JP2024036885A - 木現し戸境壁 - Google Patents

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Tamae Fukunami
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Abstract

【課題】木材を現しで使用するにもかかわらず、主要構造部として必要とされる基準を満たす耐火性能と、戸境壁として必要とされる基準を満たす耐火性能及び遮音性能とを有することができる木現し戸境壁を提供する。【解決手段】集合住宅における隣り合った2つの住戸U1,U2の境界に設けられた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレーム2と、四周が柱梁フレーム2に囲まれ2つの住戸U1,U2を仕切る壁材5と、を備える。壁材5は、一対の木質系厚板面材1、一対の耐火材3、及び吸音材4を有する。一対の木質系厚板面材1は、壁材5の厚み方向における一番外側に位置し、2つの住戸U1,U2のそれぞれに露出する。一対の耐火材3は、一対の木質系厚板面材1の間において壁材5の厚み方向に互いに間隔を空けて設けられている。一対の耐火材3の間には、吸音材4が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、木材が現しで使用される木現し戸境壁に関する。
カーボンニュートラルの実現や地球温暖化防止に貢献するため、近年、建築物への木材活用が求められている。主要構造部である壁にCLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)等の木質系厚板面材を使用する場合、建物の用途や規模又は地域によっては、一定の耐火性能を必要とする。
図1は、木製建築部材を使用した従来の壁の縦断面図である。図1(A)は従来の耐火仕様の壁100であり、図1(B)は耐火・遮音性能を満足する従来の戸境壁110である。
一般的には、図1(A)のように強化石膏ボード等の耐火材101で木質系厚板面材102を被覆することで耐火性能を確保する。このような木製建築部材は、例えば特許文献1に開示されている。
また、集合住宅では、隣戸間を区画する戸境壁を耐力壁とすることが多い。その場合は、主要構造部として必要となる耐火性能だけではなく、隣戸への延焼を防ぐための耐火性能をも必要とする。また戸境壁には、遮音性能も必要である。そのため、戸境壁110に木質系厚板面材102を使用する場合には、図1(B)のように木質系厚板面材102を石膏ボード等の耐火材101で被覆することに加え、遮音のための空間や吸音材103を耐火材101の下に配置していた。
特開2020-66853号公報
耐火材で木質系厚板面材を被覆する上述した建物では、炭素貯蔵には貢献できるが、木材のもう一つの良さである柔らかで温かみのある感触などの居住空間の快適性を高める性質を活用できない。そのため居住者が木材の温かみを感じられるように、木材を現しで使う戸境壁が求められていた。
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、木材を現しで使用するにもかかわらず、主要構造部として必要とされる基準を満たす耐火性能と、戸境壁として必要とされる基準を満たす耐火性能及び遮音性能とを有することができる木現し戸境壁を提供することにある。
本発明によれば、集合住宅における隣り合った2つの住戸の境界に設けられた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
四周が前記柱梁フレームに囲まれ2つの前記住戸を仕切る壁材と、を備え、
前記壁材は、その厚み方向における一番外側に位置し2つの前記住戸のそれぞれに露出する一対の木質系厚板面材と、
一対の前記木質系厚板面材の間において前記厚み方向に互いに間隔を空けて設けられた一対の耐火材と、
一対の前記耐火材の間に設けられた吸音材又は遮音用の空気層と、を有する、木現し戸境壁が提供される。
上述した本発明によれば、一番外側に木質系厚板面材を配置した壁材の四周が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームで囲まれているので、火災で壁材が焼失しても、燃えずに残った柱梁フレームによって建物の倒壊を防ぐことができる。
つまり本発明の木現し戸境壁は、木質系厚板面材を耐火材で被覆しなくても、主要構造部として必要とされる基準の耐火性能を満たすことができる。したがって、木現し戸境壁は、耐火性能を満たしながら、木質系厚板面材を現しで使用することができる。
