JP2024030895A - 電磁波吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲面追従性および耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に優れる電磁波吸収部材を提供する。【解決手段】電磁波吸収層20と、スペーサ層30と、反射層40とを有し、電磁波吸収層20と、スペーサ層30と、反射層40とがこの順に積層されており、スペーサ層30の比誘電率が5以上であり、スペーサ層30の融点が150℃以上である、電磁波吸収部材10。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波吸収部材に関する。
所定の周波数の電磁波を選択的に吸収するシート状の電磁波吸収部材が知られている。電磁波吸収部材は、例えば、第1の周波数選択遮蔽層と第2の周波数選択遮蔽層とを備えるものである。このような電磁波吸収部材においては、第1の周波数選択遮蔽層および第2の周波数選択遮蔽層に形成されたFSS(Frequency Selective Surface)素子の細線パターンによって、各層が所定の周波数の電磁波を吸収し、全体として2つの異なる周波数の電磁波を選択的に遮蔽する。
電磁波吸収部材は、用途によっては曲面に貼り付けた際に、曲面に密着することが求められる。
特許文献1には、平坦ではない面にも取り付けやすくするために、磁性体層のヤング率と磁性体層の厚みとの積が0.1~1000MPa・mmであり、磁性体層の比誘電率が1~10である電磁波吸収部材が記載されている。
特開2019-4003号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電磁波吸収部材は、曲面追従性に優れるものの、耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に劣るという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、曲面追従性および耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に優れる電磁波吸収部材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の電磁波吸収部材を提供する。
[1]電磁波吸収層と、スペーサ層と、反射層とを有し、
前記電磁波吸収層と、前記スペーサ層と、前記反射層とがこの順に積層されており、
前記スペーサ層の比誘電率が5以上であり、
前記スペーサ層の融点が150℃以上である、電磁波吸収部材。
[2]前記スペーサ層の厚みが200μm以上450μm以下である、[1]に記載の電磁波吸収部材。
[3]前記スペーサ層のヤング率が50MPa以上である、[1]に記載の電磁波吸収部材。
[4]曲げ剛性が300N・mm以下である、[1]に記載の電磁波吸収部材。
本発明によれば、曲面追従性および耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に優れる電磁波吸収部材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電磁波吸収部材を模式的に示し、厚みに沿う面の断面図である。 本発明の一実施形態に係る電磁波吸収部材を構成する電磁波吸収層の一例を示す上面図である。 本発明の一実施形態に係る電磁波吸収部材の曲げ剛性の測定方法を示す模式図である。
本発明の電磁波吸収部材の発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本明細書において「電磁波吸収パターン」とは、幾何学的な図形である単位の集合体であり、ある周波数の電磁波を選択的に吸収する物体を意味する。「電磁波吸収パターン」はいわゆるアンテナと同様の機能を有するともいえる。
本明細書において「ミリ波領域の電磁波」とは、波長が1mm~10mmの電磁波を意味する。「ミリ波領域の電磁波」とは、周波数が30GHz~300GHzである電磁波ともいえる。
本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
[電磁波吸収部材]
図1は、本発明の一実施形態に係る電磁波吸収部材を模式的に示し、厚みに沿う面の断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電磁波吸収部材10は、電磁波吸収層20と、スペーサ層30と、反射層40とを有する。また、電磁波吸収層20と、スペーサ層30と、反射層40とがこの順に積層されている。
反射層40は、電磁波吸収層20の他方の面(裏面)20b側に配置される。スペーサ層30は、電磁波吸収層20と反射層40の間に配置される。すなわち、電磁波吸収層20と反射層40は、スペーサ層30を介して積層されている。
電磁波吸収層20は、単層であってもよく、図1に示すように基材21と、基材21上に形成された電磁波吸収パターン22とを含んでもよい。
電磁波吸収層20が単層である場合、電磁波吸収層20は後述する電磁波吸収パターン22と同様の材料から構成される。
本実施形態の電磁波吸収部材10では、スペーサ層30の比誘電率が5以上であり、7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、9以上であることが特に好ましい。スペーサ層30の比誘電率が前記下限値未満では、スペーサ層30の厚みが厚くなる。スペーサ層30の比誘電率が5以上であることにより、スペーサ層30の厚みを薄くすることができる。これにより、電磁波吸収部材10が、曲面追従性が優れたものとすることができる。
