JP2024060762A - 金型成形用紙基材、金型成形用紙基材の製造方法 - Google Patents

金型成形用紙基材、金型成形用紙基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる金型成形用紙基材およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の金型成形用紙基材は、少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する。第1表面層のパルプのフリーネスは中層のパルプのフリーネスより低い。かつ、第2表面層のパルプのフリーネスは、中層のパルプのフリーネスより高い。そして、本発明の金型成形用紙基材においては引張強度の縦横比が2未満である。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月12日 2022東京国際包装展(TOKYO PACK 2022)
本発明は、金型成形用紙基材、金型成形用紙基材の製造方法に関する。
従来、弁当箱、食品用トレー等の食品包装容器、CDケース、電気部品用ケース等の工業製品の包装容器としてプラスチック製容器が使用されてきた。近年の環境問題への対策として、これらプラスチック製容器を、天然パルプを原料とする紙成形体で代替することが提案されている(例えば、特許文献1)。
紙成形体としては、例えば浅い皿やカップのような絞り深さのほとんどない成形体から、絞り深さのある成形体まで種々の形状があり得る。そのため、種々の形状の紙成形体を紙基材から製造することが求められる。
一般に、絞り深さの深い成形体の成形時には、絞り深さが浅い場合に比べて紙基材がより多く延伸される。また、成形体の外側となる紙層は、絞り成形時に内側となる紙層よりも多く延伸される。よって、絞り深さの深い成形体の外側となる紙層は成形時に切れやすい。
特許文献1では、紙の切れを防止するために成形体の外側となる紙層の破断伸びを5%以上とすることが提案されている。また、特許文献1では、絞り成形時に剛度の高い紙成形体を得るために、紙基材の全体の密度を0.4~0.7g/cmとすることが提案されている。
特開2002-200726号公報
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1で提案される紙基材にあっては、絞り深さが深い成形体を金型で成形したときに、ひび割れ、破れ、表面層のずれによるしわの発生が起きるため、加工性に改善の余地がある。また、絞り成形時の加工性と成形体の強度を両立することも困難である。紙基材の全体の密度を前記数値範囲内にすることは、操業の難易度が高いため、現実的ではない。
本発明は、実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる金型成形用紙基材およびその製造方法を提供する。
本発明者は、短網多筒抄紙機を用い、かつ多層抄き紙の各層のパルプのフリーネスを金型成形用に最適化することで、前記課題を解決できることを見出した。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する金型成形用紙基材であって;前記第1表面層のパルプのフリーネスが、前記中層のパルプのフリーネスより低く;前記第2表面層のパルプのフリーネスが、前記中層のパルプのフリーネスより高く;引張強度の縦横比が2未満である、金型成形用紙基材。
[2]前記第1表面層のパルプのフリーネスが、前記第2表面層のパルプのフリーネスより低い、[1]に記載の金型成形用紙基材。
[3]少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する金型成形用紙基材の製造方法であって;前記中層のパルプよりフリーネスが低いパルプを含む第1表面層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる第1表面抄紙層を少なくとも有する第1抄紙層と;前記中層のパルプよりフリーネスが高いパルプを含む第2表面層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる第2表面抄紙層を少なくとも有する第2抄紙層と;を抄き合わせることを特徴とする、製造方法。
[4]前記第1表面層用パルプスラリーのフリーネスが、前記第2表面層用パルプスラリーのフリーネスより低い、[3]に記載の製造方法。
本発明によれば、実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる金型成形用紙基材およびその製造方法が提供される。
「フリーネス」は、離解フリーネス(csf)である。離解フリーネスとは、紙基材を離解して得られたパルプスラリーを用いて測定したカナダ標準濾水度の値を指す。すなわち、フリーネスは、JIS-P8220-2:2012に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS-P8121-2:2012に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。
