JP2024038796A - シールド用テープ、シールド部材およびワイヤハーネス - Google Patents

Abstract

【課題】電線に容易にシールド機能を持たせることができ、且つ、電線の保護材としても機能するシールド用テープ、シールド用部材および車両等に配索されるワイヤハーネスを提供する。【解決手段】粘着面１５を有するテープ材１１と、粘着面１５に貼り付けられた金属箔１３と、を備えたシールド用テープ１７であって、金属箔１３は、テープ材１１の幅方向の少なくとも一方の端部に粘着面１５が露出した領域を残すように貼り付けられている。【選択図】図４

Description

本発明は、車両等の電線に使用されるシールド用テープ、シールド部材および車両等に配索されるワイヤハーネスに関する。

車両に配索されるワイヤハーネスは、電力用の電線や通信用の電線など複数の電線を束ねて構成されている。これらの電線は、車両に搭載されている補機や他のワイヤハーネスとの間で電磁的干渉が発生する可能性がある箇所では、シールド部材で覆われている。例えば、特許文献１には、ドレイン線を含む電線束の外周に、金属箔テープを螺旋状に巻き付けていくことが開示されている。この金属箔テープは、電線束に巻き付けられた後、ズレを防止するために、その外周に粘着テープがさらに巻き付けられるようになっている。

また、ワイヤハーネスは、車両の走行に起因した振動により、他の部品や車体など外部干渉材との干渉から電線を保護するために、プロテクタなどの保護材により覆われている。例えば、特許文献２には、樹脂シートの一面に金属膜を形成したシールド外装材で電線束を包み込み、その両端部を粘着テープにより固定したワイヤハーネスが開示されている。

特開２０００－２５１５４８号公報 特開２０１５－７２８８４号公報

特許文献１に記載のシールド電線は、電線束の周囲に金属箔テープを巻き付けていかなければならず、作業工程に時間がかかる。また、金属箔テープの外周に粘着テープを巻き付ける場合には、作業工程にかかる時間がより一層長くなる。

また、特許文献２に記載のワイヤハーネスも同様に、シールド外装材で電線束を包み込み、さらに両端部を粘着テープにより固定する作業が発生するため、作業工程にかかる時間が長くなる。

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線に容易にシールド機能を持たせることができ、且つ、電線の保護材としても機能するシールド用テープ、シールド用部材および車両等に配索されるワイヤハーネスを提供することにある。

前述した目的を達成するために、本発明に係るシールド用テープ、シールド用部材および車両等に配索されるワイヤハーネスは、下記を特徴としている。

粘着面を有するテープ材と、
前記粘着面に貼り付けられた金属製薄膜と、を備えたシールド用テープであって、
前記金属製薄膜は、前記テープ材の幅方向の少なくとも一方の端部に前記粘着面が露出した領域を残すように貼り付けられている、
シールド用テープ。

１対の上記の前記シールド用テープを、各前記シールド用テープの金属製薄膜が対向するように配置し、
一方の前記シールドテープの露出した粘着面を、他方の前記シールドテープに貼り付け、
対向した一対の前記金属製薄膜によってシールド対象物が挿入されるシールド空間が形成されている、
シールド部材。

上記のシールド部材と、
前記シールド対象物としての、複数の電線により構成された電線束と、を備え、
前記複数の電線のうちの１本の電線は、被覆が除去されて導体がむき出しになったドレイン線である、
ワイヤハーネス。

電線に容易にシールド機能を持たせることができ、且つ、電線の保護材としても機能するシールド用テープ、シールド用部材および車両等に配索されるワイヤハーネスを提供できる。

以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態（以下、「実施形態」という。）を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

図１は、本実施形態に係るシールド部材が取り付けられたワイヤハーネスの平面図である。 図２は、本実施形態に係るシールド用テープの平面図である。 図３は、本実施形態に係るシールド部材の製造工程を示す図である。 図４は、本実施形態に係るシールド部材を示す断面図である。 図５は、シールド部材の別の例を示す平面図である。 図６は、ワイヤハーネスの別の例１を示す平面図である。 図７は、ワイヤハーネスの別の例２を示す平面図である。 図８は、分岐部を有するワイヤハーネスの製造工程を示す図である。 図９は、分岐部を有するワイヤハーネスを示す平面図である。 図１０は、従来の分岐部を有するワイヤハーネスを示す平面図である。

本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。

図１は、本実施形態に係るシールド部材が取り付けられたワイヤハーネスの平面図である。

図１に示すように、本実施形態のワイヤハーネス１は、シールド部材１０と、電線束Ｗとを備えている。電線束Ｗは、複数の電線２１と、被覆の一部が除去されて導体が露出したドレイン線３１により構成されており、シールド部材１０により所定区間をシールドされている。

