JP2024052337A - 配線シート及びシート状ヒータ - Google Patents

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Abstract

【課題】設計の自由度が高い配線シートを提供すること。【解決手段】複数の導電性線状体21が間隔をもって配列された疑似シート構造体2と、一対の電極4とを備え、導電性線状体21のうちの少なくとも1本は、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが、他の1本と異なる、配線シート100。【選択図】図1

Description

本発明は、配線シート及びシート状ヒータに関する。
面状ヒータの用途に用いることができる配線シートとして、例えば、特許文献1には、一方向に延びた複数の線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体を有する導電性シートが記載されている。そして、複数の線状体の両端に、一対の電極が設けられることで、発熱体として用いることができる配線シートが得られる。
このような面状ヒータを製品化する場合、配線シートとしての抵抗値、又は線状体の間隔等の仕様を合わせる必要がある。しかしながら、単一種類の線状体を用いて、配線シートの設計を行うと、販売されている線状体の種類には限りがあるため、設計が困難という問題があった。
国際公開第2017/086395号
本発明の目的は、設計の自由度が高い配線シート及びシート状ヒータを提供することである。
[1] 複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体と、一対の電極とを備え、
前記導電性線状体のうちの少なくとも1本は、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが、他の1本と異なる、
配線シート。
[2] [1]に記載の配線シートにおいて、
前記導電性線状体は、3種類以上であり、
3種類以上の導電性線状体が、周期性をもって配置されている、
配線シート。
[3] [2]に記載の配線シートにおいて、
前記3種類以上の導電性線状体のうちの1種類は、他の種類と材質または表層材料が異なり、
前記導電性線状体の間隔が、1.5mm以下である、
配線シート。
[4] [1]から[3]のいずれかに記載の配線シートを備える、
シート状ヒータ。
本発明の一態様によれば、設計の自由度が高い配線シート及びシート状ヒータを提供できる。
本発明の実施形態に係る配線シートを示す概略図である。 図1のII-II断面を示す断面図である。
[実施形態]
以下、本発明について実施形態を例に挙げて、図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
(配線シート)
本実施形態に係る配線シート100は、図1及び図2に示すように、基材1と、疑似シート構造体2と、樹脂層3と、一対の電極4とを備えている。具体的には、配線シート100は、基材1上に樹脂層3が積層され、樹脂層3上に疑似シート構造体2が積層されている。疑似シート構造体2は、複数の導電性線状体21が間隔をもって配列されている。
そして、導電性線状体21のうちの少なくとも1本は、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが、他の1本と異なっている。具体的には、図1及び図2で示すように、直径の異なる2種類の導電性線状体21が、周期性をもって、交互に、配置されている。
本実施形態に係る配線シート100により、設計の自由度が高められる理由は、以下の通りであると本発明者らは推察する。
すなわち、従来のように、単一種類の導電性線状体21を用いる場合には、導電性線状体21自体の材質、表層材料、及び直径などを変更したり、導電性線状体21の本数を変更することで、疑似シート構造体2としての抵抗値を調整していた。しかしながら、導電性線状体21の種類には、限りがあるため、目的とする抵抗値に調整することは、困難であった。これに対し、本実施形態においては、例えば2種類の導電性線状体21を半分ずつ用いることで、疑似シート構造体2としての抵抗値を調整できる。また、例えば2種類の導電性線状体21を2対1の割合で用いることでも、疑似シート構造体2としての抵抗値を調整できる。このように、使用する導電性線状体21を2種類にするだけで、疑似シート構造体2としての抵抗値をより自由に調整できるようになる。なお、2種類の導電性線状体21を、周期性をもって配置すれば、配線シート100としての見た目の問題もほとんど生じない。このようにして、設計の自由度が高められる。
本実施形態においては、例えば、導電性線状体21同士のいずれかの間で、材質が異なるようにしてもよい。
導電性線状体21の単位長さあたりの抵抗値は、材質を変えれば、材質に応じて変化させることができる。例えば、体積抵抗率の高い材質を用いるほど、導電性線状体21の単位長さあたりの抵抗値は高くなる。
導電性線状体21同士のいずれかの間で、表層材料が異なるようにしてもよい。
導電性線状体21の単位長さあたりの抵抗値は、表層材料の種類を変えれば、表層材料の種類に応じて変化させることができる。例えば、表層材料として体積抵抗率の低いものを用いるほど、導電性線状体21の単位長さあたりの抵抗値は低くなる。
