JP2024057826A - 帯電防止フィルム - Google Patents

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唯純 田中
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Abstract

【課題】帯電防止機能を有するとともに、外観不良が抑制された帯電防止フィルムを提供する。【解決手段】帯電防止フィルムは、帯電防止層と、隣接層とを備える。帯電防止層は、熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性樹脂と高分子型帯電防止剤との相溶性を向上させる相溶化剤とを含有する樹脂組成物から構成される。隣接層は、帯電防止層の片面に隣接して積層され、熱可塑性樹脂を含有する。樹脂組成物は、隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、帯電防止フィルムに関する。
半導体ウェハや半導体パッケージの加工工程では、フィルム基材の少なくとも片面に粘着剤層が積層された各種の半導体加工用テープが使用される。より具体的には、半導体ウェハを切断して、個々の半導体チップに分割するダイシング工程において半導体ウェハに貼付されるダイシング用テープや、半導体ウェハの薄化を行うグラインディング工程において、パターニング面を保護する目的で半導体ウェハのパターニング面に貼付される、バックグラインド用テープ等がある。特許文献1はダイシング用テープに関する発明を開示し、特許文献2はバックグラインド用テープに関する発明を開示する。これらの半導体加工用テープは、フィルム基材部分において帯電防止機能を有する。
特開2018-125521号公報 特開2020-088231号公報
上記のような加工工程では、半導体加工用テープの外観品質が求められることがある。例えば、加工装置にて画像処理や光源を使用した半導体ウェハの位置合わせを行う場合に、半導体加工用テープの外観不良があると、加工装置の適切な制御を妨げてしまうことがある。また、ダイシング工程には、レーザーを用いた方法があり、半導体ウェハに貼付されたダイシング用テープ越しに半導体ウェハにレーザーが照射される。このような場合、半導体加工用テープに外観不良があると、レーザーのダイシング用テープの透過量にムラが生じる等して、ダイシングが良好に実行できないことがある。半導体加工用テープの外観品質は、帯電防止機能を有するフィルム基材の外観品質に大きく影響される。このため、帯電防止機能を有するフィルム基材の外観不良を抑制することは、半導体加工用テープの外観品質の向上に繋がる。
本発明は、帯電防止機能を有するとともに、外観不良が抑制された帯電防止フィルムを提供することを目的とする。
第1観点に係る帯電防止フィルムは、帯電防止層と、隣接層とを備える。帯電防止層は、熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、前記熱可塑性樹脂と前記高分子型帯電防止剤との相溶性を向上させる相溶化剤とを含有する樹脂組成物から構成される。隣接層は、前記帯電防止層の片面に隣接して積層され、熱可塑性樹脂を含有する。前記樹脂組成物は、前記隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を含有する。
ここで、同じ種類の熱可塑性樹脂とは、含有する全てのモノマーが一致する熱可塑性樹脂を言うものとする。
第2観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点に係る帯電防止フィルムであって、前記相溶化剤は、熱可塑性エラストマーである。
第3観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点または第2観点に係る帯電防止フィルムであって、前記樹脂組成物は、前記相溶化剤を5重量%以上、40重量%以下含有する。
第4観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記相溶化剤の230℃におけるメルトフローレートは、2g/10分以上である。
第5観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記帯電防止層の厚みは、2μm以上、20μm以下である。
第6観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第5観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記樹脂組成物は、前記隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を30重量%以上、80重量%以下含有する。
第7観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第6観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記樹脂組成物は、前記隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を1種類含有する。
本発明によれば、帯電防止機能を有するとともに、外観不良が抑制された帯電防止フィルムが提供される。
一実施形態に係る帯電防止フィルムの断面図。 帯電防止フィルムに生じる外観不良の一例。 帯電防止フィルムに生じる外観不良の別の例。
以下、本発明に係る帯電防止フィルム1の一実施形態について説明する。本実施形態に係る帯電防止フィルム1は、図1に示すように、第1面21及び第2面22を有するシート状の基体層2と、第1面21及び第2面22の少なくとも一方に隣接して積層される帯電防止層3とを備える。帯電防止フィルム1は、帯電防止層3を備えることにより、帯電防止層3側の表面において静電気を帯びにくくなっており、例えば後述する半導体加工用テープのフィルム基材として好適に使用される。なお、図1に示す実施形態はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されない。また、図面の寸法は必ずしも現実の寸法を反映したものではない。以下、各部材について詳細に説明する。
<1.帯電防止層>