シールド部材１０を構成するシールド用テープ１７は、図２に示すように、一面側に粘着面１５を有するテープ材１１と、金属箔１３とを有している。

金属箔１３は、アルミ箔や銅箔などの金属製薄膜により形成されている。なお、金属箔の代わりに、編組をテープ材１１に貼り付けてもよい。

また、金属箔１３は、テープの幅方向の両端部に、幅Ｓ１の粘着面１５が露出した状態となる大きさに形成されている。なお、金属箔１３は、テープの幅方向の一端部のみの粘着面１５が露出するようにしてもよい。この露出した粘着面１５は、後述するように、２枚のシールド用テープ１７を互いに貼り合わせる際に使用される。なお、テープの幅方向の一端部のみの粘着面１５が露出するようにした場合には、１対のシールド用テープ１７の露出した粘着面１５のそれぞれが、幅方向の一方と他方にそれぞれ位置するように、シールド用テープ同士を貼り合わせるようにする。

図３は、本実施形態に係るシールド部材の製造工程を示す図である。図４は、本実施形態に係るシールド部材を示す断面図である。

シールド部材１０を有するワイヤハーネス１の製造工程としては、略同じ大きさのシールド用テープ１７を２枚用意し、電線束Ｗがそのうちの一方の金属箔１３に載置される。このとき、電線束Ｗに含まれるドレイン線３１の導体３５が、金属箔１３と接触し電気的に接続されるので、金属箔１３は、ワイヤハーネス１が車両の所定箇所に配索されると、このドレイン線３１を介してグランドに接続されることになる。

次に、２枚用意したシールド用テープ１７のうちの他方を、一方のシールド用テープ１７に重ね合わせ、露出している粘着面１５を用いて貼り合わせる。これにより、図４に示すように、一対の金属箔１３により電線束Ｗを覆いシールドする空間が形成されたシールド部材１０が完成する。

このように、電線束Ｗの所望の領域に、２枚のシールド用テープ１７を貼り合わせるだけで、電線束Ｗのシールド機能および保護機能を備えたシールド部材１０を構成できるので、従来のように、金属箔テープや保護テープを電線束Ｗの長手方向に螺旋状に巻き付けていく必要がなく、また、シールド外装材を電線束に巻き付け、別途粘着テープにより固定する必要もない。したがって、本実施形態のシールド用テープ１７を用いたシールド部材１０は、作業効率を大幅に向上することができる。また、シールド用テープ１７を予め所定長に切断しておくのみならず、作業時に任意の位置で切断してもよい。この場合、ワイヤハーネス１の所望の位置に亘ってシールド機能および保護機能を与えることができるので、複数種類の長さのシールド部材１０を予め容易しておかなくても、長尺のシールド用テープ１７を用いてそれぞれの場所にシールド部材１０を形成することができる。

図５は、シールド部材の別の例を示す平面図である。
図５に示すシールド用テープ１７では、金属箔１３が、テープの幅方向の両端部に、幅Ｓ１の粘着面１５が露出したままとなるとともに、テープの長手方向の両端部に、長さＳ２の粘着面１５が露出したままとなる大きさに形成されている。

このシールド用テープ１７を用いてシールド部材１０を構成した場合、２枚のシールド用テープ１７の幅方向の両端部のみを接着するのみならず、長手方向の両端部を電線束Ｗに接着させることができるので、シールド部材１０の両端部から内部に埃などの異物が進入することを抑制できる。

図６は、ワイヤハーネスの別の例１を示す平面図である。この例に示すように、シールド部材１０Ａは、シールド用テープ１７の長さを短くするのみにより、ワイヤハーネスの必要な箇所のみに簡単にシールド機能や保護機能を与えることができる。

図７は、ワイヤハーネスの別の例２を示す平面図である。この例に示すように、シールド部材１０Ｂは、用意するテープ材１１および金属箔１３の幅を変えるだけで、シールド対象となる電線束に含まれる電線の本数が増えても対応することができる。これに対し、従来のシールド機能を有するプロテクタにより電線束を保護しようとすると、プロテクタのサイズを大きくする必要が生じ、また、一般には、電線束が太くなるほどそのサイズに合ったプロテクタの必要生産数が減少するため、プロテクタの製造コストが大幅に上昇することになる。これに対し、本実施形態のシールド用テープ１７を用いたシールド部材１０Ｂであれば、コスト上昇を抑制しながら様々な電線束に対応することができる。また、このシールド部材１０Ｂにドレイン線が１本のみ配索されていれば、このシールド部材１０Ｂの金属箔をグランドに接続することができるので、ドレイン線を複数用意する必要がなくなり、ワイヤハーネスの軽量化に寄与することができる。

