのような改変は、CDR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基、及び/又は抗原に接触する残基で行われてもよく、結果として生じるバリアントVH又はVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの態様では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのCDR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、CDR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニン・スキャニング突然変異誘発又はモデル化を用いて、特異的に同定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ又は複数のCDR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的な変更(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)は、CDRにおいて行われてもよい。そのような改変は、例えば、CDR中の抗原接触残基の外側であってもよい。上述の特定のバリアントVH及びVL配列において、各CDRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニン・スキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)の残基又はグループを同定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置換して、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。代替的に、又は追加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点が特定され得る。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は排除されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個以上のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、酵素(例えば、ADEPT(抗体指向性酵素プロドラッグ治療法のための)又はポリペプチドへの抗体のN末端若しくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増大させる。
グリコシル化バリアント
特定の態様では、本明細書において提供する抗体を変えて、抗体のグリコシル化の程度を増減させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ又は複数のグリコシル化部位が作り出されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を変更させることにより好都合に達成され得る。
抗体がFc領域を含む場合、それに結合するオリゴ糖は変更され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐型オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの態様では、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を有する抗体バリアントを作製するために行われ得る。
一態様では、非フコシル化オリゴ糖、すなわちFc領域に(直接的又は間接的に)結合したフコースを欠くオリゴ糖構造を有する抗体バリアントが提供される。このような非フコシル化オリゴ糖(「アフコシル化」オリゴ糖とも呼ばれる)は特に、二分岐オリゴ糖構造の幹に第1のGlcNAcが結合したフコース残基を欠く、N結合オリゴ糖である。一態様では、内在性又は親抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の比率が増加した抗体バリアントを提供する。例えば、非フコシル化オリゴ糖の割合は、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、又は場合によっては約100%(すなわち、フコシル化オリゴ糖が存在しない)であってもよい。非フコシル化オリゴ糖の割合は、例えば、国際公開第2006/082515号に記載のMALDI-TOF質量分析法により測定した、Asn297に結合した全てのオリゴ糖の合計(例えば、複合体、ハイブリッド、及びハイマンノース構造)に対する、フコース残基を欠くオリゴ糖の(平均)量である。Asn297とは、Fc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEU番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体のわずかな配列のバリエーションに起因して、297位から上流又は下流に±3アミノ酸、すなわち294位から300位の間に位置する場合もある。Fc領域において非フコシル化オリゴ糖の割合が増加したそのような抗体は、改善されたFcγRIIIa受容体結合及び/又は改善されたエフェクター機能、特に改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号;同第2004/0093621号を参照されたい。
フコシル化が低下した抗体を産生可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が不足しているLec13CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子のFUT8ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614-622(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)、又はGDP-フコース合成若しくはトランスポータータンパク質の活性が低下若しくは消滅した細胞(例えば、米国特許出願公開第2004259150号、同第2005031613号、同第2004132140号、同第2004110282号を参照されたい)が挙げられる。
さらなる態様では、抗体バリアントは、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖と共に提供される。そのような抗体バリアントは、上記のように、フコシル化の減少及び/又は改善されたADCC機能を有する可能性がある。そのような抗体バリアントの例は、例えば、Umana et al.,Nat Biotechnol 17,176-180(1999);Ferrara et al.,Biotechn Bioeng 93,851-861(2006);国際公開第99/54342号;同第2004/065540号、同第2003/011878号に記載されている。
Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第1997/30087号;同第1998/58964号;及び同第1999/22764号に記載されている。
抗体は、グリコシル化の程度を低減するように修飾されることが好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、抗体は、非グリコシル化される場合もあり、脱グリコシル化される場合もある。抗体は、N297における置換、例えば、N297D/Aを含むことができる。
Fc領域バリアント
ある特定の実施態様では、1つ又は複数のアミノ酸修飾が本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントが生成され得る。Fc領域バリアントは、1つ又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
特定の実施態様では、本発明は、エフェクター機能が低減された抗体バリアント、例えば、CDC、ADCC、及び/又はFcγRへの結合が低減されるか又は排除されている抗体バリアントを企図する。特定の態様では、本発明は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を有することで、抗体のin vivo半減期が重要でありながら、特定のエフェクター機能(例えば補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害(ADCC))が不必要、又は有害である用途に対して望ましい候補となる、抗体バリアントを企図する。
CDC及び/又はADCC活性の低減/消失を確認するために、in vitro及び/又はin vivoの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠く(したがってADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現させるのに対し、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現させる。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評定するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を使用してもよい(例えば、フローサイトメトリー(CellTechnology、Inc.Mountain View、CA)のためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI))。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、又は加えて、目的のADCC活性は、例えば、Clynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652~656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて、in vivoで評価され得る。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号における、C1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照されたい)、FcRn結合及びin vivoクリアランス/半減期の決定も、当技術分野で知られている方法を使用して行うことができる(Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006);国際公開第2013/120929号を参照されたい)。
エフェクター機能が低下した抗体としては、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329において1つ又は複数の置換、例えば、P329Gを含むものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を伴ういわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7332581号)など、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうちの2つ以上で置換を有するFc変異体を含む。
特定の態様では、抗体バリアントは、FcγR結合を減少させる1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置234及び235(EU番号付けの残基)を有するFc領域を含む。一態様では、置換はL234A及びL235A(LALA)である。特定の態様では、抗体バリアントは、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域に、D265A及び/又はP329Gをさらに含む。一態様では、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びP329G(LALA-PG)である。(例えば、国際公開第2012/130831号を参照されたい。)別の態様では、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びD265A(LALA-DA)である。代替置換には、任意選択でD265A及び/又はP329G及び/又はP331Sと組み合わせた、L234F及び/又はL235Eが挙げられる。
他の実施態様では、IgG4又はIgG2などの、Fcエフェクター機能が低下したIgGサブタイプを使用することが可能であり得る。
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
いくつかの実施態様では、例えば、米国特許第6,194,551号;国際公開第99/51642号;及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)において記載されているように、C1qへの結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変更(すなわち、改善又は減弱、好ましくは、減弱)を結果としてもたらすFc領域内の変更が施される。
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低下させる1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置253、及び/又は310、及び/又は435(残基のEU番号付け)における変異を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、位置253、310、及び435におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様では、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、I253A、H310A、及びH435Aである。例えば、Grevys,A.,et al.,J.Immunol.194(2015)5497-5508を参照されたい。
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低下させる1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置310、及び/又は433、及び/又は436(残基のEU番号付け)における変異を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、位置310、433、及び436におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様では、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、H310A、H433A、及びY436Aである。(例えば、国際公開第2014/177460号(A1)を参照されたい)。例えば、いくつかの実施態様では、通常のFcRn結合が使用され得る。
Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
本明細書で報告される完全長抗体の重鎖C末端は、アミノ酸残基PGKを終端とする、完全C末端であり得る。重鎖のC末端は、C末端アミノ酸残基のうちの1つ又は2つが除去された、短縮C末端であり得る。重鎖のC末端は、PGを終端とする、短縮C末端であり得る。本明細書で報告される全ての態様のうちの一態様では、本明細書で指定される、C末端CH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端のグリシン残基(G446;EUインデックスによるアミノ酸位置の番号付け)を含む。これは、本明細書で使用される「完全長抗体」又は「完全長重鎖」という用語によっても、やはり、明示的に包摂されている。
抗体誘導体
ある特定の態様では、本書で提供される抗体は、当技術分野で公知であり容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含むように、さらに改変され得る。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例:グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる(但しこれらに限定されない)。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着しているポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても、異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうか等の考慮事項に基づいて決定することができる。
J.組換え法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される組換え法及び組成物を使用して生成されてもよい。一実施態様では、本明細書に記載される抗体のセットをコードする単離核酸又は単離核酸のセットが提供される。
例えば、核酸のセットは、第1の抗体をコードする以下の核酸:
i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第1の重鎖ポリペプチドをコードする核酸;
ii)(i)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)をコードする核酸;
iii)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第2の重鎖ポリペプチドをコードする核酸;
iv)(iii)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するさらなるFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)をコードする核酸
を含み得る。
本発明による核酸のセットは、追加的に又は代替的に、第2の抗体をコードする以下の核酸:
v)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第1の重鎖ポリペプチドをコードする核酸;
vi)(v)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)をコードする核酸;
vii)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含む第2の重鎖ポリペプチドをコードする核酸;
viii)(vii)のFab重鎖と対合して標的抗原に対する結合部位を形成するFab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)をコードする核酸
を含み得る。
いくつかの実施態様では、これらの核酸のうちの特定のものは互いに同じであり得る。例えば、(ii)の核酸は(iv)と同じであってもよく、且つ/又は(vi)の核酸は(viii)と同じであってもよく、その結果、セット全体が8個未満の異なる核酸配列を含むことになる。
別の実施態様では、核酸のセットは、第1の抗体をコードする以下の核酸:
i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチドをコードする核酸;
ii)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)をコードする核酸;並びに
iii)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)をコードする核酸
を含み得;
ここで、(i)のFab重鎖及び(ii)のFab軽鎖は、標的抗原に結合することができるFab断片を形成する。
本発明による核酸のセットは、追加的に又は代替的に、第2の抗体をコードする以下の核酸:
iv)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチドをコードする核酸;
v)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL)をコードする核酸;並びに
vi)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)をコードする核酸
を含み得;
ここで、(i)のFab重鎖及び(ii)のFab軽鎖は、標的抗原に結合することができるFab断片を形成する。
再び、いくつかの実施態様では、これらの核酸のうちの特定のものは互いに同じであり得る。例えば、(ii)の核酸は(v)の核酸と同じであってもよく、その結果、全体のセットは5つの異なる核酸配列のみを含む。
核酸は、1つ又は複数の核酸分子又は発現ベクターに含まれ得る。
したがって、さらなる実施態様では、そのような核酸(複数可)を含む1つ又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。一実施態様では、それぞれの重鎖及び軽鎖の各々は、個々のプラスミドから発現される。
さらなる実施態様では、このような核酸(複数可)又はベクター(複数可)を含む宿主細胞又は宿主細胞のセットが提供される。一実施態様では、第1の抗体を発現する第1の宿主細胞が提供され、第2の抗体を発現する第2の宿主細胞が提供される。
1つのそのような実施態様では、第1の宿主細胞は、第1の抗体の核酸を集合的にコードする1つ又は複数のベクターを含む。第2の宿主細胞は、第2の抗体の核酸を集合的にコードする1つ又は複数のベクターを含む(例えば、それによって形質転換されている)。
一実施態様では、宿主細胞は、真核生物のもの、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様では、本発明による抗体の作製方法が提供され、本方法は、上述される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意選択で、抗体を宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から回収することとを含む。
抗体の組換え産生に関しては、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために、1つ又は複数のベクター中に挿入される。このような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離及び配列決定され得る。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現のための適切な宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に糖鎖修飾やFcエフェクター機能を必要としない場合には、細菌中で産生されてもよい。細菌中の抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、米国特許第5,789,199号、及び米国特許第5,840,523号を参照されたい。(また、大腸菌内の抗体断片の発現について記載する、Charlton,K.A.,In:Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2003),pp.245-254も参照されたい)。発現の後、抗体は、可溶型画分中の細菌細胞ペーストから単離され、さらに精製され得る。
原核生物に加えて、グリコシル化経路が「ヒト化」されていて、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌株及び酵母株を含めた糸状菌類又は酵母などの有用真核微生物も、抗体をコードするベクターのための適切なクローニング宿主又は発現宿主である。Gerngross,T.U.、Nat.Biotech.22(2004)1409-1414;及びLi,H.et al.,Nat.Biotech.24(2006)210-215を参照されたい。