スペーサ層30の比誘電率の上限値は、スペーサ層30のヤング率が高くなり過ぎるのを防止する観点から、30以下であってもよく、25以下であってもよく、20以下であってもよく、15以下であってもよい。
スペーサ層30の比誘電率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態の電磁波吸収部材10では、スペーサ層30の融点、すなわち、スペーサ層30を構成する材料の融点が150℃以上であり、160℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましい。スペーサ層30の融点が前記下限値未満では、耐熱性試験後に比誘電率が変化し性能が低下する。スペーサ層30の融点の上限値は、スペーサ層30のヤング率が高くなり過ぎるのを防止する観点から、400℃以下であってもよく、300℃以下であってもよく、240℃以下であってもよく、190℃以下であってもよい。
スペーサ層30の融点は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態の電磁波吸収部材10では、スペーサ層30の厚みは、200μm以上450μm以下であることが好ましく、250μm以上400μm以下であることがより好ましく、300μm以上340μm以下であることが特に好ましい。スペーサ層30の厚みが前記下限値以上であると、高い比誘電率を有するスペーサ層30を得やすい。スペーサ層30の厚みが前記上限値以下であると、曲げ剛性が低く曲面追従性が向上する。
スペーサ層30による波長短縮効果を考慮する場合、スペーサ層30の厚みは、吸収対象となる電磁波の波長およびスペーサ層30の比誘電率に合わせて適宜変更される。
スペーサ層30による波長短縮効果を考慮する場合、スペーサ層30の厚みは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
(スペーサ層30の厚み)=(λ)×(1/4)/(ε)1/2・・・式(1)
上記式(1)中、λは飛来する電磁波の波長であり、εはスペーサ層30の比誘電率である。スペーサ層30の厚みは、吸収特性のために適宜調整してもよい。例えば、式(1)で得られるスペーサ層30の厚みの、0.1倍から3.0倍の範囲で変更することができる。
スペーサ層30の厚みと波長λとの関係が上記式(1)を満たす場合、電磁波吸収部材10はいわゆるλ/4構造となる。これにより、電磁波吸収部材10による電磁波の吸収量の極大値がさらに高くなる。
スペーサ層30の厚みは、200μm以上450μm以下の範囲内において、吸収対象となる電磁波の波長λに応じて適宜設定できる。
スペーサ層30は高誘電率の材質で構成してもよい。スペーサ層30が高誘電率の層であると、スペーサ層30の厚みを相対的に薄くできる。
スペーサ層30の誘電率を考慮する場合、スペーサ層30はチタン酸バリウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウムからなる1群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
スペーサ層30の厚みは、テクロック社製定圧厚さ測定器によって測定することができる。
スペーサ層30のヤング率は、1000MPa以下であることが好ましく、600MPa以下であることがより好ましく、400MPa以下であることがさらに好ましい。スペーサ層30のヤング率が前記上限値以下であると、曲面追従性が向上する。スペーサ層30のヤング率の下限値は、形状維持性の観点から、50MPa以上であってもよく、100MPa以上であってもよく、200MPa以上であってもよい。
スペーサ層30のヤング率は、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して測定することができる。
本実施形態の電磁波吸収部材10では、曲げ剛性が240N・mm以下であることが好ましく、180N・mm以下であることがより好ましく、100N・mm以下であることがさらに好ましい。電磁波吸収部材10の曲げ剛性が前記上限値以下であると、曲面追従性が向上する。電磁波吸収部材10の曲げ剛性の下限値は、形状維持性の観点から、10N・mm以上であってもよく、30N・mm以上であってもよく、60N・mm以上であってもよい。
電磁波吸収部材10の曲げ剛性は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
また、本実施形態の電磁波吸収部材10における総厚(電磁波吸収層における最表面、すなわち、電磁波吸収パターン22の表面(電磁波吸収層20の一方の面(表面)20a)から、反射層40の設置面側の表面(他方の面)40bまでの合計厚)は、曲面追従性と電磁波吸収性の両立の観点から、350μm~800μmであることが好ましく、400μm~600μmであることがより好ましく、450μm~520μmであることが特に好ましい。
「電磁波吸収層」
電磁波吸収層20は周波数選択表面(FSS:Frequency Selective Surface)からなる。周波数選択表面とは、導電性部材などで波長以下の形状の連続構造を形成することにより、特定の周波数の電磁波のみを遮断することができる面のことである。
図2は、本実施形態における電磁波吸収層の一例を示す上面図である。図2に示すように、電磁波吸収層20は、平板状である基材21と、基材21の一方の面21aに形成された電磁波吸収パターン22とを有する電磁波吸収フィルムである。電磁波吸収パターン22は、第1の電磁波吸収パターン51、第2の電磁波吸収パターン52および第3の電磁波吸収パターン53からなる。
電磁波吸収層20のヤング率は、10GPa以下であることが好ましく、7GPa以下であることがより好ましく、5GPa以下であることがさらに好ましい。電磁波吸収層20のヤング率が前記上限値以下であると、曲げ剛性が減少し曲面追従性が向上する。電磁波吸収層20のヤング率の下限値は、形状維持性の観点から、0.5GPa以上であってもよく、1GPa以上であってもよく、3GPa以上であってもよい。
