JP2024051532A - 保護フィルム付きカバーフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】カバーフィルムの防汚処理面と第1保護フィルムとの密着性が高く、剥離後に防汚性が低下せず、かつ、第2保護フィルムを剥離する際に第1保護フィルムの剥離を生じない保護フィルム付きカバーフィルムを提供する。【解決手段】保護フィルム付きカバーフィルムは、カバーフィルムが基材フィルムと水の接触角が100°以上である防汚層とを有し、表面側が防汚処理面であり裏面側が非防汚処理面であり、防汚処理面に第1保護フィルムの第1粘着層が貼り合され、非防汚処理面に第2保護フィルムの第2粘着層が貼り合されており、第1粘着層の防汚処理面に対する剥離力(P1)と、第2粘着層の非防汚処理面に対する剥離力(P2)とがP1>P2の関係を満足する。また、前記第1粘着層が、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤とを所定の比率で含有する粘着組成物の硬化物であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイの表面に配置されるカバーフィルムであって、その両面に保護フィルムが貼付された保護フィルム付きカバーフィルムに関する。
画像表示装置の最表面にはガラス基板やプラスチック基板からなるカバーウィンドウが配置される。また、スマートホンやタブレット端末などのディスプレイにはタッチパネルが設けられ、その取扱い時に、ディスプレイ表面に指紋や汗などの汚れが付着することがある。そのため、汚れの付着を抑制したり、汚れを拭き取りやすくしたりするために、カバーウィンドウには、防汚層が設けられることがある。
また、カバーウィンドウは、搬送時の汚れの付着や傷付きを防止するために、剥離可能な保護フィルムが張り付けられている。しかし、防汚層が形成されたカバーウィンドウは、防汚層の特性から保護フィルムの密着性が低く、保護フィルムが剥がれやすくなる。そこで、防汚層に対する保護フィルムの密着性を改善する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、第一フィルム基材の第一主面上に最表面層として防汚層が設けられた光学フィルムと、前記光学フィルムの前記防汚層に仮着された表面保護フィルムとを含み、前記表面保護フィルムは第二フィルム基材上に粘着剤層を備え、前記粘着剤層の厚みが16μm以上であり、前記防汚層の水接触角が100°以上であり、前記防汚層と前記粘着剤層とが接しており、前記光学フィルムの前記防汚層と、前記表面保護フィルムの前記粘着剤層との接着力が、0.07N/50mm未満である、保護フィルム付き光学フィルムが開示されている(特許文献1(請求項1)参照)。
特開2020-52221号公報
近年、画像表示装置の分野では、曲げても表示機能をそのまま維持することができ、繰り返し屈曲して使用できるフレキシブルディスプレイが注目されている。フレキシブルディスプレイとしては、折り畳み可能なフォルダブルディスプレイ、筒状に丸めることができるローラブルディスプレイなどが知られている。このようなフレキシブルディスプレイのカバーウィンドウとしては、基盤としてガラスの代わりに、曲げやすいプラスチックフィルムを用いたカバーフィルムが用いられる。
カバーフィルムは、保護フィルムが張り付けられた状態で、印刷、打ち抜き、ディスプレイ表面への貼合、検査などの工程が行われるが、これらの工程において、保護フィルムが防汚層から剥離することがある。特に、フレキシブルディスプレイに用いられる場合、カバーフィルムを曲げ伸ばしした際に、保護フィルムが防汚層から剥離しやすいという問題があった。しかし、保護フィルムの防汚層に対する密着力を高めた場合、粘着層の凝集破壊による糊残りが発生したり、低分子量成分の移行によるカバーフィルム表面の汚染が発生したりして、防汚性能が損なわれる傾向があった。
また、プラスチックフィルムはガラスよりも傷がつきやすいため、カバーフィルムでは、防汚層が設けられた面を第1保護フィルムで保護するだけでなく、防汚層が設けられていない面についても第2保護フィルムで保護されることがある。この場合、カバーフィルムへの印刷やディスプレイと貼り合わせる直前に、第2保護フィルムを剥離する必要があるが、第2保護フィルムを剥離しようとすると、防汚層に貼り合された第1保護フィルムが先に剥がれてしまうという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、防汚処理面と非防汚処理面とを有するカバーフィルムと、防汚処理面に張り合わされた第1保護フィルムと、非防汚処理面に張り合わされた第2保護フィルムとを有する保護フィルム付きカバーフィルムにおいて、第1保護フィルムが防汚処理面との適度な密着性を有し、剥離した後も防汚処理面の防汚性を損なうことがなく、かつ、第2保護フィルムを剥離する際に第1保護フィルムの剥離が抑制された保護フィルム付きカバーフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、表面側が防汚処理面であり裏面側が非防汚処理面であるカバーフィルムと、前記カバーフィルムの防汚処理面側に配置された第1保護フィルムと、前記カバーフィルムの非防汚処理面側に配置された第2保護フィルムを有し、前記カバーフィルムが基材フィルムと最も表面側に配置された水の接触角が100°以上である防汚層とを有し、前記第1保護フィルムが第1基材と第1粘着層とを有し、前記第1粘着層が前記防汚処理面に貼り合されており、前記第2保護フィルムが第2基材と第2粘着層とを有し、前記第2粘着層が前記非防汚処理面に貼り合されており、前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と、前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)とが、P1>P2の関係を満足している。さらに、前記第1粘着層が、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、前記第1反応性基と反応する第2反応性基を有する架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の第1反応性基に対する、前記架橋剤が有する第2反応性基のモル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が、0.01~0.30であることを特徴とする。
本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、第1保護フィルムがカバーフィルムの防汚処理面に対して適度な密着性を有しており、カバーフィルムを曲げ伸ばしした場合でも第1保護フィルムの剥離が抑制され、また、第1保護フィルム剥離後に防汚処理面の防汚性の低下が抑制されている。また、本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、第1保護フィルムの剥離や浮きを生じることなく、非防汚処理面に張り付けられた第2保護フィルムを剥離することができる。よって、カバーフィルムの非防汚処理面を保護しつつ、防汚処理面についても確実に保護することができる。
本発明の保護フィルム付きカバーフィルムの一態様を示す断面模式図である。 第2保護フィルム剥離試験の試験片を示す断面模式図である。
<保護フィルム付きカバーフィルム>
本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、表面側が防汚処理面であり裏面側が非防汚処理面であるカバーフィルムと、前記カバーフィルムの防汚処理面側に配置された第1保護フィルムと、前記カバーフィルムの非防汚処理面側に配置された第2保護フィルムを有する。
図1に、本発明の保護フィルム付きカバーフィルムの一態様を示す。図1に示すように、本発明の一形態に係る保護フィルム付きカバーフィルム1は、カバーフィルム10と、前記カバーフィルム10の防汚処理面側に配置された第1保護フィルム20と、前記カバーフィルム10の非防汚処理面側に配置された第2保護フィルム30を有する。
前記カバーフィルム10は、少なくとも基材フィルム11と、最も表面側に配置された水の接触角が100°以上である防汚層12とを有する。なお、カバーフィルムの表面側が、ディスプレイに設置された際に外面側となる。前記カバーフィルム10は、防汚層12が設けられた面が防汚処理面であり、防汚層12が設けられていない面が非防汚処理面である。
前記第1保護フィルム20は、第1基材21と第1粘着層22とを有し、前記第1粘着層22が前記カバーフィルム10の防汚処理面(防汚層12)に貼り合されている。前記第2保護フィルム30は、第2基材31と第2粘着層32とを有し、前記第2粘着層32が前記カバーフィルム10の非防汚処理面に貼り合されている。
そして、本発明の保護フィルム付きカバーフィルム1では、前記第1粘着層22の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と、前記第2粘着層32の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)とが、P1>P2の関係を満足することを特徴とする。
剥離力(P1)と剥離力(P2)がP1>P2の関係を満足すれば、カバーフィルム10の非防汚処理面へ印刷を行う工程や、カバーフィルムをディスプレイ等へ貼り合わせる工程などにおいて、第1保護フィルム20の浮きや剥離を抑制しつつ、第2保護フィルム30を剥離することができる。
前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)との差(P1-P2)は、10mN/25mm以上が好ましく、より好ましくは20mN/25mm以上、さらに好ましくは30mN/25mm以上であり、370mN/25mm以下が好ましく、より好ましくは360mN/25mm以下、さらに好ましくは350mN/25mm以下である。前記差(P1-P2)が10mN/25mm以上であれば第1保護フィルムの浮きや剥がれを抑制しつつ第2保護フィルムを剥離することができ、370mN/25mm以下であれば第1保護フィルムおよび第2保護フィルムを容易にカバーフィルムから剥離でき、印刷やディスプレイとの貼り合わせなどの工程においてハンドリングしやすい。
前記剥離力(P1)は、30mN/25mm以上が好ましく、より好ましくは50mN/25mm以上、さらに好ましくは70mN/25mm以上であり、380mN/25mm以下が好ましく、より好ましくは300mN/25mm以下、さらに好ましくは200mN/25mm以下である。前記剥離力(P1)が30mN/25mm以上であれば防汚処理面への密着性がより向上し、第1保護フィルム貼合に続く印刷などの工程において予期しない浮き剥がれが抑制され、380mN/25mm以下であれば第1保護フィルムを糊残りが発生することなく、より容易に防汚処理面から剥離できる。
前記剥離力(P2)は、10mN/25mm以上が好ましく、より好ましくは20mN/25mm以上、さらに好ましくは40mN/25mm以上であり、300mN/25mm以下が好ましく、より好ましくは200mN/25mm以下、さらに好ましくは100mN/25mm以下である。前記剥離力(P2)が10mN/25mm以上であれば、第2保護フィルムの浮き剥がれがより抑制され、300mN/25mm以下であれば、第2保護フィルムを剥離する際に、第1保護フィルムの浮きなどがより抑制される。
前記保護フィルム付きカバーフィルム1は、カバーフィルム10の防汚処理面に第1保護フィルム20、非防汚処理面に第2保護フィルム30を張り付けることで作製できる。カバーフィルム10に対する第1保護フィルム20、第2保護フィルム30の張り付ける順番は特に限定されない。また、基材フィルム11に防汚層12を形成する前に、非防汚処理面に第2保護フィルム30を張り付けてもよい。なお、防汚層12の外観品質検査を容易に行える点から、第2保護フィルム30は、基材フィルム11に防汚層12を形成した後に、非防汚処理面に張り付けることが好ましい。
