JP2024094257A - トナー - Google Patents

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和之 佐藤
智久 佐野
徹 平松
淳彦 大森
航助 福留
浩輝 香川
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Abstract

【課題】低温低湿環境において規制不良の発生を抑制し、高温高湿環境において現像プロセスにおける低帯電トナーの発生及び転写プロセスにおける電荷減衰を抑制することで、転写性に優れたトナーを提供する。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子および外添剤を有するトナーであって、ATR法での、ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、該外添剤は基材微粒子であるアルミナ微粒子が、疎水化処理剤で表面処理されてなる疎水化処理アルミナ微粒子を含有し、該疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化度が50以上90以下であり、該疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下であり、該疎水化処理アルミナ微粒子を試料とするX線光電子分光分析(ESCA)から求められる、基材微粒子に由来する原子の割合が30atomic%以上70atomic%以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法などの画像形成方法に用いられるトナーに関する。
電子写真技術は一様帯電した感光体に静電潜像を形成し、画像情報を帯電したトナーによって可視像化する技術であり、複写機、プリンターなどの装置で利用されている。近年複写機やプリンターの多様な使用方法に対応するために長寿命化、さらに環境に依らず高画質な画像を得られることが求められている。
特許文献1には、表面処理剤の種類と体積抵抗率を規定した外添剤を用いたトナーが記載されている。低温低湿環境においてトナーの過剰なチャージアップを抑制することで、高画質な画像を形成することができる。
特許文献2は、体積抵抗率を規定したアルミナを外添剤として用い、トナー表面のアルミニウム原子の存在比率を規定したトナーが記載されている。トナーの定着時にトナーが保持している電荷を十分に放電することで、記録媒体同士の貼り付きを抑制することができる。
特開2018-163209号公報 特開2019-200345号公報
特許文献1に係るトナーは、低温低湿環境下ではトナーのチャージアップを抑えることで、過帯電のトナーがトナー担持体に融着する規制不良の発生を抑制することができる。また、特許文献2に係るトナーは、常温常湿環境下では所定の効果を発揮することができる。
しかしながら、画像形成の一連のプロセスにおいて、高温高湿環境下では、現像プロセスにおいて低帯電トナーが発生しやすく、さらに転写プロセスにおいて転写バイアスにより電荷減衰が起こることで、転写性が低下する課題がある。
以上の理由から、本開示は、低温低湿環境において規制不良の発生を抑制し、かつ、高温高湿環境において現像プロセスにおける低帯電トナーの発生及び転写プロセスにおける電荷減衰を抑制することで、転写性に優れたトナーを提供する。
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子および外添剤を有するトナーであって、
ATR法での、ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、
該外添剤は、基材微粒子であるアルミナ微粒子が疎水化処理剤で表面処理されてなる疎水化処理アルミナ微粒子を含有し、
該疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化度が50以上90以下であり、
該疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下であり、
該疎水化処理アルミナ微粒子を試料とするX線光電子分光分析(ESCA)から求められる、基材微粒子に由来する原子の割合が30atomic%以上70atomic%以下であることを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、低温低湿環境において規制不良の発生を抑制し、高温高湿環境において現像プロセスにおける低帯電トナーの発生及び転写プロセスにおける電荷減衰を抑制することで、転写性に優れたトナーを提供できる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
〔本発明の特徴〕
シリカ微粒子に対して体積抵抗率が低い微粒子をトナーの外添剤として用いると、低温低湿環境下ではトナーのチャージアップを抑制することで規制不良を抑制できることが知られている。
しかしながら高温高湿環境下では、画像形成プロセス中の現像プロセスにおいて十分なトナー帯電をし辛く、画像形成プロセス中の転写プロセスにおいてトナー粒子表面の電荷が減衰し易いため、個々のトナー帯電量の不足により、転写性が低下する課題がある。また、外添剤の疎水化度を高めるだけでは、前記課題を解決することはできなかった。
本発明者らが鋭意検討した結果、トナー粒子表面近傍にホウ酸成分を含有するトナー粒子に対し、疎水化度、体積抵抗率及び基材に由来する原子の露出割合を制御した疎水化処理アルミナを外添することにより、低温低湿環境下でのチャージアップ抑制を維持したまま、高温高湿環境下での帯電性及び電荷維持性を飛躍的に向上することで、転写性を著しく改善できることを見出した。
前記帯電性及び電荷維持性の向上による転写性の改善効果について、本発明者らは以下のように考えている。
トナー粒子中のホウ酸は、トナー粒子製造工程においてトナー粒子に含有される樹脂成分のOH基と結合することで開裂し、BO4 -のホウ酸イオンとしてトナー粒子表面近傍に架橋点として存在していると考えられる。このホウ酸イオンはルイス酸として働くことで、トナーの負帯電性を上昇させる一方、水分子との親和性が高く、高温高湿環境下では水分子を吸着し、トナー表面の電荷を減衰させやすい。このトナー粒子に対し、基材が適度に露出し疎水性の高いアルミナを外添することで、ホウ酸イオンBO4 -と同族元素であるアルミナ表面のAlとの間で強い相互作用が働き、アルミナの持つ疎水性の効果も加わることで、水分子の吸着を大幅に抑制できる。
現像プロセスにおいては、抵抗率の低いアルミナ微粒子を通して、トナー粒子表面への電荷移動が起こるため、高い帯電性を示す。一方、転写プロセスにおいては、水分子の吸着が抑制されたトナー粒子表面に電荷が保持されているため、高い電荷維持性を示す。その結果、個々のトナー帯電量が高まり、著しく優れた転写性を示すと考えられる。
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
〔疎水化処理アルミナ微粒子〕
まず、本発明のトナーに用いられる疎水化処理アルミナ微粒子について説明する。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化度は、50以上90以下である。疎水化度が前記範囲にあることで、アルミナ微粒子への水分子吸着及び相互作用しているホウ酸イオンへの水分子吸着を抑制することができる。疎水化度が50未満では、水分子の吸着抑制、効果が低いことで、電荷維持性向上効果が不十分となる。疎水化度が90を超えるとホウ酸イオンとアルミナ微粒子の相互作用を阻害することで帯電性向上効果が不十分となる。疎水化度のより好ましい範囲は60以上85以下である。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率は、1.0×108Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下である。体積抵抗率が前記範囲にあることで、低温低湿環境における規制不良を抑制し、高温高湿環境下における帯電性及び電荷維持性を向上することができる。体積抵抗率が1.0×108Ω・cm未満の場合、トナー粒子表面の電荷を減衰するため、電荷維持性向上効果が不十分となる。体積抵抗率が1.0×1012Ω・cmを超える場合、低温低湿環境において規制不良の抑制効果が不十分となり、さらに現像プロセスにおけるトナー粒子表面への電荷移動を抑制することで帯電性向上効果が不十分となる。体積抵抗率のより好ましい範囲は1.0×1010Ω・cm以上5.0×1011Ω・cm以下である。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の基材微粒子に由来する原子の割合は、30atomic%以上70atomic%以下である。基材微粒子に由来する原子の割合が前記範囲にあることで、ホウ酸イオンとアルミナ微粒子が効率的に相互作用し、水分子の吸着を抑制しながら、トナー粒子表面への電荷移動がおこることで、帯電性が向上する。基材微粒子に由来する原子の割合が30atomic%未満の場合、帯電性向上効果が不十分となり、基材微粒子に由来する原子の割合が70atomic%を超える場合、水分子がアルミナ表面に吸着することで、電荷維持性向上効果が不十分となる。基材微粒子に由来する原子の割合のより好ましい範囲は35atomic%以上65atomic%以下である。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、15nm以上300nm以下であることが好ましい。一次粒子の個数平均粒径が前記範囲にあることで、トナー粒子への埋没およびトナー粒子からの脱離を抑制でき、長期にわたり安定した転写性を維持することができる。一次粒子の個数平均粒径のより好ましい範囲は20nm以上100nm以下である。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の炭素量は、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。疎水化処理剤に由来する炭素量が前記範囲にあることで、疎水化処理アルミナ微粒子の基材微粒子に由来する原子の割合を好適に制御することができる。炭素量のより好ましい範囲は2.0質量%以上6.0質量%以下である。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の温度30℃、相対湿度0%の環境下に24時間放置した後に、温度30℃、相対湿度80%の環境下に1時間放置した際、該疎水化処理アルミナ微粒子の質量変化率を、該疎水化処理アルミナ微粒子の比表面積で除した値(質量変化率/比表面積)が、0.005%・g/m2以上0.100%・g/m2以下であることが好ましい。質量変化率/比表面積が前記範囲であることで、トナー粒子表面への電荷移動を促進できるため、高湿環境下における帯電立ち上がり性を向上できる。質量変化率/比表面積のより好ましい範囲は0.010%・g/m2以上0.050%・g/m2以下である。
疎水化処理アルミナ微粒子の基材であるアルミナ微粒子は特に限定されず、アルミナの製造方法としては、アンモニウムアルミニウム炭酸塩の熱分解法、気相酸化法、爆燃法、バイヤー法、アルミニウムアルコキシドの加水分解法等で、遷移アルミナまたは熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ原料を用いて製造される。遷移アルミナとは、Al23として表される多形を有するアルミナのうち、α以外の全てのアルミナを意味する。具体的には、γ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ等を例示することができる。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子を製造するために用いる疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、炭化水素部位を含むケイ素化合物であることが好ましい。疎水化処理剤に前記化合物を用いることで、疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率を制御することができる。