帯電防止層3は、熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性樹脂と高分子型帯電防止剤との相溶性を向上させる相溶化剤とを含有する樹脂組成物から構成される。以下、それぞれの成分について説明する。
<1-1.熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、本実施形態では、帯電防止層3の片面に隣接して積層される基体層2の隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂である。隣接層6については、後述する。本実施形態の樹脂組成物は、隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を1種類含有するが、樹脂組成物は、隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を2種類以上含有してもよい。以下、1種類の熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂と区別し、第1の熱可塑性樹脂と称することがある。第1の熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、または非晶性オレフィン系樹脂から選択されることが好ましい。非晶性オレフィン系樹脂については、基体層2の項で説明する。
[エチレン系樹脂]
エチレン系樹脂としては、ポリエチレン、分岐鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、及びアイオノマー樹脂からなる群から選択されるエチレン系樹脂を用いることができる。この中では、LDPE、LLDPE、EVA、EMMA、EMAAまたはアイオノマー樹脂が好ましい。
[LDPE]
LDPEは、典型的には、100MPa以上の高圧、100℃~300℃の高温下でエチレンを重合させて得られる単独重合体である。LDPEの数平均分子量は、概ね10,000以上、1,000,000以下であることが好ましく、概ね50,000以上、500,000以下であることがより好ましい。LDPEの数平均分子量を概ね10,000以上とすることで、これを含有する樹脂組成物のフィルムへの成形性が向上する。一方、LDPEの数平均分子量を概ね1,000,000以下とすることで、これを含有する樹脂組成物の押出形成性が向上する。
JIS K7112に基づくLDPEの密度は、0.915g/cm3以上、0.935g/cm3以下であることが好ましく、0.917g/cm3以上、0.935g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210-1に基づくLDPEのメルトフローレート(MFR、190℃)は、0.3g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、3g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206に基づくLDPEのビカット軟化温度は、80℃以上、120℃以下であることが好ましく、85℃以上、115℃以下であることがより好ましく、90℃以上、110℃以下であることがさらに好ましい。また、LDPEの融点は、100℃以上、120℃以下であることが好ましく、105℃以上、115℃以下であることがより好ましい。
LDPEの市販品の例としては、UBEポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製)等が挙げられる。
[LLDPE]
LLDPEは、典型的には、中低圧化でエチレンを主成分とし、α-オレフィンを10モル%未満の共重合成分として共重合させて得られるエチレン系共重合体である。α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。
LLDPEの数平均分子量は、概ね10,000以上、1,000,000以下であることが好ましく、概ね50,000以上、500,000以下であることがより好ましい。LLDPEの数平均分子量を概ね10,000以上とすることで、これを含有する樹脂組成物のフィルムへの成形性が向上する。一方、LLDPEの数平均分子量を概ね1,000,000以下とすることで、これを含有する樹脂組成物の押出形成性が向上する。
JIS K7112に基づくLLDPEの密度は、0.880g/cm3以上、0.940g/cm3以下であることが好ましく、0.880g/cm3以上、0.935g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210-1に基づくLLDPEのMFR(190℃)は、1g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、3g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206に基づくLLDPEのビカット軟化温度は、40℃以上、125℃以下であることが好ましい。また、LLDPEの融点は、55℃以上、130℃以下であることが好ましく、60℃以上、125℃以下であることがより好ましい。
LLDPEの市販品の例としては、ユメリット(登録商標、宇部丸善ポリエチレン株式会社製)等が挙げられる。
[EVA]
JIS K7192:1999に基づくEVAの酢酸ビニル含有量は、30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。
JIS K7112:1999に基づくEVAの密度は、0.91g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.92g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210:1999に基づくEVAのMFR(190℃、荷重2.16kg)は、5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、6g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、7g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206:1999に基づくEVAのビカット軟化温度は、60℃以上、80℃以下であることが好ましく、65℃以上、75℃以下であることがより好ましい。また、EVAの融点は、85℃以上、105℃以下であることが好ましく、90℃以上、100℃以下であることがより好ましい。