本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、画像表示装置のカバーウィンドウに用いることができる。特に、本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、曲げ伸ばしした際の第1保護フィルムの剥離が抑制されるため、フレキシブルディスプレイ用のカバーフィルタとして好適に用いることができる。
以下、本発明の保護フィルム付きカバーフィルムを構成する各部材について説明する。
〔カバーフィルム〕
前記カバーフィルム10は、少なくとも基材フィルム11と、最も表面側に配置された防汚層12とを有する。カバーフィルム10は、防汚層12が配置された側の面が防汚処理面であり、防汚層12が配置されていない側の面が非防汚処理面である。
(基材フィルム)
基材フィルム11としては、高分子フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられ、可撓性を有するフィルムが好ましい。前記高分子フィルムを構成する高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。前記高分子フィルムは、1種の高分子材料のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。
前記高分子フィルムは、機械的強度や耐熱性の観点から、構成成分として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含有することが好ましい。
前記高分子フィルムは、構成成分として、ポリイミドを含有するポリイミド系フィルムがより好ましい。この場合、ポリイミドの物性を十分に発揮するために、ポリイミド系フィルムが含有する高分子材料100質量%中のポリイミドの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。前記ポリイミド系フィルムは、高分子材料として、ポリイミドのみを含有することが特に好ましい。
前記ポリイミド系フィルムは、繰り返しの屈曲に耐えられる屈曲性を有するため、繰り返し屈曲されるフレキシブルディスプレイ用のカバーフィルムの基材フィルムとして好適である。また、ポリイミド系フィルムは、表面硬度に優れているため、優れた鉛筆硬度を有するカバーフィルムの基材フィルムとして好適である。基材フィルムとしてポリイミド系フィルムを用いることで、ハードコート層を積層したときのハードコート層表面の鉛筆硬度を確保することができる。例えば、ハードコート層の構成によるが、ハードコート層を積層したときのハードコート層表面の鉛筆硬度を3H以上とすることができる。また、ポリイミド系フィルムは、耐熱性にも優れる。
前記高分子フィルムは、高分子材料の他に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤、充填材、界面活性剤、帯電防止剤などの添加剤を含有してもよい。
前記基材フィルム11は、無色透明であることが好ましい。無色透明とは、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定される可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であり、かつ、JIS K 7373(2006)に準拠して測定される黄色度(YI値)が20以下である。全光線透過率は、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは85%以上である。黄色度(YI値)は、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。基材フィルム11が無色透明であれば、透明度が高く色再現性の高い画像を表示するディスプレイを得ることができる。
基材フィルム11の厚さは、特に限定されるものではないが、取り扱い性、無色透明性などの観点から、12μm以上が好ましく、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは40μm以上であり、200μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。なお、「フィルム」とは、一般に厚さが0.25mm未満のものをいうが、厚さが0.25mm以上のものであってもロール状に巻くことが可能であれば、厚さが0.25mm以上のものであっても「フィルム」に含まれるものとする。
(防汚層)
前記防汚層12は、前記カバーフィルム10の最も表面側に配置され、この防汚層12が配置された側が防汚処理面となる。前記防汚層12は、汚れや指紋の付着を抑え、また、付着した汚れや指紋の除去を容易にすることができ、さらにカバーフィルム上での指の滑り性を向上する。前記防汚層12は、基材フィルム11の表面側に直接、または、光学機能層を介して形成される。前記光学機能層としては、反射防止層、防眩層、偏光層、ハードコート層などが挙げられる。なお、前記光学機能層に防汚性樹脂を配合するなどして防汚機能を付与し、防汚層としてもよい。
前記防汚層12の水接触角は、100°以上、好ましくは102°以上、より好ましくは105°以上であり、130°以下が好ましく、より好ましくは125°以下、さらに好ましくは120°以下である。水接触角が100°以上であれば汚れや指紋の付着を抑え、付着した汚れや指紋の除去が容易に行えるようになり、130°以下であれば第1保護フィルムの密着力がより向上する。
前記防汚層12の動摩擦係数は、0.14以下が好ましく、より好ましくは0.13以下、さらに好ましくは0.11以下、特に好ましくは0.10以下である。動摩擦係数が0.14以下であれば、ディスプレイ表面で指をスライドさせる際に、軽やかな滑りを維持できる。
前記防汚層12の材料としては、フッ素含有化合物が好ましい。フッ素含有化合物は、防汚性を付与するとともに、低屈折率化にも寄与し得る。前記フッ素含有化合物としては、パーフルオロポリエーテル骨格を含有するフッ素系ポリマーが好ましい。パーフルオロポリエーテル骨格を含有するフッ素系ポリマーを使用すれば、防汚層の撥水性がより向上し、防汚性がより向上する。
前記パーフルオロポリエーテル骨格としては、炭素数1~ 4の分岐鎖を有していてもよいパーフルオロアルキレンオキシドが好ましく、例えば、パーフルオロメチレンオキシド(-CF2O-)、パーフルオロエチレンオキシド(-CF2CF2O-)、パーフルオロプロピレンオキシド(-CF2CF2CF2O-)、パーフルオロイソプロピレンオキシド(-CF(CF3)CF2O-)等が挙げられる。
前記防汚層12は、リバースコート法、ダイコート法、グラビアコート法等のウエット法や、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等のドライ法等により形成できる。防汚層の厚さは、2nm~50nm程度である。
(防汚性ハードコート層)
前記防汚層12は、防汚性を有するハードコート層であることが好ましい。防汚層12を、防汚性ハードコート層とすることで、カバーフィルムに効果的に防汚性と鉛筆硬度や耐擦傷性を付与することができる。
前記防汚層12の鉛筆硬度は、3H以上が好ましく、より好ましくは4H以上である。前記防汚層12の鉛筆硬度は、基材フィルム11上に形成された防汚層12の表面の鉛筆硬度である。防汚層11の鉛筆硬度は、JIS K 5600-5-4(1999)に準拠して測定することができる。
前記防汚層12が、防汚性ハードコート層である場合、防汚層12の厚さは、0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは3.0μm以上であり、10.0μm以下が好ましく、より好ましくは8.0μm以下、さらに好ましくは6.0μm以下である。防汚層12の厚さが0.5μm以上であれば、防汚層の鉛筆硬度や耐擦傷性がより向上し、10.0μm以下であれば、防汚層が繰り返しの屈曲に耐えられる屈曲性を有し、また、防汚層12と基材フィルム11の熱収縮差に起因するカバーフィルム10のカールが抑制される。防汚層12の厚さは、平滑な部分における厚さであり、防汚層12が粒子を含有する場合には、厚さ方向において粒子に起因する凹凸のない部分における平滑な部分の厚さである。
前記防汚層12が、防汚性ハードコート層である場合、防汚層12は、高硬度、高屈曲性、生産性などの観点から、防汚剤と紫外線硬化性化合物を含む硬化性組成物の硬化物で構成することが好ましい。
前記防汚剤としては、含フッ素化合物が好ましい。含フッ素化合物により、汚れや指紋の付着を抑え、汚れや指紋の除去を容易にすることができる。含フッ素化合物は、パーフルオロポリエーテルの構造を含むものを例示することができる。パーフルオロポリエーテルの主鎖骨格の構造単位としては、炭素数1~4パーフルオロアルキレンオキシドが好ましく(分岐鎖を有していてもよい)、例えば、パーフルオロメチレンオキシド(-CF2O-)、パーフルオロエチレンオキシド(-CF2CF2O-)、パーフルオロプロピレンオキシド(-CF2CF2CF2O-)、パーフルオロイソプロピレンオキシド(-CF(CF3)CF2O-)等が挙げられる。また、防汚性をさらに高めるために、前記含フッ素化合物は、直鎖状または環状のポリシロキサン構造を有していてもよい。
前記含フッ素化合物は、エチレン性炭素-炭素二重結合を有することが好ましい。これにより、硬化性組成物を硬化する際に、含フッ素化合物のエチレン性炭素-炭素二重結合が、後述する紫外線硬化性化合物が有するエチレン性炭素-炭素二重結合(例えば、(メタ)アクリロイル基)と共重合し、硬化性組成物の硬化物に防汚剤が共有結合で結合することとなる。その結果、硬化物の防汚性が一層向上する。このような防汚剤の市販品としては、例えば、メガファック(登録商標)RS851、メガファックRS852、メガファックRS853、メガファックRS854(DIC社製)、オプスター(登録商標)TU2225、オプスターTU2224(荒川化学工業社製)、KY-1203M(信越化学社製)等が挙げられる。
前記含フッ素化合物の含有率は、硬化性組成物の固形分100質量%中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、15質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。前記含フッ素化合物の含有率が上記範囲内であれば、防汚層の防汚性、防指紋性および耐擦傷性がより向上する。硬化性組成物の固形分とは、硬化性組成物に含まれる溶剤以外の成分である。
前記紫外線硬化性化合物としては、紫外線反応性の反応性基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。前記紫外線反応性の反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基やオキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。すなわち、紫外線硬化性化合物としては、(メタ)アクリレート系のモノマー、オリゴマー、ポリマーが特に好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。
前記(メタ)アクリレート系モノマーとしては、分子中に紫外線反応性の反応性基を1つ有する単官能(メタ)アクリレート、分子中に紫外線反応性の反応性基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、上述した単官能(メタ)アクリレート、および/または、多官能(メタ)アクリレートの重合物などが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基を有する(メタ)アクリレートとの付加反応により得られる。前記ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中に紫外線反応性の反応性基を2つ以上有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられ、柔軟性、耐熱性、耐薬品性等の観点から適宜選択することができる。
