JP2024042584A - 木造建築物においてヒートブリッジを防止する外張り断熱透湿耐震構造 - Google Patents

木造建築物においてヒートブリッジを防止する外張り断熱透湿耐震構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 施工性を向上させながら、断熱性能を確保するとともにヒートブリッジの発生を防止した、木造建築物における外壁構造を提供する。【解決手段】 断熱透湿耐震構造は、外壁構造体を備え、外壁構造体は、内装下地材、外壁躯体、構造用面材、断熱層、及び外装材が、この順で積層されている。外壁躯体は、垂直方向及び水平方向に互いに間隔をもって配置された複数の構造部材によって構成されており、外壁躯体が内装下地材及び構造用面材に覆われることによって外壁躯体内の空間に静止空気層が形成される。【選択図】 図1

Description

本発明は、木造建築物の構造に関し、より具体的には、木造建築物の外張り断熱透湿耐震構造に採用され、施工性を向上させながら、外壁断熱層と静止空気層とを組み合わせて断熱性能を向上させるとともにヒートブリッジを防止する構造を有する外壁構造体に関する。
木造建築物において、柱、間柱、敷桁、敷土台、土台及び窓台などの構造部材で構成された躯体内に内側断熱層を内蔵し、躯体の外側に外側断熱層を外張りする工法が各種提案されている。本出願の出願人も、特許文献1に開示される外張り断熱透湿耐震構造を提案している。特許文献1に開示される構造は、内壁材、防湿気密シート、内側断熱層、構造用面材、透湿防水シート、外側断熱層及び外装材が、この順で積層された外壁構造体を備える。この構造は、断熱性に優れたものであるが、以下の点でさらなる改良が望ましい。
特許文献1の構造は、外側断熱層(典型的には、ビース法ポリスチレンフォーム板)が薄く、内側断熱層が躯体の空間における充填断熱層(典型的には、ロックウール断熱材)であるため、躯体の柱や間柱などがヒートブリッジ(熱橋)となり、夏期には屋外の熱が室内に伝わり、冬期には屋内の熱が室外に逃げる。そのため、室内の冷暖房におけるエネルギー損失が生じるとともに、居室の快適性が低下する。
また、内側断熱層周りについて、特許文献1の構造では、室内からの水蒸気の進入による内側断熱層の断熱材(典型的には、ロックウール)の吸水を防止するために防湿気密シートを配置し、構造用面材と外側断熱層との間には透湿防水シートを配置する。これらのシートの張設の精度は、職人の技能によるところが大きく、技能によっては気密性能が大きく低下するおそれがある。
特許第6542740号公報
上記問題に鑑み、本発明は、施工性を向上させながら、断熱性能を確保するとともにヒートブリッジの発生を防止した、木造建築物における外壁構造を提供することを課題とする。
本発明に係る断熱透湿耐震構造は、躯体の外側全体を覆う断熱層を有するとともに、従来は断熱層が充填されていた躯体内の空間に静止空気層を形成することによって、充填断熱層をなくしても必要な断熱性能を発揮する構造を有する。この構造においては、さらに、断熱層を厚くすることが好ましく、150mm以上の厚さとすることが好ましい。断熱層を厚くすることによって、断熱性能をさらに向上させることができる。
外側断熱層を厚くした場合、窓部に抱きが生じ、窓が外壁面から大きく窪んだ特徴的な意匠となる。そのため、窓部の下部には排水用の水切部材が必須であるが、水切部材が躯体に接続されるところの接続部分がヒートブリッジとなる。したがって、本発明に係る断熱透湿耐震構造は、樹脂製の窓枠が、窓枠の下に配置された高密度断熱材によって形成された支持部で支持される構造を採用し、水切部材は、躯体ではなくその支持部に接するように配置されることが好ましい。また、水切部材は、断熱層の上面の上に配置され、水切部材と断熱層の上面との間には、空気層が形成されることが好ましい。
さらに、本発明に係る断熱透湿耐震構造は、外壁構造体の断熱層と基礎構造体の断熱層とが隣接していることが好ましい。両断熱層が接している部分の屋内側には、窓台及び布基礎との間に空間があり、その空間に防蟻シーリングが配置されることが好ましい。また、外壁構造体の断熱層と基礎構造体の断熱層とは、防蟻シートを介して隣接していることがより好ましい。
