JP2024082669A - 複合ケーブル - Google Patents

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【課題】機械的ストレスへの耐久性が高い細径の複合ケーブルを提供する。【解決手段】複合ケーブル1は、第1乃至第3の電線21~23と、第1乃至第3の電線21~23の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線40からなるシールド層4とを備える。複数のシールド素線40のそれぞれは、素線径D40が0.035mm以下であり、破断伸びが4.0%以下である。また、シールド素線40は、引張強度が700MPa以上である。シールド層4の内径D4は、0.65mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の電線の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線からなるシールド層を備えた複合ケーブルに関する。
従来、複数の電線の周囲に横巻きされた複数のシールド素線からなるシールド層を備えた複合ケーブルが、様々な用途に用いられている。例えば特許文献1には、USBインターフェース用のケーブルとして好適に用いられる多心ケーブルが記載されている。この多心ケーブルは、複数本の電線が撚り合わされた集合体と、集合体の外側で複数の銅合金からなる金属素線が螺旋状に横巻きされたシールド層と、シールド層の外側を覆う外被とを備えている。外被の外径は、3.5mm~6mmである。各々の金属素線は、外径が0.03mm~0.09mmであり、引張強さが320MPa以上450MPa以下、かつ破断伸びが10%以上15%以下である。そして、この金属素線の特性により、耐捻回性が向上するとされている。
特開2019-061776号公報
例えば内視鏡等に用いられる医療用のカテーテルケーブルでは、低侵襲性の観点から、最外径が例えば1.0mm以下の極細の複合ケーブルの要請がある。本発明者らは、このような細径の複合ケーブルでは、シールド層を構成する素線に従来とは異なる特性を有するものを用いることで機械的ストレスへの耐久性を高めることができることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、機械的ストレスへの耐久性が高い細径の複合ケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の電線と、前記複数の電線の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線からなるシールド層とを備え、前記複数のシールド素線のそれぞれは、素線径が0.035mm以下であり、破断伸びが4.0%以下である、複合ケーブルを提供する。
本発明によれば、機械的ストレスへの耐久性が高い細径の複合ケーブルを提供することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。 複合ケーブルの端部を段剥ぎした状態を示す説明図である。 屈曲試験の概念図である。 捻回試験の概念図である。 本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブル1の断面図である。図2は、複合ケーブル1の端部を段剥ぎした状態を示す説明図である。複合ケーブル1は、例えば人体内に挿入される医療用ケーブルであり、より具体的にはプローブケーブル、カテーテルケーブル、又は内視鏡ケーブルとして用いられる。
複合ケーブル1は、第1乃至第3の電線21~23を撚り合わせてなる集合体2と、集合体2の周囲に螺旋状に巻き付けられたテープ部材3と、集合体2及びテープ部材3の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線40からなるシールド層4と、シールド層4の外周を被覆するシース5を有している。図2に示すように、第1乃至第3の電線21~23の撚り方向と複数のシールド素線40の巻き方向とは同じである。また、テープ部材3の巻き付け方向も、第1乃至第3の電線21~23の撚り方向と同じである。図2では、これらの撚り方向及び巻き方向を矢印Aで示している。
シース5は、例えばPFA等のフッ素樹脂からなり、シールド層4の外周に押出成形により成形されている。テープ部材3としては、第1乃至第3の電線21~23や複数のシールド素線40に対して滑りやすく摩擦係数が小さいものを用いることが望ましく、例えば不織布や紙、あるいはポリイミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂からなる帯状のものを用いることができる。ただし、テープ部材3を省略してもよい。
複合ケーブル1の外径Dは、低侵襲性を向上させて被検者等への負担を軽減するため、1.0mm以下であることが望ましく、0.5mm以下であることがより望ましい。本実施の形態では、シールド層4の内径D(シールド下径)が0.65mm以下であり、シールド素線40の素線径D40が0.035mm以下である。
第1乃至第3の電線21~23は、複合ケーブル1の中心軸線Cを囲むように配置されている。本実施の形態では、第1の電線21及び第2の電線22が同軸線であり、第3の電線23が単純線である。第1の電線21及び第2の電線22は、複数の銅合金線を撚り合わせてなる内部導体211,221と、内部導体211,221を覆う絶縁体212,222と、絶縁体212,222の外周に配置された外部導体213,223と、外部導体213,223の外周を覆うジャケット214,224とを有している。第3の電線23は、複数の銅合金線を撚り合わせてなる内部導体231と、内部導体231を覆う絶縁体232とを有している。
第1の電線21及び第2の電線22は、例えば信号を伝送するために用いられ、第3の電線23は、例えば複合ケーブル1と共に人体内に挿入される電子部品へ動作電源を供給するために用いられる。シールド層4は、電気的に接地され、複合ケーブル1の外部から集合体2へ侵入する電磁波、及び集合体2から外部へ放射される電磁波を抑制する。