また本発明によれば、壁材が、2つの住戸のそれぞれに露出するように壁材の厚み方向における一番外側に一対の木質系厚板面材を有し、その一対の木質系厚板面材の間に耐火材と、吸音材又は遮音用の空気層とを有する。
これにより木現し戸境壁は、戸境壁として必要とされる基準を満たす耐火性能と遮音性能を充分に有するだけでなく、木質系厚板面材を現しで使用して、木材の柔らかで温かみのある感触が感じられる快適な居住空間を提供することができる。すなわち、本発明の木現し戸境壁は、戸境壁として必要な基準の耐火性能と遮音性能を有するという効果と、木質系厚板面材を木現しで使用できるという効果とを、同時に有することができる。
木製建築部材を使用した従来の壁の縦断面図である。 第1実施形態の木現し戸境壁の縦断面矢視図である。 第1実施形態の木現し戸境壁の耐火性能を示す縦断面矢視図である。 室内側から見たときの第1実施形態の木現し戸境壁の正面図である。 孔部の中が見えるように正面に平行な平面で木質パネルを縦に切断した図4のA部分の拡大矢視図である。 第1実施形態の木現し戸境壁の抵抗機構の説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態の木現し戸境壁10の縦断面矢視図である。この図において、1は木質系厚板面材、2は柱梁フレーム、2Aは柱、2Bは梁、10は木現し戸境壁、22は孔部、23は孔部の内腔、30は連結具、31はガセットプレート、34はハイテンションボルトを表している。また図2において、U1は木現し戸境壁10の左側の住戸を表し、U2は木現し戸境壁10の右側の住戸を表している。
図に例示した木現し戸境壁10は、集合住宅の隣り合った住戸間に設けられた戸境壁である。一般に、主要構造部である壁に木質系厚板面材1を使用する場合、建物の用途や規模又は地域によっては、一定の耐火性能を必要とする。その上、木現し戸境壁10を戸境壁として使用する場合には、主要構造部として必要とされる基準の耐火性能に加え、隣戸への延焼を防ぐための戸境壁として必要とされる基準の耐火性能および遮音性能をも必要とする。
本実施形態の木現し戸境壁10は、柱梁フレーム2と壁材5を備える。
柱梁フレーム2は、鉄筋コンクリート造(以下、RC造)又は鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)の柱2Aと梁2Bから構成される架構である。本実施形態の柱梁フレーム2は、集合住宅における隣り合った2つの住戸U1,U2の境界に沿って設けられている。
壁材5は、その四周が柱梁フレーム2に囲まれており、柱梁フレーム2の内側で2つの住戸U1,U2を仕切る。壁材5は、一対の木質系厚板面材1、一対の耐火材3、及び吸音材4を有する。
この図に示すように、壁材5の厚み方向における一番外側(住戸U1,U2の室内側)には、一対の木質系厚板面材1が配置されている。一対の木質系厚板面材1がこの位置にあることにより、木質系厚板面材1の木肌が2つの住戸U1,U2のそれぞれに露出する。このように構造用木材が見える状態で仕上げる手法を「木現し」と呼ぶ。
一対の木質系厚板面材1の間には、一対の耐火材3と吸音材4が設けられている。
耐火材3は、一対設けられており、2枚の木質系厚板面材1の間で、壁材5の厚み方向に互いに間隔を空けて設置されている。耐火材3は、例えば、石膏ボードであってもよい。
一対の前記耐火材の間には、吸音材4と図示しない下地材が配置される。吸音材4は、例えばグラスウールボードであってもよい。もしくは、吸音材4を配置する代わりに、遮音を目的とした隙間を空気層として配置してもよい。
また下地材は、この図の断面には表れていないが、例えば一対の耐火材3の間であって吸音材4より紙面の奥側に配置されていてもよい。
この構成により、壁材5の断面構造は、木質系厚板面材1、耐火材3、吸音材4(又は空気層)、耐火材3、木質系厚板面材1の順に並ぶ積層構造となっている。
これにより、隣り合った2つの住戸U1,U2は、耐火材3と吸音材4で完全に隔てられている。
したがって木現し戸境壁10は、2枚の木質系厚板面材1の間に耐火材3と吸音材4を備えるため、木質系厚板面材1を木現しで使用していても、耐火性能と遮音性能を確保することができる。
図3は、耐火性能を示す第1実施形態の木現し戸境壁10の縦断面矢視図である。図3は、図2と同じ位置の縦断面矢視図である。
