JP2024082562A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ホットオフセット性と耐久性のいずれにも優れる静電荷像現像用トナーに関すること。【解決手段】結着樹脂及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、脂肪族ジオールを50モル%以上99モル%以下及びフルオレン骨格を有するジオールを1モル%以上50モル%以下含有し、ビスフェノールA骨格を有するジオールの含有量が10モル%未満であるアルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂Aを含有する、静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
ポリエステル樹脂のアルコール成分として、従来ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が汎用されているが、これに加えて、フルオレン骨格を有するビスフェノールAを使用した例が報告されている(特許文献1参照)。
特開2007-310257号公報
トナーの結着樹脂と離型剤は相溶性が高く、離型剤が分散しすぎると、定着ロールとの離形効果が小さくなり、耐ホットオフセット性が悪化する。一方、相溶性が低く、離型剤の分散性が低いと、連続印刷時の耐久性が低下する。
本発明は、耐ホットオフセット性と耐久性のいずれにも優れる静電荷像現像用トナーに関する。
本発明は、結着樹脂及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、脂肪族ジオールを50モル%以上99モル%以下及びフルオレン骨格を有するジオールを1モル%以上50モル%以下含有し、ビスフェノールA骨格を有するジオールの含有量が10モル%未満であるアルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂Aを含有する、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、耐ホットオフセット性と耐久性において優れた効果を奏するものである。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂と離型剤を含有し、結着樹脂が、アルコール成分として、脂肪族ジオールとフルオレン骨格を有するジオールを所定量含有し、その一方でビスフェノールA骨格を有するジオールの含有量が制限された非晶質ポリエステル樹脂Aを含有している点に大きな特徴を有する。本発明の効果が奏される理由の詳細は定かではないが、以下のように推察される。
非晶質ポリエステル樹脂Aに含まれるフルオレン骨格は疎水性が高いため、疎水的な離型剤の分散性を向上させることができる。また、フルオレン骨格は、ベンゼン環よりも平面性が高いためスタッキングしやすく、π-π相互作用で結晶核となることにより、離型剤をその周りに凝集させ、結晶化を促進させることができる。トナーの耐ホットオフセット性と耐久性を両立するためには、適度に離型剤を分散させる必要があるが、本発明において、フルオレン骨格は、結着樹脂中で離型剤を分散する効果と、凝集させる効果の両方を有するため、離型剤の分散を最適に保つことができ、トナーの耐ホットオフセット性と耐久性を両立することができる。
しかしながら、非晶質ポリエステル樹脂の原料モノマーに、疎水的なモノマーを用いると、フルオレン骨格の疎水性が阻害される。これに対し、本発明では、非晶質ポリエステル樹脂のアルコール成分の主成分として、親水的なモノマーである脂肪族ジオールを用いることで、フルオレン骨格部分と他の部分で親水性・疎水性にメリハリを生じさせることができ、本発明の効果が顕著に奏されるため、より高いレベルでの耐ホットオフセット性と耐久性の両立を達成することができる。
非晶質ポリエステル樹脂Aは、前記のように脂肪族ジオールとフルオレン骨格を有するジオールを所定量含有し、ビスフェノールA骨格を有するジオールの含有量を制限したアルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物である。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最大ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。
結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である。
一方、非晶質樹脂は、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、耐久性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは6以下、より好ましくは5以下である。
脂肪族ジオールは、耐熱保存性の観点から、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、50モル%以上であり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上であり、そして、99モル%以下であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下である。
フルオレン骨格を有するジオールにおいて、フルオレン骨格とは、式(I):
Figure 2024082562000001
(式中、R1及びR2は1価の置換基であり、m及びnは0以上4以下である)
で表される構造をいう。
式(I)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、1価の置換基であり、1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、-NO2基等が挙げられ、これらのなかでは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1以上であり、そして、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。アルキル基としては、炭素数が1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数が6以上12以下のアリール基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基等が例示でき、炭素数が6以上12以下のアリール基と炭素数が1以上4以下のアルキル基からなるアラルキル基が好ましい。
m個のR1及びn個のR2はそれぞれ独立に選択することができる。R1とR2の置換位置は特に限定されないが、m及びnは、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であり、0、即ちR1及びR2を有していないことがさらに好ましい。
フルオレン骨格を有するジオールとしては、カルボン酸成分との反応性の観点から、フルオレン骨格に加えて、アルキレンオキサイド鎖を有する化合物が好ましく、例えば、式(II):
Figure 2024082562000002
(式中、R3及びR4はアルキレン基、R5~R8は、水素原子又は1価の置換基であり、p及びqは平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、pとqの和の値は、1以上8以下であり、R1、R2、m及びnは前記と同じ)
で表される化合物が好ましい。
式(II)において、R3及びR4は、それぞれ独立して、アルキレン基である。アルキレン基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数が1以上4以下のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基がより好ましく、エチレン基又はプロピレン基がさらに好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
p及びqは、アルキレンオキシド基(-OR3-)、(-OR4-)の平均付加モル数を表す。pとqの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、8以下、好ましくは4以下である。p及びqは、1以上4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1がさらに好ましい。また、p及びqは、それぞれ独立して選択することができるが、p及びqは同じであることが好ましく、p及びqが1であることがより好ましい。即ち、式(II)で表される化合物はエチレンオキシド鎖を2つ有することが好ましい。
-O-(R3O)p-H、-O-(R4O)q-Hの置換位置は特に限定されないが、4位に置換していることが好ましい。
5~R8は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基である。1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、-NO2基等が挙げられ、これらの基が、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。R5~R8としては、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。アルキル基、アリール基及びアラルキル基については、R1及びR2について記載したものと同じである。
5~R8の置換位置は特に限定されないが、2位、3位、4位、2位及び6位、並びに、3位及び5位が好ましい。
式(II)で表される化合物の具体例としては、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-エチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジエチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-プロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-n-ブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジ-n-ブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-(1-メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ビス(1-メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-ベンジルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(4-ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられ、これらは単独でも2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)ともいう)が好ましい。