電磁波吸収層20のヤング率は、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して測定することができる。
(第1の電磁波吸収パターン)
図2に示すように第1の電磁波吸収パターン51は、複数の第1の単位u1で構成されている。第1の単位u1のそれぞれは、幾何学的な図形である。
すなわち、第1の電磁波吸収パターン51は、幾何学的な図形である第1の単位u1の集合体であるともいえる。
第1の単位u1は、それぞれが一つのアンテナとして機能する。第1の電磁波吸収パターン51は、例えば、FSS素子の細線パターンでもよい。
第1の電磁波吸収パターン51においては、複数の第1の単位u1が図2中の両矢印Pで示す方向に沿って配列された第1の配列R1が複数形成されている。第1の電磁波吸収パターン51は複数の第1の配列R1を有するともいえる。第1の電磁波吸収パターン51は、複数の第1の配列R1を両矢印Pで示す方向に沿って、所定の間隔で基材21上に形成することで構成できる。
複数の第1の配列R1同士の間隔は特に制限されない。第1の配列R1同士の間隔は、規則的でも不規則的でもよい。
図2に示すように、第1の単位u1の形状は上下左右対称の十字状である。具体的に第1の単位u1は、1つの十字部分S1と、4つの端部T1とを有する。十字部分S1は、図2中のx軸方向に平行な直線部分とy軸方向に平行な直線部分とで構成される。x軸方向に平行な直線部分の両端とy軸方向に平行な直線部分の両端のそれぞれに、各直線部分と直交するように直線状の各端部T1が接している。
第1の単位u1のx軸方向の長さや、4つの端部T1のそれぞれのx軸方向の長さをそれぞれ調整することで、1つのアンテナとして機能する第1の単位u1による電磁波の吸収特性を調節できる。y軸方向も同様にして、電磁波の吸収特性を調節できる。
ただし、第1の単位の形状は十字状に限定されない。第1の単位の形状は、第1の電磁波吸収パターン51によって吸収される電磁波の吸収量が極大値を示す周波数の値が、A[GHz]となる態様であれば、特に限定されない。
例えば、第1の単位である図形の形状としては、円形状、環状、直線状、方形状、多角形状、H字状、Y字状、V字状等が挙げられる。
電磁波吸収層20においては、複数の第1の単位u1の形状は互いに同一である。ただし、複数の第1の単位u1の形状は互いに同一の図形でなくてもよい。本発明の他の例においては、複数の第1の単位の形状は、目的とする周波数に吸収特性を調整できれば、互いに同一でもよく、異なってもよい。
第1の電磁波吸収パターン51は、周波数がA[GHz]である電磁波を選択的に吸収する。周波数の値A[GHz]は、第1の電磁波吸収パターン51によって吸収される電磁波の吸収量が20GHz~110GHzの範囲で極大値を示すときの周波数の値である。
第1の電磁波吸収パターン51によって吸収される電磁波の吸収量が極大値を示す周波数の値A[GHz]は、例えば、下記の方法Xによって特定できる。
方法X:周波数を20GHz~110GHzの範囲内で変化させながら電磁波を後述の標準フィルムに照射し、標準フィルムによって吸収される電磁波の吸収量が最大値をとるときの電磁波の周波数をA[GHz]とする。
標準フィルムは、平板状である標準基材と標準基材に形成された標準パターンとを有する。
標準基材の詳細は、基材21と同内容とすることができる。そのため、標準基材の詳細は、後述の基材21の説明において詳細に説明する。
標準パターンは、形状が互いに同一の図形である複数の標準単位のみからなる。標準フィルムにおいては、形状が同一である1種類の図形のみからなる標準パターンが標準基材に形成されているともいえる。標準パターンは通常のFSS素子の細線パターンによって形成できる。通常、標準パターンは、第1の電磁波吸収パターン51と同一の電磁波吸収パターン(単位u1と同一形状)である。
標準フィルムにおいて複数の標準単位は、図形の端部同士の間隔が1mmとなるように標準基材上に配置されている。例えば、標準単位の図形が十字形状である場合、十字の交差部分が図形の中心であり、図形の端部は十字を構成する2つの直線部分の方向のそれぞれに沿って中心から最も距離が離れている部分である。
標準パターンを構成する標準単位の材質は、20GHz~110GHzの範囲内で変化させながら電磁波を標準フィルムに照射したときに、標準フィルムによって吸収される電磁波の吸収量が最大値をとり得る態様であれば、特に限定されない。
標準単位の材質の詳細は、第1の単位と同内容とすることができる。
標準フィルムによって吸収される電磁波の吸収量は、下記式(1)で算出できる。
吸収量=入力信号-反射特性(S11)-透過特性(S21)・・・(1)
入力信号は、標準フィルムに電磁波を照射した際の照射源における電磁波の強度の指標である。
反射特性(S11)は、照射源から標準フィルムに電磁波を照射した際に標準フィルムによって反射される電磁波の強度の指標である。反射特性(S11)は、例えば、ベクトルネットワークアナライザを用いてフリースペース法によって測定できる。
透過特性(S21)は、照射源から標準フィルムに電磁波を照射した際に標準フィルムを透過する電磁波の強度の指標である。透過特性(S21)は、例えば、ベクトルネットワークアナライザを用いてフリースペース法によって測定できる。
周波数A[GHz]は例えば、下記の方法で特定できる。
まず、周波数を20GHz~110GHzの範囲内で変化させながら電磁波を標準フィルムに照射し、標準フィルムによって吸収される電磁波の吸収量を上記式(1)で算出する。