「横方向」とは、紙基材の表面上で抄紙機の進行方向に対して垂直方向と定義する。抄紙機の進行方向は、紙基材の繊維の配向方向から確認できる。「縦方向」とは、紙基材の表面上で横方向と直交する方向である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
本明細書に開示の数値範囲の下限値および上限値は任意に組み合わせて新たな数値範囲とすることができる。
以下、いくつかの実施形態について詳細に説明する。以下の開示は、実施形態の代表例の説明に関するものであり、本発明は以下の開示に限定されるものではない。
<金型成形用紙基材>
本発明の金型成形用紙基材は、少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する多層抄きされた紙である。本発明の金型成形用紙基材は3層構造の多層抄き紙であってもよく、4~9層程度の多層抄き紙であってもよい。
第1表面層は、多層抄きの金型成形用紙基材において最も表側に配置される層である。第2表面層は、多層抄きの金型成形用紙基材において最も裏側(第1表面層と反対側)に配置される層である。つまり、第1表面層および第2表面層は、金型成形用紙基材の最外層である。そのため、金型成形時には、第1表面層および第2表面層が金型と直接触れる。
第1表面層、第2表面層の各層の原料組成は同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第1表面層、第2表面層の各層の原料組成は中層と同じでもよいし、中層と異なっていてもよい。
中層は、第1表面層および第2表面層の間に配置される層である。中層は、1層であってもよいし、2~7層程度の多層構造であってもよい。中層が多層構造である場合、中層の各層の原料組成は同じでもよいし、異なっていてもよい。
金型成形用紙基材は、第1表面層と中層の間に、第1表面層に接する第1表面下層を有してもよいし、該第1表面下層を有さなくてもよい。中層が3層以上の多層構造である場合、第1表面層のすぐ下の層を第1表面下層とする。第1表面下層は、金型成形用紙基材の内側で第1表面層と接する層であるとも言える。
金型成形用紙基材は、第2表面層と中層の間に、第2表面層に接する第2表面下層を有してもよいし、該第2表面下層を有さなくてもよい。中層が3層以上の多層構造である場合、第2表面層のすぐ下の層を第2表面下層とする。第2表面下層は、金型成形用紙基材の内側で第2表面層と接する層であるとも言える。
金型成形用紙基材の各層は、セルロースパルプを主成分とする。各層の主成分とは、各層を構成する成分のうち50質量%以上を占める成分をいう。
セルロースパルプの種類は特に限定されない。強度の観点から、化学パルプが好ましい。化学パルプとしては特に限定されない。例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が好ましい。各層のセルロースパルプは少なくとも一部が同一種であってもよく、互いに異なっていてもよい。
柔軟性が向上することで金型成形時の加工性がさらに良くなることから、金型成形用紙基材の全ての層がセルロースパルプとしてLKPを含むことが特に好ましい。
セルロースパルプは晒パルプでもよく、未晒パルプでもよい。以下、特に断りのない限り、LKPとNKPはそれぞれ晒パルプまたは未晒パルプを含む用語である。広葉樹晒クラフトパルプを「LBKP」と記すことがある。また、針葉樹晒クラフトパルプを「NBKP」と記すことがある。
LKPとしては、例えば、アカシア材、ユーカリ材が挙げられる。NKPとしては、例えば、ラジアータパイン材が挙げられる。
セルロースパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金型成形用紙基材の各層は、NKPおよびLKP以外の他のパルプを含んでもよい。他のパルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ(DIP);ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的にまたは機械的に製造されたパルプ;が挙げられる。
他のパルプの含有量は、パルプ成分の合計質量に対して3質量%未満、2質量%未満、1質量%未満等であり得る。他のパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金型成形用紙基材においては、第1表面層のパルプのフリーネスが中層のパルプのフリーネスより低い。かつ、第2表面層のパルプのフリーネスが中層のパルプのフリーネスより高い。そのため、金型成形時に求められる伸びやすさを実現できる。結果、金型成形時の優れた加工性を実現できる。
一例において、第1表面層のパルプのフリーネスは中層のパルプのフリーネスより20ml以上低く、かつ、第2表面層のパルプのフリーネスが、中層のパルプのフリーネスより20ml以上高いことが好ましい。かかる構成を採用することで、金型成形時の加工性と成形体の強度を両立しやすくなる。