さらに前記化合物の中でも、ジメチルシリコーンオイルまたは下記式(I)で表されるシラン化合物がより好ましい。
(RO)3Si(CH2nCH3 (I)
(該Rはメチル基又はエチル基を表し、該nは5以上11以下の整数を表す。)
上記式(I)のシラン化合物としては、ヘキシルトリメトキシシラン(R:CH3、n:5)、ヘキシルトリエトキシシラン(R:C25、n:5)、オクチルトリメトキシシラン(R:CH3、n:7)、デシルトリメトキシシラン(R:CH3、n:9)、ドデシルトリメトキシシラン(R:CH3、n:11)などが挙げられる。
前記シリコーンオイルまたはシラン化合物を用いることで、疎水化処理アルミナ微粒子の基材微粒子に由来する原子の露出割合を好適に制御することができる。
これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の処理方法は、特に限定されず、乾式法や湿式法など、公知の方法を用いることができる。
乾式法は、アルミナ微粒子をミキサー内で撹拌混合しながら、疎水化処理剤を噴霧し、一定時間撹拌混合を保持した後、乾燥させる方法である。疎水化処理剤は溶媒を用いて希釈することができ、溶媒としては水、アルコール類、トルエンなどを使用することができる。また、アミン類、アンモニア、酢酸、塩酸などの触媒を添加することができる。
湿式法は、アルミナ微粒子を分散させた溶媒中に、一定量の疎水化処理剤を溶解させ、疎水化処理剤をアルミナ微粒子の表面と接触させた後、溶媒を除去する方法である。溶媒としては乾式法と同様に水、アルコール類、トルエンなどを使用することができる。また、アミン類、アンモニア、酢酸、塩酸などの触媒を添加することができる。
本発明で用いられる疎水化処理アルミナ微粒子の含有量が、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。含有量が前記範囲にあることで、ホウ酸イオンとアルミナ微粒子の相互作用が十分に起こることで、転写性がさらに向上する。含有量のより好ましい範囲は0.2質量部以上1.0質量部以下である。
〔ホウ酸〕
次に本発明のトナー粒子に使用されるホウ酸について説明する。
ホウ酸を、トナー粒子に含有させる手段は特に制限されない。例えば、ホウ酸を、トナー粒子に内添する、又は凝集法における凝集剤として使用することによって、トナー粒子中に含有させることができる。凝集剤としてホウ酸を添加することによりトナー粒子表面近傍にホウ酸を導入させやすくなる。原材料として使用する段階では、有機ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等の状態で用いても良い。トナー粒子を水系媒体中で製造する場合は、反応性や製造安定性の観点からホウ酸塩として添加することが好ましく、具体的には、例えば、四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられ、特にホウ砂が好ましく用いられる。
ホウ砂は、四ホウ酸ナトリウムNa247の十水和物で表され、酸性水溶液中でホウ酸へと変化する為、水系媒体中において、酸性環境下で使用する場合はホウ砂が好ましく用いられる。
また、トナー粒子の蛍光X線測定において、ホウ酸に由来するホウ素の強度が、0.10kcps以上0.60kcps以下であることが好ましく、0.10kcps以上0.30kcps以下であることがより好ましい。この範囲に制御することによって、トナー粒子表面近傍のホウ酸量が適量であり、ルイス酸として働くことで、高い帯電性を示す。
さらに、トナー粒子の蛍光X線測定において、アルミニウムを含有することが好ましく、0.01kcps以上5.00kcps以下であることがより好ましい。この範囲に制御することによって、トナー粒子内においてもホウ酸イオンとAlの相互作用が働き、水分子の吸着をさらに抑制することで電荷維持性が向上できる。
ホウ素の強度を上記範囲に制御する手段としては、例えば、トナー粒子製造時のホウ酸源の添加量調整であり、トナー粒子中のホウ酸の含有割合を、0.1質量%以上10.0質量%以下に制御することが好ましい。トナー粒子中のホウ酸の含有割合は、より好ましくは0.4質量%以上5.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以上2.0質量%以下である。
また、トナー粒子表面近傍のホウ酸比率は、赤外吸収スペクトルにおけるホウ酸由来の1380cm-1のピーク強度IBと、結着樹脂に含有されるカルボニル基由来の1700~1750cm-1のピーク強度ICの比率IB/ICによって見積もることができる。本開示の疎水化処理アルミナ微粒子はトナー粒子表面のホウ酸イオンだけではなく、結着樹脂に含有されるカルボニル基との間でも相互作用をすることができると考えられる。IB/ICが0.02以上0.30以下であるとき、ホウ酸イオンに対して疎水化処理アルミナ微粒子が十分に相互作用することで、トナー粒子表面への電荷移動を促進できるため、高湿環境下における帯電立ち上がり性をさらに向上できる。さらに好ましくは0.10以上0.20以下である。
ピーク強度の比率を上記範囲に制御する手段としては、例えば、トナー粒子製造時のホウ酸源の添加後、pHを調整することが挙げられる。pH調整によりトナー粒子表面近傍の樹脂成分との架橋点としての安定性を制御することで、トナー粒子表面近傍のホウ酸量を制御できる。
〔トナーを構成する各成分及びトナーの製造方法〕
トナーを構成する各成分及びトナーの製造方法についてさらに詳しく説明する。
<結着樹脂>
トナー粒子は、結着樹脂を含有する。結着樹脂の含有量は、トナー粒子中の樹脂成分全量のうち、50質量%以上であることが好ましい。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレンアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合樹脂や複合化樹脂などが挙げられる。安価、容易に入手可能で低温定着性に優れる点でスチレンアクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。より好ましくはポリエステル樹脂である。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸などの中から好適なものを選択して組み合わせ、例えば、エステル交換法又は重縮合法など、公知の方法を用いて合成することで得られる。好ましくは、ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸及びジオールの縮重合体を含む。
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であって、好ましく使用される。
例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン-3,5-ジエン-1,2-カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、m-フェニレン二酢酸、o-フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、上記ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-オクテニルコハク酸などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、好ましく使用される。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2以上12以下のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及び、これと炭素数2以上12以下のアルキレングリコールとの併用である。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、下記式(A)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2024094257000001
(式(A)中、Rは、それぞれ独立してエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及び/又はエチレンオキサイド付加物であることが好ましい。より好ましくはプロピレンオキサイド付加物である。また、x+yの平均値は1以上5以下であることが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレンアクリル樹脂としては、下記重合性単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合わせて得られる共重合体、さらにはそれらの混合物が挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン及びp-フェニルスチレンのようなスチレン系モノマー;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジエチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジブチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート及び2-ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸のような(メタ)アクリル系モノマー;
ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系モノマー;
エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて多官能性の重合性単量体を用いることができる。多官能性の重合性単量体としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス(4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン及びジビニルエーテルなどが挙げられる。
また、重合度を制御するため、公知の連鎖移動剤及び重合禁止剤をさらに添加することも可能である。スチレンアクリル樹脂を得るための重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-α-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t-ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びtert-ブチル-パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル及びアゾビスメチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。
酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩)の無機過酸化物並びに4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。