[EMMA]
EMMAのメタクリル酸メチル含有量は、20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
JIS K7112に基づくEMMAの密度は、0.91g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.92g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210-1に基づくEMMAのMFR(190℃、荷重2.16kg)は、1g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、1.5g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206に基づくEMMAのビカット軟化温度は、70℃以上、95℃以下であることが好ましく、75℃以上、90℃以下であることがより好ましい。また、JIS K7121に基づくEMMAの融点は、75℃以上、115℃以下であることが好ましく、80℃以上、110℃以下であることがより好ましい。
[EMAA]
JIS K7112:1999に基づくEMAAの密度は、0.92g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.93g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210:1999に基づくEMAAのMFR(190℃、荷重2.16kg)は、0.5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206:1999に基づくEMAAのビカット軟化温度は、60℃以上、100℃以下であることが好ましく、70℃以上、90℃以下であることがより好ましい。また、JIS K7121に基づくEMAAの融点は、75℃以上、115℃以下であることが好ましく、80℃以上、110℃以下であることがより好ましい。
[アイオノマー樹脂]
アイオノマー樹脂は、エチレン-アクリル酸共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体中のカルボン酸基の少なくとも一部を、金属イオンで架橋することで得られる。
JIS K7112:1999に基づくアイオノマー樹脂の密度は、0.92g/cm3以上、0.99g/cm3以下であることが好ましく、0.93g/cm3以上、0.98g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210:1999に基づくアイオノマー樹脂のMFR(190℃、荷重2.16kg)は、0.5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、0.6g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、0.7g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206:1999に基づくアイオノマー樹脂のビカット軟化温度は、50℃以上、95℃以下であることが好ましく、55℃以上、90℃以下であることがより好ましい。また、アイオノマー樹脂の融点は、80℃以上、110℃以下であることが好ましく、85℃以上、105℃以下であることがより好ましい。
[プロピレン系樹脂]
プロピレン系樹脂としては、結晶性プロピレン及び非晶性プロピレンのいずれも使用することができる。結晶性プロピレンとしては、プロピレンを主成分として、α-オレフィンを共重合成分とするプロピレン系2元共重合体、または、プロピレン系3元共重合体が好ましく、プロピレン系3元ランダム共重合体が特に好ましい。α-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。共重合成分であるα-オレフィンの比率は1~10モル%であるのが好ましい。また、プロピレン系樹脂は、異なるプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体の混合物であってもよい。非晶性プロピレンについては、後述する非晶性オレフィン系樹脂についての項で説明する。
JIS K6921-2に基づくプロピレン系樹脂の密度は、0.88g/cm3以上、0.92g/cm3以下であることが好ましく、0.89g/cm3以上、0.91g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K6921-2に基づくプロピレン系樹脂のMFR(230℃)は、4g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、5g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、6g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K6921-2に基づくプロピレン系樹脂の荷重たわみ温度(0.45MPa)は、45℃以上、100℃以下であることが好ましく、55℃以上、90℃以下であることがより好ましく、60℃以上、80℃以下であることがさらに好ましい。
プロピレン系樹脂の融点は、110℃以上、170℃以下であることが好ましく、120℃以上、160℃以下であることがより好ましく、130℃以上、150℃以下であることがさらに好ましい。
プロピレン系樹脂の市販品の例としては、サンアロマー(サンアロマー株式会社製)等が挙げられる。
帯電防止層3を構成する樹脂組成物は、その全体100重量%に対し、第1の熱可塑性樹脂を30重量%以上、80重量%以下含有することが好ましく、35重量%以上、75重量%以下含有することがより好ましく、40重量%以上、70重量%以下含有することがさらに好ましい。なお、樹脂組成物が隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を2種類以上含有する場合は、樹脂組成物は、いずれかの熱可塑性樹脂を上記範囲となるように含有することが好ましい。