一例において、金型成形用紙基材の第2表面層のパルプのフリーネスは、第1表面層のパルプのフリーネスより高いことが好ましい。第2表面層を金型成形時の凸面側に配置することで、凸面側により求められる伸びやすさを実現できるため、金型成形時の加工性がさらに良くなる。
金型成形用紙基材が第1表面下層を有する場合、第1表面下層のパルプのフリーネスは中層のパルプのフリーネスより低いことが好ましい。また、金型成形用紙基材が第2表面下層を有する場合、第2表面下層のパルプのフリーネスは中層のパルプのフリーネスより高いことが好ましい。
かかる構成を採用することで、金型成形時の加工性と成形体の強度をより両立しやすくなる。
金型成形用紙基材の全体の引張破断伸びは、縦方向3.0%以上、横方向5.0%以上が好ましく、縦方向3.5%以上、横方向5.7%以上がより好ましい。
金型成形用紙基材の全体の引張破断伸びが前記下限値以上であると、金型成形時に伸びが足りずに破けてしまうことを防止しやすい。
金型成形用紙基材の引張強度の縦横比は2未満である。そのため、金型成形時のプレス圧力が縦横均等に分散しやすくなり、局所的な負荷の発生を低減できる。よって、ひび割れ、破れ、表面層のずれによるしわの発生を防止できる。
金型成形用紙基材の引張強度の縦横比は1.35~1.90が好ましく、1.4~1.88がより好ましく、1.45~1.85がさらに好ましい。
金型成形用紙基材の引張強度の縦横比が前記数値範囲内の下限値未満は、紙を製造することが困難であり、現実的でない。金型成形用紙基材の引張強度の縦横比が前記数値範囲内の上限値を超えると金型成形時のプレス圧力が不均等になり、ひび割れ、表面層のずれによるしわが発生しやすくなる。
引張強度の縦横比は、横方向の引張強度に対する縦方向の引張強度の値である。引張強度の縦横比は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材のテーバー剛度の縦横比は1.2~2.4が好ましく、1.4~2.2がより好ましい。
金型成形用紙基材のテーバー剛度の縦横比が前記数値範囲内の下限値未満は、紙を製造することは困難であり、現実的ではない。金型成形用紙基材のテーバー剛度の縦横比が前記数値範囲内の上限値を超えると、金型成形時のプレス圧力が不均等になり、ひび割れ、表面層のずれによるしわは発生しやすくなる。
テーバー剛度の縦横比は、横方向のテーバー剛度に対する縦方向のテーバー剛度の値である。テーバー剛度の縦横比は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材の全体において、繊維長が2mmを超える繊維の存在比は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。該存在比が前記上限値以下であると、金型成形用紙基材の柔軟性が向上する結果、金型成形時の加工性がさらに良くなる。
繊維長が2mmを超える繊維の存在比は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材の全体の米坪は270~1050g/mが好ましく、400~940g/mがより好ましく、470~830g/mがさらに好ましい。
金型成形用紙基材の全体の米坪が前記数値範囲内の下限値未満であると金型成形時に破れが発生しやすい。金型成形用紙基材の全体の米坪が前記数値範囲内の上限値を超えると紙が頑丈になり過ぎて成形加工するのが困難となる。 金型成形用紙基材の全体の米坪は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材の全体の厚さは300~1150μmが好ましく、400~1060μmがより好ましく、550~990μmがさらに好ましい。
金型成形用紙基材の全体の厚さが前記数値範囲内の下限値未満であると、紙が柔らかすぎて紙成形体に求められる強度を確保できない。。金型成形用紙基材の全体の厚さが前記数値範囲内の上限値を超えるような紙は固すぎて成形加工が困難になる。
金型成形用紙基材の全体の厚さは、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材の全体の密度は0.7~1.0g/cmが好ましく、0.72~0.95g/cmがより好ましく、0.75~0.9g/cmがさらに好ましい。
金型成形用紙基材の全体の密度が前記数値範囲内の下限値未満であると紙を製造することは困難であり、現実的ではない。金型成形用紙基材の全体の密度が前記数値範囲内の上限値を超えるような紙は固すぎて成形加工が困難になる。
金型成形用紙基材の全体の密度は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材の全体の層間強度は820kPa以上が好ましく、1040kPa以上がより好ましく、1270kPa以上がさらに好ましい。
金型成形用紙基材の全体の層間強度が前記数値範囲内の下限値以上であると金型成形時の、金型成形用紙基材の部分的な膨れの発生を抑制できる。