還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩及び3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン及びエチルアミンのような炭素数1以上6以下程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1以上6以下)、アスコルビン酸又はその塩並びに低級アルデヒド(炭素数1以上6以下)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独又は混合して利用される。重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100.0質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
<離型剤>
トナーには、離型剤として、公知のワックスを用いることができる。
具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムに代表される石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスに代表される天然ワックス及びそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。
また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸又はその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、又は石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性が向上する傾向があり好ましい。なお、これらのワックスには、トナーの効果に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、結着樹脂に対する相分離性、又は、結晶化温度の観点からは、ベヘン酸ベヘニル、セバシン酸ジベヘニルなどの高級脂肪酸エステルなどが好適に例示できる。
また、離型剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
離型剤の融点は、30℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下である。上記のような熱特性を呈する離型剤を用いることにより、離型効果が効率良く発現され、より広い定着領域が確保される。
<可塑剤>
トナー粒子は、シャープメルト性を向上させるために結晶性の可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、特に限定されることなく、下記のようなトナーに用いられる公知のものを用いることができる。
具体的には、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルのような1価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;エチレングリコールジステアレート、セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートのような2価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;グリセリントリベヘネートのような3価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートのような4価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートのような6価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートのような多価アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスのような天然エステルワックス。これらは単独又は併用して用いることができる。
<着色剤>
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の顔料、染料を用いることができる。耐候性に優れる点から着色剤としては、顔料が好ましい。シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物及び塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62及び66。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221及び254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191及び194。
黒色着色剤としては、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたもの並びにカーボンブラック、磁性体が挙げられる。これらの着色剤は、単独で、又は混合物で、さらにはこれらを固溶体の状態で用いることができる。
着色剤は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
<荷電制御剤、及び荷電制御樹脂>
トナー粒子は、荷電制御剤又は荷電制御樹脂を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシカルボン酸及びジカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン及び荷電制御樹脂などが挙げられる。
荷電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を挙げることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマー又はスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有する重合体が好ましく、より好ましくは5質量%以上含有する重合体である。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下であり、ピーク分子量(Mp)が10000以上30000以下であり、重量平均分子量(Mw)が25000以上50000以下であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有していると、例えば重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性や、着色剤などの分散性が向上し、着色力、透明性及び摩擦帯電特性をより向上させることができる。
これら荷電制御剤又は荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上組み合わせて添加してもよい。荷電制御剤又は荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
<外添剤>
トナーは、トナー粒子に上記疎水化処理アルミナ微粒子、並びに必要に応じて疎水化処理アルミナ微粒子以外の無機微粒子を外添剤として外添して得ることができる。無機微粒子はシリカ微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、ハイドロタルサイト化合物の微粒子、脂肪酸金属塩の微粒子、及びチタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子などの金属酸化物微粒子を挙げることができる。
また、その他の外添剤としては、2種類以上の金属を用いた複合酸化物微粒子を用いることもできるし、これらの微粒子群の中から任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。
また、樹脂微粒子や、樹脂微粒子と無機微粒子の有機無機複合微粒子を用いることもできる。好ましくは、トナーは、その他の外添剤としてシリカ微粒子に加え、下記(i)および(ii)の形状を満たすチタニア粒子を含有する。
(i)長径が300nm以上3000nm以下、
(ii)アスペクト比が5.0以上
上記(i)および(ii)を満たすチタニア粒子は、外添剤としては大粒径かつ針状であることを示している。上記チタニア粒子を使用すると、スペーサーの役割を果たすことで、上記疎水化処理アルミナ微粒子のトナー粒子への埋没およびトナー粒子からの脱離を抑制でき、長期にわたり安定した転写性を維持することができる。
その他の外添剤は、疎水化処理剤により疎水化処理がされていてもよい。疎水化処理剤としては、疎水化処理アルミナ微粒子と同様にクロロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイル、シロキサン類、脂肪酸及びその金属塩等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.05質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。疎水化処理アルミナ微粒子以外の外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下がより好ましい。
<トナーの製造方法>
トナーの製造方法は特に制限されず、粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、分散重合法などの公知の方法を用いることができる。このような任意のトナー粒子の製造方法において、原材料を混合する際にホウ酸源を添加することでトナー粒子を得ることが好ましい。ここで、トナーは、以下に示す方法により製造されることが好ましい。すなわち、トナーは、乳化凝集法により製造されることが好ましい。
好ましくは、トナーの製造方法は、下記(1)~(3)の工程
(1)結着樹脂を含有する結着樹脂微粒子の分散液を調製する分散工程、
(2)該結着樹脂微粒子の分散液に含まれる結着樹脂微粒子を凝集して凝集体を形成する凝集工程、及び
(3)該凝集体を加熱して融合させる融合工程
を有し、上記(2)又は(3)の工程において、分散液にホウ酸源を添加する。
トナーが乳化凝集法で製造される場合、トナーの形状制御が容易である点、ホウ酸がトナー粒子の表面近傍に均一に分散されやすい点で好ましい。以下に乳化凝集法の詳細について説明する。
<乳化凝集法>
乳化凝集法とは、目的の粒子径に対して、十分に小さい、トナー粒子の構成材料から成る微粒子の水系分散液を前もって準備し、その微粒子を水系媒体中でトナー粒子の粒子径になるまで凝集し、加熱などにより樹脂を融合させてトナー粒子を製造する方法である。
すなわち、乳化凝集法では、トナー粒子の構成材料から成る微粒子分散液を作製する分散工程、トナー粒子の構成材料から成る微粒子を凝集させて、トナー粒子の粒子径になるまで粒子径を制御する凝集工程、得られた凝集粒子に含まれる樹脂を融着させる融合工程、さらに加熱などにより溶融させトナー表面形状を制御する球形化工程、その後の冷却工程、得られたトナーをろ別し、過剰な多価金属イオンを除去する金属除去工程、イオン交換水などで洗浄するろ過・洗浄工程、及び洗浄したトナー粒子の水分を除去し乾燥する工程を経てトナー粒子が製造される。
[樹脂微粒子分散液を調製する工程(分散工程)]
樹脂微粒子分散液は、公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。公知の方法としては、例えば、乳化重合法、自己乳化法、有機溶剤に溶解させた樹脂溶液に水系媒体を添加していくことで樹脂を乳化する転相乳化法、又は、有機溶剤を用いず、水系媒体中で高温処理することで強制的に樹脂を乳化する強制乳化法が挙げられる。
具体的には、結着樹脂を、これらを溶解できる有機溶媒に溶解して、界面活性剤や塩基性化合物を加える。その際、結着樹脂が融点を有する結晶性樹脂であれば、融点以上に加熱して溶解させればよい。続いて、ホモジナイザーなどにより撹拌を行いながら、水系媒体をゆっくり添加し樹脂微粒子を析出させる。その後、加熱又は減圧して溶剤を除去することにより、樹脂微粒子の水系分散液を作製する。該樹脂を溶解するために使用する有機溶媒としては、該樹脂を溶解できるものであればどのようなものでも使用可能であるが、トルエンなどの水と均一相を形成する有機溶媒を用いることが、粗粉の発生を抑える観点から好ましい。