次いで、横軸に変化させた周波数をプロットし、縦軸に上記式(1)で算出される吸収量をプロットした吸収スペクトル図を作成する。通常、この吸収スペクトル図において、吸収量が最大値となる周波数の値が横軸に1つ存在する。そのためプロット図には、電磁波の吸収量が極大値となる単一のピークが形成される。このように、電磁波の吸収量が最大値をとるときの電磁波の周波数をA[GHz]とすることができる。
方法Xにおいて、あらかじめ周波数Aの数値を予測できる場合には、標準フィルムに照射する電磁波の周波数を、20GHz~110GHzよりも狭い範囲内で変化させてもよい。例えば、標準フィルムに照射する電磁波の周波数を、50GHz~110GHzの範囲内で変化させてもよい。
第1の電磁波吸収パターン51は、上述の方法Xによって特定される周波数がA[GHz]である電磁波を吸収する。
本実施形態における電磁波吸収層20においては、周波数の値Aは、20GHz~110GHzが好ましく、60GHz~100GHzがより好ましく、65GHz~95GHzがさらに好ましく、70GHz~90GHzが特に好ましい。周波数の値Aが前記数値範囲内であると、電磁波吸収層20がミリ波領域の電磁波を吸収でき、自動車用部品、道路周辺部材、建築外壁関連材、窓、通信機器、電波望遠鏡等に適用しやすく易くなる。
第1の単位u1の材質は、目的とする周波数に吸収特性を調整できれば、特に限定されない。
第1の単位の材質としては、例えば、金属の細線、導電性薄膜、導電性ペーストの定着物等が挙げられる。
金属の材質としては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金またはこれらの金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、レニウムタングステン等)が挙げられる。
導電性薄膜の材質としては、金属粒子、カーボンナノ粒子、カーボンファイバー等が挙げられる。
第1の単位u1である図形の端部同士の間隔は、目的とする周波数に吸収特性を調整できれば、特に限定されない。
例えば、第1の単位u1である図形の端部同士の間隔は、全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。ただし、周囲環境の影響を受けにくい電磁波吸収フィルムを設計しやすくなり、吸収される電磁波の周波数帯の精度が製造時に向上することから、第1の単位u1である図形の端部同士の間隔は、互いに同一であることが好ましい。
(第2の電磁波吸収パターン)
図2に示すように、第2の電磁波吸収パターン52は、複数の第2の単位u2で構成される。
第2の電磁波吸収パターン52は、第1の電磁波吸収パターン51と同様に形成されている。
第2の電磁波吸収パターン52は、周波数が下記式(2)を満たすB[GHz]である電磁波を選択的に吸収する。周波数の値B[GHz]は、第2の電磁波吸収パターン52によって吸収される電磁波の吸収量が極大値を示すときの周波数の値である。周波数の値B[GHz]は、下記式(2)を満たす。
1.037×A≦B≦1.30×A・・・式(2)
上記式(2)に示すように、第2の電磁波吸収パターン52は、周波数が1.037×A[GHz]~1.30×A[GHz]である電磁波を吸収する。第2の電磁波吸収パターン52は、周波数が1.17×A[GHz]~1.30×A[GHz]である電磁波を吸収することが好ましい。
第2の電磁波吸収パターン52が1.037×A[GHz]以上の周波数の電磁波を吸収するため、A[GHz]より高周波数の周波数帯で第2の電磁波吸収パターン52による電磁波の吸収量のピークと第1の電磁波吸収パターン51による電磁波の吸収量のピークとが充分に重なりあう。その結果、第1の電磁波吸収パターン51を単独で有するフィルムと比較して、電磁波吸収フィルム全体で吸収可能な電磁波の周波数帯がA[GHz]より高周波数側の周波数帯に拡張される。
第2の電磁波吸収パターン52が1.30×A[GHz]以下の周波数の電磁波を吸収するため、A[GHz]より高周波数の周波数帯で第2の電磁波吸収パターン52による電磁波の吸収量のピークと第1の電磁波吸収パターン51による電磁波の吸収量のピークとの周波数の差が少なくなる。その結果、電磁波吸収フィルム全体で吸収される電磁波の吸収量が極大値となる単一のピークが形成される。
以上より、第2の電磁波吸収パターン52は周波数が1.037×A[GHz]~1.30×A[GHz]である電磁波を吸収するため、電磁波吸収フィルム全体で吸収される電磁波の吸収量が高周波数側の周波数帯に拡張される。
第2の電磁波吸収パターン52を構成する第2の単位の材質は、B[GHz]の電磁波を吸収できる態様であれば、特に限定されず、目的とする周波数に吸収特性を調整できれば、特に限定されない。
第2の単位の材質としては、第1の単位u1の材質について説明した内容と同内容である。
(第3の電磁波吸収パターン)
図2に示すように第3の電磁波吸収パターン53は、複数の第3の単位u3で構成される。
第3の電磁波吸収パターン53は、第1の電磁波吸収パターン51と同様に形成されている。
第3の電磁波吸収パターン53は、周波数が下記式(3)を満たすC[GHz]である電磁波を選択的に吸収する。周波数の値C[GHz]は、第3の電磁波吸収パターン53によって吸収される電磁波の吸収量が極大値を示すときの周波数の値である。周波数の値C[GHz]は、下記式(3)を満たす。
0.60×A≦C≦0.963×A・・・式(3)
上記式(3)に示すように、第3の電磁波吸収パターン53は、周波数が0.60×A[GHz]~0.963×A[GHz]である電磁波を吸収する。第3の電磁波吸収パターン53は、周波数が0.60×A[GHz]~0.83×A[GHz]である電磁波を吸収することが好ましい。