金型成形用紙基材の全体の層間強度は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
金型成形用紙基材のコブサイズ度2分は38g未満が好ましく、36g未満がより好ましく、34g未満がさらに好ましい。
金型成形用紙基材のコブサイズ度が前記数値範囲内であれば、液体用紙容器として良好な耐水性を得ることが出来る。金型成形用紙基材のコブサイズ度が前期数値範囲内の上限値を越えると金型用紙基材用紙の表面からの水分の吸収が大きく、液体用容器に必要な強度が損なわれる為、好ましくない。
金型成形用紙基材のコブサイズ度2分は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
第1表面層および第2表面層のうち、印刷加工を行う面の王研式平滑度は10秒以上が好ましく、12秒以上がより好ましく、15秒以上がさらに好ましい。
該王研式平滑度が前記数値範囲内の下限値未満であると、印刷特性が劣化する。
王研式平滑度は、後述の実施例に記載の方法によって求められる値である。
一例において、金型成形用紙基材は、第1表面層、第1表面下層、第1中層、第2中層、第2表面下層、第2表面層をこの順に有する6層構造の多層抄き紙であることが特に好ましい。この場合、各層のフリーネスの好ましい態様は以下の通りである。
第1表面層のフリーネスは280~480mlが好ましく、290~460mlがより好ましく、300~440mlがさらに好ましい。
第1表面下層のフリーネスは290~500mlが好ましく、300~480mlがより好ましく、310~460mlがさらに好ましい。
第1中層のフリーネスは300~520mlが好ましく、310~500mlがより好ましく、320~480mlがさらに好ましい。
第2中層のフリーネスは300~520mlが好ましく、310~500mlがより好ましく、320~480mlがさらに好ましい。
第2表面下層のフリーネスは310~540mlが好ましく、320~520mlがより好ましく、330~500mlがさらに好ましい。
第2表面層のフリーネスは320~600mlが好ましく、330~580mlがより好ましく、340~560mlがさらに好ましい。
各層のフリーネスが前記数値範囲内であると、第1表面層、第1表面下層、第1中層、第2中層、第2表面下層、第2表面層をこの順に有する6層構造の多層抄き紙において、金型成形時の加工性と成形体の強度を両立しやすい。
(作用機序)
以上説明した金型成形用紙基材は、第1表面層のパルプのフリーネスが中層のパルプのフリーネスより低く、第2表面層のパルプのフリーネスが中層のパルプのフリーネスより高い。そのため、塑性変形しやすい第2表面層側をプレスの凸面側に配置することで金型成形性が良くなる。
加えて、金型成形用紙基材においては、引張強度の縦横比が2未満である。そのため、金型成形時のプレス圧力が縦横均等に分散する結果、局所的な負荷の発生を低減できる。これにより、ひび割れ、破れ、表面層のずれによるしわの発生を抑制できる。
よって、本発明の金型成形用紙基材は、実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる。
<金型成形用紙基材の製造方法>
以下、金型成形用紙基材の製造方法について説明する。
本発明の金型成形用紙基材の製造方法は、少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する金型成形用紙基材の製造方法は、第1抄紙層と第2抄紙層とを抄き合わせることを特徴とする。
第1抄紙層は、乾燥後に第1表面層となる第1表面抄紙層を少なくとも有する。第1表面抄紙層は、中層のパルプよりフリーネスが低いパルプを含む第1表面層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる。
第2抄紙層は、乾燥後に第2表面層となる第2表面抄紙層を少なくとも有する。第2表面抄紙層は、中層のパルプよりフリーネスが高いパルプを含む第2表面層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる。
短網多筒式抄紙機とは、典型的には1台の抄紙機のワイヤパートに抄紙方向に対して水平に設置された幾組もの短網で湿紙を1層ずつ抄きだし、一組のプレスパートで絞って1枚の板紙にして乾燥する方式の抄紙機である。円網式抄紙機よりも、強度があり、かつ縦横の強度差の少ない板紙を抄造するためである。
本発明の金型成形用紙基材は、短網多筒式抄紙機で製造して得られる。短網多筒式抄紙機で抄紙して得た金型成形用紙基材には、各層のパルプ繊維の繊維配向が円網式抄紙機と比較して小さいという特徴がある。
金型成形用紙基材は中層を有する。そのため、第1抄紙層および第2抄紙層の少なくともいずれか一方は多層構造である。第1抄紙層および第2抄紙層を抄き合わせる際には、第1表面抄紙層および第2表面抄紙層がそれぞれ外表面に配置されるように抄き合わせる。このとき、内側に配置された抄紙層が乾燥後に中層となる。