本発明は、木造建築物においてヒートブリッジを防止する外張り断熱透湿耐震構造を提供する。断熱透湿耐震構造は、外壁構造体を備え、外壁構造体は、内装下地材、外壁躯体、構造用面材、断熱層、及び外装材が、この順で積層されている。外壁躯体は、垂直方向及び水平方向に互いに間隔をもって配置された複数の構造部材によって構成されており、外壁躯体が内装下地材及び構造用面材に覆われることによって外壁躯体内の空間に静止空気層が形成される。
一実施形態においては、断熱層の厚さは150mm以上であることが好ましい。また、構造用面材と断熱層との間に透湿防水被膜を有することが好ましい。
一実施形態においては、外壁構造体は、窓枠を有する窓部をさらに備える。窓部において、断熱層は、窓枠の下部の少なくとも一部分を支持するように、断熱層より圧縮強度の大きな高密度断熱材によって形成された窓支持部を有することが好ましい。一実施形態においては、窓支持部は、断熱層の上部に設けられた欠辺に配置されている。別の実施形態においては、断熱層は、その上部に配置された窓支持断熱層を含み、窓支持部は、窓支持断熱層と一体的に形成されている。窓支持部は、ねじの引き抜き抵抗が大きい高密度ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材で形成されることが好ましい。
一実施形態においては、断熱層の上端面は、屋外側に向かって前下がりの傾斜面として形成されており、傾斜面の上には水切部材が配置されている。水切部材と断熱層の上端面との間には、静止空気層を有する。水切部材は、屋内側の後端部において、窓支持部及び構造用面材を貫通して、窓枠の下部の少なくとも一部より屋内側の部分を支持する、外壁躯体に含まれる窓台に達する固定部材によって、固定される。
一実施形態において、断熱透湿耐震構造は、布基礎とその屋外側に配置された布基礎断熱層とを有する基礎構造体をさらに備える。外壁構造体の断熱層と布基礎断熱層とは、隣接するように配置されていることが好ましい。外壁躯体は、布基礎の上端に配置された土台を含み、断熱層、布基礎断熱層、布基礎及び土台に囲まれた空間に防蟻シーリングが配置されることが好ましい。断熱層と布基礎断熱層とは、防蟻シートを介して隣接していることが好ましい。
本発明の一実施形態による断熱透湿耐震構造を用いた木造建築物の一部の縦断面図である。 本発明の一実施形態による外壁構造体を示し、(A)は、外壁構造体の一部の斜視図であり、(B)は、外壁構造体の一部の横断面図である。 本発明の一実施形態による外壁構造体の窓部及びその周辺部の縦断面図である。 本発明の一実施形態による外壁構造体の窓部及びその周辺部の横断面図である。 本発明の一実施形態による外壁構造体の窓下枠支持部を示し、(A)は、断熱層と窓下枠支持部とが別体として形成された場合の斜視図であり、(B)は、断熱層と窓下枠支持部とが一体的に形成された場合の斜視図である。 本発明の一実施形態による外壁構造体の窓部に用いられる水切部材の一部の斜視図である。 本発明の一実施形態による外壁構造体と基礎構造体との接続部分の縦断面図である。
以下、図1~図7を用いて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、発明の一実施形態による断熱透湿耐震構造を用いた木造建築物1の一部の縦断面図である。図2は、本発明の一実施形態による外壁構造体7を示し、(A)は、外壁構造体7の一部の斜視図であり、(B)は、外壁構造体7の一部の横断面図である。図3は、本発明の一実施形態による外壁構造体7の窓部8及びその周辺部の縦断面図である。図4は、本発明の一実施形態による外壁構造体7の窓部8及びその周辺部の横断面図である。図5は、本発明の一実施形態による外壁構造体7の窓下側の断熱層及び窓支持部の一部を示し、(A)は、断熱層611と窓支持部611cとが別体として形成された場合の斜視図であり、(B)は、断熱層611と窓下枠支持部611cとが一体的に形成された場合の斜視図である。図6は、本発明の一実施形態による外壁構造体7の窓部8に用いられる水切部材83の一部の斜視図である。
