JP2024044734A - 吸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストアップや装置全体の大型化を抑制しつつ、消費エネルギを低減化することができる吸着装置の提供。【解決手段】本開示の吸着装置は、対象物に接触可能な吸着体と、吸着体内の気体を吸引するための真空発生源と、当該真空発生源に接続される第1ポートおよび吸着体の気体出入口に接続される第2ポートを有し、第1ポートと第2ポートとの間の圧力差に応じて吸着体から真空発生源側への気体の流通を規制するように閉弁する逆止弁と、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから逆止弁を一時的に開弁状態に保持する開弁保持機構とを含む。【選択図】図2
Description
本開示は、対象物に接触可能な吸着体と、当該吸着体内の気体を吸引するための真空発生源とを含む吸着装置に関する。
従来、ロボットアームの先端に取り付けられ、瓶等の対象物を負圧により吸着するエンドエフェクタ(吸着装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このエンドエフェクタは、1つの第1吸着体(吸着パッド)と、当該第1吸着体の周囲に配置される複数(6つ)の第2吸着体(吸着パッド)とを含む。第1吸着体は、落下防止弁および第1負圧系統を介して負圧発生装置に接続され、各第2吸着体は、落下防止弁および第2負圧系統を介して負圧発生装置に接続される。落下防止弁は、第1または第2吸着体が対象物に接触していないか、あるいは、当該第1吸着体等と対象物との間に隙間があるときに、パッド内の空気が吸引されるのに応じて閉弁する。これにより、対象物に対して第1およびは第2吸着体の何れかが適正に接触していないときに、第1または第2負圧系統における負圧の元圧(真空度)の低下を抑制して、対象物の落下を防止することができる。
ここで、上述のような吸着装置では、対象物に隙間なく接触した吸着体内の空気が吸引されたときにも、当該吸着体側から負圧系統へと向かう空気の流れが形成され、それに伴って本来開弁されているべき落下防止弁が誤って閉弁してしまうことがある。このような場合、閉弁した落下防止弁に対応する吸着体内の空気を吸引し得なくなり、当該吸着体により対象物を保持することができなくなる。かかる不具合を抑制するためには、落下防止弁が誤って閉弁しても、吸着体内の空気を継続して吸引することができるように、吸着体の内部と負圧系統とを常時連通させるバイパス通路を当該落下防止弁に設ければよい。ただし、落下防止弁にバイパス通路が設けられた場合、吸着体と対象物との隙間を介して外部からの空気が負圧系統に流入する、いわゆるリークの発生を無くすことができなくなる。そして、吸着装置の吸着力を確保するためには、吸着体におけるリークを補うことができる真空発生源を使用することが必要になり、コストアップや装置全体の大型化、消費エネルギの増加等を招いてしまう。
そこで、本開示は、コストアップや装置全体の大型化を抑制しつつ、消費エネルギを低減化することができる吸着装置の提供を主目的とする。
本開示の吸着装置は、対象物に接触可能な吸着体と、前記吸着体内の気体を吸引するための真空発生源とを含む吸着装置において、前記真空発生源に接続される第1ポートおよび前記吸着体の気体出入口に接続される第2ポートを有し、前記第1ポートと前記第2ポートとの間の圧力差に応じて前記吸着体から前記真空発生源側への気体の流通を規制するように閉弁する逆止弁と、前記真空発生源による前記吸着体内の気体の吸引が開始されてから前記逆止弁を一時的に開弁状態に保持する開弁保持機構とを含むものである。
本開示の吸着装置において、逆止弁は、真空発生源に接続される第1ポートと、吸着体の気体出入口に接続される第2ポートとの間の圧力差に応じて吸着体から真空発生源側への気体の流通を規制するように閉弁する。そして、かかる逆止弁は、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから開弁保持機構により一時的に開弁状態に保持される。これにより、対象物に接触した吸着体内の気体の吸引が開始されたときに、吸着体から真空発生源側へと向かう気体の流れが形成されたとしても、逆止弁が誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することが可能になる。従って、逆止弁が誤って閉弁したときに吸着体内の気体を継続して吸引するためのバイパス通路が不要になり、バイパス通路を介したリークの発生を無くすことができる。この結果、真空発生源の負担を軽減して、コストアップや吸着装置全体の大型化を抑制しつつ、吸着装置の消費エネルギを低減化することが可能になる。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の吸着装置1を示す概略構成図である。同図に示す吸着装置1は、対象物Wを保持するためのものであり、図示しないロボット装置(ロボットアーム)にエンドエフェクタとして組み込まれる。吸着装置1は、それぞれ当該対象物Wに接触可能な複数の吸着体2と、当該複数の吸着体2ごとに設けられた落下防止ユニット3と、各吸着体2内の空気(気体)を吸引するための真空発生装置(真空発生源)10と、単一の第1切換弁11と、単一の第2切換弁12と、制御装置15とを含む。
吸着装置1の各吸着体2は、外周部が対象物Wの表面に密に接触可能になるように略傘状に形成された樹脂パッド(吸着パッド)である。各落下防止ユニット3は、逆止弁4と、当該逆止弁4を開弁状態に保持することができる開弁保持機構5の構成要素の一部とを含むものである。図1に示すように、複数の落下防止ユニット3は、複数の吸着体2が予め定められた態様で整列するように保持部材30により保持される。真空発生装置10は、真空ポンプまたは真空ブロワを含むものであってもよく、圧縮機とエジェクタとを含むものであってもよい。
第1および第2切換弁11,12は、何れも常閉型の3ポート電磁弁であり、真空発生装置10と、それぞれ複数の吸着体2および落下防止ユニット3との間に設置される。また、第1および第2切換弁11,12は、真空発生装置10に接続される吸引ポート11vまたは12v、高圧源としての大気に連通するリリースポート11rまたは12rおよび流入出ポート11aまたは12aを有する。第1および第2切換弁11,12は、電磁部の通電時に吸引ポート11vまたは12vと流入出ポート11aまたは12aとを連通させる第1状態を形成し、電磁部の非通電時にリリースポート11rまたは12rと流入出ポート11aまたは12aとを連通させる第2状態を形成する。制御装置15は、CPU,ROM,RAM等を含むコンピュータであり、真空発生装置10、第1および第2切換弁11,12を制御する。