例えば仮に図3の右側の住戸U2で火災が発生した場合、図の右側の木質系厚板面材1が焼失しても、それ以外の部分の壁材5は焼失しない。つまり、図の右側の耐火材3と柱梁フレーム2がそれらより左側への延焼を防ぐので、一対の耐火材3とその間にある吸音材4及び下地材と左側の木質系厚板面材1は燃えずに残る。
したがって木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1の裏側にある耐火材3で隣戸への延焼を防ぐことができるため、木質系厚板面材1を木現しで使用しても、戸境壁として必要な基準の耐火性能を有することができる。
また、図の右側の住戸U2の木質系厚板面材1が焼失しても、左側の住戸U1に面した木質系厚板面材1は燃えずに残るため、木現し戸境壁10が耐力壁としての耐震性能を耐力的に維持することができる。したがって、復旧工事で右側の木質系厚板面材1を更新するまでの間も、木現し戸境壁10は、燃えなかった左側の住戸U1の木質系厚板面材1によって耐力壁として機能する。また、吸音材4は一対の耐火材3の間に収められて燃えないので、木現し戸境壁10の遮音性能も維持できる。
このように、木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1を木現しで使用していても、戸境壁として必要な基準の耐火性能と遮音性能とを有することができる。
図4は、住戸U1,U2の室内側から見たときの第1実施形態の木現し戸境壁10の正面図である。この図において、1は木質系厚板面材、2は柱梁フレーム、2Aは柱、2Bは梁、10は木現し戸境壁、20は木質パネル、21は切欠部、22は孔部、23は孔部の内腔、30は連結具、31はガセットプレートを表している。
一般に、集合住宅では、隣戸間を区画する戸境壁を耐力壁とすることが多い。
本実施形態の木現し戸境壁10は、一対の木質系厚板面材1を含む壁材5の四周を、RC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bで取り囲む構成となっていることを特徴とする。柱梁フレーム2は、集合住宅の架構を構成するRC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bである。
木現し戸境壁10は、耐火性能の高いRC造又はSRC造の柱梁フレーム2で木質系厚板面材1の四周を囲むことにより、火災時に木質系厚板面材1が焼失してもRC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bで建物の構造を保ち、倒壊を防ぐことができる。それにより木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1が耐火材3で被覆されていなくても主要構造部として必要とされる基準を満たす耐火性能を十分に保有するので、木質系厚板面材1を木現しで使用することができる。
木質系厚板面材1は、CLT(直交集成板)又はLVL(単板積層材)から構成される。CLTは、ひき板や小角材を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように接着した木質板材である。LVLは、繊維方向を揃えて単板を積層接着した木質板材である。CLTとLVLは、いずれも、耐震性能と耐火性能が高いという特徴がある。そのため、本実施形態の木現し戸境壁10は、CLTとLVLを使用することにより、高い耐震性能と耐火性能を得ることができる。
本実施形態の木質系厚板面材1は、図のように、複数の木質パネル20から構成されていてもよい。その場合、室内側から見たときの横方向に複数の木質パネル20が面一に並ぶことによって、1つの木質系厚板面材1を構成する。この図では、4枚の木質パネル20が横並びで隣接している。例えば木質系厚板面材1がCLTであり、室内側の表面に露出した板の方向が図のように上下方向である場合、隣接する木質パネル20同士の境目がCLT内のひき板の境目に紛れる。これにより木質系厚板面材1は、1枚の大版のCLTによって構成されているように見せることができる。
なお、これに限らず本実施形態の木現し戸境壁10の木質系厚板面材1は、1枚の大版のCLT又はLVLであり、その大版の木質系厚板面材1の四周が接続金物で柱梁フレーム2に連結されたものであってもよい。
図4のように木質系厚板面材1が複数の木質パネル20から構成されている場合、1つの木質パネル20は、人力で取り付けることができる重さとなる大きさに設けられていることが好ましい。例えば木質系厚板面材1は、重さが150kg以下となる大きさに成形することが好ましい。このときの木質系厚板面材1の大きさは、例えば幅1200mm、高さ2400mm、厚さ100mmである。