導電性線状体21同士のいずれかの間で、直径が異なるようにしてもよい。
導電性線状体21の単位長さあたりの抵抗値は、直径を変えれば、断面積が変化するため、直径に応じて変化させることができる。例えば、導電性線状体21の直径を太くするほど、導電性線状体21の単位長さあたりの抵抗値は低くなる。
導電性線状体21同士のいずれかの間で、平面視における波状形状が異なるようにしてもよい。
電極4間の導電性線状体21の抵抗値は、平面視における波状形状(波形、波長及び振幅等)を変えれば、導電性線状体21の長さが変化するため、波形、波長及び振幅等に応じて変化させることができる。例えば、波長が短くなるほど、また、振幅が大きくなるほど、電極4間の導電性線状体21の抵抗値は高くなる。
本実施形態においては、導電性線状体21において、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つを、適宜調整すればよい。また、これらの2つ以上を、組み合わせて、調整してもよい。
本実施形態においては、導電性線状体21は、3種類以上であり、3種類以上の導電性線状体が、周期性をもって配置されていることが好ましい。
このように、3種類以上の導電性線状体21を用いれば、設計の自由度を更に高められる。また、導電性線状体21を、周期性をもって配置すれば、配線シート100としての見た目の問題もほとんど生じない。
また、本実施形態においては、3種類以上の導電性線状体21のうちの1種類は、他の種類と材質または表層材料が異なり、導電性線状体21の間隔Lが、2.0mm以下であることが好ましい。
材質または表層材料を変化させることにより、導電性線状体21自体の抵抗値をかなり大きく変化させることができる。例えば、他の種類の材質が金属の場合に、1種類の材質をカーボンナノチューブとした場合、カーボンナノチューブと金属とでは、抵抗値の差がかなり大きいので、配線シート100に電流を流したときに、材質がカーボンナノチューブである導電性線状体21は、ほとんど発熱しなくなる。このようにすれば、ほとんど発熱しないダミーの導電性線状体21を有する疑似シート構造体2を得られる。そして、疑似シート構造体2としての抵抗値を変えずに、導電性線状体21の本数を増やすこともできる。
なお、導電性線状体21の視認性と人間の目の空間周波数特性の関係性から、導電性線状体21の間隔Lが、2.5mm以上の場合、導電性線状体21が非常に見え易くなることが分かっている。一方で、導電性線状体21の間隔が、2.0mm以下であると、導電性線状体21が見え難くなるといった現象がある。また、同様の観点から、導電性線状体21の間隔は、1.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以下であることが特に好ましい。導電性線状体21は、通常、見え難い方が好ましく、この場合を、導電性線状体21の視認性が良好であるともいう。そして、本実施形態においては、疑似シート構造体2としての抵抗値を変えずに、導電性線状体21の本数を増やし、導電性線状体21の間隔を調整できる。そのため、疑似シート構造体2としての抵抗値を変えずに、導電性線状体21を見え難くできる。
また、導電性線状体21の間隔Lは、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることが特に好ましい。導電性線状体21の間隔Lを上記の値とすることで隣り合う導電性線状体21同士が接触することを防ぐことができる。
導電性線状体21の間隔Lは、デジタル顕微鏡を用いて、例えば、疑似シート構造体2の導電性線状体21を観察し、隣り合う2つの導電性線状体21の間隔を測定する。
なお、隣り合う2つの導電性線状体21の間隔とは、導電性線状体21を配列させていった方向に沿った長さであって、2つの導電性線状体21の対向する部分間の長さである(図2参照)。間隔Lは、導電性線状体21の配列が不等間隔である場合には、全ての隣り合う導電性線状体21同士の間隔の平均値である。
(基材)
基材1は、疑似シート構造体2を直接的または間接的に支持できる。なお、基材1は、必ずしも備えていなくてもよい。基材1は必要に応じて設けられる部材である。
基材1としては、例えば、樹脂フィルム、紙、不織布、布及びガラスフィルム等が挙げられる。基材1は、透明性を有していてもよく、又は視認性を有していていもよい。このようにすれば、配線シート100を、透明にしたり、視認性を有するものにできる。また、基材1は、伸縮性を有していてもよいであってもよい。例えば、基材1が伸縮性を有して入れば、疑似シート構造体2を基材1上に設けた場合でも、配線シート100の伸縮性を確保できる。
基材1としては、樹脂フィルム、不織布、及び布等を用いることができる。
合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリイミドフィルム等が挙げられる。その他、伸縮性を有する基材としては、これらの架橋フィルム及び積層フィルム等が挙げられる。
また、不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブロー不織布、及びスパンレース不織布等が挙げられる。布としては、例えば、織物及び編物等が挙げられる。伸縮性基材としての紙、不織布、及び布はこれらに限定されない。