図2は、吸着装置1を示す拡大断面図である。同図に示すように、落下防止ユニット3は、対応する吸着体2に接続されると共に逆止弁4および開弁保持機構5の構成要素の一部を収容するハウジング6を含む。また、ハウジング6は、略円筒状のハウジング本体61と、当該ハウジング本体61の吸着体2側(図中下側)の端部に固定される短尺筒状の連結ピース62と、ハウジング本体61の吸着体2側とは反対側(図中上側)の端部を覆うプラグ63と、ハウジング本体61内に配置(固定)される略円筒状のインナーハウジング64とを含む。
ハウジング本体61には、軸方向に延在する気体通路60が形成されており、当該気体通路60は、ホース等の配管を介して第1切換弁11の流入出ポート11aに接続される。連結ピース62は、吸着体2の気体出入口2aを含む端部に固定され、当該連結ピース62の内部には、気体出入口2aに連通するようにフィルタFが配置される。プラグ63には、ホース等の配管を介して第2切換弁12の流入出ポート12aに接続される気体出入口が形成されている。インナーハウジング64は、径方向に延在してハウジング本体61の気体通路60に連通する小径の絞り部(オリフィス)65と、当該気体通路60に連通する複数の軸方向通路66とを有し、連結ピース62のプラグ63側(図2における上側)に配置される。
逆止弁4は、本実施形態において、ポペットバルブであり、図2に示すように、例えば樹脂により形成された弁体40と、第1ポート41と、第2ポート42と、ハウジング6のインナーハウジング64内に軸方向に移動自在に配置される中空の可動部材44とを含む。弁体40は、その軸心の周りに延在する円錐面40sを有し、当該円錐面40sが第1ポート41側に位置するように、インナーハウジング64内の可動部材44内に軸方向に移動自在に挿通される。第1ポート41は、インナーハウジング64と、弁体40の吸着体2側とは反対側(図2における上側)の軸部との径方向における間に形成され、当該インナーハウジング64の絞り部65を介してハウジング本体61の気体通路60に連通する。第2ポート42は、インナーハウジング64と弁体40の吸着体2側の端部との径方向における間に形成され、連結ピース62内のフィルタFを介して当該吸着体2の気体出入口2aに連通する。
弁体40は、第1ポート41と第2ポート42との間における空気の圧力差に応じてインナーハウジング64を軸方向移動可能である。また、弁体40の第2ポート42側への移動は、連結ピース62またはフィルタFにより支持されるストッパSTにより規制される。可動部材44は、図2に示すように、弁体40の円錐面40sと対向する凹円錐面状の弁座45を有する。これにより、弁体40が第2ポート42側から第1ポート41側に移動して円錐面40sが可動部材44の弁座45に密に接触すると、第1ポート41と第2ポート42との連通が遮断されることになる。
また、可動部材44は、連結ピース62により支持される弾性体としてのスプリング(コイルスプリング)47によりインナーハウジング64の第1ポート41側の一部に突き当たるように付勢される。スプリング47は、比較的小さいバネ定数を有するものである。更に、可動部材44は、インナーハウジング64に形成された複数の軸方向通路66の第2ポート42側の端部と対向する環状の凹部46を有する。かかる可動部材44は、インナーハウジング64の複数の軸方向通路66から凹部46内に流入する空気(気体)により当該凹部46の底面に付与される力がスプリング47の付勢力に打ち勝つと、第1ポート41から第2ポート42に向かう方向に移動する。
開弁保持機構5は、図2に示すピストン7、可変容積室8および上述の第2切換弁12により構成される。ピストン7は、有底筒状に形成されており、ハウジング本体61内の逆止弁4の第1ポート41に連通する空間内に軸方向に摺動自在に配置される。すなわち、ピストン7は、開放端がハウジング6のプラグ63側に位置するように逆止弁4の弁体40に対して吸着体2の反対側に配置される。また、ピストン7の底部には、突起が形成されており、当該突起は、弁体40の吸着体2側とは反対側の端部に嵌合される。
更に、ピストン7の内底面とプラグ63の内底面との間には、比較的小さいバネ定数を有する弾性体としてのスプリング(コイルスプリング)9が配置され、ピストン7は、当該スプリング9により弁体40に対して付勢される。これにより、ピストン7は、弁体40と一体になって軸方向に移動可能になる。また、ピストン7がスプリング9により付勢された状態では、弁体40の第2ポート42側への移動がストッパSTにより規制され、当該弁体40の円錐面40sと可動部材44の弁座45との間には、図2に示すように、十分な間隙が形成される。そして、ピストン7,ハウジング本体61およびプラグ63は、第1ポート41に対して第2ポート42の反対側に弁体40およびピストン7の移動に応じて膨縮する可変容積室8を画成する。また、ピストン7の弁体40側の背面周辺における圧力は、逆止弁4の第1ポート41内と概ね等圧になり、ピストン7は、当該第1ポート41における空気の圧力を受ける。
続いて、図3から図6等を参照しながら、上述のように構成される吸着装置1の動作について説明する。
図示しないロボット装置により対象物Wを移動させるべく吸着装置1に対象物Wを保持させる際には、複数の吸着体2を対象物Wに接触させるように当該ロボット装置が制御される。複数の吸着体2の各々が対象物Wに接触すると、吸着装置1の制御装置15は、第2切換弁12が上記第2状態を形成するように当該第2切換弁12の電磁部への通電を解除する。更に、制御装置15は、第1切換弁11が上記第1状態を形成するように当該第1切換弁11の電磁部に通電すると共に、真空発生装置10を作動させる(図3における時刻t1)。
これにより、第1切換弁11の吸引ポート11v(真空発生装置10)と流入出ポート11aすなわち気体通路60とが連通し、吸引ポート11v、流入出ポート11a、ハウジング本体61の気体通路60、インナーハウジング64の絞り部65、逆止弁4の第1および第2ポート41,42、フィルタFおよび気体出入口2aを介して各吸着体2の内部(吸着体2と対象物Wとの間の空間)の空気が真空発生装置10により吸引される。この結果、図3に示すように、各吸着体2内の空気の圧力Ppが低下し、大気圧により対象物Wが各吸着体2に押し付けられることで、当該対象物Wが複数の吸着体2により保持される。