第1抄紙層は、乾燥後に第1表面下層となる第1表面下抄紙層をさらに有してもよい。第1表面下抄紙層は、第1表面下層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる。第1表面下層用パルプスラリーは、中層のパルプよりフリーネスが低いパルプを含むことが好ましい。
第1抄紙層は、乾燥後に中層となる第1中層抄紙層をさらに有してもよい。第1中層抄紙層は、第1中層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる。
第1抄紙層が、第1表面下抄紙層、第1中層抄紙層を有する場合、第1抄紙層は各抄紙層用のパルプスラリーを1層ずつ順番に抄き合わせることで得られる。
第2抄紙層は、乾燥後に第2表面下層となる第2表面下抄紙層をさらに有してもよい。第2表面下抄紙層は、第2表面下層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる。第2表面下層用パルプスラリーは、中層のパルプよりフリーネスが高いパルプを含むことが好ましい。
第2抄紙層は、乾燥後に中層となる第2中層抄紙層をさらに有してもよい。第2中層抄紙層は、第2中層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる。
第2抄紙層が、第2表面下抄紙層、第2中層抄紙層を有する場合、第2抄紙層は各抄紙層用のパルプスラリーを1層ずつ順番に抄き合わせることで得られる。
第1表面層用パルプスラリーのフリーネスは、第2表面層用パルプスラリーのフリーネスより低いことが好ましい。乾燥後に得られる第2表面層を金型成形時の凸面側に配置することで、凸面側により求められる伸びやすさを実現できる。そのため、金型成形時の加工性がさらに良くなる。
金型成形用紙基材の層構造および各層の詳細および好ましい態様は、<金型成形用紙基材>の項で説明した内容と同じである。
一例において、第1表面層、第1表面下層、第1中層、第2中層、第2表面下層、第2表面層をこの順に有する6層構造の金型成形用紙基材が製造され得る。このように6層構造の多層抄き紙として金型成形用紙基材を得る場合、第1表面抄紙層、第1表面下抄紙層および第1中層抄紙層をこの順に有する第1抄紙層と;第2中層抄紙層、第2表面下抄紙層、第2表面抄紙層をこの順に有する第2抄紙層と;を抄き合わせることができる。
このとき、第1中層抄紙層および第2中層抄紙層が2層構造の中層を形成するように抄き合わせることで、第1表面抄紙層および第2表面抄紙層がそれぞれの外表面に配置される。
また、各層のパルプスラリーのフリーネスは、抄紙工程での脱水が良好に行われるように、「第1表面層」<「第1表面下層」<「第1中層」<「第2中層」<「第2表面下層」<「第2表面層」の条件を満たすことが好ましい。
各層のパルプスラリーは、セルロースパルプと水とを少なくとも含む抄紙用スラリーである。各層のパルプスラリーの調製前にセルロースパルプを叩解してもよく、パルプスラリーの調製後にセルロースパルプを叩解してもよい。叩解条件は各層のスラリーごとに調整することで、所望のフリーネス値が実現され得る。
各層のフリーネスの好ましい数値範囲は、<金型成形用紙基材>の項で説明した内容と同じである。
各層のパルプスラリーは必要に応じて種々の填料をさらに含んでもよい。填料は特に限定されない。例えば、クレー、焼成カオリン、デラミネートカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機填料;尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が挙げられる。填料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
各層のパルプスラリーは必要に応じて通常の抄紙で用いられる種々の内添助剤をさらに含んでもよい。内添助剤は特に限定されない。例えば、サイズ剤、歩留まり向上剤、ろ水度向上剤、紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類、嵩高向上剤、増粘剤、硫酸バンド、多価金属化合物、シリカゾル、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤が挙げられる。例えばサイズ剤としてアルキルケテンダイマー、スチレンアクリル樹脂、ロジン等の内添サイズ剤が使用される。また、紙力増強剤、歩留まり向上剤としてポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドポリアミン及びその誘導体、カチオン性及び両性デンプン、酸化デンプン、カルボキシメチル化デンプン、植物ガム、ポリビニルアルコール等の有機系化合物等を適宜組み合わせて使用することができる。また、これらは抄造工程中に紙層間にスプレーをしたり、抄造中、もしくは抄造後に金型成形用紙基材表面に塗工する方法で添加することも可能である。