前記ポリイソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香族ジイソシアネートや、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水素添加XDI)、4-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアナート(水素添加TDI)などの脂環式ジイソシアネートなどを用いることができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記紫外線硬化性化合物としては、多官能(メタ)アクリレート系モノマー、多官能(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能(メタ)アクリレート系ポリマーが好ましい。特に、比較的柔軟で、カバーフィルム10の屈曲性が向上するなどの観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましく、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
前記硬化性組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。前記光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
前記硬化性組成物には、紫外線硬化性化合物に加えて、非紫外線硬化性樹脂を含有してもよい。前記非紫外線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。前記熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
また、硬化性組成物は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、無機粒子、樹脂粒子、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤などが挙げられる。
無機粒子および樹脂粒子は、例えば、防汚性ハードコート層にブロッキングを防止したり、防汚性ハードコート層の硬度を向上させたり、防眩性を付与したりするなどの目的で添加される。
前記無機粒子としては、例えば、シリカ、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、ケイ素、ニオブ、アルミニウム、クロム、マグネシウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、白金などの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。無機粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。無機粒子としては、高硬度と透明性の両立に優れるなどの観点から、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物が特に好ましい。
前記樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロースなどの樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。前記樹脂粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物は、必要に応じ、溶剤を含有してもよい。前記硬化性組成物の溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;酢酸エチル(EtAc)、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル(BuAc)などのエステル系溶剤;N-メチルピロリドン、アセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、特に限定されず、塗工性、膜厚などを考慮して適宜定めればよい。前記固形分濃度としては、例えば、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
〔第1保護フィルム〕
前記第1保護フィルム20は、第1基材21と第1粘着層22とを有し、前記第1粘着層22が前記カバーフィルム10の防汚処理面に貼り合されている。
前記第1保護フィルム20は、例えば、ロールプロセスなどで連続加工したりフレキシブルディスプレイにカバーフィルム10を貼り合わせたりするなどの取扱い時において、防汚処理面(防汚層12)の表面に傷が付くのを防止する。
前記第1保護フィルム20は、カバーフィルム10をディスプレイ等へ貼り合わせた後に、カバーフィルムの防汚処理面(防汚層12)から剥がされる。そのため、第1粘着層22は、カバーフィルムの防汚処理面と第1粘着層22の間の接着力よりも、第1基材21と第1粘着層22の間の接着力の方が強く、防汚処理面と第1粘着層22の間で界面剥離可能な接着力に調整される。
(第1基材)
前記第1基材21を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、高分子材料が挙げられる。高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。高分子材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマーがより好ましい。
前記第1基材21は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
前記第1基材21の厚さは、特に限定されるものではないが、加工時のハンドリング性や材料コストなどの観点から、19μm以上が好ましく、より好ましくは22μm以上、さらに好ましくは25μm以上であり、200μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。
(第1粘着層)
前記第1粘着層22は、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、前記第1反応性基と反応する第2反応性基を有する架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物である。前記粘着組成物は、(A)第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、(B)架橋剤とを含有する。
前記第1粘着層22の厚さは、特に限定されず、防汚処理面との密着性に応じて適宜調節すればよい。前記第1粘着層の厚さは、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上であり、100μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは15μm以下である。厚さが上記範囲内であれば、防汚処理面との密着性がより向上し、かつ、ジッピング(Slip-stick現象)に起因するストップマークを抑制できる。
(A)第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体
前記(A)第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体(以下、単に「(A)共重合体」と称す場合がある。)は、第1反応性基を有し、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である(メタ)アクリル系共重合体である。
前記(メタ)アクリル系共重合体とは、(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位を主成分(50質量%以上)とする共重合体であればよく、(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーに由来する構造単位を含有することができる。前記(A)共重合体中の(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位の含有率は、共重合体全体100質量%中において、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。なお、前記(A)共重合体は、(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位のみから構成されていてもよい。
前記(A)共重合体は、(メタ)アクリレート系共重合体が好ましい。(メタ)アクリレート系共重合体とは、(メタ)アクリレートに由来する構造単位を主成分(50質量%以上)とする共重合体であればよく、(メタ)アクリレート以外のビニルモノマーに由来する構造単位を含有することができる。前記(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸が有するカルボキシ基の水素原子が、有機基に置換されたエステル化合物である。前記(A)共重合体中の(メタ)アクリレートに由来する構造単位の含有率は、共重合体全体100質量%中において、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
前記(A)共重合体は、第1反応性基を有する。前記第1反応性基とは、後述する(B)架橋剤が有する第2反応性基と反応し得る官能基である。前記第1反応性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびエポキシ基よりなる群から選択される1種または2種以上を挙げることができ、好ましくはヒドロキシ基および/またはカルボキシ基である。
前記(A)共重合体が有する第1反応性基と(B)架橋剤が有する第2反応性基との組み合わせとしては、(1)第1反応性基がヒドロキシ基であって、第2反応性基がイソシアネート基である組み合わせ;(2)第1反応性基がカルボキシ基であって、第2反応性基がエポキシ基である組み合わせである組み合わせが好ましい。
前記(A)共重合体の100gあたりの第1反応性基量 は、0.5mmol/100g以上が好ましく、より好ましくは5mmol/100g以上、さらに好ましくは10mmol/100g以上、特に好ましくは15mmol/100g以上であり、150mmol/100g以下が好ましく、より好ましくは100mmol/100g以下、さらに好ましくは70mmol/100g以下である。第1反応性基量が、0.5mmol/100g以上であれば第1粘着層の耐久性が優れ、150mmol/100g以下であればカバーフィルムの防汚処理面に対する第1粘着層の密着性が優れる。
前記(A)共重合体がカルボキシ基を有する場合、(A)共重合体の100gあたりのカルボキシ基量は、0.5mmol/100g以上が好ましく、より好ましくは5mmol/100g以上、さらに好ましくは10mmol/100g以上、特に好ましくは15mmol/100g以上であり、150mmol/100g以下が好ましく、より好ましくは100mmol/100g以下、さらに好ましくは70mol/100g以下である。
前記(A)共重合体がヒドロキシ基を有する場合、前記(A)共重合体の100gあたりのヒドロキシ基量は、0.5mmol/100g以上が好ましく、より好ましくは5mmol/100g以上、さらに好ましくは10mmol/100g以上、特に好ましくは15mmol/100g以上であり、150mmol/100g以下が好ましく、より好ましくは100mmol/100g以下、さらに好ましくは70mmol/100g以下である。