これにより、万が一火事などで木質系厚板面材1が焼失したり、傷んだりしたときに、大型の揚重機を使用せずに、人力で容易に木質系厚板面材1を取り換えることができる。
図5は、孔部22の中が見えるように正面に平行な平面で木質パネル20を縦に切断した図4のA部分の拡大矢視図である。この図において、2Aは柱、2Bは梁、6は木質パネル20と柱梁フレーム2の間の隙間、20は木質パネル、20aは斜面、20bは上面、20cは側面、21は切欠部、22は孔部、23は孔部の内腔、31はガセットプレート、32は埋込ボルト、33は充填樹脂、34はハイテンションボルト、35は長ナット、36は頭付きスタッド、40はアンボンド部、41は固定部である。なお、以下の説明において、木質パネル20の正面視における中心Cへ向かう方向を「中心側」と呼び、中心Cから離れる方向を「辺縁側」と呼ぶ。
この図に示すように木質パネル20の四隅には、木質パネル20の上面20b又は下面と側面20cとに交差する平面(斜面20a)を有する形状の切欠部21が設けられている。なお、この図の切欠部21は、上面20bと側面20cのそれぞれに平行な面を斜面20aの他に有するが、切欠部21の形状はこれに限定されない。
木質パネル20は、柱梁フレーム2と柱梁フレーム2に隣接する四周(この図においては上面20bと側面20c)との間に隙間6を隔てて固定されている。この隙間6は、地震発生時に木質パネル20が柱梁フレーム2に干渉しない距離に設定されている。
木質パネル20には、切欠部21から木質パネル20の中心Cへ向けて斜めに延びる孔部22が設けられている。孔部22は、一端が切欠部21の斜面20aに開口し、他端は閉じている。孔部22は後述する長ナット35や埋込ボルト32より太い内腔23を有する。この木質パネル20の斜面20aは、孔部22の長手方向に直交することが好ましい。
なお、木質パネル20に設ける埋込ボルト32を挿入する穴は、孔部22に限らず、溝部22でもよい。例えば木質パネル20の裏面と斜面20aに開口する溝部22を木質パネル20の裏側から設け、溝部22の内部に埋込ボルト32を入れた後に裏面に開いた開口を木の板等で塞いでもよい。
RC造又はSRC造の柱梁フレーム2には、ガセットプレート31が固定されている。例えばこの図のガセットプレート31は、切欠部21の形状に合わせて木質パネル20の裏面に平行に延びるウェブ部31aと、ウェブ部31aの端部から柱梁フレーム2の側面に沿って延びるフレーム側フランジ部31bを有している。この図のガセットプレート31は、柱梁フレーム2の柱2Aと梁2Bが成す角に位置するので、柱2Aと梁2Bの両方に沿うフレーム側フランジ部31bを有する。例えば図4に記載したように、柱2Aに接しない場合に固定されるガセットプレート31がもつフレーム側フランジ部31bは、上部又は下部の梁2Bに沿うものだけである。
各フレーム側フランジ部31bは、複数の頭付きスタッド36で柱梁フレーム2の柱2A及び梁2B又は梁2Bのみに固定される。
またガセットプレート31は、ウェブ部31aの端部から室内側へ向けて木質パネル20の斜面20aに沿って延びるパネル側フランジ部31cを有している。パネル側フランジ部31cには、ハイテンションボルト34の軸34aを貫通させる貫通孔31dが設けられている。
なお、ガセットプレート31の形状は、図3に記載したものに限らない。例えば、図4に記載したように、2枚の木質パネル20の間に位置するガセットプレート31は、2枚の木質パネル20の斜面20aに沿うように、パネル側フランジ部31cを2つ有している。
また、木現し戸境壁10は連結具30を備える。連結具30は、柱梁フレーム2に固定されたガセットプレート31と、各木質パネル20とを接続する部材である。この図において、連結具30には、埋込ボルト32、長ナット35、及びハイテンションボルト34が該当する。
木質パネル20の孔部22の内腔23には、埋込ボルト32が挿入されている。以下の説明において、孔部22の底側(木質パネル20の正面視における中心側)に位置する埋込ボルト32の端部を一端部32aとし、孔部22の開口側の端部を他端部32bとする。
埋込ボルト32の他端部32bには、長ナット35が螺合する。埋込ボルト32の他端部32bから一定の範囲の軸と長ナット35には図示しないテープが巻かれており、そのテープより一端部側の埋込ボルト32の軸がテープから露出している。長ナット35を螺合した埋込ボルト32は、テープが巻かれたまま、一端部32aを孔部22の底側に向けて孔部22に挿入される。充填樹脂33は、孔部22の全体に充填される。