(外壁構造体)
本発明に係る外張り断熱透湿耐震構造を有する木造建築物1は、軸組と小屋組とを有する木造建築物であり、断熱透湿耐震構造は、外壁構造体を有する。本発明の一実施形態による外壁構造体は、屋内側から屋外側に向かって、内装下地材77、外壁躯体2、構造用面材27、断熱層61及び塗壁(外装材)71がこの順に積層されている。
内装下地材77は、例えば、汎用の石膏ボードを用いることができる。内装下地材77には、図示されない壁紙や塗装、塗壁などを配置して、室内の壁仕上げが行われる。
内装下地材77の屋外側には、外壁躯体2が配置される。外壁躯体2は、木造軸組工法において採用される一般的な構造を持つものであり、垂直方向及び水平方向に互いに間隔をもって配置された複数の構造部材によって構成される。複数の構造部材は、例えば、土台21、柱22、間柱23、胴差し24、敷桁25及び敷土台26とすることができる。
構造用面材27は、木造建築物1の耐震性を発揮させるように、建物への水平力に抵抗できる板状材であり、室内側からの湿気を断熱層61に透過できるものであればよい。構造用面材27として、構造用合板、構造用パネルなどの薄剛板を用いることができ、例えば、厚さ9mmの火山性ガラス質複層板(例えば、大建工業株式会社、商品名:ダイライトMS)を用いることができる。
外壁躯体2の屋内側が内装下地材77で覆われ、屋外側が構造用面材27で覆われることによって、外壁躯体2の内部の空間には、静止空気層78が形成される。静止空気層78は、より具体的には、外壁躯体2を構成する複数の構造部材と内装下地材77と構造用面材27とで画定される空間に形成される。静止空気層78は、熱伝導が小さい空気(熱伝導率0.024W/(m・K))の層であるため、断熱性能が高い。また、静止空気層78を形成するための内装下地材77と構造用面材27とは、外壁躯体2の厚みに相当する距離で離れているため、両者の間には熱伝導は発生せず、さらに、静止した空気層であるため対流熱伝達も発生しない。内装下地材77と構造用面材27との間には、温度差による放射熱伝達のみが発生する。内装下地材77及び構造用面材27は、外壁躯体2の構造部材と接しているので、これらの間における熱伝導は生じるものの、後述する断熱層61により、屋外の熱の影響は受けにくく、ヒートブリッジを防止することができる。
断熱層61は、例えば汎用のアクリル樹脂系の接着剤712を用いて構造用面材27に取り付けられる。断熱層61は、構造用面材27からの湿気を塗壁(外装材)71側に透過することができるとともに、熱伝導率が低いものが好ましい。断熱層61は、従来の木造建築物における外側断熱層(例えば、特許文献1における外側断熱層は、40mmである)より厚く、厚さ150mm以上であることが好ましい。断熱層61は、限定されるものではないが、熱伝導率0.033W/m・K以下のビーズ法ポリスチレンフォームを採用することができる。
本発明に係る外壁構造体は、断熱層61の熱抵抗値を高めて内側断熱層を無くて静止空気層とし、作業の省力化により施工性を向上させながら、外壁躯体5をヒートブリッジとしないものである。例えば、特許文献1においては、外側断熱層と内側断熱層とを組み合わせた断熱構造であり、外側断熱層は、典型的には、厚さ40mm、熱伝導率0.037W/m・Kのビーズ法ポリスチレンフォーム板、内側断熱層は、典型的には、厚さ100mm、熱伝導率0.038W/m・Kのロックウール断熱材が用いられる。この場合、熱抵抗値は、約3.71W/m・Kである。一方、断熱層61は、厚さ150mm、熱伝導率0.033W/m・Kのビーズ法ポリスチレンフォームを用いた場合には、熱抵抗値が、約4.54W/m・Kであり、外側断熱層と内側断熱層とを組み合わせた断熱構造と同程度か、静止空気層の効果を考慮すればそれより高い断熱性能を発揮する。当然のことながら、外側断熱層として、より断熱効果の高い材料、例えばカーボン入りビーズ法ポリスチレンフォーム(上記のビーズ法ポリスチレンフォームと比べて断熱性は最大で20%高い)などを用いれば、本発明に係る外壁構造体は、さらに高い断熱性能を発揮する