9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、例えば、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキシド(以下、EOと略する)を付加して得られる。この際、フェノールの両水酸基にエチレンオキシドが1分子ずつ付加した2EO付加体(9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン)の他に、さらに数分子過剰に付加した、3EO付加体、4EO付加体等の不純物が含まれることがある。すなわち、付加しているエチレンオキシドは分布を有しており、2EO付加体とは、その分布の最大値が2EO付加体であればよい。ポリエステル樹脂の耐熱性を向上させるためには、2EO付加体の純度が85%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。
フルオレン骨格を有するジオールの含有量は、アルコール成分中、1モル%以上であり、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、50モル%以下であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
ビスフェノールA骨格を有するジオールにおいて、ビスフェノールA骨格とは、式(III):
Figure 2024082562000003
で表される構造をいう。
ビスフェノールA骨格を有するジオールとしては、式(IV):
Figure 2024082562000004
(式中、OR9及びR10Oはオキシアルキレン基であり、R9及びR10はエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA等が挙げられる。
ビスフェノールA骨格を有するジオールの含有量は、アルコール成分中、10モル%未満であり、好ましくは8モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下であり、0モル%、即ち、アルコール成分はビスフェノールA骨格を有するジオールを含有していないことがさらに好ましい。
なお、前記フルオレン骨格を有するジオールは、ビスフェノールA骨格を有しておらず、前記ビスフェノールA骨格を有するジオールは、フルオレン骨格を有していないジオールである。
カルボン酸成分としては、耐熱保存性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のカルボン酸成分としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、炭化水素基で置換されたコハク酸誘導体、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
なお、本明細書において、マクロモノマーやヒドロキシカルボン酸は、アルコール成分及びカルボン酸成分には含めない。
カルボン酸成分のカルボキシ基のアルコール成分の水酸基に対する当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.45以上であり、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは160℃以上、より好ましくは200℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂Aの軟化点は、耐熱保存性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度は、耐熱保存性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aの酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aの水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは100mgKOH/g以上、より好ましくは200mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは270mgKOH/g以下、より好ましくは230mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量は、耐熱保存性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,500以上、さらに好ましくは3,000以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは7,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,300以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aの含有量は、結着樹脂中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、そして、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
結着樹脂は、さらに、非晶質ポリエステル樹脂Aよりも軟化点の高い非晶質ポリエステル樹脂Bを含有していることが好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂Bとしては、脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含有するカルボン酸成分の重縮合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、耐久性の観点から、好ましくは2以上であり、そして、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Bのアルコール成分において、前記フルオレン骨格を有するジオールの含有量は、1モル%未満であり、好ましくは0モル%である。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
カルボン酸成分は、軟化点調整の観点から、さらに3価以上のカルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸系化合物、これらの酸の無水物、これらの酸のアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。
他のカルボン酸成分としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、炭化水素基で置換されたコハク酸誘導体、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含まれていてもよい。
カルボン酸成分のカルボキシ基のアルコール成分の水酸基に対する当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応条件は、非晶質ポリエステル樹脂Aと同様である。
非晶質ポリエステル樹脂Bの軟化点は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは165℃以下、より好ましくは150℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aと非晶質ポリエステル樹脂Bの軟化点の差は、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは25℃以上であり、そして、好ましくは55℃以下、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは35℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は、耐熱保存性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Bの酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは45mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Bの水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは40mgKOH/g以上、より好ましくは50mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは65mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは50,000以上、より好ましくは100,000以上、さらに好ましくは120,000以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは175,000以下、さらに好ましくは160,000以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Bの含有量は、結着樹脂中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aの非晶質ポリエステル樹脂Bに対する質量比(非晶質ポリエステル樹脂A/非晶質ポリエステル樹脂B)は、低温定着性の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは60/40以上、さらに好ましくは65/35以上であり、そして、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは75/25以下である。
非晶質ポリエステル樹脂Aと非晶質ポリエステル樹脂Bの合計含有量は、結着樹脂中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
他の結着樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂等の非晶質ポリエステル樹脂A及び非晶質ポリエステル樹脂B以外のポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、これらの樹脂を2種以上含む複合樹脂等が挙げられる。