上記乳化時に使用する界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系などのアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散工程時に使用する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの無機塩基;アンモニア、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、及びジエチルアミノエタノールなどの有機塩基が挙げられる。該塩基性化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂微粒子の水系分散液中における結着樹脂の微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)は、0.05μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。体積分布基準の50%粒径(D50)を上記範囲に調整することで、トナー粒子として適切な体積平均粒径である3μm以上10μm以下のトナー粒子を得ることが容易になる。
なお、体積分布基準の50%粒径(D50)の測定には、動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を使用する。
[着色剤微粒子分散液]
必要に応じて用いられる着色剤微粒子分散液は、以下に挙げる公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。
着色剤、水系媒体及び分散剤を公知の撹拌機、乳化機、及び分散機のような混合機により混合することで調製できる。ここで用いる分散剤は、界面活性剤及び高分子分散剤といった公知のものを使用できる。
界面活性剤及び高分子分散剤のいずれの分散剤も後述する洗浄工程において除去できるが、洗浄効率の観点から、界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、及びせっけん系などのアニオン界面活性剤;アミン塩型、及び4級アンモニウム塩型のようなカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、及び多価アルコール系のようなノニオン界面活性剤が挙げられる。
これらの中でもノニオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤が好ましい。また、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用してもよい。該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。該界面活性剤の水系媒体中における濃度は、0.5質量%以上5質量%以下が好ましい。
着色剤微粒子分散液における着色剤微粒子の含有量は特に制限はないが、着色剤微粒子分散液の全質量に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
また、着色剤の水系分散液中における着色剤微粒子の分散粒径は、最終的に得られるトナー中での着色剤の分散性の観点から、体積分布基準の50%粒径(D50)が0.5μm以下であることが好ましい。また、同様の理由で、体積分布基準の90%粒径(D90)が2μm以下であることが好ましい。なお、水系媒体中に分散した着色剤微粒子の分散粒径は、動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA-EX150:日機装製)で測定する。
着色剤を水系媒体中に分散させる際に用いる公知の撹拌機、乳化機、及び分散機のような混合機としては、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、圧力式ホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、及びペイントシェーカーが挙げられる。これらを単独又は組み合わせて用いてもよい。
[離型剤(脂肪族炭化水素化合物)微粒子分散液]
必要に応じて離型剤微粒子分散液を用いてもよい。離型剤微粒子分散液は、以下に挙げる公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。
離型剤微粒子分散液は、界面活性剤を含有した水系媒体に離型剤を加え、離型剤の融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザー(例えば、エム・テクニック社製の「クレアミックスWモーション」)や圧力吐出型分散機(例えば、ゴーリン社製の「ゴーリンホモジナイザー」)で粒子状に分散させた後、融点未満まで冷却することで作製することができる。
離型剤の水系分散液中における離型剤微粒子分散液の分散粒径は、体積分布基準の50%粒径(D50)が0.03μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。また、1μm以上の粗大粒子が存在しないことが好ましい。
離型剤微粒子分散液の分散粒径が上記範囲内であることで、トナー中に離型剤を微分散して存在させることが可能となり、定着時の染み出し効果を最大限発現させ、良好な分離性を得ることが可能となる。なお、水系媒体中に分散した離型剤微粒子分散液の分散粒径は、動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA-EX150:日機装製)で測定できる。
[混合工程]
混合工程では、樹脂微粒子分散液、並びに、必要に応じて離型剤微粒子分散液及び着色剤微粒子分散液の少なくとも一方を混合した混合液を調製する。ホモジナイザー、及びミキサーのような公知の混合装置を用いて行うことができる。
[凝集体粒子を形成する工程(凝集工程)]
凝集工程では、混合工程で調製された混合液中に含まれる微粒子を凝集し、目的とする粒径の凝集体を形成させる。このとき、凝集剤を添加混合し、必要に応じて加熱及び機械的動力の少なくとも一方を適宜加えることにより、樹脂微粒子と、必要に応じて離型剤微粒子及び着色剤微粒子の少なくとも一方と、が凝集した凝集体を形成させる。
凝集剤としては、例えば、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の無機金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄等の無機金属塩重合体;硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩;2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。また、pHを下げて軟凝集させるよう酸を添加することも可能であり、例えば硫酸や硝酸等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルミニウムを含有する凝集剤を用いることで、その種類と添加量によって、トナー粒子内のアルミニウム含有量を制御することができるため好ましい。
該凝集剤は、乾燥粉末及び水系媒体に溶解させた水溶液のいずれの形態で添加してもよいが、均一な凝集を起こさせるためには、水溶液の形態で添加するのが好ましい。また、該凝集剤の添加及び混合は、混合液中に含まれる樹脂のガラス転移温度又は融点以下の温度で行うことが好ましい。この温度条件下で混合を行うことで、比較的均一に凝集が進行する。混合液への凝集剤の混合は、ホモジナイザー、及びミキサーのような公知の混合装置を用いて行うことができる。凝集工程は、水系媒体中でトナー粒子サイズの凝集体を形成する工程である。該凝集工程において製造される凝集体の体積平均粒径は、3μm以上10μm以下であることが好ましい。体積平均粒径は、コールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:コールター製)にて測定できる。
<トナー粒子を含む分散液を得る工程(融合工程)>
融合工程においては、凝集工程で得られた凝集体を含む分散液に、凝集工程と同様の撹拌下で、まず凝集の停止が行われる。凝集の停止は、pH調整することができる塩基やキレート化合物、塩化ナトリウム等の無機塩化合物等の凝集停止剤を添加することにより行われる。
凝集停止剤の作用により、分散液中での凝集粒子の分散状態が安定となった後、結着樹脂のガラス転移温度又は融点以上に加熱し、凝集粒子を融合し、所望の粒径に調整する。なお、トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、3μm以上10μm以下であることが好ましい。
[冷却工程]
必要に応じて、冷却工程において、融合工程で得られたトナー粒子を含む分散液の温度を、結着樹脂の結晶化温度及びガラス転移温度の少なくとも一方より低い温度まで冷却することもできる。
[後処理工程]
トナーの製造方法においては、冷却工程の後に、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってもよく、後処理工程を行うことで乾燥した状態のトナー粒子が得られる。
[外添工程]
外添工程においては、乾燥工程で得られたトナー粒子に疎水化処理アルミナ微粒子が外添処理される。疎水化処理アルミナ微粒子に加え、必要に応じて上記その他の外添剤を添加してもよい。また、外添剤は、例えば、乾燥状態で剪断力を印加して添加することが好ましい。
トナー粒子の製造方法において、上述した任意の製造方法により、トナー粒子(コア粒子)を得たのちに、コア粒子を分散させた水系媒体にシェル用の樹脂を含む樹脂微粒子をさらに添加してコア粒子に付着させてシェルを形成させるシェル形成工程を有することが好ましい。乳化凝集法によるトナーの製造方法においては、凝集工程により凝集粒子(コア粒子)を形成させたのち、シェル用の樹脂を含む樹脂微粒子をさらに添加してコア粒子に付着させてシェルを形成させるシェル形成工程を有することが好ましい。すなわち、トナー粒子は結着樹脂を含有するコア粒子及びコア粒子表面のシェルを有することが好ましい。シェル用の樹脂は結着樹脂と同じ樹脂を使用してもよいし、他の樹脂を使用してもよい。シェル用の樹脂の添加量は、コア粒子に含まれる結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上7質量部以下である。
この場合、トナーの製造方法は下記工程を有することが好ましい。
(1)結着樹脂を含有する結着樹脂微粒子の分散液を調製する分散工程、
(2-1)該結着樹脂微粒子の分散液に含まれる結着樹脂微粒子を凝集して凝集体を形成する凝集工程、
(2-2)該凝集体を含む分散液にシェル用の樹脂を含む樹脂微粒子をさらに添加し該凝集体に付着させてシェルを有する凝集体を形成するシェル形成工程、及び
(3)該シェルが形成された該凝集体を加熱して融合させる融合工程
そして、トナー粒子表面近傍にホウ酸を含有させやすくするため、(2-2)の工程においてシェル用の樹脂を含む樹脂微粒子と共にホウ酸源を、凝集体を含む分散液に添加することが好ましい。
ここで、ホウ酸源は、ホウ酸であるか、あるいはトナー製造中にpH制御などによりホウ酸に変化しうる化合物であればよい。例えば、ホウ酸、ホウ砂、有機ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等からなる群から選択される少なくとも一が挙げられる。例えば、ホウ酸源を添加し、凝集体中にホウ酸が含まれるように制御すればよい。好ましくは(2-1)の凝集工程においてpHを酸性条件に制御しておき、シェル形成工程を実施する。