前記(A)共重合体は、第1反応性基を有する。すなわち、前記(A)共重合体は、その構造中に、第1反応性基を有する構造単位(a-1)を含有する。前記第1反応性基を有する構造単位(a-1)は、1種のみであってもよいし、2種以上を有していてもよい。前記第1反応性基は、(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/または(メタ)アクリル酸)に由来する構造単位、(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーに由来する構造単位のいずれに有していてもよい。すなわち、前記第1反応性基を有する構造単位(a-1)は、第1反応性基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/または(メタ)アクリル酸)に由来する構造単位、または、第1反応性基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
前記(A)共重合体中の第1反応性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位(第1反応性基を有する構造単位(a-1))の含有率は、共重合体全体100質量%中において、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、特に好ましくは3質量%以上であり、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。構造単位(a-1)の含有率が上記範囲内であれば、防汚処理面に対する密着性と耐久性のバランスに優れた粘着層が得られる。なお、第1反応性基を有するビニルモノマーには、第1反応性基を有する(メタ)アクリルモノマー、第1反応性基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーが含まれる。
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、(b1)第1反応性基となり得る官能基を有さない(メタ)アクリルモノマー、(b2)第1反応性基となり得る官能基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記(b1)(メタ)アクリルモノマーとしては、(b1-1)第1反応性基となり得る官能基を有さない(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。前記(b2)(メタ)アクリルモノマーとしては、(b2-1)第1反応性基となり得る官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
前記(b1)(メタ)アクリルモノマーとしては、直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。これらの中で直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド類からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、直鎖状アルキル基の炭素数が1~20である直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、直鎖状アルキル基の炭素数が1~10である直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。前記直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステルが挙げられる。
前記分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、分岐鎖状アルキル基の炭素数が3~20である分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、分岐鎖状アルキル基の炭素数が3~10である分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。前記分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸分岐鎖アルキルエステルが挙げられる。
前記アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。
前記ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)フェニルエーテル(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)フェニルエーテル(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートとしては、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、多環式構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。前記環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、環状アルキル基の炭素数が6~12の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。環状アルキル基としては、単環構造を有する環状アルキル基(例えば、シクロアルキル基)が挙げられ、また鎖状部分を有していてもよい。単環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルを挙げることができる。
前記多環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、多環式構造の炭素数が6~12の多環式構造を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。多環式構造としては、橋かけ環構造を有する環状アルキル基(例えば、アダマンチル基、ノルボニル基、イソボルニル基)が挙げられ、また鎖状部分を有していてもよい。多環式構造を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、芳香族基の炭素数が6~12の芳香族基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。芳香族基としては、アリール基等を挙げることができ、またアルキルアリール基、アラルキル基、アリールオキシアルキル基等のように鎖状部分を有していてもよい。前記芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基にアリール基が直接結合した化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基にアラルキル基が直接結合した化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基にアルキルアリール基が直接結合した化合物が挙げられる。前記アリール基の炭素数は6~12が好ましい。前記アラルキル基の炭素数は、6~12が好ましい。前記アルキルアリール基の炭素数は6~12が好ましい。芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記三級アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。前記(メタ)アクリルアミド類は、(メタ)アクリルモノマーであるが、(メタ)アクリレートモノマーには含まれない。
前記(b2)(メタ)アクリルモノマーとなり得るモノマーとしては、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマー)、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリル酸)、エポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマー)等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーおよび/またはカルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物等が挙げられる。これらの中でもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーとしては、(b3)第1反応性基となり得る官能基を有さない(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマー、(b4)第1反応性基となり得る官能基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーが挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(b3)ビニルモノマーとしては、芳香族ビニルモノマー、ヘテロ環を含有するビニルモノマー、カルボン酸ビニル、三級アミノ基を含有するビニルモノマー、四級アンモニウム塩基を含有するビニルモノマー、ビニルアミド類、α-オレフィン、ジエン類、ハロゲン化ビニルモノマー等が挙げられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、2-ヒドロキシメチルスチレン、1-ビニルナフタレン等が挙げられる。
前記ヘテロ環を含有するビニルモノマーとしては、2-ビニルチオフェン、N-メチル-2-ビニルピロール、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が挙げられる。
前記カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
前記三級アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、N,N-ジメチルアリルアミン等が挙げられる。
前記四級アンモニウム塩基を含有するビニルモノマーとしては、N-メタクリロイルアミノエチル-N,N,N-ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
前記ビニルアミド類としては、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム等が挙げられる。
前記α-オレフィンとしては、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。
前記ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等が挙げられる。
前記ハロゲン化ビニルモノマーとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、1-クロロ-1-フルオロエチレン、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエチレン等が挙げられる。
前記(b4)ビニルモノマーとしては、ヒドロキシ基を有するビニルモノマー、カルボキシ基を有するビニルモノマー、エポキシ基を含有するビニルモノマー等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有するビニルモノマーとしては、p-ヒドロキシスチレン、アリルアルコール等が挙げられる。
前記カルボキシ基を有するビニルモノマーとしては、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸等が挙げられる。
前記エポキシ基を含有するビニルモノマーとしては、2-アリルオキシラン、グリシジルビニルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
前記(A)共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよく、好ましくはランダム共重合体である。