また、第2切換弁12の電磁部への通電が解除されることで、当該第2切換弁12の リリースポート12r(高圧源)と流入出ポート12aすなわち開弁保持機構5の可変容積室8とが連通し、当該可変容積室8内の空気の圧力Pvは、図3に示すように、大気圧に維持される。これに対して、逆止弁4の第1ポート41周辺やピストン7の弁体40側の背面周辺の圧力は、少なくとも1つの吸着体2が対象物Wに適正に接触していれば、真空発生装置10により吸着体2内の空気が吸引されることで低下していく(図3参照)。
これにより、可変容積室8側からピストン7に作用する力が第1ポート41側からピストン7に作用する力に打ち勝ち、ピストン7は、スプリング9により付勢された状態に維持される。従って、第2切換弁12が第2状態を形成する状態で真空発生装置10により各吸着体2内の空気が吸引される間には、可変容積室8の容積が実質的に変化(減少)することなく概ね同一に維持されるので、開弁保持機構5によりピストン7および弁体40の移動を規制して逆止弁4を開弁状態に保持することができる。この結果、対象物Wに接触した吸着体2内の空気の吸引が開始されたときに、当該吸着体2から真空発生装置10側へと向かう空気の流量Qが増加したとしても(図3参照)、弁体40の移動を規制して逆止弁4が誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することが可能になる。
図3に示すように、制御装置15は、真空発生装置10による各吸着体2内の空気の吸引開始から時間tref(所定時間)が経過した段階で(図3における時刻t2)、第2切換弁12の電磁部への通電を開始させ、当該第2切換弁12を第2状態から第1状態に切り換える。時間trefは、吸着体2、逆止弁4、開弁保持機構5、真空発生装置10等の諸元等に基づいて、真空発生装置10による吸着体2内の空気の吸引開始後に弁体40を閉弁側に移動させる空気の流れが形成されなくなるまでの時間として実験・解析を経て予め定められる。これにより、第2切換弁12の吸引ポート12v(真空発生装置10)と流入出ポート12aすなわち可変容積室8とが連通し、吸引ポート12vおよび流入出ポート12aを介して当該可変容積室8内の空気が真空発生装置10により吸引されるので、図4に示すように、可変容積室8内の空気の圧力Pvが低下する。第2切換弁12が第1状態に切り換えられ、かつ各吸着体2が対象物Wにしっかりと接触しているときには、第1および第2ポート41,42における空気の圧力が十分に低下しているので、可変容積室8内の空気の圧力PVが低下しても、逆止弁4は開弁状態に維持される。
これに対して、第2切換弁12が第2状態から第1状態に切り換えられ、かつ対象物Wと何れかの吸着体2との間に隙間が存在しているとき(何れかの吸着体2が対象物Wに接触していないときを含む。以下、同様)には、当該隙間から当該吸着体2内に空気が流入し、絞り部65により第1ポート41から気体通路60へと流出する空気の流量が制限される。このため、絞り部65の作用(存在)等により、当該吸着体2内の空気の圧力Ppや、逆止弁4の弁体40の周辺(第1および第2ポート41,42周辺)における空気の圧力が比較的高く保たれている(図4参照)。従って、可変容積室8と弁体40の周辺との圧力差に応じてピストン7および弁体40を円錐面40sが弁座45に当接するように移動させ、図5に示すように、閉弁した逆止弁4により吸着体2から真空発生装置10側への空気の流通を規制することができる。この結果、真空発生装置10により生成される圧力(真空度)の上昇を抑制し、対象物Wの落下を良好に防止することが可能になる。
また、吸着装置1の各吸着体2により保持された対象物Wをリリースする際、制御装置15は、第1および第2切換弁11,12の電磁部への通電を解除し、両者を第1状態から第2状態に切り換える。これにより、第1切換弁11のリリースポート11r(高圧源)と流入出ポート11aすなわち気体通路60とが連通し、外部の空気(大気圧)が、リリースポート11r、流入出ポート11a、ハウジング本体61の気体通路60、インナーハウジング64の絞り部65、逆止弁4の第1および第2ポート41,42、フィルタFおよび気体出入口2aを介して各吸着体2の内部(吸着体2と対象物Wとの間の空間)に供給される。この結果、各吸着体2の内外における圧力差がなくなり、対象物Wが各吸着体2からリリースされる。
更に、第1切換弁11のリリースポート11rおよび流入出ポート11aから気体通路60に空気が供給されると、当該気体通路60に連通するインナーハウジング64の複数の軸方向通路66から、可動部材44の凹部46に吸着体2に向かう空気の一部が流入する。そして、可動部材44は、複数の軸方向通路66から凹部46内に流入する空気により当該凹部46の底面に付与される力がスプリング47の付勢力に打ち勝つと、第1ポート41から第2ポート42に向かう方向に移動し、図6に示すように、軸方向通路66および凹部46を介して気体通路60と第1ポート41とを連通させる複数の連通路67を形成する。これにより、逆止弁4の第1ポート41および第2ポート42には、絞り部65に加えて当該複数の連通路67からも空気が供給されることになる。従って、各吸着体2による対象物Wの保持を解除するときに、第2ポート42すなわち各吸着体2内に速やかに多くの空気を供給して、各吸着体2から対象物Wを素早くリリースすることが可能になる。
また、各吸着体2から対象物Wをリリースする際には、第2切換弁12の電磁部への通電が解除されることで、当該第2切換弁12のリリースポート12rおよび流入出ポート12aから開弁保持機構5の可変容積室8内に空気が供給され、当該可変容積室8内の空気の圧力Pvが大気圧まで上昇する。更に、逆止弁4の第1ポート41周辺やピストン7の弁体40側の背面周辺の圧力も大気圧まで上昇する。これにより、ピストン7は、スプリング9により付勢された状態に維持され、弁体40の移動が規制される。また、可動部材44の第2ポート42側への移動は、図6に示すように、連結ピース62の図2における上端面により規制される。更に、可動部材44が第2ポート42側で停止した際、弁体40の円錐面40sと可動部材44の弁座45との間には、図2および図6に示すように、十分な間隙が形成される。従って、吸着装置1では、各吸着体2から対象物Wをリリースする際に、逆止弁4が誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することができる。