図８は、分岐部を有するワイヤハーネスの製造工程を示す図である。図９は、分岐部を有するワイヤハーネスを示す平面図である。
分岐ワイヤハーネス４１は、第１電線束Ｗ１と、第２電線束Ｗ２とを有している。第１電線束Ｗ１と第２電線束Ｗ２は、基端部４３において纏まって電線束Ｗｔを構成し、基端部４３からそれぞれ分岐している。

基端部４３において、電線束Ｗｔは、基端部シールド用テープ４２に載置されている。また、第１電線束Ｗ１は、第１分岐部シールド用テープ４５に載置されている。また、第２電線束Ｗ２は、第２分岐部シールド用テープ４７に載置されている。基端部シールド用テープ４２、第１分岐部シールド用テープ４５、および第２分岐部シールド用テープ４７は、シールド用テープ１７と同様に形成されている。

そして、もう一組の基端部シールド用テープ４２、第１分岐部シールド用テープ４５、および第２分岐部シールド用テープ４７がそれぞれに重ね合わされる。これにより、図９に示すように、電線束Ｗｔを覆う基端部用シールド部材４４、第１電線束Ｗ１を覆う第１分岐部用シールド部材４６、および第２電線束Ｗ２を覆う第２分岐部用シールド部材４８が形成される。

このとき、図８に示すように、基端部４３においては、第１電線束Ｗ１に含まれるドレイン線３１が配置されており、このドレイン線３１により、基端部シールド用テープの金属箔はグランドに接続される。一方、第２電線束Ｗ２に含まれるドレイン線５１は、基端部４３には延在していない。これにより、基端部４３に配置されるドレイン線は１本のみとなり、ワイヤハーネス全体の小型化、軽量化を図ることができる。

図１０は、従来の分岐部を有するワイヤハーネスを示す平面図である。
図１０に示すように、従来の分岐部を有する分岐ワイヤハーネス７１は、プロテクタなどのシールド部材を用いて電線束Ｗ１およびＷ２をそれぞれシールドや保護をしているが、上記のとおり、大型のプロテクタを製造するとコストが大幅に上昇するため、基端部７３においても、電線束Ｗ１と電線束Ｗ２とは別々のシールド部材により覆われている。そのため、基端部７３においても、電線束Ｗ１と電線束Ｗ２のそれぞれにドレイン線３１を含める必要がある。つまり、電線束が増えるにしたがって、電線束の数に等しいだけ基端部７３にドレイン線３１を配置する必要が生じ、ワイヤハーネスの小型化、軽量化の妨げとなっていた。

これに対し、本実施形態の分岐ワイヤハーネス７１は、特別なシールド部材やプロテクタを用意しなくても、一対の基端部シールド用テープ４２のみによってすべての電線束Ｗｔを覆う基端部用シールド部材４４を形成することができる。したがって、基端部７３にドレイン線３１が１本配索されていれば、基端部シールド用テープ４２の金属箔をグランドと接続することができ、ワイヤハーネス全体の小型化、軽量化を図ることができる。

なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。

ここで、上述した本発明の実施形態に係るシールド用テープ、シールド部材および車両等に配索されるワイヤハーネスの特徴をそれぞれ以下［１］～［５］に簡潔に纏めて列記する。
［１］ 粘着面（１５）を有するテープ材（１１）と、
前記粘着面（１５）に貼り付けられた金属製薄膜（金属箔１３）と、を備えたシールド用テープ（１７）であって、
前記金属製薄膜（金属箔１３）は、前記テープ材（１１）の幅方向の少なくとも一方の端部に前記粘着面（１５）が露出した領域を残すように貼り付けられている、
シールド用テープ。

上記［１］の構成のシールド用テープによれば、テープ材の粘着面に金属製薄膜を貼り付けた単純な構成で、一対のシールド用テープを金属製薄膜が互いに向かい合うように張り合わせることによって、電線などのシールド対象物に容易にシールド機能を持たせることができる。

［２］ 前記金属製薄膜（金属箔１３）は、前記テープ材（１１）の長手方向の両端に前記粘着面（１５）が露出した領域を残すように貼り付けられている、
上記［１］に記載のシールド用テープ。

上記［２］の構成のシールド用テープによれば、一対のシールド用テープを互いに貼り付けることができるのみならず、一対のシールド用テープの長手方向の両端から中に埃などの異物が進入することを抑制できる。

［３］ １対の上記［１］に記載の前記シールド用テープ（１７）を、各前記シールド用テープ（１７）の金属製薄膜（金属箔１３）が対向するように配置し、
一方の前記シールド用テープ（１７）の露出した粘着面（１５）を、他方の前記シールド用テープ（１７）に貼り付け、
対向した一対の前記金属製薄膜（金属箔１３）によってシールド対象物（電線束Ｗ）が挿入されるシールド空間が形成されている、
シールド部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）。