基材1の厚さは、特に限定されない。基材1の厚さは、10μm以上10mm以下であることが好ましく、15μm以上5mm以下であることがより好ましく、50μm以上3mm以下であることがさらに好ましい。
(疑似シート構造体)
疑似シート構造体2は、複数の導電性線状体21が、互いに間隔をもって配列された構造とされている。また、疑似シート構造体2は、導電性線状体21の軸方向と交差する方向に、複数配列された構造とされている。
導電性線状体21は、配線シート100の平面視において、直線状であってもよいが、波形状を成していてもよい。波形状としては、例えば、正弦波、矩形波、三角波、及びのこぎり波等が挙げられる。例えば、疑似シート構造体2が、このような構造であれば、導電性線状体21の軸方向に、配線シート100を伸張した際に、導電性線状体21の断線を抑制できる。
導電性線状体21の体積抵抗率は、1.0×10-9Ω・m以上1.0×10-3Ω・m以下であることが好ましく、1.0×10-8Ω・m以上1.0×10-4Ω・m以下であることがより好ましい。導電性線状体21の体積抵抗率を上記範囲にすると、疑似シート構造体2の面抵抗が低下しやすくなる。
導電性線状体21の体積抵抗率の測定は、次のとおりである。導電性線状体21の端部及び端部からの長さ40mmの部分に銀ペーストを塗布し、端部及び端部から長さ40mmの部分の抵抗を測定する。そして、導電性線状体21の断面積(単位:m)を上記の抵抗値に乗じ、得られた値を上記の測定した長さ(0.04m)で除して、導電性線状体21の体積抵抗率を算出する。
導電性線状体21の断面の形状は、特に限定されず、多角形、扁平形、楕円形、又は円形等を取り得る。樹脂層3との馴染み等の観点から、導電性線状体21の断面の形状は、楕円形、又は円形であることが好ましい。
導電性線状体21の断面が円形である場合には、導電性線状体21の太さ(直径)D(図2参照)は、3μm以上200μm以下であることが好ましい。シート抵抗の上昇抑制と、配線シート100の発熱効率及び耐絶縁破壊特性の向上との観点から、導電性線状体21の直径Dは、4μm以上150μm以下であることがより好ましく、5μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
導電性線状体21の断面が楕円形である場合には、長径が上記の直径Dと同様の範囲にあることが好ましい。
導電性線状体21の直径Dは、デジタル顕微鏡を用いて、導電性線状体21を観察し、無作為に選んだ5箇所で、導電性線状体21の直径を測定し、その平均値とする。
導電性線状体21の態様は、特に制限はないが、金属ワイヤーを含む線状体(以下「金属ワイヤー線状体」とも称する)であることがよい。金属ワイヤーは高い熱伝導性、高い電気伝導性、高いハンドリング性を有する。金属ワイヤー線状体は抵抗を大きく低下させることが可能であり、金属ワイヤー線状体の直径を極めて小さくしても、配線シート100の発熱に必要な電流で通電できる。これにより、導電性線状体21が視認されにくい状態にできる。すなわち、導電性線状体21として金属ワイヤー線状体を適用すると、疑似シート構造体2の抵抗値を低減しつつ、光線透過性が向上しやすくなる。また、配線シート100は、速やかな発熱が実現されやすくなる。さらに、上述したように直径が細い線状体を得られやすい。
なお、導電性線状体21としては、金属ワイヤー線状体の他に、カーボンナノチューブを含む線状体、及び、糸に導電性被覆が施された線状体が挙げられる。
金属ワイヤー線状体は、1本の金属ワイヤーからなる線状体であってもよいし、複数本の金属ワイヤーを撚った線状体であってもよい。
金属ワイヤーとしては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、及び金等の金属、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等)を含むワイヤーが挙げられる。また、金属ワイヤーは、金、錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、又は、はんだ等でめっきされたものであってもよく、後述する炭素材料、又はポリマー等により表面が被覆されたものであってもよい。特に、タングステン及びモリブデン、並びにこれらを含む合金から選ばれる一種以上の金属を含むワイヤーが、低い体積抵抗率の観点から好ましい。
金属ワイヤーとしては、炭素材料で被覆された金属ワイヤーも挙げられる。金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると、金属光沢が低減し、金属ワイヤーの存在を目立たなくすることが容易となる。また、金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると金属腐食も抑制される。
金属ワイヤーを被覆する炭素材料としては、非晶質炭素(例えば、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、及びカーボンファイバー等)、グラファイト、フラーレン、グラフェン及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。