上述のように、吸着装置1では、真空発生装置10による複数の吸着体2内の空気の吸引が開始されてから各吸着体2の逆止弁4を一時的(図3および図4における時刻t1から時刻t2までの時間tref)に開弁状態に保持した上で、その後に各逆止弁4を適正に作動させることが可能になる。これにより、対象物Wに接触した吸着体2内の空気の吸引が開始されたときに、吸着体2から真空発生装置10側へと向かう空気の流れが形成されたとしても、逆止弁4が誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することが可能になる。従って、逆止弁4が誤って閉弁したときに吸着体2内の空気を継続して吸引するためのバイパス通路が不要になり、バイパス通路を介したリークの発生を無くすことができる。この結果、真空発生装置10の負担を軽減して、コストアップや吸着装置1全体の大型化を抑制しつつ、吸着装置1の消費エネルギを低減化することが可能になる。
また、吸着装置1では、複数の吸着体2ごとに逆止弁4および開弁保持機構5が設けられる。更に、複数の吸着体2に対して1つの第1切換弁11が設けられる。また、複数の開弁保持機構5に対して1つの第2切換弁12が設けられる。これにより、部品点数の増加を抑制して、コストアップや吸着装置1全体の大型化を良好に抑制することが可能になる。
更に、吸着装置1は、逆止弁4と、開弁保持機構5の構成要素の一部とを含む落下防止ユニット3を含む。また、当該落下防止ユニット3は、逆止弁4の弁体40を内包すると共に、吸着体2に取り付けられるハウジング6を含む。更に、ハウジング6は、第1ポート41、第2ポート42、絞り部65および気体通路60を有し、かつピストン7と共に可変容積室8を画成する。これにより、逆止弁4および開弁保持機構5の構成要素の一部を一体化させて吸着装置1をコンパクト化することが可能になる。ただし、逆止弁4と、開弁保持機構5の構成要素の一部とは、必ずしもユニット化される必要はない。
図7は、本開示の他の実施形態に係る吸着装置1Bを示す概略構成図である。なお、吸着装置1Bの構成要素のうち、上述の吸着装置1と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図7に示す吸着装置1Bも対象物W(図1参照)を保持するためのものであり、図示しないロボット装置(ロボットアーム)にエンドエフェクタとして組み込まれる。吸着装置1Bは、図示するように、上記第1切換弁11と同様に機能する切換弁11Bを含む。また、吸着装置1Bでは、上述の第2切換弁12が省略されており、ハウジング6のプラグ63Bの端部は、完全に閉鎖されている。更に、吸着装置1Bにおいて、各落下防止ユニット3Bの開弁保持機構5Bは、ピストン7および可変容積室8に加えて、気体通路60と可変容積室8とを連通させるようにハウジング本体61Bに形成された小径の第2の絞り部(オリフィス)68を含む。
図示しないロボット装置により対象物Wを移動させるべく吸着装置1Bに対象物Wを保持させる際には、複数の吸着体2を対象物Wに接触させるように当該ロボット装置が制御される。複数の吸着体2の各々が対象物Wに接触すると、吸着装置1Bの制御装置15Bは、切換弁11Bが上記第1状態を形成するように当該切換弁11Bの電磁部に通電すると共に、真空発生装置10を作動させる(図8における時刻t1)。これにより、ハウジング本体61Bの気体通路60、インナーハウジング64の絞り部65、逆止弁4の第1および第2ポート41,42等を介して各吸着体2の内部の空気が真空発生装置10により吸引され、対象物Wが複数の吸着体2により保持される。
また、開弁保持機構5Bの可変容積室8は、第2の絞り部68を介して気体通路60に連通しており、当該可変容積室8内の空気の圧力Pvは、図8に示すように、真空発生装置10による吸着体2内の空気の吸引開始後、しばらくの間、第2の絞り部68の作用(存在)等により吸着体2内の空気の圧力Ppよりも高く維持される。これにより、可変容積室8側からピストン7に作用する力が第1ポート41側からピストン7に作用する力に打ち勝ち、ピストン7は、スプリング9により付勢された状態に維持される。従って、真空発生装置10による吸着体2内の空気の吸引が開始されてから、開弁保持機構5Bにより可変容積室8の容積変化(容積減少)すなわちピストン7および弁体40の移動を一時的に規制して逆止弁4を開弁状態に保持することができる。この結果、対象物Wに接触した吸着体2内の空気の吸引が開始されたときに、当該吸着体2から真空発生装置10側へと向かう空気の流量Qが増加したとしても(図8参照)、弁体40の移動を規制して逆止弁4が誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することが可能になる。
また、真空発生装置10による吸着体2内の空気の吸引開始からある程度時間が経過すると、真空発生装置10により可変容積室8内の空気が吸引されて当該可変容積室内8の空気の圧力Pvが低下する。更に、吸着体2が対象物Wにしっかりと接触しているときには、可変容積室8内の空気の圧力Pvと、吸着体2の内部すなわち第1および第2ポート41,42における空気の圧力(Pp)とが概ね同一になり、逆止弁4は開弁状態に維持される。これに対して、可変容積室8内の空気の圧力Pvが低下し、かつ対象物Wと何れか吸着体2との間に隙間が存在しているときには、当該隙間から当該吸着体2内に空気が流入し、絞り部65により第1ポート41から気体通路60へと流出する空気の流量が制限される。このため、絞り部65の作用(存在)等により、図9に示すように、当該吸着体2内の空気の圧力Ppや、逆止弁4の弁体40の周辺(第1および第2ポート41,42周辺)における空気の圧力(Pp)が比較的高く保たれている。従って、可変容積室8と弁体40の周辺との圧力差に応じてピストン7および弁体40を円錐面40sが弁座45に当接するように移動させ、閉弁した逆止弁4により吸着体2から真空発生装置10側への空気の流通を規制することができる。この結果、真空発生装置10により生成される圧力(真空度)の上昇を抑制し、対象物Wの落下を良好に防止することが可能になる。