構造用面材27と断熱層61との間には、透湿防水被膜711が配置されることが好ましい。透湿防水被膜711は、構造用面材27の表面に塗布された透湿防水塗料(例えば、シュトージャパン株式会社、商品名:Sto Guard)によって形成されることが好ましい。
断熱層61の屋外側には、外装材71が配置される。外装材71は、例えば、ベースコート713、714、補強メッシュ715、及びトップコート716を含むものを用いることができるが、これに限定されるものではない。一実施形態においては、断熱層61に、ベースコート713(例えば、シュトージャパン株式会社、商品名:Stoアーマットクラシックプラス)を塗布し、補強メッシュ715(例えば、シュトージャパン株式会社、商品名:Stoグラスファイバーメッシュ)を配置する。その外側に、さらにベースコート714を塗布し、その上にトップコート716(シュトージャパン株式会社、商品名:Sto リット及びロータサン)を塗布して、外装材を仕上げることができる。
(窓部)
次に、外壁構造体が備える窓部8について説明する。図3は、窓部8及びその周辺部を示す縦断面図であり、図4は、窓部8及びその周辺部を示す横断面図である。図3においては、中間部分(窓の開口部分)の一部が省略して示されており、図4においては、左右対称形な構造の窓部8の片側のみが示されている。
窓部8は、窓枠81を有する。窓枠81は、樹脂製の窓枠又はアルミニウム製の窓枠を用いることができるが、アルミニウム製と比較して熱が伝わりにくい樹脂製の窓枠であることがより好ましい。ただし、樹脂製の窓枠は、強度がアルミニウム製の窓枠より劣るため、断面の形状は大きくなる。
窓枠81は、突出片811及び812を有する。突出片811は、外壁躯体2に配置された窓部補強材である窓台821、窓まぐさ822、及び方立823の長辺(すなわち、外壁躯体2の厚さ方向に延びる辺)に、ねじなどの固定具813を用いて固定される。また、突出片812は、窓台821、窓まぐさ822、及び方立823の短辺(すなわち、外壁躯体2の高さ方向に延びる辺)に、ねじなどの固定具814を用いて固定される。このようにして、窓枠81は、外壁躯体2に固定することができる。
窓枠81の上部(上窓枠81a)の外側と断熱層61(窓上断熱層612)との間、及び窓枠81の両側枠と断熱層61(窓側面断熱層613)との間は、シーリング材843によって雨水の浸入を防止する。シーリング材843として、例えば、経時で膨張して壁や窓の伸縮に追従するシーリングテープを用いることができる。本外壁構造においては、厚い窓上断熱層612、例えば150mm以上の窓上断熱層612が用いられるため、窓上断熱層612と上窓枠81aの屋外側の面との間には「抱き」が生じ、木造建築物としては、特徴的な外観を生み出す。この抱き部分、すなわち窓上断熱層612の下端面には、外装材71が配置される。同様に、上窓枠81aの屋内側における抱き部分、すなわち、窓まぐさ822の下面には、内装下地材77が配置される。
窓枠81の下部(下窓枠81b)の下方に位置する断熱層61(窓下断熱層611)は、図3及び図5(A)に示されるように、上端面が、屋内側から屋外側に向かって前下がりに傾斜した傾斜面611aとして形成され、上部の屋内側には、傾斜面611aの屋内側端部から下方に下がる段差として形成された欠辺611bを有する。欠辺611bには、幅及び長さが欠辺611bに対応し、高さが傾斜面611aの屋内側端部の高さより高いサイズに形成された、窓支持部611cが配置される。
窓支持部611cは、図3に示されるように、下窓枠81bの少なくとも一部分、より具体的には突出片812より屋外側の部分を支持することができる。なお、下窓枠81bの突出片812より屋内側の部分は、窓支持部611cと上面が面一となる窓台821によって支持することができる。窓支持部611cは、熱伝導率が低く、かつ窓枠81を支持することができるように圧縮強度の高いものが好ましく、断熱層61に用いられる断熱材より圧縮強度が高く、ねじなどの固定具の引き抜き抵抗が大きい高密度断熱材、例えば、限定されるものではないが、高密度ビーズ法ポリスチレンフォームを用いた断熱材で構成されることがより好ましい。