(グリコシル化)抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が確認されており、特に、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併せて使用してもよい。
植物細胞培養物も、宿主として利用し得る。例えば、米国特許第5,959,177号、米国特許第6,040,498号、米国特許第6,420,548号、米国特許第7,125,978号及び米国特許第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham,F.L.et al.,J.Gen Virol.36(1977)59-74に記載されるような293細胞又は293T細胞、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,J.P.,Biol.Reprod.23(1980)243-252に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト頸部癌腫細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス***腫瘍(MMT 060562)、TRI細胞(例えば、Mather,J.P.et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383(1982)44-68に記載)、MRC5細胞及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub,G.etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA77(1980)4216-4220)を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;並びに骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0及びSp2/0が挙げられる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞の総説については、例えば、Yazaki,P.and Wu,A.M.,Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2004),pp.255-268を参照されたい。
一態様では、宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
K.アッセイ
本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られている様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物学的活性について同定、スクリーニング、又は特性決定することができる。
一態様では、本発明の抗体を、例えばELISA、ウエスタンブロット等の公知の方法によって、その抗原結合活性について試験する。
抗体親和性
ある特定の実施態様では、本明細書で提示される抗体は、標的抗原に対する、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMもしくは≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)、又は本明細書の他の箇所で言明される通りの解離定数(K)を有する。
特定の実施態様では、エフェクター部分、例えば、放射性標識化合物に対する抗原結合部位は、エフェクター部分/放射性標識化合物に対する、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM若しくは≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。いくつかの実施態様では、Kとは、1nM以下、500pM以下、200pM以下、100pM以下、50pM以下、20pM以下、10pM以下、5pM以下、又は1pM以下、又は本明細書の他の箇所で言明される通りである。例えば、機能的結合部位は、放射性標識化合物/金属キレートに、約1pM~1nM、例えば、約1~10pM、1~100pM、5~50pM、100~500pM、又は500pM~1nMのKで結合し得る。
一実施態様では、Kは、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施態様では、RIAは、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて実施される。例えば、溶液中における、Fabの、抗原に対する結合親和性は、非標識抗原の滴定系列の存在下において、Fabを、最小濃度の(125I標識)抗原で平衡化し、次いで、抗Fab抗体でコーティングされたプレートで、結合している抗原を捕捉することにより測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、関心のあるFabの段階希釈物と混合する(例えば、Prestaら、「Cancer Res.」第57巻第4593~4599頁(1997年)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイでの使用のために選択する。
別の実施態様によれば、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイを、約10の反応単位(RU)で、固定化された抗原CM5チップによって25℃で実行する。一実施態様では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示に従ってN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化する。抗原を10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で、5μg/mL(約0.2μM)に希釈した後で、5μL/分の流量で注入し、結合タンパク質のおよそ10反応単位(RU)を達成する。抗原を注入した後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基をブロックする。反応速度を測定するために、Fabの2倍段階希釈物(0.78nM~500nM)を、0.05%のポリソルベート20(Tween-20(商標))界面活性剤(PBST)と共に、25℃、約25μl/分の流量でPBS中に注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して、会合センサグラム及び解離センサグラムを同時に適合することによって、算出する。平衡解離定数(K)を、比koff/konとして計算する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによる会合速度が10-1-1を超える場合、会合速度は、流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌型キュベットを伴う8000シリーズのSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計により測定される、漸増濃度の抗原の存在下における、PBS、pH7.2中に20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の、25℃における蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過を16nmとする)の増大又は減少を測定する蛍光消光技術を用いることにより決定され得る。
別の実施態様では、Kは、SET(溶液平衡滴定)を使用して測定される。このアッセイによれば、通常、試験抗体は一定の濃度で適用され、試験抗原の段階希釈物と混合される。インキュベーションして平衡を確立した後、遊離抗体の部分を、抗原コーティング表面上で捕捉し、一般に、電気化学発光(例えば、Haenel et al Analytical Biochemistry 339(2005)182-184において記載されている)を使用して、標識/タグ付き抗種抗体により検出する。
例えば、一実施態様では、384ウェルストレプトアビジンプレート(Nunc、Microcoat;型番:11974998001)を、PBSバッファー中に20ng/mlの濃度で、ウェル1つ当たり25μlの抗原-ビオチン-異性体ミックスと共に、4℃で、一晩にわたりインキュベートする。抗体試料の、遊離抗原との平衡化のために、0.01nM~1nMの抗体を、2500nM、500nM、又は100nMの濃度で開始する、1:3、1:2、又は1:1.7の段階希釈で関連抗原で滴定する。試料を、シーリングされたREMP Storageポリプロピレン製マイクロプレート(Brooks)内で、4℃で、一晩にわたりインキュベートする。一晩にわたるインキュベーションの後、ストレプトアビジンプレートを、ウェル1つ当たり90μlずつのPBSTで、3回にわたり洗浄する。各試料15μlずつを、平衡化プレートから、アッセイプレートに移し、RTで、15分間にわたりインキュベートするのに続き、PBSTバッファー90μlずつ3回にわたる洗浄工程にかける。25μlのヤギ抗ヒトIgG抗体-PODコンジュゲート(Jackson、109-036-088、OSEP中に1:4000)を添加することにより、検出を実行するのに続き、PBSTバッファー90μlずつ6回にわたる洗浄工程にかける。25μlのTMB基質(Roche Diagnostics GmbH;型番:11835033001)を、各ウェルに添加する。測定は、Safire2リーダー(Tecan)上、370/492nmで行う。
別の実施態様では、KinExA(kinetic exclusion)アッセイを使用して、Kを測定する。このアッセイに従い、典型的に、抗原を、一定濃度の抗体結合部位に滴定し、試料を平衡化させ、次いで、フローセルを介して、速やかに取り出し、遊離抗体結合部位を、抗原コーティングビーズ上で捕捉する一方で、抗原飽和抗体複合体を洗い流す。次いで、ビーズ捕捉抗体を、標識抗種抗体、例えば、蛍光標識により検出する(Bee et al PloS One,2012;7(4):e36261)。例えば、一実施態様では、KinExA実験は、PBS pH7.4を、ランニングバッファーとして使用して、室温(RT)で実施される。試料は、1mg/mlのBSAを補充したランニングバッファー(「試料バッファー」)中で調製する。0.25ml/分の流量を使用する。結合部位濃度を5pMとする、一定量の抗体を、100pM(濃度範囲:0.049pM~100pM)で始める、2倍の段階希釈を介する抗原により滴定する。抗原を伴わない、1例の抗体試料は、100%のシグナル(すなわち、阻害を伴わないシグナル)として用いられる。抗原-抗体複合体を、RTで、少なくとも24時間にわたりインキュベートして、平衡に到達させた。次いで、KinExAシステム内、溶液の平衡状態を撹乱せずに、非結合抗体が、ビーズにより捕捉されることを可能とする、5mlの容量で、抗原カップリングビーズのカラムを介して、平衡化混合物を取り出す。捕捉された抗体は、試料バッファー中に250ng/mlのDylight 650(著作権)コンジュゲート抗ヒトFc断片特異的二次抗体を使用して検出する。各試料は、全ての平衡実験について、二連で測定する。KDは、「標準的解析」法を使用する、KinExAソフトウェア(Version 4.0.11)内に含有される、1部位均一結合モデルを使用して、データの非線形回帰分析から得られる。
L.治療方法及び組成物
本明細書で記載される抗体のセットは、治療法において使用され得る。一態様では、医薬としての使用のための、本明細書で記載される抗体のセットが提供される。特定の態様では、治療法における使用のための抗体のセットが提供される。
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体のセットは、例えばがんなどの増殖性疾患の治療における免疫療法剤として使用することができる。この治療は、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導し得る。
上記で論じられた通り、いくつかの態様では、本発明に従う抗体のセットは、放射性核種を、対象における標的細胞に送達することが所望される、任意の治療に適する。例えば、例えば、がん治療のためのプレターゲティング放射免疫療法における使用のための、本明細書で記載される抗体のセットが提供される。
特定の態様では、本発明は、個体における免疫療法又はプレターゲティング放射免疫療法であって、個体に有効量の抗体のセットを投与することを含む免疫療法又はプレターゲティング放射免疫療法における使用のための抗体のセットを提供する。上記の態様のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
上述したように、治療は、患者の疾患細胞にターゲティングされた細胞傷害活性によって治療可能な任意の状態の治療であり得る。治療は、好ましくは腫瘍又はがんの治療である。しかしながら、本発明の適用性は、腫瘍及びがんに限定されない。例えば、治療はまた、ウイルス感染、又は別の病原性生物体、例えば、原核生物の感染の治療でもあり得る。任意選択で、標的化はまた、T細胞駆動性自己免疫疾患又はT細胞性血液がんの治療のためのT細胞の標的化でもあり得る。したがって、治療される状態は、HIV、狂犬病、EBV及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどのウイルス感染、並びに多発性硬化症及び移植片対宿主病などの自己免疫疾患を含むことができる。
本明細書で使用される「がん」という用語は、下記のがんのうちのいずれかの難治性型、上記のがんのうちのいずれかの、チェックポイント阻害剤経験型、又は下記のがんのうちの1つ又は複数の組み合わせを含む、リンパ腫、リンパ性白血病、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞上皮細胞肺がん、骨がん、膵管腺癌(PDAC)を含む膵臓がん、皮膚がん、頭部がん又は頸部がん、皮膚黒色腫又は眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、肛門領域がん、胃(stomach、gastric)がん、結腸がん及び/又は直腸がんであり得る結腸直腸がん、乳がん、子宮がん、ファローピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん又は尿管がん、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞がん、胆管がん、中枢神経系(CNS)新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン細胞腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫、及びユーイング肉腫など、固形がん及び血液がんの両方を含む。
治療方法は、第1の抗体と第2の抗体を同時に又は連続的に投与することを含み得る。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される抗体は、併用療法の一部として投与される場合がある。例えば、それらは、1つ又は複数の化学療法剤と組み合わせて投与され得、化学療法剤及び抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る。さらに、又は代わりに、それらは、1つ又は複数の免疫療法剤と組み合わせて投与され得:免疫療法剤及び抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤、例えば放射性標識化合物)は、非経口、肺内及び鼻腔内投与、並びに局所治療が必要な場合には病変内投与を含む任意の適切な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。投薬は、任意の適切な経路、例えば、静脈内注射又は皮下注射などの注射によるものであり得る。
治療のために、放射性同位体を、細胞、組織、又は臓器に標的化する方法は、
i)対象に、本明細書で記載される、第1の抗体及び第2の抗体を投与すること(いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に)であり、抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化し;第1の抗体と第2の抗体との会合が、放射性標識化合物に対する機能的結合部位を形成する、本明細書で記載される、第1の抗体及び第2の抗体を投与すること(いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に);
並びに
ii)続いて、放射性標識化合物に対する機能的結合部位に結合する放射性標識化合物を投与すること
を含み得る。
放射性標識化合物は、細胞に対して細胞傷害性である、放射性同位体で標識される。適切な放射性同位体には、上で論じたようなアルファ放射体及びベータ放射体が含まれる。
二重特異性抗体(すなわち、本発明に従う「スプリット」抗体ではない抗体)を使用するプレターゲティング放射免疫療法では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、除去剤又はブロッキング剤を投与することが一般的である。除去剤は、抗体に結合し、それらの体内からのクリアランスの速度を増強する。除去剤は、抗イディオタイプ抗体を含む。ブロッキング剤とは、典型的に、放射性標識化合物に対する抗原結合部位に結合するが、それら自体が放射性標識ではない薬剤である。例えば、放射性標識化合物が、ある特定の化学元素(例えば、金属)の放射性同位体をロードされたキレート剤を含む場合、ブロッキング剤は、それが、抗原結合部位により、なおも結合し得ることを条件として、同じ元素(例えば、金属)の非放射性同位体をロードされた同じキレート剤を含むことができ、非ロードキレート剤又は異なる非放射性部分(例えば、異なる元素の非放射性同位体)をロードされたキレート剤を含んでもよい。一部の場合に、ブロッキング剤は、加えて、分子のサイズ及び/又は流体力学的半径を増大させる部分をさらに含み得る。これらは、分子が、循環中の抗体に結合する能力に干渉せずに、分子が、腫瘍に接近する能力を妨げる。例示的部分は、親水性ポリマーを含む。この部分は、例えば、デキストラン、デキストリン、PEG、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、又はポリ(2-エチル2-オキサゾリン)(PEOZ)のポリマー又はコポリマーであり得る。他の実施態様では、部分は、XTENポリペプチド(非構造化親水性タンパク質ポリマー)、ホモ-アミノ酸ポリマー(HAP)、プロリン-アラニン-セリンポリマー(PAS)、エラスチン様ペプチド(ELP)、又はゼラチン様タンパク質(GLK)などの非構造化ペプチド又は非構造化タンパク質であり得る。さらに例示的な部分としては、アルブミン、例えばウシ血清アルブミン、又はIgGのようなタンパク質が挙げられる。部分/ポリマーの適切な分子量は、例えば、少なくとも50kDa、例えば、50kDa~2000kDaの間の範囲であり得る。例えば、分子量は、200~800kDa、任意選択で、300、350、400、又は450kDaを超え、任意選択で、700、650、600、又は550kDa未満、任意選択で、約500kDaであり得る。
本発明の特定の態様によれば、除去剤又はブロッキング剤を、対象に投与する工程は存在しない。特定の態様では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、第1の抗体又は第2の抗体に結合する、任意の薬剤を投与する工程は存在しない。特定の態様では、任意選択で、化学療法剤、免疫療法剤、及び放射性増感剤から選択される化合物を除き、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、任意の薬剤を投与する工程は存在しない。いくつかの実施態様では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に薬剤は投与されない。いくつかの実施態様では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、他の任意の薬剤の、対象への注射又は点滴はなくてもよい。
いくつかの実施態様では、本方法は、i)抗体のセットを投与する工程(ここで、第1の抗体及び第2の抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る)と、ii)続いて、放射性標識化合物を投与する工程とからなるか、又はこれらから本質的になる、2工程プレターゲティング放射性免疫療法であり得る。治療は、このような治療法の複数のサイクル、すなわち、これらの2つの工程の複数のサイクルを含み得る。例示的治療サイクルの持続期間は28日間であり、ここでは抗体のセットが、サイクルの1日目に投与され、放射性標識化合物が、任意選択で、サイクルの1、2、3、4、5、6、7、又は8日目に、例えば、7日目に投与される。治療サイクルの数は、変動し得る。一実施態様では、4、5、又は6つの治療サイクルが施され得る。
驚くべきことに、本発明者らは、本発明による抗体を使用して、正常組織中の過剰な放射能の蓄積を回避しながら、治療的に有効な放射性標識化合物の、腫瘍への取り込みを得ることが可能であることを決定した。実際、実施例では、非標的組織中の放射能の蓄積レベルは、二重特異性抗体及び除去工程を使用し、また、より単純な手順を使用する、3工程PRIT法の場合よりも低いことが見出された。
いくつかの実施態様では、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体が、標的細胞に局在化するのに適する時間を与えられたら、対象に投与され得る。例えば、いくつかの実施態様では、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体の直後に、対象に投与される場合もあり、第1の抗体及び第2の抗体の、少なくとも4時間、8時間、1日間、又は2日間後に、対象に投与される場合もある。任意選択で、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体の後、3日間、5日間、又は7日間を超えずに投与され得る。1つの特定の実施態様では、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体の2~7日後に、対象に投与され得る。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される抗体は、追加的に又は代替的に、放射線増感剤と組み合わせて投与され得る。放射線増感剤と抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る。
いくつかの実施態様では、上述のように、1つ又は複数の治療サイクルの前に、1つ又は複数の線量測定サイクルを使用することができる。線量測定サイクルは、i)抗体のセットを投与する工程(この場合、第1の抗体及び第2の抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与される場合もある)と、ii)続いて、ガンマ放射体による放射性標識のイメージングに適する化合物を投与する工程(この場合、前記放射性標識化合物は、放射性標識化合物に対する機能的結合部位に結合する)とを含み得る。化合物は、それが、アルファ放射体又はベータ放射体ではなく、ガンマ放射体で標識されることを除き、その後の治療サイクルで使用される化合物と同じであり得る。例えば、一実施態様では、線量測定サイクルで使用される放射性標識化合物は、203Pb-DOTAMであることが可能であり、治療サイクルで使用される放射性標識化合物は、212Pb-DOTAMであり得る。患者は、腫瘍への化合物の取り込みを決定するため、及び/又は化合物の吸収線量を推定するために、画像診断を受けることができる。この情報は、その後の治療工程で予想される放射線被曝を推定し、治療工程で使用される放射性標識化合物の線量を安全なレベルに調整するために使用され得る。
M.薬学的製剤