<1-2.高分子型帯電防止剤>
高分子型帯電防止剤は、帯電防止層3の表面固有抵抗値を調整することで、帯電防止フィルム1の帯電を抑制するとともに、直接放電を防止する機能を付与する。高分子型帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド(PEEA)、親水性オレフィンブロック共重合体等がある。帯電防止層3を構成する樹脂は、これらのいずれかを含有することができる。
[PEEA]
PEEAは、帯電防止性を主として付与するポリエーテルのソフトセグメントと、樹脂組成物への分散性や強度を主として付与するポリアミドのハードセグメントとを含む重合体である。PEEAは、例えば、主鎖中にエーテル基を有するポリジオール成分にジカルボン酸成分を反応させて末端エステルに代え、これにアミノカルボン酸またはラクタムを反応させることで製造することができる。
ASTM D 1238に基づくPEEAのMFR(215℃、荷重2.16kg)は、20g/10分以上、40g/10分以下であることが好ましい。また、PEEAの融点は、170℃以上、210℃以下であることが好ましく、180℃以上、200℃以下であることがより好ましい。
PEEAの市販品の例としては、TPAE(富士化成工業株式会社製)等が挙げられる。
[親水性オレフィンブロック共重合体]
親水性オレフィンブロック共重合体は、親水性ポリオレフィンを含有することにより高い除電性を有する。親水性ポリオレフィンは、典型的には、ポリエチレン鎖またはポリプロピレン鎖とポリオキシアルキレン基とがブロック結合した共重合体である。ブロック結合は、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレタン基等によって行うことができるが、他の樹脂との相溶性の観点からは、ブロック結合はエステル基またはエーテル基によって行われることが好ましい。
ASTM D 1238に基づく親水性オレフィンブロック共重合体のMFR(190℃、荷重2.16kg)は、8g/10分以上が好ましく、10g/10分以上がより好ましい。また、親水性オレフィンブロック共重合体の融点は、115℃以上、165℃以下であることが好ましく、130℃以上、160℃以下であることがより好ましい。
親水性オレフィンブロック共重合体(ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体)の市販品の例としては、ペレクトロン(三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
帯電防止層3を構成する樹脂組成物は、その全体100重量%に対し、上記高分子型帯電防止剤のうち1種類を、20重量%以上、40重量%以下含有することが好ましく、25重量%以上、35重量%以下含有することがより好ましく、27重量%以上、33重量%以下含有することがさらに好ましい。1種類の高分子型帯電防止剤の含有割合を上記下限以上とすることで、帯電防止層3に十分な帯電防止機能を付与することができる。一方、1種類の高分子型帯電防止剤の含有割合を上記上限以下とすることで、高分子型帯電防止剤の凝集による帯電防止フィルム1の外観の悪化や、表面固有抵抗値の位置によるばらつきを抑制することができる。
<1-3.相溶化剤>
相溶化剤は、樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の分散性を向上させることにより、帯電防止層3の表面固有抵抗値のばらつきを抑制するとともに、帯電防止層3の外観を良好にする。なお、帯電防止層3の外観不良とは、例えば、筋状の不透明な痕や、白濁して見える曇りが現れる等、帯電防止フィルム1の透明性を阻害する不良であり、樹脂組成物中の成分が偏ることにより発生すると考えられる。
相溶化剤としては、熱可塑性エラストマーを用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、及びこれらの変性物等が挙げられる。
[オレフィン系エラストマー]
オレフィン系エラストマーとしては、スチレン成分を含まず、融点が110℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、または融点が観測されない炭素数2~20のα-オレフィン重合体または共重合体が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ペンテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・3-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体、1-ブテン単独重合体、1-ブテン・エチレン共重合体、4-メチル-1-ペンテン・1-ブテン共重合体、4-メチル-1-ペンテン・プロピレン・1-ペンテン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂の相溶化を向上させる観点からは、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶がそれぞれ硬質相・軟質相・硬質相となるブロック共重合体(CEBC)が好ましく、ブチレンの含有率が高いものがより好ましい。
オレフィン系エラストマーの変成物は、ポリプロピレンまたはポリエチレンと、不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体とがグラフト共重合したポリオレフィン系樹脂である。
不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体は、1分子内にエチレン性不飽和結合とカルボキシル基、酸無水物基または誘導体基とを有する化合物である。不飽和カルボン酸類の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2,3-ジカルボン酸、メチル-エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸;これらの不飽和カルボン酸の無水物;不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、および不飽和カルボン酸イミドの誘導体などがあげられる。より具体的には、塩化マレニル、マレイミド、N-フェニルマレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げることができる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸が好ましく、マレイン酸及び無水マレイン酸がより好ましい。このような不飽和カルボン酸、無水物及びその誘導体は1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