窓支持部611cを形成する高密度断熱材として、例えば、blaugelb社製の高密度ビーズ法ポリスチレンフォーム(blaugelb Insulation Panel MultiPro EPS)を用いることができる。これは、熱伝導率0.040W/m・k、圧縮強度1,260kg/dm、ねじ引き抜き値1200N(径7.5mm、長さ42mmのねじの場合)であり、この程度の圧縮強度があれば、窓枠81の下部の少なくとも一部を直接的に支持することができ、また、窓支持部611cがヒートブリッジとなることがない。
別の実施形態において、図5(B)に示されるように、窓下の断熱層611’の上部に高密度ビーズ法ポリスチレンフォームで形成された窓支持断熱層611dを配置し、断熱層611’及び窓支持断熱層611dの全体を窓下断熱層611とすることもできる。窓支持断熱層611dは、断熱層611’の上端面611’aの上に配置される。窓支持断熱層611dは、上面が屋内側から屋外側に向かって前下がりに傾斜した傾斜面611d1として形成され、上部の屋内側には、傾斜面611d1の屋内側端部から上方に突出した段差として形成された窓支持部611d2を有する。図5(B)に示される、窓支持断熱層611dは、高密度ビーズ法ポリスチレンフォームで形成された断熱材の上面を切削加工することによって作製することができる。このように、窓支持部611d2を形成することによって、より強固に窓枠81(下窓枠81b)を支持することができるとともに、より確実に気密性を確保することができる。
ここで、上述のとおり、本発明に係る外壁構造体においては内側断熱層をなくして静止空気層を形成しており、高断熱性能を確保するために、外壁躯体2の屋外側に配置される断熱層61は厚くなっている。断熱層61を厚くすると、すでに説明したとおり、窓枠81が外壁構造体の最外面より大きく内側に入り込んだ「抱き」が生じる。そのため、窓下断熱層611の傾斜面611aを保護するとともに、雨水を屋外側に誘導するために水切部材83が、傾斜面611aの上に配置されることが好ましい。
水切部材83は、図3及び図6に示されるように、窓下断熱層611の傾斜面611aと平行に配置される傾斜辺831を有する。傾斜辺831の屋内側の縁部(後端部)には上方に延びる立上り辺832が立設されており、傾斜辺831の屋外側の縁部(前端部)には下方に延びる立下り辺833が立設されている。傾斜辺831の下面には、水切部材83の幅方向(すなわち、図3の紙面に垂直な方向)の延びる、断面L字形状の複数の脚部834が形成されている。
水切部材83は、断面L字形状の複数の脚部834の下辺が窓下断熱層611の傾斜面611aの上に載置され、立上り辺832の上端が下窓枠81bの下面に接し、立上り辺832の屋内側の面が窓支持部611cに接するように配置される。水切部材83は、このように配置された状態で、ねじなどの固定具835及び836によって固定される。固定具(固定部材)835は、立上り辺832の屋外側から、窓支持部611c、下窓枠81bの突出片812、及び構造用面材27を貫通し、窓台821に達するように挿入される。固定具835は、熱伝導率の大きな部材とは関係しないので、これが大きなヒートブリッジとなることはない。固定具836は、傾斜辺831を貫通して、窓下断熱層611に達するように挿入される。
水切部材83の傾斜辺831の上面と下窓枠81bの下面との間には、立上り辺832に接するようにシーリング材841が配置され、傾斜辺831の下面と外装材71との間にはシーリング材842が配置される。シーリング材842の配置によって、水切部材83と窓下断熱層611との間に密閉された静止空気層が形成されるため、空気による断熱効果を奏する。
下窓枠81bの屋内側には、一方の端部が下窓枠81bの屋内側に接し、他端が内装下地材77の室内側の面から突出するように、木製窓台85が配置される。
(基礎構造体)
本発明に係る断熱透湿耐震構造は、さらに基礎構造体を有する。本発明の一実施形態による基礎構造体は、図1に示されるように、布基礎51と、その屋外側に配置された布基礎断熱層63とを有する。布基礎断熱層63の屋外側には、さらに基礎塗壁79が配置される。