上記［３］の構成のシールド部材によれば、簡単な構成の２枚のシールドテープを貼り合わせるのみで構成することができる。また、シールドテープの長さや幅を変えるのみで様々な大きさや長さのシールド部材を用意することができ、これらの電線束への取り付けも簡単に行うことができる。

［４］ 上記［３］に記載のシールド部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）と、
前記シールド対象物としての、複数の電線により構成された電線束（Ｗ）と、を備え、
前記複数の電線のうちの１本の電線は、被覆が除去されて導体がむき出しになったドレイン線（３１）である、
ワイヤハーネス。

上記［４］の構成のワイヤハーネスによれば、電線束の所望の区間がシールド部材によりシールドおよび保護されているので、例えば、電磁ノイズの発生源の近傍や、車両の他の干渉材と干渉する可能性がある位置にワイヤハーネスを配索する際に、これらの区間に位置する電線束を保護することができる。また、シールド部材の大きさや長さを容易に変更できるので、ワイヤハーネスの配索経路が変更になったり、ワイヤハーネスの設計変更が行われたり、車両の他の干渉材の位置が変わったとしても、コストをかけることなく容易にシールド部材を適切な位置に配置することができる。

［５］ 前記ワイヤハーネスは、第１の電線束（Ｗ１）と、前記第１の電線束（Ｗ１）から分岐した第２の電線束（Ｗ２）とを有する分岐ワイヤハーネス（４１）であり、
前記シールド部材は、前記第１の電線束と前記第２の電線束が纏まった基端部（４３）をシールドする基端部用シールド部材（４４）と、分岐された前記第１の電線束（Ｗ１）および前記第２の電線束（Ｗ２）をそれぞれシールドする第１分岐シールド部材（４６）および第２分岐シールド部材（４８）と、を有し、
前記基端部用シールド部材（４４）には、前記第１の電線束（Ｗ１）に含まれるドレイン線（３１）が配置され、前記第２の電線束（Ｗ２）に含まれるドレイン線（５１）は、前記基端部（４３）に延在していない、
上記［４］に記載のワイヤハーネス。

上記［５］の構成のワイヤハーネスによれば、１対のシールド部材を用いて分岐ワイヤハーネスの基端部の全ての電線束を覆うことができるので、基端部にドレイン線が１本配索されていれば、基端部シールド用テープ４２の金属箔をグランドと接続することができ、ワイヤハーネス全体の小型化、軽量化を図ることができる。

１ ワイヤハーネス
１０、１０Ａ、１０Ｂ シールド部材
１１ テープ材
１３ 金属箔
１５ 粘着面
１７ シールド用テープ
２１ 電線
３１、５１ ドレイン線
３３ 被覆
３５ 導体
４１ 分岐ワイヤハーネス
４２ 基端部シールド用テープ
４３ 基端部
４４ 基端部用シールド部材
４５ 第１分岐部シールド用テープ
４６ 第１分岐部用シールド部材
４７ 第２分岐部シールド用テープ
４８ 第２分岐部用シールド部材
Ｗ、Ｗ１、Ｗ２ 電線束

Claims (5)

1. 粘着面を有するテープ材と、
   前記粘着面に貼り付けられた金属製薄膜と、を備えたシールド用テープであって、
   前記金属製薄膜は、前記テープ材の幅方向の少なくとも一方の端部に前記粘着面が露出した領域を残すように貼り付けられている、
   シールド用テープ。
2. 前記金属製薄膜は、前記テープ材の長手方向の両端に前記粘着面が露出した領域を残すように貼り付けられている、
   請求項１に記載のシールド用テープ。
3. １対の請求項１に記載の前記シールド用テープを、各前記シールド用テープの金属製薄膜が対向するように配置し、
   一方の前記シールド用テープの露出した粘着面を、他方の前記シールド用テープに貼り付け、
   対向した一対の前記金属製薄膜によってシールド対象物が挿入されるシールド空間が形成されている、
   シールド部材。
4. 請求項３に記載のシールド部材と、
   前記シールド対象物としての、複数の電線により構成された電線束と、を備え、
   前記複数の電線のうちの１本の電線は、被覆が除去されて導体がむき出しになったドレイン線である、
   ワイヤハーネス。
5. 前記ワイヤハーネスは、第１の電線束と、前記第１の電線束から分岐した第２の電線束とを有する分岐ワイヤハーネスであり、
   前記シールド部材は、前記第１の電線束と前記第２の電線束が纏まった基端部をシールドする基端部用シールド部材と、分岐された前記第１の電線束および前記第２の電線束をそれぞれシールドする第１分岐シールド部材および第２分岐シールド部材と、を有し、
   前記基端部用シールド部材には、前記第１の電線束に含まれるドレイン線が配置され、前記第２の電線束に含まれるドレイン線は、前記基端部に延在していない、
   請求項４に記載のワイヤハーネス。

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