ISO 1133に基づくオレフィン系エラストマーのMFR(230℃、荷重2.16kg)は、1g/10分以上が好ましく、2g/10分以上がより好ましく、2.5g/10分以上がさらに好ましい。
オレフィン系エラストマーの市販品の例としては、ゼラス(登録商標、三菱化学株式会社製)、ダイナロン(株式会社ENEOSマテリアル製)等が挙げられる。
[スチレン系エラストマー]
スチレン系エラストマーとしては、スチレン系単量体とジエン系単量体との共重合体、及びこの水素添加物(水添スチレン系エラストマー)が挙げられ、これらはランダム共重合体であってもよいし、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のブロック共重合体であってもよい。スチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。スチレン系単量体は1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
ジエン系単量体としては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられ、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられ、中でも1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。ジエン系単量体は1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
水添スチレン系エラストマーは、上記スチレン系エラストマーに存在するジエン系単量体に由来する二重結合に、ニッケル触媒等の公知の方法により、水素添加を施したものである。二重結合を飽和させると、耐熱性、耐薬品性及び耐久性が向上し、安定した樹脂が得られる。
水添スチレン系エラストマーの水添率は、スチレン系エラストマーにおけるジエン系単量体に由来する二重結合の85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
水添スチレン系エラストマーにおけるスチレン系単量体の含有割合は、10%以上、70%以下であることが好ましく、10%以上、60%以下であることがより好ましく、11%以上、50%以下であることがさらに好ましい。
水添スチレン系エラストマーにおけるジエン系単量体の含有割合は、30%以上、90%以下であることが好ましく、40%以上、90%以下であることがより好ましく、50%以上、89%以下であることがさらに好ましい。
ISO 1183に基づくスチレン系エラストマー(水添スチレン系エラストマーを含む)の密度は、0.85g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.86g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましく、0.87g/cm3以上、0.93g/cm3以下であることがさらに好ましい。
ISO 7619に基づくスチレン系エラストマー(水添スチレン系エラストマーを含む)の硬度(デュロメータータイプA)は、40以上、95以下であることが好ましく、45以上、90以下であることがより好ましく、50以上、85以下であることがさらに好ましい。
ISO 1133に基づくスチレン系エラストマー(水添スチレン系エラストマーを含む)のMFR(230℃、荷重2.16kg)は、2g/10分以上が好ましく、2.8g/10分以上がより好ましく、3g/10分以上がさらに好ましく、4g/10分以上が特に好ましい。スチレン系エラストマーのMFRを上記下限以上とし、高分子型帯電防止剤のMFRと近づけることで、第1熱可塑性樹脂と高分子型帯電防止剤との相溶化効果がより向上する。
水添スチレン系エラストマーを含むスチレン系エラストマーには、これらを不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体で変性した変性物も含まれてよい。不飽和カルボン酸類の具体例としては、オレフィン系エラストマーの項で説明した通りであり、中でもマレイン酸及び無水マレイン酸が好ましい。また、スチレン系エラストマーには、ポリプロピレンとスチレン系エラストマーとの混合物が含まれてもよい。
スチレン系エラストマー及び水添スチレン系エラストマーの市販品の例としては、タフテック(登録商標、旭化成株式会社製)、タフプレン(登録商標、旭化成株式会社製)、クレイトン(登録商標、クレイトン社製)、クインタック(登録商標、日本ゼオン株式会社製)、セプトン(株式会社クラレ製)等が挙げられる。ポリプロピレンとスチレン系エラストマーとの混合物の市販品の例としては、ゼラス(登録商標、三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
帯電防止層3を構成する樹脂組成物は、その全体100重量%に対し、上記熱可塑性エラストマーを、5重量%以上、40重量%以下含有することが好ましく、10重量%以上、35重量%以下含有することがより好ましく、15重量%以上、33重量%以下含有することがさらに好ましい。上記熱可塑性エラストマーの含有割合を上記下限以上とすることで、十分な相溶化効果を発揮することができる。一方、上記熱可塑性エラストマーの含有割合を上記上限以下とすることで、相溶化の促進が過剰となり、高分子型帯電防止剤による導電回路の形成が阻害されることが回避される。
帯電防止層3の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、3μm以上、15μm以下であることがより好ましく、4μm以上、12μm以下であることがさらに好ましい。帯電防止層3の厚みを上記下限以上とすることで、十分な帯電防止機能が付与される一方、帯電防止層3の厚みを上記上限以下とすることで、コストを抑制することができる。