ホウ酸は、無置換の状態で凝集体中に存在していればよい。ホウ酸源は、好ましくはホウ酸、ホウ砂からなる群から選択される少なくとも一である。トナーを水系媒体中で製造する場合は、反応性や製造安定性の観点からホウ酸塩として添加することが好ましい。具体的には、ホウ酸源は、四ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム等からなる群から選択される少なくとも一を含むことがより好ましく、ホウ砂であることがさらに好ましい。
ホウ砂は、四ホウ酸ナトリウムNa247の十水和物で表され、酸性水溶液中でホウ酸へと変化する為、水系媒体において酸性環境下で使用する場合はホウ砂が好ましく用いられる。添加方法としては、乾燥粉末及び水系媒体に溶解させた水溶液のいずれの形態で添加してもよいが、均一な凝集を起こさせるためには、水溶液の形態で添加するのが好ましい。水溶液の濃度はトナーに含有させる濃度に応じて適宜変更すればよく、例えば1~20質量%である。ホウ酸へと変化させるため、添加の前、添加の際又は添加した後にpHを、酸性条件にすることが好ましい。例えば1.5以上5.0以下、好ましくは2.0以上4.0以下に制御すればよい。好ましくは、凝集体を形成する凝集工程の前にpHを制御する。
すなわち、凝集工程の前の、結着樹脂微粒子の分散液及び必要に応じて離型剤微粒子分散液など他の分散液を混合する混合工程においてpHを酸性条件に制御することが好ましい。
〔各物性の測定方法〕
次に、各物性の測定方法に関して記載する。
<トナー粒子中に含まれるホウ酸の同定及び定量>
トナー粒子中に含まれるホウ酸の同定及び含有量の測定は以下の方法による。
(ATR結晶にゲルマニウム(Ge)を用いたATR-IR分析)
トナー粒子がホウ酸を含有しているかどうかは、赤外線吸収スペクトルを用いて確認することができる。具体的には、トナーから下記方法で外添剤を除いたトナー粒子を用いて、ATR結晶にゲルマニウム(Ge)を用いたATR法により測定する。
IR分析は、ユニバーサルATR測定アクセサリー(Universal ATR Sampling Accessory)を装着したフーリエ変換赤外分光分析装置(Spectrum One:PerkinElmer社製)を用い、ATR法で測定する。具体的な測定手順は以下の通りである。
赤外光(λ=5μm)の入射角は45°に設定する。ATR結晶としては、GeのATR結晶(屈折率=4.0)を用いる。その他の条件は以下の通りである。
・Range
Start:4000cm-1
End :650cm-1(GeのATR結晶)
・Duration
Scan number :16
Resolution :4.00cm-1
Advanced :CO2/H2O補正あり
(1)GeのATR結晶(屈折率=4.0)を装置に装着する。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定する。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定する。
(4)トナー粒子をATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(5)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(6)サンプルを測定する。
吸収スペクトルのB-O単結合に対応する1380cm-1ピークを確認する。1380cm-1に吸収ピークが検出された場合ホウ酸が検出されたと判断する。
(ホウ酸由来のピークIBとカルボニル基由来のピークIC比、IB/ICの算出方法)
上記トナー粒子のATR-IR分析において、ホウ酸に由来する1380cm-1の吸収ピークのピーク強度をIB、トナー粒子に含まれる結着樹脂成分に含有されるカルボニル基に由来する1750~1700cm-1のピーク強度をICとし、IBおよびICの強度比IB/ICを算出する。
<トナー粒子の蛍光X線測定>
トナー粒子中に含まれるホウ酸およびアルミニウムの含有量の測定に関しては、蛍光X線で測定し、検量線法で求める。ホウ素及びアルミニウムの蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、ホウ素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、アルミニウムを測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー粒子4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用い、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=41.75°に観測されるB-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。
この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、32kV、125mAとする。
上記条件でホウ素及びアルミニウムの測定を行い、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:kcps)を測定する。
また、別途作成したホウ酸の検量線より、トナー粒子中のホウ酸量(質量%)を求める。トナーから下記方法で外添剤を除いたトナー粒子を用いて測定することもできる。
<トナーからのトナー粒子および疎水化処理アルミナ微粒子の分離回収方法>
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、分離したトナー粒子および外添剤をスパチュラ等で採取する。外添剤として、無機微粒子Aとその他の外添剤が混在している場合には、粒径、及び比重の差を利用してさらに遠心分離により、単離させて目的物を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。採取したトナー粒子や疎水化処理アルミナ微粒子を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<トナー中の疎水化処理アルミナ微粒子の含有量の測定方法>
トナー中の疎水化処理アルミナ微粒子の含有量は、蛍光X線分析(XRF)によってトナーおよび上記方法で外添剤を除去したトナー粒子を測定することで算出できる。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素であるホウ素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用い、13族元素の計数率強度(単位:cps)を測定する。
この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、32kV、125mAとする。
<疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化処理剤同定のための飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)によるフラグメントイオンの測定方法>
疎水化処理アルミナ微粒子のTOF-SIMS測定は、上述した疎水化処理アルミナ微粒子のトナー表面からの分離方法により、トナーから分離した疎水化処理アルミナ微粒子を用いて測定する。
TOF-SIMSを用いたシリカ微粒子表面のフラグメントイオン測定には、アルバック・ファイ社製、TRIFT-IVを使用する。
分析条件は以下の通りである。
サンプル調整:疎水化処理アルミナ微粒子をインジウムシートに付着させる
一次イオン:Auイオン
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Positive
ラスター:200μm
測定時間:60s
得られた二次イオン質量/二次イオン電荷数(m/z)のマスプロファイルより、疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化処理剤を同定する。例えば、疎水化処理剤がジメチルシリコーンオイルである場合、m/z=147、207、221といった位置にフラグメントイオンが観測される。
<疎水化処理アルミナ微粒子の個数平均粒径の測定方法>
疎水化処理アルミナ微粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「Ultra Plus」(商品名;Zeiss社製)を用いて行う。疎水化処理アルミナ微粒子の特定は、上記SEM-EDS分析により行う。
トナーを下記条件で観察し、疎水化処理アルミナ微粒子の100粒子について一次粒子の最長径を測定し、平均値を疎水化処理アルミナ微粒子の個数平均粒径とする。観察倍率は、疎水化処理アルミナ微粒子の大きさによって適宜調整する。
(SEM観察条件)
試料前処理;カーボンテープでトナーを固定しPtコート
SEM加速電圧;2.0kV
WD;2.8mm
検出器;SE2
解像度:1024×768ピクセル
観察倍率;5,000~50,000倍
<疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化度の測定方法>
外添剤の疎水化度(体積%)は、粉体濡れ性試験機「WET-100P」(レスカ社製)によって測定する。直径5cm及び厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に、フッ素樹脂コーティングされた長さ25mm及び最大胴径8mmの紡錘型回転子を入れる。上記円筒型ガラス容器中にメタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mLを入れる。その後、疎水化処理アルミナ微粒子を0.5g添加し、粉体濡れ性試験機にセットする。マグネティックスターラーを用いて、200rpmの速度で撹拌しながら、上記粉体濡れ性試験機を通して、メタノールを0.8mL/分の速度で液中に添加する。波長780nmの光で透過率を測定し、透過率が50%に達した時のメタノールの体積百分率(=(メタノールの体積/混合物の体積)×100)により表される値を疎水化度とする。試料の疎水化度に応じて、最初のメタノールと水の体積比率は適宜調整する。
<疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率の測定方法>
疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率は電位計(ケースレー製6430型サブフェムトアンペア・リモート・ソースメータ)を用いて測定した電流値より算出した。サンプルホルダ(東陽テクニカ製SH2-Z型)に外添剤を2.0g充填し、2.0N・mのトルクを加えることで外添剤を圧縮する。サンプルホルダを通して外添剤に10.0Vの電圧を印可し、充電電流を含まない飽和時の電流値を測定し、サンプルホルダ電極間の距離、電極の面積から疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率を算出した。
<X線光電子分光分析(ESCA)で求められる、基材微粒子に由来する原子の割合>
疎水化処理アルミナ微粒子を試料とするX線光電子分光分析(ESCA)から求められる、基材微粒子に由来する原子の割合は、上述した疎水化処理アルミナ微粒子のトナー表面からの分離方法により、トナーから分離した疎水化処理アルミナ微粒子を用いて、X線光電子分光分析(ESCA)により表面組成分析を行うことで算出する。
使用装置:ULVAC-PHI社製、Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV
StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V