これにより、充填樹脂33は、テープから露出した埋込ボルト32の軸の周辺と、巻かれたテープの周辺の内腔23に充填され、硬化する。埋込ボルト32の一端部32aから所定範囲に位置する埋込ボルト32の軸は、孔部22に充填した充填樹脂33を介して孔部22の内腔23に固定される。以下、充填樹脂33によって内腔23に固定された範囲の埋込ボルト32の軸を、固定部41と呼ぶ。内腔23の充填樹脂33が、埋込ボルト32の固定部41の図示しないねじ溝に入り込んだまま硬化しているので、地震などの揺れによって埋込ボルト32が辺縁側へ向けて引っ張られても、埋込ボルト32を孔部22の内腔23に留めることができる。充填樹脂33は、例えばエポキシ樹脂が好ましいが、その他の樹脂や接着剤であってもよい。
埋込ボルト32は、固定部41と長ナット35との間に、充填樹脂33から絶縁されたアンボンド部40を有する。アンボンド部40は、巻かれたテープによって充填樹脂33が直接付着していない範囲の埋込ボルト32の軸である。
長ナット35は、図のように孔部22の内腔23であって、長ナット35の辺縁側端部が木質パネル20の斜面20aに揃うか斜面20aより僅かに辺縁側へ突出する場所に位置することが好ましい。これにより、地震発生時に柱梁フレーム2に図の左から右へ向けてかかる水平力を、長ナット35の辺縁側端部で受けることができる。したがって木質パネル20の斜面20aがパネル側フランジ部31cからかかる力によって破壊されるのを防ぐことができる。
長ナット35の辺縁側端部には、ハイテンションボルト34が螺合する。ハイテンションボルト34がガセットプレート31を介して柱梁フレーム2と長ナット35とを接続することにより、木質パネル20とガセットプレート31が接続される。なお、木質パネル20は、わずかな隙間37を介してガセットプレート31に連結される。
ハイテンションボルト34は、例えば引張強度が490N/mm以上、1,000N/mm未満の高張力鋼や1,000N/mm以上の超高張力鋼によって製造されたボルトである。ハイテンションボルト34の軸34aは、パネル側フランジ部31cの貫通孔31dを貫通して、長ナット35の辺縁側端部に螺合する。これにより本実施形態の連結具30は、ハイテンションボルト34の頭部34bと長ナット35でガセットプレート31のパネル側フランジ部31cを挟む構造になっている。
この構成により、ガセットプレート31に伝わった柱梁フレーム2の水平力を直接又はハイテンションボルト34を介して長ナット35に伝達する。すなわち上述したように図の左から右へ向かう水平力は、パネル側フランジ部31cから直接長ナット35の辺縁側端部にかかる。
図の右から左へ向かう水平力が柱梁フレーム2にかかったときは、この図ではパネル側フランジ部31cがハイテンションボルト34の頭部34bを押し上げ、軸34aを介して長ナット35を辺縁側へ引っ張る。孔部22の内腔23は、長ナット35の太さよりも太いため、埋込ボルト32の長手方向に長ナット35にかかる力は、アンボンド部40へそのまま伝わる。アンボンド部40は、埋込ボルト32の軸が充填樹脂33から絶縁された部分であるため、長ナット35にかかる引張力によって埋込ボルト32のアンボンド部40が伸びる。これにより、ガセットプレート31にはハイテンションボルト34を介して埋込ボルト32を縮める方向への抵抗力がかかるので、本実施形態の木現し戸境壁10は、図の右から左へ向けて柱梁フレーム2にかかる水平力に抵抗することができる。
図6は、第1実施形態の木現し戸境壁10の抵抗機構の説明図である。この図では、説明が分かりやすいように柱梁フレーム2の歪みを実際よりも誇張して記載している。また、この図の白い矢印は、地震等によって柱梁フレーム2にかかる水平力と、水平力によって生じる回転力とを表している。その力に対して木現し戸境壁10に生じる抵抗力R1,R2は、黒い矢印で表している。なお、この図において、Dは木質パネル20の正面視における対角線、Cは木質パネル20の正面視における中心を表している。
以下に、木現し戸境壁10の抵抗機構について、図の一番左の木質パネル20を例にして詳しく説明する。
上述したように、本実施形態の木現し戸境壁10は、柱梁フレーム2から伝達された水平力を長ナット35で受け、埋込ボルト32のアンボンド部40の弾性力で抵抗し、より大きな力に対しては塑性変形することによって力を吸収する。集合住宅に地震が発生したとき、柱梁フレーム2の上側の梁2Bと下側の梁2Bには、逆向きの水平力がかかる。例えば図のように上側の梁2Bに左から右へ向かう水平力がかかり、下側の梁2Bには右から左へ向かう水平力がかかる。
