JP2024086690A - 透明なガラスセラミックス、特にカバープレートとしてのガラスセラミックス - Google Patents

透明なガラスセラミックス、特にカバープレートとしてのガラスセラミックス Download PDF

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Abstract

【課題】透明で化学強化可能なまたは化学強化されたガラスセラミックスを提供する。
【解決手段】キータイトを主結晶相とする透明で化学強化可能なまたは化学強化されたガラスセラミックスであって、厚さ0.7mmでの透過率τvisが≧80%であり、低ヘイズであり、ヘイズ値は≦10、好ましくは<5で表され、前記ガラスセラミックス中のすべての結晶相に対するキータイト固溶体の結晶相割合が少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%である、ガラスセラミックスとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明で化学強化可能なまたは化学強化されたガラスセラミックス、該ガラスセラミックスの製造方法、該ガラスセラミックス製カバープレートおよびその使用、ならびに該カバープレートを含むデジタルディスプレイデバイスに関する。
電子部品やディスプレイ、特にスマートフォン用のカバープレートとしてガラスやガラスセラミックスを使用することは、長年知られている。好ましくは、これらのガラス系材料は、その機械的強度を高めるために化学強化される。
セラミックス分野で知られているように、例えば繊維強化セラミックスやガラスのような多相材料は、相境界が亀裂の伝播を減少または抑制するため、本質的に高い強度を有する。このことは、ガラスセラミックスが未強化の状態ですでにガラスよりも高い強度を有することを示唆している。
ここで、LiO-Al-SiO系製のガラスやガラスセラミックス、いわゆるLASガラスやLASガラスセラミックスが特に適していることが判明している。これらは、SiO、LiOおよびAlを主成分として有する。ここで、使用されるガラスセラミックスは、その主結晶相、すなわち結晶相の過半数の割合(存在する結晶相の50重量%超)を占める結晶相によって分類することができる:
- 二ケイ酸リチウムガラスセラミックスあるいは二ケイ酸リチウムペタライトガラスセラミックス
- 高石英固溶体ガラスセラミックス
- キータイト固溶体ガラスセラミックス。
二ケイ酸リチウムガラスセラミックスあるいは二ケイ酸リチウムペタライトガラスセラミックスは、高透過率、低ヘイズなどの良好な光学特性を有することが多い。これらの材料における化学強化は、通常は残留ガラス相でのイオン交換に基づいており、機械的強度の向上に大きく寄与する結晶相でのイオン交換は、通常は達成されていない。それどころか、イオン交換は、強化表面層の非晶質化につながることが多い。したがって、ここで、強化によるプラスの効果とガラスセラミックス微細構造によるプラスの効果とを組み合わせることはできない。さらに、これらのガラスセラミックスの製造に使用される組成物は、十分な量の結晶相の形成を保証するべく、少なくとも10重量%のLiOを含んでいなければならない。近年、例えばリチウムイオン電池への使用に向けてLiOの需要が高まる過程で、リチウム原料の価格が大幅に上昇し、これらのガラスセラミックスの製造はかなり高コストになっている。
主結晶相が高石英固溶体であるガラスセラミックスも、長年知られている。こうしたガラスセラミックスは、低熱膨張性と高透明性と良好な工業的生産性とを兼ね備えているため、クックトップやミラー支持体などの製造によく使用される。こうしたガラスセラミックスは、LiOの含有量が2~6重量%であると、さらに製造においてより有利である。しかし、化学強化は、困難であると同時に非晶質の残留ガラス相を通じてしか行われないため、カバーガラスとしての使用には限られた範囲でしか適していない。
高石英固溶体ガラスセラミックスから熱処理により製造可能な主結晶相をキータイトとするガラスセラミックスは、散乱の増大を示すことが多く、この散乱の増大により、ガラスセラミックスの光学透過率が低下し、望ましくないヘイズが生じる。
先行技術において、透明なガラスセラミックスの製造のために満たさなければならない理論的条件が知られており(Hoeland、Beall)、結晶相の屈折率と残留ガラス相の屈折率との差、および晶子径はできるだけ小さくなければならない。特に、キータイト固溶体ガラスセラミックスでは晶子径を小さくすることが難しく(通常の晶子径は100nm超)、半透明または不透明なガラスセラミックスがほとんどである。