カーボンナノチューブを含む線状体は、例えば、カーボンナノチューブフォレスト(カーボンナノチューブを、基板に対して垂直方向に配向するよう、基板上に複数成長させた成長体のことであり、「アレイ」と称される場合もある)の端部から、カーボンナノチューブをシート状に引き出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚ることにより得られる。このような製造方法において、撚りの際に捻りを加えない場合には、リボン状のカーボンナノチューブ線状体が得られ、捻りを加えた場合には、糸状の線状体が得られる。リボン状のカーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブが捻られた構造を有しない線状体である。このほか、カーボンナノチューブの分散液から、紡糸をすること等によっても、カーボンナノチューブ線状体を得ることができる。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造は、例えば、米国特許出願公開第2013/0251619号明細書(日本国特開2012-126635号公報)に開示されている方法により行うことができる。カーボンナノチューブ線状体の直径の均一さが得られる観点からは、糸状のカーボンナノチューブ線状体を用いることが望ましく、純度の高いカーボンナノチューブ線状体が得られる観点からは、カーボンナノチューブシートを撚ることによって糸状のカーボンナノチューブ線状体を得ることが好ましい。カーボンナノチューブ線状体は、2本以上のカーボンナノチューブ線状体同士が編まれた線状体であってもよい。また、カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと他の導電性材料が複合された線状体(以下「複合線状体」とも称する)であってもよい。
複合線状体としては、例えば、(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引き出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シート若しくは束、又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体、(2)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と共に、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体、(3)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを編んだ複合線状体等が挙げられる。なお、(2)の複合線状体においては、カーボンナノチューブの束を撚る際に、(1)の複合線状体と同様にカーボンナノチューブに対して金属を担持させてもよい。また、(3)の複合線状体は、2本の線状体を編んだ場合の複合線状体であるが、少なくとも1本の金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体が含まれていれば、カーボンナノチューブ線状体又は金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体若しくは複合線状体の3本以上を編み合わせてあってもよい。
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、及び亜鉛等の金属単体、及び、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅-ニッケル-リン合金、及び、銅-鉄-リン-亜鉛合金等)が挙げられる。
導電性線状体21は、糸に導電性被覆が施された線状体であってもよい。糸としては、ナイロン、又はポリエステル等の樹脂から紡糸した糸等が挙げられる。また、糸としては、金属繊維、炭素繊維、又はイオン導電性ポリマーの繊維等の糸も挙げられる。導電性被覆としては、金属、導電性高分子、又は炭素材料等の被膜等が挙げられる。導電性被覆は、めっき、蒸着法等により形成することができる。糸に導電性被覆が施された線状体は、糸の柔軟性を維持しつつ、線状体の導電性を向上させることができる。つまり、疑似シート構造体2の抵抗を、低下させることが容易となる。
(樹脂層)
樹脂層3は、樹脂を含む層である。この樹脂層3により、疑似シート構造体2を、直接的又は間接的に支持できる。樹脂層3は、必ずしも備えていなくてもよい。樹脂層3は必要に応じて設けられる部材である。樹脂層3は、接着剤を含む層であることが好ましい。例えば、樹脂層3に疑似シート構造体2を形成する際に、接着剤により、導電性線状体21の樹脂層3への貼り付けが容易となる。
樹脂層3は、乾燥又は硬化可能な樹脂からなる層であってもよい。これにより、疑似シート構造体2を保護するために十分な硬度が樹脂層3に付与され、樹脂層3は保護膜としても機能する。また、硬化又は乾燥後の樹脂層3は、耐衝撃性を有し、衝撃による配線シート100の変形も抑制できる。
樹脂層3は、短時間で簡便に硬化することができる点で、紫外線、可視エネルギー線、赤外線、又は電子線等のエネルギー線硬化性であることが好ましい。なお、「エネルギー線硬化」には、エネルギー線を用いた加熱による熱硬化も含まれる。