Arイオン銃:7mA、10V
測定された各原子のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて、各原子の表面原子濃度(atomic%)を算出する。さらに、アルミニウム原子のピークから基材微粒子であるアルミナ微粒子に由来するアルミニウム原子のピーク(Binding energy:73.9eV)を分離し、表面のアルミナ微粒子に由来するアルミニウム原子濃度(atomic%)を算出する。アルミナは、アルミニウム原子2個と酸素原子3個で構成される分子であるため、アルミナを構成する原子の個数は、アルミニウム原子の個数の2.5倍であり、アルミニウム原子濃度がCAl(atomic%)である場合、アルミナを構成する原子の濃度は、2.5×CAl(atomic%)となる。この“2.5×CAl(atomic%)”を基材微粒子に由来する原子の割合(atomic%)とした。
<疎水化処理アルミナ微粒子の炭素量の測定方法>
疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化処理剤に由来する炭素量は、HORIBA社製の炭素・硫黄分析装置(商品名:EMIA-320)を用いて測定する。サンプルである疎水化処理アルミナ微粒子0.3gを精秤し、上記炭素・硫黄分析装置用のルツボに入れる。これに、助燃剤としてスズ(補用品番号9052012500)0.3g±0.05g、タングステン(補用品番号9051104100)1.5g±0.1gを添加する。その後、上記炭素・硫黄分析装置付属の取り扱い説明書記載に従い、シリカ微粒子を酸素雰囲気中にて1100℃で加熱する。これによって、疎水化処理アルミナ微粒子の表面の疎水化処理剤に由来する疎水基がCO2に熱分解されるため、その量を測定する。得られたCO2の量から疎水化処理アルミナ微粒子に含有される炭素量(質量%)を求め、これを疎水化処理剤に由来する炭素量とする。
<疎水化処理アルミナ微粒子の相対湿度に対する質量変化率を比表面積で除した値の算出方法>
疎水化処理アルミナ微粒子の含水率の指標として、疎水化処理アルミナ微粒子の温度30℃、相対湿度0%の環境下に24時間放置した後に、温度30℃、相対湿度80%の環境下に1時間放置した際、疎水化処理アルミナ微粒子の質量変化率を、疎水化処理アルミナ微粒子の比表面積で除した値(質量変化率/比表面積)を算出する。
(質量変化率)
疎水化処理アルミナ微粒子の質量変化率は、熱量計測定装置「Q5000SA」(ティー・エイ・インスツルメンツ社製)を用いて測定する。疎水化処理アルミナ微粒子をサンプルパンに20mg程度載せ、チャンバー内環境を温度30℃、相対湿度0%にし、24時間保持した後に温度30℃相対湿度80%の環境を1時間保持するようプログラミングし測定を開始する。開始から24時間経過後の質量をTGA1、温度30℃、相対湿度80%の環境で1時間経過後の質量をTGA2とした時、((TGA2-TGA1)/TGA1)×100を質量変化率(%)とする。
(比表面積)
疎水化処理アルミナ微粒子の比表面積は、JIS Z8830(2001年)に準じた窒素吸着によるBET法で測定した。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している自動比表面積・細孔分布測定装置「TriStar3000」(島津製作所社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
BET比表面積は以下のようにして算出する。まず、疎水化処理アルミナ微粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と疎水化処理アルミナ微粒子の窒素吸着量Va(モル・g-1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g-1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、疎水化処理アルミナ微粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g-1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1-Pr)=1/(Vm×C)+(C-1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
上記BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1-Pr)とすると、傾きが(C-1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C-1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1-Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、疎水化処理アルミナ微粒子のBET比表面積S(m2・g-1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10-18(ここで、Nはアボガドロ数(モル-1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
(1)充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gの疎水化処理アルミナ微粒子を入れる。疎水化処理アルミナ微粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した前処理装置「バキュプレップ061」(島津製作所社製)にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。なお、真空脱気の際には、疎水化処理アルミナ微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から疎水化処理アルミナ微粒子の正確な質量を算出する。なお、この際に、試料セル内の疎水化処理アルミナ微粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
(2)次に、疎水化処理アルミナ微粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。なお、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
(3)続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
(4)次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して疎水化処理アルミナ微粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。なお、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。
(5)得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したように疎水化処理アルミナ微粒子のBET比表面積を算出する。
<トナー又はトナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー又はトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー又はトナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー又はトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径である。
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)結着樹脂を含有するトナー粒子および外添剤を有するトナーであって、
ATR法での、ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、
該外添剤は、基材微粒子であるアルミナ微粒子が疎水化処理剤で表面処理されてなる疎水化処理アルミナ微粒子を含有し、
該疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化度が50以上90以下であり、
該疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下であり、
該疎水化処理アルミナ微粒子を試料とするX線光電子分光分析(ESCA)から求められる、基材微粒子に由来する原子の割合が30atomic%以上70atomic%以下であることを特徴とするトナー。
(構成2)前記トナー粒子の蛍光X線測定において、前記ホウ酸に由来するホウ素の強度が、0.10kcps以上0.60kcps以下である構成1に記載のトナー。
(構成3)前記疎水化処理アルミナ微粒子の個数平均粒径が、15nm以上300nm以下である構成1又は2に記載のトナー。
(構成4)前記疎水化処理アルミナ微粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下である構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)前記疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化処理剤が、炭化水素部位を含むケイ素化合物である構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)前記疎水化処理アルミナ微粒子の炭素量が、0.5質量%以上10.0質量%以下である構成5に記載のトナー。
(構成7)前記疎水化処理剤が、ジメチルシリコーンオイルである構成5又は6に記載のトナー。
(構成8)前記疎水化処理剤が、下記式(I)で表されるシラン化合物及び該シラン化合物の加水分解物からなる群より選択される少なくとも一である、構成5又は6に記載のトナー。
(RO)3Si(CH2nCH3 (I)
(式中、Rはメチル基又はエチル基を表し、nは5以上11以下の整数を表す。)
(構成9)前記疎水化処理アルミナ微粒子を温度30℃、相対湿度0%の環境下に24時間放置した後に、温度30℃、相対湿度80%の環境下に1時間放置した際における、前記疎水化処理アルミナ微粒子の質量変化率を、前記疎水化処理アルミナ微粒子の比表面積で除した値(質量変化率/比表面積)が、0.005%・g/m2以上0.100%・g/m2以下である構成1~8のいずれかに記載のトナー。
(構成10)前記トナー粒子は、ATR-IR分析において、ホウ酸由来のピークIBおよびカルボニル基由来のピークICが検出され、それらの比IB/ICが0.02以上0.30以下の範囲である構成1~9のいずれかに記載のトナー。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例の処方において使用する部は特に断りのない限り質量基準である。
<外添剤A1の製造例>
加熱乾燥した気相法で得られた未処理のアルミナ微粒子(一次粒子の個数平均粒径35nm)を基材として撹拌による流動化状態において、300℃に加熱した。反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、スプレーノズルを使用して疎水化処理剤として、未処理のアルミナ微粒子100部に対して、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製 KF-96-50CS)10部を噴霧処理した。その後、加熱、撹拌を1時間継続し反応させることによって被覆処理した。外添剤A1の物性値を表1に示す。
<外添剤A2~A18、A20~A24の製造例>