例えば、本出願人の出願DE102021132738.5には、カバーガラスとして使用するための透明なキータイト固溶体ガラスセラミックスが記載されている。このガラスセラミックスでは、結晶相の強化により強化プロセスが行われ、これは、二ケイ酸リチウムガラスセラミックスのような非晶質相の強化に関する上述の欠点を排除し、非常に良好な強化結果をもたらす。
同様に、透明な高石英固溶体ガラスセラミックスやキータイト固溶体ガラスセラミックスにおける核生成が、好ましくは混合核生成により行われることも先行技術から知られている。この場合特に、TiO/ZrOまたはSnO/ZrOの核生成剤の組み合わせが使用される。3種すべての核生成剤の組み合わせ、すなわちTiO/ZrO/SnOも可能である。
TiO/ZrOによる核生成には、核生成剤として使用されるTiOが、Feと有色イルメナイト錯体を形成するという欠点があり、これは、ガラスセラミックスの望ましくない黄褐色の呈色を引き起こす。SnOが同時に組成物中に存在する場合、黄色の変色も同時に起こる。これらの呈色は、原料中のFe含有量を低減することによって回避することができるが、これはより高い原料コストを伴うため、工業的生産には好ましい方法ではない。
SnO/ZrOによる核生成には、この欠点はない。しかし、これらの核生成剤は、加工温度が高くなり易く、失透傾向が増大し易い。これら双方が相まって、こうしたガラスセラミックスを経済的に製造することが困難となっている。
したがって、本発明の課題は、カバーガラスとして使用するための、キータイトを主結晶相とする透明で化学強化可能なガラスセラミックスであって、高い透過率を有し、すなわち、厚さ0.7mmでの透過率τvisが≧80%であり、低ヘイズであり、ヘイズ値は≦10で表され、キータイト割合が高く、すなわち、ガラスセラミックス中に存在するすべての結晶相に対するキータイト固溶体の結晶相割合が少なくとも80重量%であり、望ましくない呈色が避けられる、ガラスセラミックスを提供することである。さらなる態様は、該ガラスセラミックスの製造方法およびカバープレートとしてのその使用に関する。
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決される。特定のおよび好ましい構成は、従属請求項および本開示の説明に記載されている。
本発明によるガラスセラミックスは、ガラスセラミックス中のすべての結晶相に対して少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%のキータイト固溶体という、キータイトの高い結晶相割合を含む。このように全結晶含有量に占めるキータイト固溶体の割合を高くすることにより、ガラスセラミックスの良好な強化性が保証される。さらに、核生成剤の結晶、すなわち核生成剤であるZrOおよび/またはSnOおよび/またはSnZrO固溶体を含む結晶が存在することができる。高石英固溶体またはスピネル、例えばガーナイトのような他の結晶相は、透過率を低下させかつ/またはガラスセラミックスのヘイズを招く可能性があるため、好ましくは存在しない。ガラスセラミックスの非晶質残留ガラス相の量は、好ましくは40重量%未満、特に好ましくは2重量%~30重量%または5重量%~30重量%である。高透明性を保証するために、キータイト固溶体の晶子径は、100nm未満、好ましくは最大で80nmである。
好ましい一実施形態において、ガラスセラミックスは、主成分としてSiO、AlおよびLiOの成分を含み、かつ核生成剤としてSnOおよびZrOを含む。本発明の意味での主成分とは、該成分の合計がガラスセラミックスの85%以上(質量パーセント)であることを意味する。重量%と略記される質量パーセントおよび重量パーセントという用語は、本開示の範囲において同義で用いられる。
好ましい一実施形態において、これらの成分の量は、質量パーセントで
SiO 58~72%、好ましくは65~70%
および/または
Al 18~23%
および/または
LiO 2~5.5%、好ましくは3~5%
および/または
SnO 1~2%、好ましくは1~1.5%
および/または
ZrO 2~3%、好ましくは2.1~2.9%
である。
SiOに対するAlの(それぞれ質量パーセントに関する)比が0.33未満であると、得られるガラスセラミックスの透過率に特に有利である。しかし、この比が殊に0.2以上であることも望ましく、なぜならば、そうでないとガラスの粘度が高くなり、溶融技術による製造および成形が困難になるためである。
LiOは、結晶の必須成分としてガラスセラミックス中に少なくとも2重量%含まれていることが望ましい。しかし、その量は原料コストに直接影響するため、経済性を考慮すると総量は制限される。よって、好ましい一実施形態において、ガラスセラミックスは最大で5重量%のLiOを含む。