本明細書で記載される第1の抗体及び第2の抗体は、単一の薬学的組成物中に製剤化される場合もあり、個別の薬学的組成物中に製剤化される場合もある。したがって、さらなる態様では、本発明は、例えば、本明細書で記載される治療法又は診断法のうちのいずれかにおける使用のための、本発明の第1の抗体及び第2の抗体、又は本発明の第1の抗体を含む、第1の薬学的製剤と、本発明の第2の抗体を含む、第2の薬学的組成物とを含む薬学的組成物を提供する。一実施態様では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。別の実施態様では、薬学的組成物は、例えば、下記で記載される、少なくとも1つのさらなる治療剤をさらに含む。
本明細書で記載される抗体の薬学的製剤は、所望の純度を有するこのような抗体を、1つ又は複数の任意選択の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合することにより調製され得る。
薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、次のものが含まれるが、これらに限定されない:ヒスチジン、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;ヘキサメトニウムクロリド;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及び、m-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む、単糖、二糖、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又は、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体には、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Halozyme,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質など、間質性薬物分散剤がさらに含まれる。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、コンドロイチナーゼなど、1つ又は複数のさらなるグリコサミノグリカナーゼと組み合わせる。
例示的な凍結乾燥抗体組成物については、米国特許第6,267,958号において記載されている。水性抗体組成物は、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号において記載されている水性抗体組成物を含み、後者の組成物は、ヒスチジン-アセテートバッファーを含む。
本明細書における製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な2つ以上の活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有し得る。例えば、上記で論じられた、化学療法剤、免疫療法剤、及び/又は放射性増感剤をさらにもたらすことが所望であり得る。このような有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わされて存在することが適切である。
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、又はマクロエマルジョン中にも取り込まれ得る。このような技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、16版、Osol,A.編(1980)において開示されている。
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の適切な例は、抗体を含有する固形疎水性ポリマーの半透性マトリックスであって、成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にあるマトリックスを含む。
in vivo投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌は、例えば滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成され得る。
N.診断及び検出のための方法及び組成物
エフェクター薬剤が放射性標識部分である場合、本明細書で記載される抗体のセットはまた、診断法又はイメージング法、好ましくは、プレターゲティングラジオイムノイメージング法、又はこれを含む方法においても使用され得る。したがって、本発明は、診断法及びイメージング法を提供する。本発明は、本明細書で記載されるイメージング法における、抗体のセットの使用、及び対象において、例えば、ヒト又は動物の体内において実行される診断法における使用のための、本明細書で記載される抗体のセット(すなわち、本明細書で記載される、第1の抗体及び第2の抗体)をさらに提供する。
イメージング法は、体内における標的抗原の存在及び/又は分布のイメージングに適している。例えば、方法は、上記で論じられた疾患状態のうちのいずれかなどの疾患と関連する抗原を発現する細胞をイメージングする方法であり得る。任意選択で、方法は、腫瘍又はがんをイメージングするための方法である。方法は、がんなどの増殖性疾患又は感染性疾患を有することが疑われる対象を診断するための方法であり得る。
いくつかの実施態様では、対象は、ヒトであることが好ましい場合がある。
イメージング又は診断のために、放射性同位体を、組織又は臓器に標的化する方法は、
i)対象に、本明細書で記載される第1の抗体及び第2の抗体を投与すること(いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に)であり、抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化し、第1の抗体と第2の抗体との会合が、放射性標識化合物に対する機能的結合部位を形成する、本明細書で記載される第1の抗体及び第2の抗体を投与すること(いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に);
ii)続いて、放射性標識化合物に対する機能的結合部位に結合する放射性標識化合物を投与すること
を含み得る。
任意選択で、方法は、
iii)組織又は臓器をイメージングすることであって、放射性標識化合物が、局在化しているか、又は局在化していることが予測される、組織又は臓器をイメージングすること
をさらに含み得る。
任意選択で、方法は、診断を形成し、診断を対象に配信し、且つ/又は診断に基づき、適切な治療を決定及び/若しくは投与する、1つ又は複数の工程をさらに含み得る。
別の実施態様では、本発明の方法は、対象が以前に、
i)抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化し、第1の抗体と第2の抗体との会合が、放射性標識化合物に対する機能的結合部位を形成する、本明細書で記載される、第1の抗体及び第2の抗体(いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に);並びに
ii)第1の抗体と第2の抗体との会合により形成される、前記放射性標識化合物に対する抗原結合部位に結合する放射性標識化合物
を投与されている、対象の組織又は臓器をイメージングすること
を含み得る。
本明細書で記載されるイメージング法及び/又は診断法では、放射性標識化合物は、イメージングに適する放射性同位体で標識される。適切な放射性同位体は、上記で論じられたガンマ放射体を含む。
従来のプレターゲティング放射線イメージング法では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、除去剤又はブロッキング剤、例えば、上記で記載された除去剤又はブロッキング剤を投与することが一般的である。
本発明の特定の実施態様では、除去剤又はブロッキング剤を投与する工程は存在しない。特定の態様では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、第1の抗体又は第2の抗体に結合する、任意の薬剤を投与する工程は存在しない。特定の態様では、任意選択で、化学療法剤、免疫療法剤、及び放射性増感剤から選択される化合物を除き、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、任意の薬剤を投与する工程は存在しない。いくつかの実施態様では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に薬剤は投与されない。いくつかの実施態様では、抗体の投与と、放射性標識化合物の投与との間に、他の任意の薬剤の、対象への注射又は点滴はなくてもよい。
いくつかの実施態様では、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体が、標的細胞に局在化するのに適する時間を与えられたら、対象に投与され得る。例えば、いくつかの実施態様では、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体の直後に、又は第1の抗体及び第2の抗体の、少なくとも4時間後、8時間後、1日後、若しくは2日後に、対象に投与され得る。任意選択で、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体の後、3日間、5日間、又は7日間を超えずに投与され得る。1つの特定の実施態様では、放射性標識化合物は、第1の抗体及び第2の抗体の2~7日後に、対象に投与され得る。
いくつかの実施態様では、イメージング法は、i)抗体のセットを投与する工程(この場合、第1の抗体及び第2の抗体は、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され得る)、ii)続いて、放射性標識化合物を投与する工程、及びiii)目的の組織又は臓器をイメージングする工程からなるか、又はこれらから本質的になる、プレターゲティング放射線イメージング法であり得る。診断法は、前記工程に続く、診断を形成する工程からなるか、又はこれらから本質的になることができ、次いで、この診断は、患者に送達され、治療レジメンの選択及び/又は治療レジメンの投与のための基礎として使用され得る。
標的抗原は、本明細書で論じられる、任意の標的抗原であり得る。いくつかの実施態様では、標的抗原は、上記で論じられた腫瘍特異的抗原であることが可能であり、イメージングは、1つ又は複数の腫瘍のイメージング法であり得る。個体は、腫瘍を有することが公知であるか、又はこれが疑われる個体であり得る。
例えば、方法は、下記のがんのうちのいずれかの難治性型、又はこれらのがんのうちのいずれかの、チェックポイント阻害剤経験型、又は下記のがんのうちの1つ又は複数の組み合わせを含む、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞上皮細胞肺がん、骨がん、PDACを含む膵臓がん、皮膚がん、頭部がん又は頸部がん、皮膚黒色腫又は眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん及び/又は結腸がんであり得る結腸直腸がん、肛門領域がん、胃(stomach、gastric)がん、乳がん、子宮がん、ファローピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん又は尿管がん、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞がん、胆管がん、中枢神経系(CNS)新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン細胞腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫、及びユーイング肉腫を有するか、又はこれらを有することが疑われる個体における、腫瘍のイメージング法であり得る。
Figure 2024504931000010
Figure 2024504931000011
Figure 2024504931000012
Figure 2024504931000013
Figure 2024504931000014
Figure 2024504931000015
Figure 2024504931000016
Figure 2024504931000017
Figure 2024504931000018
Figure 2024504931000019
Figure 2024504931000020
Figure 2024504931000021
Figure 2024504931000022
Figure 2024504931000023
Figure 2024504931000024
Figure 2024504931000025
Figure 2024504931000026
Figure 2024504931000027
IV.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。先に提供した一般的な説明を考慮すると、種々の他の実施態様が実施されてもよいことが理解される。
略語の用語解説
ADA 抗薬物抗体
AST アラニン、セリン、スレオニン
BsAb 二重特異性抗体
CA 除去剤
CEA がん胎児性抗原
DOTAM 1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン
ID 注入(注射)用量
ELISA 酵素免疫測定アッセイ
FAP 線維芽細胞活性化タンパク質
GPRC5D Gタンパク質共役受容体ファミリーC5群メンバーD
IV 静脈内
MW 分子量
PBS リン酸緩衝食塩水
p.i. 注射後
PK 薬物動態
PRIT プレターゲティング放射免疫療法
RIT 放射免疫療法
RT 室温
SC 皮下
SCID 重度複合免疫不全
SD 標準偏差
SOPF Specific and opportunistic pathogen-free(特異的且つ日和見的病原体を含まない)
SPLIT SeParated v-domains LInkage Technology(分離されたVドメインリンケージ技術)
TA 標的抗原
TGI 腫瘍増殖阻害
TR 腫瘍縮小
実施例1:CEA-スプリット-DOTAM VH/VL抗体の生成
標的抗原に対する結合部位と放射性標識化合物に対する結合部位を有する二重特異性抗体を用いたPRIT(プレターゲティング放射免疫療法)の方法は、効果的な標的化と腫瘍組織対正常組織の高い吸収線量比を確保するために、抗体と放射性リガンドの投与の間に除去剤(CA)を使用するのが一般的である(図3参照)。そのような方法の1つの例では、注射されたBsAbは腫瘍に浸透するのに十分な時間(通常は4~10日間)を与えられ、その後、循環しているBsAbがPb-DOTAM-dextran-500CAを使用して中和される。CAは、腫瘍に浸透することなく、非標的BsAbへの212Pb-DOTAMの結合をブロックし、プレターゲティング部位をブロックするであろう。このプレターゲティングレジメンにより、その後に投与される放射性標識キレート212Pb-DOTAMの効率的な腫瘍蓄積が可能になる。
しかし、除去剤を含む方法では、CAを使用することは、非効率的なさらなるステップを導入することになる。さらに、CA投与のタイミングと投与量を慎重に選択することが重要である可能性があり、これが複雑な要因となっている。
除去剤の使用に関連する問題に対処するために、本発明者らは、DOTAM VL及びVHドメインを分割して、それらが別々の抗体上に見られるようにする戦略を提案した。
例示的なスプリットDOTAM VH/VL抗体の生成についてはさらに後述する。
抗体重鎖又は軽鎖の組換え発現のためのプラスミドの生成
所望のタンパク質は、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293)の一過性トランスフェクションによって発現された。所望の遺伝子/タンパク質(例えば、完全長抗体重鎖、完全長抗体軽鎖、又は追加ドメイン(例えば、C末端に免疫グロブリン重鎖又は軽鎖可変ドメイン)を含む完全長抗体重鎖)の発現には、以下の機能的エレメントを含む転写ユニットを使用した:
- イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)の即初期エンハンサー及びプロモーター、
- ヒト重鎖免疫グロブリン5’非翻訳領域(5’UTR)、
- マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列(SS)、
- 発現される遺伝子/タンパク質、及び
- ウシ成長ホルモンのポリアデニル化配列(BGH pA)。
発現される所望の遺伝子を含む発現ユニット/カセットに加えて、基本的/標準的な哺乳動物発現プラスミドは、
- 大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18からの複製起点、及び
- 大腸菌にアンピシリン耐性を付与するベータラクタマーゼ遺伝子
を含有した。
a)抗体重鎖の発現プラスミド
完全で且つ機能的な抗体重鎖に続き、さらなる抗体の重鎖Vドメイン又は軽鎖Vドメインを含む、C末端融合遺伝子を含む遺伝子をコードする抗体重鎖は、各々が、G4S×4リンカーにより分離された、それぞれの配列エレメント(重鎖Vエレメント又は軽鎖Vエレメント)をコードするDNA断片をヒトIgG分子のCH3ドメインのC末端に融合することによってアセンブルされた(VH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-リンカー-VH又はVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-リンカー-VL)。2つのCH3ドメインそれぞれのC末端に、1つのVHドメインと、1つのVLドメインとを保有する組換え抗体分子は、ノブ・イントゥー・ホール技術を使用して発現させた。
HEK293細胞内の、C末端にVHドメイン又はVLドメインを伴う抗体重鎖の一過性発現のための発現プラスミドは、C末端にVHドメイン又はVLドメインを伴う抗体重鎖断片の発現カセットに加えて、このプラスミドの、大腸菌内の複製を可能とするベクターである、pUC18に由来する複製起点、及び大腸菌内でアンピシリン耐性を付与する、ベータ-ラクタマーゼ遺伝子を含んだ。C末端にVHドメイン又はVLドメインの融合遺伝子を伴う抗体重鎖断片の転写単位は、以下の機能的エレメント:
- イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)に由来する、即初期エンハンサー及びプロモーター、
- ヒト重鎖免疫グロブリン5’非翻訳領域(5’UTR)、
- マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
- 抗体重鎖(VH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-リンカー-VH又はVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3-リンカー-VL)をコードする核酸、及び
- ウシ成長ホルモンのポリアデニル化配列(BGH pA)
を含む。
b)抗体軽鎖の発現プラスミド
完全且つ機能的な抗体軽鎖を含む遺伝子をコードする抗体軽鎖は、それぞれの配列エレメントをコードするDNA断片を融合することによってアセンブルされた。
抗体軽鎖の一過性発現のための発現プラスミドは、抗体軽鎖断片に加えて、このプラスミドの、大腸菌内の複製を可能とするベクターである、pUC18に由来する複製起点、及び大腸菌内でアンピシリン耐性を付与する、ベータ-ラクタマーゼ遺伝子を含んだ。抗体軽鎖断片の転写ユニットは、以下の機能的エレメント:
- イントロンAを含む、ヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)に由来する、即初期エンハンサー及びプロモーター、
- ヒト重鎖免疫グロブリン5’非翻訳領域(5’UTR)、
- マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
- 抗体軽鎖(VL-CL)をコードする核酸、及び
- ウシ成長ホルモンのポリアデニル化配列(BGH pA)
を含む。
抗体分子の一過性発現
抗体分子は、F17培地(Invitrogen Corp.)で培養された一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞株293由来)で生成された。トランスフェクションには、「293-Free」トランスフェクション試薬(Novagen)を使用した。上記のそれぞれの抗体重鎖及び軽鎖分子は、個々の発現プラスミドから発現された。トランスフェクションは、製造業者の説明書に明記されているように実施した。免疫グロブリンを含む細胞培養上清をトランスフェクションの3~7日後に回収した。上清を精製するまで低温(例えば、-80℃)で保存した。
例えば、HEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般情報は、Meissner,P.et al.,Biotechnol.Bioeng.75(2001)197-203に与えられる。
PRITヘミボディ(スプリット抗体)をMabSelect Sure(アフィニティークロマトグラフィー)で精製し、続いてSuperdex 200(サイズ排除クロマトグラフィー)で精製した。
例示的な抗体/ヘミボディの配列を以下に要約する。
Figure 2024504931000028
DOTAM-VL-P1AD8592を含むPRITスプリット抗体では、濃度1.372mg/mL、分析用SEC及びCE-SDSに基づく純度>96%の5mgが生成された。DOTAM-VHを含むPRITスプリット抗体-P1AD8749では、濃度2.03mg/mL、分析用SEC及びCE-SDSに基づく純度>91%の14mgが生成された。
抗体P1AE4956及びP1AE4957も生成された。DOTAM-VL-P1AE4957を含むPRITスプリット抗体では、濃度2.6mg/mL、分析用SEC及びCE-SDSに基づく純度>81.6%の19mgが生成された。DOTAM-VHを含むPRITスプリット抗体-P1AE4956では、濃度1.5mg/mL、分析用SEC及びCE-SDSに基づく純度>90%の6.9mgが生成された。ESI-MSを用いてPRITヘミボディの同一性を確認した。
実施例2:スプリット抗体の機能性についてのFACS解析
スプリット抗体又はヘミボディの機能を評価するために、アキュターゼを使用して37℃で10分間、MKN-45細胞を培養容器から剥離した。続いて、細胞をPBSで2回洗浄し、最終密度4×10細胞/ウェルとなるように96ウェルV底プレートに播種した。
ヘミボディP1AD8749及びP1AD8592、並びにヒトISOコントロールを1:1で混合し、図5に示す濃度で細胞に添加した。その後、細胞を、氷上で、1時間にわたりインキュベートし、PBS中で、2回にわたり洗浄した。細胞ペレットを再懸濁し、PBS/5%FCS中の<ヒトIgG(H+L)>FITC(10μg/ml)又はPb_Dotam_FITC1:100=>(10μg/ml)のいずれかの検出試薬を40μl/ウェル添加した。氷上で60分間インキュベートした後、細胞をPBSで2回洗浄し、FACS cantoを使用してFITC蛍光を測定するために200μlのPBS/5%FCSに再懸濁した。
MKN-45細胞上のCEAに対するヘミボディの結合能力を評価するために、ヒトIgG特異的二次抗体を使用する抗体を使用してヘミボディを検出した(図5)。予想通り、これらの細胞ではヒトISOコントロールの有意な結合は観察されなかった。同じIgG濃度に調整すると、両方のヘミボディ及び両者の組み合わせは、MKN-45細胞に対して用量依存的な結合を示し、予想通り非常に高濃度では顕著なフック効果を示した。この実験は、ヘミボディにおいてCEAへの結合が機能的であることを示している。
DOTAMに対するヘミボディの結合能力を評価するために、ヘミボディをヒトISO対照又はそれぞれのスプリット抗体パートナーの存在下で1:1の比率で細胞に結合させた。それらのMKN-45細胞への結合の後、細胞を洗浄して、非結合抗体を除去した。その後、Pb-DOTAM-FITC(蛍光標識Pb-DOTAM)を添加して、DOTAMの、コンピテント細胞に結合した抗体への結合を検出した(図6)。予測される通り、スプリット抗体のパートナーのうちの一方が、ヒトISOコントロールと組み合わされている場合は、これらの細胞上で、著明なFITCは観察されない。両方のヘミボディの、1:1の比率における組み合わせだけが、用量依存的FITCシグナルを示す。この実験は、両方のヘミボディが、1つの細胞上で一体となった場合に、DOTAM結合部位は、機能的となることを示す。