前記(A)共重合体の重量平均分子量(Mw)は、20万以上が好ましく、より好ましくは40万以上、さらに好ましくは50万以上、200万以下が好ましく、より好ましくは150万以下、さらに好ましくは120万以下、特に好ましくは100万以下である。前記(A)共重合体のMwが20万以上であれば、凝集力が高まり粘着層の耐熱性が向上し、200万以下であれば粘着組成物の塗工作業性がより良好となる。重量平均分子量(Mw)の測定方法は後述する。
前記(A)共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は3.0以下であり、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下であり、特に好ましくは2.0以下である。分子量分布が小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろった共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。分子量分布が3.0以下であれば、設計した共重合体の分子量に比べて、分子量の小さいものや、分子量の大きいものの含有量が低く、糊残りの少ない粘着層が得られる。なお、本発明において、分子量分布とは、(重量平均分子量(Mw))/(数平均分子量(Mn))によって算出される値であり、MwおよびMnの測定方法は後述する。
前記(A)共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-80℃以上が好ましく、より好ましくは-75℃以上であり、0℃以下が好ましく、より好ましくは-20℃以下、さらに好ましくは-50℃以下である。ガラス転移温度が-80℃以上であれば粘着材に十分な凝集力を与え、粘着材の耐久性が向上し、ガラス転移温度が0℃以下であれば防汚層に対して適度な密着性が得られ、ジッピングを抑制することができる。
前記(A)共重合体のガラス転移温度(Tg)とは、下記FOX式(数式(1))により算出された値である。数式(1)中、Tgは共重合体のガラス転移温度(℃)を示す。Tgiはビニルモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(℃)を示す。Wiは共重合体を形成する全ビニルモノマーにおけるビニルモノマーiの質量比率を示し、ΣWi=1である。iは1~nの自然数である。
Figure 2024051532000002
代表的なホモポリマーのガラス転移温度を表1に示す。
Figure 2024051532000003
前記(A)共重合体は、ビニルモノマーを重合することで製造される。特に、前記(A)共重合体は、リビングラジカル重合により重合されたものが好ましい。リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端を失活させる副反応で妨げられることなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である。
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、ニトロキサイドラジカルを生じうる化合物を用いる方法(ニトロキサイド法;NMP法);銅やルテニウムなどの金属錯体を用いて、ハロゲン化化合物を重合開始化合物として、その重合開始化合物からリビング的に重合させる方法(ATRP法);ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法);有機ヨウ素化合物を用いる方法(ITP法);ヨウ素化合物を重合開始化合物とし、リン化合物、窒素化合物、酸素化合物、又は炭化水素などの有機化合物を触媒として用いる方法(可逆的移動触媒重合;RTCP法、可逆的触媒媒介重合;RCMP法)等の方法がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
TERP法とは、有機テルル化合物を連鎖移動剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された方法である。
TERP法の具体的な重合法としては、下記(a)~(d)が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物を用いて重合する方法。
(b)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物を用いて重合する方法。
(c)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物と式(2)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
(d)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と式(2)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
Figure 2024051532000004
[式(1)において、R1は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基である。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~8のアルキル基である。R4は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基である。
式(2)において、R1は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基である。]
式(1)で表される有機テルル化合物は、具体的にはエチル=2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、エチル=2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、(2-ヒドロキシエチル)=2-メチル-メチルテラニル-プロピオネート等、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された有機テルル化合物が挙げられる。式(2)で表される有機ジテルリド化合物の具体例としては、ジメチルジテルリド、ジブチルジテルリド等が挙げられる。アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができ、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)等が挙げられる。
重合工程は、不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーと式(1)の有機テルル化合物と、ビニルモノマーの種類に応じて反応促進、分子量および分子量分布の制御等の目的で、さらにアゾ系重合開始剤および/または式(2)の有機ジテルリド化合物を混合する。このとき、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。前記(a)、(b)、(c)および(d)におけるビニルモノマーの使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよい。
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒を使用し、前記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる非プロトン性溶媒は、例えば、アニソール、ベンゼン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。また、プロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等が挙げられる。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、0.01ml~50mlが好ましい。反応温度、反応時間は、得られる共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0℃~150℃で、1分~100時間撹拌する。重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、使用溶媒、残存ビニルモノマーの除去等を行い、目的とする共重合体を分離することができる。
重合反応により得られる共重合体の成長末端は、テルル化合物由来の-TeR1(式中、R1は上記と同じである)の形態であり、重合反応終了後の空気中の操作により失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存した共重合体は着色したり、熱安定性が劣ったりするため、テルル原子を除去することが好ましい。テルル原子を除去する方法としては、ラジカル還元方法;活性炭等で吸着する方法;イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法等が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。なお、重合反応により得られる共重合体の他方端(成長末端と反対側の末端)は、テルル化合物由来の-CR234(式中、R2、R3およびR4は、式(1)中のR2、R3およびR4と同じである。)の形態である。
((B)架橋剤)
前記粘着組成物は、(B)架橋剤を含有する。前記(B)架橋剤は、上述の(A)共重合体が有する第1反応性基と反応し得る第2反応性基を、1分子中に2つ以上有する化合物である。前記(B)架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート型架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤が好ましく、架橋反応の進行の程度を制御しやすいこと、および、防汚層への粘着剤成分の移行を抑制する等の観点から、イソシアネート系架橋剤またはエポキシ系架橋剤がより好ましい。
(イソシアネート系架橋剤)
前記イソシアネート系架橋剤は、第2反応性基としてイソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化等により一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物である。前記イソシアネート系架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イソシアネート系架橋剤としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、ならびに、これらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビウレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等が挙げられる。より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体等のイソシアネート付加物;キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物;ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物;ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)がより好ましい。
(エポキシ系架橋剤)
前記エポキシ系架橋剤は、第2反応性基としてエポキシ基を、1分子中に2つ以上有する化合物をいう。前記エポキシ系架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
(アジリジン系架橋剤)
