JP6762788B2 - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂組成物、その製造方法及び該結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーに関する。
近年、プリンターやコピー機の高速化及び省エネ化に伴い、低温定着性に優れたトナーがますます必要となってきている。定着性と耐久性改善のための手段として、原料としてポリエチレンテレフタレートをエステル交換により反応させたポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂との複合樹脂が知られている(特許文献1、2参照)。
特開2009−276791号公報 特開平8−239409号公報
しかしながら、前記特許文献1、2記載の複合樹脂では、低温定着性や、画像濃度やトナーの帯電立ち上がり性、帯電安定性において、満足いくものとは言えない。
本発明は、低温定着性、画像濃度、帯電立ち上がり性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂組成物、その製造方法及び該結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーに関する。
本発明は、
〔1〕 カルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させて得られるポリエステル樹脂と、付加重合性モノマーを付加重合させて得られるビニル樹脂とが、該重縮合性モノマーと該付加重合性モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して化学的に結合した非晶質複合樹脂を含有し、前記ポリエチレンテレフタレートがIV値が0.40以上0.75以下のポリエチレンテレフタレートを含む、トナー用結着樹脂組成物、
〔2〕 付加重合性モノマーと両反応性モノマーとを付加重合させる工程A、並びにカルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させる工程Bを含み、前記工程Aと前記工程Bを同一反応容器中で行う、トナー用結着樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリエチレンテレフタレートがIV値が0.40以上0.75以下のポリエチレンテレフタレートを含む、トナー用結着樹脂組成物の製造方法、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー
に関する。
本発明のトナー用結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーは、低温定着性、画像濃度、帯電立ち上がり性、及び帯電安定性において優れた効果を奏するものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、カルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させて得られるポリエステル樹脂と、付加重合性モノマーを付加重合させて得られるビニル樹脂とが、重縮合性モノマーと付加重合性モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して化学的に結合した非晶質複合樹脂を含有し、ポリエチレンテレフタレートがIV値が0.40以上0.75以下のポリエチレンテレフタレートを含むものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物が、低温定着性、画像濃度、帯電立ち上がり性、及び帯電安定性に優れる理由は必ずしも定かではないが、次のように考えられる。
通常、トナー用結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂に導入されるポリエチレンテレフタレート(PET)は、IV値が0.80〜1.10程度であり、IV値が0.40以上0.75以下のPETは、従来用いられているPETに比べて低IV値、即ち低分子量のPETである。このため、PETの解重合がより均一に進行する。その結果、ポリマー中に極性の高いPET骨格を残しつつ均一に分散できるので、従来のPET導入樹脂よりも着色剤の分散性が向上し、画像濃度が高くなるものと推察される。また、柔軟な骨格であるPET骨格が樹脂中に均一に分散できることで、低温定着性も向上するものと推察される。また、ビニル部位は芳香環濃度が高いため帯電安定性を高くする効果があるが、極性が低いための低いビニル部位は極性の高いPET骨格とは相溶性が低く、ビニル部位の分散を悪化させトナー表面露出を引き起こしてしまう。一般的にビニル部位はポリエステル部位に比べ帯電の立ち上がりが低いためトナーの帯電立ち上がり性の悪化を引き起こす。そのため従来の複合樹脂では帯電安定性と帯電立ち上がりを両立することができなかった。しかし、低IVのPETを用いPET骨格を分散させることでビニル部位とポリエステル部位の分散性が向上し、結果トナーの帯電立ち上がり性と帯電安定性が向上するものと推測される。
非晶質複合樹脂において、ポリエステル樹脂は、カルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させて得られる樹脂である。
重縮合性モノマーにおいて、カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、及び3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、帯電立ち上がり性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含んでいることがより好ましい。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられるが、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸を含有していることが好ましい。当該コハク酸としては、好ましくは炭素数6以上14以下のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸であり、より好ましくは炭素数8以上12以下のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸である。具体的には、オクチルコハク酸やドデセニルコハク酸(テトラプロペニルコハク酸)等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、そして、保存性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、又はこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸系化合物、例えば、トリメリット酸又はその酸無水物が好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上であり、そして、保存性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下である。
アルコール成分としては、低温定着性の観点から、式(I):
Figure 0006762788
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