上述のように、吸着装置1Bにおいても、真空発生装置10による複数の吸着体2内の空気の吸引が開始されてから各吸着体2の逆止弁4を一時的に開弁状態に保持した上で、その後に各逆止弁4を適正に作動させることが可能になる。これにより、逆止弁4に上述のようなバイパス通路を設ける必要がなくなり、当該バイパス通路を介したリークの発生を無くすことができる。この結果、真空発生装置10の負担を軽減して、コストアップや吸着装置1B全体の大型化を抑制しつつ、吸着装置1Bの消費エネルギを低減化することが可能になる。
また、上記開弁保持機構5Bによれば、可変容積室8を真空発生装置10および高圧源としての大気の何れか一方に選択的に接続する切換弁(第2切換弁12)を省略することができるので、吸着装置1Bのコストを低減することが可能になる。すなわち、吸着装置1Bでは、複数の吸着体2ごとに逆止弁4および開弁保持機構5Bを設けると共に、複数の吸着体2に対して1つの切換弁11Bを設ければよい。これにより、部品点数を削減して、コストアップや吸着装置1B全体の大型化を良好に抑制することが可能になる。
図10は、本開示の更に他の実施形態に係る吸着装置1Cを示す概略構成図である。なお、吸着装置1Cの構成要素のうち、上述の吸着装置1等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図10に示す吸着装置1Cも対象物W(図1参照)を保持するためのものであり、図示しないロボット装置(ロボットアーム)にエンドエフェクタとして組み込まれる。吸着装置1Cは、複数の吸着体2と、当該複数の吸着体2ごとに設けられた落下防止ユニット3Cと、各吸着体2内の空気(気体)を吸引するための真空発生装置(真空発生源)10と、上記第1切換弁11および切換弁11Bと同様に機能する切換弁11Cと、真空発生装置10および切換弁11Cを制御する制御装置15Cとを含む。
吸着装置1Cの落下防止ユニット3Cは、逆止弁4Cと、開弁保持機構5Cの構成要素の一部とを含むものである。また、落下防止ユニット3Cのハウジング6Cは、略円筒状のハウジング本体61Cと、当該ハウジング本体61Cの吸着体2側の端部に固定される短尺筒状の連結ピース62と、ハウジング本体61Cの吸着体2側とは反対側(図中上側)の端部を覆うプラグ63とを含む。プラグ63には、ホース等の配管を介して切換弁11Cの流入出ポート11aに接続される気体出入口が形成されている。
吸着装置1Cの逆止弁4Cは、ポペットバルブであり、図10に示すように、円錐面40sを有する弁体40と、第1ポート41と、第2ポート42と、弁座45を有すると共にハウジング6Cのハウジング本体61Cに固定される中空の弁座部材44Cとを含む。また、吸着装置1Cの開弁保持機構5Cは、ピストン7、可変容積室8および第2切換弁12等により構成されるエア駆動式のアクチュエータの代わりに、電磁アクチュエータ50を含む。すなわち、吸着装置1Cでは、複数の吸着体2ごとに逆止弁4Cおよび電磁アクチュエータ50が設けられる。
図10に示すように、電磁アクチュエータ50は、ハウジング6Cのハウジング本体61C内の弁座部材44Cとプラグ63との間に配置され、筒状のコア51と、当該コア51を包囲するように配置される筒状のコイル52と、コア51内に軸方向に移動自在に配置されるプランジャ53とを含む。コイル52は、絶縁部材54を介してハウジング6Cのハウジング本体61Cにより保持されると共に、コネクタ55および制御装置15Cにより開閉制御されるスイッチ56を介して電源57に接続されている。
プランジャ53は、プラグ63の気体出入口および逆止弁4Cの第1ポート41に連通する気体通路を画成すると共に、逆止弁4Cの弁体40の吸着体2側とは反対側(図中上側)の端部に当接可能である。また、プランジャ53と弁座部材44Cとの間には、スプリング58が配置されており、プランジャ53は、当該スプリング58によりプラグ63側すなわち第2ポート42から第1ポート41に向かう方向(図中上側)に付勢される。電源57からコイル52に電流(電力)が供給されない電磁アクチュエータ50の取付状態において、プランジャ53は、図10に示すように、スプリング58によりプラグ63側に付勢されて弁体40の吸着体2側とは反対側の端部から離間する。これに対して、コイル52の電流が供給されると、プランジャ53は、図11に示すように、スプリング58の付勢力に抗して吸着体2側すなわち第1ポート41から第2ポート42に向かう方向(図中下側)に移動して弁体40の吸着体2側とは反対側の端部に当接する。
図示しないロボット装置により対象物Wを移動させるべく吸着装置1Cに対象物Wを保持させる際には、複数の吸着体2を対象物Wに接触させるように当該ロボット装置が制御される。複数の吸着体2の各々が対象物Wに接触すると、吸着装置1Cの制御装置15Cは、開弁保持機構5Cの電磁アクチュエータ50のコイル52に通電し、図11に示すように、当該電磁アクチュエータ50のプランジャ53を弁体40の吸着体2側とは反対側の端部に当接させる。更に、制御装置15Cは、切換弁11Cが上記第1状態を形成するように当該切換弁11Cの電磁部に通電すると共に、真空発生装置10を作動させる。
これにより、ハウジング6Cのプラグ63、プランジャ53の気体通路、逆止弁4の第1および第2ポート41,42、フィルタF、気体出入口2a等を介して各吸着体2の内部の空気が真空発生装置10により吸引され、対象物Wが複数の吸着体2により保持される。この際、プランジャ53が弁体40の吸着体2側とは反対側の端部に当接しているので、弁体40の第2ポート42から第1ポート41に向かう方向への移動が規制され、逆止弁4Cが開弁状態に保持される。これにより、対象物Wに接触した吸着体2内の空気の吸引が開始されたときに、当該吸着体2から真空発生装置10側へと向かう空気の流量が増加したとしても、弁体40の移動を規制して逆止弁4Cが誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することが可能になる。
また、制御装置15Cは、真空発生装置10による各吸着体2内の空気の吸引開始から時間tref(所定時間)が経過した段階で、電磁アクチュエータ50のコイル52への通電を解除する。時間trefは、吸着体2、逆止弁4C、開弁保持機構5C、真空発生装置10等の諸元等に基づいて、真空発生装置10による吸着体2内の空気の吸引開始後に弁体40を閉弁側に移動させる空気の流れが形成されなくなるまでの時間として実験・解析を経て予め定められる。これにより、プランジャ53がスプリング58によりプラグ63側に付勢されて弁体40の吸着体2側とは反対側の端部から離間し、逆止弁4Cの閉弁が許容される。