前記アジリジン系架橋剤は、第2反応性基としてアジリジン基を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。前記アジリジン系架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アジリジン系架橋剤としては、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、トリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が挙げられる。
前記(B)架橋剤の第2反応性基の含有量は、0.5mmol/g以上が好ましく、より好ましくは1.0mmol/g以上、さらに好ましくは3.0mmol/g以上、特に好ましくは5.0mmol/g以上であり、20mmol/g以下が好ましく、より好ましくは15.0mmol/g以下、さらに好ましくは12.0mmol/g以下である。前記(B)架橋剤の第2反応性基の含有量がこの範囲であれば形成される粘着層の凝集力が好ましいものとなり、糊残りや粘着剤成分の防汚層への移行を抑制することができる。
前記粘着組成物における(B)架橋剤の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.06質量部以上であり、さらに好ましくは0.08質量部以上であり、7質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以下である。(B)架橋剤の含有量が0.05質量部以上であれば形成される粘着層の凝集力が好ましいものとなり、糊残りや粘着剤成分の防汚層への移行を抑制することができ、7質量部以下であれば防汚処理面との適度な密着性が得られ、第1保護フィルムの浮き剥がれを抑制することができる。
前記粘着組成物は、(A)共重合体が有する第1反応性基に対する、(B)架橋剤が有する第2反応性基のモル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)は、0.01以上、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.08以上であり、0.30以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下である。モル比が0.01以上であれば、形成される第1粘着層の凝集力が良好となり、剥離時に糊残りや粘着剤成分の防汚処理面への移行を抑制でき、0.30以下であれば、防汚処理面に対して適度な密着性が得られ、保護フィルムの浮き剥がれを抑制することができる。
(その他添加剤)
前記粘着組成物には、(A)共重合体、(B)架橋剤以外に、その他添加剤を配合して使用することができる。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、色素、蛍光増白剤、帯電防止剤、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、防黴剤、防腐剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、近赤外線吸収剤、水溶性消光剤、香料、金属不活性剤、造核剤、アルキル化剤、難燃剤、滑剤、加工助剤等が挙げられる。
(架橋促進剤)
前記粘着組成物は、必要に応じて、架橋促進剤を含有してもよい。架橋促進剤としては、有機スズ化合物、金属キレート化合物等が挙げられる。前記架橋促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機スズ化合物としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチオルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチレート等が挙げられる。前記金属キレート化合物とは、2個以上の配位原子を持つ配位子が環を形成して中心金属に結合した錯体である。
前記粘着組成物が架橋促進剤を含有する場合、架橋促進剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.04質量部以上であり、0.5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.4質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。架橋促進剤の含有量が前記範囲内であれば、優れた架橋促進効果を得ることが可能となる。
(架橋遅延剤)
前記粘着組成物は、必要に応じて、架橋遅延剤を含有してもよい。架橋遅延剤とは、架橋剤を含有する粘着組成物において、架橋剤が有する官能基をブロックすることによって、粘着組成物の過剰な粘度上昇を抑制することができる化合物である。架橋遅延剤の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、アセチルアセトン、ヘキサン-2,4-ジオン、ヘプタン-2,4-ジオン、オクタン-2,4-ジオン等のβ-ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ-ケトエステル類;ベンゾイルアセトン等を使用することができる。前記架橋遅延剤としては、キレート剤として作用し得るものが好ましく、β-ジケトン類、β-ケトエステル類が好ましい。
前記粘着組成物が架橋遅延剤を含有する場合、架橋遅延剤の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。前記架橋遅延剤の含有量が前記範囲内であれば、前記(B)架橋剤を粘着組成物に配合した後に、粘着組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着組成物の貯蔵安定性(ポットライフ)を延長させることができる。
(粘着性付与剤)
前記粘着組成物は、必要に応じて、(A)共重合体を除く粘着性付与剤を含有してもよい。粘着性付与剤としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂等が挙げられる。
前記ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを重合、不均化、水素添加等により変性した変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水素添加ロジン、部分水素添加ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等)の他、各種のロジン誘導体等が挙げられる。
前記ロジン誘導体としては、例えば、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール系樹脂;未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物(未変性ロジンエステル)や、変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物(重合ロジンエステル、安定化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、完全水素添加ロジンエステル、部分水素添加ロジンエステル等)等のロジンエステル系樹脂;未変性ロジンや変性ロジンを不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂;ロジンエステル系樹脂を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂;未変性ロジン、変性ロジン、不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール系樹脂;未変性ロジン、変性ロジン等のロジン系樹脂(特に、ロジンエステル系樹脂)の金属塩等が挙げられる。
前記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン系樹脂、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂)が挙げられる。
前記フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、各種フェノール類(例えば、フェノール、m-クレゾール、3,5-キシレノール、p-アルキルフェノール、レゾルシン)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾール、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラック等が挙げられる。
前記炭化水素系粘着付与樹脂(石油系粘着付与樹脂)としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂[炭素数4~5のオレフィンやジエン(ブテン-1、イソブチレン、ペンテン-1等のオレフィン;ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン等のジエン)等の脂肪族炭化水素の重合体等]、脂肪族系環状炭化水素樹脂[いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体又はその水素添加物、下記の芳香族系炭化水素樹脂や脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂等]、芳香族系炭化水素樹脂[炭素数が8~10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等]、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等が挙げられる。
前記粘着組成物が粘着性付与剤を含有する場合、前記粘着性付与剤の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。粘着性付与剤の含有量を前記範囲に調節することによって、十分な被着体との密着性を確保でき、浮き剥がれを抑制することが出来る。
(粘着組成物の製造方法)
前記粘着組成物は、前記(A)共重合体、(B)架橋剤、および必要に応じて用いられるその他添加剤を混合することにより製造することができる。また、粘着組成物は、(A)共重合体の製造に由来した溶剤を含有してもよいし、さらに適当な溶剤を添加し、粘着層を形成するのに適した粘度となるように希釈してもよい。
前記溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記溶剤の使用量は、特に制限はなく、粘着組成物が塗工に適した粘度となるように適宜調節すればよい。塗工性の観点から、粘着組成物中の溶剤の含有率は、例えば、1質量%~90質量%が好ましく、より好ましくは10質量%~80質量%、さらに好ましくは20質量%~70質量%である。
(第1粘着層の形成)
前記第1粘着層の形成方法としては、第1基材の一方面上に粘着組成物を直接塗布して形成する方法;離型フィルムの面上に粘着組成物を塗布して第1粘着層を形成した後、第1基材の一方面上に転写する方法;第一の離型フィルムの面上に粘着組成物を塗布して第1粘着層を形成した後、第二の離型フィルムを貼り合わせ、いずれか一方の離型フィルムを剥離して第1基材の一方面上に転写する方法などが挙げられる。
前記粘着組成物の塗工には、例えば、リバースグラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷,スクリーン印刷,フレキソ印刷などの各種印刷法を用いて行うことができる。
塗膜の乾燥および組成物の硬化を行う条件は、特に限定されず、粘着組成物が含有する溶剤等を除去し、硬化させることができればよい。前記条件としては、例えば、60℃~150℃の温度で20秒~300秒程度熱処理を行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、100℃~130℃が好ましい。
〔第2保護フィルム〕