核生成剤の量は、経済的に妥当な核生成時間(通常、数分から数日)で良好な核生成効果が得られるように選択される。これに関連して、良好な核生成効果とは、十分な数の核生成結晶が形成され、その上に成長する結晶が最大で100nmのサイズを超えないことを意味し、その際、結晶のサイズは、晶子成分の利用可能性および/または他の晶子との「ぶつかり」により制限される。同時に、過剰な核生成剤は避けることが望ましい。SnOおよびZrOの量が多くなると、上述したように失透傾向が増大する。それにもかかわらず、核生成剤SnO+ZrOの合計を、殊に3.6重量%超、好ましくは3.8重量%超とすることが望ましい。しかし、核生成剤SnO+ZrOの合計が、殊に最大で5重量%に制限されていることが望ましい。
上述のイルメナイト錯体による望ましくない呈色を防ぐためには、ガラスセラミックスが好ましくはTiOを含まないことが望ましい。
ガラスセラミックスは、ガラスの溶融性を向上させるために、LiO以外の他のアルカリ金属酸化物、好ましくはNaOおよび/またはKOを1重量%まで含むことができる。アルカリ金属酸化物がこれより多量であると、望ましくない二次相の形成を招くおそれがあり、この二次相は、通常はガラスセラミックスの光学的または機械的特性に悪影響を及ぼす。したがって、NaO+KOの合計が最大で1重量%であることが望ましく、好ましくは、NaO+KOの合計は、0.5重量%以下である。
未焼結ガラスの粘度を低下させ、ひいては製造性を向上させるために、アルカリ土類金属酸化物および/またはZnOを使用することができる。
MgO成分は、結晶中に取り込むことができるため、アルカリ土類金属酸化物の中でも特別な位置を占めている。対照的に、より大きなアルカリ土類金属酸化物が残留ガラス相に留まる。したがって、アルカリ土類金属酸化物の量および選択は、残留ガラス相の屈折率、ひいては透過率やヘイズ値に直接影響を及ぼす。
本発明によるガラスセラミックス中のMgOは透過率に悪影響を及ぼすことが判明しており、したがって、ガラスセラミックスは、好ましくはMgOを含まない。
CaOが存在する場合、CaOは、殊に1重量%まで存在し、好ましくは、その割合は0.8重量%未満であり、CaOの割合がより大きくなると、透過率の低下を招き得る。
SrOやBaOのようなより大きなアルカリ土類は、残留ガラス相の屈折率を増加させる。しかし、TiOやZrOにより核生成されたガラスセラミックスとは対照的に、SnO-ZrOにより核生成されたガラスセラミックスでは、これは透過率の低下を招く。したがって、一実施形態において、本発明によるガラスセラミックスは、2重量%未満のSrOおよび/またはBaOを含み、好ましくは、SrO含有量は0~1.8重量%であり、かつ/またはガラスセラミックスはBaOを含まない。
同じ理由から、SrO+CaOの合計を最大で1.8重量%、好ましくは1.5重量%に制限するのが有利である。
また、ZnO成分も同様に透過率および粘度に好影響を及ぼし、ガラスセラミックスは、好ましくは0.3~1.8重量%のZnOを含む。
驚くべきことに、LiO、ZnOおよびCaOの成分が相互作用して透過率に影響を及ぼすことが見出された。すなわち、特に高い透過率を得るためには、LiO-ZnO-CaO<3重量%という条件が満たされていることが望ましい。
実施形態において、ガラスセラミックスは、As、Sb、ハロゲン化物または硫黄含有化合物のような通常の清澄剤を2重量%まで含むことができる。核生成剤として含まれるSnOも同様に清澄剤として作用するため、通常は、さらなる清澄剤の使用を省くことができる。好ましくは、環境保護および労働安全上の理由から、ガラスセラミックスは、ヒ素およびアンチモンを実質的に含まない。このことは、PbO、TeO、CdOなどの他の有毒成分や環境に有害な成分にも適用される。
「実質的に含まない」とは、通常かつ経済的な手順では不可避の(例えば、原料に起因する)不純物のみが含まれていることと理解される。
ガラスセラミックスはさらに、殊に、呈色成分、特にV、呈色希土類、例えばNd、Er、CeO、および呈色金属酸化物、例えばCoO、NiO、CrまたはCuOを実質的に含まない。
材料の望ましくない呈色を避けるためには、Feの重量パーセントで示されるガラスセラミックスの鉄含有量は、殊に1000ppm未満、特に好ましくは500ppm未満であることが望ましい。ここで、ガラスセラミックスの鉄含有量は、原料の不可避不純物に起因する。低鉄の原料を使用することにより、鉄の量を低減することができ、ガラスセラミックスのより良好な(より中性的な)固有色を達成することができるが、これは通常は、より高い原料コストを伴う。
ガラスセラミックスは、Bを含むことができる。Bが存在する場合、Bは、粘度を低下させるために殊に2重量%まで含まれている。それを上回るBの含有は避けることが望ましいが、これは、Bがガラスセラミックスの強化性に悪影響を及ぼすおそれがあることが判明しているためである。