内添助剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金型成形用紙基材の紙成形体を食品の包装容器として使用する場合、食品の中には酸性の高い食品が存在する。酸性の高い食品は、紙を劣化させるおそれがある。この場合にはサイズ剤として、アルキルケテンダイマーの使用が有益であり得る。
(作用機序)
以上説明した金型成形用紙基材の製造方法においては、第1表面層のパルプのフリーネスが中層のパルプのフリーネスより低く、第2表面層のパルプのフリーネスが中層のパルプのフリーネスより高い。そのため、抄紙工程の脱水性が良好になる結果、操業性も向上する。
従来、円網式抄紙機で紙基材が抄紙されてきた。円網式抄紙機を用いた場合、縦方向の柔軟性が不十分である。対して、本発明のように短網式抄紙機で抄紙することで、円網式抄紙機を用いたときよりも引張強度の縦横比が2未満と小さくなる。そのため、金型成形時のプレス圧力が縦横均等に分散する結果、局所的な負荷の発生を低減できる。よって、ひび割れ、破れ、表面層のずれによるしわの発生を抑制できる。
加えて、本発明の製造方法においては、単層抄きではなく多層抄きを採用した。そのため、深絞り成型時に紙の厚さ方向に掛かるせん断応力に対して、層間のズレが緩和される。よって、深絞りの成形用の金型に金型成形用紙基材が成形時に追随しやすい。
よって、本発明の製造方法によれば、実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる金型成形用紙基材が得られる。
金型成形用紙基材は、抄き合わせによって得られるため、その厚さが自由に調整され得る。そのため、複数枚の金型成形用紙基材を合わせて糊貼合加工をする場合には貼合枚数を削減しやすい。結果として、糊の使用量の削減や乾燥時間の短縮も期待できる。
<金型成形用紙基材の用途>
金型成形用紙基材は、種々の紙成形体を得るための金型成形に好適に利用され得る。金型成形においては、第2表面層を金型成形時の凸面側に配置することが好ましい。相対的にフリーネスの高いパルプを含む第2表面層は、第1表面層より塑性変形しやすく、柔軟性に優れるためである。
金型成形用紙基材の紙成形体の用途は特にされない。好適例として、例えば、深絞り成型の紙皿、紙製カトラリー、紙製ハンガーが挙げられる。他にも、比較的深い紙製トレー、紙カップ等が挙げられる。
以上、いくつかの実施形態について説明したが、本発明は本明細書に開示の実施形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。本明細書に開示の実施形態は、その他の様々な形態で実施可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更が可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。
<実施例1>
(第1表面層用パルプスラリーの調製)
第1表面層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを325mlに叩解したLBKP100%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.7質量%およびカチオン化澱粉0.1質量%、ロジン系内添サイズ剤0.1質量%、定着剤として硫酸バンド1.0%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1表面層用パルプスラリーを調製した。
(第2表面層用パルプスラリーの調製)
第2表面層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを456mlに叩解したLBKP100%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.7質量%およびカチオン化澱粉0.1質量%、ロジン系内添サイズ剤0.3質量%、定着剤として硫酸バンド1.3%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第2表面層用パルプスラリーを調製した。
(第1表面下抄紙層用パルプスラリーの調製)
第1表面下抄紙層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを366mlに叩解したLBKP100%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.4質量%およびカチオン化澱粉0.1質量%、ロジン系内添サイズ剤0.4質量%、定着剤として硫酸バンド1.0%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1表面下抄紙層用パルプスラリーを調製した。
(第2表面下抄紙層用パルプスラリーの調製)
第2表面下抄紙層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを430mlに叩解したLBKP100%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.5質量%およびカチオン化澱粉0.1質量%、ロジン系内添サイズ剤0.4質量%、定着剤として硫酸バンド1.2%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第2表面下抄紙層用パルプスラリーを調製した。