第1の電線21の外径、第2の電線22の外径、及び第3の電線23の外径は、一例として0.15mmである。シールド層4の内径Dは、一例として0.35mmであり、シールド素線40の素線径D40は、一例として0.025mmである。なお、シールド素線40は、細すぎると強度が低下して破断しやすくなるので、素線径D40は0.010mm以上であるとよい。
シールド素線40は、銀めっきされた銅合金からなる。一般に、銅合金に含まれる添加元素としては、例えば錫(Sn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、シリコン(Si)、及びイットリウム(Y)などが挙げられ、これらの添加元素の種類や含有量によって銅合金の特性が変化する。
本実施の形態では、それぞれのシールド素線40の破断伸びが4.0%以下である。この破断伸びは、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準拠した試験方法により測定されるものであり、試験前の標線間距離をLとし、破断時の標線間距離をLとしたとき、100×(L-L)/Lの演算式により得られる値である。一本のシールド素線40の破断伸びのより望ましい範囲は、1.0%以上4.0%以下である。また、それぞれのシールド素線40の引張強度は、700MPa以上である。シールド素線40の引張強度は、JISC 3002(電気用銅線及びアルミニウム線試験方法)に準拠して測定することができる。
このように、本実施の形態では、シールド素線40として、例えば上記の特許文献1に記載された従来のケーブルのシールド素線よりも伸びにくく強度が高いものを用い、これにより機械的ストレスへの耐久性を高めている。つまり、シールド層4の内径Dが例えば0.65mm以下であるような極細の複合ケーブル1では、細径のシールド素線40を用いることが必要である一方、中心軸線Cからシールド素線40までの距離が短いので、複合ケーブル1の捻回時や屈曲時における伸び量が抑えられる。本実施の形態では、この点に着目し、シールド素線40として伸びにくく強度が高いものを用いることにより、機械的ストレスへの耐久性を高めている。
表1は、シールド素線40の素線径が0.025mm、破断伸びが3.3%、引張強度が880MPaであり、シールド素線40の本数が39本でケーブル外径Dが0.46mmである上記の構成の複合ケーブル1(実施例)、シールド素線の素線径が0.05mm、破断伸びが10%、引張強度が320MPaであり、シールド素線の本数が60本でケーブル外径が1.26mmである複合ケーブル(比較例1)、及びシールド素線の素線径が0.05mm、破断伸びが3.3%、引張強度が880MPaであり、シールド素線の本数が60本でケーブル外径が1.26mmである複合ケーブル(比較例2)について、屈曲試験及び捻回試験を行った際の評価結果を示す表である。屈曲試験及び捻回試験では、合格回数を15万回とし、合否判定を行った。
Figure 2024082669000002
屈曲試験は、図3に示すように、試験対象のケーブル10の下端に荷重W=100gfの錘を吊り下げ、ケーブル10の左右に湾曲した形の曲げジグ100を配置した状態で、曲げジグ100に沿って左右方向に向けて所定の屈曲角Xの曲げを加えるようにケーブル10を動かすことで行った。屈曲速度は30回/分とし、屈曲回数は左右方向への1往復を1回としてケーブル10の屈曲を繰り返し、適宜回ごとにケーブル10の両端間でのシールド層の抵抗値を測定した。そして、屈曲試験中に測定した抵抗値が屈曲試験前の抵抗値(初期の抵抗値)に対して20%増加したときにシールド層が破断したものとみなし、そのときの屈曲回数を屈曲試験寿命とした。実施例については、屈曲角Xを90°、曲げ半径Rを7.5mmとした。比較例1及び比較例2については、屈曲角Xを90°、曲げ半径Rを5.0mmとした。
捻回試験では、図4に示すように、試験対象のケーブル10の一箇所を回転しない固定チャック101に取り付け、それより鉛直方向上側に所定の捻回長Lだけ隔てた別の箇所を回転チャック102に取り付け、ケーブル10の下端に荷重W=150gfの錘を吊り下げる。この状態で回転チャック102を回転させることにより、ケーブル10の固定チャック101と回転チャック102との間の部分に対して±180度の捻りを加える。回転チャック102は、まず+180度回転して元に戻し、-180度回転して元に戻すというように、矢印10a,10b,10c,10dの順に動かして1サイクルとする。捻回速度は、30回/分とし、捻回回数は各方向への1往復を1回としてカウントした。そして、ケーブル10の捻回を繰り返して適宜回ごとにケーブル10の両端間でシールド層の抵抗値を測定し、捻回試験中に測定した抵抗値が捻回試験前の抵抗値(初期の抵抗値)に対して20%増加したときにシールド層が破断したものとみなし、そのときの捻回回数を捻回試験寿命とした。捻回長Lは、実施例については200mmとし、比較例1及び比較例2については180mmとした。
この試験結果における比較例1と比較例2との比較から明らかなように、ケーブル外径が1.26mmの複合ケーブルでは、引張強度が低く破断伸びが大きい軟質銅合金からなるシールド素線を用いることにより屈曲耐久性及び捻回耐久性が向上するが、実施例と比較例2との比較から明らかなように、引張強度が高く破断伸びが小さい硬質銅合金からなるシールド素線でも、ケーブル外径が1.0mm以下の細い複合ケーブルに用いれば、十分な屈曲耐久性及び捻回耐久性を得ることができる。
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した実施の形態によれば、素線径が0.035mm以下で、破断伸びが4.0%以下、引張強度が700MPa以上である複数のシールド素線40を用いてシールド層4を構成することにより、機械的ストレスへの耐久性が高い細径の複合ケーブル1を提供することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5を参照して説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブル1Aの断面図である。複合ケーブル1Aは、第1の実施の形態に係る複合ケーブル1と同様、例えば人体内に挿入される医療用ケーブルとして用いられる。