樹脂層3に含まれる接着剤は、熱により硬化する熱硬化性の接着剤、熱により接着するいわゆるヒートシールタイプの接着剤、湿潤させて貼付性を発現させる接着剤等も挙げられる。ただし、適用の簡便さからは、樹脂層3が、エネルギー線硬化性であることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート(トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等)、環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート(ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート、及びイタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100以上30000以下であることが好ましく、300以上10000以下であることがより好ましい。
接着剤組成物が含有するエネルギー線硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。さらに、後述する熱可塑性樹脂と組み合わせてもよく、組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層3は、粘着剤(感圧性接着剤)から形成される粘着剤層であってもよい。粘着剤層の粘着剤は、特に限定されない。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びゴム系粘着剤からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましく、アクリル系粘着剤であることがより好ましい。
アクリル系粘着剤としては、例えば、直鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(つまり、アルキル(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(つまり、環状構造を有する(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)等が挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
アクリル系重合体が共重合体である場合、共重合の形態としては、特に限定されない。アクリル系共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
アクリル系共重合体は架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、公知のエポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及び金属キレート系架橋剤等が挙げられる。アクリル系共重合体を架橋する場合には、アクリル系重合体の単量体成分に由来する官能基として、これらの架橋剤と反応する水酸基やカルボキシル基等をアクリル系共重合体に導入することができる。
樹脂層3が、粘着剤から形成される場合、樹脂層3は、粘着剤の他に、さらに上述したエネルギー線硬化性樹脂を含有していてもよい。また、粘着剤としてアクリル系粘着剤を適用する場合、エネルギー線硬化性の成分として、アクリル系共重合体における単量体成分に由来する官能基と反応する官能基と、エネルギー線重合性の官能基の両方を一分子中に有する化合物を用いてもよい。当該化合物の官能基と、アクリル系共重合体における単量体成分に由来する官能基との反応により、アクリル系共重合体の側鎖がエネルギー線照射により硬化可能となる。粘着剤がアクリル系粘着剤以外の場合においても、アクリル系重合体以外の重合体成分として、同様に側鎖がエネルギー線重合性である成分を用いてもよい。
樹脂層3に用いられる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物及び酸無水物系化合物を使用することが好ましく、特に、優れた硬化性を示すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、又はエポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物及び酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物を使用することが好ましい。
樹脂層3に用いられる湿気硬化性樹脂としては、特に限定されず、湿気でイソシアネート基が生成してくる樹脂である湿気硬化性ウレタン樹脂、及び変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
樹脂層3に用いられる樹脂として、エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合、光重合開始剤等を用いることが好ましい。また、樹脂層3に用いられる樹脂として、熱硬化性樹脂を用いる場合、熱重合開始剤等を用いることが好ましい。樹脂層3は、光重合開始剤、熱重合開始剤等が用いられることで、樹脂層3に架橋構造が形成され、疑似シート構造体2を、より強固に保護することが可能になる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、2-クロロアントラキノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、及びペルオキソ二硫酸カリウム等)、アゾ系化合物(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等)、及び有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイド等)等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの重合開始剤を用いて架橋構造を形成する場合、その使用量は、エネルギー線硬化性樹脂、及び熱硬化性樹脂の少なくともいずれかの硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、1質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。