電磁アクチュエータ50のコイル52への通電が解除され、かつ各吸着体2が対象物Wにしっかりと接触しているときには、第1および第2ポート41,42における空気の圧力が十分に低下しているので、逆止弁4Cは開弁状態に維持される。これに対して、電磁アクチュエータ50のコイル52への通電が解除され、かつ対象物Wと何れかの吸着体2との間に隙間が存在しているときには、当該隙間から当該吸着体2内に空気が流入し、第2ポート42における空気の圧力が高くなる。これにより、弁体40を円錐面40sが弁座45に当接するように移動させ、図12に示すように、閉弁した逆止弁4により吸着体2から真空発生装置10側への空気の流通を規制することができる。この結果、真空発生装置10により生成される圧力(真空度)の上昇を抑制し、対象物Wの落下を良好に防止することが可能になる。
また、吸着装置1Cの各吸着体2により保持された対象物Wをリリースする際、制御装置15Cは、電磁アクチュエータ50のコイル52への通電を解除したまま、切換弁11Cの電磁部への通電を解除し、当該切換弁11Cを第1状態から第2状態に切り換える。これにより、切換弁11Cのリリースポート11rと流入出ポート11aとが連通し、外部の空気(大気圧)が、ハウジング6Cのプラグ63、プランジャ53の気体通路、逆止弁4の第1および第2ポート41,42、フィルタF、気体出入口2a等を介して各吸着体2の内部(吸着体2と対象物Wとの間の空間)に供給される。この結果、各吸着体2の内外における圧力差がなくなり、対象物Wが各吸着体2からリリースされる。
上述のように、吸着装置1Cでは、電磁アクチュエータ50に電力を供給して逆止弁4Cの弁体40の第2ポート42から第1ポート41に向かう方向への移動を規制した状態で、真空発生装置10による各吸着体2内の空気の吸引を開始させる。これにより、真空発生装置10による各吸着体2内の空気の吸引が開始されてから一時的に逆止弁4Cを開弁状態に保持することが可能になる。また、真空発生装置10による各吸着体2内の空気の吸引開始からある程度の時間trefが経過した段階で、逆止弁4Cの閉弁が許容されるように、電磁アクチュエータ50への電力供給が停止される。この結果、吸着装置1Cにおいても、真空発生装置10による各吸着体2内の空気の吸引が開始されてから逆止弁4Cを一時的に開弁状態に保持した上で、その後に逆止弁4Cを適正に作動させることが可能になる。
以上説明したように、本開示の吸着装置は、対象物(W)に接触可能な吸着体(2)と、前記吸着体(2)内の気体を吸引するための真空発生源(10)とを含む吸着装置(1,1B,1C)において、前記真空発生源(10)に接続される第1ポート(41)および前記吸着体(2)の気体出入口(2a)に接続される第2ポート(42)を有し、前記第1ポート(41)と前記第2ポート(42)との間の圧力差に応じて前記吸着体(2)から前記真空発生源(10)側への気体の流通を規制するように閉弁する逆止弁(4,4C)と、前記真空発生源(10)による前記吸着体(2)内の気体の吸引が開始されてから前記逆止弁(4,4C)を一時的に開弁状態に保持する開弁保持機構(5,5B,5C)とを含むものである。
本開示の吸着装置において、逆止弁は、真空発生源に接続される第1ポートと、吸着体の気体出入口に接続される第2ポートとの間の圧力差に応じて吸着体から真空発生源側への気体の流通を規制するように閉弁する。そして、かかる逆止弁は、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから開弁保持機構により一時的に開弁状態に保持される。これにより、対象物に接触した吸着体内の気体の吸引が開始されたときに、吸着体から真空発生源側へと向かう気体の流れが形成されたとしても、逆止弁が誤って閉弁してしまうのを良好に抑制することが可能になる。従って、逆止弁が誤って閉弁したときに吸着体内の気体を継続して吸引するためのバイパス通路が不要になり、バイパス通路を介したリークの発生を無くすことができる。この結果、真空発生源の負担を軽減して、コストアップや吸着装置全体の大型化を抑制しつつ、吸着装置の消費エネルギを低減化することが可能になる。
また、前記吸着装置(1)は、絞り部(65)を介して前記第1ポート(41)に連通する気体通路(60)と、前記気体通路(60)を前記真空発生源(10)に接続する第1状態と、前記気体通路(60)を高圧源に接続する第2状態とを選択的に形成する第1切換弁(11)とを含むものであってもよく、前記開弁保持機構(5)は、前記第1ポート(41)における気体の圧力を受けるように前記逆止弁(4)の弁体(40)に連結されると共に、前記第1ポート(41)に対して前記第2ポート(42)の反対側に可変容積室(8)を画成するピストン(7)と、前記可変容積室(8)を前記真空発生源(10)に接続する第1状態と、前記可変容積室(8)を前記高圧源に接続する第2状態とを選択的に形成する第2切換弁(12)とを含むものであってもよい。
かかる開弁保持機構を含む吸着装置では、第2切換弁が第2状態を形成する状態で第1切換弁を第1状態に切り換えて、真空発生源による吸着体内の気体の吸引を開始させる。これにより、高圧源に連通する可変容積室内の気体の圧力が高く維持されるので、可変容積室の容積変化(容積減少)すなわちピストンおよび弁体の移動を規制して逆止弁を開弁状態に保持することができる。また、真空発生源による吸着体内の気体の吸引開始から所定時間が経過した段階で、第2切換弁が第1状態に切り換えられる。これにより、真空発生源により可変容積室内の気体が吸引され、当該可変容積室内の気体の圧力が低下する。第2切換弁が第1状態に切り換えられ、かつ吸着体が対象物にしっかりと接触しているときには、第1および第2ポートにおける気体の圧力が十分に低下しているので、可変容積室内の気体の圧力が低下しても、逆止弁は開弁状態に維持される。これに対して、第2切換弁が第1状態に切り換えられ、かつ対象物と吸着体との間に隙間が存在しているときには、絞り部の作用(存在)等により逆止弁の弁体の周辺(第1および第2ポート周辺)における気体の圧力が比較的高く保たれている。従って、可変容積室と弁体の周辺との圧力差に応じて吸着体から真空発生源側への気体の流通を規制するように逆止弁を閉弁させることができる。この結果、かかる吸着装置では、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから逆止弁を一時的に開弁状態に保持した上で、その後に逆止弁を適正に作動させることが可能になる。