第3の電磁波吸収パターン53が0.60×A[GHz]以上の周波数の電磁波を吸収するため、A[GHz]より低周波数の周波数帯で第3の電磁波吸収パターン53による電磁波の吸収量のピークと第1の電磁波吸収パターン51による電磁波の吸収量のピークとの周波数の差が少なくなる。その結果、電磁波吸収層20全体で吸収される電磁波の吸収量が極大値となる単一のピークが形成される。
第3の電磁波吸収パターン53が0.963×A[GHz]以下の周波数の電磁波を吸収するため、A[GHz]より低周波数の周波数帯で第3の電磁波吸収パターン53による電磁波の吸収量のピークと第1の電磁波吸収パターン51による電磁波の吸収量のピークとが充分に重なりあう。その結果、電磁波吸収フィルム全体で吸収可能な電磁波の周波数帯が第1の電磁波吸収パターン51を単独で有するフィルムと比較して、A[GHz]より低周波数側の周波数帯に拡張される。
以上より、第3の電磁波吸収パターン53は周波数が0.60×A[GHz]~0.963×A[GHz]である電磁波を吸収するため、電磁波吸収層20全体で吸収される電磁波の吸収量が低周波数側の周波数帯に拡張される。
第3の電磁波吸収パターン53を構成する第3の単位u3の材質は、C[GHz]の電磁波を吸収できる態様であれば、特に限定されず、目的とする周波数に吸収特性を調整できれば、特に限定されない。
第3の単位u3の材質としては、第1の単位u1の材質について説明した内容と同内容である。
図2に示す電磁波吸収層20においては、第1の配列R1と第2の配列R2と第3の配列R3とが互いに隣り合うように両矢印Pで示す方向に沿って配列されている。このように、第1の配列R1と第2の配列R2と第3の配列R3とが互いに隣り合うように基材21に配置されているため、第1の電磁波吸収パターン51が選択的に吸収する電磁波のピーク位置の周波数の値A[GHz]を基準として、第2の電磁波吸収パターン52が選択的に吸収する電磁波の周波数帯と、第3の電磁波吸収パターン53が選択的に吸収する電磁波の周波数帯の両方が重なりあう。その結果、電磁波吸収層20全体で吸収される電磁波の吸収域が、ピーク位置の周波数の値A[GHz]を基準として、高周波数側と低周波数側との両方に拡張され易くなる。
図2にそれぞれ示す、第1の単位u1と第2の単位u2との間隔d1、第2の単位u2と第3の単位u3との間隔d2、第3の単位u3と第1の単位u1との間隔d3は、互いに同一でもよく、異なってもよい。
間隔d1は、例えば、0.2mm~4mmでもよく、0.3mm~2mmでもよく、0.5mm~1mmでもよい。
間隔d2は、例えば、0.2mm~4mmでもよく、0.3mm~2mmでもよく、0.5mm~1mmでもよい。
間隔d3は、例えば、0.2mm~4mmでもよく、0.3mm~2mmでもよく、0.5mm~1mmでもよい。
間隔d1、間隔d2、間隔d3がそれぞれ前記数値範囲内であると、電磁波吸収層20全体で吸収される電磁波の吸収域が、ピーク位置の周波数の値A[GHz]を基準としてさらに拡張されやすくなる。
電磁波吸収層20においては、第1の単位u1、第2の単位u2、第3の単位u3の形状は互いに同一である。ただし、第1の単位u1、第2の単位u2、第3の単位u3の形状は互いに同一の図形でなくてもよい。すなわち、本発明の他の例においては、第1の単位u1、第2の単位u2、第3の単位u3の形状は、互いに同一でもよく、異なってもよい。
基材21は、平板状であり、かつ、一方の面21aに第1の電磁波吸収パターン51、第2の電磁波吸収パターン52および第3の電磁波吸収パターン53を形成できる形態であれば、特に限定されない。基材21は単層構造でも多層構造でもよい。
基材21の厚みは、例えば、5μm~500μmでもよく、15μm~200μmでもよく、25μm~100μmでもよい。
第1の電磁波吸収パターン51の厚み、第2の電磁波吸収パターン52の厚み、第3の電磁波吸収パターン53の厚みは特に限定されない。これらの厚みは所望する特性に応じて任意に変更可能である。また、これら3つの厚みは互いに同一でもよく、異なっていてもよく、生産性を考慮すると、同一であることが好ましい。なお、第1の電磁波吸収パターン51、第2の電磁波吸収パターン52および第3の電磁波吸収パターン53の厚みは、電磁波吸収性と曲面追従性の両立の観点から、0.1μm~300μmであることが好ましく、1μm~150μmであることがより好ましく、10μm~80μmであることが特に好ましい。
基材21の材料は、電磁波吸収部材10の用途に応じて適宜選択できる。
例えば、電磁波吸収部材10の透明性の具備を目的として、基材21を透明な材料で構成してもよい。他にも、電磁波吸収部材10の曲面に対する追従性の具備を目的として、基材21を柔軟性のある材料で構成してもよい。電磁波吸収部材10の透明性、三次元成形性の向上を目的として、基材21の表面を平滑にしてもよい。
例えば、基材21は樹脂で構成できる。樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。ただし、電磁波吸収部材10の三次元成形性を考慮する場合、基材21は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル-ポリエーテル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
基材21は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含んでもよい。任意成分の例としては、例えば、無機充填材、着色剤、硬化剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。
電磁波吸収部材10の電磁波の吸収性能のさらなる改良を考慮して、基材21の厚み、誘電率、電気伝導率、透磁率は適宜設定可能である。
吸収対象となる電磁波の電気的特性を考慮する場合、基材21は高誘電率の層であってもよい。基材21が高誘電率の層であると、電磁波吸収部材10の厚みを相対的に薄くできる。