実施例3:in vivo試験
実施例3a:材料及び方法-一般
全ての実験プロトコールは、地域の規制機関(Comite Regional d’Ethique de l’Experimentation Animale du Limousin[CREEAL]、Laboratoire Departemental d’Analyses et de Recherches de la Haute-Vienne)により審査及び承認された。雌重度複合免疫不全(SCID)マウス(Charles River)を、倫理的ガイドラインと共に、毎日の明暗周期(12時間/12時間)を伴う、特異的且つ日和見的病原体を含まない(SOPF)(specific and opportunistic pathogen free)条件下で維持した。動物を、新たな環境に馴らすように、到着後、最初の5日間は、操作を実施しなかった。臨床症状及び有害事象の検出のために、動物を毎日制御下に置いた。
固形異種移植片は、Corning(登録商標)マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低減型;型番:354230)と、1:1で混合された細胞培養物中のCEA発現腫瘍細胞の皮下(SC)注射により確立した。腫瘍体積は、毎週3回、手作業のノギスによる計測を介して推定し、式:体積=0.5×長さ×幅に従い計算した。腫瘍増殖速度に応じて必要とされる場合は、さらなる腫瘍測定を行った。
腫瘍負荷、注射の副作用、又は他の原因による、不適切な苦痛又は疼痛の徴候を示した場合は、マウスを、予定の終点の前に安楽死させた。疼痛、苦痛、又は不快感の徴候は、急性体重(BW)減少、毛並みの乱れ、下痢、猫背の姿勢、及び嗜眠を含むがこれらに限定されない。治療動物の体重は、毎週3回測定し、健康状態により、必要に応じてさらに測定した。放射性物質注射の翌日から始めて、7日間にわたり、又は全ての個体が、任意の急性体重減少から十分に回復するまで、全てのマウスに含水食餌を与えた。体重減少が、それらの初期体重の20%を超えるか、又は腫瘍体積が、3000mmに達したマウスは、速やかに安楽死させた。倫理的理由による安楽死のために考慮される他の因子は、腫瘍状態(例えば、壊死領域、血液/体液の漏出、自傷の徴候)、及び動物の一般的な外見(例えば、毛並み、姿勢、動き)であった。
放射性尿/糞便の再摂取を最小化するため、全ての有効性研究用マウスを、212Pb-DOTAMの投与後、4時間にわたり、床面を格子状としたケージに入れてから、標準的な寝藁を備えた、新たなケージに移した。次いで、注射の24時間後(p.i.)に、全てのケージを交換した。この手順は、放射性物質注射後24時間以内における、生体内分布を目的として屠殺されたマウスには実施しなかった。
プロトコールにより指示される通りに、安楽死時に、頸椎脱臼を介する終結の前に、麻酔下マウスにおける眼窩後採血を使用して、静脈洞から血液を回収するのに続き、放射能の測定及び/又は組織学的解析のために、さらなる組織採取を行った。予測外の状態又は異常な状態は記録した。ホルマリン固定のために回収された組織は、速やかに、10%の中性緩衝ホルマリン(4℃)中に入れ、次いで、5日後に、リン酸緩衝食塩水(PBS;4℃)に移した。生体内分布目的で回収された臓器及び組織を秤量し、2470 WIZARD自動式ガンマカウンター(PerkinElmer)を使用して放射能について測定し、その後、減衰及びバックグラウンドについての補正を含む、組織1グラム当たりの注入用量パーセント(1g当たりのID%)を計算した。
統計学的解析は、GraphPad Prism 7(GraphPad Software,Inc.)及びJMP 12(SAS Institute Inc.)を使用して実施した。腫瘍増殖阻害(TGI)についての曲線解析は、式:
Figure 2024504931000029
[式中、dは、研究日を指し示し、0は、ベースライン値を指し示す]
を使用する、平均値腫瘍体積に基づき実施した。ビヒクルを、参照群として選択した。腫瘍縮小(TR)は、
Figure 2024504931000030
[式中、正の値は、腫瘍縮小を指し示し、-1を下回る値は、ベースライン値の2倍を上回る増殖を指し示す]
に従い計算した。
試験化合物
記載される研究で利用された化合物を、それぞれ、二重特異性抗体、除去剤、及び放射性標識キレートについて、下記の表に示されている。
CEA-DOTAM(RO7198427、PRIT-0213)は、CEAのT84.66エピトープを標的とする完全ヒト化BsAbである(国際公開第2019/0959号も参照)。PRIT-0213は、
i)以下に示す第1の重鎖;
ii)以下に示す第2の重鎖;及び
iii)以下に示す2つの抗体軽鎖
からなる。
Figure 2024504931000031
Figure 2024504931000032
DIG-DOTAM(RO7204012)は、陰性対照として使用される、非CEA結合BsAbである。
P1AD8749、P1AD8592、P1AE4956、及びP1AE4957は、CEAのCH1A1A又はA5B7エピトープを標的とするCEAスプリットDOTAM-VH/VL抗体である。それらの配列は上で説明されている。全ての抗体コンストラクトを、注射日まで-80℃で保管し、そこで、これらを解凍させ、標準ビヒクルバッファー(20mMのヒスチジン、140mMのNaCl;pH6.0)又は0.9%NaCl中で、静脈内(IV)投与又は腹腔内(IP)投与のための、それらそれぞれの最終濃度に希釈した。
Pb-DOTAM-デキストラン-500 CA(RO7201869)を、注射日まで-20℃で保管し、そこで、これらを解凍させ、IV投与又はIP投与のために、PBS中で希釈した。
放射性標識のためのDOTAMキレートは、Macrocyclicsにより提供され、Orano Med(Razes、France)により実施される放射性標識の前に、-20℃で維持された。212Pb-DOTAM(RO7205834)は、トリウム発生装置からのDOTAMによる溶出によって生成され、続いて標識後にCaでクエンチされた。この212Pb-DOTAM溶液を、0.9%NaClで希釈して、IV注射に所望の212Pb活性濃度を得た。
ビヒクル対照群内のマウスには、BsAb、CA、及び212Pb-DOTAMの代わりに、ビヒクルバッファーの複数回の注射を施した。
Figure 2024504931000033
Figure 2024504931000034
Figure 2024504931000035
腫瘍モデル
使用される腫瘍細胞株、及びマウスにおける接種のための注入量については、下記の表において記載される。BxPC3とは、天然でCEAを発現させる、ヒト初代膵腺癌細胞株である。細胞を、10%ウシ胎児血清(GE Healthcare Hyclone SH30088.03)で濃縮された、RPMI 1640培地、GlutaMAX(商標)サプリメント、HEPES(Gibco;型番:72400-021)中で培養した。固形異種移植片は、研究0日目に、Corning(登録商標)マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低減型;型番:354230)と、1:1で混合されたRPMI培地中の細胞の、右脇腹への皮下注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。
Figure 2024504931000036
European Collection of Authenticated Cell Cultures (Salisbury,UK)
実施例3b:プロトコール144
プロトコール144の目的は、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL BsAbを使用する2工程PRIT後の、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、プレターゲティング212Pb-DOTAMについてのPKデータ及びin vivo分布データを提示することであった。
2工程PRITは、CEA-スプリット-DOTAM-VH及びCEA-スプリット-DOTAM-VL(P1AD8749及びP1AD8592)を個別に又は一緒に注入し、7日後に212Pb-DOTAMを注入することにより実施した。マウスを、放射性物質注射の6時間後に屠殺し、放射能の測定のために、血液及び臓器を採取した。2工程スキームを、標準的なCEA-DOTAM二重特異性抗体の7日後における、Ca-DOTAM-デキストラン-500 CA、及びCAの24時間後における212Pb-DOTAMを使用する、3工程PRITと比較した。
CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLのクリアランスについてのPKデータは、抗体注射の1時間~7日間後における採血の反復により回収し、その後、ELISAにより解析した。
研究の概要を、図7に示す。図7aは、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL PKのための採血を含む、2工程PRITレジメンについての概略を示す。図7bは、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおいて実施された、3工程PRITレジメンについての概略(h=時間、d=日)を示す。
研究デザイン
プロトコール144の時間経過及びデザインを、下記の表に示す。
Figure 2024504931000037
Figure 2024504931000038
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第26継代)の、右脇腹へのSC注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の14日後に、マウスを、平均腫瘍体積を116mmとする実験群に分けた。212Pb-DOTAMを、接種後22日目に注入した;平均腫瘍体積は、21日目において、140mmであった。
群Aa、Ba、及びCaにおけるマウスからの血液は、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLの注射の1時間(右眼)、24時間(左眼)、及び168時間(右眼、終結時)後の麻酔下において、眼窩後採血を介して回収した。同様に、試料を、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLの注射の4時間(右眼)、72時間(左眼)、及び168時間(右眼、終結時)後に、群Ab、Bb、及びCbにおけるマウスから採取した。
群Aa、Ba、Ca、及びD内のマウスを屠殺し、212Pb-DOTAMの注射の6時間後に剖検し、放射性物質の含有量の測定のために、以下の臓器及び組織:血液、皮膚、膀胱、胃、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、脳、尾、耳、及び腫瘍を採取した。
結果
注射の6時間後における全ての回収組織中の平均212Pb蓄積及びクリアランスを、図8に提示する。CEA-スプリット-DOTAM-VH又はCEA-スプリット-DOTAM-VL単独によるプレターゲティングは、腫瘍内の放射能の蓄積を結果としてもたらさなかった。2つの相補的抗体の組み合わせは、標準的な3工程PRITレジメンのための1g当たり87±15%のIDと比較される、1g当たり65±12%のIDによる2工程PRITの後に、腫瘍への取り込みを結果としてもたらした。チューキーの多重比較検定による二元分散分析(ANOVA)は、2つのPRIT処置の間の、腫瘍への取り込みの差違は、膀胱における差違と同様に有意であること(2工程PRIT及び3工程PRITについて、それぞれ、1g当たり1±2%のID及び1g当たり38±17%のID)を示したが;この検定(p=0.05)を使用する、他の組織蓄積の差違は、統計学的に有意ではなかった。
酵素免疫測定アッセイ(ELISA)により解析される、IV注入CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLコンストラクトのクリアランスを、図9に示す。
有害事象及び毒性
本研究と関連する有害事象又は毒性は見られなかった。
結論
研究結果は、相補的CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体を使用する、CA非依存型2工程プレターゲティングの概念実証を実証した。2工程PRIT及び標準的3工程PRITを使用して、212Pb-DOTAMの、腫瘍への、高度且つ特異的な取り込みを達成したところ、相補的CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体を使用した場合の正常組織中の放射能の蓄積は、ごくわずかしか見られなかった。
実施例3c:プロトコール1
プロトコール158の目的は、除去剤非依存型2工程CEA-PRITのための、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の二重パラトープ(CH1A1A及びA5B7)対によりプレターゲティングされたマウスにおける、212Pb-DOTAMの、皮下BxPC3腫瘍との会合について評価することであった。腫瘍への取り込みを、標準的な3工程CEA-PRITの場合と比較した。
皮下BxPC3腫瘍を保有するマウスに、
・ CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の7日後における、放射性標識212Pb-DOTAM(2工程PRIT)、又は
・ CEA-DOTAM BsAbの7日後における、CA、及び、最後の24時間後における、放射性標識212Pb-DOTAM(3工程PRIT)
を注入した
212Pb-DOTAMの、in vivoにおける分布を、放射性物質注射の6時間後に評価した。研究の概要を、図10に示す。
研究デザイン
プロトコール158の時間経過及びデザインを、下記の表に示す。
Figure 2024504931000039
Figure 2024504931000040
P1AD8749の用量は、35%のホール/ホール不純物について補償するように、154μgへと調整した;**P1AD8592の用量は、40%のホール/ホール不純物について補償するように、167μgへと調整した。
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第27継代)の、右脇腹へのSC注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の14日後に、マウスを、平均腫瘍体積を177mmとする実験群に分けた。212Pb-DOTAMを、接種後20日目に注入した;平均腫瘍体積は、21日目において、243mmであった。
全ての群内のマウスを屠殺し、212Pb-DOTAMの注射の6時間後に剖検し、放射性物質の含有量の測定のために、以下の臓器及び組織:血液、皮膚、膀胱、胃、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、脳、尾、及び腫瘍を採取した
結果
注射の6時間後における全ての回収組織内の平均212Pb分布を、図11に示す。チューキーの多重比較検定による二元ANOVAは、いずれの二重パラトープ型CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL対も、標準的3工程PRITより低量の蓄積をもたらした膀胱を除き、3つの処置の間で、正常組織内の212Pbの取り込みに有意差は見られないことを示した。腎臓への取り込みは、3つの処置全てについて、1g当たり3~4%のIDであった。二重パラトープの組み合わせは、3工程PRITについての1g当たりのIDを67%と比較して、1g当たりのIDを約56%とする腫瘍蓄積を結果としてもたらし;2工程PRITと、3工程PRITとの差違は、統計学的に有意であった(p<0.0001)。
有害事象及び毒性
本研究と関連する有害事象又は毒性は見られなかった。
結論
本研究は、CA非依存型2工程CEA-PRITのための、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の二重パラトープ対によりプレターゲティングされたマウスにおける、212Pb-DOTAMの、SC BxPC3腫瘍との会合を、標準的な3工程PRITと比較して評価した。注入の6時間後における212Pbの分布は、2工程PRITと3工程PRITとで同等であり、腫瘍内の蓄積は高度であり、健常組織内の放射能は、極微量であった。これは、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体を使用する、2工程CEA-PRITのための、CEA発現腫瘍の、二重パラトープによるプレターゲティングの概念実証を実証した。
実施例3d:プロトコール160
プロトコール160の目的は、SC BxPC3腫瘍を保有するマウスの、相補的なCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体を使用する、3サイクルにわたる、CA非依存型2工程CEA-PRITの後における治療有効性を、標準的な3工程CEA-PRITの場合と比較することであった。比較はまた、注入の前に、212Pb-DOTAMと共にプレインキュベートされた、BsAbを使用する、1工程CEA-RITによっても行った。
SC BxPC3腫瘍を保有するマウスに、
・ CEA-DOTAM BsAbの7日後における、CA、及び、最後の24時間後における、放射性標識212Pb-DOTAM(3工程PRIT)、
・ CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の7日後における、放射性標識212Pb-DOTAM(2工程PRIT)、又は
212Pb-DOTAM-CEA-DOTAM BsAb(プレインキュベートあり;1工程RIT)
を注入した。
治療は、非CEA結合対照抗体(DIG-DOTAM)、及び非処置(ビヒクル)との比較もまた含む、20μCiの212Pb-DOTAMによる、3回にわたる反復サイクルで投与した。各治療サイクルにおける、212Pb-DOTAMの標的化及びクリアランスを確認するように、特化マウスを、生体内分布を目的として屠殺した。処置の有効性を、TGI及びTRについて評価し、処置の忍容性について評価するように、マウスを、研究の持続期間にわたり、注意深くモニタリングした。研究の概要を、図12に示す。
プロトコール160の時間経過及びデザインを、下記の表に示す。
Figure 2024504931000041
Figure 2024504931000042
Figure 2024504931000043
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第24継代)の、右脇腹へのSC注射により、SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の15日後に、マウスを、平均腫瘍体積を122mmとする実験群に分けた。212Pb-DOTAMを、接種後23日目に注入した;平均腫瘍体積は、22日目において、155mmであった。
CEA-DOTAM、及びDIG-DOTAM抗体を、上記の表に従うIP投与(プロトコール160における研究群)のために、ビヒクルバッファー中で、200μL当たり100μgの最終濃度に希釈した。CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体を、200μL当たり100μgの各コンストラクトを含有する、IP投与のための、単一の注射溶液に、併せて混合した。P1AD8749のために、用量は、原液中に35%のホール/ホール不純物について補償するように、154μgに調整した(VH/VLを保有しない側の分子)。Ca-DOTAM-デキストラン-500 CAを、BsAb注射の7日後にIP投与し(PBS 200μL当たり25μg)、24時間後に、図12における実験スケジュールに従い、212Pb-DOTAM(RO7205834)を投与した。PRIT処置マウス(2工程及び3工程)に、100μLのCaクエンチング212Pb-DOTAM溶液(0.9%NaCl 100μL中に20μCi)をIV注入した。
1工程RITで処置されるマウスには、1回の注射:あらかじめ結合している212Pb-DOTAM-CEA-DOTAM(IV注射のための0.9%NaCl 100μL中に20μCi/20μgのBsAb)だけを施した。直接標識化抗体は、212Pb-DOTAMを、CEA-DOTAM BsAbと共に、37℃で、10分間にわたりインキュベートすることにより調製した。
安楽死時に、群A~Eのマウスから、以下の臓器及び組織:血清、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓、及び腫瘍を採取した。安楽死の前に、眼窩後採血による血液回収のために、生存マウスに麻酔をかけた。回収された血液試料を、10000rcfで、5分間にわたり遠心分離し、結果として得られる血清画分を分離し、凍結させ、-20℃で保管した。切り出された組織は、速やかに、10%中性緩衝ホルマリン(4℃)中に入れ、次いで、24時間後に、1倍濃度のPBS(4℃)に移した。さらなる加工及び解析のために、ホルマリン固定試料を、Roche Pharma Research and Easy Development、Roche Innovation Center Baselに送付した。
群F、G、J、及びM内のマウスを屠殺し、それらの1回目ので唯一の212Pb-DOTAM又は212Pb-DOTAM-BsAbの注射の24時間後に剖検し;群H及びK内のマウスを屠殺し、それらの2回目の212Pb-DOTAMの注射の24時間後に剖検し;群I及びL内のマウスを屠殺し、それらの3回目の212Pb-DOTAMの注射の24時間後に剖検した。血液は、安楽死時に、頸椎脱臼を介する終結の前に、麻酔下マウスにおける眼窩後採血を使用して、静脈洞から回収した。生体内分布を目的として、以下の臓器及び組織:膀胱、脾臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、尾、皮膚、及び腫瘍もまた採取した。
結果
注射の24時間後における全ての回収組織中の平均212Pb蓄積及びクリアランスを、各治療及び治療サイクルについて、図13に示す。陰性対照は、腫瘍内の取り込みを結果としてもたらさなかった(1g当たり0.4%のID)。チューキーの多重比較検定による二元分散分析(ANOVA)は、2工程PRIT及び3工程PRITについて、いかなるサイクルにおいても、分布は、有意に異ならないが;陰性対照及び1工程RITと比較した差違は、全てのサイクルにおいて、統計学的に有意(p<0.05)であることを示した。腫瘍への取り込みは、3工程PRITについて、1g当たり25~45%のIDであり、2工程PRITについて、1g当たり25~30%のIDであり、いずれの処置又はサイクルの間でも、統計学的有意差を伴わなかった。1工程RITについて、腫瘍への取り込みは、唯一の治療サイクルにおいて、99%であった。正常組織内の取り込みは、いずれのPRITレジメンについても、極めて低度であったが、1工程RITの後では、プレインキュベート抗体の循環時間が、低分子放射性標識DOTAMキレートと比較して、はるかに長いために、全ての臓器内及び組織内で、有意に高度であった。
平均腫瘍発症数及び個別の腫瘍増殖曲線を、それぞれ、図14及び図15に示す。非処置ビヒクル群及びDIG-DOTAM群における腫瘍は、後者では、3回目の処置の後に、倍加速度がわずかに低下したが、着実に増殖した。これに対し、PRIT群及びRIT群における腫瘍は、第1の治療サイクルの後でサイズが減少し、腫瘍のサイズが増大し始める、接種の約10週間後まで、腫瘍コントロールを維持した。2工程PRIT処置及び3工程PRIT処置は、ほぼ同一な腫瘍コントロールを結果としてもたらした。腫瘍の完全な退縮は、見られなかった。