前記第2保護フィルム30は、第2基材31と第2粘着層32とを有し、前記第2粘着層32が前記カバーフィルム10の非防汚処理面に貼り合されている。
前記第2保護フィルム30は、例えば、ロールプロセスなどで連続加工したり保管したりする際において、カバーフィルム10の非防汚処理面に傷が付くのを抑制する。前記第2保護フィルム30は、カバーフィルム10の非防汚処理面への印刷工程前や、カバーフィルム10をディスプレイ等へ貼り合わせる前に、非防汚処理面から剥がされる。そのため、第2粘着層32は、カバーフィルム10の非防汚処理面と第2粘着層32の間の接着力よりも、第2基材31と第2粘着層32の間の接着力の方が強く、非防汚処理面と第2粘着層32の間で界面剥離可能な接着力に調整される。
前記第2基材31を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、高分子材料が挙げられる。高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。高分子材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械特性や材料コストなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンがより好ましく、透明性、機械強度などの観点からポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
前記第2基材31は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
前記第2基材31の厚さは、特に限定されるものではないが、ハンドリング性などの観点から、19μm以上が好ましく、より好ましくは22μm以上、さらに好ましくは25μm以上であり、200μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは125μm以下である。
(第2粘着層)
前記第2粘着層32は、第2保護フィルム30をカバーフィルム10の非防汚処理面に貼り付けるためのものである。
前記第2粘着層32の厚さは、特に限定されるものではないが、1μm以上が好ましく、より好ましくは2μm以上であり、10μm以下が好ましく、より好ましくは7μm以下である。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、重合組成物の重合率、重合体成分の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)、各層の厚さ、防汚層の水接触角、保護フィルムの剥離力の評価は、下記の方法に従って評価した。
なお、略語の意味は下記のとおりである。
EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
BTEE:エチル=2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート
V-70:2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
AcOEt:酢酸エチル
[評価方法]
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(ブルカー・バイオスピン社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H-NMRを測定(溶媒:CDCl3、内部標準:トリメチルシラン(TMS))した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のシグナルとポリマー由来のシグナルの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn))
高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、型式HLC-8320GPC)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。カラムはTSKgel Super Multipore HZ-H(東ソー社製)を2本、移動相にテトラヒドロフラン溶液、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を10mg/mL、試料注入量を10μm、流速を0.2mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量2,890,000、1,090,000、775,000、427,000、190,000、96,400、37,900、10,200、2,630、440)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(各層の厚さ)
防汚層、粘着層の厚さは、膜厚測定システム(フィルメトリクス製、「Filmetrics F20」)を用い、分光干渉法により測定した。
(水接触角)
防汚層の水接触角は、接触角計(協和界面科学製、DropMaster DMo-502)を用いて測定した。具体的には、室温23℃、相対湿度50%の雰囲気下、防汚層表面に4μLの純水を滴下し、滴下60秒後の水接触角を測定した。
(第1粘着層の防汚層に対する剥離力および糊残り評価)
第1保護フィルムの剥離フィルムを第1粘着層より剥離し、カバーフィルムの防汚層に貼り合わせ、幅25mm、長さ100mmの大きさに切り出した。その後、2kgのローラーを2往復させて圧着し、温度65℃、相対湿度95%の恒温恒湿層で240時間静置した。次に、精密万能試験機(島津製作所製、「AUTOGRAPH(登録商標) AGS-1kNX、50Nロードセル」)を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で、室温23℃相対湿度50%の雰囲気下、第1粘着層の剥離力を測定した。
また、糊残り評価は、第1粘着層を張り合わせる前の防汚層の水接触角(θ1)と、張り合わされた第1粘着層を剥離した後の防汚層の水接触角(θ2)との差(θ1-θ2)により評価した。評価は、差(θ1-θ2)が2°未満の場合を「〇」、2°以上の場合を「×」とした。
(第2粘着層のカバーフィルム基材に対する剥離力)
第2保護フィルムの剥離フィルムを第2粘着層より剥離し、カバーフィルムの基材に貼り合わせ、幅25mm、長さ100mmの大きさに切り出した。その後、2kgのローラーを2往復させて圧着し、温度65℃、相対湿度95%の恒温恒湿層で240時間静置した。次に、精密万能試験機(島津製作所製、「AUTOGRAPH(登録商標) AGS-1kNX、50Nロードセル」)を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で、室温23℃相対湿度50%の雰囲気下、第2粘着層の剥離力を測定した。
(第2保護フィルムの剥離試験)
保護フィルム付きカバーフィルムを、幅25mm、長さ150mmの大きさに切り出した。図2に示したように、切り出した保護フィルム付きカバーフィルム1の第1保護フィルム20および第2保護フィルム30それぞれに、30mmの長さに切り出したセロテープ(登録商標、ニチバン製、幅25mm)40のうち半分の粘着面を、保護フィルム付きカバーフィルム1を挟んで対向するように張り付けた。これらのセロテープ40の貼り合わせなかった部分を精密万能試験機(島津製作所製、「AUTOGRAPH(登録商標) AGS-1kNX、50Nロードセル」)に固定し、剥離速度300mm/分、剥離角度90°の条件で剥離した。そして、第1保護フィルム20がカバーフィルム10から剥離することなく、第2保護フィルム30を剥離できた場合を「○」、第1保護フィルム20がカバーフィルム10から剥離または浮いた場合を「×」と評価した。
<カバーフィルムの作製>
(防汚性ハードコート層用組成物の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物(アイカ工業製、「Z-735-3L」、配合物:変性アクリレート、光重合開始剤、溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル)、固形分濃度50質量%)に、含フッ素化合物(信越化学工業製、「KY-1203」、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート、有効成分20質量%)を、防汚性ハードコート層形成用組成物の固形分全量に対して0.1質量%となるように加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を用いて固形分濃度37質量%となるように調製し、防汚性ハードコート層形成用組成物を調製した。
(防汚性ハードコートフィルムの製造)
ポリイミドフィルム(KOLON INDUSTRIES製、「KOLON CPI(登録商標) C_80_O」、厚さ80μm)に、防汚性ハードコート層用組成物を、防汚層(防汚性ハードコート層)形成後の厚さが4μmとなるように塗布し、80℃で60秒間乾燥させた。その後、無電極(マイクロ波方式)ランプを用いて光量110mJ/cm2の紫外線を照射して、防汚性ハードコートフィルムを製造した。なお。防汚層表面の水の接触角は111°であった。
<第1保護フィルムの作製>
(共重合体の調製)
合成例1:共重合体No.A
アルゴンガス導入管と撹拌機を備えたフラスコに、BA(570.0g)、HBA(30.0g)、AcOEt(452.6g)を仕込み、アルゴン置換後、BTEE(171.7μL)、V-70(76.3mg)を加え、33℃で24時間反応させ、重合した。重合率は85%であった。
重合停止操作を行った後、得られた溶液にAcOEtを加え、共重合体No.Aを含有する共重合体溶液を得た。得られた共重合体No.Aは、重量平均分子量(Mw)が67万、分子量分布(Mw/Mn)が1.79であった。
合成例2~4:共重合体No.B~D
共重合体No.Aの製造法と同様にして、共重合体No.B~Dを作製した。表2に、使用した原料モノマー、有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、反応条件、重合率、重量平均分子量、分子量分布、ガラス転移温度を示した。なお、共重合体中の各官能基の含有量は、重合反応に用いたモノマーの仕込み比率から算出した。
Figure 2024051532000005
(第1保護フィルムの製造)
第1保護フィルムNo.1
合成例1で得た共重合体No.Aの共重合体成分100質量部に対して、デュラネート(登録商標)TPA-100を0.1質量部加え、固形分濃度が17質量%となるように酢酸ブチルを加え、第1粘着層用の粘着組成物を得た。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡エステル(登録商標)フィルムE5101、東洋紡製、片面コロナ処理、厚さ50μm)のコロナ処理面上に、ベーカー式フィルムアプリケーターを用いて、表3に示す厚さとなるように第1粘着層用の粘着組成物を塗布し、120℃で1分加熱して第1粘着層を形成した。次に、第1粘着層のポリエチレンテレフタレートフィルムで覆われていない面に剥離フィルム(表面に離型処理を施したPETフィルム、クリーンセパ(登録商標)HY-S10、東山フイルム製、厚さ38μm)の離型面を貼り付けた。その後、40℃で3日間養生し、第1保護フィルムNo.1を作製した。
第1保護フィルムNo.2~7
粘着組成物の配合を、表3に記載するように変更した以外は、第1保護フィルムNo.1と同様にして、第1保護フィルムNo.2~7を作製した。
作製した第1保護フィルムについて、カバーフィルムの防汚層に対する剥離力を測定し、剥離後の糊残りを評価した。その結果を表3に示した。
Figure 2024051532000006
粘着組成物の製造に用いた材料は、以下のとおりである。