<2.基体層>
基体層2は、熱可塑性樹脂を主成分として含有する層である。基体層2は、1つの層を有してもよいし、それ自体が異なる樹脂組成物から構成される2つ以上の層を有する積層体であってもよい。本実施形態に係る基体層2は、1つのコア層4と、2つの中間層5,5と、2つの隣接層6,6とを有する。2つの隣接層6,6は、基体層2の第1面21及び第2面22をそれぞれ構成する。2つの中間層5,5は、それぞれコア層4と隣接層6との間に積層され、コア層4の両面に隣接するとともに、1つの隣接層6とも隣接する。このように、基体層2が、コア層4を中心として対称な構造を有する場合は、カールの発生が抑制される。
基体層2の厚みは、40μm以上、200μm以下であることが好ましく、45μm以上、190μm以下であることがより好ましく、50μm以上、180μm以下であることがさらに好ましい。
<2-1.隣接層>
隣接層6,6は、少なくとも一方に帯電防止層3が積層される層である。以下、1つの隣接層6を例に説明する。隣接層6は、熱可塑性樹脂を含有し、その中には、帯電防止層3を構成する樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂が含まれる。本実施形態の隣接層6は、1種類の熱可塑性樹脂から構成される。この熱可塑性樹脂は、帯電防止層3を構成する第1の熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂であり、帯電防止層3の項で説明したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、または後述する非晶性オレフィン系樹脂のいずれかを用いることができる。中でも、LDPEが好ましい。このように、帯電防止層3と、隣接層6とで同じ熱可塑性樹脂を用いることにより、これらの層を構成する樹脂組成物を共押出する際の流速のムラが抑制され、帯電防止フィルム1の外観に好ましくない影響を与えにくくなる。また、層間の相溶性が向上することにより、層間の接着強度が向上する。
隣接層6の厚みは、5μm以上、40μm以下であることが好ましく、8μm以上、35μm以下であることがより好ましく、10μm以上、30μm以下であることがさらに好ましい。
<2-2.中間層>
本実施形態の中間層5,5は、コア層4と隣接層6,6との結合を強化するための接着層として構成される。以下、1つの中間層5を例に説明する。中間層5は、帯電防止層3の項で説明したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、及び後述する非晶性オレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物から構成することができ、樹脂組成物は、これらの中から異なる2種類以上を含有してもよい。中でも、上述したLDPEと、LLDPEとが混合された樹脂組成物が好ましい。中間層5に用いるLDPE及びLLDPEは、それぞれ、隣接層6に用いられるLDPE及びLLDPEと同じ品であってもよいし、異なっていてもよい。
中間層5の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、3μm以上、15μm以下であることがより好ましく、4μm以上、12μm以下であることがさらに好ましい。
<2-3.コア層>
コア層4は、帯電防止フィルム1の中で最も厚みが大きい層である。コア層4は、帯電防止層3の項で説明したプロピレン系樹脂、エチレン系樹脂及び非晶性オレフィン系樹脂の少なくとも1種類を含有する樹脂組成物から構成することができる。
[非晶性オレフィン系樹脂]
非晶性オレフィン系樹脂としては、例えば、所定の触媒を用いてプロピレンを単独重合させた、(軟質ポリプロピレンとも称される)非晶性ポリプロピレンや、所定の触媒を用いて、プロピレン及び1-ブテンの少なくとも一方と、(プロピレン及び1-ブテンを除く)炭素数2~20のα-オレフィンとを共重合させた共重合体が挙げられる。プロピレンまたは1-ブテンの重合比は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることが特に好ましく、90重量%以上であることが最も好ましい。
プロピレン及び1-ブテンを除く炭素数2~20のα-オレフィンとしては、エチレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。これらのα-オレフィンは、1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
上記非晶性オレフィン系樹脂としては、例えば、プロプレン・1-ブテン共重合、プロピレン・エチレン共重合体、1-ブテン・エチレン共重合体、プロプレン・1-ブテン・エチレン共重合体等が好ましい。各モノマー単位は、ランダムに配列され、結晶性が低いことが好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の数平均分子量は、概ね1,000以上、100,000以下であることが好ましく、1,200以上、50,000以下であることがより好ましく、1,500以上、30,000以下であることがより好ましく、2,000以上、25,000以下であることがさらに好ましく、2,000以上、20,000以下であることが特に好ましく、2,000以上、15,000以下であることが最も好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-80℃以上、0℃以下であることが好ましく、-70℃以上、-5℃以下であることがより好ましく、-60℃以上、-10℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温温度10℃/分で測定することができる。非晶性オレフィン系樹脂のガラス転移温度が上記範囲内であることにより、帯電防止フィルム1を含む半導体加工用テープは、低温条件下でエキスパンドを実施する場合でも均一に伸長することができ、半導体ウェハ等の切断対象物とダイボンド層とが一括して良好に切断される。