外添剤基材の個数平均一次粒径、疎水化処理剤の種類と部数及び処理温度を表1に示すように変更する以外は、外添剤A1の製造例と同様にして外添剤A2~A18、A20~A24を得た。外添剤A2~A18、A20~A24の物性値を表1に示す。
<外添剤A19の製造例>
硫酸法で得られた未処理のチタニア微粒子(一次粒子の個数平均粒径35nm)を基材として用い、疎水化処理剤の種類と部数及び処理温度を表1に示すように変更する以外は、外添剤A1の製造例と同様にして外添剤A19を得た。疎水化処理アルミナ微粒子の各種測定方法を用いて測定した外添剤A19の物性値を表1に示す。
Figure 2024094257000002
<トナー粒子1の製造例>
「ポリエステル樹脂1の合成」
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 9mol部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 95mol部
・テレフタル酸 50mol部
・フマル酸 30mol部
・ドデセニルコハク酸 25mol部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマーを仕込み、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。これらモノマー100部に対してジステアリン酸スズを1.0部投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて250℃まで温度を上げ、250℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。
その結果、ガラス転移温度が60.2℃、酸価が16.8mgKOH/g、水酸基価が28.2mgKOH/g、重量平均分子量が11200、数平均分子量が4100のポリエステル樹脂1を得た。「ポリエステル樹脂2の合成」
・ビスフェノールA-エチレンオキサイド2モル付加物 48mol部
・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物 48mol部
・テレフタル酸 65mol部
・ドデセニルコハク酸 30mol部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマーを投入し、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。これらモノマー100部に対してジステアリン酸スズを0.7部投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。次いで、温度を190℃まで下げ、無水トリメリット酸の5mol部を徐々に投入し、190℃で1時間反応を継続した。
その結果、ガラス転移温度が55.2℃、酸価が14.3mgKOH/g、水酸基価が24.1mgKOH/g、重量平均分子量が43600、数平均分子量が6200のポリエステル樹脂2を得た。
「樹脂粒子分散液1の調製」
・ポリエステル樹脂1 100部
・メチルエチルケトン 50部
・イソプロピルアルコール 20部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記樹脂を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル樹脂1溶解液を得た。このポリエステル樹脂1溶解液の入った容器を65℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で5部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらにエバポレータで減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂1の樹脂粒子分散液1を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、135nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
「樹脂粒子分散液2の調製」
・ポリエステル樹脂2 100部
・メチルエチルケトン 50部
・イソプロピルアルコール 20部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記材料を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル樹脂2溶解液を得た。このポリエステル樹脂2溶解液の入った容器を40℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で3.5部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらに減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂2の樹脂粒子分散液2を得た。樹脂粒子の体積平均粒径は、155nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
「着色剤粒子分散液の調製」
・銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3) 45部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 5部
・イオン交換水 190部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:(株)スギノマシン製)を用い圧力250MPaで20分間分散処理を行い、着色剤粒子の体積平均粒径が120nmで、固形分量が20%の着色剤粒子分散液を得た。
「離型剤粒子分散液の調製」
・離型剤(炭化水素ワックス、融点:79℃) 15部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 2部
・イオン交換水 240部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで115℃に加温して分散処理を1時間行い、体積平均粒径160nm、固形分量20%の離型剤粒子分散液を得た。
「トナー粒子1の製造」
・樹脂粒子分散液1 500部
・樹脂粒子分散液2 400部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 80部
まず、コア形成工程として、前記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した。続いてホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。0.5質量%塩化アルミニウム水溶液10部を30℃攪拌下、10分間かけて添加した。さらに1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで58℃まで加熱した。形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、5.0μmである凝集粒子(コア)が形成されたところで、シェル形成工程として、下記各材料を投入してさらに1時間撹拌しシェルを形成した。
・樹脂粒子分散液1 40部
・イオン交換水 300部
・10.0質量%ホウ砂水溶液 19部
(ホウ砂;富士フイルム和光純薬(株)製 四ほう酸ナトリウム十水和物)
その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0(調整pH)にし、撹拌を継続しながら、89℃まで加熱した。所望の表面形状が得られたところで加熱をやめ、25℃まで冷却し、ろ過・固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、重量平均粒径(D4)が6.1μmのトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の物性を表2に示す。
<トナー粒子2~8、11の製造例>
表2に示した処方、条件に変更する以外はトナー粒子1と同様の方法でトナー粒子2~8、11を得た。得られたトナー粒子2~8、11の物性を表2に示す。
<トナー粒子9の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水710部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液850部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持する。ここに1.0モル/リットル-CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 76部
・n-ブチルアクリレート 24部
・C.I.Pigment Blue 15:3:大日精化社製 6.5部
・ポリエステル樹脂(1) 5部
(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物;モル比=51:50)、酸価=10mgKOH/g、ガラス転移点=70℃、Mw=10500、Mw/Mn=3.20)
・負荷電性制御剤 0.4部
(3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・フィシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク温度=75℃)7.5部
・10.0質量%ホウ砂水溶液 19.0部
上記の材料を、アトライターを用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート10.0部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
重合性単量体組成物を上記水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を10,000rpmに維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後毎分1℃の冷却速度で徐々に30℃まで冷却し、スラリーを得た。スラリーを含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、ろ別、洗浄、乾燥してトナー粒子9を得た。トナー粒子9の物性は、表2に示す通りである。
<トナー粒子10の製造例>
・ポリエステル樹脂1 60.0部
・ポリエステル樹脂2 40.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5部
・離型剤(炭化水素ワックス、融点:79℃) 5.0部
・可塑剤(エチレングリコールジステアレート) 15.0部
・ホウ酸粉末(富士フイルム和光純薬(株)製) 1.5部
上記材料をFMミキサー(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、酢酸エチル130部を加えて、80℃に加熱して、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)で、回転数5000rpmで1時間撹拌した後、30℃に冷却して溶解液を得た。
別の容器に、水400部、エレミノールMON-7(三洋化成工業社製)5部を投入し、30℃とした後、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)で、回転数13000rpmで撹拌しながら上記溶解液100部を投入し、その後さらに20分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーは緩やかに撹拌しながら、30℃で減圧下8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、その後、洗浄、濾過、乾燥工程を経て、トナー粒子10を得た。得られたトナー粒子10の物性を表2に示す。