樹脂層3は、硬化性でなく、例えば、熱可塑性樹脂組成物からなる層であってもよい。そして、熱可塑性樹脂組成物中に溶剤を含有させることで、熱可塑性樹脂層を軟化させることができる。これにより、例えば、樹脂層3に疑似シート構造体2を形成する際に、導電性線状体21の樹脂層3への貼り付けが容易となる。一方で、熱可塑性樹脂組成物中の溶剤を揮発させることで、熱可塑性樹脂層を乾燥させ、固化させることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリイミド及びアクリル樹脂等が挙げられる。
溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン化アルキル系溶媒及び水等が挙げられる。
樹脂層3は、無機充填材を含有していてもよい。無機充填材を含有することで、硬化後の樹脂層3の硬度をより向上させることができる。
無機充填材としては、例えば、無機粉末(例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、及び窒化ホウ素等の粉末)、無機粉末を球形化したビーズ、単結晶繊維、及びガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、無機充填材としては、シリカフィラー及びアルミナフィラーが好ましい。無機充填材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層3には、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、有機溶媒、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、及び濡れ性調整剤等の周知の添加剤が挙げられる。
樹脂層3の厚さは、配線シート100の用途に応じて決定される。例えば、接着性の観点から、樹脂層3の厚さは、3μm以上150μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。
(電極)
電極4は、導電性線状体21に電流を供給するために用いられる。電極4は、一対になっている。電極4は、導電性線状体21に直接的に接触する。そして、電極4は、導電性線状体21の両端部に電気的に接続されて配置される。
電極4は、公知の電極材料を用いて形成できる。電極材料としては、導電性ペースト(銀ペースト等)、金属箔(銅箔等)、及び金属ワイヤー等が挙げられる。電極材料が金属ワイヤーである場合、金属ワイヤーは、1本であってもよいが、2本以上であることが好ましい。
電極材料が、金属箔又は金属ワイヤーである場合、金属箔又は金属ワイヤーの金属としては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、及び金等の金属、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等)が挙げられる。また、金属箔又は金属ワイヤーは、金、錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、又は、はんだ等でめっきされたものであってもよい。
電極4のうち、少なくとも一方の電極の幅は、配線シート100の平面視において、10mm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましく、1500μm以下であることがさらに好ましい。また、この電極の幅は、0.1mm以上であることが好ましい。なお、少なくとも一方の電極が金属ワイヤーである場合には、電極の幅は、金属ワイヤーの直径であり、金属ワイヤーを2本以上用いた場合の一方の電極の幅とは、各金属ワイヤーの直径の和のことをいう。
電極4の厚さは、2μm以上200μm以下であることが好ましく、2μm以上170μm以下であることがより好ましく、10μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。電極4の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり疑似シート構造体との抵抗値を低く抑えられる。また、電極として十分な強度が得られる。なお、電極が金属ワイヤーである場合には、電極の厚さは、金属ワイヤーの直径である。
(配線シートの製造方法)
本実施形態に係る配線シート100の製造方法は、特に限定されない。配線シート100は、例えば、次の工程により、製造できる。