重縮合性モノマーにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量モル比(COOH基/OH基)は、樹脂の物性を調整する観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.1以下である。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、エチレングリコールとテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル等との重縮合により、常法に従って製造されたものを用いることができる。本発明において、PETは、重縮合反応条件下で、解重合反応により、一部がオリゴマーや、エチレングリコールやテレフタル酸となり、それらの解重合成分又はPETと重縮合性モノマーである前記アルコール成分やカルボン酸成分との重縮合反応により、最終的には、ポリエステル樹脂に取り込まれる。
本発明において、重縮合に供されるPETは、低IV値のポリエチレンテレフタレートを含むものである。
低IV値のPETのIV値は、画像濃度の観点から、0.40以上、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.55以上であり、そして、解重合の均一化の観点から、0.75以下、好ましくは0.68以下、より好ましくは0.65以下である。IV値とは固有粘度であり、分子量の指標となる。PETのIV値は、重縮合時間等により調整することができる。また、高IV値のPETを解重合により分解して低IV値に調整してもよい。
本発明で好適に用いられる低IV値のPETの市販品としては、RAMAPET L1(Indorama Ventures社製、IV値:0.6)、RAMAPET N2G(Indorama Ventures社製、IV値:0.75)、TRN-NTJ(帝人(株)製、IV値:0.53)、TRN-RTJC(帝人(株)製、IV値:0.64)等が挙げられる。
低IV値のPETの含有量は、重縮合に供されるPETの総量中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。本発明の効果を損なわない範囲内で、IV値が前記範囲外であるPETを含んでいてもよいが、それらのPETの含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
重縮合に供されるPETは、テレフタル酸−エチレングリコールのユニット(Mw:192)が、アルコール成分とPETの合計100モルに対して、画像濃度の観点から、好ましくは5モル以上、より好ましくは10モル以上、さらに好ましくは20モル以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは80モル以下、より好ましくは70モル以下、さらに好ましくは60モル以下となる量で用いられることが好ましい。
カルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとPET(前記の通り、PETの解重合成分も含まれる)との重縮合反応は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、PET、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、PET、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ビニル樹脂は、付加重合性モノマーを付加重合させて得られる樹脂である。
付加重合性モノマーは、スチレン、又はα-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン化合物」という)を含むことが好ましい。
スチレン化合物の含有量は、付加重合性モノマー中、帯電安定性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
他の付加重合性モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられる。なお、付加重合性モノマーは、重合開始剤を含まない。
付加重合性モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができる。温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、付加重合性モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
ポリエステル樹脂とビニル樹脂を結合する両反応性モノマーは、重縮合性モノマーと付加重合性モノマーのいずれとも反応し得るモノマーであり、本発明において、両反応性モノマーは、低温定着性、帯電立ち上がり性、及び画像濃度の観点から、アルキル基の炭素数が2以上6以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(イソ又はターシャリー)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ヘキシル等が挙げられ、これらの中では、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。アルキル基は、水酸基等の置換基を有していてもよく、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4であり、そして、6以下、好ましくは4以下である。
アルキル基の炭素数が2以上6以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、両反応性モノマー中、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他の両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシ基、より好ましくはカルボキシ基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。ただし、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸系化合物は、重縮合性モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、重縮合性モノマーである。
なお、カルボキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する両反応性モノマーの使用量は、使用していないか、少ないことが好ましく、使用していても、その含有量は、すべての両反応性モノマー中、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
付加重合性モノマーと両反応性モノマーの合計量中の両反応性モノマーの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、グロス及び保存性の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
本発明における結着樹脂組成物に含まれる非晶質複合樹脂は、付加重合性モノマーと両反応性モノマーとを付加重合させる工程A、及び重縮合性モノマーとPETとを重縮合させる工程Bを含み、前記工程Aと前記工程Bを同一反応容器中で行う方法により得られるものが好ましい。
工程Aと工程Bは、それぞれ順次行っても、同時に進行させてもよいが、本発明では、工程Aを行った後に、工程Bを行うことが好ましい。これにより、重縮合反応を付加重合反応の前に行う方法ではエステル交換反応に用いられるアルコール成分量が減少するのに対し、両反応性モノマーとアルコール成分の末端水酸基とを効率よくエステル交換することができ、架橋構造が生じるものと考えられる。
なお、重縮合反応は、付加重合性モノマー及び/又は両反応性モノマーの存在下で、付加重合反応は、重縮合性モノマー及び/又はPETの存在下で、それぞれ行ってもよく、工程Aの後に工程Bを行う方法では、生成するビニル樹脂の分子量分布が均一になる観点から、好ましくはPETの存在下で、より好ましくはPET及び3価以上のモノマー以外の重縮合性モノマーの存在下で、工程Aを行うことが望ましい。3価以上のカルボン酸系化合物、3価以上のアルコール等の3価以上のモノマーは、ポリエステルの粘度を上昇させ生成するビニル樹脂の分子量分布が不均一になってしまうため、工程Aの後に反応系に添加することが好ましい。