Figure 2024094257000003
<トナー1の製造例>
上記トナー粒子1に、外添を行った。100.0部のトナー粒子1、0.5部の外添剤A1及び0.8部のシリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理、一次粒径16nm)および、2.0部のチタニア粒子(石原産業社;FTL-100、長径1.7μm、アスペクト比10)を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて周速38m/secで5分間乾式混合して、トナー1を得た。
<トナー2~39の製造例>
トナー粒子、外添剤Aの種類とおよびチタニア粒子(石原産業社;FTL-100、長径1.7μm、アスペクト比10)の添加量を表3のようにした以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー2~39を得た。
Figure 2024094257000004
〔実施例1〕
得られたトナー1を用いて、以下の評価を行った。
<評価1>低温低湿環境における規制不良の評価
画像形成装置として、市販のレーザープリンター「LBP-9660Ci(キヤノン製)」をプロセススピードが325mm/secとなるよう改造した改造機を用いた。また、プロセスカートリッジである市販のトナーカートリッジ(シアン)(キヤノン製)を用いた。
カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、評価するトナーを270g充填した。なお、イエロー、マゼンタ、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたイエロー、マゼンタ及びブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
次に、電子写真装置、プロセスカートリッジを、測定環境にならす目的で、15℃10
%RHの環境に48時間放置した。放置後、同じく低温低湿環境下(15℃/10%RH)にて、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に左右に余白を50mmずつとり中央部に、1.0%の印字率の画像を25000枚出力後、トナー載り量0.20mg/cm2のハーフトーン画像を出力し、ハーフトーン画像上に現れた斑点状スジ及びトナー塊の量で評価した。下記評価基準に従って評価し、B以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:未発生
B:斑点状のスジはないが、2、3個所の小さなトナー塊がある。
C:端部に斑点状スジが若干ある、若しくは4、5個所の小さなトナー塊がある。
D:全面に斑点状のスジある、若しくは5個所以上小さなトナー塊又は明らかなトナー塊 がある。
<評価2>高温高湿環境における帯電性の評価
前記トナー0.50gとシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)9.50gを50ccのポリ瓶に入れ現像剤とし、30℃、80%RHの環境下24時間放置し、前記環境下にてヤヨイ振蘯器200rpmで120秒振蘯させた後、トナー帯電量をホソカワミクロン社製E-SpartAnalyserを用いて、以下のようにして測定を行う。
(E-SpartAnalyzerの測定条件)
測定トナー粒子数:3000個
PM VOLTAGE:-460V
FIELD VOLTAGE:100V
測定部吸引流量:6.6×10-63/s
2成分フィーダー回転数:0.025~0.050s-1
電磁コイル用整流器直流電圧:100V
窒素ガスブロー圧力:20kPa
窒素ガスブロー時間:1秒
窒素ガスブローのインターバル:3秒
E-SpartAnalyzerに付属されている2成分フィーダー(磁石を内蔵す る回転盤を有する現像剤保持台)に上述した現像剤を保持させる。次いで、2成分フィーダーに磁力で保持した現像剤に、エアーノズルから窒素ガスを噴射してトナーのみを吹き飛ばし、2成分フィーダー下部にある試料導入管を通してトナーのみをE-SpartAnalyzerに測定部に吸引導入する。そして、各粒子毎にデュエルタイム(ms)、粒子径d(μm)および帯電量q(fC)を計測する。このデータをもとに帯電量分布が得られる。
上記帯電量分布をもとに、下記評価基準に従って帯電性を評価した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:帯電量が-2.0μC/g以下のトナーの割合90%以上
B:帯電量が-2.0μC/g以下のトナーの割合80%以上90%未満
C:帯電量が-2.0μC/g以下のトナーの割合70%以上80%未満
D:帯電量が-2.0μC/g以下のトナーの割合70%未満
<評価3>高温高湿環境下における電荷維持性の評価
評価2の方法により帯電量分布を測定し、初期の平均帯電量(μC/g)を算出した。
また、前記同様に現像剤の入ったポリ瓶を、前記高温高湿環境(30℃、80%RH)に48時間放置した後、前記同様にホソカワミクロン社製E-SpartAnalyserを用いて、放置後の平均帯電量(μC/g)を測定した。
放置後の平均帯電量に対して初期の平均帯電量を除した値を、平均帯電量の維持率として計算し、下記評価基準に従って評価した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:維持率90%以上
B:維持率80%以上90%未満
C:維持率70%以上80%未満
D:維持率70%未満
<評価4>高温高湿環境下における転写性の評価
評価1の方法により、電子写真装置、プロセスカートリッジを用意し、測定環境にならす目的で、30℃80%RHの環境に48時間放置した。放置後、同じく高温高湿環境下(30℃/80%RH)にて、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に左右に余白を50mmずつとり中央部に、1.0%の印字率の画像を1000枚出力後、トナー載り量0.40mg/cm2のベタ画像を出力し、ベタ画像形成時の静電潜像担持体上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープを用いてテーピングして剥ぎ取った。剥ぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの反射率から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの反射率を差し引いた反射率差を算出し、初期における転写性評価として評価した。
さらに、1.0%の印字率の画像を24000枚出力後、前記転写性評価と同様の評価を行い、耐久後における転写性評価として評価した。
下記評価基準に従って評価し、C以上を良好と判断した。なお、反射率はリフレクトメータ(東京電色株式会社製、REFLECTOMETER MODEL TC-6DS)で測定した。
(評価基準)
A:反射率差5.0%未満
B:反射率差5.0%以上10.0%未満
C:反射率差10.0%以上15.0%未満
D:反射率差15.0%以上
<評価5>高温高湿環境下における帯電立ち上がり性評価
評価2と同様に50ccのポリ瓶にトナー0.50gとキャリア9.50gを現像剤とし、30℃、80%RHの環境下24時間放置した。前記環境下にて、ヤヨイ振蘯器200rpmにて振蘯させ、振蘯時間20秒及び120秒における平均帯電量を評価2と同様にホソカワミクロン社製E-SpartAnalyserを用いて測定した。
振蘯時間20秒の平均帯電量に対して振蘯時間120秒の平均帯電量を除した値を、帯電立ち上がり性の指標として計算し、下記評価基準に従って評価した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:帯電立ち上がり性の指標85%以上
B:帯電立ち上がり性の指標70%以上85%未満
C:帯電立ち上がり性の指標55%以上70%未満
D:帯電立ち上がり性の指標55%未満
〔実施例2~32〕
トナー1に変えてトナー2~32をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価を行った結果を、表4に示す。
〔比較例1~7〕
トナー1に変えてトナー33~39をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価を行った結果を、表4に示す。
Figure 2024094257000005

Claims (10)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子および外添剤を有するトナーであって、
    ATR法での、ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、
    該外添剤は、基材微粒子であるアルミナ微粒子が疎水化処理剤で表面処理されてなる疎水化処理アルミナ微粒子を含有し、
    該疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化度が50以上90以下であり、
    該疎水化処理アルミナ微粒子の体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下であり、
    該疎水化処理アルミナ微粒子を試料とするX線光電子分光分析(ESCA)から求められる、基材微粒子に由来する原子の割合が30atomic%以上70atomic%以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナー粒子の蛍光X線測定において、前記ホウ酸に由来するホウ素の強度が、0.10kcps以上0.60kcps以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記疎水化処理アルミナ微粒子の個数平均粒径が、15nm以上300nm以下である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記疎水化処理アルミナ微粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下である請求項1又は2に記載のトナー。
  5. 前記疎水化処理アルミナ微粒子の疎水化処理剤が、炭化水素部位を含むケイ素化合物である請求項1又は2に記載のトナー。
  6. 前記疎水化処理アルミナ微粒子の炭素量が、0.5質量%以上10.0質量%以下である請求項5に記載のトナー。
  7. 前記疎水化処理剤が、ジメチルシリコーンオイルである請求項5又は6に記載のトナー。
  8. 前記疎水化処理剤が、下記式(I)で表されるシラン化合物及び該シラン化合物の加水分解物からなる群より選択される少なくとも一である、請求項5又は6に記載のトナー。
    (RO)3Si(CH2nCH3 (I)
    (式中、Rはメチル基又はエチル基を表し、nは5以上11以下の整数を表す。)
  9. 前記疎水化処理アルミナ微粒子を温度30℃、相対湿度0%の環境下に24時間放置した後に、温度30℃、相対湿度80%の環境下に1時間放置した際における、前記疎水化処理アルミナ微粒子の質量変化率を、前記疎水化処理アルミナ微粒子の比表面積で除した値(質量変化率/比表面積)が、0.005%・g/m2以上0.100%・g/m2以下である請求項1又は2に記載のトナー。
  10. 前記トナー粒子は、ATR-IR分析において、ホウ酸由来のピークIBおよびカルボニル基由来のピークICが検出され、それらの比IB/ICが0.02以上0.30以下の範囲である請求項1又は2に記載のトナー。
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