本発明によるガラスセラミックスは、粘度および加工温度を低下させるためにPを含むことができる。しかし、Pの割合が殊に2重量%未満に制限されることが望ましく、なぜならば、そうでないと透過率が低下するためである。フロート法での製造が望まれる場合には、ガラスセラミックスがさらに、Pを1.5重量%未満、好ましくは0.5重量%未満含むか、またはPを実質的に含まないことが望ましい。
本発明によるガラスセラミックスは、例えば電子デバイス、特に電子ディスプレイデバイス、特にモバイル電子ディスプレイデバイス、例えばモバイルタッチパネルおよび/またはモバイルデジタルディスプレイデバイス、例えばスマートフォンもしくはスマートウォッチおよびタッチパネル全般におけるカバープレートの製造に適している。
カバープレートは、殊に0.4mm~1mmの厚さを有する。
ガラスセラミックスの製造方法は、
- 溶融プロセスおよび後続の熱間成形により未焼結ケイ酸塩ガラスを製造するステップと、
- 未焼結ケイ酸塩ガラスを熱処理するステップであって、少なくとも1回の核生成ステップを690℃~850℃の温度範囲で5分~72時間、好ましくは30分~2時間行い、少なくとも1回のセラミゼーションステップを780℃~1100℃の温度範囲で3分~150時間、好ましくは3分~8時間行うステップと
を含む。
強化ガラスセラミックスを、特にカバープレートとして使用するための一実施形態により製造するために、上記の2つのステップの後に、
- KNOが100重量%~0重量%、NaNOが0重量%~100重量%、LiNOが0重量%~5重量%の組成を有する交換浴中で、370℃~500℃の交換浴温度で2時間~50時間の期間にわたって、少なくとも1回のイオン交換を行うステップ
が続く。
熱間成形は、一般性を制限することなく、例えばフロート法、圧延法、延伸法またはインゴットキャスティングによって行うことができる。
強化ガラスセラミックス製カバープレートは、透明であるだけでなく、中性色で高強度である。
交換浴とは、塩融液を意味し、前記塩融液は、ガラスまたはガラス物品のイオン交換工程で使用される。本開示の範囲では、交換浴およびイオン交換浴という用語は同義で用いられる。
通常は、テクニカルグレードの塩が交換浴に使用される。これは、交換浴の出発物質として例えば硝酸ナトリウムのみを使用するにもかかわらず、ある種の不純物が交換浴に含まれることを意味する。この場合、交換浴は、塩の融液、例えば硝酸ナトリウムの融液であるか、または塩の混合物の融液、例えばナトリウム塩とカリウム塩との混合物の融液である。ここで、交換浴の組成は、存在する可能性のある不純物を考慮せずに、交換浴の公称組成を指す形で記載される。したがって、本開示の範囲において100%硝酸ナトリウム融液に言及する場合、原料として硝酸ナトリウムのみが使用されたことを意味する。しかし、交換浴中の硝酸ナトリウムの実際の含有量はこれと異なる場合があり、特にテクニカルグレードの原料は一定割合の不純物を有するため、通常でもこれと異なる。しかし、これは通常、交換浴の総重量に対して5重量%未満、特に1重量%未満である。
同様に、異なる塩の混合物を含む交換浴の場合、これらの塩の公称含有量は、プロセスに起因する出発物質の不純物を考慮せずに示される。したがって、90重量%のKNOと10重量%のNaNOとを含む交換浴も同様に、なおもわずかな不純物を含み得るが、これは原料に起因するものであり、通常は交換浴の総重量に対して5重量%未満、特に1重量%未満であることが望ましい。
さらに、イオン交換の継続により、特にリチウムイオンがガラスあるいはガラス製品から交換浴に移動することから、交換浴の組成はイオン交換の過程でも変化する。しかし、このような経時変化による交換浴の組成変化も、明示的に別段の記載がない限り、本開示では同様に考慮されない。本開示の範囲において、交換浴の組成の記載に際して元の公称組成が参照される。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明する。
本発明によるガラスセラミックス材料の組成を、表1に示す(数値はすべて、重量パーセント単位で示される)。略号MOは、アルカリ土類金属酸化物とZnOとの合計を表す。
表1に示す材料は、ガラス産業で一般的に使用されている原料を使用し、約1600℃~1680℃の温度で溶融および清澄処理したものである。ここで、バッチをまず、焼結シリカガラス製坩堝で溶融させ、次にシリカガラス製の内坩堝を備えたPt/Rh製坩堝に注ぎ、約1550℃の温度で30分間撹拌することにより均質化させた。1640℃で2時間静置させた後、流し込みにより約140mm×100mm×30mmのサイズのキャスト体を製造し、約620℃~680℃で冷却炉にて応力緩和を行い、室温まで冷却した。このキャスト体から、ガラス状態の特性測定用およびセラミゼーション用の試験片を作製した。セラミゼーションには、通常は、表1に示す2段階のプログラムを用いた。ここで、まず、出発ガラスを室温からTを上回る核生成温度まで加熱し、その温度で核生成に十分な時間にわたって保持する。次に、試料をセラミゼーション温度まで加熱し、その温度で同様に保持する。3段階以上のプログラムを用いることもできる。核生成のための保持時間は、5分~72時間、好ましくは30分~2時間であり、その後に3分~150時間、好ましくは3分~8時間のセラミゼーションステップが続く。保持時間は、遅い加熱速度でさらに置き換えることができる。