(第1中層用パルプスラリーの調製)
第1中層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを385mlに叩解したLBKP100%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.4質量%、ロジン系内添サイズ剤0.4質量%、定着剤として硫酸バンド1.1%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1中層用パルプスラリーを調製した。
(第2中層用パルプスラリーの調製)
第2中層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを393mlに叩解したLBKP100%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.4質量%、ロジン系内添サイズ剤0.4質量%、定着剤として硫酸バンド1.1%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第2中層用パルプスラリーを調製した。
(抄紙)
調製した各パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙した後、各抄紙層を乾燥することで、6層構造の坪量751g/m、紙厚913μmの金型成形用紙基材を得た。
<実施例2>
実施例1の引張強度の縦横比を1.42に変更した以外は実施例1と同じ操作および方法によって、坪量708g/m、紙厚952μmの金型成形用紙基材を得た。
<実施例3>
実施例1と同じ操作および方法を行い、さらに、マシンカレンダーによって平滑化処理を施し、坪量635g/m、紙厚756μmの金型成形用紙基材を得た。
<比較例1>
実施例1の金型成形用紙基材Aの第2表面抄紙層を、金型成形時の凸面側に配置する金型成形用紙基材を得た。
<比較例2>
実施例3において、第1表面層用および第2表面層用に用いるパルプとして、フリーネスを450mlに叩解し、パルプ配合がNBKP39%、LBKP61%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.9質量%、ロジン系内添サイズ剤0.6質量%、定着剤として硫酸バンド1.9%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1表面層用および第2表面層用のパルプスラリーを調製した。
第1表面下抄紙層用、第1中層抄紙層用、第2中層抄紙層用および第2表面下抄紙層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを420mlに叩解し、パルプ配合がNBKP30%、LBKP70%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.5質量%、ロジン系内添サイズ剤0.5質量%、定着剤として硫酸バンド1.5%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1表面下抄紙層用、第1中層抄紙層用、第2中層抄紙層用および第2表面下抄紙層用のパルプスラリーを調製した。
各層のパルプスラリーの調整以外は、実施例3と同じ操作および方法によって、坪量412g/m、紙厚470μmの金型成形用紙基材を得た。
<比較例3>
実施例3において、短網多筒式抄紙機を丸網多筒式抄紙機に変更し、第1表面抄紙層、第1表面下抄紙層、中層抄紙層、第2表面下抄紙層、第2表面抄紙層の順に有する5層構造とし、坪量、紙厚さ、および各層のパルプスラリーのフリーネスを表1に従って変更する以外は、実施例3と同様に行い、坪量416g/m、紙厚426μmの金型成形用紙基材を得た。
<比較例4>
円網多筒式抄紙機を用いて、第1表面抄紙層、第1表面下抄紙層、第1中層抄紙層、第2中層抄紙層、第2表面下抄紙層、第2表面抄紙層の順に有する6層構造とした。
第1表面層用および第2表面層用に用いるパルプとして、フリーネスを385mlに叩解し、パルプ配合がNBKP13%、LBKP87%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)3.0質量%をパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1表面層用および第2表面層用のパルプスラリーを調製した。
第1表面下抄紙層用、第1中層抄紙層用、第2中層抄紙層用および第2表面下抄紙層用に用いるパルプ成分として、フリーネスを380mlに叩解し、パルプ配合がNBKP37%、LBKP63%のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)3.0質量%およびアルキルケテンダイマー系内添サイズ剤1.5質量%をそれぞれパルプの乾燥質量100質量%に対して添加し、第1表面下抄紙層用、第1中層抄紙層用、第2中層抄紙層用および第2表面下抄紙層用のパルプスラリーを調製した。