この場合、右上と左下の連結具30のハイテンションボルト34は、ガセットプレート31のパネル側フランジ部31cによって辺縁側へ引っ張られ、埋込ボルト32のアンボンド部40が伸びる。その結果、埋込ボルト32のアンボンド部40に生じる弾性力により、右上と左下の黒い矢印のように、ハイテンションボルト34の頭部34bでガセットプレート31を木質パネル20の正面視における中心側へ向けて引っ張る抵抗力R1が生じる。
同時に、左上と右下の連結具30には、柱梁フレーム2にかかる水平力によって、中心側へ向けて圧縮する力が長ナット35にかかる。その結果、左上と右下の連結具30には、ガセットプレート31のパネル側フランジ部31cを長ナット35で辺縁側へ向けて押し返す抵抗力R2が生じる。
このように木現し戸境壁10は、木質パネル20が耐震性能に優れたCLT又はLVLによって構成され、その四隅から斜めに延びる連結具30のアンボンド部40が弾性力によって伸縮するため、柱梁フレーム2にかかる水平力に抵抗することができる。またさらに大きな力がかかったときには、アンボンド部40が塑性変形し、力を吸収する。
また、木質パネル20の四隅から中心Cへ向けて斜めに連結具30を配置するので、鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で接続するよりも少ない接続金物で大きな耐力と高い変形性能を得ることができる。
さらに埋込ボルト32の他端部32bに長ナット35が取り付けられ、その長ナット35がパネル側フランジ部31cに接するので、地震で中心側へ移動したパネル側フランジ部31cを長ナット35で支持することができる。それにより、木質パネル20の斜面20aが破壊されるのを防ぐことができる。
その上、木質系厚板面材1が1枚の大版ではなく、複数の木質パネル20に分かれており、各木質パネル20がハイテンションボルト34でガセットプレート31に接続するので、本実施形態の木現し戸境壁10は、あと施工が可能である。
つまりハイテンションボルト34を外せば木質パネル20を柱梁フレーム2から外すことができる。その上、複数の木質パネル20を合わせて1つの木質系厚板面材1を構成するので、1枚あたりの木質パネル20の重量が人力で取り付けることができる重さと大きさ(横幅)になるように任意の大きさに設けることができる。そのため、台車などに載せて玄関から木質パネル20を運び入れることができ、また古い木質パネル20を運び出すことができる。したがって、本実施形態の木現し戸境壁10は、木質パネル20を持ち上げるのに大型の揚重機が必要ないので、竣工後であっても、木現し戸境壁10を更新することができる。これにより、例えば火事などによって木質パネル20を取り換える必要が生じた場合に、傷んだ木質パネル20を新しい木質パネル20に取り換えることができる。また、耐震改修工事を行うときに、普通の壁があった柱梁フレーム2にガセットプレート31と木質パネル20を接続することで、新たな耐力壁として木現し戸境壁10を設置することができる。
このように木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1が複数の木質パネル20に分かれており、連結具30が各木質パネル20の四隅から中心Cへ向けて斜めに配置され、連結具30の埋込ボルト32に、充填樹脂33から絶縁されたアンボンド部40を有する。これにより、木現し戸境壁10を耐力壁として使用することができる。
その上、一対の木質系厚板面材1の間にある耐火材3が隣戸への延焼を防ぐので、一対の木質系厚板面材1の一方が焼失したとしても、他方の木質系厚板面材1を無事に残すことができる。これにより一方の木質系厚板面材1が無い状態であっても、耐力的には、木現し戸境壁10が耐力壁としての耐震性能を維持することができる。したがって、復旧工事で右側の木質系厚板面材1を更新するまでの間も、隣戸側の無事な木質系厚板面材1によって木現し戸境壁10を耐力壁として機能させることができる。
上述した本発明によれば、一番外側に木質系厚板面材1を配置した壁材5の四周が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレーム2で囲まれているので、火災で壁材5が焼失しても、燃えずに残った柱梁フレーム2によって建物の倒壊を防ぐことができる。