セラミゼーションを施した試料について、XRDによって、結晶相およびその含有量、ならびに可視域の透過率τvis[%](厚さ0.7mmの試料について)、ならびにLab表色系における色値(標準光源D65)を測定した。
ヘイズ値を、(厚さ0.7mmの試料について)規格ASTM D 1003およびISO 14782に準拠してBYK Additives & Instruments社製Haze-Gard dualで測定した。
表1に重量%で示したガラスセラミックス中に存在するすべての結晶相に対する結晶相含有量は、Panalytical X’Pert Pro回折計(オランダ、アルメロ)でのX線回折測定によって求めたものである。X線として、Niフィルターを通して発生させたCuKα線(λ=1.5060Å)を使用した。粉末および固体試料の標準的なX線回折測定を、Bragg-Brentanoジオメトリー(θ-2θ)で行った。X線回折パターンを、10°~100°(2θ角)で測定した。相対的な結晶相割合の定量化および晶子径の決定を、リートベルト解析によって行った。これらの測定を、コア領域の体積割合が明らかに支配的である粉砕試料材料について実施した。したがって、測定された相割合は、ガラスセラミックスのコアにおける相分布に対応する。KMKは、キータイト固溶体、HQMKは、高石英固溶体を表す。「V」を付した試料は、比較例に相当する。番号のみを付した例は、実施形態の実施例である。略号「n.d.」は「not determined」を表す。
Figure 2024086690000001
Figure 2024086690000002
実施例1~実施例6は、高い透明度および低いヘイズを有する本発明による透明なガラスセラミックスを示す。
比較例V1は、高アルカリ含有量の悪影響を示している。したがって、本組成物では透過率が65%に低下した。
比較例V2では、CaOを1重量%使用した。本組成物では、ガラスセラミックスは結果として不透明になるが、一方で実施例3では、0.8%使用した場合に透過率は依然として83%である。したがって、この濃度を限界値とみなすことができる。
比較例V3は、LiO-ZnO-CaO<3という条件が持ち得る意義を明らかにするものである。本例では、良好な透過率を得ることはできない。
実施例5は、2重量%のPを含む。これは、粘度の低下、ひいては必要な加工温度の低下につながり得るが、しかし実施例でわかるように、すでに透明性に悪影響を及ぼしている。
実施例1、実施例2、実施例3および実施例4について、さらにヘイズを求めた。本発明の特に好ましい組成範囲にある実施例1、実施例2および実施例4は、1未満の特に低いヘイズ値を有することがわかる。

Claims (24)

  1. キータイトを主結晶相とする透明で化学強化可能なまたは化学強化されたガラスセラミックスであって、厚さ0.7mmでの透過率τvisが≧80%であり、低ヘイズであり、ヘイズ値は≦10、好ましくは<5で表され、前記ガラスセラミックス中のすべての結晶相に対するキータイト固溶体の結晶相割合が少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%である、ガラスセラミックス。
  2. 前記ガラスセラミックスが、主成分としてSiO、AlおよびLiOを含み、かつ核生成剤としてSnOおよびZrOを含む、請求項1記載のガラスセラミックス。
  3. 重量パーセントでのSiO含有量が、58~72、好ましくは65~70である、請求項1または2記載のガラスセラミックス。
  4. 重量パーセントでのAl含有量が、18~23である、請求項1から3までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  5. 重量パーセントでのLiO含有量が、2~5.5、好ましくは3~5である、請求項1から4までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  6. 前記ガラスセラミックスが、1~2重量%のSnO、好ましくは1~2.5重量%のSnOおよび/または2~3重量%のZrOを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  7. 前記ガラスセラミックスが、0.1重量%未満のTiOを含み、好ましくはTiOを実質的に含まない、請求項1から6までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  8. どちらも重量パーセントでのSiOに対するAlの比、すなわちAl/SiOが、<0.33である、請求項1から7までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  9. 