全ての処置群を、平均値に基づき解析し得る最後の日である、研究83日目に、TGIは、それぞれ、CEA-DOTAM(3工程)及びCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL(2工程)を使用するPRITについて、ビヒクル対照と比較して、91.7%及び88.4%であった。1工程RITについて対応する数が、72.6%であったのに対し、非特異的DIG-DOTAM対照についてのTGIは、-59.7%であった。同じ日に、平均値に基づくTRは、3工程CEA-DOTAM PRITについての-39.3、-2.9for2工程CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL PRIT、1工程RITについての-4.7、DIG-DOTAM PRITについての-28.8、及びビヒクル対照についての-39.3であった。
下記に記載される有害事象のために、生存解析は、統計学的に関与性であると考えられなかった。
有害事象及び毒性
全ての治療群における体重の推移を、図16に示す。複数のサイクルにわたる、20μCiの212Pb-DOTAMを伴う、2工程PRIT及び3工程PRITは、良好な耐容性を示したが、1工程RITを施されるマウスでは、急性の体重減少が生じ、群Eのマウス10匹中8匹を、第1のRITサイクルの後(212Pb照射の6~11日後)に、20%又はこれを超える体重の降下のために安楽死させた。残りの2匹のRITマウスには、さらなる212Pb-DOTAM-CEA-DOTAMの注射を施さず、腫瘍増殖の評価のために、継続的に追跡した。
さらに、腫瘍の状態が悪化する、つまり腫瘍が開いたり漏れたりするため、倫理的な理由から多くのマウスが屠殺された。DIG-DOTAM群では、この理由で、10匹中9匹のマウスを、3000mmの腫瘍容量に達する前に安楽死させた;非処置ビヒクル対照について、対応する数は、10匹中5匹であった。PRIT群及びRIT群では、問題は、それほど顕著ではなく、3工程PRIT群、2工程PRIT群、及び1工程RIT群では、それぞれ、10匹中1匹、10匹中2匹、及び10匹中2匹のマウスをこの理由で安楽死させた。これは、図15の個別の腫瘍増殖曲線に反映されている。
最後に、群C内の1匹のマウスを、肛門下方の創傷の増悪のために安楽死させた。
全ての有害事象を、下記の表に列挙する。
Figure 2024504931000044
結論
3工程スキーム(CEA-DOTAM BsAb、CA、及び212Pb-DOTAM)を使用するCEA-PRITと、2工程スキーム(CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体及び212Pb-DOTAM)を使用するCEA-PRITとの間に、差違は見られなかった;TGIは、2つの処置について、著明且つ同一であり、いずれの場合にも、3サイクルにわたる20μCiは、安全に投与された。対照的に、注射の前にCEA-DOTAMにあらかじめ結合している、20μCiの212Pb-DOTAM(1工程RIT)は、処置されたマウスの大部分により忍容されなかった。
こうして、研究は、開発されたCEA-スプリット-DOTAM-VH/VLコンストラクトを使用する、CA非依存型2工程PRITの忍容性及び治療有効性を実証した。
実施例4:プロトコール175
プロトコール175の目的は、注入されるプレターゲティング抗体量の増大の、その後における、腫瘍組織内及び健常組織内の212Pbの蓄積に対する影響について評価することであった。CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の2つの異なる用量:標準量(100μg)と、2.5倍の高用量(250μg)とを比較した。さらに、そのVHを伸長させて、抗薬剤抗体(ADA)の形成を回避するように、CEA-スプリット-DOTAM-VHコンストラクトに修飾を施した(これを、既に調べられたCEA-スプリット-DOTAM-VLコンストラクトと併せて使用した)。抗体のCH1ドメインに由来する、最初の3つのアミノ酸:アラニン、セリン、及びスレオニン(AST)を含むようにVHを伸長させ、本明細書の以下では、該コンストラクトをCEA-スプリット-DOTAM-VH-ASTと称する。
抗体P1AD8592については、上記の実施例1で既に記載した。P1AF0171は、融合HCが、残基ASTにより伸長される点を除き、P1AD8749と同じである。したがって、抗体P1AD0171は、上記で記載された軽鎖D1AA3384(配列番号34)、上記で記載された第1の重鎖D1AC4022(配列番号28)、及び下記に示される第2の重鎖D1AE3669:
D1AE3669(HCknob<CEA>CH1A1A Dotam-VH-AST)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTEFGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTKTGEATYVEEFKGRVTFTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARWDFAYYVEAMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALGAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCRDELTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSVTLKESGPVLVKPTETLTLTCTVSGFSLSTYSMSWIRQPPGKALEWLGFIGSRGDTYYASWAKGRLTISKDTSKSQVVLTMTNMDPVDTATYYCARERDPYGGGAYPPHLWGRGTLVTVSSAST (配列番号153)
からなる。
SC BxPC3腫瘍を保有するマウスに、
・ 標準用量の1倍容量のCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL BsAbの7日後における、放射性標識212Pb-DOTAM、又は
・ 標準用量の2.5倍容量のCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL BsAbの7日後における、放射性標識212Pb-DOTAM
を注入した。
212Pb-DOTAMの、in vivoにおける分布を、放射性物質注射の24時間後に評価した。研究の概要を、図17に示す。
研究デザイン
プロトコール175の時間経過及びデザインを、下記に示す。
Figure 2024504931000045
低化合物濃度のために要求されるIP注射量(コンストラクト1つ当たり200μL=合計400μL)
Figure 2024504931000046
P1AF0171の用量は、約30%のホール/ホール不純物について補償するように、143~357μgへと調整した。
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第24継代)の、右脇腹へのSC注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の21日後に、マウスを、平均腫瘍体積を310mmとする実験群に分けた。212Pb-DOTAMを、接種後29日目に注入した;平均腫瘍体積は、30日目において、462mmであった。
全てのマウスを屠殺し、212Pb-DOTAMの注射の24時間後に剖検し、放射性物質の含有量の測定のために、以下の臓器及び組織:血液、皮膚、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、筋肉、尾、及び腫瘍を採取した。
結果
注射の24時間後における全ての回収組織内の平均212Pb分布を、図18に示す。2つの用量レベルの間で、腫瘍組織又は正常組織内の212Pbの取り込みに有意差は見られなかった。腫瘍蓄積は、両方の処置群について1g当たり30~31%のIDであり、腎臓への取り込みは、この時点において1g当たり<2%のIDであった。1匹のマウスは、212Pb-DOTAMの注射問題のために、尾内に、1g当たり約1%のIDを有したが、他の回収健常組織は、相当量の212Pb蓄積を示さなかった。
有害事象及び毒性
本研究と関連する有害事象又は毒性は見られなかった。
結論
このin vivoモデルでは、プレターゲティングCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体の用量の、2.5倍の増大は、続いて投与された212Pb-DOTAMの腫瘍への蓄積を改善しなかった。しかし、プレターゲティングCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体はまた、正常組織中の放射能の蓄積も増大させなかったことから、この2工程プレターゲティングレジメンを使用して達成される、強力な特異性を強調した。最後に、結果は、伸長型VH CEA-スプリット-DOTAM-VH-ASTコンストラクトの機能について検証した。
実施例5:プロトコール185
プロトコール185の目的は、T84.66エピトープを標的とする、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLについて評価することであった。本明細書では、P1AF0709及びP1AF0298の配列が提示される。P1AF0709は、D1AE4688(配列番号83)の第1の重鎖と、D1AA4920(配列番号84)の第2の重鎖とを有する。P1AF0298は、D1AE4687(配列番号86)の第1の重鎖と、D1AE3668(配列番号87)の第2の重鎖とを有する。いずれも、D1AA4120(配列番号89)の軽鎖を有する。
SC BxPC3腫瘍を保有するマウスに、標準用量のCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL BsAb(抗体1つ当たり100μg)を注入した6日後に、放射性標識212Pb-DOTAMを注入した。212Pb-DOTAMの、in vivoにおける分布を、放射性物質注射の6時間後に評価した。研究の概要を、図19に示す。
研究デザイン
プロトコール185の時間経過及びデザインを下記に示す。
Figure 2024504931000047
Figure 2024504931000048
P1AF0171の用量は、約30%のホール/ホール不純物について補償するように、143μgへと調整した。
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第27継代)の、右脇腹へのSC注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の22日後に、マウスを、平均腫瘍体積を224mmとする実験群に分けた。212Pb-DOTAMを、接種後28日目に注入した;この時点で、平均腫瘍体積は、385mmに達していた。
全てのマウスを屠殺し、212Pb-DOTAMの注射の6時間後に剖検し、放射性物質の含有量の測定のために、以下の臓器及び組織:血液、皮膚、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、筋肉、尾、及び腫瘍を採取した。回収された腫瘍を、2つの小片の分けた:一方を、放射性物質の含有量について測定し、他方を、Tissue-Tek(登録商標)最適切断温度(OCT)用包埋培地を含有するクリオモルド中に入れ、急速凍結のために、ドライアイス上に置いた。OCT中で凍結させた試料を、凍結切片化、免疫蛍光染色、及びZeiss Axio Scope.A1型モジュラー顕微鏡を使用する解析の前に、-80℃で維持した。
結果
注射の6時間後における全ての回収組織内の平均212Pb分布を、図20に示す。腫瘍蓄積は、1g当たり40%のID(CH1A1A)、又は1g当たり44%のID(T84.66)であった。他の相当量の放射能蓄積は、腎臓内だけで見出された:2つの群について、注射の6時間後において、1g当たり3~5%のIDであった。
T84.66(群A)又はCH1A1A(群B)を標的とする、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VL対の腫瘍内分布の例を、図21に示す。パネルA及びCは、CEAの発現が、BxPC3腫瘍内で、高度且つ均一であることを示し、パネルB及びDは、注入の7日後における抗体分布が同様であることを実証する。しかし、群Aからの試料は、群Bからの腫瘍試料と比較して、全体として強いシグナルを提示し、T84.66が、CH1A1Aより強い結合剤であることの証拠を提示する。
有害事象及び毒性
本研究と関連する有害事象又は毒性は見られなかった。
結論
結果は、CEAのT84.66エピトープを標的とする、CEA-スプリット-DOTAM-VH/VLコンストラクトの機能について検証した。結果として得られるプレターゲティングされたCEA発現腫瘍内の212Pbの蓄積は、高度且つ特異的であり、CH1A1Aエピトープ又はT84.66エピトープを標的とするCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL対は、CEA発現腫瘍の内部において均一に分布した。
実施例6:プロトコール189
プロトコール189の目的は、T84.66 VH-AST/CH1A1A VL及びT84.66 VL/CH1A1 VH-ASTを標的とする、二重パラトープCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL抗体対について、CH1A1A VH-AST/VLを標的とする陽性対照対と比較して評価することであった。この二重パラトープの組み合わせは、2つのエピトープのうちの1つ(例えば、T84.66エピトープ)だけを発現させる可溶型CEA上における完全なPb-DOTAM結合剤の形成を排除し、これにより、循環放射能の増大、及び関連する放射線誘導性毒性、並びに腫瘍以外の標的との競合による有効性の減少などの潜在的有害作用を緩和する。
SC BxPC3腫瘍を保有するマウスに、標準用量のCEA-スプリット-DOTAM-VH/VL BsAb(抗体1つ当たり100μg)を注入した7日後に、放射性標識212Pb-DOTAMを注入した。212Pb-DOTAMの、in vivoにおける分布を、放射性物質注射の6時間後に評価した。研究の概要を、図22に示す。
研究デザイン
プロトコール189の時間経過及びデザインを下記に示す。
Figure 2024504931000049
Figure 2024504931000050
P1AF0171の用量は、約30%のホール/ホール不純物について補償するように、143μgへと調整した。
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第31継代)の、右脇腹へのSC注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の14日後に、マウスを、平均腫瘍体積を343mmとする実験群に分けた。Pb-DOTAMを、接種後22日目に注入した;平均腫瘍体積は、21日目において、557mmに達していた。
全てのマウスを屠殺し、212Pb-DOTAMの注射の6時間後に剖検し、放射性物質の含有量の測定のために、以下の臓器及び組織:血液、皮膚、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、筋肉、尾、及び腫瘍を採取した。
結果
注射の6時間後における全ての回収組織内の平均212Pb分布を、図23に示す。二重パラトープの腫瘍への蓄積の変動は、T84.66 VH-AST+CH1A1A VL及びT84.66 VL+CH1A1A VH-ASTのそれぞれについて、1g当たり71%のID~1g当たり46%のIDであった。陽性対照である、CH1A1Aは、1g当たり37%のIDを結果としてもたらした。チューキーの多重比較検定による二元ANOVAは、3つの群全ては、腫瘍への取り込みの点で、互いと著明に異なること(他の2つの群と対比した、T84.66 VH-AST+CH1A1A VLについてのp<0.0001;CH1A1Aだけと対比した、T84.66 VL+CH1A1A VH-ASTについてのp=0.0020)を示した。他の臓器は群間で統計学的有意差を示さなかったが、T84.66VH-AST+CH1A1AVLの組み合わせでは、他の2つの群と比較してわずかに高い血中滞留性が示された:<1%ID/gと比較して2%ID/g。腎臓での取り込みは、統計的に有意ではないが、同様にわずかに高かった:T84.66 VH-AST+CH1A1Aでは1g当たり4.5%のIDであったのに対し、他の2つは1g当たり3%のIDであった。
有害事象及び毒性
本研究と関連する有害事象又は毒性は見られなかった。しかし、本研究におけるBxPC3腫瘍の増殖は、標準的な増殖速度と比較して、有意に速く、ばらつきの増大を伴った。剖検時に、大型の腫瘍(大部分)は、放射能の測定の前に、腫瘍を半分に切断するとなくなる液体で充たされていることが結論づけられた;この液体は、増殖速度の加速化により引き起こされた可能性が高いが、腫瘍は、開口させた後で秤量し、測定したので、1g当たりのIA%に大きな程度で影響を及ぼすことはなかった。
結論
結果は、試験したCEA-スプリット-DOTAM-VH/VLコンストラクトを使用して、CEAのT84.66エピトープ及びCH1A1Aエピトープを標的とする二重パラトープの機能が検証され、陽性CH1A1A対照と比較して、この組み合わせの驚くべき高い有効性が実証された。結果として得られるプレターゲティングされたCEA発現腫瘍内の212Pbの蓄積は、高度且つ特異的であり、T84.66 VH-AST+CH1A1A VL対について特定の利点を示している。
実施例7
これらの例は、本明細書で記載されるスプリット抗体による、Pb-DOTAの、細胞への動員について探索する。
P1AF0712は、配列番号97の第1の重鎖、配列番号98の第2の重鎖、及び配列番号103の軽鎖を有する。P1AF0713は、配列番号100の第1の重鎖、配列番号101の第2の重鎖、及び配列番号103の軽鎖を有する。
トリプシンを使用して、MKN-45細胞を、培養ボトルから解離させ、Casy細胞カウンターを使用してカウントした。4℃でペレット化した後、300gの細胞をFACSバッファー(PBS中2.5%FCS)に再懸濁し、2.0E+06細胞/mLに調整し、96ウェルPP V底プレート(25μL/ウェル=5.0E+04ゼレン/ウェル)に分注した。
DOTA-FITCを使用するFACS染色
CEA特異的スプリット抗体(それぞれ、P1AF0712又はP1AF0713)を、FACSバッファー中に40μg/mLに調整し、10μg/mLの最終濃度をもたらした。その後、Pb-DOTA標識FITCを、抗体に対する等モル比で細胞に添加し、4℃で1時間にわたりインキュベートした。次いで、細胞をFACSバッファー中で2回にわたり洗浄し、FACS Canto(BD、Pharmingen)を使用する測定のために、ウェル1つ当たり70μlのFACSバッファー中に再懸濁させた。その結果(図24)、SPLITの半分のどちらも蛍光シグナルを発しなかったことから、Pb-DOTA結合能力がないことが示された。SPLITの両半分の組み合わせだけが、Pb-DOTAM-FITCを標的細胞に動員することができた(図24)。
<huIgG(H+L)A488>を使用するFACS染色
CEA特異的スプリット抗体(それぞれ、P1AF0712又はP1AF0713)を、FACSバッファー中に40μg/mLに調整し、10μg/mLの最終濃度をもたらした。両方の抗体を、細胞に個別に添加するのに続き、バッファーを添加するか又は組み合わせて添加し、4℃で1時間にわたりインキュベートした。次いで、細胞をFACSバッファー中で2回にわたり洗浄した。洗浄した後で、細胞を二次抗体(<huIgG(H+L)>-Alexa488、濃度=10μg/mL)を含有する50μLのFACSバッファー中に再懸濁させ、4℃で1時間にわたりインキュベートした。次いで、細胞をFACSバッファー中で2回にわたり洗浄し、FACS Canto(BD、Pharmingen)を使用する測定のために、ウェル1つ当たり70μlのFACSバッファー中に再懸濁させた。両方のスプリット抗体についてのEC50が同等であったことは、両方のスプリット抗体の、CEA特異的細胞への結合を指し示す。これらの状況下では、下記の表において示される通り、混合物中の抗体の量が多いため、低値のEC50が得られた。
Figure 2024504931000051
二次抗体ベースの検出(<hu>488;上パネル)又はPb-DOTA-FITC(DOTA-FITC;下パネル)を使用して、スプリット抗体について、EC50を決定した。
実施例8:Biacore結合実験
本実施例は、TA-スプリット-DOTAM-VH、及びTA-スプリット-DOTAM-VLの、DOTAMへの結合について、参照抗体であるCEA-DOTAM(RO7198427、PRIT-0213)と比較して、個別に調べる。本実施例は、DOTAMの、TA-スプリット-DOTAM-VH/VL対への結合について、参照抗体と比較してさらに調べる。
これらの例において使用されるコード化と、本出願の別の箇所で使用されるタンパク質番号との対応を下記に示す。配列もまた提示される。本実施例では、参照抗体は、「PRIT_RS」とコード化される。
Figure 2024504931000052
これらの実験のために、PRITスプリット抗体を、MabSelect Sure(親和性クロマトグラフィー)による第1の工程、及びイオン交換クロマトグラフィー(例えば、POROS XS)による第2の工程により精製し、次いで、Superdex 200(サイズ排除クロマトグラフィー)により精製した。
実験はBiacore T200を使用し、測定温度25℃で行った。全てのBiacore T200実験は、pH7.4のHBS-P+(GE Healthcare、Br-1008-27)ランニングバッファー中で実施した。2つの実験は、異なるDOTAM画分を使用して、被験抗体/抗体対について実施した。
1. 第1の実験では、個別のTA-スプリット-DOTAM-VH抗体、及びTA-スプリット-DOTAM-VL抗体のチップ上に捕捉されたビオチン化DOTAMへの結合を、参照抗体と比べて評価した。
DOTAM(HBS-P+中の120nM溶液)が、CAP Chip表面上で高密度で捕捉された(10μl/分、60秒間)。次いで、プロドラッグ_A又はプロドラッグ_Bの、HBS-P+中の600nM溶液を、DOTAM表面上に注入した(10μl/分、90秒間)。解離を、10μl/分の流量で、240秒間にわたりモニタリングした。相対最大応答の決定は、T200評価ソフトウェアを使用して評価された。
結果を図26に示す。個別の抗体のうちのいずれも、捕捉されたDOTAMへの結合を示さなかった。
2. 第2の実験では、固定化抗hFabを使用して、まず、個別のTA-スプリット-DOTAM-VH抗体、及びTA-スプリット-DOTAM-VL抗体を、チップ内に捕捉し、次いで、DOTAM-モノストレプトアビジン複合体の結合(RTで1時間にわたる、1:1のモル比による、600nMのDOTAM+モノストレプトアビジンカップリング)を評価した。
プロドラッグ_A又はプロドラッグ_Bの、HBS-P+中の600nM溶液を、抗hFab(GE Healthcare、BR-1008-27)CM5 Chip表面上に注入した(10μl/分、120秒間)。プロドラッグ_A溶液又はプロドラッグ_B溶液の、高密度捕捉の後、DOTAM-モノストレプトアビジン複合体を注入した(20μl/分、90秒間)。解離を、20μl/分の流量で、180秒間にわたりモニタリングした。新たなサイクルのために、Glycin 2.1及び10μl/分で、75秒間の再生時間を使用することにより、表面を再生した。相対最大応答の決定は、T200評価ソフトウェアを使用して評価された。
結果を図27に示す。低百分率の最大応答(図中に、*でマークした)は、DOTAM-SAとの、「微量」相互作用又は非特異的相互作用であると考えられ、アッセイを最適化する必要を反映する。
3. 第3の実験では、TA-スプリット-DOTAM-VH/VL対のDOTAMへの結合を、参照抗体と比較して評価する。固定化抗hFabを使用して、まず、抗体を、チップ内に捕捉し、次いで、DOTAM-モノストレプトアビジン複合体の結合(RTで1時間にわたる、1:1のモル比による、600nMのDOTAM+モノストレプトアビジンカップリング)を評価した。