電磁波吸収層20は、例えば、下記の方法によって作製できる。
まず、基材21を準備する。次いで、基材21の一方の面21aに第1の電磁波吸収パターン51、第2の電磁波吸収パターン52および第3の電磁波吸収パターン53を形成する。
各電磁波吸収パターンを形成する際には、各電磁波吸収パターンによって吸収される電磁波の吸収量が極大値を示す周波数の値が所定の値[GHz]となるように形成する。
それぞれの電磁波吸収パターンを形成する順序は特に限定されない。各電磁波吸収パターンは、同一の工程内で形成してもよく、それぞれ別々の工程で形成してもよい。
各電磁波吸収パターンの形成方法は、所定の周波数を形成できる態様であれば特に限定されない。各電磁波吸収パターンの形成方法の例としては、例えば、下記の方法がある。
導電性ペーストを用いて基材21の一方の面21aに各電磁波吸収パターンを印刷する印刷方法。
基材21の一方の面21aに各電磁波吸収パターンを現像する現像方法。
スパッタ法、真空蒸着または金属箔の積層によって基材21の一方の面21aに金属薄膜を設け、フォトリソグラフィによって金属薄膜のパターンを基材21の一方の面21aに形成する方法。
金属ワイヤーを基材21の一方の面21aに配置する方法。
「スペーサ層」
スペーサ層30は、電磁波吸収層20が有する基材21の他方の面21bに設けられている。
スペーサ層30は2つの面30a,30bを有する。スペーサ層30の一方の面30aは、基材21の他方の面21bと対向している。スペーサ層30の他方の面30bには、反射層40が設けられている。
スペーサ層30は、単層構造でも多層構造でもよい。
スペーサ層30の材料は、用途に応じて適宜選択できる。例えば、自動車の外装に使用する場合は、曲面に対する追従性を有し、かつ、耐熱性に優れた材料を選択することが好ましい。
柔軟性のある材料としては、プラスチックフィルム、不織布、ゴムシート等が挙げられる。これらの中でも、フィラーとの混錬が容易な観点から、プラスチックフィルムが好ましい。
プラスチックフィルムを構成する樹脂の具体例としては、例えば、上述の基材21について説明した熱可塑性樹脂の中から融点の高いものを用いることができる。
スペーサ層30は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては、誘電率の高いフィラーであれば特に限定されないが、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。
スペーサ層30におけるフィラーの含有量は、20体積%以上60体積%以下であることが好ましく、25体積%以上50体積%以下であることがより好ましく、30体積%以上45体積%以下であることが特に好ましい。フィラーの含有量が前記上限値を超えると、脆化し、スペーサ層30の製造が困難になる場合がある。フィラーの含有量が前記下限値未満であると、必要とする電磁波吸収性を得るために、スペーサ層30の必要厚みが大きくなり過ぎ、曲面追従性が得られない場合がある。
スペーサ層30の2つの面30a、30bには、接着層が設けられることが好ましい。これにより、2つの面30a、30bのそれぞれに、電磁波吸収層20と反射層40を容易に貼り合わせることができる。
接着層の詳細および好ましい態様については、後述の反射層における接着層について説明する内容と同内容とすることができる。
「反射層」
反射層40は2つの面40a,40bを有する。反射層40の一方の面40aは、スペーサ層30の他方の面30bと対向している。
反射層40は、電磁波吸収部材10の表面に飛来し、電磁波吸収部材10を透過した電磁波を反射できる形態であれば、特に限定されない。電磁波吸収部材10に飛来する電磁波のうち、一部は電磁波吸収層20で反射されるか、電磁波吸収層20に吸収される。一方で、電磁波吸収層20で反射も吸収もされなかった電磁波は、電磁波吸収層20を透過する。電磁波吸収層20を透過した電磁波は、反射層40で電磁波吸収層20に向けて反射される。
例えば、2つの面40a,40bいずれかの面方向において反射層40が導電性を具備する形態であれば、電磁波吸収層20を透過した電磁波を反射できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムにアルミニウム箔や銅箔等の金属箔や、銅板等の金属板を貼り合わせたものを反射層40として使用してもよい。金属箔や金属板の代わりに、ITO等の透明導電膜、金属ワイヤー等で形成されたメッシュシートを使用してもよい。これらの中でも、導電性の高さの点から金属板が好ましい。
反射層40の反射特性を考慮して反射層40の他方の面40bに金属ワイヤー、導電性糸、金属ワイヤーおよび導電性糸を含む撚糸、導電性薄膜を設けてもよい。導電性薄膜は、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式等の印刷方法;スパッタ法または真空蒸着;フォトリソグラフィによって面40bに設けることができる。
反射層40のヤング率は、6GPa以下であることが好ましく、5.5GPa以下であることがより好ましく、5GPa以下であることがさらに好ましい。反射層40のヤング率が前記上限値以下であると、曲面追従性が向上する。反射層40のヤング率の下限値は、0.5GPaPa以上であってもよく、1GPa以上であってもよく、3GPa以上であってもよい。
反射層40のヤング率は、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して測定することができる。
スペーサ層30を金属等の導電性を具備する物体に形成する場合には、金属等の導電性を具備する物体が反射層40の役割を果たすため、反射層40は省略できる。