非晶質複合樹脂中のポリエステル樹脂とビニル樹脂と両反応性モノマーの合計量との質量比(ポリエステル樹脂/ビニル樹脂と両反応性モノマーの合計量)は、低温定着性、帯電立ち上がり性及び画像濃度の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは65/35以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂の質量は、用いられる重縮合性モノマーとPETの合計量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量である。また、ビニル樹脂の質量は、付加重合性モノマーの質量であり、重合開始剤の量は含めない。
非晶質複合樹脂の軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下である。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。非晶質樹脂は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。
非晶質複合樹脂のガラス転移温度は、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
非晶質複合樹脂の酸価は、帯電立ち上がり性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下である。
本発明の結着樹脂組成物が、2種以上の樹脂からなる場合は、それらの加重平均値が上記範囲内の物性となることが好ましい。
なお、本発明の結着樹脂組成物は、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、軟化点が15℃以上異なる2種の樹脂を含むことが好ましく、いずれか一方が前記PETを用いた非晶質複合樹脂以外の樹脂であってもよいが、少なくとも一方が前記PETを用いた非晶質複合樹脂であることがより好ましく、いずれもが前記PETを用いた非晶質複合樹脂であることがさらに好ましい。
軟化点の高い方の樹脂Hの軟化点は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下である。
軟化点の低い方の樹脂Lの軟化点は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。
樹脂Hと樹脂Lの軟化点の差は、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。
樹脂の軟化点は、架橋度等により調整することができる。かかる観点から、樹脂Hはトリメリット酸系化合物を含有することが好ましく、カルボン酸成分中のトリメリット酸系化合物の含有量は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは35モル%以下である。また、樹脂Hは、低温定着性の観点から、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上であり、そして、帯電立ち上がり性の観点から、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
一方、樹脂Lは、耐ホットオフセット性の観点からトリメリット酸系化合物を含有することが好ましいが、そして、カルボン酸成分中のトリメリット酸系化合物の含有量は、好ましくは20モル%以下である。
樹脂Hと樹脂Lの質量比(樹脂H/樹脂L)は、低温定着性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、さらに好ましくは55/45以上であり、そして、低温定着性及び画像濃度の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは70/30以下である。
本発明の電子写真用トナーは、本発明の樹脂組成物以外の結着樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等を含有してもよい。本発明の樹脂組成物の含有量は、結着樹脂中、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明のトナーには、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒用トナー、カラー用トナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔PETのIV値〕
フェノール/テトラクロロエタン(質量比)が60/40の混合溶媒に、4g/Lの濃度にて溶解し、ウベローデ型粘度計にて測定を行い、下記式に従って算出することで求めることができる。
IV=(-1+√(1+4kη))/(2kC)
〔式中、k=0.33、C=0.004g/mLであり、η=(t1/t0)-1(t0:溶媒のみの落下秒数、t1:試料溶液の落下秒数)である。〕
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂H1〜H10、L1〜L4〕
表1〜3に示す無水トリメリット酸以外の重縮合性モノマー及びPETを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、165℃まで昇温した。そこに、付加重合性モノマー、両反応性モノマー、及び重合開始剤の混合物を滴下し、重合を行った。
その後、エステル化触媒を添加し、3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃に到達後7時間保持した。その後、210℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、210℃で1時間保持し、8.0kPaにて減圧反応を行った後、表1〜3に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂を得た。
樹脂製造例2〔樹脂H11、L5〕
表4に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてエステル化触媒を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃到達後7時間保持した。その後、210℃まで冷却後、無水トリメリット酸を投入し、210℃で1時間保持し、8.0kPaにて減圧反応を行った後、表4に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂を得た。
樹脂製造例で使用したPETは、以下の通りである。
PET1:RAMAPET L1(Indorama Ventures社製)、IV値:0.6
PET2:RAMAPET N2G(Indorama Ventures社製)、IV値:0.75
PET3:RAMAPET S1(Indorama Ventures社製)、IV値:0.84
Figure 0006762788
Figure 0006762788
Figure 0006762788
Figure 0006762788
実施例1〜14及び比較例1、2(実施例2、13は参考例である)
表5に示す結着樹脂を合計100質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-81」(オリエント化学工業(株)製)1質量部、着色剤「Pigment blue 15:3」(大日精化工業(株)製)5質量部、及び離型剤「HNP-9」(日本精蝋(株)製、パラフィンワックス、融点:80℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ「AEROSIL NAX 50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:約30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