まず、基材1の上に、樹脂層3の形成用組成物を塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて、樹脂層3を作製する。次に、樹脂層3上に、導電性線状体21を配列しながら配置して、疑似シート構造体2を形成する。例えば、ドラム部材の外周面に基材1付きの樹脂層3を配置した状態で、ドラム部材を回転させながら、樹脂層3上に導電性線状体21を巻き付ける。ここで、導電性線状体21のうちの少なくとも1本は、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが、他の1本と異なっている。その後、巻き付けた導電性線状体21の束をドラム部材の軸方向に沿って切断する。これにより、疑似シート構造体2を形成すると共に、樹脂層3に配置する。そして、疑似シート構造体2が形成された基材1付きの樹脂層3をドラム部材から取り出し、シート状導電部材が得られる。この方法によれば、例えば、ドラム部材を回転させながら、導電性線状体21の繰り出し部をドラム部材の軸と平行な方向に沿って移動させることで、疑似シート構造体2における隣り合う導電性線状体21の間隔Lを調整することが容易である。
次に、シート状導電部材の疑似シート構造体2における導電性線状体21の両端部に、電極4を形成する。このようにして、配線シート100を作製できる。
(実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが異なっている2種類以上の導電性線状体21を使用することで、疑似シート構造体2としての抵抗値をより自由に調整できる。
(2)本実施形態に係る配線シート100は、設計の自由度が高いので、シート状ヒータとして好適に使用できる。
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、前述の実施形態では、配線シート100は、基材1を備えているが、これに限定されない。例えば、配線シート100は、基材1を備えていなくてもよい。このような場合には、樹脂層3により、配線シート100を被着体に貼り付けて使用できる。
前述の実施形態では、配線シート100は、樹脂層3を備えているが、これに限定されない。例えば、配線シート100は、樹脂層3を備えていなくてもよい。このような場合には、基材1として編物を用い、導電性線状体21を基材1中に編み込むことで、疑似シート構造体2を形成してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
ゴムドラムに粘着シート(140mm×100mm)を、一方の粘着面が外側を向くようにしてしわのないように巻きつけ、円周方向における両端部を両面テープで固定した。ボビンに巻き付けた各種の導電性線状体を、ゴムドラムの端部付近に位置する粘着シート表面に付着させた上で、下記の導電性線状体の配列で、間隔が2mmとなるように繰り出しながらゴムドラムで巻き取り、少しずつゴムドラムをドラム軸と平行な方向に移動させていき、一定の間隔でらせんを描きながらゴムドラムに巻きつくようにした。ドラム軸と平行に、導電性線状体ごと粘着シートを切断し、粘着シートに、導電性線状体が配列した疑似シート構造体が積層されたシートを得た。その後、あらかじめ用意しておいた、ポリカーボネートフィルム上に銀ペースト(藤倉化成株式会社製の「XA-3676」)を印刷した電極シートに、導電性線状体の本数が10本となるように貼合して、シート状ヒータを得た。なお銀ペーストの電極は、厚さ18μmで、幅5mmで、電極間距離は120mmとなるように作製した。
(導電性線状体の配列)
下記の1本目及び2本目の繰り返し
・1本目:タングステンワイヤ、直径9μm、単位長さあたりの抵抗値10.5Ω/cm
・2本目:タングステンワイヤ、直径11μm、単位長さあたりの抵抗値7.1Ω/cm
[実施例2]
導電性線状体の配列を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
(導電性線状体の配列)
下記の1本目から5本目までの繰り返し
・1本目:タングステンワイヤ、直径8μm、単位長さあたりの抵抗値13.3Ω/cm
・2本目:タングステンワイヤ、直径8μm、単位長さあたりの抵抗値13.3Ω/cm
・3本目:銀鍍金レニウムタングステンワイヤ、直径14μm、
単位長さあたりの抵抗値5.2Ω/cm
・4本目:タングステンワイヤ、直径8μm、単位長さあたりの抵抗値13.3Ω/cm
・5本目:銀鍍金レニウムタングステンワイヤ、直径14μm、単位長さあたりの抵抗値5.2Ω/cm
[実施例3]
導電性線状体の配列を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
(導電性線状体の配列)
・1~4本目:金鍍金タングステンワイヤ、直径10μm、単位長さあたりの抵抗値7.7Ω/cm
・5,6本目:金鍍金タングステンワイヤ、直径8μm、単位長さあたりの抵抗値12.5Ω/cm
・7~10本目:金鍍金タングステンワイヤ、直径10μm、単位長さあたりの抵抗値7.7Ω/cm
なお、このシート状ヒータのように、高抵抗率の導電性線状体を中央に配置することで、高温時の加熱ムラを低減するようにできる。すなわち、ヒータ全体の温度が必要な温度よりも比較的高い場合は、中心部分が周辺の加熱部位から影響を受け、過加熱となる場合がある。その場合は、本実施例のように、中心部に抵抗値の高い導電性線状体を配置することが好ましい。抵抗値の高い導電性線状体を使用し中心の電力を低くすることで中心部の温度を低下させ、過加熱を抑制することが可能となる。