従来の木造建築物では、一般的に床断熱が採用されるのに対して、本発明に係る断熱透湿耐震構造を有する木造建築物1においては、布基礎断熱層63が採用されることによって、基礎空間は、床断熱の場合と比較して温度が高くなるため一年を通して湿度が低く、乾燥した状態であり、夏季は床下に熱を奪われるため床断熱の場合より涼しい。さらに、基礎空間は、隙間風による自然換気が発生するため、結露の心配はない。布基礎断熱層63として、限定されるものではないが、例えば、防蟻用の厚さ100mm、熱伝導率0.034W/m・Kのビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材を用いることができる。
基礎構造体は、さらに、土間52と、その下に配置された土間下断熱層64を有する。土間下断熱層64の下には、防蟻防湿シート67が配置されることが好ましい。土間52の下に土間下断熱層64及び防蟻防湿シート67が配置されることによって、地面からの熱が遮断されるとともに、湿気の上昇及び蟻の侵入を防止することができる。防蟻防湿シート67として、限定されるものではないが、例えば、日東エルマテリアル株式会社製のターミダンシートを用いることができる。土間下断熱層64として、限定されるものではないが、例えば、低吸水性の厚さ50mm、熱伝導率0.028W/m・Kの押出法ポリスチレンフォーム断熱材を用いることができる。
図7は、外壁構造体と基礎構造体との接続部分を拡大した縦断面図である。従来の木造建築物においては、一般に、外壁構造体の下端と基礎構造体の上端との間に隙間が設けられ、基礎構造体の上端には、排水を行う目的で外壁躯体まで達する金属製の水切りが設けられる。そのため、隙間から屋外の熱が侵入するとともに、金属製水切りがヒートブリッジとなる。これに対して、本発明に係る断熱透湿耐震構造においては、外壁構造体の断熱層61と基礎構造体の布基礎断熱層63とが、隣接するように配置されている。したがって、外壁構造体と基礎構造体との間において屋外の熱を効果的に遮断することができるとともに、ヒートブリッジが生じない。
布基礎51は、限定されるものではないが厚さが概ね150mmであり、その上端に、外壁躯体5を構成する土台21が載置される。土台21は、床躯体に含まれる床用構造用合板43を支持する。土台21と外壁構造体の断熱層61との間隔には、蟻の侵入を防止する防蟻シーリング631が配置されることが好ましい。また、布基礎51の上端と断熱層61の下端との間隔にも、同様に防蟻シーリング631が配置されることが好ましい。さらに、断熱層61と布基礎断熱層63との間には、土間下断熱層64の下と同様に、防蟻シート又は防蟻防湿シート68が配置されることが好ましい。
外壁構造体の下端には、外壁構造体の外面からの水が断熱層63の下面に回り込むことを防止するために、水切り75が配置されることが好ましい。水切り75は、水切り機能と外装材との親和性があるものを採用することが好ましく、限定されるものではないが、例えば、パッシブハウス用のSto社製のプラスチック製水切りを採用することができる。
水切り75は、断熱層61と布基礎断熱層63との間に挟まれるように配置される水平辺751と、その屋外側端部に位置する立上辺753と、立上辺753の下端から斜め下方に延びる斜辺755とを有する。立上辺753の外面には、立上辺753の上端より上方まで延びるメッシュ754が付設されている。メッシュ754は、外装材71の内部に配置される。
1 建物
2 外壁躯体
21 土台
22 柱
23 間柱
24 胴差し
25 軒桁
26 敷土台
27 構造用面材
3 屋根躯体
31 小屋梁
32 小屋束
33 鼻母屋
34 母屋
35 小屋垂木
36 野地板
37 断熱材受
38 勾配軒天井
4 床躯体
41 梁
42 大引
43 構造用合板
5 基礎躯体
51 布基礎
52 土間
6 断熱・気密層
61 外壁断熱層
611 窓下断熱層
611a 傾斜面
611b 欠辺
611c 窓支持部