更に、前記吸着装置(1)は、前記吸着体(2)を複数含むものであってもよく、複数の前記吸着体(2)ごとに前記逆止弁(4)および前記開弁保持機構(5)が設けられてもよく、複数の前記吸着体(2)に対して1つの前記第1切換弁(11)が設けられてもよく、複数の前記開弁保持機構(5)に対して1つの前記第2切換弁(12)が設けられてもよい。
これにより、部品点数の増加を抑制して、コストアップや吸着装置全体の大型化を良好に抑制することが可能になる。
また、前記吸着装置(1B)は、絞り部(65)を介して前記第1ポート(41)に連通する気体通路(60)と、前記気体通路(60)を前記真空発生源(10)に接続する第1状態と、前記気体通路(60)を高圧源に接続する第2状態とを選択的に形成する切換弁(11B)とを含むものであってもよく、前記開弁保持機構(5B)は、前記第1ポート(41)における気体の圧力を受けるように前記逆止弁(4)の弁体(40)に連結されると共に、前記第1ポート(41)に対して前記第2ポート(42)の反対側に可変容積室(8)を画成するピストン(7)と、前記気体通路(60)と前記可変容積室(8)とを連通させる第2の絞り部(68)とを含むものであってもよい。
かかる開弁保持機構を含む吸着装置では、切換弁を第1状態に切り換えて、真空発生源による吸着体内の気体の吸引を開始させる。また、開弁保持機構の可変容積室は、第2の絞り部を介して気体通路に連通しており、当該可変容積室内の気体の圧力は、真空発生源による吸着体内の気体の吸引の開始後、しばらくの間、第2の絞り部の作用(存在)等により吸着体内の気体の圧力よりも高く維持される。これにより、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから一時的に可変容積室の容積変化(容積減少)すなわちピストンおよび弁体の移動を規制して逆止弁を開弁状態に保持することが可能になる。また、真空発生源による吸着体内の気体の吸引開始からある程度時間が経過すると、真空発生源により可変容積室内の気体が吸引されて当該可変容積室内の気体の圧力が低下する。更に、吸着体が対象物にしっかりと接触しているときには、可変容積室内の気体の圧力と、第1および第2ポートにおける気体の圧力とが概ね同一になり、逆止弁は開弁状態に維持される。これに対して、可変容積室内の気体の圧力が低下し、かつ対象物と吸着体との間に隙間が存在しているときには、絞り部の作用(存在)等により逆止弁の弁体の周辺(第1および第2ポート周辺)における気体の圧力が比較的高く保たれている。従って、可変容積室と弁体の周辺との圧力差に応じて吸着体から真空発生源側への気体の流通を規制するように逆止弁を閉弁させることができる。この結果、かかる吸着装置においても、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから逆止弁を一時的に開弁状態に保持した上で、その後に逆止弁を適正に作動させることが可能になる。そして、かかる開弁保持機構によれば、可変容積室を真空発生源および高圧源の何れか一方に選択的に接続する切換弁を省略することができるので、吸着装置のコストを低減することが可能になる。
更に、前記吸着装置(1B)は、前記吸着体(2)を複数含むものであってもよく、複数の前記吸着体(2)ごとに前記逆止弁(4)および前記開弁保持機構(5B)が設けられてもよく、複数の前記吸着体(2)に対して1つの前記切換弁(11B)が設けられてもよい。
これにより、部品点数を削減して、コストアップや吸着装置全体の大型化を良好に抑制することが可能になる。
また、前記吸着装置(1,1B)は、前記逆止弁(4)の前記弁体(40)を内包すると共に前記吸着体(2)に取り付けられるハウジング(6)であって、前記第1ポート(41)、前記第2ポート(42)、前記絞り部(65)および前記気体通路(60)を有し、かつ前記ピストン(7)と共に前記可変容積室(8)を画成するハウジング(6)を含むものであってもよい。
これにより、逆止弁および開弁保持機構の構成要素の一部を一体化させて吸着装置をコンパクト化することが可能になる。
更に、前記逆止弁は、前記弁体(40)と、前記弁体(40)を受ける弁座(45)とを含むポペットバルブであってもよく、前記逆止弁(4)の前記弁座(45)は、前記弁体(40)の移動方向に沿って移動自在であると共に弾性体(47)により前記第2ポート(42)から前記第1ポート(41)に向かう方向に付勢される可動部材(44)に形成されてもよく、前記可動部材(44)は、前記気体通路(60)から前記吸着体(2)に向かう気体の力により前記弾性体(47)の付勢力に抗して前記第1ポート(41)から前記第2ポート(42)に向かう方向に移動し、前記気体通路(60)と前記第1ポート(41)とを連通させる連通路(67)を形成するものであってもよい。
かかる吸着装置では、気体通路が高圧源に接続されると、可動部材が、当該気体通路から吸着体に向かう気体の力により弾性体の付勢力に抗して第1ポートから第2ポートに向かう方向に移動し、当該気体通路と第1ポートとを連通させる連通路を形成する。これにより、第1ポートおよび第2ポートには、絞り部に加えて当該連通路からも気体が供給されることになる。従って、吸着体による対象物の保持を解除するときに、第2ポートすなわち吸着体内に速やかに多くの気体を供給して、当該吸着体から対象物を素早くリリースすることが可能になる。
また、前記開弁保持機構(5C)は、電力供給に応じて前記逆止弁(4C)の弁体(40)の前記第2ポート(42)から前記第1ポート(41)に向かう方向への移動を規制するアクチュエータ(50)を含むものであってもよい。
かかる吸着装置では、アクチュエータに電力を供給して逆止弁の弁体の第2ポートから第1ポートに向かう方向への移動を規制した状態で、真空発生源による吸着体内の気体の吸引を開始させる。これにより、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから一時的に逆止弁を開弁状態に保持することが可能になる。また、真空発生源による吸着体内の気体の吸引開始からある程度時間が経過した段階で、逆止弁の閉弁が許容されるように、アクチュエータへの電力供給が停止される。この結果、かかる吸着装置においても、真空発生源による吸着体内の気体の吸引が開始されてから逆止弁を一時的に開弁状態に保持した上で、その後に逆止弁を適正に作動させることが可能になる。