複合ケーブル1Aは、第1乃至第6の電線61~66を撚り合わせてなる集合体6と、集合体2の周囲に螺旋状に巻き付けられたテープ部材7と、集合体6及びテープ部材7の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線80からなるシールド層8と、シールド層4の外周を被覆するシース9を有している。テープ部材7及びシース9の材質等は、第1の実施の形態のテープ部材3及びシース5と同様である。第1乃至第6の電線61~66の撚り方向、複数のシールド素線80の巻き方向、及びテープ部材7の巻き方向は、互いに同じである。
本実施の形態では、一例として、ケーブル外径D10が0.74mm、シールド層8の内径D(シールド下径)が0.61mm、シールド素線80の素線径D80が0.025mmである。シールド層8に含まれるシールド素線80の本数は72本である。
第1乃至第6の電線61~66は、複合ケーブル1Aの中心軸線Cを囲むように配置されている。第1乃至第6の電線61~66に囲まれた部分には、繊維状の介在60が配置されている。第1の電線61、第4の電線64、及び第5の電線65は、同軸線であり、第2の電線62、第3の電線63、及び第6の電線66は、単純線である。第1乃至第6の電線61~66の外径は、例えば0.15mm以上0.21mm以下である。
シールド素線80は、第1の実施の形態と同様、銀めっきされた銅合金からなり、集合体6及びテープ部材7の周囲に螺旋状に横巻きされている。それぞれのシールド素線80は、破断伸びが3.3%以下であり、引張強度が880MPa以上である。破断伸び及び引張強度の測定方法は第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成された複合ケーブル1Aを対象に行った上記の屈曲試験及び捻回試験では、共に合格回数である15万回を超える結果が得られた。すなわち、この第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様に、機械的ストレスへの耐久性が高い細径の複合ケーブル1Aを提供することができる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した第1及び第2の実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]複数の電線(21~23、61~66)と、前記複数の電線(21~23、61~66)の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線(40、80)からなるシールド層(4、8)とを備え、前記複数のシールド素線(40、80)のそれぞれは、素線径(D40、D80)が0.035mm以下であり、破断伸びが4.0%以下である、複合ケーブル(1、1A)。
[2]前記複数のシールド素線(40、80)のそれぞれの引張強度が700MPa以上である、上記[1]に記載の複合ケーブル(1、1A)。
[3]前記シールド層(4、8)の内径(D、D)が0.65mm以下である、上記[1]又は[2]に記載の複合ケーブル(1、1A)。
[4]捻回試験により捻回させたときに前記シールド層(4、8)が破断するまでの捻回回数が15万回以上である、上記[3]に記載の複合ケーブル(1、1A)。
[5]屈曲試験により屈曲させたときに前記シールド層(4、8)が破断するまでの屈曲回数が15万回以上である、上記[3]に記載の複合ケーブル(1、1A)。
[6]前記複数の電線(21~23、61~66)の撚り方向と、前記複数のシールド素線(40、80)の巻き方向とが同じである、上記[1]に記載の複合ケーブル(1、1A)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない限り適宜変形して実施することが可能である。例えば、第1及び第2の実施の形態では、複合ケーブル1,1Aを医療用ケーブルとして用いる場合について説明したが、複合ケーブル1,1Aの用途はこれに限らず、細径でかつ高い捻回耐久性及び屈曲耐久性が必要な様々な用途に用いることができる。また、集合体における複数の電線の構成についても、図1及び図5に例示したものに限らず、複合ケーブルの仕様に応じて様々に変形することが可能である。
1,1A…複合ケーブル
21~23,61~66…電線
4,8…シールド層
40,80…シールド素線

Claims (6)

  1. 複数の電線と、前記複数の電線の周囲に螺旋状に横巻きされた複数のシールド素線からなるシールド層とを備え、
    前記複数のシールド素線のそれぞれは、素線径が0.035mm以下であり、破断伸びが4.0%以下である、
    複合ケーブル。
  2. 前記複数のシールド素線のそれぞれの引張強度が700MPa以上である、
    請求項1に記載の複合ケーブル。
  3. 前記シールド層の内径が0.65mm以下である、
    請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
  4. 捻回試験により捻回させたときに前記シールド層が破断するまでの捻回回数が15万回以上である、
    請求項3に記載の複合ケーブル。
  5. 屈曲試験により屈曲させたときに前記シールド層が破断するまでの屈曲回数が15万回以上である、
    請求項3に記載の複合ケーブル。
  6. 前記複数の電線の撚り方向と、前記複数のシールド素線の巻き方向とが同じである、
    請求項1に記載の複合ケーブル。
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