前記ガラスセラミックスが、呈色成分を実質的に含まず、特にV、Nd、CoOを含まない、請求項1から8までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  10. 前記ガラスセラミックスが、0~2%のBを含む、請求項1から9までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  11. 前記ガラスセラミックスが、2重量%未満、好ましくは1重量%未満のPを含み、特に好ましくはPを実質的に含まない、請求項1から10までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  12. 前記ガラスセラミックスが、1%未満のNaO+KOを含む、請求項1から11までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  13. LiO-ZnO-CaO<3%という条件が満たされている、請求項1から12までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  14. 前記ガラスセラミックスが、MgOを実質的に含まない、請求項1から13までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  15. 前記ガラスセラミックスが、2重量%未満のBaOを含み、好ましくはBaOを実質的に含まない、請求項1から14までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  16. 前記ガラスセラミックスが、1.8重量%未満、好ましくは1.5%未満のCaO+SrOを含み、ここで、CaOの含有量は、好ましくは0~1重量%、特に好ましくは0~0.8%であり、SrOの含有量は、好ましくは1.8重量%未満である、請求項1から15までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  17. 前記ガラスセラミックスが、0~2重量%、好ましくは0.8~2%のZnOを含む、請求項1から16までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  18. ZrO+SnOの合計が、>3.6重量%、好ましくは>3.8%である、請求項1から17までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  19. 前記ガラスセラミックスが、As、Sb、ハロゲン化物、SOから選択される1つ以上の清澄剤を2%まで含む、請求項1から18までのいずれか1項記載のガラスセラミックス。
  20. 請求項1から19までのいずれか1項記載の強化ガラスセラミックスの製造方法であって、
    - 溶融プロセスおよび後続の熱間成形により未焼結ケイ酸塩ガラスを製造するステップと、
    - 前記未焼結ケイ酸塩ガラスを熱処理するステップであって、少なくとも1回の核生成ステップを690℃~850℃の温度範囲で5分~72時間、好ましくは30分~2時間行い、少なくとも1回のセラミゼーションステップを780℃~1100℃の温度範囲で3分~150時間、好ましくは3分~8時間行うステップと、
    - KNOが100重量%~0重量%、NaNOが0重量%~100重量%、LiNOが0重量%~5重量%の組成を有する交換浴中で、370℃~500℃の交換浴温度で2時間~50時間の期間にわたって、少なくとも1回のイオン交換を行うステップと
    を含む、方法。
  21. 前記熱間成形を、フロート法、圧延法、延伸法またはインゴットキャスティングによって行う、請求項20記載の方法。
  22. 請求項1から19までのいずれか1項記載の強化ガラスセラミックスまたは請求項20もしくは21記載の方法による強化ガラスセラミックスから製造された、厚さ0.4mm~1mmのカバープレート。
  23. 電子デバイス、特に電子ディスプレイデバイス、特にモバイル電子ディスプレイデバイス、例えばモバイルタッチパネルおよび/またはモバイルデジタルディスプレイデバイス、例えばスマートフォンもしくはスマートウォッチにおける、請求項22記載のカバープレートおよび/または請求項1から19までのいずれか1項記載の強化ガラスセラミックス製のカバープレートの使用。
  24. 請求項22記載のカバープレートを少なくとも1つ含む、ディスプレイデバイス、特にデジタルディスプレイデバイス。
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