更に、前記アクチュエータは、筒状のコア(51)と、前記コア(51)を包囲するように配置される筒状のコイル(52)と、前記逆止弁(4C)の弁体(40)の前記吸着体(2)側とは反対側の端部に当接可能になるように前記コア(51)内に軸方向に移動自在に配置されると共に、弾性体(58)により前記第2ポート(42)から前記第1ポート(41)に向かう方向に付勢されるプランジャ(53)とを含む電磁アクチュエータ(50)であってもよい。
また、前記吸着装置(1C)は、前記吸着体(2)を複数含むものであってもよく、複数の前記吸着体(2)ごとに前記逆止弁(4C)および前記アクチュエータ(5C)が設けられてもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、吸着装置の製造分野等において利用可能である。
1,1B,1C 吸着装置、2 吸着体、2a 気体出入口、3,3B,3C 落下防止ユニット、30 保持部材、4,4C 逆止弁、40 弁体、41 第1ポート、42 第2ポート、44 可動部材、44C 弁座部材、45 弁座、46 凹部、47 スプリング、5,5B,5C 開弁保持機構、50 電磁アクチュエータ、51 コア、52 コイル、53 プランジャ、58 スプリング(弾性体)、6,6C ハウジング、60 気体通路、65 絞り部、67 連通路、68 第2の絞り部、7 ピストン、8 可変容積室、9 スプリング(弾性体)、10 真空発生装置、11 第1切換弁、11B,11C 切換弁、12 第2切換弁、15,15B,15C 制御装置、W 対象物。
Claims (10)
- 対象物に接触可能な吸着体と、前記吸着体内の気体を吸引するための真空発生源とを含む吸着装置において、
前記真空発生源に接続される第1ポートおよび前記吸着体の気体出入口に接続される第2ポートを有し、前記第1ポートと前記第2ポートとの間の圧力差に応じて前記吸着体から前記真空発生源側への気体の流通を規制するように閉弁する逆止弁と、
前記真空発生源による前記吸着体内の気体の吸引が開始されてから前記逆止弁を一時的に開弁状態に保持する開弁保持機構と、
を備える吸着装置。 - 請求項1に記載の吸着装置において、
絞り部を介して前記第1ポートに連通する気体通路と、
前記気体通路を前記真空発生源に接続する第1状態と、前記気体通路を高圧源に接続する第2状態とを選択的に形成する第1切換弁と、
を更に備え、
前記開弁保持機構は、前記第1ポートにおける気体の圧力を受けるように前記逆止弁の弁体に連結されると共に、前記第1ポートに対して前記第2ポートの反対側に可変容積室を画成するピストンと、前記可変容積室を前記真空発生源に接続する第1状態と、前記可変容積室を前記高圧源に接続する第2状態とを選択的に形成する第2切換弁とを含む吸着装置。 - 請求項2に記載の吸着装置において、
前記吸着体を複数備え、
複数の前記吸着体ごとに前記逆止弁および前記開弁保持機構が設けられ、複数の前記吸着体に対して1つの前記第1切換弁が設けられ、複数の前記開弁保持機構に対して1つの前記第2切換弁が設けられる吸着装置。 - 請求項1に記載の吸着装置において、
絞り部を介して前記第1ポートに連通する気体通路と、
前記気体通路を前記真空発生源に接続する第1状態と、前記気体通路を高圧源に接続する第2状態とを選択的に形成する切換弁と、
を更に備え、
前記開弁保持機構は、
前記第1ポートにおける気体の圧力を受けるように前記逆止弁の弁体に連結されると共に、前記第1ポートに対して前記第2ポートの反対側に可変容積室を画成するピストンと、前記気体通路と前記可変容積室とを連通させる第2の絞り部とを含む吸着装置。 - 請求項4に記載の吸着装置において、
前記吸着体を複数備え、
複数の前記吸着体ごとに前記逆止弁および前記開弁保持機構が設けられ、複数の前記吸着体に対して1つの前記切換弁が設けられる吸着装置。 - 請求項2から5の何れか一項に記載の吸着装置において、
前記逆止弁の前記弁体を内包すると共に前記吸着体に取り付けられるハウジングであって、前記第1ポート、前記第2ポート、前記絞り部および前記気体通路を有し、かつ前記ピストンと共に前記可変容積室を画成するハウジングを更に備える吸着装置。 - 請求項2から5の何れか一項に記載の吸着装置において、
前記逆止弁は、前記弁体と、前記弁体を受ける弁座とを含むポペットバルブであり、
前記逆止弁の前記弁座は、前記弁体の移動方向に沿って移動自在であると共に弾性体により前記第2ポートから前記第1ポートに向かう方向に付勢される可動部材に形成され、
前記可動部材は、前記気体通路から前記吸着体に向かう気体の力により前記弾性体の付勢力に抗して前記第1ポートから前記第2ポートに向かう方向に移動し、前記気体通路と前記第1ポートとを連通させる連通路を形成する吸着装置。 - 請求項1に記載の吸着装置において、
前記開弁保持機構は、電力供給に応じて前記逆止弁の弁体の前記第2ポートから前記第1ポートに向かう方向への移動を規制するアクチュエータを含む吸着装置。 - 請求項8に記載の吸着装置において、
前記アクチュエータは、筒状のコアと、前記コアを包囲するように配置される筒状のコイルと、前記逆止弁の弁体の前記吸着体側とは反対側の端部に当接可能になるように前記コア内に軸方向に移動自在に配置されると共に、弾性体により前記第2ポートから前記第1ポートに向かう方向に付勢されるプランジャとを含む電磁アクチュエータである吸着装置。 - 請求項8または9に記載の吸着装置において、
前記吸着体を複数備え、複数の前記吸着体ごとに前記逆止弁および前記アクチュエータが設けられる吸着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022150457A JP2024044734A (ja) | 2022-09-21 | 2022-09-21 | 吸着装置 |
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JP2022150457A JP2024044734A (ja) | 2022-09-21 | 2022-09-21 | 吸着装置 |
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JP (1) | JP2024044734A (ja) |
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2022
- 2022-09-21 JP JP2022150457A patent/JP2024044734A/ja active Pending
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