非磁性一成分現像装置「OKI MICROLINE 5400」((株)沖データ製)にトナーを実装し、トナー付着量を0.45±0.03mg/cm2に調整して、4.1cm×13.0cmのベタ画像を「J紙」(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製)に印字した。定着機を通過する前にベタ画像を取り出して未定着画像を得た。得られた未定着画像を「Microline3010」((株)沖データ製)の定着機を改造した外部定着機にて、定着ロールの温度を100℃に設定し、240mm/secの定着速度で定着させた。その後、定着ロール温度を105℃に設定し、同様の操作を行った。これを200℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度で未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。各温度で定着させた画像にメンディングテープ(スリーエムジャパン(株)製)を付着させた後、500gの円筒上の重石を載せることにより、十分にテープを定着画像に付着させた。その後、ゆっくりとメンディングテープを定着画像より剥がし、テープ剥離後の画像の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定した。あらかじめテープを貼る前の画像についても光学反射密度を測定しておき、その値との比([テープ剥離後の反射密度/テープ貼付前の反射密度]×100)が最初に90%を超える定着ロールの温度を最低定着温度とし、低温定着性を評価した。結果を表5に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れていることを示す。
試験例2〔画像濃度〕
上質紙(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製、J紙A4サイズ)に市販のプリンター((株)沖データ製、商品名:ML5400)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm2となるベタ画像を出力し、印刷物を得た。
印刷物の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計(商品名:SpectroEye、GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、着色剤の分散性を評価した。結果を表5に示す。反射画像濃度の値が大きいほど、画像濃度が高く、着色剤の分散性が優れていることを示す。
試験例3〔帯電性〕
所定の混合時間後、Q/Mメーター付属のセルに規定量のトナーとキャリアの混合物を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引した。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)とした。
下記に示す各混合時間後のトナーの帯電量の比率から、帯電立ち上がり性及び帯電安定性を評価した。結果を表5に示す。
〔帯電立ち上がり性〕
混合時間30秒後の帯電量と混合時間60秒後の帯電量の比率(混合時間30秒後の帯電量/混合時間60秒後の帯電量)を算出した。帯電量の比率が1に近いほど、帯電立ち上がり性に優れ、その比率は、0.75以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。
〔帯電安定性〕
混合時間60秒後の帯電量と混合時間3600秒後の帯電量の比率(混合時間3600秒後の帯電量/混合時間60秒後の帯電量)を算出した。帯電量の比率が1に近いほど、帯電安定性に優れ、その比率は0.80以上が好ましく、0.90以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。
Figure 0006762788
以上の結果より、実施例1〜14のトナーは、低温定着性、画像濃度、帯電立ち上がり性、及び帯電安定性がいずれも良好であることが分かる。
これに対し、IV値の高いPETを使用した結着樹脂を含有する比較例1のトナーは、低温定着性及び画像濃度に欠けており、PETの代わりに、エチレングリコールを使用した結着樹脂を含有する比較例2のトナーは、帯電安定性及び画像濃度に欠けている。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、例えば、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる電子写真用トナーの結着樹脂として好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. カルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させて得られるポリエステル樹脂と、付加重合性モノマーを付加重合させて得られるビニル樹脂とが、該重縮合性モノマーと該付加重合性モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して化学的に結合した非晶質複合樹脂を含有し、前記ポリエチレンテレフタレートがIV値が0.40以上0.68以下のポリエチレンテレフタレートを90質量%以上含む、トナー用結着樹脂組成物であって、前記両反応性モノマーがアルキル基の炭素数が2以上6以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する、トナー用結着樹脂組成物
  2. アルコール成分が、式(I):
    Figure 0006762788
    (式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は1以上16以下である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含む、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
  3. 軟化点が15℃以上異なる2種の樹脂を含有し、該2種の樹脂が、軟化点が110℃以上170℃以下の樹脂Hと軟化点が80℃以上120℃以下の樹脂Lであり、少なくとも一方が、請求項1又は2記載の非晶質複合樹脂である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
  4. 付加重合性モノマーと両反応性モノマーとを付加重合させる工程A、並びにカルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させる工程Bを含み、前記工程Aと前記工程Bを同一反応容器中で行う、トナー用結着樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリエチレンテレフタレートがIV値が0.40以上0.68以下のポリエチレンテレフタレートを90質量%以上含み、前記両反応性モノマーがアルキル基の炭素数が2以上6以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する、トナー用結着樹脂組成物の製造方法。
  5. 工程Aを行った後に、工程Bを行う、請求項記載の製造方法。
  6. 請求項1〜いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー。
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