プロドラッグ_A及びプロドラッグ_Bの、HBS-P+中の300nM溶液を、抗hFab(GE Healthcare、BR-1008-27)CM5 Chip表面上に注入した(10μl/分、120秒間)。プロドラッグ_A溶液及びプロドラッグ_B溶液の、高密度捕捉の後、DOTAM-モノストレプトアビジン複合体を注入した(20μl/分、90秒間)。解離を、20μl/分の流量で、180秒間にわたりモニタリングした。新たなサイクルのために、Glycin 2.1及び10μl/分で、75秒間の再生時間を使用することにより、表面を再生した。相対最大応答の決定は、T200評価ソフトウェアを使用して評価された。
結果を図28に示す。全てのTA-スプリット-DOTAM-VH/VL対は、DOTA結合剤である、P6_AB(P1AF0712/P1AF0713)対を除き、DOTAMに対して有意な量の結合を示した。
FAP結合剤である、P1AF8286及びP1AF8287についてもまた、有意な量のDOTAMの、TA-スプリット-DOTAM-VH/VL対に対する結合を示すが、対の個々のメンバーに対する有意な量の結合は示さない、同様の結果が得られた。P1AF8286は、配列番号108の第1の重鎖、配列番号109の第2の重鎖、及び配列番号111の軽鎖から構成され、P1AF8287は、配列番号108の第1の重鎖、配列番号110の第2の重鎖、及び配列番号111の軽鎖から構成される。しかし、このアッセイは、最適化されることをさらに必要とする。
実施例9
材料及び方法
概要
全ての実験プロトコールは、地域の規制機関(Comite Regional d’Ethique de l’Experimentation Animale du Limousin[CREEAL]、Laboratoire Departemental d’Analyses et de Recherches de la Haute-Vienne)により審査及び承認された。雌重度複合免疫不全(SCID)マウス(Charles River)を、倫理的ガイドラインと共に、毎日の明暗周期(12時間/12時間)を伴う、特異的且つ日和見的病原体を含まない(SOPF)(specific and opportunistic pathogen free)条件下で維持した。動物を、新たな環境に馴らすように、到着後、最初の5日間は、操作を実施しなかった。臨床症状及び有害事象の検出のために、動物を毎日制御下に置いた。
固形異種移植片は、Corning(登録商標)マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低減型;型番:354230)と、1:1で混合された細胞培養物中のCEA発現腫瘍細胞の皮下(SC)注射により確立した。腫瘍体積は、毎週3回、手作業のノギスによる計測を介して推定し、式:体積=0.5×長さ×幅に従い計算した。腫瘍増殖速度に応じて必要とされる場合は、さらなる腫瘍測定を行った。
腫瘍負荷、注射の副作用、又は他の原因による、不適切な苦痛又は疼痛の徴候を示した場合は、マウスを、予定の終点の前に安楽死させた。疼痛、苦痛、又は不快感の徴候は、急性体重(BW)減少、毛並みの乱れ、下痢、猫背の姿勢、及び嗜眠を含むがこれらに限定されない。即時安楽死の一般的な基準は、初期体重の20%を超える体重減少、又は腫瘍体積が3000mmに達することである。治療動物の体重は、毎週3回測定し、健康状態により、必要に応じてさらに測定した。倫理的理由による安楽死のために考慮される他の因子は、腫瘍状態(例えば、壊死領域、血液/体液の漏出、自傷の徴候)、及び動物の一般的な外見(例えば、毛並み、姿勢、動き)であった。
安楽死時に、頸椎脱臼を介する終結の前に、麻酔下マウスにおける眼窩後採血を使用して、静脈洞から血液を回収するのに続き、放射能の測定及び組織学的解析のために、さらなる組織採取を行った。予測外の状態又は異常な状態は記録した。生体内分布目的で回収された臓器及び組織を秤量し、2470 WIZARD自動式ガンマカウンター(PerkinElmer)を使用して放射能について測定し、その後、減衰及びバックグラウンドについての補正を含む、組織1グラム当たりの注入用量パーセント(1g当たりのID%)を計算した。
統計学的解析は、GraphPad Prism7(GraphPad Software,Inc.)を使用して実施した。
試験化合物
P1AF6241、P1AF6239、P1AF7887、及びP1AF7889は、CEAのCH1A1Aエピトープを標的とするN末端CEAスプリットDOTAM-VH/VL抗体である。P1AF6241及びP1AF6239はCEAの一価であるが、P1AF7887及びP1AF7889はCEA二価である。それらの配列は以下の通りである。
Figure 2024504931000053
全ての抗体コンストラクトを、注射日まで-80℃で保管し、そこで、これらを解凍させ、標準ビヒクルバッファー(20mMのヒスチジン、140mMのNaCl;pH6.0)又は0.9%NaCl中で、静脈内(IV)投与のための、それらそれぞれの最終濃度に希釈した。
放射性標識のためのDOTAMキレートは、Macrocyclicsにより提供され、Orano Med(Razes、France)により実施される放射性標識の前に、-20℃で維持された。212Pb-DOTAM(RO7205834)は、トリウム発生装置からのDOTAMによる溶出によって生成され、続いて標識後にCaでクエンチされた。この212Pb-DOTAM溶液を、0.9%NaClで希釈して、IV注射に所望の212Pb活性濃度を得た。
腫瘍モデル
BxPC3とは、天然でCEAを発現させる、ヒト初代膵腺癌細胞株である。細胞は、ECACC (European Collection of Authenticated Cell Cultures (Salisbury,UK))から供給され、10%ウシ胎児血清(GE Healthcare Hyclone SH30088.03)で濃縮された、RPMI 1640培地、GlutaMAX(商標)サプリメント、HEPES(Gibco;型番:72400-021)中で培養された。固形異種移植片は、研究0日目に、Corning(登録商標)マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(増殖因子低減型;型番:354230)と、1:1で混合されたRPMI培地中の細胞の、右脇腹への皮下注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。マウス1匹につき5x10個のBxPC3細胞を100μLの注入量で注入した。
研究
プロトコール193
プロトコール193の目的は、N末端SPLITコンストラクトを使用する2工程PRIT後の、SC BxPC3腫瘍を保有するSCIDマウスにおける、プレターゲティング212Pb-DOTAMについてのin vivo分布データを提示することであった。
2工程PRITは、CEA-スプリット-DOTAM-VH及びCEA-スプリット-DOTAM-VL(P1AD8749及びP1AD8592)を同時注入し、7日後に212Pb-DOTAMを注入することにより実施した。マウスを、放射性物質注射の6時間後に屠殺し、放射能の測定のために、血液及び臓器を採取した。
研究の概要を、図30に示す。
研究デザイン
プロトコール193の時間経過及びデザインを、下記の表に示す。
Figure 2024504931000054
Figure 2024504931000055
固形異種移植片は、研究0日目に、RPMI/マトリゲル中の細胞5×10個(第28継代)の、右脇腹へのSC注射により、各SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍細胞注入の15日後に、マウスを、平均腫瘍体積を272mmとする実験群に分けた。212Pb-DOTAMを、接種後22日目に注入した;この時点で、平均腫瘍体積は、400mmであった。
全てのマウスを屠殺し、212Pb-DOTAMの注射の6時間後に剖検し、放射性物質の含有量の測定のために、以下の臓器及び組織:血液、皮膚、卵巣、胃、小腸、結腸、脾臓、膵臓、腎臓、肝臓、肺、心臓、大腿骨、筋肉、脳、尾、及び腫瘍を採取した
結果
注射の6時間後における全ての回収組織中の平均212Pb蓄積及びクリアランスを、図31に提示する。CEA一価N末端SPLIT(P1AF6241+P1AF6239)によるプレターゲティングにより、1g当たり24.3±5.4%のIDの平均腫瘍取り込みをもたらした。CEA二価N末端SPLIT(P1AF7887+P1AF7889)は、1g当たり7.1±2.2%のIDの平均腫瘍取り込みをもたらした。Sidakの多重比較検定を使用した二元配置分散分析(ANOVA)により、腫瘍212Pb蓄積の差が治療ごとに統計的に有意であることが示された(p<0.0001)。この試験を使用した場合、組織蓄積における他の差異は統計的に有意ではなく(p=0.05)、どちらのSPLIT対でも予期せぬ取り込みは見られなかった。腎臓への取り込みは、2つの処置群において1g当たり2.7-3.8%のIDであった。
有害事象及び毒性
本研究と関連する有害事象又は毒性は見られなかった。
結論
研究結果は、N末端SPLITコンストラクトを使用する、CA非依存型2工程プレターゲティングの概念実証を実証した。正常組織への放射能の蓄積はほとんどなく、212Pb-DOTAMの高度且つ特異的な腫瘍への取り込みが達成された。
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。

Claims (88)

  1. i)
    a)抗原結合部分であって、標的抗原に結合する、抗原結合部分;
    b)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
    c)2つのサブユニットを含むFcドメイン
    を含む第1の抗体であって、
    ここで、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)の抗原結合部分のC末端に融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
    該第1の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメインを含まない、第1の抗体;と
    ii)
    d)抗原結合部分であって、標的抗原に結合する、抗原結合部分;
    e)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含むか又はそれからなるポリペプチド;及び
    f)2つのサブユニットを含むFcドメイン
    を含む第2の抗体であって、
    ここで、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)の抗原結合部分のC末端に融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端に融合しており;
    該第2の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメインを含まない、第2の抗体と
    を含み;
    第1の抗体の前記VHドメイン及び第2の抗体の前記VLドメインは、一緒になってエフェクター部分に対する機能的抗原結合部位を形成することができる
    抗体のセット。
  2. (a)の抗原結合部分及び(d)の抗原結合部分がFabである、請求項1に記載の抗体のセット。
  3. 第1の抗体及び第2の抗体が1アーム抗体である、請求項1又は請求項2に記載の抗体のセット。
  4. 第1の抗体及び第2の抗体が、標的抗原に対して単一特異性及び一価である、請求項3に記載の抗体のセット。
  5. 第1の抗体は以下のポリペプチド:
    i)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチド;
    ii)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);並びに
    iii)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)
    を含み;
    ここで、(i)のFab重鎖及び(ii)のFab軽鎖は、標的抗原に結合することができるFab断片を形成し;且つ
    第2の抗体は以下のポリペプチド:
    iv)N末端からC末端まで:Fab重鎖(例えば、VH-CH1);任意のリンカー;エフェクター部分に対する抗原結合部位のVLドメイン;任意のリンカー;及びFcサブユニット(例えば、CH2-CH3)を含むポリペプチド;
    v)Fab軽鎖ポリペプチド(例えば、VL-CL);並びに
    vi)Fcサブユニットポリペプチド(例えば、CH2-CH3)
    を含み;
    ここで、(iv)のFab重鎖及び(v)のFab軽鎖は、標的抗原に結合することができるFab断片を形成する
    請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  6. 第1の抗体が、標的抗原に結合するさらなる抗原結合部分を含む、請求項1又は請求項2に記載の抗体のセット。
  7. 第1の抗体のさらなる抗体部分が、(a)の抗原結合部分と同じ標的抗原に結合する、請求項6に記載の抗体のセット。
  8. 第2の抗体が、標的抗原に結合するさらなる抗原結合部分を含む、請求項1、2、6又は7のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  9. 第2の抗体のさらなる抗原結合部分が、(d)の抗原結合部分と同じ標的抗原に結合する、請求項8に記載の抗体のセット。
  10. 第1の抗体は、
    a)第1のFab断片であって、該Fab断片が、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、第1のFab断片;
    b)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含むか又はそれからなるポリペプチド;並びに
    c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットからなるFcドメイン
    を含み、
    ここで、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)のFab断片の鎖の1つのC末端に融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインの第1サブユニットのN末端に融合しており;
    さらに、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する第2のFab断片を含み、第2のFabは、その鎖の1つのC末端によって(c)のFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており;
    第2の抗体は、
    d)第1のFab断片であって、該Fab断片が、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する、第1のFab断片;
    e)エフェクター部分に対する抗原結合部位の抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含むか又はそれからなるポリペプチド;並びに
    f)第1のサブユニット及び第2のサブユニットを含むFcドメイン、
    を含み、
    ここで、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)のFab断片の鎖の1つのC末端に融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており;
    さらに、標的細胞の表面上に発現される抗原に結合する第2のFab断片を含み、第2のFabは、その鎖の1つのC末端によって(f)のFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており、
    該第2の抗体は、エフェクター部分に対する抗原結合部位のVHドメインを含まず;
    第1の抗体の前記VHドメイン及び第2の抗体の前記VLドメインは、一緒になってエフェクター部分に対する機能的抗原結合部位を形成することができる
    請求項6~9のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  11. FcドメインがIgG Fcドメインである、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  12. Fc領域が、Fcエフェクター機能を低減させるか又は排除するように操作されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  13. 第1の抗体では、(b)のポリペプチドは、そのN末端によって(a)のFab断片の鎖の1つのC末端にリンカーを介して融合しており、且つそのC末端によって(c)のFcドメインのサブユニットの1つのN末端にリンカーを介して融合しており;
    第2の抗体では、(e)のポリペプチドは、そのN末端によって(d)のFab断片の鎖の1つのC末端にリンカーを介して融合しており、且つそのC末端によって(f)のFcドメインの第1のサブユニットのN末端にリンカーを介して融合している
    請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  14. リンカーが、10~70、10~60、10~50アミノ酸、又は15~30アミノ酸の柔軟なリンカーである、請求項13に記載の抗体のセット。
  15. リンカーが、Gly及びSerから選択される15~30個の連続する残基、任意選択で、Gly及びSerから選択される15~25個の連続する残基、任意選択で、Gly及びSerから選択される16、17、18、19、20、21、22、23又は24個の連続する残基を含む柔軟なリンカーである、請求項13に記載の抗体のセット。
  16. リンカーが、GGGGSGGGGSGGGGSGGSGG(配列番号148)若しくはGGGGSGGGGSGGGGSGGSGGS(配列番号149)若しくはGGGGSGGGGSGGGGSGGSGGG(配列番号150)、任意選択でGGGGSGGGGSGGGGSGGSGG(配列番号148)若しくはGGGGSGGGGSGGGGSGGSGGG(配列番号150)であるか、又はそれを含む、請求項15に記載の抗体のセット。
  17. エフェクター部分が、薬物、細胞毒素、造影剤又は放射性標識化合物から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  18. エフェクター部分が放射性標識化合物である、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  19. 放射性標識化合物が放射性標識DOTA又はその塩若しくは機能的バリアントを含む、請求項18に記載の抗体のセット。
  20. 放射性標識化合物が、Lu又はYの放射性同位体で放射性標識されたDOTA又はその塩若しくは機能的バリアントである、請求項19に記載の抗体のセット。
  21. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVHドメインが、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項19又は20に記載の抗体のセット。
  22. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVHドメインが、配列番号41、又は配列番号41に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、そのバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  23. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVLドメインが、(d)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L2;(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  24. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVLドメインが、配列番号42、又は配列番号42に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、そのバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  25. 放射性標識化合物がPb-DOTAMを含む、請求項18に記載の抗体のセット。
  26. Pb-DOTAMに対する機能的結合部位が、100pM、50pM、20pM、10pM、5pM、1pM以下、例えば、0.9pM以下、0.8pM以下、0.7pM以下、0.6pM以下又は0.5pM以下の結合親和性のK値で結合する、請求項25に記載の抗体のセット。
  27. Pb-DOTAMに対する機能的結合部位が、Pb-DOTAM及びBi-DOTAMに結合する、請求項25又は請求項26に記載の抗体のセット。
  28. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVHドメインが、
    a)アミノ酸配列FIGSRGDTYYASWAKG(配列番号2)、又は配列番号2において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換は、Phe50、Asp56及び/又はTyr58を含まず、任意選択で、Gly52及び/又はArg54も含まない、重鎖CDR2;
    b)アミノ酸配列ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)、又は配列番号3において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換は、Glu95、Arg96、Asp97、Pro98を含まず、任意選択で、Ala100C、Tyr100D、及び/若しくはPro100Eも含まず、且つ/又は、任意選択で、Tyr99も含まない、重鎖CDR3;
    並びに、任意選択で、
    c)アミノ酸配列GFSLSTYSMS(配列番号1)、又は配列番号1において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含む重鎖CDR1である、重鎖CDR1
    を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  29. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVHドメインが、(a)GFSLSTYSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FIGSRGDTYYASWAKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)ERDPYGGGAYPPHL(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、請求項28に記載の抗体のセット。
  30. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVHドメインが、配列番号7及び配列番号9、又は配列番号7又は配列番号9に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項25~29のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  31. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVLドメインが、
    d)アミノ酸配列QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)、又は配列番号4において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換はTyr28及び/又はAsp32を含まない、軽鎖CDR1;