電磁波吸収部材10を種々の物品の表面に適用することを目的として、反射層40の他方の面40bに接着層を設けてもよい。反射層40の他方の面40bに接着層を設ける場合には、接着層における面40bと接する側と反対側の面に剥離フィルムを設けてもよい。剥離フィルムは電磁波吸収部材10の使用時には除去される。剥離フィルムが接着面を覆うことで、流通時の取扱性がよくなる。
接着層を構成する接着剤としては、熱により接着するヒートシールタイプの接着剤;湿潤させて貼付性を発現させる接着剤;圧力により接着する感圧性接着剤(粘着剤)等が挙げられる。これらの中でも、簡便さの観点から、粘着剤(感圧性接着剤)が好ましい。
粘着剤の具体例としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤およびゴム系粘着剤からなる群から選ばれる少なくともいずれかが好ましく、アクリル系粘着剤がより好ましい。
また、本実施形態の電磁波吸収部材10は、電磁波吸収層20の一方の面(表面)20aに形成される保護層を備えていてもよい。
保護層は、電磁波吸収層20を保護できる形態であれば、特に限定されない。
本実施形態の電磁波吸収部材10によれば、スペーサ層30の比誘電率が5以上であり、かつスペーサ層30の融点が150℃以上であるため、曲面追従性および耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に優れる。スペーサ層を構成する樹脂として、融点が低いものを用いると、耐熱試験により、スペーサ層の厚みやスペーサ層に含まれるフィラーの分布が変化し、電磁波吸収性が低下する。
本実施形態の電磁波吸収部材10によれば、スペーサ層30のヤング率が50MPa以上であるため、形状維持性に優れる。ここで、形状維持性に優れるとは、熱的作用あるいは物理的作用を受けても膜厚が変化せず、電磁波吸収性が変化しないことをいう。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
「電磁波吸収部材の作製」
以下に示す通り、電磁波吸収部材を作製した。
厚みが50μmのPETフィルム(商品名:PET50A4160、東洋紡株式会社製)からなる基材上に銅を蒸着して銅薄膜を形成した。
その後、フォトリソグラフィにより、銅薄膜を電磁波吸収パターンにパターニングし、図2に示すような電磁波吸収パターンを形成し、電磁波吸収パターンを有する電磁波吸収層を得た。電磁波吸収パターンの厚みを20μmとした。
次に、樹脂としてのポリエステル-ポリエーテル共重合体(商品名:P-55B、東洋紡株式会社製)と、フィラーとしてのチタン酸バリウム(商品名:BT-UP2、日本化学株式会社製)を、ラボプラストミル(型式名:4C150、株式会社東洋精機製作所製)を用いて200℃、40rpmで5分間混練し、チタン酸バリウムの含有量が40体積%の混合材料を調製した。
上記の混合材料を油圧式加熱プレス機(型式名:SA-302、テスター産業株式会社製)で、200℃で3分間プレスして、厚み300μmのスペーサ層を得た。
粘着層の材料として、2-エチルヘキシルアクリレート70質量%、n-ブチルアクリレート29質量%、アクリル酸0.5質量%、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.5質量%からなる重量平均分子量80万のアクリル共重合体を用意した。当該アクリル共重合体100質量部(固形分換算値)に対して、イソシアネート系架橋剤1質量部(固形分換算値)と、紫外線吸収剤(商品名:Tinuvin 477、BASFジャパン株式会社製)を8質量部とを添加し、酢酸エチルで希釈することによりアクリル系粘着剤溶液を作製した。
次に、上記のアクリル系粘着剤溶液を剥離フィルム上に塗工し、90℃で1分間乾燥させた後、常温で1週間養生することにより、厚み20μmの粘着層を得た。
次に、スペーサ層の一方の面に、上記の粘着層を積層した。
次に、反射層として、厚み50μmの東レフィルム加工株式会社製のメタルミーTSを用意し、当該フィルムの両面を粘着層で覆うように積層した。すなわち、剥離フィルム/粘着層/反射層/粘着層/剥離フィルムという積層体を得た。
次に、反射層に積層した電磁波吸収層側の剥離フィルムを剥がし、露出した粘着層をスペーサ層の電磁波吸収層側となる面とは反対側の面に積層した。
次に、スペーサ層の電磁波吸収層側の剥離フィルムを剥がし、露出した粘着層を電磁波吸収層の電磁波吸収パターンが形成された面とは反対側の面に積層し、粘着層付き電磁波吸収部材を得た。
[実施例2]
スペーサ層を作製するための混合材料におけるチタン酸バリウムの含有量を35体積%とし、スペーサ層の厚みを350μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の粘着層付き電磁波吸収部材を得た。
[実施例3]
樹脂としてポリエステル(ベルポリエステルプロダクツ社製)を用い、スペーサ層の厚みを360μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の粘着層付き電磁波吸収部材を得た。
[実施例4]
スペーサ層を作製するための混合材料におけるチタン酸バリウムの含有量を25体積%とし、スペーサ層の厚みを425μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の粘着層付き電磁波吸収部材を得た。
[比較例1]
スペーサ層を作製するための混合材料を構成する樹脂をエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA、三井・ダウポリケミカル社製)とし、前記の混合材料におけるチタン酸バリウムの含有量を45体積%とし、スペーサ層の厚みを300μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の粘着層付き電磁波吸収部材を得た。