結着樹脂の含有量は、トナー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステルワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。本発明において、離型剤は、耐久性の観点から、エステルワックス及び/又はパラフィンワックスを含有することが好ましい。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは4質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
本発明の静電荷像現像用トナーには、結着樹脂及び離型剤以外に、着色剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」、「FCA-201-PS」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性及び着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂及び離型剤、さらに必要に応じて、着色剤、荷電制御剤等の添加剤を含有する混合物を溶融混練する工程(溶融混練工程)を含む方法により得られる。
溶融混練に供する混合物は、一度に混練に供しても、分割して混練に供してもよいが、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。
溶融混練の温度は、樹脂が溶融し、混ざり合う温度であれば特に限定されない。
溶融混練工程の後、混練物を粉砕可能な硬度に達するまで適宜冷却し、必要に応じて、粉砕工程及び分級工程を行ってトナー粒子を得ることが好ましい。ここで、冷却とは、混練物を0℃以上50℃以下まで冷却すること、または、混練物中の結着樹脂のガラス転移温度以下まで冷却することを言う。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、環状シラザン、シリコーンオイル、アミノシラン、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
トナー粒子と外添剤との混合には、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いることができる。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に、試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルムとジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
〔樹脂の重量平均分子量〕
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、重量平均分子量を求めた。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料を、テトラヒドロフランに、25℃で溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(ADVANTEC製)を用いて濾過して不溶解分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン「A-500」(5.0×102)、「A-1000」(1.01×103)、「A-2500」(2.63×103)、「A-5000」(5.97×103)、「F-1」(1.02×104)、「F-2」(1.81×104)、「F-4」(3.97×104)、「F-10」(9.64×104)、「F-20」(1.90×105)、「F-40」(4.27×105)、「F-80」(7.06×105)、「F-128」(1.09×106)(以上、東ソー(株)製)を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:「HLC-8220CPC」(東ソー(株)製)
分析カラム:「GMHXL」+「G3000HXL」(東ソー(株)製)
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「Q-20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最大ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
・測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIII バージョン 3.51(ベックマン・コールター(株)製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマン・コールター(株)製)
・分散液:電解液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」〔花王(株)製、HLB(グリフィン)=13.6〕を溶解して5質量%に調整したもの
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温を行った。その後、230℃にて反応率が95%に到達したのを確認し、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A1~A4)を得た。なお、本明細書における反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例2
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った。その後、235℃にて反応率が95%に到達したのを確認し、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A5)を得た。
樹脂製造例3
表1に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温を行った。その後、230℃にて反応率が95%に到達したのを確認し、180℃まで冷却した後、表1に示す無水トリメリット酸を加え、2時間かけて220℃まで昇温した。220℃にて1時間反応後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂B1)を得た。
Figure 2024082562000005
実施例1~5及び比較例1、2
表2に示す結着樹脂100質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-81」(オリエント化学工業(株)製)1質量部、着色剤「Pigment blue 15:3」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー)5質量部、及び表2に示す離型剤6質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として、疎水性シリカ「AEROSIL NAX 50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:約30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔耐ホットオフセット性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から200℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。ホットオフセットの発生を目視にて観察し、ホットオフセットが発生する温度を耐ホットオフセット性として確認した。ホットオフセットが発生する温度が高いほど好ましい。結果を表2に示す。表中、「>200」は、200℃の定着画像においてホットオフセットの発生が見られないことを示す。
試験例2〔耐久性〕
印刷機「ページプレスト N-4」(カシオ計算機(株)製、定着:接触定着方式、現像:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、温度32℃、湿度85%の環境下にて黒化率5.5%の斜めストライプのパターンを連続して印刷した。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジの有無を確認した。印刷は、画像上にスジが発生した時点で中止し、最高9000枚まで行った。
画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を、現像ロールにトナーが融着・固着したことによりスジが発生した枚数とし、耐久性を評価した。スジの発生しない枚数が多いほど、トナーの耐久性に優れることを示す。結果を表2に示す。表中、「>9000」が9000枚目の印刷においてもスジが発生しないことを意味する。
Figure 2024082562000006
以上の結果より、実施例1~5では、耐ホットオフセット性と耐久性がいずれも良好であることが分かる。
これに対し、比較例1、2と実施例1の対比から、非晶質ポリエステル樹脂のアルコール成分として、フルオレン骨格を有するジオールを、ビスフェノールA骨格を有するジオールではなく、脂肪族ジオールと組み合わせることで、耐ホットオフセット性を損なうことなく、耐久性が向上することが分かる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (4)

  1. 結着樹脂及び離型剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、脂肪族ジオールを50モル%以上99モル%以下及びフルオレン骨格を有するジオールを1モル%以上50モル%以下含有し、ビスフェノールA骨格を有するジオールの含有量が10モル%未満であるアルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂Aを含有する、静電荷像現像用トナー。
  2. 非晶質ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量が、7,000以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. フルオレン骨格を有するジオールの含有量が、アルコール成分中、5モル%以上40モル%以下である、請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 離型剤が、エステルワックス及び/又はパラフィンワックスを含有する、請求項1~3いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
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