[実施例4]
導電性線状体の配列を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
(導電性線状体の配列)
・1~9本目:金鍍金タングステンワイヤ、直径10μm、単位長さあたりの抵抗値7.7Ω/cm
・10本目:金鍍金タングステンワイヤ、直径8μm、単位長さあたりの抵抗値12.5Ω/cm
なお、このシート状ヒータのように、高抵抗率の導電性線状体を端部に配置することで、低温時の加熱ムラを低減するようにできる。すなわち、ヒータ全体の温度が必要な温度よりも比較的低い場合は、実施例3のような対応は必要なく、端部に高抵抗値の導電性線状体を配置する方が望ましい。中心は十分に加熱可能で、加熱部位としてあまり必要ない端部に抵抗値調整用の導電性線状体を配置することで、全体の抵抗値の総和と、加熱部位の温度分布を制御することが可能となる。
[実施例5]
導電性線状体の配列を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
(導電性線状体の配列)
下記の1本目及び2本目の繰り返し
・1本目:タングステンワイヤ、直径11μm、単位長さあたりの抵抗値7.1Ω/cm
・2本目:タングステンワイヤ、直径11μm、単位長さあたりの抵抗値7.1Ω/cm、平面視にて波状形状(波長5mmで、全振幅2mmの正弦波)
[実施例6]
導電性線状体の配列を下記のとおりとし、導電性線状体の間隔を1mmとし、導電性線状体の本数を20本とした以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
(導電性線状体の配列)
下記の1本目から4本目までの繰り返し
・1本目:タングステンワイヤ、直径9μm、単位長さあたりの抵抗値10.5Ω/cm
・2本目:CNTヤーン、直径10μm、単位長さあたりの抵抗値450Ω/cm
・3本目:タングステンワイヤ、直径11μm、単位長さあたりの抵抗値7.1Ω/cm
・4本目:CNTヤーン、直径10μm、単位長さあたりの抵抗値450Ω/cm
[比較例1]
導電性線状体として1種類のみ(材質タングステン、直径11μm、単位長さあたりの抵抗値7.1Ω/cm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
[比較例2]
導電性線状体として1種類のみ(材質タングステン、直径9μm、単位長さあたりの抵抗値10.5Ω/cm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シート状ヒータを作製した。
[シート状ヒータの抵抗値]
銀ペーストで作製した電極に対して、日置電機株式会社製抵抗値計「RM3545」の端子を接触させ、シート状ヒータの抵抗値を測定した。そして、各例で目標値に規定した10Ωに対する割合[(測定値-10)/10×100](単位:%)を算出した。得られた結果を表1に示す。また、各例での導電性線状体の種類を表1に示す。
[導電性線状体の視認性]
シート状ヒータを100cm離れた距離から確認したときに、導電性線状体を認識できるか否かを評価する。5人で評価を行い、以下の基準に従って、視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。また、各例での導電性線状体の間隔を表1に示す。
A:導電性線状体を認識できた人が、いない。
B:導電性線状体を認識できた人が、1人又は2人である。
F:導電性線状体を認識できた人が、3人以上である。
Figure 2024052337000002
表1に示す結果から、導電性線状体のうちの少なくとも1本は、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが、他の1本と異なっている場合(実施例1~3)には、同じ導電性線状体だけを用いた場合(比較例1及び2)と比較して、シート状ヒータの抵抗値を目標値に近づけることができた。このことから、実施例1~3で得られたシート状ヒータは、設計の自由度が高いことが確認された。
1…基材、2…疑似シート構造体、21…導電性線状体、3…樹脂層、4…電極、100…配線シート。

Claims (4)

  1. 複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体と、一対の電極とを備え、
    前記導電性線状体のうちの少なくとも1本は、材質、表層材料、直径、および、平面視における波状形状のうちの少なくとも1つが、他の1本と異なる、
    配線シート。
  2. 請求項1に記載の配線シートにおいて、
    前記導電性線状体は、3種類以上であり、
    3種類以上の導電性線状体が、周期性をもって配置されている、
    配線シート。
  3. 請求項2に記載の配線シートにおいて、
    前記3種類以上の導電性線状体のうちの1種類は、他の種類と材質または表層材料が異なり、
    前記導電性線状体の間隔が、1.5mm以下である、
    配線シート。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線シートを備える、
    シート状ヒータ。
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