    e)アミノ酸配列LGGYDDESDTYG(配列番号6)、又は配列番号6において、最大で、1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、これらの置換はGly91、Tyr92、Asp93、Thr95c及びTyr96を含まない、軽鎖CDR3、
    並びに、任意選択で、
    f)アミノ酸配列QASKLAS(配列番号5)、又は配列番号5において少なくとも1つ、2つ若しくは3つの置換を有するそのバリアントを含み、任意選択で、Gln50を含まない、軽鎖CDR2
    である、軽鎖CDR2
    を含む、請求項25~30のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  32. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVLドメインが、(d)QSSHSVYSDNDLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)QASKLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)LGGYDDESDTYG(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、請求項31に記載の抗体のセット。
  33. 放射性標識化合物に対する抗原結合部位のVLドメインが、配列番号8、又は配列番号8に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項25~32のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  34. 第1の抗体及び第2の抗体が同じ標的抗原に結合する、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  35. 第1の抗体及び第2の抗体が、同じ標的抗原の同じエピトープに結合する、請求項34に記載の抗体のセット。
  36. 第1の抗体及び第2の抗体が、同じ標的抗原の異なるエピトープに結合する、請求項34に記載の抗体のセット。
  37. 標的抗原が腫瘍関連抗原である、請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  38. 標的抗原が、がん胎児性抗原(CEA)、CD20、HER2、EGP-1(トロホブラスト-2としても知られる上皮糖タンパク質-1)、結腸特異的抗原-p(CSAp)、膵臓ムチンMUC1、GPRC5D及びFAPからなる群から選択される、請求項1~37のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  39. 標的抗原が、CEA、GPRC5D、及びFAPからなる群から選択される、請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  40. 標的抗原がCEAである、請求項1~39のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  41. 第1の抗体が、
    (a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに
    (d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40に記載の抗体のセット。
  42. 第1の抗体が、配列番号25、又は配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40又は請求項41に記載の抗体のセット。
  43. 第1の抗体が、配列番号26、又は配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  44. 第1の抗体が、(a)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに(d)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40に記載の抗体のセット。
  45. 第1の抗体が、配列番号49、又は配列番号49に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40又は44に記載の抗体のセット。
  46. 第1の抗体が、配列番号50、又は配列番号50に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40、44又は45のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  47. 第1の抗体が、
    (a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに
    (d)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40に記載の抗体のセット。
  48. 第1の抗体が、配列番号17、又は配列番号17に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40又は47に記載の抗体のセット。
  49. 第1の抗体が、配列番号18、又は配列番号18に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40、47又は48のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  50. 第1の抗体が、
    (a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに
    (d)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40に記載の抗体のセット。
  51. 第1の抗体が、配列番号65、又は配列番号65に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40又は請求項50に記載の抗体のセット。
  52. 第1の抗体が、配列番号66、又は配列番号66に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40、50又は51のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  53. 第1の抗体が、(a)配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号117若しくは118のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに(d)配列番号120、121若しくは122のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号123、124若しくは125のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40に記載の抗体のセット。
  54. 第1の抗体が、配列番号129、130、131、132、133若しくは134、又はこれらに対して、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%の同一性を有する配列から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号135、136、137、138、139若しくは140、又はこれらに対して、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%の同一性を有する配列から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40又は53に記載の抗体のセット。
  55. 第1の抗体が、
    (a)配列番号129のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (b)配列番号133のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (c)配列番号130のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (d)配列番号134のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (e)配列番号133のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (f)配列番号131のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (g)配列番号129のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40、53又は54に記載の抗体のセット。
  56. 第2の抗体が、
    (a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに
    (d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~55のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  57. 第2の抗体が、配列番号25、又は配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~56のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  58. 第2の抗体が、配列番号26、又は配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~57のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  59. 第2の抗体が、(a)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに(d)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~55のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  60. 第2の抗体が、配列番号49、又は配列番号49に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~55又は59のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  61. 第2の抗体が、配列番号50、又は配列番号50に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~55、59又は60のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  62. 第2の抗体が、
    (a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに
    (d)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~55のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  63. 第2の抗体が、配列番号17、又は配列番号17に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~55又は62のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  64. 第2の抗体が、配列番号18、又は配列番号18に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~55、62又は63のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  65. 第2の抗体が、
    (a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに
    (d)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~55のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  66. 第2の抗体が、配列番号65、又は配列番号65に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~55又は65のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  67. 第2の抗体が、配列番号66、又は配列番号66に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL配列を含む、CEAに対する抗原結合部位を含む、請求項40~55、65又は66のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  68. 第2の抗体が、(a)配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号117若しくは118のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び(c)配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域;並びに(d)配列番号120、121若しくは122のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号123、124若しくは125のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~55のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  69. 第2の抗体が、配列番号129、130、131、132、133若しくは134、又はこれらに対して、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%の同一性を有する配列から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号135、136、137、138、139若しくは140、又はこれらに対して、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%の同一性を有する配列から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~50又は68のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  70. 第2の抗体が、
    (a)配列番号129のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (b)配列番号133のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (c)配列番号130のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (d)配列番号134のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (e)配列番号133のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (f)配列番号131のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は
    (g)配列番号129のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むVLドメイン
    を含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項40~55、68又は69に記載の抗体のセット。
  71. 第1の抗体が、請求項47~49のいずれか一項に記載の抗体であり、第2の抗体が、請求項56~58のいずれか一項に記載の抗体である、請求項40に記載の抗体のセット。
  72. 第1の抗体及び第2の抗体が、配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン、及び配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、CEAに結合する抗原結合部位を含む、請求項71に記載の抗体のセット。
  73. 第1の抗体及び第2の抗体が、標的抗原に対して単一特異性及び一価である、請求項71又は72に記載の抗体のセット。
  74. 第1の抗体及び第2の抗体がそれぞれ、配列番号26に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン、及び配列番号25に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、CEAに結合する2つの抗原結合部位を含む、請求項73に記載の抗体のセット。
  75. 第1の抗体が、配列番号146の第1の重鎖;配列番号144の第2の重鎖;及び配列番号143の軽鎖を含み;且つ/又は
    第2の抗体が、配列番号145の第1の重鎖;配列番号144の第2の重鎖;及び配列番号143の軽鎖を含む
    請求項1又は72に記載の抗体のセット。
  76. 第1の抗体が、配列番号146の第1の重鎖ポリペプチド;配列番号147の第2の重鎖ポリペプチド;並びに配列番号143の第1及び第2の軽鎖ポリペプチドを含み;且つ/又は
    第2の抗体が、配列番号145の第1の重鎖ポリペプチド;配列番号147の第2の重鎖ポリペプチド;並びに配列番号143の第1及び第2の軽鎖ポリペプチドを含む
    請求項1又は請求項74に記載の抗体のセット。
  77. 請求項1~76のいずれか一項に記載の抗体のセットを発現する核酸のセット。
  78. 請求項77に記載の核酸のセットを含む、発現ベクター又は発現ベクターのセット。
  79. 請求項78に記載の発現ベクター又は発現ベクターのセットを含む、宿主細胞又は宿主細胞のセット。
  80. 放射免疫療法をプレターゲティングする方法であって、
    i)対象に、請求項1~76のいずれか一項に記載の抗体のセットを投与することであり、第1の抗体及び第2の抗体が、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され、抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化し;第1の抗体と第2の抗体との会合が、放射性標識化合物に対する機能的結合部位を形成する、請求項1~76のいずれか一項に記載の抗体のセットを投与すること;
    及び
    ii)続いて、放射性標識化合物に対する機能的結合部位に結合する放射性標識化合物を投与すること
    を含む、方法。
  81. 除去剤又はブロッキング剤を投与する工程を含まない、請求項80に記載の方法。
  82. 対象が、ヒトである、請求項80又は81に記載の方法。
  83. 標的抗原が、がん又は腫瘍関連抗原であり、方法が腫瘍又はがんの放射免疫療法の方法である、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 請求項80~83のいずれか一項に記載の放射免疫療法をプレターゲティングする方法における使用のための、請求項1~76のいずれか一項に記載の抗体のセット。
  85. 放射線イメージングのために、放射性同位体を組織又は臓器に標的化する方法であって、
    i)対象に、請求項1~76のいずれか一項に記載の抗体のセットを投与することであり、第1の抗体及び第2の抗体が、いずれかの順序で、同時に、又は逐次的に投与され、抗体が標的抗原に結合し、標的抗原を発現する細胞の表面に局在化し、第1の抗体と第2の抗体との会合が、放射性標識化合物に対する機能的結合部位を形成する、請求項1~76のいずれか一項に記載の抗体のセットを投与すること;
    並びに
    ii)続いて、放射性標識化合物に対する機能的結合部位に結合する放射性標識化合物を投与すること
    を含む、方法。
  86. 除去剤又はブロッキング剤を投与する工程を含まない、請求項85に記載の方法。
  87. イメージングする工程をさらに含む、請求項85又は86に記載の方法。
  88. 標的抗原が、がん又は腫瘍関連抗原であり、方法が腫瘍又はがんをイメージングする方法である、請求項87に記載の方法。
JP2023541914A 2021-01-12 2022-01-10 がん細胞に結合し、放射性核種を前記細胞に標的化するスプリット抗体 Pending JP2024504931A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP21151245 2021-01-12
EP21151245.4 2021-01-12
PCT/EP2022/050359 WO2022152656A1 (en) 2021-01-12 2022-01-10 Split antibodies which bind to cancer cells and target radionuclides to said cells

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024504931A true JP2024504931A (ja) 2024-02-02

Family

ID=74175694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023541914A Pending JP2024504931A (ja) 2021-01-12 2022-01-10 がん細胞に結合し、放射性核種を前記細胞に標的化するスプリット抗体

Country Status (14)

Country Link
US (1) US20240082437A1 (ja)
EP (1) EP4277705A1 (ja)
JP (1) JP2024504931A (ja)
KR (1) KR20230131204A (ja)
CN (1) CN116829593A (ja)
AR (1) AR124609A1 (ja)
AU (1) AU2022207615A1 (ja)
CA (1) CA3206466A1 (ja)
CL (1) CL2023001989A1 (ja)
CO (1) CO2023009153A2 (ja)
CR (1) CR20230385A (ja)
IL (1) IL304224A (ja)
TW (1) TW202241962A (ja)
WO (1) WO2022152656A1 (ja)

Family Cites Families (69)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4816567A (en) 1983-04-08 1989-03-28 Genentech, Inc. Recombinant immunoglobin preparations
US4676980A (en) 1985-09-23 1987-06-30 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Target specific cross-linked heteroantibodies
IL85035A0 (en) 1987-01-08 1988-06-30 Int Genetic Eng Polynucleotide molecule,a chimeric antibody with specificity for human b cell surface antigen,a process for the preparation and methods utilizing the same
DE3883899T3 (de) 1987-03-18 1999-04-22 Sb2 Inc Geänderte antikörper.