TPA-100:旭化成社製、デュラネート(登録商標)TPA-100(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソシアネート基量;5.50mmol/g)
T-C:三菱ガス化学社製、TETRAD(登録商標)-C(1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノエチル)シクロヘキサン、エポキシ基量;9.76mmol/g)
第1保護フィルムNo.1~4は、第1粘着層が、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、前記第1反応性基と反応する第2反応性基を有する架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、モル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が0.01~0.30である。これらの第1保護フィルムNo.1~4は、カバーフィルムの防汚層(防汚処理面)に対する剥離力(P1)が高く、密着性に優れており、かつ、剥離後の糊残りも抑制されていた。
第1保護フィルムNo.5は、第1粘着層を形成する粘着組成物中のモル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が0.30超の場合である。この第1保護フィルムNo.5は、剥離後の糊残りは抑制されているが、カバーフィルムの防汚層(防汚処理面)に対する剥離力(P1)が低かった。
第1保護フィルムNo.6は、第1粘着層を形成する粘着組成物中のモル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が0.01未満の場合である。この第1保護フィルムNo.6は、カバーフィルムの防汚層(防汚処理面)に対する剥離力(P1)が高いが、剥離後に糊残りが発生した。
第1保護フィルムNo.7は、第1粘着層を形成する粘着組成物中の第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3.0超の場合である。この第1保護フィルムNo.7は、カバーフィルムの防汚層(防汚処理面)に対する剥離力(P1)が低く、かつ、剥離後に糊残りが発生した。
<第2保護フィルムの準備>
第2保護フィルムとして、下記のフィルムを準備した。
第2保護フィルムNo.1:HPF01(東山フイルム製、基材:ポリエステルフィルム(厚さ38μm)、粘着層:厚さ5μm、ポリイミドフィルムに対する剥離力20mN/25mm)
第2保護フィルムNo.2:MUマスキング(東山フイルム製、基材:ポリエステルフィルム(厚さ50μm)、粘着層:厚さ10μm、ポリイミドフィルムに対する剥離力40mN/25mm)
第2保護フィルムNo.3:上記で作製した第1保護フィルムNo.5(ポリイミドフィルムに対する剥離力100mN/25mm)を使用した。
第2保護フィルムNo.4:HPF18(東山フイルム製、基材:ポリエステルフィルム(厚さ38μm)、粘着層:厚さ10μm、ポリイミドフィルムに対する剥離力300mN/25mm)
<保護フィルム付きカバーフィルムの作製>
第1保護フィルムの剥離フィルムを第1粘着層より剥離し、第1粘着層をカバーフィルムの防汚層(防汚処理面)に貼り合わせ、2kgのローラーを2往復させて圧着した。第2保護フィルムの剥離フィルムを第2粘着層より剥離し、カバーフィルムの第1保護フィルムを貼り合わせた面とは反対側の基材表面(非防汚処理面)に、第2粘着層を貼り合わせ、2kgのローラーを2往復させて圧着した。第1保護フィルムおよび第2保護フィルムを張り付けたカバーフィルムを、温度65℃、相対湿度95%の恒温恒湿層で240時間静置し、保護フィルム付きカバーフィルムを作製した。第1保護フィルム、第2保護フィルムは、表4に示したものを使用した。得られた保護フィルム付きカバーフィルムについて、第2保護フィルム剥離試験を行い、結果を表4に示した。
Figure 2024051532000007
保護フィルム付きカバーフィルムNo.1~6、9~11、13および14は、剥離力(P1)と剥離力(P2)とがP1>P2の関係を満足し、かつ、第1粘着層が、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、前記第1反応性基と反応する第2反応性基を有する架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、モル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が0.01~0.30である。これらの保護フィルム付きカバーフィルムNo.1~6、9~11、13および14は、カバーフィルムの防汚層(防汚処理面)に対する剥離力(P1)が高く、密着性に優れており、かつ、剥離後の糊残りも抑制されていた。また、さらに、第1保護フィルムの剥離や浮きを発生することなく、第2保護フィルムを剥離することができた。
本発明には、以下の実施態様が含まれる。
(実施態様1)
表面側が防汚処理面であり裏面側が非防汚処理面であるカバーフィルムと、前記カバーフィルムの防汚処理面側に配置された第1保護フィルムと、前記カバーフィルムの非防汚処理面側に配置された第2保護フィルムを有し、
前記カバーフィルムが、基材フィルムと、最も表面側に配置された水の接触角が100°以上である防汚層とを有し、
前記第1保護フィルムが、第1基材と第1粘着層とを有し、前記第1粘着層が前記防汚処理面に貼り合されており、
前記第2保護フィルムが、第2基材と第2粘着層とを有し、前記第2粘着層が前記非防汚処理面に貼り合されており、
前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と、前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)とが、P1>P2の関係を満足し、
前記第1粘着層が、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、前記第1反応性基と反応する第2反応性基を有する架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、
前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の第1反応性基に対する、前記架橋剤が有する第2反応性基のモル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が、0.01~0.30であることを特徴とする保護フィルム付きカバーフィルム。
(実施態様2)
前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)との差(P1-P2)が、10mN/25mm以上である実施態様1に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
(実施態様3)
前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)が、30mN/25mm~380mN/25mmであり、
前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)が、10mN/25mm~300mN/25mmである実施態様1または2に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
(実施態様4)
前記カバーフィルムの基材フィルムが、ポリイミド系フィルムである実施態様1~3のいずれか1項に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
(実施態様5)
前記カバーフィルムの防汚層が、防汚性ハードコート層である実施態様1~4のいずれか1項に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
(実施態様6)
前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体が、リビングラジカル重合により得られたものである実施態様1~5のいずれか1項に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
本発明の保護フィルム付きカバーフィルムは、画像表示装置のカバーウィンドウに用いることができる。
1:保護フィルム付きカバーフィルム、10:カバーフィルム、11:基材、12:防汚層、20:第1保護フィルム、21:第1基材、22:第1粘着層、30:第2保護フィルム、31:第2基材、32:第2粘着層、40:セロテープ

Claims (6)

  1. 表面側が防汚処理面であり裏面側が非防汚処理面であるカバーフィルムと、前記カバーフィルムの防汚処理面側に配置された第1保護フィルムと、前記カバーフィルムの非防汚処理面側に配置された第2保護フィルムを有し、
    前記カバーフィルムが、基材フィルムと、最も表面側に配置された水の接触角が100°以上である防汚層とを有し、
    前記第1保護フィルムが、第1基材と第1粘着層とを有し、前記第1粘着層が前記防汚処理面に貼り合されており、
    前記第2保護フィルムが、第2基材と第2粘着層とを有し、前記第2粘着層が前記非防汚処理面に貼り合されており、
    前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と、前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)とが、P1>P2の関係を満足し、
    前記第1粘着層が、第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、前記第1反応性基と反応する第2反応性基を有する架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、
    前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
    前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体の第1反応性基に対する、前記架橋剤が有する第2反応性基のモル比(第2反応性基のモル量/第1反応性基のモル量)が、0.01~0.30であることを特徴とする保護フィルム付きカバーフィルム。
  2. 前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)と前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)との差(P1-P2)が、10mN/25mm以上である請求項1に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
  3. 前記第1粘着層の23℃における前記防汚処理面に対する剥離力(P1)が、30mN/25mm~380mN/25mmであり、
    前記第2粘着層の23℃における前記非防汚処理面に対する剥離力(P2)が、10mN/25mm~300mN/25mmである請求項1または2に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
  4. 前記カバーフィルムの基材フィルムが、ポリイミド系フィルムである請求項1または2に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
  5. 前記カバーフィルムの防汚層が、防汚性ハードコート層である請求項1または2に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
  6. 前記第1反応性基を有する(メタ)アクリル系共重合体が、リビングラジカル重合により得られたものである請求項1または2に記載の保護フィルム付きカバーフィルム。
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