611d 窓支持断熱層
611d1 傾斜面
611d2 窓支持部
612 窓上断熱層
613 窓側面断熱層
62 梁上断熱層
63 布基礎断熱層
631 防蟻シーリング
64 土間下断熱層
67 防蟻防湿シート
68 防蟻シート又は防蟻防湿シート
7 内外装
71 外装材
711 透湿防水皮膜
712 接着剤
713、714 ベースコート
715 補強メッシュ
716 トップコート
72 屋根材
73 床材
74 天井面
75 水切り
751 水平辺
753 立上り辺
754 メッシュ
755 斜辺
77 内装下地材
78 静止空気層
79 基礎塗壁
8 窓部
81 窓枠
81a 上窓枠
81b 下窓枠
81c 側窓枠
811、812 突出片
813、814 ねじ
82 窓補強材
821 窓台
822 窓まぐさ
823 方立
83 水切部材
831 傾斜辺
832 立上り片
833 立下り片
834 脚部
835、836 ねじ
84 シーリング
841、842 シーリング
843 シーリングテープ
85 木製窓台


Claims (13)

  1. 木造建築物においてヒートブリッジを防止する外張り断熱透湿耐震構造であって、
    内装下地材、外壁躯体、構造用面材、断熱層、及び外装材が、この順で積層された外壁構造体を備え、
    前記外壁躯体は、垂直方向及び水平方向に互いに間隔をもって配置された複数の構造部材によって構成されており、
    前記外壁躯体が前記内装下地材及び前記構造用面材に覆われることによって前記外壁躯体における前記複数の構造部材の間の空間に静止空気層が形成された、
    断熱透湿耐震構造。
  2. 前記断熱層の厚さは150mm以上である、請求項1に記載の断熱透湿耐震構造。
  3. 前記構造用面材と前記断熱層との間に透湿防水被膜を有する、請求項1に記載の断熱透湿耐震構造。
  4. 前記外壁構造体は、窓枠を有する窓部をさらに備え、
    前記断熱層は、前記窓枠の下部の少なくとも一部分を支持するように、前記断熱層より圧縮強度の大きな高密度断熱材によって形成された窓支持部を有する、
    請求項1に記載の断熱透湿耐震構造。
  5. 前記窓支持部は、前記断熱層の上部に設けられた欠辺に配置されている、請求項4に記載の断熱透湿耐震構造。
  6. 前記断熱層は、その上部に配置された窓支持断熱層を含み、前記窓支持部は、前記窓支持断熱層と一体的に形成されている、請求項4に記載の断熱透湿耐震構造。
  7. 前記窓支持部は、高密度ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材で形成される、請求項5又は請求項6に記載の断熱透湿耐震構造。
  8. 前記断熱層の上端面は、屋外側に向かって前下がりの傾斜面として形成され、前記傾斜面の上に水切部材が配置されている、請求項4に記載の断熱透湿耐震構造。
  9. 前記水切部材と前記断熱層の前記上端面との間に静止空気層を有する、請求項8に記載の断熱透湿耐震構造。
  10. 前記窓枠の下部の前記少なくとも一部より屋内側の部分を支持する、前記外壁躯体に含まれる窓台をさらに備え、
    前記水切部材は、屋内側の後端部において、前記窓支持部及び前記構造用面材を貫通して前記窓台に達する固定部材によって固定される、
    請求項8に記載の断熱透湿耐震構造。
  11. 布基礎とその屋外側に配置された布基礎断熱層とを有する基礎構造体をさらに備え、
    前記外壁構造体の前記断熱層と前記布基礎断熱層とが隣接するように配置されている、
    請求項1に記載の断熱透湿耐震構造。
  12. 前記外壁躯体は、前記布基礎の上端に配置された土台を含み、
    前記断熱層、前記布基礎断熱層、前記布基礎及び前記土台に囲まれた空間に防蟻シーリングが配置された、
    請求項11に記載の断熱透湿耐震構造。
  13. 前記断熱層と前記布基礎断熱層とが防蟻シートを介して隣接している、
    請求項11又は請求項12に記載の断熱透湿耐震構造。

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