[比較例2]
スペーサ層を作製するための混合材料を構成する樹脂を低密度ポリエチレン(LDPE、日本ポリスチレン社製)とし、前記の混合材料におけるチタン酸バリウムの含有量を20体積%とし、スペーサ層の厚みを470μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の粘着層付き電磁波吸収部材を得た。
[評価]
実施例1~4および比較例1、2の電磁波吸収部材について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
「比誘電率の評価」
株式会社AET製の誘電率測定装置(40GHz TEモード)と、アンリツ株式会社製のネッワークトアナライザー(型式名:MS46122B)とを用いて、実施例および比較例で得られたスペーサ層の比誘電率を測定した。
「ヤング率(引張弾性率)の測定」
電磁波吸収層、スペーサ層および反射層を縦15mm×横150mmの試験片に裁断し、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して、引張弾性率Eを測定した。具体的には、上記の試験片を、引張試験機(製品名:オートグラフAG-IS 500N、株式会社島津製作所製)を用いて、チャック間距離を100mmに設定した後、200mm/minの速度で引張試験を行い、電磁波吸収層、スペーサ層および反射層の引張弾性率(MPa)を測定した。
「融点の測定」
TAインスツメント株式会社製のDSC(型式名:Q2000)を用いて、スペーサ層の融点を測定した。測定条件を下記の通り設定した。
昇温条件:20℃/min
測定温度範囲:-50℃~250℃
「耐熱性評価」
エスペック株式会社製の高温恒湿器(型式名:PHH-102)を用いて、スペーサ層の耐熱性試験を行った。高温恒湿器の温度を120℃に設定し、高温恒湿器内にスペーサ層を240時間投入した。高温恒湿器から取り出し後のスペーサ層の比誘電率を測定し、試験前後の変化を評価した。
「曲面追従性の評価」
直径の異なる曲面に対して電磁波吸収部材を貼り付けて、電磁波吸収部材の曲面追従性を評価した。
曲面に対して電磁波吸収部材を、シワや端部の浮き等の外観不良なく貼り付けることができる最小の曲面の直径(mm)を評価した。
「曲げ剛性の評価」
図3および下記の式(11)を用いて、電磁波吸収部材の曲げ剛性を算出した。
図3における電磁波吸収部材の図心の位置をyとし、電磁波吸収部材の幅をWとした。さらに、電磁波吸収層、スペーサ層および反射層のそれぞれの厚みt、t、tとし、それぞれの層の中心までの高さをy、y、yとした。
電磁波吸収層、スペーサ層および反射層のそれぞれの面積(A、A、A)および全体の面積Aとy、y、yを下記の式(11)~式(17)より算出した。
=W×t (11)
=W×t (12)
=W×t (13)
A=A+A+A (14)
=t/2 (15)
=t+t/2 (16)
=t+t+t/2 (17)
式(11)~式(17)で得られた値を用いて、電磁波吸収部材の図心yを下記の式(18)より算出した。
=(A+A+A)/A (18)
ここで、各層の図心に関する断面二次モーメントI、I、IおよびIc1、Ic2、Ic3を下記の式(20)~式(25)より算出した。
=(W×t )/12 (20)
=(W×t )/12 (21)
=(W×t )/12 (22)
c1=I+A×(y-y (23)
c2=I+A×(y-y (24)
c3=I+A×(y-y (25)
電磁波吸収部材の断面二次モーメントIを下記の式(26)より算出し、下記の式(27)より電磁波吸収部材の曲げ剛性を求めた。
I=Ic1+Ic2+Ic3 (26)
曲げ剛性(N・mm)=E(N/mm)×I(mm) (27)
「反射減衰量の評価」
エスペック株式会社製の高温恒湿器(型式名:PHH-102)を用いて、電磁波吸収部材の耐熱性試験を行った。高温恒湿器の温度を120℃に設定し、高温恒湿器内に電磁波吸収部材を240時間投入した。高温恒湿器から取り出し後の電磁波吸収部材の反射減衰量を測定し、試験前後の変化を評価した。
反射減衰量は、フリースペース法により測定した。
Figure 2024030895000002
表1に示す結果から、実施例1~4の電磁波吸収部材は、曲面追従性および耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に優れることが分かった。
一方、比較例1の電磁波吸収部材は、熱試験後の電磁波吸収性の維持に劣ることが分かった。
比較例2の電磁波吸収部材は、曲面追従性および耐熱試験後の電磁波吸収性の維持に劣ることが分かった。
本発明の電磁波吸収部材は、自動車等の輸送機器の電磁波吸収用部材に好適に用いることができる。
10 電磁波吸収部材
20 電磁波吸収層
21 基材
22 電磁波吸収パターン
30 スペーサ層
40 反射層
51 第1の電磁波吸収パターン
52 第2の電磁波吸収パターン
53 第3の電磁波吸収パターン

Claims (4)

  1. 電磁波吸収層と、スペーサ層と、反射層とを有し、
    前記電磁波吸収層と、前記スペーサ層と、前記反射層とがこの順に積層されており、
    前記スペーサ層の比誘電率が5以上であり、
    前記スペーサ層の融点が150℃以上である、電磁波吸収部材。
  2. 前記スペーサ層の厚みが200μm以上450μm以下である、請求項1に記載の電磁波吸収部材。
  3. 前記スペーサ層のヤング率が50MPa以上である、請求項1に記載の電磁波吸収部材。
  4. 曲げ剛性が300N・mm以下である、請求項1に記載の電磁波吸収部材。
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