非晶性オレフィン系樹脂の結晶融解熱は、帯電防止フィルム1の柔軟性及び加工性を向上させる観点から、50J/g以下であることが好ましく、40J/g以下であることがより好ましく、30J/g以下であることがさらに好ましく、25J/g以下であることが特に好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の固有粘度[η]は、概ね0.1dl/g以上、1.0dl/g以下であることが好ましく、0.2dl/g以上、0.9dl/g以下であることがより好ましく、0.25dl/g以上、0.7dl/g以下であることがさらに好ましく、0.3dl/g以上、0.6dl/g以下であることが特に好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の溶融粘度(190℃)は、概ね200mPa・s以上、30,000mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以上、28,000mPa・s以下であることがより好ましく、1,000mPa・s以上、25,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、5,000mPa・s以上、10,000mPa・s以下であることが特に好ましい。
特に、非晶性オレフィン系樹脂として非晶性ポリプロピレンを用いる場合、非晶性ポリプロピレンのJIS K7112に基づく密度は、0.86g/cm3以上、0.92g/cm3以下であることが好ましく、0.87g/cm3以上、0.91g/cm3以下であることがより好ましく、0.88g/cm3以上、0.9g/cm3以下であることがさらに好ましい。
また、非晶性オレフィン系樹脂として非晶性ポリプロピレンを用いる場合、非晶性ポリプロピレンのJIS K7210に基づくMFR(230℃)は、1g/10分以上、15g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上、12g/10分以下であることがより好ましい。
また、非晶性オレフィン系樹脂として非晶性ポリプロピレンを用いる場合、非晶性ポリプロピレンのJIS K7191に基づく荷重たわみ温度(0.46MPa)は、35℃以上、65℃以下であることが好ましく、40℃以上、60℃以下であることがより好ましく、45℃以上、55℃以下であることがさらに好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の市販品の例としては、タフセレン(住友化学株式会社製)、タフマー(登録商標、三井化学株式会社製)、ペリコンCAP(大日精化工業株式会社製)等が挙げられる。
コア層4の厚みは、30μm以上、160μm以下であることが好ましく、40μm以上、150μm以下であることがより好ましく、50μm以上、140μm以下であることがさらに好ましい。
<3.その他の成分>
その他、コア層4、中間層5,5、隣接層6,6及び帯電防止層を構成する樹脂組成物の少なくとも1つには、本発明の効果を阻害しない範囲において、高分子型帯電防止剤以外の帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤、フィラー等の添加剤が添加されてもよい。
<4.表面固有抵抗値>
JIS K6911:1995に準拠して測定される帯電防止層3の表面の表面固有抵抗値(Ω/□)は、2.0×1010以下であることが好ましく、1010以下であることがより好ましい。
<5.外観品質>
帯電防止フィルム1の外観は、加工装置において画像処理に基づく制御や、レーザー透過性が妨げられない程度の透明性を有し、目視により確認できる筋状のムラや、曇りが少なければ少ないほど好ましい。
<6.製造方法>
帯電防止フィルム1を製造する方法は特に限定されないが、共押出法により帯電防止層3、コア層4、中間層5,5、及び隣接層6,6を同時に成形する方法が好ましい。上記共押出法がTダイによる共押出である場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、または、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、帯電防止フィルム1の各層を構成する樹脂組成物の原料をそれぞれ押出機に投入し、帯電防止層3/隣接層6/中間層5/コア層4/中間層5/隣接層6の順に積層されるように、ダイスによりシート状に押出し、30℃~70℃の引き取りロールにて冷却固化した後、実質的に無延伸で引き取る。無延伸のまま引き取りを行うことで、半導体装置の加工工程にて半導体加工用テープの拡張を効果的に行うことができる。
なお、「実質的に無延伸」とは、引き取りの際にたるみが生じない程度に引張することや、半導体加工用テープの拡張に悪影響を及ぼさない程度の延伸を排除するものではない。
<7.帯電防止フィルムの適用例>
帯電防止フィルム1は、例えばバックグラインド用、テープダイシング用テープ、及びステルスダイシング用テープ等を含む半導体加工用テープに適用することができる。
<8.帯電防止フィルムの他の態様>
帯電防止フィルム1の層構成は、上記実施形態のものに限られない。例えば、帯電防止層3は、両側の隣接層6,6に隣接して、2つ積層されてもよい。また、基体層2は、コア層4を挟んで対照的な層構成でなくてもよく、コア層4を挟んだ層の構成を変更してもよい。また、基体層2のうち、隣接層6,6の一方や、中間層5,5の少なくとも一方、及びコア層4のうち少なくとも1つは、省略されてもよい。また、帯電防止フィルム1を半導体加工用テープ等へ適用する場合も、上記実施形態に限られず、適宜変更することができる。
<9.特徴>
帯電防止層3は、高分子型帯電防止剤と、隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂と、これらの相溶化剤とを含有する樹脂組成物から構成される。これにより、樹脂組成物における高分子型帯電防止剤の分散性が向上し、帯電防止層3の帯電防止機能が良好に発揮される一方、外観品質も向上させることができる。上記熱可塑性樹脂は、隣接層6に含有される熱可塑性樹脂に応じて選択することができるため、上記の効果は、種々の隣接層6に応じて実現される。また、帯電防止層3と隣接層6とが同じ種類の熱可塑性樹脂を含有することにより、帯電防止層3及び隣接層6を構成する樹脂組成物の流動特性が類似するため、共押出時にムラが生じにくく、外見品質の向上効果がさらに期待される。また、接着剤等を介在させなくてもこれら層間の結合力が向上する。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されない。