つまり本発明の木現し戸境壁10は、木質系厚板面材1を耐火材3で被覆しなくても、主要構造部として必要とされる基準の耐火性能を満たすことができる。したがって、木現し戸境壁10は、耐火性能を満たしながら、木質系厚板面材1を現しで使用することができる。
また本発明によれば、壁材5が、2つの住戸U1,U2のそれぞれに露出するように壁材5の厚み方向における一番外側に一対の木質系厚板面材1を有し、その一対の木質系厚板面材1の間に耐火材3と吸音材4(又は遮音用の空気層)を有する。
これにより木現し戸境壁10は、戸境壁として必要とされる基準を満たす耐火性能と遮音性能を充分に有するだけでなく、木質系厚板面材1を現しで使用して、木材の柔らかで温かみのある感触が感じられる快適な居住空間を提供することができる。すなわち、本発明の木現し戸境壁10は、戸境壁として必要な基準の耐火性能と遮音性能を有するという効果と、木質系厚板面材1を木現しで使用できるという効果とを、同時に有することができる。また、当然、木現し戸境壁10は、炭素貯蔵にも貢献できる。
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 木質系厚板面材、
2 柱梁フレーム、2A 柱、2B 梁、
3 耐火材、4 吸音材、5 壁材、
6 柱梁フレームと木質パネルの間の隙間、
10 木現し戸境壁、
20 木質パネル、20a 斜面、20b 上面、
20c 側面、21 切欠部、
22 孔部,溝部、23 孔部又は溝部の内腔、
30 連結具、
31 ガセットプレート、31a ウェブ部、
31b フレーム側フランジ部、
31c パネル側フランジ部、31d 貫通孔、
32 埋込ボルト、32a 一端部、
32b 他端部、33 充填樹脂、
34 ハイテンションボルト、34a 軸、
34b 頭部、
35 長ナット、36 頭付きスタッド、
37 ガセットプレートと木質パネルとの間の隙間、
40 アンボンド部、41 固定部、
100 従来の耐火仕様の壁、101 耐火材、
102 木質系厚板面材、103 吸音材、
110 従来の耐火性能と遮音性能を満足する戸境壁、
R1,R2 水平力に対して木現し戸境壁に生じる抵抗力、
C 木質パネルの正面視における中心
D 木質パネルの正面視における対角線、
U1,U2 住戸

Claims (5)

  1. 集合住宅における隣り合った2つの住戸の境界に設けられた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
    四周が前記柱梁フレームに囲まれ2つの前記住戸を仕切る壁材と、を備え、
    前記壁材は、その厚み方向における一番外側に位置し2つの前記住戸のそれぞれに露出する一対の木質系厚板面材と、
    一対の前記木質系厚板面材の間において前記厚み方向に互いに間隔を空けて設けられた一対の耐火材と、
    一対の前記耐火材の間に設けられた吸音材又は遮音用の空気層と、を有する、木現し戸境壁。
  2. 前記木質系厚板面材は、CLT又はLVLから構成される、請求項1に記載の木現し戸境壁。
  3. 各木質系厚板面材は、面一に横方向に並ぶ複数の木質パネルから構成され、
    前記木現し戸境壁は、各木質パネルの四隅から正面視における該木質パネルの中心側へ向けて斜めに配置され前記柱梁フレームと各木質パネルとを接続する連結具と、を備え、
    前記連結具は、前記木質パネルの前記四隅から中心側へ向けて斜めに延びる孔部又は溝部の内腔に一端部を該内腔の前記中心側へ向けて挿入される埋込ボルトと、
    前記埋込ボルトの他端部に螺合する長ナットと、
    前記柱梁フレームと前記長ナットを接続するハイテンションボルトと、を有し、
    前記埋込ボルトは、前記内腔の前記中心側に位置し該内腔に充填された充填樹脂によって該内腔に固定される固定部と、
    前記長ナットと前記固定部との間に位置し前記充填樹脂から絶縁されたアンボンド部と、を有する、請求項1又は2に記載の木現し戸境壁。
  4. 前記木質パネルは、その上面又は下面と側面とに交差する斜面を有する切欠部を前記四隅に有し、
    前記孔部又は溝部は、前記斜面に開口する、請求項3に記載の木現し戸境壁。
  5. 前記柱梁フレームに固定されるガセットプレートを備え、
    前記ガセットプレートは、前記ハイテンションボルトの軸を貫通させるパネル側フランジ部を有し、
    前記ハイテンションボルトの頭部と前記長ナットとは、前記パネル側フランジ部を挟む、請求項3に記載の木現し戸境壁。
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