(抄紙)
調製した各パルプスラリーを円網多筒式抄紙機で抄紙した後、各抄紙層を乾燥することで、6層構造の坪量416g/m、紙厚480μmの金型成形用紙基材を得た。
<測定方法>
各例の金型成形用紙基材について、以下の記載の通り、各種物性値を測定した。
(各層のフリーネス)
原紙の各層のフリーネスは、JIS P 8220-2:2012に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS P 8121-2:2012に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した。
(金型成形用紙基材の全体の坪量)
原紙の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定した。
(金型成形用紙基材の全体の厚さ)
原紙の紙厚は、JIS P 8118:2014に準拠して測定した。
(金型成形用紙基材の全体の密度)
原紙の密度は、上記の坪量および紙厚から算出した。
(引張強度の縦横比)
原紙の縦方向の引張強度、及び、原紙の横方向の引張強度を、JIS P 8113:2006に準拠して測定し、得られた測定値から、横方向の引張強度に対する、縦方向の引張強度の比率を算出した。
(引張破断伸び)
原紙の引張破断伸びを、JIS P 8113:2006に準拠して測定した。
(テーバー剛度)
原紙のテーバー剛度は、JIS P 8125:2000に準拠し、得たテーバー剛度の横方向に対する、縦方向の値を算出した。
(金型成形用紙基材の全体の層間強度)
原紙の層間強度は、JIS P 8131:2009に準拠して測定した。
(王研式平滑度)
原紙の王研式平滑度は、JIS P 8155:2010に準拠して測定した。
(金型成形用紙基材のコブサイズ度)
原紙のコブサイズは、JIS P 8140:1998に準拠して測定した。
<評価方法>
各例の金型成形用紙基材を、温度30度、湿度90%RHの環境で72時間調湿した後、B5サイズに切り抜き、且つ4隅を半径5cmの弧状に切り取りブランクとした。金型は弁当型金型を用い、ブランクの第2表面層側を雌型金型側に配置して、絞り成形をすることで、深さ24mm、長辺264mm、短辺113mmの紙成形体を得た。
得られた紙成形体の絞り成形の加工適性を以下の記載の通り評価した。評価結果が〇と△の時を合格と判定した。評価結果を表1に示した。
(絞り成形時の加工適性:角部の割れの長さ)
以下の基準で紙成形体の角のR部分の割れの長さを評価した。
〇:角のR部分に割れがみられない。
△:角のR部分の割れの長さが10mm以下である。
×:角のR部分の割れの長さが10mmを超える。
(絞り成形時の加工適性性:角部の割れの巾)
〇:角のR部分に割れがみられない。
△:角のR部分の割れがみられるが線状で裂けてはいない。
×:角のR部分が破れている。または裂けている様にみえる。
Figure 2024060762000001
実施例1~3では実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる金型成形用紙基材が得られた。対して比較例1~4では、実用上充分な強度と、絞り成形時の加工性を両立できなかった。
本発明によれば、実用上充分な強度を備える紙成形体を得る際の加工性に優れる金型成形用紙基材およびその製造方法が提供される。

Claims (4)

  1. 少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する金型成形用紙基材であって、
    前記第1表面層のパルプのフリーネスが、前記中層のパルプのフリーネスより低く、
    前記第2表面層のパルプのフリーネスが、前記中層のパルプのフリーネスより高く、
    引張強度の縦横比が2未満である、金型成形用紙基材。
  2. 前記第1表面層のパルプのフリーネスが、前記第2表面層のパルプのフリーネスより低い、請求項1に記載の金型成形用紙基材。
  3. 少なくとも第1表面層、中層および第2表面層をこの順に有する金型成形用紙基材の製造方法であって、
    前記中層のパルプよりフリーネスが低いパルプを含む第1表面層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる第1表面抄紙層を少なくとも有する第1抄紙層と、
    前記中層のパルプよりフリーネスが高いパルプを含む第2表面層用パルプスラリーを短網多筒式抄紙機で抄紙して得られる第2表面抄紙層を少なくとも有する第2抄紙層と、
    を抄き合わせることを特徴とする、製造方法。
  4. 前記第1表面層用パルプスラリーのフリーネスが、前記第2表面層用パルプスラリーのフリーネスより低い、請求項3に記載の製造方法。
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