<1.実施例及び比較例の準備>
以下の通り、実施例1~17及び比較例1に係る帯電防止フィルムを作製した。実施例1,5,7~9,12~17及び比較例1に係る帯電防止フィルムは、図1に示すように、隣接層/中間層/コア層/中間層/隣接層/帯電防止層がこの順に積層された、4種6層構成とした。また、実施例2~4,6,10及び11に係る帯電防止フィルムでは、中間層を省略し、隣接層/コア層/隣接層/帯電防止層がこの順に積層された、3種4層構成とした。用いた原料の組成、物性等を表1に示す。高分子型帯電防止剤は、ペレクトロンUC(三洋化成工業株式会社製)である。PE-3はVA含有量10重量%のEVAである。
表1に示す原料を、以下の表2に示す割合で混合することで、実施例1~17及び比較例1に係る帯電防止層及び基体層を構成する原料組成物を得た。これらの原料組成物をそれぞれの押出機に供給し、180℃~240℃で帯電防止層及び基体層が積層されたフィルム状に多層Tダイから共押出し、これを30℃~70℃の冷却ロールに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取り、実施例1~17及び比較例1に係る帯電防止フィルムを作製した。実施例1~11及び15、ならびに比較例1では帯電防止層の厚みを5μm、基体層の厚みを145μm、全体の厚みを150μmとし、実施例12では帯電防止層の厚みを15μm、基体層の厚みを135μm、全体の厚みを150μmとし、実施例13では帯電防止層の厚みを3μm、基体層の厚みを147μm、全体の厚みを150μmとし、実施例14では帯電防止層の厚みを5μm、基体層の厚みを65μm、全体の厚みを70μmとし、実施例16及び17では帯電防止層の厚みを5μm、基体層の厚みを75μm、全体の厚みを80μmとした。
<2.評価>
上記実施例1~17及び比較例1に係る帯電防止フィルムについて、以下の評価を行った。
<2-1.表面固有抵抗>
JIS K6911(1995)に準拠した。各帯電防止フィルムを21℃~25℃、45%~55%RH雰囲気下で12~24時間静置した後、同環境下で各帯電防止フィルムに電圧500Vを印加した。電圧の印加開始から10秒後、各帯電防止フィルムの帯電防止層の表面から無作為に5か所を抽出し、ハイレスタUP MCP-450型(株式会社ダイアインスツルメンツ社製)により、表面固有抵抗(Ω/□)を測定した。各帯電防止フィルムについて、5か所の測定値の平均を当該帯電防止フィルムの表面固有抵抗値(Ω/□)とした。表面固有抵抗値が2.0×1010(Ω/□)以下であれば、帯電防止機能が良好に発揮されていると評価した。
<2-2.外観評価>
作製から1時間後の各帯電防止フィルムの表面を、3人の観察者が観察し、以下の基準に従って評価した。
A:透明性が高く、画像処理による位置合わせの制御を妨げるような欠点がなく、問題がないと3人が判断した。
B:軽度の白濁が観察されるが、実質的な問題がないと3人が判断した。
C:図2Aや2Bに示すように、白色のムラやスジ状の欠点があると3人が判断した。
<3.評価結果>
評価結果を表3に示す。
以上の結果によると、実施例1~17は、十分な帯電防止機能を有する一方で、帯電防止層に相溶化剤を含まない比較例1と比較して外観が良好であることが確認された。この結果から、帯電防止層が相溶化剤を含むことにより、外観品質が向上することが確認された。なお、実施例1~4では透明性が高い外観が得られた一方、実施例15~17は外観評価がBとなった。この結果から、外観品質の向上の観点からは、相溶化剤のMFRは、2.8g/10分以上であることがより好ましいことが分かった。実施例12及び13の結果からは、帯電防止層の厚みを変動させても同様の効果が得られることが確認され、実施例2~4,6,10及び11の結果からは、中間層を省略しても同様の効果が得られることが確認された。
1 帯電防止フィルム
2 基体層
3 帯電防止層
4 コア層
5 中間層
6 隣接層
21 第1面
22 第2面

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、前記熱可塑性樹脂と前記高分子型帯電防止剤との相溶性を向上させる相溶化剤とを含有する樹脂組成物から構成される帯電防止層と、
    前記帯電防止層の片面に隣接して積層され、熱可塑性樹脂を含有する隣接層と
    を備え、
    前記樹脂組成物は、前記隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を含有する、
    帯電防止フィルム。
  2. 前記相溶化剤は、熱可塑性エラストマーである
    請求項1に記載の帯電防止フィルム。
  3. 前記樹脂組成物は、前記相溶化剤を5重量%以上、40重量%以下含有する、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  4. 前記相溶化剤の230℃におけるメルトフローレートは、2g/10分以上である、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  5. 前記帯電防止層の厚みは、2μm以上、20μm以下である、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  6. 前記樹脂組成物は、前記隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を30重量%以上、80重量%以下含有する、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  7. 前記樹脂組成物は、前記隣接層に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を1種類含有する、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
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