US5242824A (en) 1988-12-22 1993-09-07 Oncogen Monoclonal antibody to human carcinomas
US5959177A (en) 1989-10-27 1999-09-28 The Scripps Research Institute Transgenic plants expressing assembled secretory antibodies
GB9014932D0 (en) 1990-07-05 1990-08-22 Celltech Ltd Recombinant dna product and method
US5846535A (en) 1990-10-12 1998-12-08 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Methods for reducing tumor cell growth by using antibodies with broad tumor reactivity and limited normal tissue reactivity
US5571894A (en) 1991-02-05 1996-11-05 Ciba-Geigy Corporation Recombinant antibodies specific for a growth factor receptor
WO1993006217A1 (en) 1991-09-19 1993-04-01 Genentech, Inc. EXPRESSION IN E. COLI OF ANTIBODY FRAGMENTS HAVING AT LEAST A CYSTEINE PRESENT AS A FREE THIOL, USE FOR THE PRODUCTION OF BIFUNCTIONAL F(ab')2 ANTIBODIES
US5587458A (en) 1991-10-07 1996-12-24 Aronex Pharmaceuticals, Inc. Anti-erbB-2 antibodies, combinations thereof, and therapeutic and diagnostic uses thereof
EP1997894B1 (en) 1992-02-06 2011-03-30 Novartis Vaccines and Diagnostics, Inc. Biosynthetic binding protein for cancer marker
CA2163345A1 (en) 1993-06-16 1994-12-22 Susan Adrienne Morgan Antibodies
US5874540A (en) 1994-10-05 1999-02-23 Immunomedics, Inc. CDR-grafted type III anti-CEA humanized mouse monoclonal antibodies
US5789199A (en) 1994-11-03 1998-08-04 Genentech, Inc. Process for bacterial production of polypeptides
US5731168A (en) 1995-03-01 1998-03-24 Genentech, Inc. Method for making heteromultimeric polypeptides
US5840523A (en) 1995-03-01 1998-11-24 Genetech, Inc. Methods and compositions for secretion of heterologous polypeptides
US5869046A (en) 1995-04-14 1999-02-09 Genentech, Inc. Altered polypeptides with increased half-life
US6267958B1 (en) 1995-07-27 2001-07-31 Genentech, Inc. Protein formulation
GB9603256D0 (en) 1996-02-16 1996-04-17 Wellcome Found Antibodies
ES2246069T3 (es) 1997-05-02 2006-02-01 Genentech, Inc. Procedimiento de preparacion de anticuerpos multiespecificos que tienen componentes comunes y multimericos.
US6171586B1 (en) 1997-06-13 2001-01-09 Genentech, Inc. Antibody formulation
WO1998058964A1 (en) 1997-06-24 1998-12-30 Genentech, Inc. Methods and compositions for galactosylated glycoproteins
US6040498A (en) 1998-08-11 2000-03-21 North Caroline State University Genetically engineered duckweed
WO1999022764A1 (en) 1997-10-31 1999-05-14 Genentech, Inc. Methods and compositions comprising glycoprotein glycoforms
US6194551B1 (en) 1998-04-02 2001-02-27 Genentech, Inc. Polypeptide variants
JP2002510481A (ja) 1998-04-02 2002-04-09 ジェネンテック・インコーポレーテッド 抗体変異体及びその断片
EP2261229A3 (en) 1998-04-20 2011-03-23 GlycArt Biotechnology AG Glycosylation engineering of antibodies for improving antibody-dependent cellular cytotoxicity
US6737056B1 (en) 1999-01-15 2004-05-18 Genentech, Inc. Polypeptide variants with altered effector function
WO2001007611A2 (en) 1999-07-26 2001-02-01 Genentech, Inc. Novel polynucleotides and method for the use thereof
US7125978B1 (en) 1999-10-04 2006-10-24 Medicago Inc. Promoter for regulating expression of foreign genes
MXPA02003456A (es) 1999-10-04 2002-10-23 Medicago Inc Metodo para regular la transcripcion de genes foraneos.
EP1423510A4 (en) 2001-08-03 2005-06-01 Glycart Biotechnology Ag ANTIBODY GLYCOSYLATION VARIANTS WITH INCREASED CELL CYTOTOXICITY DEPENDENT OF ANTIBODIES
ES2326964T3 (es) 2001-10-25 2009-10-22 Genentech, Inc. Composiciones de glicoproteina.
US20040093621A1 (en) 2001-12-25 2004-05-13 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd Antibody composition which specifically binds to CD20
WO2003085119A1 (fr) 2002-04-09 2003-10-16 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Procede d'amelioration de l'activite d'une composition d'anticorps de liaison avec le recepteur fc$g(g) iiia
AU2003236019A1 (en) 2002-04-09 2003-10-20 Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd. Drug containing antibody composition appropriate for patient suffering from Fc Gamma RIIIa polymorphism
CA2481837A1 (en) 2002-04-09 2003-10-16 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Production process for antibody composition
ATE503829T1 (de) 2002-04-09 2011-04-15 Kyowa Hakko Kirin Co Ltd Zelle mit erniedrigter oder deletierter aktivität eines am gdp-fucosetransport beteiligten proteins
BR0309145A (pt) 2002-04-09 2005-02-01 Kyowa Hakko Kogyo Kk Células das quais o genoma é modificado
US7232888B2 (en) 2002-07-01 2007-06-19 Massachusetts Institute Of Technology Antibodies against tumor surface antigens
US20040101920A1 (en) 2002-11-01 2004-05-27 Czeslaw Radziejewski Modification assisted profiling (MAP) methodology
PL212899B1 (pl) 2002-12-16 2012-12-31 Genentech Inc Humanizowane przeciwcialo, kompozycja zawierajaca to przeciwcialo, wyrób fabryczny, przeciwcialo lub jego fragment do zastosowania w sposobie indukowania apoptozy, izolowany kwas nukleinowy, wektor ekspresji, komórka gospodarza, sposób wytwarzania przeciwciala lub jego fragmentu, plynny preparat i zastosowanie przeciwciala do wytwarzania leku
NZ603037A (en) 2003-01-22 2014-05-30 Roche Glycart Ag Fusion constructs and use of same to produce antibodies with increased fc receptor binding affinity and effector function
US7871607B2 (en) 2003-03-05 2011-01-18 Halozyme, Inc. Soluble glycosaminoglycanases and methods of preparing and using soluble glycosaminoglycanases
AU2004293471C1 (en) 2003-11-25 2011-02-24 The Government Of The United States, As Represented By The Secretary Of Health And Human Services Mutated anti-CD22 antibodies and immunoconjugates
EP2360186B1 (en) 2004-04-13 2017-08-30 F. Hoffmann-La Roche AG Anti-P-selectin antibodies
TWI309240B (en) 2004-09-17 2009-05-01 Hoffmann La Roche Anti-ox40l antibodies
JO3000B1 (ar) 2004-10-20 2016-09-05 Genentech Inc مركبات أجسام مضادة .
DK1871805T3 (da) 2005-02-07 2019-12-02 Roche Glycart Ag Antigenbindende molekyler der binder egfr, vektorer der koder derfor, og anvendelser deraf
AU2006328882B2 (en) 2005-12-21 2011-06-16 Amgen Research (Munich) Gmbh Pharmaceutical antibody compositions with resistance to soluble CEA
DE102007001370A1 (de) 2007-01-09 2008-07-10 Curevac Gmbh RNA-kodierte Antikörper
US8592562B2 (en) 2008-01-07 2013-11-26 Amgen Inc. Method for making antibody Fc-heterodimeric molecules using electrostatic steering effects
EP2403530B1 (en) 2009-02-27 2016-05-11 Massachusetts Institute of Technology Engineered proteins with high affinity for dota chelates
WO2011034605A2 (en) 2009-09-16 2011-03-24 Genentech, Inc. Coiled coil and/or tether containing protein complexes and uses thereof
ES2657856T3 (es) 2011-03-02 2018-03-07 Roche Glycart Ag Anticuerpos CEA
DK2691417T3 (en) 2011-03-29 2018-11-19 Roche Glycart Ag ANTIBODY FC VARIANTS
JP6152120B2 (ja) 2012-02-15 2017-06-21 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft Fc受容体に基づくアフィニティークロマトグラフィー
EA201891502A1 (ru) 2013-02-26 2018-12-28 Роше Гликарт Аг Биспецифические антигенсвязывающие молекулы, активирующие т-клетки
PL2992012T3 (pl) 2013-04-29 2019-12-31 F. Hoffmann-La Roche Ag Zmodyfikowane ludzkie przeciwciała wiążące FcRn i sposoby ich zastosowania
UA117289C2 (uk) 2014-04-02 2018-07-10 Ф. Хоффманн-Ля Рош Аг Мультиспецифічне антитіло
RS61870B1 (sr) 2014-11-14 2021-06-30 Hoffmann La Roche Antigen vezujući molekuli koji sadrže trimer liganda iz tnf familije
CN107787332B (zh) 2015-04-24 2022-09-09 豪夫迈·罗氏有限公司 多特异性抗原结合蛋白
KR20180073561A (ko) 2015-10-02 2018-07-02 에프. 호프만-라 로슈 아게 이중특이적 항-ceaxcd3 t 세포 활성화 항원 결합 분자
CA3003482A1 (en) * 2015-11-19 2017-05-26 Revitope Limited Functional antibody fragment complementation for a two-components system for redirected killing of unwanted cells
US20210070846A1 (en) * 2017-12-21 2021-03-11 Gernot Stuhler Specific dosage regimen for hemibody therapy
PE20210442A1 (es) 2018-04-16 2021-03-08 Hoffmann La Roche Anticuerpos para radionuclidos quelados
AR119382A1 (es) * 2019-07-12 2021-12-15 Hoffmann La Roche Anticuerpos de pre-direccionamiento y métodos de uso
AU2021303508A1 (en) * 2020-07-10 2023-02-02 F. Hoffmann-La Roche Ag Antibodies which bind to cancer cells and target radionuclides to said cells

Also Published As

Publication number Publication date
CN116829593A (zh) 2023-09-29
AR124609A1 (es) 2023-04-12
WO2022152656A1 (en) 2022-07-21
CR20230385A (es) 2023-09-25
AU2022207615A1 (en) 2023-07-13
TW202241962A (zh) 2022-11-01
KR20230131204A (ko) 2023-09-12
CA3206466A1 (en) 2022-07-21
US20240082437A1 (en) 2024-03-14
CO2023009153A2 (es) 2023-07-21
CL2023001989A1 (es) 2024-02-02
EP4277705A1 (en) 2023-11-22
IL304224A (en) 2023-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220031871A1 (en) Antibodies for chelated radionuclides and clearing agents
US20220389116A1 (en) Antibodies for chelated radionuclides
US20220267463A1 (en) Antibodies which bind to cancer cells and target radionuclides to said cells
US20230272116A1 (en) Antibodies which bind to cancer cells and target radionuclides to said cells
US20240082437A1 (en) Split antibodies which bind to cancer cells and target radionuclides to said cells
JP2024503654A (ja) 併用療法
JP2024056687A (ja) キレート化された放射性核種に対する抗体
CN116744981A (zh) 组合疗法